エグゼクティブ・サマリー
安達慶高氏:本日はお暑いなか、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。ただいまより、日本リビング保証株式会社の2019年6月期決算説明会を行います。それでは、エグゼクティブ・サマリーをご覧いただければと思います。
まず、当社が「どのような会社か」についてですが、「100年の価値を、すべての住まいに。」をコンセプトにしています。当社は、住宅の保守・保証のトータルソリューション企業として、住宅事業者ならびに住宅オーナーに価値あるサービスをお届けしていく会社です。
「業績はどうだったか」についてですが、大幅な増収増益および過去最高益を達成している状況です。売上高は16億4,700万円、前期比128パーセント。経常利益は2億1,300万円、前期比134.5パーセントでした。
「今後の展開は」についてですが、「住宅・不動産領域のアフターサービスプラットフォーマーへ」ということで、住宅事業者のアフターサービスに包括的に対応することで、住宅事業者に真に必要とされるような存在になりたいと考えています。
第11期(2018.7~2019.6) 連結業績概要
決算概要に移らせていただきます。
第11期連結業績概要ですが、売上高は第10期の12億8,700万円に対して、第11期は16億4,700万円となり、前期比128パーセントでした。営業利益は第10期の1億6,200万円に対して、第11期は1億8,000万円となり、前期比111.4パーセントでした。経常利益は第10期の1億5,800万円に対して、第11期は2億1,300万円となり、前期比134.5パーセントでした。そして、当期純利益は第10期の1億300万円に対して、第11期は1億4,300万円となり、前期比138.8パーセントでした。
先ほどもお伝えしましたが、前期比で増収増益、過去最高益を達成しました。
営業利益の前期比 増加要因
営業利益の前年比での増加要因です。
当初、営業利益は前期比でマイナス2,400万円の見込みでしたが、営業活動の成果によりまして、最終的に前期比でプラス1,800万円の増益になりました。
第10期の1億6,200万円に対して、売上の伸びがプラス3億6,000万円でした。当初の見込みがプラス1億7,500万円でしたので、それに比べて大きく伸びた状況です。
また売上原価も当初予想がプラス8,500万円でしたが、売上の伸びにともない、1億8,100万円まで増えた状況です。
販管費については、業容拡大にともなう体制整備のための人員増強、システム開発の強化ならびに事務所の増床などの成長投資を行った結果、当初予想の1億1,500万円から増加しまして、1億6,100万円となりました。
結果として、営業利益は前期の1億6,200万円から1,800万円増加の1億8,000万円となりました。
セグメント別売上高
セグメント別の売上高になります。
当社には2つの事業がありまして、1つは「おうちのトータルメンテナンス事業」で、第10期の9億6,500万円に対して、第11期は12億600万円となり、前期比125パーセントでした。
「BPO事業」については、第10期の3億2,100万円に対して、第11期は4億4,100万円となり、前期比137.1パーセントでした。
両事業とも営業活動が奏功しまして、売上高が大きく進展した状況です。とくにBPO事業の伸び率が大きく、これは第4四半期に成約した大型のスポット案件の影響によるものです。
セグメント別営業損益
セグメント別の営業損益です。
おうちのトータルメンテナンス事業が、第10期のマイナス2,300万円に対して、第11期はマイナス1,700万円となり、BPO事業が、第10期の1億8,500万円に対して、第11期は1億9,800万円という結果でした。
おうちのトータルメンテナンス事業が引き続きマイナスになっていますが、こちらは先ほど申し上げたように、業容拡大を目的として成長投資を先行的に実施した影響でマイナスになっている状況です。
第12期(2019.7~2020.6) 連結業績予想
第12期の連結業績予想です。
