決算ハイライト(前年同期比)

瀬口力氏(以下、瀬口):Lib Work代表取締役社長の瀬口と申します。ただいまより、2023年6月期第2四半期の決算説明会を行います。

まずは財務情報からご説明します。決算ハイライトとして、前年同期比の情報をスライドに記載しています。売上高は、前期の65億2,400万円から今期も同じく65億2,400万円と、本当に合わせたような数字になっています。

ただし、営業利益は、前期の2億8,900万円から今期は8,400万円、経常利益も今期は8,600万円と大幅な減益となりました。このように売上高が変わらず利益が下がったことの背景には、販管費の増加と粗利率の減少という2つの要因が挙げられます。

販管費について、今期は4月に70名の採用を行いましたので、その分がかなり増えています。新卒採用ということで、まだ即戦力化できていないため、今回の販管費の増加は将来的な投資としてご理解いただければと思います。

粗利率の減少については、昨今のインフレや円安影響が顕著に表れており、これにより利益が下がっています。ただし、下期は請負契約金額が平均で1棟当たり200万円から300万円上昇しているため、今後、十分に回収できると考えています。

決算ハイライト(2022年11月10日公表の修正連結予想比)

2022年11月10日に公表した連結予想との比較です。第1四半期に修正しているため、当初の見込みと比較すると大幅減益です。そちらを踏まえた上でご覧いただければと思いますが、基本的に売上高はそれほど変わらず、利益が上方修正されている状況です。

販管費を少しでも減らして利益を上げていこうと努力した結果ですが、当社では、これは誤差の範囲内だと思っています。

その他、我々の強みであるデジタル集客が非常に好調に推移したため、その部分で広告費が下がったことが利益の上方修正に寄与しています。

堅調なデジタルマーケティング集客

事業報告に移ります。デジタルマーケティング集客については、前年同期比で131パーセントと、非常に強い集客力を発揮することができました。

我々はさまざまな横とのつながりの中で、ハウスメーカーの他社の集客状況の情報を集めていますが、現在、総合展示場におけるリアルの集客は、かなり厳しい状況にあります。その中で、我々はしっかりと集客実績が伸ばせています。これは、我々のデジタルマーケティング施策が好調に推移していることの表れだと考えています。

具体的には、カテゴリサイトの新規公開や、自社メディア(「YouTubeチャンネル」「リブタイムズ」)での発信が、非常に有効に機能しています。

「大野城モデルハウス」営業開始

現在、熊本県以外の第2の本拠地、重点地域として、福岡県での展開に注力しています。まずは「イオンモール福岡」内の「sketch」福岡かすや店から展開し、さらに前期は2店舗、福岡市の「hitマリナ通り住宅展示場」内に「Afternoon tea HOUSE」マリナ通り店を、大野城市の「hit大野城住宅展示場」内に「ink」大野城店を追加出店しました。これらはそれぞれ「AfternoonTea HOUSE」「niko and ...」というブランドとのコラボ商品です。この他、福岡市西区に「無印良品の家」福岡店を展開しています。

ご存じのとおり、福岡市は日本で最も人口が伸びている地域ですので、注力してシェアを伸ばしていく方針です。集客も非常に好調ですので、今後の売上に期待しています。

In shop型「sketchパークプレイス大分店」営業開始

「sketch」福岡かすや店は、In shop型店舗展開の事例となります。九州最大級のショッピングモールの1つである「イオンモール福岡」に、ショッピングモール向けモデルハウスブランド「sketch」を展開していたのですが、集客および受注ともに好調に推移しており、このビジネスモデルを横展開できると判断するに至りました。

第2弾は「sketch」パークプレイス大分店です。2022年12月24日にオープンし、8日間で70組以上の集客を実現することができました。

In shop型店舗「sketch」の特長についてご説明します。総合展示場型のモデルハウスでは必ず競合が入ってきます。当社に来られたお客さまは、他にも2社から3社回られていますので、すでに見学された他社数社が競合に入るかたちになり、最終的には値引き合戦、体力の消耗戦のような交渉になってしまいます。

