連結業績サマリー

山中龍夫氏:ニチハの山中でございます。本日はみなさまご多忙の折、弊社決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。また、日ごろは弊社に格別のお引立て、ご理解を賜っておりまして、厚く御礼申し上げます。

では、2ページをご覧ください。連結業績サマリーについて、ご説明申し上げます。

2018年3月期通期の連結業績につきまして(それぞれ前期比)は、売上高は1,161億4,400万円、1.8パーセントの減収。営業利益は132億3,200万円と、3.1パーセントの増益。経常利益は137億9,600万円と、5.2パーセントの増益。親会社株主に帰属する当期純利益は111億5,100万円と、16.2パーセントの増益となりました。

これは、アメリカの子会社で新たに繰延資産を計上するなど、税金費用の減少が約10億円発生したことが影響しております。今回の業績は、各利益とも過去最高であり、2期連続の最高益更新でございますが、予想比は当期純利益以外はマイナスであったという状況でございます。

また利益率につきましても、経常利益率が11.9パーセント。親会社株主に帰属する当期純利益が9.6パーセントと、こちらも過去最高になっております。

2019年3月期通期の連結業績予想につきまして(それぞれの前期比)は、売上高は1,200億円と、3.3パーセントの増収。営業利益は140億円と、5.8パーセントの増益。経常利益は142億円と、2.9パーセントの増益。

親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、米国子会社における繰延税金資産等における影響がなくなることから、102億円。(前期比)8.5パーセントの減益を予想いたしております。

2018/3期 国内市場四半期別推移

4ページをご覧ください。2018年3月期実績について、ご説明申し上げます。

まず国内事業につきまして、住宅マーケットの状況、窯業系外装材業界の状況および当社の販売状況をご説明申し上げます。

住宅市場におきましては、新設住宅着工戸数は貸家を中心といたしまして、第2四半期から減少基調となりました。2017年度は、全体で94万6,000戸と前年度比2.8パーセントの減少となりました。当社グループ事業等の関係がとくに強い戸建住宅に限ってみましても、同じく(前期比)1.7パーセントの減少となっておりまして、市場は弱含みに推移いたしました。

このため、窯業系外装材業全体の販売数量につきましても、下期から減少傾向となりまして、通期で3,269万坪と、前年度比0.3パーセントの微減となっております。

このような状況のなか、当社は主力の窯業系外装材におきまして、耐候性に優れた「フュージェ」の拡販に努めますとともに、下期には窯業系サイディングとしては業界初となります、塗膜30年保証に対応した新商品(プレミアムシリーズ)を投入するなど、メンテナンスコスト面での優位性をアピールいたしました。

しかしながら、上期は普及品につきましては、価格競争が激化したことなどによりシェアダウン(をいたしました)。

下期は、窯業系外装材業界全体の販売数量が減少したことなどが影響しまして、販売数量は前期比3パーセントの減少となりました。

業界内シェアについては、第3四半期以降回復基調にありますが、通期では46.8パーセントと1.4ポイントのダウンとなっております。

2018/3期 連結業績

5ページをご覧ください。損益についてご説明いたします。

国内外装材につきましては、販売数量は減少しましたものの、高級品が比較的堅調で平均販売単価が上昇しましたほか、施工時に用いられる付属部品が伸長したこともございまして922億2,500万円と、前期比1.4パーセントの減収に留まりました。

アメリカマーケットにおきましても、住宅着工戸数が年率化演算で110万戸から120万戸台の高い水準を維持するなど、引き続き好調に推移いたしました。

一方で、アメリカにおきましては商流変更によりまして、一時的な売上の落ち込みが発生しましたため、米国窯業系外装材事業の売上高は、現地通貨ベースで前期比3.3パーセントの減少となっております。

