本日のご説明内容
藤田進一氏(以下、藤田):本⽇は株式会社ムゲンエステートの会社説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。代表取締役社⻑の藤⽥です。よろしくお願いいたします。
当社のことを初めて聞かれる⽅も多いかと思いますので、最初に会社概要、事業内容について詳しくお伝えします。続いて、中古不動産市場、第2次中期経営計画と今期の取組みの順にお話しし、さらにIR・SRサイトについてご紹介します。
会社概要及び沿革
当社は、創業者である会⻑の藤⽥進により、1990年5⽉に設⽴されました。創業時から「上場企業になる」という会長の夢に向かい続け、2014年マザーズ上場、2016年東証⼀部に上場し夢を実現させてきました。
社員数は連結で現在243名です。1年前は約200名でしたが、40名ほど増加しています。これは、前中計において「経営基盤を⽀える⼈材システムづくり」を進め、本社を大手町へ移転し良質な⼈材を獲得した結果です。その上で、2021年9月から営業所を5ヶ所開設、営業人員の拡充、管理部門の強化を行っており、中計の期間においてさらに大きな飛躍を進めていこうと考えています。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):会長の藤田進さまの前職も含め、ムゲンエステートを立ち上げた経緯などについて教えてください。
藤田:会長が昭和40年代、50年代頃に勤めていた会社は建設会社でした。マンションが新しく建ち始めたころでもあり、すでに内装の壁紙を変えれば新しくなるといったビジネスモデルに取り組んでいる会社がありました。新築は高価で買えない方が多くても、中古であればいろいろな方に買ってもらえ、社会貢献になるだろうとこの事業を始めました。
3人で会社を興し、その後独立して1990年にムゲンエステートという会社を作りました。
企業理念
続いて、新たに策定した企業理念についてご紹介します。50年、100年先へと事業を成長、継続させるという新たな「夢」のもと、次なる飛躍への挑戦に向けてムゲンエステートグループの力を結集するため、企業理念を刷新しました。
社是は経営の考え方の根幹であり、社名の由来でもあることから変えずに「夢現」としています。そして、私たちの社会的使命と存在意義を示したミッションを「不動産に新たな価値を創造し、すべての人の豊かな暮らしと夢に挑戦する」と掲げています。
事業活動を通して、地球温暖化、少子高齢化、空き家問題や住宅ストックの老朽化などといった不動産業界が抱える数々の社会課題解決に取り組み、持続的な企業価値の向上を目指します。
そして、ミッション実現に向けた行動の基軸として「速さを追求」「あくなき挑戦」「多様な連携」「先を見通す」「貫く責任」という5つのバリューを定めています。
事業の内容① 買取再販事業
次に事業内容です。当社は首都圏である東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県において事業展開し、売上の9割は買取再販事業です。中古不動産を仕入れ、関係会社であるフジホームがリノベーション、リフォームを実施し、価値を高めて販売する事業です。
坂本:こちらについてお伺いします。御社は数百万円から20億円規模の価格帯を取り扱っているとのことですが、ボリュームゾーンはどのくらいでしょうか?
藤田:居住用と投資用に分かれますが、居住用は、3,000万円台くらいが中心になっています。また、投資用は動きやすい1億円前後のものがボリュームゾーンとなっています。
坂本:10億円を超える買い手は限られてくると伺っています。海外投資家も入ってこないとなかなか難しいのではないかという話もありますが、足元の海外投資家の動きや10億円を超えるプレーヤーの現状について教えてください。
藤田:10億円を超えたところになりますと、やはり超富裕層といわれる方々が買い求められています。確かに、現在海外の方は入れないのですが、100億円など規模が大きくなりますと、機関投資家なども入ってきます。ただし、今は「機関投資家が入ってきていない今のうちに買おう」と、日本人で買われている方がかなり多い状態です。
事業の内容② その他の事業
主力である買取再販事業に加え、成長事業として前中計期間に立ち上げた不動産開発事業と不動産特定共同事業についてご説明します。
不動産開発事業は、買取再販事業において古屋付の土地情報が入ってきても、うまく活かし切れていなかったのですが、新築を建築するかたちで活かしていくため事業化したものです。こちらでは仕入から企画・設計・工事監理といった人材を採用育成し、地域にあったコンセプトで物件を竣工します。なお、昨年は押上に1棟竣工しています。
不動産特定共同事業は不動産小口化商品を提供します。都心の好立地にある何千万円、何億円の物件に、1口100万円から投資できるため、不動産投資の間口を広げることが可能になっています。申込受付を開始すると、大体1ヶ月から2ヶ月以内に完売するくらい、非常に人気のある商品となっています。
不動産の購入者層
こちらのスライドは、不動産買取再販事業における、投資用不動産と居住用不動産の購入者層を示したものになります。最初に投資用不動産についてお話しします。コロナ禍以前は、個人・法人を含めた投資家が数多く購入していました。新型コロナウイルス感染拡大の影響による入国制限などもあり、需要は落ち込んでいますが、コロナ禍の収束や入国制限の緩和により、再び多くの海外投資家が日本の不動産投資へ向かうと考えています。
また、居住用不動産はコロナ禍をきっかけに生活ニーズや働き方改革などの変化もあったため、より広いところに住み替えたいといったニーズが高まっています。
坂本:さらに事業イメージについて深掘りしてお聞きします。こちらでは、投資用不動産と居住用不動産の2つを取り扱っていますが、買い取りから売却までの平均期間を教えてください。
藤田:投資用に関しては、およそ2年近く。賃料が取れるため、ある程度利益を取ってから売却するかたちになります。
坂本:オーナーチェンジ分もあるため、空いていたら入れることによりある程度キャッシュを取ってから売却するかたちということでしょうか?
