目次
横島泰蔵氏:それではただいまより、株式会社シーティーエスの2018年3月期決算説明会を始めさせていただきます。私は、代表取締役社長の横島泰蔵でございます。
今回の決算説明(でご説明したい事項)は、大きく4点ございます。1点目は、2018年3月期実績報告。2点目が、中期経営計画。3点目が、2019年3月期業績予想等。4点目が、セグメント別実績・予想・事業展開でございます。
1点目から3点目までを、私からご説明させていただきます。4点目のセグメント別実績・予想・事業展開は、各担当役員よりご説明させていただきます。
全社損益概要
それでは、2018年3月期実績報告について、説明をさせていただきます。
まず、全社損益概要です。特筆事項といたしまして、売上高・営業利益・経常利益・純利益のすべてで、過去最高を更新いたしました。
売上高は、85億7,800万円。営業利益は、15億800万円。経常利益は、14億6,500万円。当期純利益は、10億2,600万円。売上高営業利益率は、17.6パーセント。売上高経常利益率は、17.1パーセント。売上高当期純利益率は、12.0パーセント。期末従業員数は、(前期比)14名増の278名でございます。
セグメント別損益概要
続きまして、セグメント別損益概要です。
特筆事項といたしまして、システム事業・測量計測事業とも、堅調に推移いたしました。その結果、 主力であります建設ICT事業は、2桁成長の増収増益となりました。
システム事業は、売上高が32億8,000万円、営業利益が7億6,400万円。測量計測事業は、売上高が34億5,900万円、営業利益が5億4,700万円。建設ICT合計で、売上高が67億3,900万円、営業利益が13億1,100万円でございます。
ハウス備品事業は、売上高が11億4,500万円、営業利益が1億6,000万円。その他事業は、売上高が6億9,200万円、営業利益が3,600万円。
合計いたしまして、売上高が85億7,800万円、営業利益が15億800万円でございます。
貸借対照表概要
続きまして、貸借対照表概要です。
特筆事項といたしまして、自己株式の処分等による資金調達の結果、流動資産は39億6,200万円増加の88億800万円となりました。純資産は、33億4,000万円増加の69億6,000万円となりました。自己資本比率は、14.8パーセント上昇の56.6パーセントとなりました。
流動資産は88億800万円、固定資産は34億8,500万円で、資産合計が122億9,400万円。流動負債は29億7,400万円、固定負債は23億5,900万円で、負債合計が53億3,300万円。株主資本は69億1,300万円、評価・換算差額等は4,600万円で、純資産合計が69億6,000万円。
負債・純資産合計は122億9,400万円で、自己資金比率は56.6パーセントでございます。
キャッシュ・フロー概要
続きまして、キャッシュ・フロー概要です。
特筆事項といたしまして、自己株式の処分等により、現金及び現金同等物は34億6,800万円増加の63億9,000万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、18億6,200万円。投資活動によるキャッシュ・フローは、マイナスの2億2,100万円。財務活動によるキャッシュ・フローは、16億1,200万円。現金及び現金同等物の期末残高は、63億9,000万円。
1年以内に返済予定の長期借入金は、ございません。長期借入金は10億円、リース債務残高は19億400万円、リース資産(純額)は18億6,300万円でございます。
その他指標
その他指標です。
特筆事項といたしまして、自己株式の処分等の影響により、ROA・ROEともに前期を下回りました。1株当たり配当額は、前期比3円の増配を予定しております。
ROAは11.9パーセント、ROEは14.8パーセント、1株当たり当期純利益金額は25.01円、1株当たり配当予定額は9.00円、1株当たり純資産額は160.40円でございます。
中長期トレンド
続きまして、中期経営計画について、説明をさせていただきます。
今回の中期経営計画は、2019年3月期から2021年3月期までの3ヶ年の計画でございまして、当期が初年度となります。
