2017年度 通期 業績ハイライト①
川邊健太郎氏(以下、川邊):川邊でございます。今回からご説明を私がさせていただきます。なにぶん、まだ不慣れなことが多いと思いますけれども、一生懸命説明したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
私からは17年度の通期決算内容について説明申し上げます。
まず業績のハイライトからです。
17年度から売上科目について名称を売上収益に変更させていただいております。これはジャパンネットバンクを連結したことが理由となっておりますけども、本質的な変化はございません。その売上収益でございますけれども、前年同比5.1パーセント増の8,971億円。営業利益はマイナス3.2パーセントの1,858億円となりました。
2017年度 通期 業績ハイライト②
業績面でございます。
17年の期初に説明したさまざまな投資を行いました結果、広告関連売上収益は、初めて3,000億円を超えました。
eコマースの国内流通総額は、初めて2兆円を超えることできました。
そのほかのKPIの数字も、さまざまな投資の結果、おおむね好調と言える数字で着地いたしました。
2017年度 通期 ハイライト
業績のハイライトを続けます。
メディア事業に関しましては、今申し上げたように、初めて広告の売上が3,000億円を突破することができました。動画コンテンツの充実、あるいはアプリのダウンロードも進みました。
コマース事業も、先程から申し上げております通り、さまざまな投資の効果が出て、初めて国内の流通総額が、2兆円を超えました。期初に、Yahoo!ショッピング事業に関しては、30パーセントの取扱高成長を超えることが目標であると表明をいたしておりましたけども、こちらも30パーセントを超えることができました。
通期 売上収益
ここから細かな数字を説明いたします。
まず売上収益です。
おかげさまで21期連続の増収増益となりました。前年比5.1パーセント増の8,971億円でございます。
通期 売上収益構成
(スライドを指しながら)その内訳が、このようになっております。比率に大きな変更はございません。
通期 営業利益
販売促進活動
(スライドを指しながら)投下先の内訳、そして四半期ごとの前年比はこちらに表示してございます。
2017年度 追加投資実績
17年度期初に、それまでの費用に加えて、17年度はeコマースの取扱高の最大化とデータドリブン化に、それぞれ追加の投資を行うという説明をさせていただいておりましたけども、そちらの実績のグラフとなります。
まずeコマース取扱高の最大化につきましては、250億円を見込んでおりましたけども、90パーセント消化の231億円を実施いたしました。90パーセントの実施で、目標としていた数字は超えることができたので、この結果には満足しております。
データドリブン化に関しましては、費用の効率化が行われたこと、また、その後の話し合いによって行わない項目も出てきたこと、期ズレで翌期に持ち越したものなども含め、150億円の見込みに対して、80パーセント程度の実施となり、(投資額は)116億円となりました。
通期 営業利益の増減要因
17年度の営業利益の増減要因をチャートで表しております。
まず16年度は利益が1,920億円ございました。そして17年度に事業を行なった結果、75億円ほど事業で収益が伸びております。
しかしながら、今説明申し上げたeコマース化取扱高への最大化の投資で231億円、データドリブン化への投資で116億円を費用として使いました。
また一過性による要因が210億円ございまして、結果として17年度は1,858億円の営業利益になりました。
期初にガイダンスした内容で言いますと想定よりも上、そして期の途中で上方修正したガイダンスで言うと、おおむね想定どおり真ん中のところで、着地しております。
通期 連結キャッシュフロー
17年度の連結キャッシュフローの状況です。
営業活動によって事業から754億円、投資活動はジャパンネット銀行の連結化によって3,372億円、財務活動は社債の発行等によって717億円が、それぞれのキャッシュフローとして増え、17年度期末時点での残高が8,683億円となっております。
以上が数値面での決算の内容でございました。
Daily UB(デイリーユニークブラウザー)数
ここから17年度のサービスの利用動向について説明いたします。
まずメディア事業についてです。
メディア事業で我々がもっとも重要視しているものが、デイリーユニークブラウザーでございます。これは初めてスマートフォン経由が6,000万人を突破いたしました。全デバイスでのデイリーユニークブラウザーは9,053万人に成長いたしました。
月間アクティブユーザーID数
月間アクティブユーザーID数でございます。
これはデータドリブン化等に効いてくるものでございます。前年同月比13パーセントの4,392万ID数となりました。増えた主な原因は、アプリのユーザーが増えたことによります。
スマートフォン アプリ累計ダウンロード ランキング