藤田:おっしゃるとおりです。インカムゲインを稼ぎつつキャピタルゲインを取っています。居住用は空室になっているため、大体8ヶ月から9ヶ月ぐらいになります。こちらは買取をどんどん進めていくイメージとして、2本立てにしています。
坂本:投資用に関しては、やはり2年くらいキャッシュフローを取る方がトータル利益が上がるのでしょうか?
藤田:そのとおりです。購入時に3割くらいしか埋まっていない、いわゆる空きが多い物件を買っているため、埋まるまで時間がかかるということもあります。さらに内装と外装も実施するため、時間がかかるということもあります。
坂本:入居しながら外壁外装を施工し、入居前に内装へ着手していくかたちですね。
藤田:防水工事などのいろいろな手直しを施し、バリューアップさせていきます。
坂本:それにより価値が上がるのですね。経費もかかると思いますが、仕入から売却時までにどれほど価格が上がるのでしょうか?
藤田:そこが当社の強みで、30パーセントから40パーセントは上がります。お客さま個人ですと1,000万円かかるところが当社では500万円からの安い価格でご提供できます。
坂本:これはグループ会社が手掛け、内製化されている部分もあるのでしょうか?
藤田:その点は大きいです。
不動産買取再販事業の流れ
こちらのチャートは不動産買取再販事業のバリューチェーン、いわゆる事業の流れを示しています。投資用、居住用不動産のどちらも基本的に同じ流れとなっており、仕入、企画、工事、販売と進みます。工事については、居住用は内装のみになりますが、投資用不動産の1棟ものは、協力会社によって外装、防水工事、色を変えるといった施工を行っています。また、販売については仲介業者にお願いし、当社は販売に直接関わらないシステムとなっています。
坂本:やはり、その土地にネットワークを持っているところへ任せた方がよいという考え方でしょうか?
藤田:おっしゃるとおりです。販売物件をお持ちすることにより、仕入物件の情報も入ります。やはり地主や、地元でこのような物件がほしいという方もいるため、当社はそこに足繁く通っていくスタイルです。
不動産買取再販事業の収益モデル
不動産買取再販事業の収益モデルについてお話しします。居住用不動産に関しては空き物件ですので、仕入から企画、工事を行い販売する、キャピタルゲインのみになります。先ほどバリューアップを図る内装工事についてお話ししましたが、ユニットバスやキッチンを変えることにより価値を上げ、利益を出していきます。
坂本:この部分は長く手がけているため「この物件は大体このくらいで買えば出口がこのくらい、経費がこのくらい」ということがおおよそ分かっている状況で取り組み、大体8ヶ月から9ヶ月くらいの期間を経て再度売るということでしょうか?
藤田:先に販売価格を決定し、利益、内装費を見通しつつ仕入原価を決めていくといった、逆に戻していくような流れになります。
投資用不動産は内装工事も実施しますが、仕入時の空室部分があります。そこを埋めることによりインカムゲインとして月々の賃貸収入をあげつつ、キャピタルゲインとして売却し、両方を取っていくスタイルです。
坂本:空室が多いことにはそれなりの理由があり、埋めていくことはなかなか難しいのではないでしょうか? 過去のノウハウから「これは外装がダメだからだ」ということや、古い場合は間取りから変えることもできると思います。そのあたりに関するノウハウの強みはどのようなことが挙げられますか?
