本日のご説明内容

丸井武士氏(以下、丸井):サクサホールディングスの丸井でございます。本日は、弊社についてご説明しますので、よろしくお願いいたします。まずは弊社の会社概要について、その後にいろいろな事業の取り組みや株価の対応などについてご説明します。

会社概要

丸井:会社概要です。弊社の資本金は約108億円、従業員数は約1,100人の会社です。本社は、東京都港区白金高輪駅の近辺にあります。

自社で開発・生産する製品、サービスなどを展開しているプロダクト事業と、顧客の課題を解決するソリューション事業でグループ会社を形成しています。日本全国の主要都市において、販売、保守などの拠点を構えています。

サクサホールディングスの歴史

丸井:弊社の歴史についてご説明します。1932年創業の大興電機製作所と1946年創業の田村電機製作所の両社が合併して、2004年に設立した会社となっています。

エレクトロニクスとデジタルテクノロジーの最先端を咲かせる情報化社会において、人と人をつなぐインフォメーションの明日という名の花が咲く、人が咲く、明日が咲くということから「サクサ」と命名しました。

田村電機製作所は、山形県米沢市塩井町の工場から創業しています。この創業の地には、昭和35年5月に昭和天皇皇后両陛下が訪れており、由緒ある企業です。弊社はBtoBの事業をもとに歴史ある会社として運営しています。

モノづくりの歴史

丸井:弊社のモノづくりの歴史についてご説明します。電話の技術を核とした公衆電話の基である、赤でんわや秘書電話、公衆電話、ビジネスホンを提供してきました。

最近では、オフィスの安全・安心をサポートする情報セキュリティとしてのネットワークセキュリティ監視装置や、物理セキュリティである映像監視装置などを提供しています。

音声の通信インフラを主体とした田村電機製作所と大興電機製作所の両社の技術をもとに成長してきた企業です。

サクサグループのパーパス

丸井:パーパスについてご説明します。弊社は、「つなげる技術の、その先へ。」というビジョンを掲げています。このビジョンを具体化するパーパスが、「明日へつなげる社会をつくる」です。

お客さまを明日の社会、つまりサステナブルな社会につなげることを目指し、社会課題を解決する事業活動や、ステークホルダーの期待に応える企業活動を通じて企業価値向上に努めています。

このようなESGの取り組みを通じて、「つなげる技術」を核とするプロダクトやソリューションを提供することで、サステナブルな社会、つまりSDGsの達成に貢献し、社会価値向上に努めています。

サクサグループのESG・SDGsに対する活動

丸井:具体的なESGの活動についてご説明します。まず、環境分野です。環境に配慮した製品開発や事業活動を通じて、CO2排出量を30パーセント以上削減することを目指して活動を行っています。今後は、再生エネルギーの導入に向けた検討も行っていく予定です。

社会分野では、中堅・中小企業において、IT人材不足や具体的な戦略・ビジョンが立てられないといった課題があります。このような課題を解決するDX化を実現する製品、サービス、ソリューションを展開する事業活動を行っています。

社会が求める働き方改革に対応できる人材を育成するために、人事制度や風土の醸成を行っています。「ダイバーシティ&インクルージョン」や、従業員の健康マネージメントを行うことで、誰もが働きやすく、活躍できる職場作りに努めています。

企業統治については、ステークホルダーである株主や取引先、従業員に利益を還元するためのガバナンス強化を行っています。今後もコーポレートガバナンス・コードのガイドラインを基に、取り組みを強化していきたいと考えています。

これらのESGの取り組みについては、2022年12月にサステナビリティレポートとして開示しています。ぜひ参照していただければと思います。

サクサグループの事業ポートフォリオ

丸井:事業ポートフォリオについてご説明します。弊社の強みである音声、通信、映像の技術を核に、企業のDX化に貢献しています。長年の取り組みを通じて築き上げてきた顧客基盤と、専門性の高い技術を核に展開している「基盤事業」と、市場成長性があり弊社の強みが活かせる「成長事業」に区分して、事業を行っています。