まず、中長期トレンドと当社のビジネスチャンスについて、簡単に説明をさせていただきます。技術的なトレンドとしては、2点ございます。1点目が準天頂衛星、2点目が5Gでございます。
まず、準天頂衛星です。準天頂衛星に関しましては、2023年度を目処に、準天頂衛星が7機体制になります。これによって、無料で高精度の位置情報が配信されます。これは、当社における測量計測事業の活用で、大いに期待がもてます。
また、5Gは、超高速・大容量の第5世代通信規格でございますが、2020年にも実用化が期待されています。この部分は、当社におけるシステム事業の拡大が期待できるところでございます。
次に、社会的なトレンドです。これも2点ございます。働き方改革と少子高齢化です。働き方改革に関しましては、現在、長時間労働等が社会問題化しております。また、少子高齢化によって、労働人口不足が中長期的にも継続すると見てとれます。計測事業界におきましても、これは非常に深刻な問題でございます。
どちらも、建設ICTを活用した生産性の向上が必要です。また、確実に商品化できることが、ここでは重要であり、当社にとっても大きなビジネスチャンスだと認識しております。
中期経営方針①
そういった中で、中長期のトレンドを踏まえた、新たな中期経営計画を立てております。4点ございます。
1番目に、土木系から建築系へ対象顧客の業種拡大。2番目に、地場ゼネコンから広域ゼネコンへターゲット拡大。3番目に、建設ICTの独自商品・サービス強化及びシェア拡大。4番目に、営業体制・機能の強化による生産性向上及び市場開拓でございます。
中期経営方針②
今の1点目と2点目について、もう少し詳しく説明をしたいと思います。
(1点目の)「土木系から建築系へ対象顧客の業種拡大」と、(2点目の)「地場ゼネコンから広域ゼネコンへターゲット拡大」。これは図を見ていただく(とおわかりの)ように、業種の拡大×企業規模の拡大により、当社の建設ICTのマーケットは、確実に大きく拡大してまいります。
中期経営方針③
次に、建設ICTの独自商品・サービス強化及びシェア拡大について、簡単に説明をさせていただきます。
先ほどの技術トレンド(で申し上げた)、5Gによる事業の拡大。ここは主に、通信インフラの部分になってまいります。また、準天頂衛星の無料配信情報を活用する部分におきましては、当社の独自システムの開発。現状で実績のある部分が該当いたします。
また、社会トレンドの部分に関しましては、システム事業・測量計測事業ともに、生産性の向上に寄与する部分でございます。なおかつ、省人化の部分に関しましては、当社の測量計測事業が大きく寄与するものと考えております。
中期経営方針④
続きまして、営業体制・機能の強化による生産性向上及び市場開拓について、簡単に説明をさせていただきます。ここは、一口で言いますと、営業の差別化による生産性の向上及び市場の開拓でございます。
大きく、3点ございます。まず、顧客の業種に合わせた営業体制の強化。これは、営業の専門化による顧客満足度の向上でございます。また、現在の(全国の)営業ネットワークを活用し、広域で活動される(ゼネコンの)お客さまの水平展開を図ってまいります。そして最後に、MA等のツールを活用して、情報発信の質と量を高めることにより、リピート率の向上を図っていきたいと考えております。
これらによって、業種の拡大と会社規模の拡大による当社建設ICTのマーケットの拡大に対し、営業体制・機能の強化によって、対応を図っていく所存でございます。
中期経営目標
以上の中期経営方針に基づき、2021年3月期において、大きく3点の数値目標を掲げました。1点目が、建設ICTによる売上高を100億円超にすることでございます。2点目が、連結営業利益率を20パーセント超にすることでございます。3点目が、連結ROEを20パーセント超にすることでございます。
全社業績予想
続きまして、2019年3月期業績予想等について、説明をさせていただきます。
まず、全社業績予想です。特筆事項といたしまして、建設ICTを中心に、8期連続の過去最高の増収増益を目指します。売上高は95億円、営業利益は17億2,000万円、経常利益は16億8,000万円、当期純利益は11億8,000万円でございます。
セグメント別予想
続きまして、セグメント別予想です。
特筆事項といたしまして、主力事業(建設ICT)について、対前年15パーセント超の拡大を目指してまいります。