売上高は第11期の16億4,700万円に対して、第12期は18億5,000万円で、前期比112.3パーセントです。営業利益は、第11期の1億8,000万円に対して、第12期は1億9,200万円で、前期比106.2パーセントです。経常利益は、第11期の2億1,300万円に対して、第12期は2億4,200万円で、前期比113.7パーセントです。当期純利益は、第11期の1億4,300万円に対して、第12期は1億5,800万円で、110.5パーセントです。
長期保証契約に関するストック売上の下支えがさらに増大することを踏まえ、前期比で増収増益、過去最高益を予想しています。
売上高の推移(予想)
各種指標について、簡単にご説明します。
まずは売上高ですが、先ほどご説明しましたとおり第12期は18億5,000万円で、グラフのとおり、創業以来11期連続での増収を予想しています。
保証契約残高(前受収益・長期前受収益残高)の推移
こちらのスライドは、当社の将来の売上を下支えするストック売上である保証契約残高で、前受収益と長期前受収益残高の合計の推移についてです。長期保証契約の着実な獲得によって保証契約残高は順調に増加しており、第11期の時点で約44億3,900万円ある状況です。
実質的な営業キャッシュフローと年度経常損益の推移(予想)
営業キャッシュフローと年度の経常損益の推移です。
第11期の経常利益の2億1,300万円に対して、営業キャッシュフローは7億8,200万円で、引き続きギャップがある状況でした。
先ほどご説明しましたとおり、今後は増大した前受収益が将来の売上として毎年積み上がってくることと、長期保証以外の売上も着実に増えていることから、将来的にはこのギャップは少しずつ縮まり、最終的には「営業キャッシュフロー=経常利益」という状況になると考えています。
保証サービス(契約単位・契約件数)の推移
保証サービスの契約件数の推移ですが、第10期の第3四半期に大手家電量販店さまとの契約終了にともない、新規契約件数が大きく落ち込んだのですが、一方で単価は大きく上昇しました。その後、契約件数自体も持ち直し、単価も引き続き上昇傾向にある状況です。
当社の強み(商品戦略)
今後の成長戦略についてですが、まずは当社の強みと今後の商品戦略について、簡単に説明させていただければと思います。
当社のソリューションは、スライドの円の中に記載されているように、設備保証をはじめ、点検、コールセンター、電子マネーなど、数多くあります。これらのソリューションを有機的に組み合わせることで、住宅事業者のあらゆるアフターニーズにワンストップで対応できる商品に仕上げることが、当社の大きな強みとなっています。
具体的には、スライドの右上に記載のとおりで、例えば当社のクライアントである住宅事業者で、囲い込みのニーズがあれば「住設あんしんサポートプレミアム」というサービスを提供します。これは、設備保証サービスとポイントサービスを使ってお客さまを囲い込むサービスです。
アフターサービスの手離れを望むクライアントに対しては、「長期メンテナンスシステム」として、設備保証やコールセンター、定期点検や施工保証サービスを組み合わせたサービスを提供しています。
また、不動産仲介会社で仲介時の差別化を図りたいクライアント向けには、「売買あんしんサポート」があります。これは、設備保証、設備点検、建物点検などを組み合わせたサービスです。
このように、複数のサービスを組み合わせることによって、お客さまのニーズに合わせてサービスを提供しているところが大きな特徴となっています。
商品単体で見ると、例えば「収益性は高いけれど、競争が激しい」「競争力、収益性ともなかなか低い」といったものであっても、組み合わせることによって市場競争力および収益性が高いサービスになります。そうして組み合わせることで収益性が高くなることが、当社の大きな強みでもあると見ています。
住宅メンテナンスを取り巻く状況
当社では、リフォーム工事や建物検査、補修といったメンテナンスサービスを提供していますが、今後、住宅メンテナンスの機能を強化していく予定です。その背景として、住宅メンテナンスを取り巻く状況について簡単にご説明します。