そのアプリは、17年度もさまざまな投資を行いまして、たくさんのアプリユーザーが増えました。
第三者機関による調査でありますけれども、日本におけるアプリのパブリッシャーランキングで、他を抑えて、2年連続の1位となりました。17年度、たくさんのユーザーの方にYahoo! JAPANのアプリをダウンロードしていただいたということになります。
広告関連売上収益
メディア事業、広告関連売上収益でございます。
冒頭申し上げました通り、初めて3,000億円を突破しております。
「Yahoo!プレミアム」会員ID数
コマース事業の17年度の利用動向でございます。
「Yahoo!プレミアム」会員でございますけれども、こちらはソフトバンク会員との連携強化により、前年度末比で1.6倍の1,979万会員となりました。まもなく2,000万会員という状況でございます。
ショッピング事業取扱高
ショッピング事業取扱高です。
期初に申し上げた30パーセント台の成長は無事に達成できまして、前年度比31パーセント増の6,276億円となりました。
「Yahoo!ショッピング」年間購入者数
「Yahoo!ショッピング」の取扱高が30パーセント台になった要因でございますけれども、やはり購入する方が17年度も飛躍的に増えたことが、メインの理由でございます。
「Yahoo!ショッピング」取扱高
なぜ増えたのかというのは、先ほど説明いたしました「プレミアム」会員が増えたからであり、プレミアム会員がなぜ増えたのかというと、ソフトバンクとの連携強化というものがございました。
結果「Yahoo!ショッピング」における取扱高の72パーセントが、「Yahoo!プレミアム」会員由来による取扱高に成長しております。
ショッピング広告売上収益
「Yahoo! ショッピング」のビジネスモデルは、広告売上でございますけれども、こちらは2013年、いわゆるeコマース革命を開始した時点に比べて、売上収益が7倍の255億円に成長しております。
オークション関連取扱高
続きまして、オークション関連事業でございますけれども、こちらも初めて取扱高が9,000億円台を突破いたしました。オークション関連取扱高で、9,426億円でございました。
「Yahoo!ウォレット」取扱高
「ヤフオク!」ですとか、「Yahoo! ショッピング」、あるいは「LOHACO」等で使われている決済手段が「Yahoo! ウォレット」でございます。
ヤフーのEコマースの成長に伴いまして、こちらも取扱高が増えておりまして、約1.4兆円の決済手段となっております。
クレジットカード有効会員数
「Yahoo! ウォレット」で使われる決済手段として、今非常に力を入れて取り組んでおりますのがクレジットカード事業でございます。
クレジットカードの有効会員数は「Yahoo! JAPANカード」を発行した時点から約8倍の、468万会員となりました。
クレジットカード取扱高
そしてクレジットカードの取扱高は会員増よりもさらに多い、「Yahoo! JAPANカード」発行時に比べて15倍増の9,546億円、まもなく1兆円になろうとしております。
おおむね17年度に行った投資によって、このような成長を遂げることができました。
以上が2017年の取り組みについての報告でございました。
強みは利用者の行動を一気通貫で押さえていること
ここからは、今年度以降の取り組みについて説明をいたします。
まず18年度から、ヤフージャパンは新体制での経営に切り替わっております。その新体制として、やはりインターネットはまだまだ無限の伸びしろがある、まだまだ社会を変えていく、そして産業としてもまだまだ大きくなっていくと我々は市場を捉えております。
そしてその中において、たくさんのユーザーに利用いただいている「Yahoo! JAPAN」はにしか創れない未来があるし、大きな未来をたくさん創っていこうという思いでおります。
その未来というのをどうやって創るのか、あるいは事業をどうやって大きくしていくのかという作戦みたいなものについて、ここから説明させていただきます。
(スライドを指しながら)ここにある図は社内で「ユーザーのグルグル図」と呼んでおります。何かと言いますと、インターネット上における利用者の一般的なアクションを示しております。
インターネット上においてユーザーはさまざまな情報に日々出会っております。その中から、自分にとって有益であったり興味があると思った情報に関しては、その情報をより詳しく調べるというアクションを行います。
調べた結果、これはぜひ使ってみようというものであれば、無料のものであれば利用というアクションを行いますし、有料のものであれば買うというアクションを行って、かつ買う場合には必ずインターネット上で支払うというアクションが起きます。
そして、その利用したサービスやコンテンツが自分にとっていいものであれば、とてもいい思いをした、あるいは得をした、よかった、またインターネット上でたくさんの情報に出会いたいということで、また上に戻ってユーザーのアクションが拡大・再生産されていくということであります。
これはみなさんも、日常的に行っているインターネット上でのアクションだと思います。