システム事業は38億円、測量計測事業は40億円、建設ICT合計で78億円。ハウス備品事業は11億5,000万円、その他事業は5億5,000万円、売上高合計で95億円でございます。
2019年3月期 利益還元方針
続きまして、2019年3月期利益還元方針です。
特筆事項といたしまして、当社は2002年3月6日に上場以来、業績に連動した利益還元を実施してまいりました。今期におきましても、通期で11円(中間5円・期末6円)の配当を予定しております。
以上で、私からの決算説明を終わりとさせていただきます。新たな中期経営計画達成に向け、社員一同邁進してまいりますので、今後もご支援をよろしくお願い申し上げます。
システム事業①
金井一智氏:システム事業における2018年3月期の実績と、今後の事業展開につきまして、システム事業推進部部長の私、金井一智よりご説明させていただきます。
まず、2018年3月期の実績です。当事業につきましては、システム機器及びモバイル通信回線等のレンタル及び販売に関しまして、新しくリリースした独自の商品サービスを、既存の営業拠点において積極的に展開した結果、受注を堅調に確保することができました。
当事業の売上高は、前期比15.5パーセント増の32億8,000万円。営業利益につきましては、前期比40.1パーセント増の7億6,400万円となりました。
今期の業績予想は、売上高で38億円を予想し、システム事業として12期連続の増収を目指してまいります。
システム事業②
そのための、今後の事業展開及び施策をご説明させていただきます。
当事業におきましては、建設現場のICT/IoT化に対し、独自のモバイル通信回線を活用した商品・サービスの充実を図り、既存の顧客の満足度向上及び新規顧客の開拓を、積極的に進めてまいります。
システム事業③
具体的な内容としまして、3点ご説明いたします。
1点目は、「モバ電」です。「モバ電」は、携帯電話の電波を使って、インターネット通信・固定IP電話・FAX(送受信)をオールインワンで提供し、回線工事なしで(納品日に)即日開通することができるサービスです。
今年(2018年)1月からスタートした大容量プランとシェアプランにより、お客さまの利便性と業務の効率化を、大幅に向上させることができました。
現場で利用されるデータの大容量化にも対応できるプランを設けることで、お客さまが現場の状況に合わせたサービスプランを選択できるようになり、リピーター(の増加)につながっております。
また、1社で複数回線をご利用いただけるお客さま、BtoBのお客さまに対しては、各現場の通信容量をシェアできるサービスを提供することにより、無駄なコストを抑え、大幅なコスト削減が可能となっております。
今後も、ご利用いただけるお客さまのニーズに合わせた、独自のサービスプランを検討してまいります。
システム事業④
2点目は、(スライドの右下の)ネットワークカメラです。
ネットワークカメラにおきましては、昨年度(2017年度)、専用のクラウド録画サービスと、ソーラー電源システムをリリースいたしました。クラウド録画サービスについては、独自の大容量通信回線と組み合わせることで、高画質・高品質な映像を安定して提供することができ、閲覧・保存も可能となっております。
また、ソーラー電源システムにより、電源の確保が難しい工事現場においても、ネットワークカメラの設置が可能となり、利用できる現場を大幅に広げることができました。
各現場にカメラを設置して、本社で一元管理したいというニーズも増えており、これに対してもきっちりとした対応が可能となっております。今後も、新たなネットワークカメラのサービスを企画してまいります。
3点目は、(スライドの上部の)クラウドストレージサービスの「i-ConBOX」です。インターネット環境を利用し、データバックアップと情報共有をキーワードにした最先端のクラウドサービスを、全国に展開してまいります。
建設現場で扱う大容量の図面データを、現場・本社・工場で情報共有して(作業の)効率化を図る工事現場向けサービスと、企業におけるBCP対策やセキュリティ対策として、サーバーのクラウド化に対応した会社向けのサービスを明確にして、業界に特化したサービス内容で、ご提供してまいります。
以上で、システム事業の2018年3月期の実績と、今後の事業展開についての説明を終わらせていただきます。