これに円高の影響も加わりまして、円ベースでの売上高は136億2,700万円と、前期比6.2パーセントの減収となりました。

以上の結果、売上高は1,161億4,400万円と、前期比1.8パーセントの減収となっております。

次に、利益についてご説明申し上げます。

売上総利益は465億7,900万円と、前期比0.6パーセントの微減となりましたが、売上総利益率はアメリカでの生産工場を主因に40.1パーセントと、前期比の39.7パーセントから0.4ポイント上昇いたしました。

物流費のコストダウンなどによりまして、販売費・一般管理費が減少したため、営業利益は132億3,200万円と前期比3.1パーセントの増益、経常利益は137億9,600万円と同じく5.2パーセントの増益となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、先ほど申し上げました通り、米国子会社での税金費用減少の影響額が約10億円ありましたことから111億5,100万円と、同じく10.2パーセントの増益となりました。

2018/3期 国別業績

次に、6ページをご覧ください。ここでは、売上高・営業利益を国別にブレイクダウンしてご説明申し上げます。

国内事業は営業利益ベースで97億9,100万円と前期比3億8,400万円、3.8パーセントの減益となりました。要因については、後ほどご説明申し上げます。

次に、海外事業を行うアメリカと中国の子会社につきまして(ご説明します)。当社グループの海外子会社はいずれも12月決算でございまして、各社の1月から12月までの業績が、翌年の3月期の連結決算に反映されております。

まずアメリカにつきましては、連結子会社であるニチハUSAが事業主体となっておりまして、現地工場にて生産した窯業系外装材を主として住宅市場向けに販売しますほか、日本や中国で生産した窯業系外装材の販売も行っております。

売上高については、先ほども申し上げました通り、商流変更による影響のため前期比減収となりましたが、商流変更に伴うリベートの減少あるいは原価改善等により、採算が大幅に改善いたしまして、その結果当期の営業利益は25億6,000万円と、前期比5億4,900万円に対し27.3パーセントの増益となりました。

また、中国子会社2社が行っております中国事業につきましては、浙江省にございます2工場が、窯業系外装材および金具を製造・加工しておりました。その大半を、ニチハおよびアメリカの子会社に供給しておりますほか、一部は中国国内でも販売いたしております。

この中国子会社2社につきましては、前期に引き続き金具、日本・アメリカ向けの外壁材が順調に伸び、営業利益は5億7,300万円と前期比1億8,500万円、47.7パーセントの増益となっております。

2018/3期 営業利益の前期比増減要因

7ページをご覧ください。連結営業利益の前期対比の増減要因をご説明申し上げます。

連結営業利益は前期の128億3,000万円から、当期は132億3,000万円と約4億円の増益となりました。

これを要因別に挙げますと、国内は減収となりましたものの、在庫増加による増益効果、製品ミックスの改善等でプラス4億円、資材・エネルギーなどのコストダウンは石炭粉砕装置内製化等による改善効果がありましたものの、エネルギー単価の上昇により、マイナス3億9,000万円(となりました)。

物流費は前期に大きな改善効果を出しましたが、当期も引き続き改善策を実施いたしまして、コストダウン効果は1億円となっております。

一方で、前期の大型投資による償却負担増あるいは工場新ライン立ち上げに伴う工場経費増などにより、固定費が4億9,000万円増加いたしましたため、国内事業全体では3億8,000万円の減益となりました。

以上が、2018年3月期の実績でございます。

2018/3期 連結業績予想

通期の連結業績予想は、冒頭のサマリーで申し上げた通りでございます。今回の業績予想のうち、まず売上高につきましては、マーケットの見通しや前提をご説明申し上げます。まず、表ではお示ししておりませんが、国内におけるマーケットの前提をご説明申し上げます。

主力の国内住宅事業につきましては、本年度の新設住宅着工数とほぼ横ばいの94万5,000戸程度とみております。これに伴いまして、本年度の国内窯業系外装材全体の需要についても、ほとんど横ばいと予想しております。

国内窯業系外装材の投資やシェアにつきましては、引き続き今年(2018年)の2月から発売いたしました。塗膜30年保証の付加価値商品を軸に拡販を進め、今期は前期の46.8パーセントから47.5パーセント程度まで回復できると予想を組み立てております。