しかしIn shop型店舗における集客では、これまで戸建て住宅の購入をあまり考えていなかった潜在的見込み客にアプローチできることが非常に大きなポイントです。

「今まで戸建て住宅の購入なんて考えてもなかったんだけど、買い物帰りに少し寄ったら、意外と予算内に収まることがわかりました」「月々7万円から8万円で建てられるのですね」といったお客さまが多くいらっしゃいます。

このように、In shop型の店舗では当社が単独指名でスムーズに受注できる事例が増えており、今後は売上・利益に効果的に直結していくビジネスモデルになると考えています。

「無印良品の家」全国のネットワーク加盟店にて1位

「無印良品の家」については、熊本店、福岡店の2店舗があります。福岡店は出店して半年間しか経っていませんが、全国40店舗のネットワーク加盟店の中で、両店舗ともに受注棟数で同率1位を獲得することができました。

熊本店、福岡店ともに非常によい立地の中で営業できたことも大きかったのですが、我々が進めたデジタル戦略とコロナ禍の環境がちょうどマッチして、我々の強みが発揮された結果だと思っています。他の店舗は軒並み受注数が落ちた中で、当社のみ受注数を伸ばしています。

このトレンドを見ると、今から逆戻りするということは考えられないですし、今後の流れを考えても、我々のデジタル戦略は時代の流れにマッチしている施策だと自負しています。

業界初のCFP宣言登録

業界初のCFP(カーボンフットプリント)宣言を行いました。あまりご存じない方も多いと思いますが、我々にとっては大きな取り組みです。

CFPとは、例えば家を建てて住みエネルギーを使い、退去の際は廃棄される資材を産業廃棄物にするという一連のサイクルで生じるCO2排出量を算出し、商品・サービスにわかりやすく表示する仕組みです。

当社では約100平米の家で74トンと、大量のCO2を排出しています。しかし、大手プレハブメーカーでは鉄骨が大量のCO2を排出するため、この3倍程度はあると計算しています。

CFP宣言登録は、我々がサステナブル企業として、世の中にしっかりと認知していただく戦略で実施したもので、業界で初めての取り組みです。

具体的な事例をご紹介します。昨年アメリカで上場した、私の愛用しているオールバーズというシューズメーカーの直近の売上高は250億円で、それに対して時価総額は4,000億円となっています。

オールバーズは、CFPをすべての靴に表示しています。そのため、シューズメーカーとしての評価というよりは、サステナブルカンパニーとして高く評価されているということです。

同社は、ペットボトルを再利用したもので靴紐をつくったり、石油由来ではなく天然ゴムのソールを使用したりといった施策を進め、サステナブル企業としての位置づけを明確にしています。これらの施策が投資家から多大なる評価を受けているのです。

当社もそのようなサステナブルカンパニーとして社会に認知してもらえるように、しっかりと取り組んでいきたいと考えており、今回のCFP宣言登録はその第1歩です。

当社では、「Lib Work」木造戸建てモデル住宅においてCFP登録を実施しました。登録までには2社のコンサルタントを入れて約8ヶ月とかなり時間がかかったのですが、多大な労力の中でようやく実を結びました。

CO2排出量は、杭の1本1本から算出しています。材料の木材の伐採・運搬プロセスについてもCO2を排出しているということで、計算するのが本当に大変だったのですが、ようやく登録することができました。

このような取り組みでは、他社でもこの計算方法を使っていただくことで、みんなでより良い社会に向かっていくことができると考えています。例えば、当社は30坪の家で74トンのCO2と算出したのですが、これを機に他社は「74トンを60トンにする、40トンにする」と取り組んでいくと思います。我々が業界のリーダーとなって、このような競争が始まるのは非常によいことだと考えています。

企業価値としても、今後はサスティナブルカンパニーでないと評価されない時代が来ると考えています。代替肉の会社であるビヨンド・ミートをはじめ、オールバーズもしかり、これらサステナブルカンパニーの評価が世界的に上がっていることを考えると、我々の取り組みは、今後、非常に高く評価されるだろうと考えています。