基盤事業は、ビジネスホン、公衆電話、防犯・防災設備機器、アミューズメント向け機器、非常電話機などの事業を行っています。

成長事業は、ネットワークセキュリティ機器、映像・AIを活用した映像ソリューション、AI・IoTを主体としたメンタルヘルスサービスなどの事業を行っています。

現在の売上高については、基盤事業が約7割、成長事業が約3割の構成比となっています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):ご質問を織り混ぜながら進めていきます。売上高の構成比が成長事業3割、基盤事業7割というのは、近年ずっとこのような感じなのでしょうか? 割合の変遷があれば教えてください。

丸井:昨今は半導体不足等の部品の調達問題があり、この問題の対策に注力していました。結果として、事業区分の比率は大きく変わらず、現時点では構成比はほぼ同等の状態で運営しています。ただし、今後は成長事業へのさまざまな投資も含めて、変動していくことは検討しています。

坂本:基盤事業と成長事業で、人員はどのくらいずついるのでしょうか? 部署・部門によっては一緒になっているところもあると思いますが、大まかにでも教えてください。

丸井:売上高の構成比は7:3ですが、現在は成長事業のほうに投資していますので、人数比ですと6:4くらいの割合となっている状況です。

坂本:基盤事業の中にアミューズメント機器とありますが、こちらはどのようなものを作っているのでしょうか?

丸井:2022年11月から市場投入している「スマート遊技機」というものがあります。

坂本:いわゆるパチンコ、パチスロですよね。

丸井:台と台の間にメダルや玉の決済システム装置があるのですが、弊社はこのカードリーダライタ装置を提供しています。もともと公衆電話のカードリーダーの技術があり、この技術を応用しています。

長期目標達成に向けた事業戦略

丸井:事業戦略についてご説明します。製品、サービスを提供するプロダクト事業と、顧客の課題を解決するソリューション事業、それぞれを拡大するために、各々の事業戦略により新たな顧客価値を創出することで、売上高400億円を目指して活動中です。

現在、2つの事業戦略を行っています。1つは、モノづくりと付加価値サービスを同時に提供できる強みを活かして、「オフィスのIT機器と言えばサクサ」というイメージを浸透させる「Office AGENT戦略」、もう1つは、顧客への最適な提案をワンストップで対応できる強みを持ち、映像・AI技術を活用した「映像・AI・IoT戦略」です。

坂本:プロダクト事業とソリューション事業で、戦略を2つに分けている理由があれば教えてください。

丸井:ブロダクト事業では、市場が求めているいろいろなものを弊社が企画して、製品やサービスとして提供していくプロセスで進めています。一方、ソリューション事業では、顧客ごとに個別の課題をヒアリングして、その中から必要な機器を選定し、必要であればAIなども活用して、システムを開発・提供するというプロセスで進めています。

そのため、プロダクト事業とソリューション事業では、そもそもプロセスが異なります。それぞれのプロセスに最適な戦略を取るべく、2つに区分して立ち上げて実行しているということです。

事業成長シナリオ Office AGENT戦略

丸井:事業戦略の中身をご説明します。まず「Office AGENT戦略」についてです。弊社のメイン顧客である中堅・中小企業は、さまざまな課題を抱えています。この課題を解決するために、現在DX化が求められています。

弊社はこの課題を解決するために、DX化を実現する製品、サービスを「Office AGENT」シリーズとして提供していきます。特に、我々の強みを活かせる「情報セキュリティ対策」「ワークスタイル変革」「コミュニケーション活用」の3分野に注力して提供します。

また、弊社だけではなく、いろいろなパートナーとの共創により、パートナーの製品、サービスを「Office AGENT」シリーズとして提供していくことで、我々の顧客が必要とする時期に、リアルタイムに提供することを可能としていきます。

さらに、我々が「Office AGENT」シリーズとして提供した製品、サービスから得られる顧客の操作ログ情報や利用情報、アラート情報を「SAXA-DXサービスプラットフォーム」によって収集・分析します。このデータを活用することで、新たに必要となる製品、サービスを創出し、継続的に付加価値を高めていきます。

その結果、「オフィスのIT機器と言えばサクサ」を浸透させることで、売上高の年平均10パーセント以上の成長を目指していきたいと考えています。

坂本:この「オフィスのIT機器と言えばサクサ」を認知してもらうために、他社と比較して強みになるポイントを訴求されていくものと思います。そのあたりについて教えていただけますか?