ダウを前提に、主力の国内窯業系外装材の通期の売上高は939億円と、前期比1.8パーセント増加と予想しております。

次に海外事業でございますが、海外事業を行うアメリカと中国の子会社に関しまして、業績予想の前提となります為替レートにつきまして、対米ドルで108円、対人民元で16円50銭、50円元を前提としております。

アメリカのマーケットは、引き続き堅調に推移すると予想されていることから、販売数量の伸長を見込んでおりまして、円換算ベースでの売上高は157億円と、前期比20億7,300万円、15.2パーセントの増収を見込んでおります。

現地通貨ベースの売上高は1億4,400万ドルと、前期比2,340万ドルで19.4パーセントの増収を見込んでおります。

2018/3期 通期国別業績予想

次に、10ページをご覧ください。国別の通期業績予想について、ご説明申し上げます。

国内事業の営業利益につきましては、原油価格高騰に伴うエネルギーコストが悪化するものの、生産コストダウンや物流合理化の効果を見込んでおり、これにシェアアップによる増収効果も加わりまして105億7,000万円と、前期比7億7,900万円の増益を予想いたしております。

海外事業につきましては、アメリカの子会社の損益は生産・売上とも順調に推移すると見込まれ、営業利益は28億4,000万円と、前期比2億8,000万円の増益を予想いたしております。

また、中国子会社につきましては、金具生産の一部を日本の子会社に移転する影響によりまして、営業利益は1億6,300万円減益の、4億1,000万円を予想いたしております。

配当状況

次に、12ページをご覧ください。企業価値向上についてご説明申し上げます。

2018年3月期の期末配当予想につきましては、(2018年)5月9日に発表申し上げましたように、1株当たり33円50銭を予定しております。これによりまして年間配当は、中間配当金27円50銭を合わせまして、合計で1株当たり61円になる予定でございます。

2019年3月期の配当予想につきましては、業績予想を前提といたしまして、1株当たり中間配当金28円、期末配当金28円の合計56円を予想いたしております。当社の配当政策は、配当と内部留保のバランスを勘案いたしまして、適切な配当水準を維持することとしておりまして、連結配当性向は20パーセント以上をお約束いたしております。

内部留保につきましては、将来に向けた成長のために引き続き製品の高付加価値化・新市場の開発などを目的とした、研究開発・設備投資に重点化をしていく方針でございます。

設備投資・減価償却費

13ページをご覧ください。

2018年3月期の設備投資は31億9,000万円、減価償却費は54億6,000万円となりました。減価償却費の増加は、前期の投資増によるものでございます。2019年3月期の設備投資は47億3,000万円、減価償却費は51億3,000万円を予定いたしております。

当社グループの中期経営戦略

次に、14ページをご覧ください。

2018年3月期のROEは14.6パーセントと、(前回中計時から)目標とする10パーセント以上を達成することができました。後ほどご説明いたします新中期計画の3ヶ年においては、ROEの目標を12パーセント以上に掲げます。2019年3月期の予想ベースでは、ROEは12パーセントを見込んでおります。

新中期経営計画のポイント

次に、16ページをご覧ください。新中期経営計画についてご説明申し上げます。

当社グループは、2018年3月期を最終年度とする中期経営計画のもと、重点課題について取り組んでまいりました。この度、当期2019年3月期を初年度といたします新たな新3ヶ年の中期経営計画を策定しましたので、概要についてご説明申し上げます。

まず市場想定でございますが、国内においては2019年10月の消費税増税後に需要が減少すると想定いたしております。一方海外については、先進国でも窯業系外装材の普及が進んでいない国が多く、潜在需要は大きいとみております。

今回の中期経営計画においては、国内需要の落ち込みに対しまして、これまで取り組んでおりましたシェアアップ・コストダウンを一段と推進しつつ、ニューマーケットにおきましてアメリカのさらなる成長を見込むとともに、アメリカ以外の海外マーケット、国内での非住宅市場開拓に注力する所存でございます。