藤田:よくあるケースは築20年から30年経っており、相続で売却される方が多いです。建てた方自身は思い入れがあり、きちんと管理していますが、2代目になると任せきりになってしまいます。オーナーがきちんとしないと住む方も少なくなり、価値もどんどん低くなっていき「売却して換金してもいいだろう」といった状態になっています。当社がオーナーになることにより、一部上場業者が持っている物件という安心感を持って住み、借りてもらえ、家賃を支払える方が入ることにより価値が戻っていきます。
ビジネスの特色① 営業体制
当社のビジネスモデルの特徴をご紹介します。1つ目として営業体制に「営業一貫責任制」を掲げています。他社では、仕入、企画、工事、販売のそれぞれに別の担当者がおり、物件ごとに管理されていません。一方、当社は営業担当がコントローラーとして仕入から企画、工事、販売を一元管理しています。
販売価格を決め、そこから工事代や仕入値を決めるため、自分が売りたくない物件は買いません。そのように責任を持って販売し、その利益の積み重ねによりさらに大きな利益を取っていく体制となっています。
ただし、どうしても売れない場合もあります。不動産は担当が変わるとコロッと売れることもよくあるため、売れなかった場合は一度担当から外し、異なる販売促進部隊によって再度仕切り直し、何がよくなかったかを管理しながら再販していきます。時には新しい物件の営業担当に移ってもらうことも必要だと思っています。
坂本:一貫して取り組むにはノウハウが必要だと思います。御社自体のノウハウはあると思いますが、例えば新卒の場合、できるようになるまでかなり時間がかかるのではないでしょうか?
失敗もあるかもしれませんし、いろいろなことを積み上げなければ、一貫して取り組むことはかなり難しいため、他社もやっていないのではないかと思います。このあたりの教育体制はどのようなスキームになっているのでしょうか?
例えばバジェットがあり「君、1億円分やっていいよ」というかたちか、それとも、チームがあり、課長や部長のチェックを受けながら1人で進める承認制のようなかたちなのでしょうか? 体制のかたちも含め、スキームについて教えてください。
藤田:新卒で入った社員が最初に仲介へ飛び込み、物件を見つけてきますと、何も分かりません。課長や部長がおり、部がありますので、チームを組み、上司や隣にいる仲間に教えてもらいます。当社の特徴として「新卒だから何千万円まで」とは決めていません。例えば1億円などの大きい物件は、課長や部長と共販のかたちをとります。そうすれば、課長や部長も責任をもってしっかりと教えますし、ノウハウ自体もたまっていきますので、まずは取りかかる体制にしています。
当社は中途採用者が多かったため、入社した人が隣から教えてもらう文化、企業風土が多分にありました。「自分も教えてもらったから新たに入ってきた人に教えてあげよう」ということが続き、早く一人前になっていきますが、やはり1年以上はかかります。ですので、早く成長できるよう「何件目までは一緒に動く」といったことも決めています。
やはり、1回でも最初から最後まで担当してみると楽しい部分が出てくるため、そこから積極的に新しい仕入ができるようになります。
坂本:他社もいろいろな流儀や流派がある中、一貫としている理由は「意思決定の早さ」にあると思いますが、そのあたりの利点と、もしあるようでしたらネガティブな部分も教えてください。
藤田:まず利点については、課長や部長に何千万円かまでの権限を与え、そこで決裁できるようにしています。ただ、5億円や10億円といった大きい部分は建築士を入れるなど、そのような部分できちんと情報開示にかけるかたちをとっています。
一方、デメリットは人に物件が帰属してしまう部分です。当社の場合は社員に対し利益に金利を掛けることによりコントロールしています。つまり、物件を長期間持っていると自分の利益が少なくなり、早く売ればその分利益が大きくなるといった社内金利制を取ることにより、早く売却するようにしています。長く持つことがデメリットになるため、リスクヘッジとして1年で移管し、違うところに持っていくようにしています。
ビジネスの特色② 幅広いアセットタイプ
2つ目の特徴は、幅広いアセットタイプを取り扱っていることです。スライド右側の棒グラフは、これまでのアセットタイプごとの仕入れ実績と、今期の計画を示しています。現在は居住用の需要が多くなっているため、今まで大半を占めていた最上段の投資用不動産に代わり、上から2段目の少し薄い水色の部分、居住用不動産の仕入れを増やしており、今期も大きく増加しています。
当社は直接売主を見つけるのではなく、仲介業者を通じて物件を見つけています。仲介業者が持っている土地やマンションの情報を活用し、いろいろな物件を保有していることから、幅広い対応を可能としています。
仲介業者も楽ですし、売主も、例えば投資用マンションや居住用不動産しか扱っていないところに頼らず、当社に持ってくることで対応が1回で終わります。そこがメリットであり、高く評価されているところだと思います。
ビジネスの特色③ 首都圏に特化した事業展開
3つ目の特徴は、首都圏に特化した事業展開を行っていることです。スライドの左側のグラフにあるとおり、今後2030年くらいまでは首都圏の世帯数は増加する傾向です。当社はそれに対応し、首都圏に営業所を5店舗開設しました。状況を見ながら少しずつ増やしていくことにより、ローラー作戦で物件数を上げていくことを考えています。
坂本:今後は関西圏に出店されるなどは考えているのでしょうか?