丸井:通常なら電話システムのみ、セキュリティ機器のみを提供するのですが、弊社は電話システムやセキュリティシステム、ファイルサーバーなどのアプライアンス機など、オフィスで必要となるIT機器を多種にわたり同時に提供できる強みがあります。

この強みをさらに強化することで、認知度をどんどん上げてブランド化していくということで、「Office AGENT」戦略を立てています。

坂本:各サービス導入のためにいろいろな業者とお付き合いしなければいけないところを、包括して提供できるのですね。

丸井:足りないところはパートナーと組むことで解決します。とにかく「必要なものはサクサに一言頼めばすべてを用意してもらえるのだ」というイメージを浸透させることで、ブランド化していこうと思っています。

坂本:営業についてもどちらかと言えば、そのような手法をとられていますね。お客さまのお困りごとを受けて、すべて提案することができそうです。

丸井:そのとおりです。我々は販社経由がほとんどであり、販社がお客さまのところに行って、ご要望を受けたら提供するということが可能です。このようなメリットによって、販社の人がいろいろと探し回ることなく、効率化できます。我々に頼めばすべて出てくるというイメージを作ることで、販社自身が営業活動をしやすくなるとも考えています。

坂本:貴社の場合、営業担当者は、どちらかと言うと販社のパートナー営業のような、リレーション営業をずっとなさっているということですか?

丸井:おっしゃるとおりです。

事業成長シナリオ Office AGENT戦略

丸井:「Office AGENT戦略」の詳細についてです。まずセキュリティ対策です。最近ではITの進化に伴い、テレワークが増加し、通信環境の多様化が進み、サイバー攻撃が深刻化していますので、現在のセキュリティ対策だけでは不十分という認識です。

そのような中で、中堅・中小企業が安心して日々の企業活動を行うことができるように、あらゆるセキュリティリスクを回避するプロダクトとサービスを提供したいと考えています。

例えば、リスクの特定、防御、検知、対応、復旧まで網羅するプロダクト、中小企業のすべてのITの困りごとを解決するITサポートサービスなどを提供していきたいと考えています。

事業成長シナリオ Office AGENT戦略

丸井:ワークスタイル変革とコミュニケーション活用です。働き方改革や、テレワークなどリモートワークにおける意思疎通を図るためのコミュニケーションツールの多様化、さらに人手不足といった、ニューノーマル時代の現状に適した多様な働き方が求められています。

そこで弊社はITを活用することで、いつでもどこでも対面と同等の働き方やコミュニケーションができる環境を提供したいと考えています。どこにいても、通常のオフィスと同等のバーチャルオフィスを実現するITツールや、リアルオフィスとバーチャルオフィスを融合するためのIT導入支援サービスなどを通じて、従業員の業務の効率化・可視化を実現していきます。

音声コミュニケーションとテレワークのツール連携による「いつでもつながる」プロダクトやサービス、音声認識などのAI技術を活用することで、多様な人材をつなげ、価値を実感できる働き方に対応したプロダクトとサービスを提供することで、従業員の生産性向上を実現していきたいと考えています。

坂本:この事業成長戦略や「Office AGENT」戦略を実行することによって、貴社がこれまでとどのように変わるのかを教えていただけたらと思います。現代のニーズがちりばめられていて、この中で貴社ができることを進めて成長することは理解しましたので、特に力を入れている部分などを教えていただけますか?

丸井:10ページの「Office AGENT」の全体像をご覧いただくと、今まで弊社は、プロダクトの提供に注力してきました。

しかし今後は、プロダクトを提供することだけではなく、付加価値サービスを同時に提供していきたいと考えています。これにより、クラウドとエッジに同時にサービスを提供するかたちができます。まずはこのような付加価値の提供をセットで行います。

提供した製品やサービスから得られる、実際の利用上の情報を収集・分析したデータを活用し、新たな付加価値サービスを生み出していくことで、今まで行ってこなかった情報通信サービス事業を拡大していきたいと考えています。

事業成長シナリオ 映像・AI・IoT戦略

丸井:映像・AI・IoT戦略です。弊社の強みが活かせるターゲット市場を定め、その事業体に注力することで、事業成長を実現していきたいと考えています。ターゲット市場で必要となる車両認識や車両検知、顔認証・人物検出、物体検出、文字認識などの技術を強化していきます。