「くまもとSDGs牽引部門:優秀賞」選出

これまでのお話に関連したことですが、SDGsへの取り組みについてです。本日もバッジを付けていますが、SDGsへの取り組みもしっかりと進めています。このような取り組みが評価され、「くまもとSDGs牽引部門」で優秀賞に選出されました。

事業概要

事業ポートフォリオについてご説明します。事業概要として、Lib Workは注文、戸建て住宅事業の建築請負事業が全体の84.7パーセントを占めています。残りは、建売や土地販売などの不動産販売事業と、リフォーム事業です。

逆に、子会社のタクエーホームは、不動産販売事業に特化しています。

注文住宅事業

注文住宅事業について、直近5ヶ年のエリア別の受注と売上構成比を示しています。こちらを示す意図を、ご説明します。

ご覧のとおり、当社は4年前まで92パーセントを熊本エリアで受注していました。2019年に東京証券取引所に上場していますので、上場の1年前までは主に熊本で事業を展開している会社でした。

しかし2022年6月期は、熊本エリアの比率が67パーセントにまで下がっています。上場前は「熊本にだけ強い会社」「熊本だけしか通用しないのでは?」という懸念の声もあったところ、最近では、熊本エリアへの依存率が下がってきています。

スライドのデータを見ると、熊本以外にも福岡・大分・千葉エリアの受注が進んでいることがわかると思います。裏返すと、Lib Workで培ってきたビジネスモデルが、他県でも通用しているという証です。

5年後には熊本エリアの依存度が下がり、他県のシェアがさらに広がっていくような流れが、こちらの実績の推移で証明されていることがわかると思います。

我々の強みが他県でも通用することが明確となりましたので、今後は他のエリアに進出して、売上拡大にしっかりとつなげていきたいと考えています。

注文住宅事業

住宅事業についてご説明します。Lib Workがデジタルに強い会社ということは、みなさまご存じだと思います。一般的な住宅販売会社では、モデルハウスをつくって集客し、アプローチしていく事業モデルをとっています。しかし我々はインターネット上に専門店をつくり、そこで集客を進めてお客さまにアプローチしています。リアル店舗での集客、インターネット上の店舗での集客という違いがあるのです。

このような違いから、当社における強みをご説明します。実は、一般的なリアルの集客コストとネットでの集客コストを比較すると、後者のほうが前者に対して約10分の1と、コストを抑えることができます。成約コストも10分の1になるため、1棟当たり200万円分くらいの価格差が出てきます。

そのコスト分だけ価格を抑えて、よりよい商品をお客さまに提案できるため、我々の競争優位性につながっていきます。集客コストは安ければ安いほどよいですし、集客コスト分が最終的なお客さまのコストにつながっていくため、デジタル集客というスタイルが、我々の競争優位につながっているということになります。

しかしながら、「他社もホームページなどつくっているのでは?」と感じる方もいると思いますが、我々は自社ホームページのみに頼っていません。

「土地を調べたい」「今から、この駅近に戸建てがほしい」といったお客さまはネットで「保土ケ谷 駅 土地」と調べます。そのようなお客さまが当社サイトを見つけ、土地情報を収集し、「この土地情報をください」と問い合わせてくるのです。当社は、そこからアプローチしていきます。

当社サイトのユニークな点は、店舗のみでの情報公開も行っていることです。「土地の資料だけを送ってください」ということはよくありますが、それだけではお客さまと接点を持ちにくいため、当社はモデルハウスに来店していただくことを最も重要なミッションとしています。

来店のお客さまのみの優先情報を準備していますので、モデルハウスも見てもらった上でお客さまと接点を持ち、そこから営業担当者が商談を進めていきます。このようなアプローチ方法により、お客さまとの接点をつくっています。

注文住宅事業

当社には数多くの専門サイトがあります。例えば、スライドに記載の「e平屋net」は平屋専門サイトです。平屋を建てたいお客さまは、こちらのサイトから入ります。また「eマイホームnet」は、注文住宅のさまざまなバリエーションが見られるカタログサイトです。