藤田:今後はそのあたりも含めて全国展開を検討したいと思います。今は人数を増やしているところで、部長、課長などのマネージャー職をきちんと育てて、そこから支店、営業所を作ることによりノウハウを貯めていくことも考えています。
坂本:千葉、神奈川、埼玉、東京と世帯数は毎年だいたい同じ割合のように思います。これはスライド右側の図のように、東京の本社を中心として放射線状に営業所があるから、そのような割合になっているのでしょうか?
藤田:今は埼玉のほうが人気というような傾向もありますし、当社は横浜にも営業所があるものの、あまり数を持っておらずこれから増やしていくなどの事情もあるのですが、だいたいあまり変わりません。情報量は同じくらい入ってくるかたちになっています。
坂本:その中で有利なものを探していくということですね。
首都圏中古不動産流通市場の動向
藤田:中古不動産市場についてお話しします。スライドのグラフは、中古住宅の市場規模を示しています。東日本大震災や新型コロナウイルス感染拡大の影響による落ち込みがありますが、すぐにリカバリーするかたちで成長は継続しており、2021年には2兆円の規模となっています。
首都圏マンション市場の動向 中古 vs. 新築
⾸都圏のマンションにおける新築供給⼾数と、中古マンション成約件数の推移です。市場規模2兆円までの成長や、ビジネスの特色でお話しした首都圏の世帯数の増加に加えて、この新築マンション供給戸数の減少を鑑みて、当社の不動産の買取再販ビジネスは今後も高い成長が期待できるのではと考えています。
新築が作れない環境にあるため、今あるものを活用していることが強みになっていると思います。
第2次中期経営計画 基本方針と重点施策
今年度から2024年までの第2次中期経営計画についてお話しします。スライドに、基本方針と重点施策を記載しています。事業戦略、経営基盤の強化と大きく2つに分け、そこに対して基本方針は4項目、重点施策は7項目を設けています。
事業戦略では、基本方針の1つ目に「事業拡大に向けた収益基盤の強化」、2つ目に「収益機会を捉えるネットワークの構築」をあげています。重点施策としては、1番に主力事業である買取再販事業と賃貸事業を拡大させること、2番に成長事業である開発事業と不特事業の拡大・強化をあげています。
そのための経営基盤の強化として、基本方針の3つ目に「事業成長を支える組織力の向上」を掲げており、人数を増やすことはもちろん、人材の質も高めていきます。4つ目が「事業拡大・成長を支えるDXの推進」としています。
DXの推進においてはITの力が重要になってくるため、重点施策として人材の採用・拡大と育成、ガバナンスの強化、DX戦略、資本効率の改善、株主還元の強化をそれぞれ行っていきます。
さらに、忘れてはいけないのがサステナビリティです。今後はESGについてきちんと考え、実行できる会社が生き残っていくと考えています。その部分をしっかりとこなして、中計の最終年度にはプライム市場の適合基準を安定的に充足するため努めていこうと思っています。
第2次中期経営計画 連結数値目標
連結数値目標です。売上高の目標は、2022年度に約388億円、2023年度に約446億円、2024年度に約532億円です。経常利益の目標は、2022年度に約20億円、2023年度に約29億円、2024年度には約44億円と、額、利益率ともに毎年向上させ、大きく成長する計画を立てています。
2022年12月期の取り組み<不動産買取再販事業>
重点施策における今期の取り組みをお話しします。まず、主力事業である不動産買取再販事業については、居住用不動産の高い需要に対応するために開設した5店舗を中心として、今期は新たに数店舗の営業所を開設し、さらに強化したいと考えています。
販売面では、VRやバーチャルインテリアなどのDXを活用して、非対面でも販売できるように進めています。実際に、当社の不動産仲介業者向けのサイトでご覧いただけるVRやバーチャルインテリアがどのようなものかをご紹介します。
こちらは、当社がリフォームを実施したお部屋を、360度見えるようにVRで撮影したものです。部屋全体を白に統一することで、明るく清潔感のある空間に仕上げています。家具はバーチャルインテリアで、お部屋の寸法に合わせ実際に販売している家具などをバーチャルで設置しています。家具の影についても、外から入っている光の加減を考慮して出力しています。
