2018年5月期 連結業績
草開千仁氏(以下、草開):それでは2018年5月期、第32期決算のご報告をさせていただきます。まず初めに、32期の決算の概要、中期経営計画の概要、それを踏まえた来期の見通しを簡単に動画でまとめておりますので、まずそちらをご覧ください。
動画:株式会社ウェザーニューズ、2018年5月期の決算をご説明します。
21世紀の情報社会においても、気象は私たちの生活に大きな影響をおよぼしています。ウェザーニューズは「76億人の情報交信台」を目指し、事業の多様化、グローバル化を進めています。
スポーツフェスティバルでは、2020年の東京での祭典を見つめ、今年3月の平昌にてクロスカントリースキーの日本代表選手を気象面でサポートし、金メダル獲得に貢献しました。
それでは2018年5月期の決算をご報告します。
今期は航海気象がヨーロッパ市場を中心にサービス提供数が増加したことに加え、航空気象ではアジアにおける新規受注が増加しました。
一方、第6成長期の後半の飛躍的成長を見据え、積極的投資を掲げた中期経営計画に沿って人材強化、システム開発、広告への投資を積極的に押し進めました。
その結果、2018年5月期の業績は売上高が158億7,400万円。営業利益が24億9,000万円。経常利益が24億9,500万円。親会社株式に帰属する当期純利益が11億3,800万円となりました。
会員向けサービスの航海気象では、ヨーロッパのバルク市場を中心にサービス提供数が増加したことに加え、円安による為替影響を受けたことにより増収となりました。
航空気象では、アジアにおけるGo or No-Go Decision Supportサービスの新規顧客が増加し、アジアを中心に50社、1日10,000フライト以上のエアラインにサービス提供することができました。これらの結果、BtoB全体の売上としては9.6パーセント増収の96億1,600万円となりました。
個人向けサービスであるBtoSはモバイル・インターネットでスマートフォンのレベニューシェアモデル売上が好調であったことに加え、グロースハック体制や広告キャンペーンにより、自社アプリの利用者数も順調に増加したことにより増収となりました。
放送局向けでは、新規顧客の獲得や放送局向けのシステム更新のタイミングにより、初期型売上SRSの増加により、BtoS全体の売上としては8.4パーセント増収の62億5,700万円となりました。
投資面では次世代の気象データベース、独自衛星などへのインフラ投資、グローバル展開に向けたセールス、運営スタッフ、およびシステム開発力強化に向けたIT人材の獲得、サービス提供ツールの開発など、中期経営計画の重点項目への投資を促進しました。
昨年(2017年)1月に環境気象市場への展開を目的に子会社化したWeathernews France SASの、株式取得時に計上したのれんの未償却残高などが減損したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比42.1パーセント減益の11億3,800万円となりました。
次に中期経営計画の進捗をご説明いたします。
2018年5月期は中期経営計画の2年目として、革新性をテーマに交通気象と環境気象のグローバル展開を進めています。
まずはマーケティング面の4つの柱に関する進捗をご説明いたします。
航海気象では、全世界の船舶の30パーセントにあたる6,000隻へのOSR提供を目指します。新たな価値の提供を目指し、船隊計画全体の最適化までを推薦できる、船種ごとのサービス、LOOP、T-MAX、二酸化炭素排出量の規制導入に対応したエミッション・ステータス・モニタリングの開発が完了し、販売を開始しました。来期はこれらのサービス販売を本格化し、6,000隻のOSR提供の実現と、さらなる売上成長を目指します。
空、陸の交通気象では、日本で立ち上げたサービスをグローバルに展開することを目指します。航空気象では、アジアのエアラインを中心にサービス展開が進みました。来期は引き続き、残りのアジア市場の開拓を推進するとともに、ヨーロッパおよびアメリカでのマーケティングを進め、本格展開に向けたサービス創造を実現するシンボリックカスタマーの獲得を目指します。
一方、陸の交通気象である道路気象、鉄道気象では、引き続きアジアでのシンボリックカスタマーの獲得を目指します。
環境気象では、エネルギー、流通を中心とした新たな市場の立ち上げを目指します。昨年1月に買収したWeathernews Franceのサービス、ノウハウをグループ全体での活用に向けたインテグレーションを行いました。来期は需要予測をもとにした電力、ガス会社などのエネルギー市場、販売予測をもとに流通小売市場に対して、EU各国および日本を含むアジアへの展開を進めます。
個人向けサービスでは、日本でのNo.1気象ポータルサイトを目指します。今期はトランスプラットフォーム、ASO、SEO、広告キャンペーンなどの広告投資を通じて、着実にトラフィックが増加しました。継続的なUI、UXの改善、参加型コンテンツの充実を行うとともに、気象会社としての本分である予報精度No.1を目指します。
中期経営計画のテーマでもあったビジネスモデルの多様化の具体化として、自社団体を通じ、ウェザーニューズならではのコンテンツを活かしたオリジナル広告事業の実績も増加し、BtoS事業の新たな売上の柱を期待して、来期さらに強化していきます。