改めて我々が未来を創っていくという時に、我々の強みを考え直しました。その時に、こういうインターネット上における一般的なアクションにおいて、ヤフーはすべてサービスを持っている、そしてそれぞれのサービスがたくさんのユーザーを持っているということが、とても強みになるのではないかと、改めて思いました。
ただ伝統的に、ヤフージャパンは「それぞれのサービスはそれぞれで大きくなってください」というやり方をとっていたんですけれども、これからはよりサービスの連携を強めていきたいと考えております。
サービスの連携を強めることによって、それぞれのサービスを相互に成長させることもできますし、それぞれのKPIを伸ばし合うこともできるということです。
さらにユーザー目線で見ると、こういったユーザーのアクションが一気通貫で体験できるということは、ユーザーエクスペリエンスにおいて大変重要であると考えておりますので、我々としてはこのユーザーが行う一般的なアクションに我々のサービスをプロットさせ、そのユーザー体験を一気通貫にしてサービスを成長させていくということを、まず真摯に愚直に行っていきたいと考えております。
その時に、サービスを成長させる最大のキードライバーが、おそらくデータだと考えております。
ヤフージャパンは伝統的に、それぞれのサービスはそれぞれのサービスでデータを持って、それぞれのサービスを成長させるためだけにデータを使ってきたんですけれども、昨年ぐらいから、いわゆるデータドリブン化への投資を行うことによって、すべてのサービスを1つのデータフォーマットで1つのプラットフォームに収容し、すべてのサービスでそのデータを利活用し、成長させることができるという技術に改まってきております。
データを用いてこのすべてのサービスの連携を強め成長させていき、そしてユーザーには統一的な体験を提供するということで事業を大きくし、そして未来を創っていきたいと考えております。
いわばインターネット上のユーザーのアクションは全張りということでありますけれども、他方、会社としてもリソースは限られていますし資金も限られていますので、この中でさらに的を絞って重点的にリソースを傾斜配分していきたいと考えております。
3つの領域でNo.1を目指す
リソースの重点配分に関して、新体制としてずっと議論してまいりまして、いったん3つの分野のNo.1を目指すことにリソースを傾斜配分していきたいと考えております。
eコマースの取扱高No.1、インターネット広告の売上収益No.1、そしてこれは新規の事業でございますけれども、モバイルペイメントの取扱高No.1ということでございます。
従いまして、ここからそれぞれのNo.1をどのようにして目指すのかということに関して説明をさせていただきます。
eコマース(物販)取扱高の定義
まずはeコマース、とくに物販の取扱高No.1にまずフォーカスして我々はやっていきたいと考えております。
物販のeコマース、我々のサービスにプロットし直しますと、この3ジャンルとなります。
従いまして、今後はeコマース取扱高というのは、この3ジャンルの合算を開示させていただきたいと考えております。
eコマース(物販)取扱高推移
それを17年度で計算し直すと、17年度の物販のeコマースの取扱高は、約1.8兆円でございました。なので、国内No.1になるために、この1.8兆円をどんどん成長させていきたいと考えております。
ショッピング事業取扱高拡大に向けた戦略
その成長のさせ方でございます。
1つは17年度になぜ我々のeコマースが成長したかというと、ソフトバンク会員を含むプレミアム会員での購入者が増えたこと、あるいは購入頻度が増えたことでございます。
結果として、「Yahoo! ショッピング」における取扱高に占めるプレミアム会員の取扱高は75パーセントになったわけですけれども、引き続きプレミアム会員2,000万会員の中で、まだ「Yahoo! ショッピング」や「ヤフオク!」を利用してない方々もたくさんございます。
とくにソフトバンクとの連携強化して以降、まだまだ新規の購入者数という観点でも伸びしろが莫大にございますし、さらに客単価、要するに購入頻度や1回当たりの購入額も、まだまだ大きな伸びしろがございます。18年度以降もプレミアム会員をてこにした取扱高増をやっていきたいと考えております。
それだけではなくて、日本一になるために、まずマーケットプレイスとしての質を引き続き向上させていきたいと思っています。
1つはやはり商品数でございます。なにか買い物に行った時に、ないものはないという状況に引き続きしていくということ、そしてその買い方、とくにスマホを中心としてより便利に買えるように、UI・UXを改善していきたいと考えております。
そしてもう1つ、後ほど触れるモバイルペイメントを基軸といたしまして、オフラインの事業社さんとも、どんどん連携していって、取扱高を伸ばしていきたいと考えております。
インターネット広告売上収益No.1への全体像
続きまして、インターネット広告の売上収益No.1についての我々の作戦の説明をさせていただきます。