スライドは、2017年に「日経 xTECH」が行った「住宅オーナーが感じる住まいに関する課題」についての調査結果ですが、住宅オーナーが考える一番大きい課題は住宅メンテナンスとなっています。
今後、新築の着工件数の先細りが見込まれるなか、住宅事業者は従来の「売りっぱなし」からストック重視へと軸足を移しつつあります。住宅事業者からすると、住宅オーナーのニーズが最も高い住宅メンテナンスの要望に応えることが、リフォームや建て替えのニーズの獲得といった二次商流形成に必要だと言えるかと思います。
一方で、単価が大きい「家」という資産を売っている住宅事業者からすると、単価・利益率の低い小修繕を中心としたメンテナンス工事にはなかなか対応できていないのが、今の実情でございます。
住宅・不動産領域のアフターサービスプラットフォーマーへ
そういった状況を踏まえ、当社は、「住宅・不動産領域のアフターサービスプラットフォーマーへ」ということを今後の目標として掲げることにしました。
スライドにあるとおり、当社では、住宅アフターサービスは1階部分、2階部分のかたちで考えています。
1階部分はインフラ的な要素で、「ベース機能」と呼んでいます。住宅オーナーにとって最もニーズが高く、住宅事業者にとっても必要不可欠なメンテナンスや定期点検といった、いわゆるリアル系のサービスです。それらが1階部分にあたります。
2階部分は、「付加価値機能」と呼んでいます。住宅オーナーにとっては必要不可欠ではないものの、「あったらいいな」ということで一定のニーズがあるもので、住宅事業者にとっても差別化ツールとなるようなものです。当社で従来から提供している設備保証やポイントサービスが、まさに付加価値機能になるのですが、そういったものが2階部分にあたるかと思います。
とくに2階部分の保証・金融系サービスが当社のサービスのメインとなり、1階部分は部分的な提供にとどまっていました。今後は、まず1階部分のリアル系サービスを拡充することで、1階部分・2階部分を包括的に対応できるようにしたいと考えています。
すなわち、スライドに記載のとおり、「保証×金融×リアルの融合により、住宅事業者にとって、真に必要とされる存在(=アフターサービスプラットフォーマー)へ」といった部分を目指したいと考えています。
再顧客化機能付き メンテナンスサポートデスク」の位置付け
今までお話ししたことを踏まえて、今後の成長戦略についてご説明します。
アフターサービスプラットフォーマーへの第一歩として、「再顧客化機能付き メンテナンスサポートデスク」を新たにリリースすることにしました。詳しくは、ニュースリリースの記事にも記載しております。
多くの住宅事業者がこれまで対応できていなかったメンテナンス対応に加えて、リフォームや建て替えニーズの獲得に向けたCRMマーケティングを実施するということで、住宅事業者の既存オーナー向けサービスとなります。
住宅事業者ごとにメンテナンス専用デスクを設置しまして、そこに点検、保証、ポイントサービスなどを組み合わせることで住宅オーナーの再顧客化を支援するというサービスになります。
個社ごとにカスタマイズ可能なプラットフォームを提供予定で、このサービスは今後の当社の主力サービスとして販売を強化していく予定です。
「うちもキーピング」の位置付け
もう1つ、こちらもニュースリリースを出していますが、「うちもキーピング」という商品をリリースしています。
当社では、住宅事業者が提供するアフターサービスを受けられない層を「メンテナンス難民」と呼んでいるのですが、そうしたメンテナンス難民向けのセーフティネット型メンテナンスサービスとして投入するものです。このサービスは、住宅オーナーなら誰でも加入できる、BtoC向けオープンプラットフォームという位置付けでもあります。
これまでの当社のサービスは、物件の購入時にお客さまが加入できるサービスが大半でした。物件購入時ということで、すなわち、その年に販売される物件がターゲットになりますが、だいたい新築・中古を合わせて100万件くらいがその年の販売戸数になり、それがターゲットの上限でもありました。