例えば「無印良品の家」、「niko and ...」とのコラボレーションの「ink」、「Afternoon Tea HOUSE」「Lib Workの家」などのカタログを一括請求できるサイトになっており、当社は、そのサイトから入ったお客さまにアプローチする手法を取っています。

この手法はリアルな世界からヒントを得ました。日本の社会ではデパートが縮小し、ユニクロやビックカメラなどの専門店が台頭しています。それをインターネット上につくったということです。

現在、ホームページの大半は「当社には土地情報もあります。平屋も建てられます。二世帯住宅もつくれます。そのようなサイトはいかがでしょうか?」「当社は二世帯住宅も平屋もつくれますし、木造も鉄骨も得意です」といったかたちで、すべてデパート化しています。

これらは、お客さまには何の特徴もない住宅会社に見えるかもしれません。しかし当社は、それをすべてインターネット上で専門店化し、お客さまに濃い情報をしっかりと発信していきます。そうすることで、お客さまに安心感を与えることができます。

例えば、「ラーメン専門店でラーメンを食べたい」「カレー専門店でカレーを食べたい」というお客さまに対し、当社は、プロとして専門店をインターネット上につくっていることが特長です。

注文住宅事業

もう1つのビジネスモデルである、In shop型のモデルハウスについて、ご説明します。In shop型のモデルハウスを出店しているのは当社のみです。ショッピングモールの中に家を丸ごとつくるため出店するのは大変ですが、ショッピングモールには毎日何万人もの方が来場されますので、高い集客効率を誇ります。

しかし、私は当初「イオンモールで家を買う人がいるのだろうか?」と心配していました。イオンモールで婚約指輪が販売されているのを見たことはありませんし、同様に、「2,000万円、3,000万円もする高級品(住宅)が売れるのだろうか?」という不安がありました。

ところが、福岡エリアでは初年度から今年まで非常に多くの方が契約し、引き渡しまで行われています。これはショッピングモールでも家が売れることの証明になったのではないかと思います。

集客は間違いなくできると思っていましたが、クロージングができるかどうかの懸念がありました。しかし懸念は吹き飛びました。ショッピングモールは日本中にありますので、全国への出店に向けて、今後はよい点にフォーカスし拡大していきたいと考えています。

注文住宅事業

当社の強みの1つは、さまざまな会社とコラボレーションを行っていることです。異業種とのコラボレーションになるのですが、現在行っているのは「Afternoon Tea」とのコラボレーションです。みなさまもご存じのとおり、「Afternoon Tea」はライフスタイルブランドという位置づけで、非常にナチュラルでかわいらしい小物や雑貨を扱っています。

また、「niko and ...」とのコラボレーションも行っています。「niko and ...」は若い女性に非常に人気のあるブランドです。私はあまり知らなかったのですが、当社で活躍している女性社員から、「『niko and …』はいいですよ」と聞いて取り入れたところ、一番人気の商品になりました。このようなかたちで、現在さまざまなブランドとコラボレーションして展開している状況です。

スライド右側に記載のとおり、集客数も非常によい状況です。千葉エリアでの当社の知名度は低かったのですが、総合住宅展示場内「集客数ランキング」において、出店9社中でNo.1と、非常に人気のある企業となっています。

「千葉北展示場」は、すべてのハウスメーカーが同時にオープンした展示場です。タマホームや一条工務店がある中、関東初出店で知名度の低いLib WorkがNo.1になったことは、当社の知名度が低い他のエリアでも、同様のビジネスモデルが展開できる証だと考えています。

注文住宅事業

もう1つの強みである「YouTube」は、現在登録者数が5万人を超えており、総視聴数も1,902万再生です。企業チャンネルとしては、大人気のチャンネルになっています。

最近、「『YouTube』はもう終わりだ」という声を聞きますが、私は、「YouTuberが増えて広告収益が減少し、広告モデルが終焉しただけではないか」と考えています。YouTuberが増えたことにより、今までよく見られていたYouTuberが見られなくなり、広告モデルが通用しなくなったというのは確かですが、実はインターネットやホームページも過去にたどってきた道です。