投資面においては、中期経営計画で重点に上げている項目に対して積極的に投資し、加えてグローバルに拡大する事業を機能的に展開すべく、サービス、技術開発、管理部門、それぞれの人材のさらなる強化を行います。
2019年5月期の業績見込みにつきましては、航海気象での新サービス販売開始に伴う欧州、アジア市場の成長、航空気象におけるアジア向けサービスのさらなる展開、個人向けサービスのオリジナル広告事業展開、そして中期経営計画の最終面として、さらなる積極的投資を実行することにより、売上高を168億円、営業利益を26億円、経常利益を26億円、当期純利益を18億円と計画しており、当初の中期経営計画から売上、利益とも上方修正いたします。
株主サポーターへの還元としては、「高貢献、高収益、高分配」の基本理念のもと、一時的なWeathernews Franceの減損の影響もあるものの、トールゲートビジネスが順調に成長していることから、年間配当を計画どおり100円とします。
気象データをベースにビジネスとの相関を解明した上で、再展開を提供するウェザーニューズの取り組みに、各方面から期待が寄せられています。ウェザーニューズはサポーターのみなさまとともに、革新的なアプローチによって新しい価値創造を進めていきます。
これで、2018年5月期の決算説明を終了します。
2018年5月期 売上高増減分析
草開:私からいくつか、ご説明させていただきます。
今期に関しましては、売上高158億円7,400万円、営業利益25億円弱です。当期純利益は11億3,800万円という結果になりました。
売上の増加に関しては、航海気象、航空気象、BtoS、これら3つが売上増の牽引をしました。
2018年5月期 営業利益増減分析
冒頭に申し上げましたとおり今、中期経営計画の2年目です。
既に33期は始まっていますけども、36期までを第4成長期と位置づけ、34期以降を飛躍的に成長させるために、この中期経営計画の3年間は積極的投資、具体的に申し上げれば、人材の投資、それから衛星など気象関係のインフラの投資、必要に応じたM&A、外部とのコラボレーションを展開していきます。
32期は、その2年目にあたっているわけです。
そういう中にあって、積極的投資を行っておりますので、前期と比べると減益にはなっておりますが、当初の計画よりは少し上回ったかたちになっています。ただ、投資は計画どおりきております。
また、第2四半期に、昨年(2017年)の1月に子会社化しました、Weathernews France、の減損処理を行っております。この関係で、当期純利益に関しては、前期に比べると大きな減益となりました。
売上増に関する部分は、今申し上げた航海・航空気象が中心なんですが、これが1つ大きな売上を牽引しました。BtoSに関しても、売上増となっております。
コストの面に関しては、1番は、やはり人件費の増加になります。後ほど説明もしますが、だいたいこの1年間で88名の増員です。
主に、運営、それから開発の増員です。この開発の中には、BtoSの売上の起因にもなりましたグロースハックの専門知識を持つスタッフの強化、それからAIと機械学習等の技術を持ったスタッフの強化がだいたい全体の中の9割程度、残り1割は、グローバルでのマネジメントをしっかりやっていくために、マネジメント体制の強化を行いました。
こういったものが、32期に関しては、投資面において、もっとも増加したものです。
BtoSに関しては、この32期からトラフィックの流入量を強化したいということで、ASOだとか、それからグロースハック体制に加えて広告を行っております。流入量・トラフィック量の増加に大きな飛躍効果を示しております。
この部分が、営業利益面の投資面の中で、新たにできたものであります。
航海気象
少し個別に入ります。
ウェザーニューズの1つ大きな売上の牽引となっております、航海気象です。
航海気象に関しては、主力のOSRサービスが前期末の3,000隻に対して、今期末は4,200隻まできました。
航海気象が伸びたのは、ヨーロッパのバルクが多いです。もともと航海気象に関しては、前期、全体的な海運市場の景気も良くなかったということもあって、そんなに積極的な売上増は、計画はしておりませんでしたけれども、景気がある程度落ち着いてきたということです。
またOSRの場合は、一航海の最適化のサービスをするんですけども、この今期32期には、船隊全体の最適化、つまりルートの前にまずどこに行くのが1番良いのか、そういった新たなサービスの開発を行い、こういったものをプラスアルファ要因として、隻数の増加につながりました。
モバイル・インターネット
BtoSに関しては、今期から、有料会員よりもレベニューシェアモデルが、非常に売上の増加の1つ大きな部分を占め始めております。
こうなってくると有料会員数比較してもあまり意味がなくなってしまいますので、デイリーアクティブユーザー、すなわち1日ウェザーニューズにどのくらいアクセスしたかというDAUの増加で、みなさんにウェザーニューズのサイトがどのくらい活性化しているかを示すようにしております。