今後は、「再顧客化機能付き メンテナンスサポートデスク」と「うちもキーピング」の2つのサービスを導入することで、日本の住宅オーナー3,000万世帯のすべてに対してアプローチできるようになります。その意味では、マーケットが一気に拡大するものと考えています。
各種金融機関との営業連携強化
次に、「各種金融機関との営業連携強化」についてです。
今後は、全国のミドルクラスの住宅事業者をメインターゲットとして、「再顧客化機能付き メンテナンスサポートデスク」を中心に拡販を進めていく予定です。それにあたり、保険会社や銀行との連携を一層強化して、早期にマーケットシェアの拡大を進めていきたいと考えています。
新たな収益源の開発・育成
成長戦略の3つ目、「新たな収益源の開発・育成」ですが、大きく分けて4つになります。
1つ目が「投資運用の推進」です。2018年7月に新設の資産管理部にて、保有する現預金による資産運用を引き続き推進します。あわせて、取引先ネットワークおよび当社の専門的知見が生かせる不動産投資運用を中心に、継続検討していきたいと思っています。
2つ目が「戦略的M&Aおよび海外進出の検討」です。こちらは、本業とのシナジーを前提に戦略的なM&Aを検討していきたいと思っています。また、日系デベロッパーによる、東南アジアなどの新興国でのマンション建設ラッシュにともない、海外でのサービス提供も本格的に検討していきたいと考えています。
3つ目が「テクノロジー導入の推進」です。修理受付や修理の査定領域でのAI活用や、契約事務領域でのRPA活用、さらにメンテナンス特化型アプリの開発も検討していきます。
4つ目が「新サービスの開発」です。創業以来、当社に蓄積されている住宅修理に関するさまざまなデータを活用した、次世代型の保証サービスの開発など、データビジネスへの展開も検討しています。
中長期成長イメージ【売上高】
中長期的な成長イメージについてです。
スライドの緑色の部分が小修繕やリフォーム、点検などですが、先ほどご説明したとおり、メンテナンスサービス提供機能を一層拡充することで顧客基盤をより拡大し、結果として、利益の源泉である保証をさらに増やして、どんどん成長させていきたいと思っています。
以上になります。ご清聴、どうもありがとうございました。
質疑応答:おうちのトータルメンテナンス事業の赤字要因について
質問者1:2点、お聞きしたいと思います。
今、社長が説明されていた成長戦略ですが、第14期、2022年6月期になるでしょうか……そこで売上としては40億円ぐらいを目指されているということでよいでしょうか?
安達:こちらはまだイメージですので、現段階ではそこまで細かい数字は考えていない状況です。
質問者1:わかりました。では、今年度、2020年6月期の事業別の売上高と営業利益はどのように考えていますか?
竹林俊介氏(以下、竹林):今期の事業別の売上に関しては、割合として前期と同程度だと考えています。利益についても、やはり前期と同程度の推移を予想しています。
質問者1:おうちのトータルメンテナンス事業は、引き続き成長投資をされているから赤字なのでしょうか? おそらく人員の増強なども進んだため、本年度は黒字化するなど、そのあたりのニュアンスはいかがでしょうか?
竹林:赤字の一番の要因が、全社費用の配分です。この費用の配分方法について、今は監査法人等も交えて、どういうかたちが一番いいのか……2つの事業の割合のなかでの活動量などをベースにどのように振り分けていくかを考えています。それ次第では黒字になる可能性もありますが、まだ成長投資を続けていくのは間違いありませんので、前期、前々期同様に若干の赤字になるかもしれない状況です。
質問者1:成長投資額の前年度のご実績と、今年度の見通しはどのくらいでしょうか?
竹林:成長投資で一番大きいものが人件費になりますが、成長投資としては前期がざっくり9,000万円程度で、今期は1億円程度と考えています。
質問者1:それでは、吸収できる可能性も十分にあるわけですね。今年度は、人件費を主体に1,000万円ぐらい増えるということですよね?