インターネットは、最初は広告モデルで商売を行っていました。エンタメなど、無料の情報を掲載し、人を呼び込んで広告を貼って収益を得るビジネスモデルでした。それが今では、基本的にインターネットを使ってビジネスができる時代に変わりました。まさに今後は、「YouTube」で商売ができる時代が来ると考えています。

現在の若者が1日に「YouTube」を見ている時間は、テレビに比べると圧倒的に長いです。彼らが5年後、10年後、家を建てる時にどんな行動を取るのか考えてみると、間違いなく「YouTube」から情報を得る時代が来ると思っています。

その時に、当社のチャンネルを必ず見るようになるわけです。「LibWork ch」は、そのようなチャンネルに育ちつつありますので、より引き上げて、5年後には圧倒的なトップに立ち、今から家を建てる人は必ず当社のチャンネルを見るような仕組みにしていきたいと考えています。

「YouTube」は、集客以上によい面があります。それは「ファン化」です。展示場では、お客さまは「買わされるのではないか」という不安を抱きながら、警戒心を持って来場します。しかし現在は「YouTube」のおかげで、「Lib Workだ。松永さんいますか?」「神永さんいる?」と、フレンドリーに警戒心を解いて来場します。それが実現できているのは、まさに「YouTube」のおかげだと思っています。

当社は「YouTube」をより活用して寡占化し、5年後、10年後にすべての見込み客が当社の「YouTubeチャンネル」を見る時代が来るのを楽しみにしています。

スライド右側にある「リブタイムズ」は、当社が立ち上げたWebメディアです。こちらも、これから収益化が進むと考えています。

現在「SmartNews」との連携が行われています。「『SmartNews』でルームツアー」と検索すると、当社の記事が出てきますし、そこでは当社の「YouTube」などを見ることができます。このようなかたちで家づくりに関するさまざまな記事を発信しています。

「SmartNews」との連携も難しかったのですが、当社はより難易度の高いものにも挑戦しました。それが「Yahoo!」との連携です。今後は「Yahoo!ニュース」にも「リブタイムズ」の記事が掲載されますので、みなさまも見る機会が増えると思います。

当社の「YouTube」の記事も発信されていますので、Lib Workへの囲い込みがクロスメディアで始まると期待しています。

注文住宅事業

内製化の取り組みについて、ご説明します。「住宅版SPA」の取り組みを3年前から始めています。コロナ禍で来られなかった外国人技能実習生が、ようやく4月に入ってきました。

それにより内製化の目処が立ち、徐々に進んでいますが、インフレや円安が相まって原価率が上がったため、耐え忍んでいる状況です。

今後は内製化比率を高めながら、粗利率の改善を図っていきたいと考えています。ここはぜひ、ご期待ください。

注文住宅事業

CG・VR全棟提案について、ご説明します。こちらは当社が20年以上に渡って取り組んできたものです。

当社では、入社1年目の社員が1ヶ月でこの技術をマスターしています。このような技術は、住宅メーカーの中でもおそらく群を抜いていると考えています。

建売住宅事業

タクエーホームの業績推移について、ご説明します。当社がタクエーホームを買収したのは2020年5月期です。当時の売上高は9億5,200万円でしたが、私が社長に就任し、2022年5月期には約4倍の37億9,200万円にまで伸ばすことができました。営業利益も最初は700万円の赤字でしたが、2022年5月期は1億9,700万円と、かなりの伸びを示しています。

このようなかたちで、今後、タクエーホームは当社グループとして存在感を示していけるのではないかと考えています。

建売住宅事業

タクエーホームの売上を伸ばすことができた要因をご説明します。私はタクエーホームの社長も兼任しています。これまで、不動産会社の情報は営業担当者に紐づいており、当社グループの営業担当者に、各不動産会社の営業マンが土地情報を流していました。しかし営業担当者が退職すると、仕入れた情報を別の会社に持って行かれ、情報がストップしてしまいます。

そのため、不動産情報会社同士で提携していく方法に変えました。現在は、東急リバブルとしっかりとタッグを組みながら、東急リバブルの各支店から情報を仕入れるようなスキームを考え、相当数の情報を仕入れることができるようになりました。これが売上を伸ばすことができた要因です。

