2022年9月期 第1四半期

富永邦昭氏(以下、富永)ヒューマンクリエイションホールディングス代表取締役社長の富永でございます。本日は、2022年9月期第1四半期の決算についてご説明します。よろしくお願いいたします。

本日のメニューは大きく5点です。1点目は2022年9月期第1四半期の連結業績ハイライトについて、2点目はコンサルティング・受託分野の拡大状況について、3点目は通期業績見通し、4点目は追加施策、5点目は今後の成長戦略についてご説明します。

22/9期 1Qは計画どおりに推移

はじめに、2022年9月期第1四半期の業績ハイライトです。売上高、EBITDAともに第1四半期の予算を達成しています。一方で、EBITDAは前年同期比で100パーセントを割り込む実績となっています。その理由について、次のページでご説明します。

売上高及び売上総利益は前年同期を超える実績

第1四半期実績の全体観として、売上高及び各段階利益において予算達成を果たしています。特に、スライドにAとしてお示ししているとおり、売上高は前年同期比112.7パーセント、売上総利益については前年同期比120.9パーセントと、順調に成長しています。

営業利益以下については、スライドにBとしてお示ししているとおり、第1四半期予算達成は果たしていますが、前年同期比に関しては大きく割り込む実績となりました。こちらは前期実施のM&A手数料や、ストックオプション導入費用などの一過性の費用を計画どおり第1四半期に計上したためで、第1四半期だけの特殊要因によるものです。

当社グループの主要KPIの推移

前述5ページのスライドにお示ししたとおり、売上及び売上総利益は、それぞれ前年同期比112.7パーセント、120.9パーセントと順調に成長しています。このような実績は、当社グループの最重要KPIである契約単価、また稼働率が計画以上に推移したことによるものです。保有人数については、ほぼ計画どおりでしたが、人財獲得競争のさらなる激化に対応すべく、当期第2四半期より追加施策を行っていきます。追加施策の内容については後述します。

(参考)一過性費用の影響を除いた経営指標の達成率・進捗率

こちらのスライドでは、第1四半期で計上した一過性費用の約4,800万円の影響を除いた場合の状況を、スライド左側に前年同期比、スライド右側に年間進捗率をご参考までにお示ししました。

前年同期比においては、一過性費用を除いた場合の利益指標は前年比で100パーセントを超え、年間進捗率についても25パーセントに近い水準であることがご理解いただけると考えています。スライド中央部分の第1四半期予算達成率がすべて100パーセントを超えているのは、第1四半期の一過性費用を織り込んだ上での事業計画だったためです。

コンサルティング・受託分野は、全社売上の12.0%を占めるまで順調に拡大

コンサルティング・受託分野の拡大状況です。前期2021年9月期末においては、グループ全社売上比率が11.5パーセントでしたが、当期2022年第1四半期終了時点では12.0パーセントまで順調に拡大し、当社グループの主要戦略が順調に進捗している状況です。

最上流工程を担うACF社だけでなく、開発系を主体とした子会社のBKS社においても、システム開発における技術力が向上した結果、受託契約の締結に結びついていることが主たる理由です。

上流領域の拡大が、他子会社での受託案件の受注にも寄与

前ページでも述べましたが、上流領域の拡大が他の子会社での受託案件受注につながっており、さらなる受託案件獲得に向けて商談中です。個別案件の中身については、お客さまとの機密保持契約があること、およびお客さまの企業戦略そのものであることにより、開示できないケースがほとんどですので、ご容赦いただければと思います。

前期実施したM&Aの一過性費用を見込むも年間では『増収増益』を堅持

通期業績見通しです。今後の受託契約の拡大に伴い、受託案件の規模、特に大型案件を受託した場合は、売上・利益が一時偏重する可能性も想定されますが、現段階での計画修正は行いません。

人財に関わる追加施策について

追加施策についてですが、第1四半期実績では契約単価・稼働率が計画以上に推移し、売上・売上総利益とも向上できていますが、人財の採用に関しては、競争環境がさらに激化しています。こうした環境にいち早く対応するため、すでに3点の追加施策を行いました。

1点目は、中途採用プロセスにおけるコア業務(採用面接や内定提示時における入社意欲醸成等)に注力できる環境を強化するため、応募者との日程調整や履歴管理に関する業務を一元管理する仕組みを構築したことです。2点目は、従来の育成システムに加え、学習できる分野と内容を向上させ、かつリモートワークのすきま時間でも習熟が図れるよう教育体系を仕組み化したことです。3点目はタイムカプセル・ストックオプション精度を導入し、既存社員のリテンションおよび今後の採用の武器として活用することです。以上の3点を採用・育成・リテンションにおいて、有効に機能させていきます。

市場買付による自己株式取得について

2月10日に公表した、市場買付による自己株式取得に関して、スライドに記載のとおり整理しました。株主還元・資本効率向上に向けた施策を打っています。

市場環境: 日本におけるDX推進の主たる担い手は当社のようなIT企業

今後の成長戦略についてです。まず、日本の市場環境は少し特殊だと思っています。日本企業の場合、IT人材がユーザー側に所属しているのではなく、我々のようなIT企業側に所属しています。アメリカやカナダと比べ、IT企業側にエンジニアが存在しているのが日本固有の市場環境だと思っています。

日本企業の場合、経済産業省が発表している「2025年の崖」の問題があります。旧来型のシステムのメンテナンス期限が2025年までのものが非常に多いため、対応してシステムを載せ替えないと事業に大きな影響があるだろうと懸念されています。これを「2025年の崖」と表現するのですが、これに対するシステム刷新の需要は非常に多く存在しています。このような需要は、当社のように優秀なIT人材を抱えている企業にとって、マーケットオポチュニティが非常に高いと言える状況です。