バーチャルインテリアはオン・オフが可能で、実際の部屋と、そこに家具を置いたときの雰囲気を非対面で確認できるようになっています。それぞれの家具は実寸の大きさで、実際に販売も行っています。
こちらの取り組みに関しては、当社の出資しているスタートアップなどによる運営サービスを利用しています。このような企業への出資や提携を通じて、DXを推進していきたいと考えています。
2022年12月期の取り組み<不動産開発事業/不動産特定共同事業>
成長事業である不動産開発事業と不動産特定共同事業についてです。不動産開発事業は、前期は1棟の竣工のみで売上が立ちませんでしたが、今期から一棟賃貸マンションを中心に8棟竣工させ、9棟の販売を予定しています。
不動産特定共同事業は、物件規模の拡大を進めるとともに、Webセミナーなどの開催を通じて新たな営業チャネルの活用を進めたいと思っています。
坂本:不動産特定共同事業法、いわゆる不特法については、基本的に販売は個人向けで、100万円くらいから小口で販売ということを以前お話ししていただきました。個人向けなのか法人向けなのかということに加え、個人を集めるのはなかなか難しいと思うのですが、どのようにお客さまを集めているのか、取り組みを教えてください。
藤田:仲介業者と同様に、銀行や税理士事務所などに紹介していただきます。お客さまの属性としては、法人で購入している方もいますが、相続対策などもあり個人のほうが多いです。
坂本:御社が物件を作り、そこでティザーサイトに載せるかどうかは分からないですが、販売するということですね。
藤田:おっしゃるとおりで、共有財産のようなかたちです。借り入れは、公開の部分はまだゼロとして、みなさまの共有になるということです。
坂本:借り入れも含めると返せる利回りも上がり、リソースが確保できる可能性があるということですね。
2022年12月期の取り組み <人材の採用と育成>
藤田:経営基盤の強化における重点施策の1つである、人材の採用拡大と育成についてです。この中計達成の肝となるのは「人」です。中計の最終年度には300名以上の体制を計画しており、良質な人材の獲得、育成の好循環のサイクルを構築していかなければならないと考えています。
2022年12月期の取り組み <株主還元:配当・自己株式取得>
今期から、連結の配当性向の方針を20パーセント程度から30パーセント以上に引き上げました。2022年12月期は2円増配の17円を予定しています。また、現在自己株式の取得を実施していますが、今後の経営環境を考慮しつつ、柔軟かつ機動的な実施を検討していきます。
2022年12月期の取り組み <株主還元: 株主優待>
1年以上保有の株主さまには、QUOカードを提供しています。
2022年12月期の取り組み <サステナビリティ ESG・SDGs>
サステナビリティについてです。中古不動産のバリューアップ事業そのものが社会に貢献できるものと考えています。ムゲンエステートグループで働くすべての役職員がその考えを理解し、事業を成長させることで、持続可能な社会の実現に貢献したいと考えています。
IR・SRサイトのご紹介
当社のWebサイトには事業案内のほかに、株主や投資家に向けた内容を掲載していますので、ぜひご覧ください。また、この春にはWebサイトをリニューアルしています。内容をより一層充実させるとともに、より見やすくして、多くの皆さまに喜んでいただけるよう運営を続けていきます。ぜひご期待いただければと思います。
以上でムゲンエステートの会社説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:中計の目標達成に向けた施策について
坂本:中計においては、成長の部分にかなり注力していると個人的には思っています。目標達成に向けた自信の部分と、達成する上で最も重要な施策についてもおうかがいしたいです。
不動産業は、バリューアップして販売するような業態であれば、やはり物件数がないと売上があまり伸びないですし、売上と利益の両輪が回っていかなければ投資家からも成長しているように見えず、かつ目標とする中計の数字にも達しないと思っています。
そのあたりも含めて、中計の部分をもう少し深掘りして教えていただけますでしょうか?