建売住宅事業

建売住宅事業では売上を伸ばすことができましたが、赤字だったため、いかにして利益を上げるかがもう1つの問題でした。そこで当社は、需要と供給に応じて価格を変動させる「ダイナミックプライシング」を導入しました。最初の数ヶ月はプレミア価格として少し価格を上げて販売しています。

どうしても建売住宅を購入したいというお客さまは、多少価格が高くても購入します。「ここは絶対に私が買いたい」という方もいますので、当社はそのような方にアプローチしながら、プレミア価格で販売しています。

営業担当者は、「本当に売れるのですか?」と、最初は不安を持っていました。私はそのマインドを払拭するために、「期間限定で、最初だけでいいから金額を上げさせてほしい」と彼らを説得しました。

その結果、半分以上がプレミア価格で売却でき、2年間で平均粗利額を200万円増加させることができました。原価高になっているにもかかわらず、相当な利益額の増加が実現できたと考えています。

サブスクリプション事業

当社は、「My Home Robo」というSaaS事業を行っています。住宅事業以外で、みなさまが期待しているのは、こちらのSaaS事業だと思います。

この事業について、ご説明します。現在、当社の注文住宅業界は、お客さまからさまざまな要望を聞き、営業担当者や設計士がプランを提案するという、属人的な提案が行われています。

しかし私は、30坪から40坪の家のプランは、世の中に出尽くしているのではないかと考えました。もしそうであれば、世の中にあるすべてのプランをデータベース化しようと考え、ネット上や書籍、パンフレットなどにあるすべてのプランをデータベース化に着手しました。

現在は、それらのプランをすべて書き起こして、我々の得意分野であるCG・VR制作を行い、データベース化しています。我々はそれを「プランのGoogle化」と呼んでいます。Google化を行うことは、世の中のプランをすべて集めることにつながっています。

その収集したプランについては、AIを用いて提案していきます。「ChatGPT」が非常に盛り上がっていますが、まさに住宅業界の「ChatGPT」になり得るのではないかと考え、推進しています。

ただし、現在の物件数は3,000物件と少なく、もう少し欲しいところで、1万物件くらいまでは引き上げていきたいと考えています。5,000物件までいけば、非常に使えるものになりますので、限定して販売している状況です。

先日、あるコンサルタント会社で「My Home Robo」のお話をしました。講演の後、その場にいた100棟、200棟規模を扱う住宅メーカーの社員に、「『My Home Robo』、めちゃくちゃよいです。すぐに導入したいのですがよいですか?」と言われました。

詳しく聞いたところ、同じ熊本県の企業で大きなライバルになると思いましたが、我々としては関係なく、これが世の中のスタンダードになって「iPhone」のような先進的なサービスを作るのだから躊躇せず売ろうと思い、販売を決定しました。全国のさまざまな住宅メーカーがこちらを使う時代が来ると確信しています。

EC事業

EC事業では、ベルメゾンと組んで、ネット通販を行うことも進めています。2024年6月期から、販売を開始する予定です。

EC事業

EC事業では「D2Cマーケティング」を行っており、多くの会員と会話しながら商品をつくっていきます。

主婦の方から、キッチンや収納の使い方について「もっと便利な使い方ないの?」「こんな収納があったらいいな」などの声を集め、オリジナルのキッチンや収納を開発しながら、商品をつくっていこうと考えています。

通販カタログには、そのような声からできた商品を載せていきます。そして、資料請求から我々の営業担当者がアプローチするという流れで、受注を進めていこうと考えています。こちらも期待できる、おもしろい取り組みです。

EC事業

通販カタログによる戸建住宅販売事業を行っていきます。

IP・ライセンス事業 異業種ブランドとの提携

異業種ブランドとの提携は、住宅業界でどこよりも早く我々だけが行っている事業ですが、これを我々だけで行っているのは、もったいないと考えています。

ただし、我々が来年北海道でこの事業を展開するということは考えられませんので、ライセンスを付与することを考えています。「『niko and ...』などのブランドが主体となって、単独で行えばよいのでは?」と思われるかもしれませんが、彼らは住宅のことがあまりわからないため、会社の技術力や収益性などを我々が判断し、ブランドを守りながら、ライセンスの付与のみ行います。