差別化要素: 当社グループの強み

当社グループの強みについてです。1点目は、大手SIerから信頼される組織体制を持っていることです。我々のグループでは、他社からエンジニアを借りてきてプロジェクトに従事させることはなく、すべて正社員で対応しています。十分に教育指導を行った当社グループの正社員を従事させることで、提供するプロジェクトの品質を担保しています。

また、当社グループでは最上流工程のコンサルティングから、開発・保守運用などの最終工程まで一気通貫で行えます。「企画するだけ」「作りっぱなし」ということがないため、大手SIerからは仕事を発注しやすい企業として認識されています。

2点目は、受託分野と派遣の2本柱で事業を展開することにより、非常に効率のよい事業運営ができていることです。当社では、必要に応じて受託チームを生成するかたちを取っています。そのため、受託案件が取れた際には派遣契約で従事しているエンジニアたちの契約を一旦解除し、新たに受託チームとして招集しています。

3点目は、競合の少ない市場・セグメントが主戦場になっていることです。我々がコンサルティングや受託で狙っているのは10億円以下、主に3億円以下のプロジェクト案件が中心です。大手SIerは3億円以下の案件であれば積極的には取りに行きませんし、高単価の方々だけでプロジェクトを回していくのはなかなか難しいところがあります。競合が少ない市場を狙い、技術力の高さを示すことで、SIerから仕事を発注してもらったり、我々が自らプロジェクトを取りに行ったりしやすくなっていると思います。

ビジネスモデルの特徴

ビジネスモデルの特徴についてです。繰り返しになりますが、我々はコンサルティング・システム受託開発とITエンジニア派遣の2本柱で事業を展開しています。2本柱にすることで、高い稼働率と利益率の双方が享受できる仕組みになっています。

また、最上流のコンサルティングから最終工程の保守運用まで一気通貫で対応できるため、全工程において正社員100パーセントで対応し、高品質なサービスを提供しています。このような組織体制があるからこそ、先ほどもお伝えしたとおり、大手SIerから信頼されるのだと考えています。

スライド左側をご覧ください。昨年10月1日、つまり当期の期首から、従来のACFに加えてヒューマンベースがグループ入りしました。

『真の経営課題コンサルティング企業』へ向けて 〜中⻑期ビジョン〜

真の経営課題コンサルティング企業に向けて、目指していくべき中⻑期ビジョンを発表しました。従来のオーガニック成長およびM&Aを駆使して、コンサルティング・開発・保守運用まで自社グループで完結できるビジネスモデルを精緻化していきます。将来的には、きちんと経営課題コンサルティングができる企業へ成長していきたいと思っています。

我々は今、スライド左側にある1stステージの段階です。一気通貫のビジネスモデルを構築・活用し、M&Aを積極的に実施し始めました。ようやく組織体制は整いましたが、M&Aによる成果を得るのはこれからという段階です。今後、真の経営課題コンサルティング企業として認識していただけるよう、引き続き社業に励んでいきます。

私からのご説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:一気通貫のビジネスモデルの他社との違いについて

質問1:一気通貫のビジネスモデルは他社にもあると思いますが、何が違うのでしょうか?

富永:たしかに、エンジニアを活用して、コンサルティング・システム開発・保守運用まで一気通貫で行っている会社は他にもあるかと思います。ただし、他社の場合は、自社以外の人材を借りてきてプロジェクトに従事させるのが一般的です。それに比べて、我々の場合は全工程をすべて正社員でまかなっているところが一番大きく違う点だと思います。

我々は、きちんと教育指導を行った正社員をそれぞれの工程ごとに従事させています。自社以外から借りてきた人材でプロジェクトをまかなうのか、それとも正社員で責任を持ってまかなうのかによって、発注する側の印象も大きく変わります。やはりすべて正社員で対応できる当社グループのほうが、圧倒的に安心感を持っていただけます。この点が競合他社とは大きく違うと思っています。

この安心感が、コンペにおける受注確率の高さにもつながります。途中の工程から別の会社に任せることなく自社で最後までまかなう当社グループのスタンスのほうが、より安心して発注できると評価いただいているのだと考えています。

質疑応答:利益率の高い受託専業にしない理由について

質問2:利益率が高いのであれば、なぜ受託専業にしないのですか?

富永:受託単独で事業運営を行うと、1つのプロジェクトが終了するたびに、そのプロジェクトに従事していたエンジニアに新しいプロジェクトをあてがわなければいけません。

エンジニアを長い間非稼働にしておくことはできないため、いわゆる「炎上案件」と呼ばれる、投入原価が肥大化するだけでなかなか進まないプロジェクトであっても取らざるを得ない可能性があります。

一方、我々のように受託と派遣の2本柱で事業運営していれば、我々にとって意味のある受託に絞って獲得することが可能ですので、結果的に高い利益率が享受できます。そのため、受託専業にも派遣専業にもせず、あくまでも2本柱で事業運営していきますし、これが最も利益率を高められる方法だと考えています。

質疑応答:売上・利益の季節性について

質問3:年間の売上・利益のリズムに偏重傾向などはありますか? 

富永:派遣事業による売上高は、毎月少しずつ前月を超えていくような、ゆっくりと成⻑していくビジネスモデルです。そのため、派遣事業においては大きな季節性は存在しないと考えてよいと思います。

一方、受託案件に関しては、案件の規模が大型であった場合、検収月に大きな売上・利益が計上されるといった一時偏重をきたす可能性があります。