竹林:そうですね。そのなかには、昨年度の期中に新規採用した人のお給料なども当然入ってきますので、「今期、純粋にネットで1億円」というわけではなく、前年度のものに今期分をプラスした金額になります。
質疑応答:BPO事業の利益率の高さについて
質問者2:BPO事業について教えていただきたいのですが、セグメント別の利益を見ていると非常に利益率が高いですよね。どうしてここの利益率が高いのか、教えていただけないでしょうか?
竹林:事業別の利益率は、ご説明が非常に難しい部分です。当社はサービス業ということで人件費の比率が非常に高いなかで、主力のおうちのトータルメンテナンス事業に営業やバックオフィスをかなり集中投下している状況です。
それらを総合的に勘案しまして、全社費用……人件費や物件費も含めて配分すると、どうしてもBPO事業の方が利益率が高く見えてしまいます。人件費を売上原価に入れるべきなのか、販管費に入れるべきなのかというところで、事業の組み合わせなども変わってきていますし、取引先や商品ラインナップも変わってきていますので、こうした変化のなか、少しずつ監査法人とも話し合いながら、適正な配分にしていかなければいけないとは思っています。
質問者2:つまり、本社経費の振り分けということで、調整額に入れるというお話にはならないのでしょうか? それがわかりやすいと思ったのですが、そのような話にはなっていないのですね。
竹林:あまり恣意的に変えられるところではないため、当社としての振り分けの方針について、監査法人ともしっかり協議しながらあるべき姿を検討していきたいと考えています。
質問者2:次に、おうちのトータルメンテナンス事業での先行投資についてですが、将来的にこの事業セグメントは、利益率で言うとどれくらいのビジネスになるのでしょうか?
安達:2割と少しになります。
質問者2:営業利益率ベースで、20パーセントより上だということですね?
安達:(20パーセントより)少し上になります。
質疑応答:売上高総利益率が低下した理由について
質問者3:4点ほどお願いします。
まず、売上高総利益率が前年に比べて3ポイントぐらい低下しているのですが、その理由はBPO事業が伸びたことが影響しているからでしょうか? そのあたりの理由を教えてください。
次に、販売管理費についてです。第4四半期の3ヶ月だけを見ると2億6,200万円と、かなり跳ね上がってきているのですが、このペースのまま新しい期も進むと考えると、この4倍ということで結構な水準になってくるかと思います。そこで、新年度の販管費はどのぐらいを見ていらっしゃいますか?
3点目が、今後伸ばしていくところについてです。
質問者3:17ページの図にありますように、1階のベース機能を強化していくというお話でしたが、具体的にはここの強化をどういうかたちで進めていくのでしょうか? 工務店等々と連携してさらにネットワークを作っていくかたちでしょうか? それとも御社でも、その部分に対して人を当てていくかたちを取るのかなど、イメージを教えてください。
また1階部分のところは、あまり利益率が高くない商売かなと思うのですが、長期的には御社の利益率、とくに粗利のところが下がっていくと考えたほうがよいでしょうか?