顧客の要件定義や機器選定、システム提案、AI技術などを活用したシステム開発・構築・保守・運用といった全プロセスをワンストップで提供できる体制を強化していきます。

多様なパートナーとのM&Aやアライアンスにより共創・連携を強化し、ターゲット市場のシェアを獲得・拡大していくことで、年平均成長率23パーセント以上の売上を目指したいと考えています。

増井麻里子氏(以下、増井):ターゲット市場のところには、業種として不動産・建設業、製造業、小売流通業とあります。これらの会社の規模感はどのくらいか、また、他の業種ではどのようなものがあるのか、詳しくおうかがいできますか?

丸井:こちらは先ほどの間販とは違って、直販的な動きになるため、ある程度の規模の企業や、店舗を多く持っている企業、大企業のほうが顧客としては多くなってきています。

小売流通業の実際の事例をお話しします。2022年12月に業務提携について発表した件で、画像解析でトレーディングカードの真贋判定を行ったり、顔認証や人の行動を解析することで万引き防止などのソリューションに活用したりできる仕組みを、小売流通店舗に展開していきたいと考えています。

製造業は現在、工場のプロセスにおいて検査工程、品質検証などを人が行っていますが、画像解析システムの導入により自動化でき、工場のプロセスそのものが効率化できます。そのような効率化ソリューションを今後展開していきたいと考えています。

不動産・建設業においては、ビルや施設内で、人数のカウントや人の属性調査を画像解析で実施することが可能です。人が多くなったら温度を下げるような空調の自動調整をしたり、「この店は混んでいる」「このルートは混んでいる」などの混雑状況をスマートフォンで可視化したりすることで、効率よく店舗を回れるソリューションを展開している、ビルマネージドシステムと連携させます。

さらに車のナンバープレートを活用して、駐車場の混雑状況や空いている場所などを可視化したり、入退場のシステムと連携させたりすることで、人の流れを効率化することも可能です。そのようなソリューションに注力していきたいと考えています。

株主還元策

丸井:配当の方針です。弊社は株主還元を重要な経営課題の1つと位置付けていますので、企業価値向上に必要となる内部留保を確保した上で、連結配当性向30パーセントを目安にして展開していきます。その結果として、安定的かつ継続的に配当していきたいと考えています。

坂本:配当性向30パーセントが目安ということで、その数字を設定された背景を教えていただけますか?

丸井:弊社はメーカーですので、工場などの生産設備があります。これに対する設備投資が1つの要因です。また、事業を継続していくには新商品・サービスをどんどん展開していかなければなりません。その開発投資を考慮した上での費用とのバランスから、配当性向を30パーセントとしています。

株主還元策(不動産収入について)

丸井:弊社の不動産の活用についてご説明します。現在我々は、持っている不動産の流動化・収益化を進めています。その中でも、相模原地区はリニアモーターカーが通ることに加え、高速道路が近いという優良不動産と認識しています。

こちらをうまく活用して、安定的な配当原資とすることを進めています。時期についてはこれから決めていくということで、検討中という状況のみご理解いただければと思います。

坂本:不動産収益は一部を配当原資にする、とスライドに記載がありますが、配当原資以外にはどのようなものがあるのでしょうか?

丸井:先ほどもお伝えしましたが、工場を含むいろいろな設備投資と、新しい商品・サービスの開発投資に回していきたいと考えています。

坂本:不動産の事業が好調な時は、その部分が収益として上振れ要因になり、不調の時は上振れした分で補填できるイメージで合っていますか?