ライセンスを付与して、「niko and ...HOUSE」といったかたちで工務店がつくり、展示していきます。その会社はマーケティング・ブランド力、集客力を手に入れることができますので、すべてが「win-win」になります。我々は、我々はそこに関与せず、イニシャルとランニング費用をいただいていくことを考えています。

IP・ライセンス事業

我々の集客実績を、いろいろな工務店に活用していただきたいと思っています。

3Dプリンターハウス事業

おそらく一番興味があると思われる、3Dプリンターハウスについてです。「Lib Work、どうなっているの? 進んでいるの?」という声は、よく掲示板でも書かれています。なかなかお話ししにくいところですが、他社ではスタートアップ企業が行っており、住宅メーカーで行っているのは我々だけです。

そのため、住宅メーカーとして、ただ3Dプリンターハウスを発売すればよいとは思っていません。その後の保守や快適さをどのように実現するか慎重に検討しています。

また、鉄筋コンクリートは非常に多くのCO2を排出することから、サステナブル企業として、なるべくCO2を排出しないような素材でつくれないかと開発しているところです。

2023年5月には、3Dプリンターを導入し、生産を開始する予定です。この過程は「YouTube」で公開していきます。「Lib Work IR Ch」「Lib Work Ch」で公開していきますので、ぜひ期待していただきたいと思っています。

3Dプリンターハウス事業

熊本県山鹿市にある廃校の小学校を落札しました。こちらに「Lib Work Labo」をつくり、2023年5月から製造を開始していきます。2024年にはモデルハウスを建設し、2025年6月期には一般販売を開始する予定です。

3Dプリンターハウス事業

スライドに記載している「主要な課題」にあるとおり、今後は人手不足が進みます。10年後、20年後には、大工の人数は半分になり、間違いなく住宅は建てられなくなります。

そうなると、3Dプリンターで建てざるを得なくなり、国が動きます。その時に我々がイニシアチブを取り、全国の工務店にノウハウを展開していければと思っています。

3Dプリンターハウス事業

3Dプリンターハウスについて、「住宅版テスラ」というコンセプトで開発を進めていきます。天才集団「ARUP」と一緒に今取り組んでいるところです。

3Dプリンターハウス事業

3Dプリンターハウス事業では、プリンターの導入やデータ構築などのノウハウを提供しながら、SaaSサービスのように、毎月費用をいただいて提供していくこともできるのではないかと考えています。全国の工務店にそのようなサービスを展開し、住宅版プラットフォームをつくっていきます。

経営方針については、すでにいろいろなところで発表していますので、ご覧ください。

採用力(優秀な新卒採用の成功)

最後に採用についてお話しします。現在、人材不足はどの会社でも大きな課題となっていますが、九州・沖縄エリアの住宅・不動産業界において一番採用力のある企業ということで、「マイナビ・日経 2023年卒大学生就職企業人気ランキング」で1位を獲得することができました。

総合順位の18位には肥後銀行を含む九州フィナンシャルグループがありますが、そこに勝てたというのは恐らく前代未聞で、熊本では史上初めてのことだと思います。それくらい採用力のある会社だということがわかりますし、将来の我々の成長力にぜひ期待していただきたいと思います。

どうもありがとうございました。

質疑応答:株主優待制度について

司会者:「Lib Workの優待制度は、株主にとってとても魅力的なのですが、突然変更するというようなことはないでしょうか?」というご質問です。

瀬口:よく聞かれることです。本当によい優待内容になっています。私は株主とよく対話するのですが、本当に喜びの声をいただいています。「社長、この前ワインを買ったよ」「ゴルフドライバーを買ったよ」などの声を聞くと、これは絶対やめられないと思っています。

それだけではなく、私が優待制度を導入した背景には、マクドナルドの異物混入事件が、私の中で非常に印象に残っていたことが挙げられます。

あの時は株価がかなり下がったのですが、すぐに値を戻しました。なぜすぐに戻ったのかと分析したところ、危機的な状況に強いのは、魅力的な優待制度があったためだと考えました。