シェアアップ①

では、17ページをご覧ください。項目別に具体的な取り組み内容についてご説明いたします。まずはシェアアップでございます。

前中期経営計画の期間中の国内シェアにつきましては、フュージェをはじめとする耐久性などの機能性を高めた、高付加価値製品の開発・拡販に取り組み、とくに高付加価値品においてシェアを高め、全体の45.5パーセントから46.8パーセントへ、1.3ポイントのシェアアップを果たしました。

シェアアップ②

18ページをご覧ください。

新中計においても、基本的にはこれまでと同様に機能性・意匠性を高めた製品の開発を柱に、住宅会社様における家を売るお手伝いにつながる提案型営業、施主様に直接製品力を訴えかけるBtoC営業にも、いっそう注力してまいります。

機能性につきましては、今年(2018年)2月に窯業系サイディングとしては業界初となります、「塗膜30年保証」の製品を発売いたしました。シーリングを使わないフュージェの機能と組み合わせると、住宅ローンの期間を通して外壁メンテナンスのコストの心配が不要となり、大きな反響をいただいております。

今後も、顧客ニーズを反映した付加価値の高い、製品開発指導のシェアアップに取り組んでまいります。

コストダウン

次に、19ページをご覧ください。コストダウンでございます。

前中計期間においては、塗料等の原単位改善、あるいは物流コストの削減で着実に成果を出しましたほか、石炭粉砕ミルなど合理化投資も実行してまいりました。新中計におきましても、こうした取り組みを一段と推進しますほか、ITを活用した生産効率改善、業務フローの抜本的見直しに取り組んでまいります。

まず、前期に投資を行いました新システムを活用した合理化につきましては、すでにベンチマーク比較による、無駄のあぶり出しを行うプロジェクトチームを発足させておりまして、今後はこの刈り取りを進めてまいります。

さらには、生産ラインのIoT化も視野に入れております。具体的には、生産設備に設置したセンサーを活用した自動制御、検査工程におけるAIの導入等を計画いたしております。

ニューマーケット・米国①

最後に、20ページをご覧ください。ニューマーケットでございます。前中計期間におきましては、とくにアメリカにおいて、市場開拓を進め売上高・利益の両面で連結業績の牽引役に成長いたしました。

ニューマーケット・米国②

21ページをご覧ください。

新中計におきましても、まずはアメリカでの市場開拓を一段と進めるため、高付加価値品を開発する新工場建設の検討に入っております。新工場建設によりまして、供給余力を確保するとともに、現地顧客ニーズに寄り添った製品の開発とタイムリーな上市が可能となる予定でございます。

ニューマーケット・グローバル展開(米国以外)

22ページをご覧ください。

加えて、アメリカ以外の海外マーケットの開拓にも注力いたします。

一例を申し上げますと、この度オーストラリア(市場)におきまして、火炎伝播試験に当社の乾式製品が合格いたしました。これは昨年(2017年)イギリスで発生しました高層住宅グレンフェル・タワー火災を契機に、一部の国におきまして対火規制が強化されたものであり、現在のところ窯業系外装材では、試験に合格したのは当社製品のみと聞いております。

まずは、病院・学校などを主たるターゲットといたしまして、オーストラリアマーケットを開拓する所存でございます。また同様の動きは、今後世界に広がるとみられておりまして、大きな潜在需要を見込んでまいります。

ニューマーケット・国内非住宅

23ページをご覧ください。

日本においては、非住宅マーケットの開拓を進めます。基本的には一昨年(2016年)に投入しました、新外壁材「クール」シリーズを武器としました、店舗などの商業施設向けスペック活動を、継続してまいります。

クールシリーズのもつデザイン性・施工性、工賃込みでのコスト面での優位性に加えまして、先ほども申し上げましたオーストラリアでの火炎伝播試験に合格した耐火性能を訴求し、市場開拓を進め住宅需要減が見込まれる国内市場の新たな柱に育ててまいる所存でございます。

私からのご説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。