丸井:基本的には、固定の原資があれば配当は確実に継続できます。事業利益もそれに加算していくため、バランスよく配当していきます。基本部分はしっかりと確保していこうという考えです。

株主還元の方向性

丸井:弊社は、2021年から2023年の期間に「サクサは変わる。」という中期経営計画を立て、現在、売上高400億円、営業利益25億円の長期目標を目指して活動しています。この中期経営計画を確実に実行していくことで、EPSを増加させていきます。これにより、株主のみなさまへの還元を強化するべく取り組んでいます。

スライドにイメージを記載しています。先ほどお話ししたように、今年度の配当金の予定として30円を基本としています。今後は、事業の利益の増加分、先ほどご説明した不動産収益等を加算していくことで、確実な配当を実施していきたいと考えています。

坂本:この中計最終年内に長期目標を達成できれば、配当はこのまま増額というかたちになると思いますが、その後の最終利益の部分はどうなるのかということがあるとは思いますが、配当額が利益と並行してスライドしていくイメージですね。

丸井:ご認識のとおりです。

質疑応答:自社株買いの方針について

坂本:先ほど配当についてお話ししていただきました。株主還元については、原資をもとにそのまま配当で払ってしまう方針ですか? それとも、自社株買いを含めて検討されているのでしょうか?

丸井:先ほどお話ししたとおり、利益を出した部分は原則として、配当と設備等の投資に回していきたいと考えています。ただし、事業状況や企業価値の進捗を考えた場合、バランスを取るための自社株買いも検討のひとつであると思います。

「絶対に自社株買いを実施しない」ということではなく、そのようなことを考慮しながら進めたいと考えています。

質疑応答:オフィス電話市場と今後を担う成長事業について

坂本:「今後、基盤事業のオフィス電話などは減っていくのではないかと思います。それをフォローできるだけの成長事業の軸は何になるとお考えですか?」というご質問をいただきました。

確かにオフィス電話は減っていくだろうと思いますが、新しいオフィス電話などの実情も含めて教えてください。

丸井:2つに分けてお話しします。まず、オフィス電話の状況です。日本では必ず、東京は「03」、大阪は「06」という会社の代表番号があります。「主装置」と呼ばれる装置と電話機で代表番号を受けていますが、この電話機と主装置が突然なくなることはありません。

みなさまが名刺を作る際は、個人携帯よりも、会社の代表番号等の番号を印刷することが多いです。市場としては、スマートフォンの活用がますます進むことから電話機の台数は減るものの、主装置台数はそこまで大きく減らない、いわゆる微減状態の市場です。

そのような状況ですが、スマートフォンを活用して内線と電話機を連動し、内線電話を使って通話料をかけずに、社内で日常的に会話ができるインフラを、付加価値を付けたサービスと連動させていくことで、オフィス電話市場はある程度横ばいを維持することができるのではと考えています。

音声を中心としたオフィス内のコミュニケーションを基盤事業として考えています。最初はメールやチャットツールでコミュニケーションを取っていても、最後に確認するときはお話しすると思います。そのような音声で最終確認を行うような、リアルタイムで通話する場面がなくならない限り、市場は残ると考えています。

一方で、当然市場が小さくなっていくだろうとも認識しています。そこで、我々も成長事業を育てなくてはいけません。

先ほどお話ししましたが、IT企業は進化すればするほど多様なセキュリティリスクが生じるため、それらのリスクを回避する製品やサービスが不可欠です。弊社の強みとして、すでにセキュリティリスクを回避する製品やサービスを提供できているため、ネットワークセキュリティ機器事業を軸の1つとし、リアルタイムでセキュリティリスクに対応することに取り組もうと考えています。

もう1つの成長事業は、映像AIを活用したソリューションです。先ほどご説明したように、今まで人間の目が行ってきた映像の解析・分析をAIが代わりに行うことで、さまざまな社会課題を解決できる部分にニーズがあります。この2つを成長事業の軸として成長させていきたいと考えています。

質疑応答:ネットワークセキュリティ分野の競合について

坂本:「ネットワークセキュリティにも競争相手が多いのではないですか?」というご質問です。

丸井:競合は基本的に海外ベンダーです。

坂本:海外が強いのはなぜでしょうか? 価格が安いのか、それともシスコシステムズのような昔からの会社があるからでしょうか?