藤田:今問題となっているのは、物件はあるものの給湯器がなかったり、木材の問題で床材がなかったりということが多少発生しています。他社でも公表されていますが、契約できても決済できないという部分も出ています。
そのような部分を織り込みながらということであれば、短期では難しいかもしれませんが、2年、3年では大きな成長になると思います。先ほど仕入れ、物件がないとお話ししましたが、5つの新しい営業所から、物件の数を増やしていくことにより、売上の基礎を作ります。今後もプラスアルファの施策を講じるつもりです。
人が増えただけではパフォーマンスは上がらないため、部長、課長となるマネジメントができる方も中途で採用し、組織で売上を上げていく体制を作っていこうと考えています。
坂本:営業所を増やすということは、リレーションをどんどん深めていくということですね。
藤田:おっしゃるとおり、深掘りしていくかたちです。
坂本:それによって、物件がある程度取り合いになっている中で早く獲得できる、早く情報が取れるなど、そのようなメリットがあるということでしょうか?
藤田:そのとおりです。沿線やターミナル駅に近いところを選んでいるため、そこを取り合う中で、すぐ現場に行ってお話しできる体制にすることが重要だと思っています。
坂本:直販するより、そちらのほうが利益が大きいのでそのような選択をされているということですね。
藤田:在庫のデータに関してはAIでダイレクトに取得して、すぐにビッグデータを構築できるようになっています。
質疑応答:取り扱い物件について
坂本:2000年以降に建ったマンションの多くはそろそろ市場に出てくる頃で、そのあたりは販売価格の安い時期もあったと思いますし、確かにビジネスチャンスだとは思います。御社は築浅のものと築古のもの、両方扱っていると思うのですが、どちらのほうが得意ですか?
藤田:古くて新耐震基準の物件、具体的には昭和62年くらいからの物件が、出来上がりがよいものが多いです。設備は今時に変えてあげると扱いやすいです。
坂本:それは確かによいですね。僕も個人で物件を扱っていて、それくらいのものを買ってきて自分でリノベーションしています。
藤田:今はリノベーション用の部材がいろいろ出ていて、手を加えやすくなりましたね。
坂本:先ほど給湯器のお話がありましたが、壊れている物件があるのはけっこう大変ですね。
藤田:そのあたりの対応は、どのように部材を確保できるかによりますし、会社の規模によって左右される課題かもしれません。
坂本:首都圏ではある程度難なく会社を運営できますが、僕は地方で運営していて、なかなか大変だと思っています。
質疑応答:新規事業について
坂本:中計期間は3年ですが、5年、10年先の御社の姿についておうかがいします。ほとんどの既存事業について推進、深掘りしていくのは当然として、5年、10年先に何か新しい事業を立ち上げているのかについて教えていただけますか?
藤田:今は首都圏に特化しているため、全国展開できるようなかたちにしたい、政令指定都市に展開したいとは思っています。商品構成のところでは、今はクラウドファウンディングなども行い、1万円くらいから投資できるようにしています。
また、ファンドではないのですが、そのようなものが作れるように、一時期は投資顧問の会社を作っていましたが、今は畳んでいます。再度、小口化から入っていけるように考えており、いろいろなお客さまをつかまえていくことで縦軸と横軸が両方でき、さらに事業が大きくなっていくと考えています。
質疑応答:現在の銀行の貸出態度とリーマンショック前の金利上昇時の状況について
坂本:米国を中心に金利上昇が騒がれています。日本も日本銀行の金利自体は上がりませんが、オペレーションが入らなければならない状況になっているため、実際のところゼロ金利から少しずつ動くと思っています。現在、銀行の貸出態度は変わっているのかを教えてください。
また、日本はリーマンショック前の2000年から2回しか金利が上がってないと思いますが、その時の御社の状況も含めてお願いします。
藤田:金利に関してはそれほど上がらないと見ています。上昇の順としては、最初にアメリカ、次にヨーロッパ、その次に日本と考えています。居住用と投資用でも金利の考え方が異なると思いますが、投資用に関しては、金利の上昇というより融資の厳格化の問題があります。
去年や一昨年にいろいろな事件や問題があり、フルレバで100パーセント借りられた方が今は買えなくなっている状況にあります。その部分は逆に安心してきちんとした方に販売できると考えています。
住宅ローンに関してはもう少し時間がかかるのではないかと思っており、ここ1年から2年はそれほど影響はないと考えています。例えば、リーマンショックの時は当社でも事業体で買値をする場合に、本来3パーセントくらいのところを5パーセント、6パーセントというプレッシャーがありました。
しかし、当社の場合は今はそのようなものがないため、ほかの会社で借りられない場合は逆に当社で買えるチャンスだと考えています。
質疑応答:リーマンショック後にも生き残れた理由について
坂本:リーマンショックの時のお話をもう少し聞かせてください。御社は生き残り、今も健全に事業を行っています。リーマンショックの時のことは僕もけっこう分析しましたが、再販の会社も投資用の会社も、自分で保有している会社はけっこう生き残っています。