竹林:4つのご質問のうち、最初の2つを私から回答して、3つ目、4つ目は安達から回答します。
まず、売上高総利益率の低下についてはおっしゃるとおりです。先ほど安達からも説明があったように、BPO事業で第4四半期に大型のスポット案件が獲得できたということで、上方修正などにつながりました。
実は、それは他社からの引き継ぎ案件のようなかたちでまとまってはいるのですが、売上高総利益率があまり高くないため、数字が低下したのが実態です。
2つ目が販管費についてのご質問ですが、新年度は売上高の半分ぐらいかなと考えています。
質疑応答:「ベース機能」の今後の拡大について
安達:3つ目のご質問で、ベース機能をどのように拡大するかという部分について、まずは修理専門のデスク、コールセンター部門の人員増強を考えています。また、労働集約的になるところもあるのですが、全国ネットワークのサービスセンターを構築していこうと考えており、まずは試験的に地域を絞ったかたちで進めていく予定です。
そして、利益率の低下についてはおっしゃるとおりです。リアル系のサービスとなれば、当然利益率は下がります。
当社の利益の源泉は、2階部分の保証・金融系サービスですが、ニーズが非常に高いのは1階部分のサービスです。2階部分は利益率は高いのですが、範囲がある程度絞られてしまいます。ただ、1階部分を提供することによって、2階部分にもよりたくさんの契約が入ってきます。
ですから、1階部分を充実させることによって、利益の源泉である2階部分の保証・金融系サービスの売上がどんどん増えて、結果として利益率は若干下がる可能性はありますが、一方で規模が拡大していく可能性も非常に高いと考えています。
質疑応答:電子マネー発行サービスについて
質問者4:リビングポイント株式会社の電子マネー発行サービスのところで、決算短信の3ページによると、現在、未使用残高が11億3,168万1,000ポイントあります。
また、9ページ目にはポイント引当金として前年度(2018年6月30日時点)が899万3,000円、2019年6月30日時点が397万円と記載されています。
質問者4:今回リリースされた「再顧客化機能付き メンテナンスサポートデスク」のところで、このポイントを住宅オーナーや住宅事業者の負担なしで還元して、それが溜まってまた使えますという動きですよね。
このインパクトについて、簡単にご説明いただければと思います。
竹林:ポイントに関してはテクニカルな部分にもなってしまうのですが、ポイント引当金は世の中で言われているところの「おまけポイント」です。
決算短信で載せているポイントは、基本的には資金決済法に基づく前払式支払手段で、いわゆる電子マネーです。お金をいただいて、その分の対価としてポイントを発行していくもので、交通系電子マネーなどと同じようなものです。
ポイント引当金は、家電量販店などで5パーセントや7パーセントのポイントがよくついてきますが、それはお客さまから対価をいただかないポイント発行額に対しての引当金なのです。
数年前にマンションデベロッパーさまとキャンペーンなどを行ったときに、若干おまけポイントを発行したことがあります。非常に小さい額ではありますが、そのポイント引当金がまだ残っているということです。
一方、この11億円のポイント発行額に対して、負債として計上しておかなければいけない金額は、B/S上では長期預金に入っています。資金決済法上は50パーセントでいいのですが、そこは保守的に100パーセント積み立てており、国債と現金という内訳で、11億円をそのまま負債に引き当てている状況です。
これがどのようなかたちで収益になっていくかについてです。私どもが考えているポイントの使われ方のメインは、基本的にはリフォームで、10年後や15年後のリフォームでの使用を一番のターゲットとしているため、使用期限が15年と長いわけです。
通常の電子マネーとはまったく異なり、15年という非常に長い使用期限のなかで、今はまだお客さまにどんどん会費を支払っていただいて、それをポイントとして還元して貯めていただくシチュエーションだと思っています。
そして、例えば10年後などにお客さまが100万ポイント貯まって、それをリフォームに使っていただく時点で、ようやくポイントの使用手数料として当社に入ってくるということです。
ほかのクレジットカードの使用手数料と同じかたちで使われたときに、私どもの収益として計上されていく商品ですので、このポイントの未使用残高は、足元というよりは、今後、5年後、10年後、15年後の収益になる源泉だと考えていただければと思っています。
安達:また、「再顧客化機能付き メンテナンスサポートデスク」のポイントについて説明します。当社でメンテナンスデスクというサービスを提供するなかで、当然、たくさんの修理を受け付けます。
そのなかでの「再顧客化」とはどういうことかと言いますと、「いかにリピートしてもらうか(が重要)」ですから、修理したお客さまに必ずポイントを付与します。例えば、修理額の1~2パーセントを付与しますので、まさにこれがおまけポイントとして少し付与されるかたちです。
これがどのぐらい影響があるかだと思いますが、まだスタートしたばかりです。小修繕がメインで、せいぜい1件当たりの単価は10万~15万円ぐらいであり、その1~2パーセントぐらいを付与するため、どれぐらいの件数になるかによるところかと思います。