丸井:国内海外を問わず、セキュリティ対策は同じというところがあります。受ける攻撃も日本からのものに限らず、ワールドワイドですので、海外ベンダーも同じニーズに対応・対策しているということで競合となっています。

ただ、先ほどからお話ししているとおり、我々はSMB市場、いわば中堅・中小企業の中でも小規模の企業をターゲットとしてきました。ボタン電話装置をはじめ、さまざまなものを長年提供してきていますので、市場を熟知しています。

その中で、情報システム部門を持たないお客さまが何を求めているのか、どのような環境で仕事をしているかがわかっているからこそ、日本のメーカーとして必要な品質、日本語のマニュアル、そして、顧客や販売店の考えに対してきめ細やかでスピーディーな対応を実現できているのです。

これにより、海外ベンダーに比べて高評価を得ており、それなりの市場を作り上げている状態ですので、このような取り組みを続けていくことにより継続的に成長できるのではないかと考えています。

質疑応答:現金を含めた資本の活用方針について

坂本:会場からのご質問です。まず、貴社は現金が多いという話題に関連して「現在所有している現金を含めた資本の活用として、何があるのかを教えてください」とのことです。

おそらくM&Aなどがあるのだろうと思いますが、活用方法についてあらためて教えていただけますか?

丸井:お伝えしたとおり、新商品の展開に使うことを目的として、投資関係に大きく回していきたいと思っています。自社だけではなくパートナーとのアライアンスを広げていく中、M&Aも1つの策として、我々の注力したい事業にしっかり投資する費用として使っていきたいと考えています。

今年度までは部品の調達問題がありました。我々はメーカーですので、部品がないことにはものが作れない、売れない状態になってしまいます。ここ数年はその対策を実施し、ようやく部品の問題もある程度先が見えてきました。これからはそのようなところを重視して、積極的に投資に回していきたいと考えています。

坂本:「もしそれほど活用方法がないのであれば、有利子負債をゼロにしてもよいのではないでしょうか?」というご意見もありました。

個人的には、有利子負債ゼロという状態があまり好きではなく、今後使うかもしれないし、当然、金融機関との付き合いも継続するべきと考えます。借入を考えればコストもそれほど高くないですし、将来において資金を活用していくのであれば、常にないといけない部分でもあるように思います。

質疑応答:電話事業において強みがある業界について

坂本:「電話事業の対顧客という意味では、どのような業界に強いのでしょうか?」というご質問です。私もいまいちわかりかねるところですが、電話事業において強い業界とは、社員が多いところで多く電話が使われるという意味で合っているでしょうか?

丸井:ご認識のとおりですが、今は規模自体が小さくなってきています。その理由として、現在は社員がスマートフォンなどを使うようになったことが挙げられます。

先ほどご説明したように、日本では代表番号やチームの代理番号を組織で持っており、それを受ける電話機が必要です。昔は机に1人1台あった電話が列や数名に1台ずつとなり、電話機の端末台数は確かに減っていますが、日本の「06」「03」といった特殊番号がある限り、装置は必要なのです。

規模は小さくなっているものの、人数が多ければ必要な電話機も増えますので、電話の事業規模は従業員の規模に比例しています。

質疑応答:スマート遊戯機用のサンドについて

坂本:スマート遊戯機用のサンドに関して「サンドは日本ゲームカード、グローリー、ダイコク電機などが製造しています。パチンコ店でサクサ製のサンドを見かけたことがありませんが、他社製のサンドに採用され、内部部品やユニットを提供しているという理解でよろしいでしょうか?」というご質問です。

丸井:サンドのすべてではなく、我々のカードリーダーの技術の必要な部分は、他社製のものに組み込んでいわゆるOEMとして提供しているため、我々のメーカーの名前が出てこないということです。

質疑応答:スマート遊技機の展望について

坂本:「半導体調達に苦戦しているようで、株価を見る限り、スマートパチスロユニット特需の恩恵を受けられていないようです。今後の遊技機の展望について、どのように思いますか?」というご質問です。

こちらについては、実際に製品そのものではなく部品の一部を納入しているため、売上や利益においてそれほど跳ねないという理解でしょうか? それとも、ここは意外と好調なところでしょうか?