この強みがある限り株主優待制度をやめることはできないと考えており、少なくとも短期間で変更することはありませんので、ご安心いただければと思います。

質疑応答:3Dプリンターハウスの詳細について

司会者:「3Dプリンターハウスには大変注目しています。今後のスケジュールや、他社との違いなどについて教えてください」というご質問です。

瀬口:先ほど少しお話しましたが、スケジュールはスライドに記載しているとおりです。設計も含めて2023年5月から製造を開始し、2024年6月期にモデルハウスを建築したいと考えています。そして2025年6月期から販売開始できればと考えていますので、ぜひご期待ください。

差別化として、他社では住宅メーカーが開発しておらず、スタートアップ企業が主に開発を進めています。率直に言いますと、スタートアップ企業は住まいについてまったく知見がありません。そのため、3Dプリンターを使って、きちんとした家づくりを行っていくかが、他社との大きな違いになってきます。

また他社は、どちらかというと鉄筋コンクリートで開発しようとしていますが、我々は自然に優しいサステナブルな素材を使っていこうとしているところも大きな違いになるかと思いますので、ご期待ください。

質疑応答:タクエーホームのM&A後の業績について

司会者:「子会社のタクエーホームのM&A後の業績などを教えていただけますか?」というご質問です。

瀬口:売上高は、この2年間で4倍に成長しました。そして利益も赤字から約2億円まで成長することができましたので、非常に堅調だと思います。

九州エリアに比べると、首都圏はやはり成長が早いと思います。ですので、成長性を考え、あらゆる会社が東京に出ていっている理由がわかります。

司会者:スピードなどが違うのでしょうか?

瀬口:人の多さが違うのが理由です。何かを始めようとした時、勢いよくそこに人が集まってくるわけです。首都圏には2,000万人もの人がいるため、「多少駅から遠い住宅」であっても、「値段が安ければ買いたい」というニーズを持っている方がどこかしらにいます。

司会者:誰かそこに当てはまるということですね。

瀬口:そのようなとがった商品をつくっていけば、誰かがそこにアプローチしてきます。

司会者:誰かしらが喜ぶものをご提供できるということですね。

瀬口:そのとおりです。商売を展開しやすいですね。今後はタクエーホームでも「Afternoon tea HOUSE」の建売を展開していきますので、ぜひ期待していただければと思います。

質疑応答:メタバースの活用について

司会者:「メタバースの活用は検討していますか? マネタイズについてもお考えがあれば教えてください」というご質問です。

瀬口:現在、メタバース上に住宅展示場をつくり集客するハウスメーカーもありますが、私はメタバースでは家は売れないと思っています。メタバースとリアルはあまり相性がよくないと思っており、メタバースは疑似仮想空間だけの世界になっていくと考えています。

逆に、CG・VRの技術を活かしたメタバース上での建築の請負、いわゆるデザインの請負を行っていきたいと考えており、そちらのほうがおもしろいのではないかと思っています。

ただ展示場をつくり、集客してLib Workに来ていただくというよりは、メタバース上は重力がないため、変わったデザインの住宅や建物をそこで提供していけば、さまざまな建築物が請け負えるのではないかと考えており、そのようなマネタイズを私は検討しています。

質疑応答:瀬口社長の著書について

司会者:「瀬口社長のノウハウなどをまとめて書籍化するご予定はありますか?」というご質問です。

瀬口:直近で出す予定ですので、ご興味があれば見ていただきたいと思います。私は学生時代に社長になり、人にはない貴重な経験をしているかと思いますので、ぜひ読んでいただければと思います。

司会者:いつくらいに出版される予定ですか?

瀬口氏:3月の終わりから4月の終わりくらいにはと思っています。

司会者:直近のお話だったのですね。

瀬口:現在、がんばって書き進めているところです。

瀬口氏からのご挨拶

瀬口:本日は、決算説明会にお越しいただき、ありがとうございました。なかなか厳しい時代ですが、いろいろな取り組みをしていきますので、我々の5年後、10年後に期待してください。ありがとうございました。