それは、冒頭でお話があった「家賃をしっかり取る」ということがプラスになったのか、もしくはかなり厳格に自己資本を考えていたからなのかを教えてください。
藤田:当時は会社の規模がものすごく小さかったため、キャッシュフローでは賃貸収入が上がらない状態でした。当社の考え方としては、理由は2つあります。
1つ目は商品構成で、流動性が高い必要があるということです。不動産はなかなか売りにくいものですので、居住用に関しては2,000万円から3,000万円で、年収300万円から400万円の方が買う物件に特化しました。
投資用に関しては、1億円前後で地元の方が買えるような物件です。銀行の力を借りなくても買うことができ、当時は利回り10パーセントなど、今では信じられないような物件を当社はきちんと持っていました。
2つ目は営業力です。一番最初にお伝えしたとおり、営業一貫責任制ということで、自分が売れない物件を仕入れないという部分があります。担当だけでなくチームで販売していくため、黒字で生き残れたというのが大きいと思っています。
坂本:ものすごく安い物件が転がっている時代もあったと思いますので、その後の数年はかなりチャンスだったわけですよね。
藤田:当社は50行以上の取引銀行があり、信用の積み上げでいろいろな銀行から借り入れできるということで、「千葉県だったらここの銀行」「神奈川県だったらここの銀行」と、物件を買えない時に買えるということは大きいです。
質疑応答:海外投資家の動きと中国からの日本の不動産市況への影響について
坂本:「冒頭で海外の投資家のお話があったと思いますが、現状、彼らの動きはまだ戻ってきていないのでしょうか? また、中国は恒大問題などで冷え込みつつある部分もあると思いますが、日本の不動産市況への影響はないのでしょうか?」という質問です。
藤田:海外投資家は、今は厳しい状態だと考えています。100億円、1,000億円というところは販売していますが、なかなか人の移動ができなかったり、お金の移動もできないという状態があります。
ただし、今は日本の法人や個人の富裕層が買うチャンスということで、その方たちが買っている状況は大きいと思います。
中国や台湾の問題もありますが、そちらの方々は日本に法人を作り、こちらでお金を運用しています。
坂本:本邦銀行からの融資が出るかたちなのですよね。その部分は継続しているということでしょうか?
藤田:そのとおりです。ほかに大きな部分では、シンガポールや違った地域の方が購入している状況だと思います。逆に、半年から1年経って移動制限が解除された時には、待っている方がものすごく多いため、一気に購入されるのではないかと考えています。
また、1,000万円くらいの小さい物件に関しては、キャッシュで買える海外の方に購入いただいています。
質疑応答:プライム市場を維持するための施策について
坂本:プライム市場を維持するための施策を教えてください。社長や会長などの持分を市場に放出することと時価総額を上げることが一番早いと思いますが、そのあたりの考えもあるのでしょうか?
藤田:売却の部分ももちろんあります。加えて、利益を出していくというところもありますのでいろいろな方策をとりながら、成長させることと両建てで考えています。今回執行役員制を入れて業績連動型の報酬に変えましたが、それによってみんなが一丸となって株価と言いますか、時価総額を上げるための方法を、ROICも含めて考えていくほうに持っていくことが一番重要だと思っています。
これはすぐにはできませんが、きちんとターゲットを決めながら進めていこうと考えています。
質疑応答:VRやバーチャルインテリアなど新しい取り組みによる実績について
坂本:「VR、バーチャルインテリア、不動産など新しい取り組みを実施していますが、生産性が上がったなど、好印象の具体的な実績があれば教えてください」という質問です。
藤田:「いくら売れました」というのはなかなか見えにくいところではありますが、新型コロナウイルスの影響で「居住者以外はマンションに来るな」ということで、実際に見に行くことができないことがけっこうありました。
坂本:内見ができないというお話がけっこうありましたよね。
藤田:ですので、新しい取り組みを行うことで内見ができたということです。また、当社が持っている物件の中で空いている物件について「このような内装になりますよ」ということをVRで見ていただくこともできました。共働きの方もいらっしゃいますので、夜遅くでも家から見ることができるのがVRのよいところだと思います。
質疑応答:オンラインでの仕入について
坂本:「オンラインでの販売活動が最近少しずつ出てきましたが、仕入はさすがに無理ですよね」という質問がきています。
藤田:そうですね。「AIを使って数字を出したが、買い取れませんでした」という海外の会社がありました。
この業界でも10分や15分でAIで数字を出せるという会社があると思います。今の時期は上がっている時期なのでよいのですが、多少遅くなったとしても1件1件きちんと見るべきだと考えています。瑕疵などの危険性については会社として一番気をつけないといけないと思っています。
質疑応答:1人が担当する物件数について
坂本:1人の担当者が何棟何室くらいを担当するのでしょうか?