丸井:昨年度単位で言いますと、業界自体がかなり好調なこともあり、実は、こちらのアミューズメント機器の売上はかなり伸びています。

今回のスマート遊技機とは、メダルスロットのことです。今まではメダルを触っていましたが、触らないでできる環境になりました。SDGsと言いますか、ある意味、環境に優しい製品として市場的に展開が大きく伸びています。そのようなものの提供が非常に増えており、売上にもそれなりに貢献しているところです。

質疑応答:ネットワークセキュリティ事業の顧客層について

増井:「ネットワークセキュリティ事業は既存顧客への提案が多いのでしょうか? それとも新規取引先の開拓が進められているのでしょうか?」というご質問です。

丸井:SMB市場は既存顧客への提案が多いです。ネットワーク機器と電話システム機について、1つのお客さまにその両方を提供できる強みがあります。事業基盤としては、これまで我々はボタン電話を扱ってきており、電話を売っていたところへネットワークセキュリティ機器も加わった、というところが大半です。

ただ、電話を扱っていないパートナーもおり、その場合はネットワーク機器から入っていただいています。電話の提供からスタートした既存のお客さまのほうが比率としては多いですが、新しいお客さまと合わせて、成長させていくかたちです。

増井:そうしますと、400億円の売上を目指すところで、そこが一番貢献度が高い部分になるのでしょうか?

丸井:現在最も売上が多いのは電話ですが、その次の柱として、非常に好調に伸びているネットワークセキュリティ機器を広げていくことに注力していきたいと考えています。

質疑応答:不動産賃貸収入に関する詳細について

坂本:「不動産賃貸収入の見通しは、リニア中央新幹線開通の影響が大きいのではないでしょうか?  リスクはないのですか?」というご質問です。

リニア開通はもう少し後のことですので、おそらく「不動産賃貸収入の見通しは物流センター事業のようなところと考えてよいのですか?」というご質問かと思います。

丸井:場所柄について、有効な土地というのは、人が住む・増えるという意味でお話ししました。リニア開通については、街が活性化するところはありますが、どちらかと言いますと高速道路が近い、地盤がしっかりしているというところに強いニーズがあると認識していただければよいかと思います。

坂本:倉庫やデータセンターのような、いろいろな施設になる見通しですね。この土地に関しては、賃貸で稼いでいくということでしょうか?

丸井:そのとおりです。

坂本:どのくらい引き合いがあるのでしょうか?

丸井:15ページの一番下に記載したとおり、検討先を決定し、詳細を詰めている最中です。正式に契約できる状態になり次第、開示したいと考えています。

坂本:通期収益貢献が2027年3月期になっているということは、その間はフリーレントのようになるのですか? それとも、切り売りで貸していくために、それほど大きく見込めないイメージなのでしょうか?

丸井:かつて工場だった広大な土地ですので、土壌から整備しなくてはなりません。いろいろと整備しなければ活用できないため、時間がかかると認識していただいたほうがよいかと思います。

坂本:更地ですぐに貸すことができる状況ではなく、このようになっているのですね。早目に借りてもらえる方を確保しつつ、整備を進めているのだとわかりました。

丸井氏からのご挨拶

本日ご説明させていただいたとおり、サクサホールディングスは長い歴史のある会社です。これから新しいお客さまの求めるいろいろなサービスを作り出し、みなさまが利用できる価値のあるものをどんどん作り出していきます。まずは、株主のみなさまに会社を認知してもらう活動をしっかりと進めていきたいと考えています。

我々のような会社があるとみなさまに知っていただき、いろいろな方に広がっていくことで、認知度を上げていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

質問1

質問:上場以来、株価が右肩下がりの状態ですが、何が原因だとお考えですか? また、今後の株価対策についてお考えをお願いいたします。

解答:成長事業の成長が思うように進んでいないのが原因と考えています。現在の事業環境を考慮し、今回説明した新しい戦略で収益を確実に増加させることで、株価の上昇につなげたいと思っています。

質問2

質問:1企業が貴社の製品を導入するにあたり、どのくらいの初期コストがかかるのでしょうか?

解答:製品やお客さまに合わせたシステム規模や構成により、価格には幅がありますが、ほとんどのビジネスモデルはリースですので、初期コストは抑えたかたちで導入していただいています。

質問3

質問:EPSの向上を目指しているのに、自社株買いよりも配当を優先するのは矛盾のように感じますが、いかがでしょうか?

解答:1株当たりの利益を資本政策として増加させるという意味では、自社株買いが有効ですが、現在弊社としては、事業利益の増加によるEPSの増加を目指しています。プレゼンでも回答したとおり、自社株買いも含めた資本政策も並行して検討していく予定です。