(スライド記載の)右下の部分が、デイリーアクティブユーザーになるんですけども、32期に関して、前半と後半を分けました。ウェザーニューズの場合は、どうしても前半の6から11月、台風等もあってデイリーアクティブユーザー数が増えます。
後半は、雪等もあって、それなりにはあるんですけども、前半に比べるとちょっと下がります。
31期と比べると、32期は前半・後半とも、実は気象的にはほぼ変わっておりません。それにも関わらず、デイリーアクティブユーザー数に関しては、非常に伸びております。
これらは、グロースハック体制の強化、SEO等の対応強化、コンテンツの充実、それに加えて、広告も効いてきてるんだと思います。
これらによって少額課金の有料会員数も増えておりますし、レベニューシェアも増えました。
無料会員のトラフィック量が増えることによって、いわゆるウェザーニューズが行う広告であるオリジナル広告事業に関しても、今期、試験的にいくつかやりました。
これが上手くいっておりますので、来期このBtoS事業を伸ばす目玉になるのかなと見ております。後ほど、またご説明します。
投資の状況
投資に関しては、設備投資が、前期と比べると増えております。
サーバーおよびサーバールームに関して、新たな増築等を行っております。これが、計画どおりです。
それから、研究開発に関しては、昨年(2017年)の7月に打ち上げた「WNISAT-1R」の償却が開始しているということです。
人材・スタッフに関しては、先ほど申し上げたとおり、1年間で88名の増員です。
株主還元(今期配当)
配当に関しましては、第2四半期にWeathernews Franceの減損はありましたが、主力でありますトールゲートビジネスについては順調に成長しておりますので、当初の配当100円を基準に、中間で50円出しておりますので、期末配当50円でいきたいと考えております。
来期業績見通しの変更
来期以降の見通しです。
上方修正したと動画の中でも説明しておりますが、来期は、積極投資の最後の年ということで、海運、航空、BtoS、この3つの市場で売上を伸ばせると計画しております。
来期は売上168億円。それから、営業利益に関して、26億円とみております。
売上高が10億円伸びるので、もっと利益も伸びるのではと思われるかもしれませんが、来期に関しても、積極的投資の最後の年と考えておりますので、ここである程度の投資をし切ってしまおうと考えています。
中期経営計画 マーケティング
この中期経営計画3年の中で、マーケットとしては、海運、空と陸の交通気象、環境気象、そして個人向けサービスの4点を重点的に強化していきます。
とくにこの中でも、海運事業に関しては、主力のOSR来期までに6,000隻まで持っていこうと考えています。
エリアと船種に関しては、バルク市場はだいたい全世界、あとはアジアのコンテナ、ヨーロッパのタンカー、このあたりを増加させることによって、6,000隻のOSRまで持っていきたいと考えています。
航空気象、それから陸の交通気象に関してですけども、今期もこの航空気象は大きな伸びを示しました。とくにこれは、アジアに向けてサービスが非常に広がっております。
現在、アジアのエアラインのだいたい8割くらいは、ウェザーニューズのサービスを使うところまできました。来期に関しては、これを最後までやりきるとともに、今後ヨーロッパ、アメリカへのマーケティングを開始していくこととなります。
それから、環境気象ですけども、これは主に電力・ガス、流通の市場なんですけども、これはひとえに、Weathernews Franceが持つノウハウをいかにヨーロッパ展開できるかということで、これは来期の非常に重要な1つのテーマとなっております。
個人向けサービスに関しては、継続的にグロースハック体制を強化します。また今期、広告をしまして、33期に関してもこの広告を行うことによって、トラフィック量が増えますので、レベニューシェアと有料会員向けサービスのところを増やしていきます。
そして無料会員によるトラフィックも増えますので、今期、試験的に行った、私たちのオリジナル広告を来期は、本格的に展開していきたいと考えております。売上増要因の1つになるものと見ております。
中期経営計画 投資
中期経営計画の投資です。
設備投資には、今、データベースシステムの開発を行っておりますが、この部分が入っております。
衛星に関しては、前期打ち上げたばかりですので、この33期、来期に関しては、今のところ計画はしておりません。この先また状況を見据えながら、検討していきたいと考えております。
人材投資に関しては、32期、合計88名増員しましたが、加えて来期に関しても、やはり開発スタッフを中心に強化していきたいと考えております。
事業投資に関しては、現時点ではM&A等は、来期33期に関しては計画はありません。
業績目標(第4成長期)
繰り返しになりますが、この中期経営計画は積極的投資を行い、その先の34~36期、3年間を飛躍的に成長させようと考えております。
とくに、もちろん売上の成長が非常に重要なキーですが、それによって営業利益もこの中期経営計画の前のベースでありました、30億円台に戻していこうと考えております。
株主還元(見通し)
来期の配当ですが、現在このトールゲートビジネスの継続的な成長を見込んでおりますので、今期同様、100円を予想しています。
以上で、私からの説明を終わらせていただきます。