藤田:だいたい5件から6件で、2ヶ月に1件くらい買うようなイメージですが、それだと売上が上がっていかないため、営業所は「月に2本買いなさい」と言っています。営業所によっては1人10本以上持っている人もいますので、その部分はどんどん数を多くしており、「プレゼンは何件で、現場は何件見に行きました」というKPIをきちんと取るようにしています。
質疑応答:不動産の仕入における収益性を見極める基準について
坂本:「不動産の仕入において基準を設けているということですが、収益性を見極めるための具体的な基準があれば教えてください」という質問をいただいています。
藤田:当社がリーマンショックの時になぜ生き残ったのかというと、例えば、投資用に関しては銀座にある利回りが2パーセントの物件は買いませんでした。
少し離れた16号道沿いなどの10パーセントや8パーセントの高利回りの物件にすると、金利が上がった時でも耐えられます。昔は8割から9割は借り入れをしていましたが、今は6割くらい借り入れをしています。
地元の方はものすごく見ていますので、先日も物件の価格を上げると「昔の価格で売ってください」と言われました。みなさま、よく見ていらっしゃいますので、そのようなことを行いながら見ていくことが一番重要だと思っています。
質疑応答:社員のモチベーションを高める仕組みについて
坂本:「社内金利のお話が非常におもしろかったです。他に社員のモチベーションを高める仕組みがあれば教えてください」という質問をいただいています。
藤田:「毎月何本仕入れたらいくら」というインセンティブ的なものもありますね。販売の時は最終的な金利を引いた利益に対しての歩合、賞与になるのですが、そのスーパーマンがいなくなった時にどうするのかという問題が出てきます。
そこで、ESGやSDGsなどの目標を理解している方をどんどん増やしていくというかたちに変えているのですが、あまりインセンティブが強すぎるのも問題だとは思っています。ただし、会社が儲かった分は、報償として全体に分けるようにすることは大事だと思っています。
質疑応答:商圏のネットワークを発展させるための取り組みについて
坂本:商圏のネットワークを深めていることが御社の強みだと理解しました。一方で、不動産業界では人材の流動性に大きな課題があると思っています。ネットワークを発展させるために取り組んでいることはありますか? 御社はどちらかと言うと定着率が長いと思いますが、いかがでしょうか?
藤田:定着率は5年から6年くらいですが、歩合の率を変えるなどあったため、10年選手でやめる方もいます。ですので、今回営業所を作った時には、営業所として取引先を増やしていくという体制に変えています。
仲介会社向けのシステムを作っているのですが、そこでどのような人たちが入ってくるかのデータをためており、管理しているというかたちです。
仕入を評価するというシステムについて
坂本:「売上を評価するシステムはよくありますが、仕入の評価というのはおもしろいですね」というコメントがきています。
藤田:当社の場合は製造会社ではないため、物件を仕入れないと販売ができないというのが一番のネックでもあります。
坂本:他社はそこが詰まっているようなイメージがけっこうあるため、そこを解消する1つの手段なのかなと思いました。
藤田:今は仲介会社自体が買い取りを始めていますので、競合が増えています。
坂本:御社も直販を行うのかなと考えてしまいますが、実際のところ買取再販の利益もそれ以上にありますからね。そこは取らなくてもいいのかなと僕は思います。
藤田:それよりも、情報量を多くするために地場の仲介業者と仲良くしています。当社の場合は区分マンションだけでなく、1棟ものも使いますので、そのあたりは逆にメリットかなと思います。
坂本:そちらのネットワークがないと厳しいですね。
藤田:ものを選ばず、どのようなものでも数字を出せるというのが強みですからね。
坂本:1棟の場合は仲介業者が管理している可能性もありますからね。
藤田:当社では販売したあとの管理はあまり請け負わないです。仲介業者にそのまま管理会社になっていただくと、当社の物件を優先して販売していただけるというのもみそになります。
坂本:販売会社が管理したがるところも多いですよね。御社のROICのお話もそうですが、管理は行わないで、買取はきちんと行って、適切な利益を取っていくというのが社是と言いますか、方針だということですね。
藤田:みなさま、貴重な時間を使ってお話を聞いていただき、誠にありがとうございます。当社の株価は今はあまりよくない状態ではありますが、この中期経営計画をきちんと全うし、株価を上げていきたいと思いますので、みなさまの応援をよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。