測量計測事業①
小林光氏:測量計測事業における2018年3月期の実績と、今後の事業展開につきまして、測量計測事業推進部部長の私、小林光よりご説明させていただきます。
まず、2018年3月期の実績です。当事業におきまして、測量機器及び計測システム等のレンタル・販売に関して、中期経営計画の方針に基づき「建設ICT」分野へ注力した結果、受注が好調に推移し、売上高は前期比24.1パーセント増の、34億5,900万円となりました。
国土交通省が推進する「i-Construction」の中でも、比較的比率の多くを占める測量計測分野及び三次元データへ注力すべき体制の構築で、売上高の伸長により売上総利益が増加し、営業利益は前期比26.7パーセント増の、5億4,700万円となりました。
今期は、売上高で40億円を目標とし、測量計測事業としては、9期連続の増収を目指してまいります。
測量計測事業②
次に、今後の事業展開及び施策をご説明させていただきます。
当事業におきましては、国土交通省が推進する「i-Construction」における取り組みと、基盤事業である測量計測機器における取り組みの2つに分けて、ご説明いたします。
まず、「i-Construction」です。これは2016年度より始まり、今年度(2018年度)で3年目に入ります。初年度は、国発注の土工事のみでの運用が始まり、対象工事の36パーセントで、「i-Construction」に基づく工事が実施されました。
これが2年目(2017年度)には、「i-Construction」の適用が土工事以外にも、道路等の舗装工事・河川等の浚渫工事に拡大され、2018年2月の時点ではすべて合わせて、対象工事の約5割で実施されております。
今後に関しましては、2020年度には、国発注の対象工事に対して100パーセントの「i-Construction」の実施が目標とされており、対象工事も橋梁・トンネルなどへの拡大が予定されております。
加えて、自治体発注の工事においても、「i-Construction」対象工事が増えていくことから、「i-Construction」に関する需要がますます増加していくものと期待されております。そうした中、当社としては、測量計測三次元データ等の代行業務に対する取り組みを強化してまいります。
簡単にご説明いたしますと、「i-Construction」の4つのフェーズの中に、5つのプロセスがあります。図表に記載の通り、「測量」「設計・施工計画」「施工」「検査」の4つのフェーズがあります。(5つの)プロセスとしては、納品が検査のフェーズから切り離されます。
その特徴としましては、ICT建設機械による施工が目を引きますが、一貫して三次元データを利用することが必要になります。
当社は、「i-Construction」の4つのフェーズ・5つのプロセスに対応した商品・サービスを提供しておりますが、「i-Construction」における一貫した三次元データの利用が重要であるととらえております。三次元レーザースキャナ等の機器の販売・レンタルに加えて、三次元データの作成や、電子納品等の代行業務に対する取り組みを強化して、「i-Construction」の普及・推進に貢献してまいります。
測量計測事業③
基盤事業である測量計測機器については、自社開発システムであります「Mr.Samurai CALS/i」を利用し、ワンマン測量におけるご提案を推進してまいります。
ワンマン測量とは、通常は2人から3人で行う測量業務を1人で行うもので、労力が少なくて済むメリットがある一方で、高価な機材が必要になるというデメリットがございます。
当社が提案する「Mr.Samurai CALS/i」を利用したワンマン測量では、必要な機材のコストを、従来より約30パーセント削減することが可能です。
建設現場の労力不足を背景に、「Mr.Samurai CALS/i」を利用したワンマン測量の普及を、推進してまいります。
また、自社開発システムにおきましては、引き続きさらなる省人化の提案、操作性の向上に努めてまいります。測量計測事業においては、これらの施策により、商品サービスの販売・レンタル・業務代行を通じて、「i-Construction」と建設現場の省人化を推進してまいります。
以上で、測量計測事業の2018年3月期実績と、今後の事業展開についての説明を終わらせていただきます。