(スライドを指しながら)こちらの図でございますけれども、インターネット広告の売上収益をNo.1にするという場合、Yahoo! JAPANですとまずメディアをより大きくする、あるいはメディアパワーをより大きくするということが焦点になります。
従いまして、この逆三角形の一番上でありますけれども、引き続きデイリーアクティブユーザーを、アプリを中心に伸ばしていきます。アプリとブラウザを足すとリーチはもう90パーセントを超えておりますので、そういった90パーセントの方々の1日当たりの訪問頻度を増やすですとか、滞在時間をより伸ばしていただくということをしていきたいと思います。
そしてメディアパワーが増大した上でUI、UXを引き続きいろんな発明を行っていきながら、ユーザーのみなさんに広告をごく自然なかたちで楽しんでいただける、接触していただけるような最適化、最大化を行っていきたいと思います。
ユーザーが増え、頻度が増え、広告の接触機会の最大化が行われて、さらに我々が最後に行うのがその効果の最大化でございます。データドリブン化などでコンバージョンレートを上げていって、広告主にもっともコンバージョンレートの良い媒体はヤフージャパンであるという認識を持っていただいて、益々ご出向いただきたいなと考えております。
動画コンテンツの拡充をさらに推進
この全体の作戦の中で、とくに2018年度力を入れていきたいことを2つだけご紹介させていただきます。
1つはメディアパワー増大のところですね。ここでは動画を今年度たくさん、動画のコンテンツを充実させていきたい考えております。
良質な動画があれば、それを見たいという新規のユーザーも集まりますし、既存のユーザーも、今までは「テキストのニュースだけを見ていたので1日の滞在時間が3分でした」みたいなことも動画化することによって長時間稼ぐということです。
昨日もある事件の実況中継いたしましたし、今日(2018年4月27日)は朝鮮の南北会談も実況中継して、動画のコンテンツも非常に増えてきております。今年度、ここをもっともっと増やしていきたい、結果として滞在時間を増やしてメディアパワーを増大させたいと考えております。
動画広告の拡大が成長ドライバー
そして広告効果あるいは広告の最適化も、やはりキードライバーは動画化だなと考えております。
2017年度はみなさんにいろいろお待たせしてしまったかもしれないんですけども、インフィード広告の動画化等を行いました。
今年度も新たなプレミアム系の動画広告などの新商品を増やしてまいりたいと考えております。これらを行うことによって広告売上収益ナンバーワンを目指してまいります。
「Yahoo!ウォレット」口座数
3つの領域のナンバーワンの最後は、新規事業であるモバイルペイメントでございます。
新規事業と申しましても、我々がこれをナンバーワンになれる背景というものがございます。それがヤフーウォレットの口座数だと考えております。
この数年ヤフージャパンとしましてはeコマースを強化した結果、オンラインにおいて決済をしていただける口座数が4000万近く。すなわち4000万人近くの方が日常的にインターネット上でヤフーウォレットを使って決済してくださっております。
ユーザー感覚で言いますと、いつも使っている決済手段が今度オフラインでもリアルでも使えるようになり、大変親近感のある、あるいはいつも使っている、あるいは既にモバイルペイメントへのチャージの決済手段がつながったかたちで、これをオフラインに進出することができるのではないかと考えています。これが我々がモバイルペイメントナンバーワンになるための最大の強みかなと考えております。
くわえて決済手段としましては非常に簡便な方法であるQRコードやバーコードの方式を用いたいと計画しております。
さらにそのモバイルペイメントQRコード決済はどこから使えるようになります。というのも、実際のユーザー体験では大変重要なポイントでございますけども、ヤフージャパンアプリあるいはヤフージャパンのWeb版は、スマートフォンにおいてリーチ90パーセントでございますから、大半の人(のスマートフォンに)既にあります。もう既に使えますというようなかたちで提供できると考えております。
それで、その対応のスケジュールでございますけども、まず4月に既に行われているのは税金や公共料金の支払いをバーコード決済でヤフーのトップ、アプリから行えるというものでございます。
さらに6月、こちらはいわゆる自分のQRコードをお店で見せるという方式の決済手段の対応を行います。自分のQRコードを見せるということは相手のPOSで読むというものでありますので、かなり大規模なPOSのシステムを持っているコンビニエンスストアさんであるとか。ドラッグストアさんであるとか。そういった大手流通さんのモバイルペイメントが6月に開始いたします。
そして秋頃、いわゆる個店と言われる小さなお店にも対応してまいります。こちらは読み取る決済手段として、お店のほうにこのQRコードの写真が貼ってありまして、それを自分のスマホで読み取って、金額を自分で入れて決済をするというやり方の決済を秋頃対応したいと考えております。
いずれにしても簡便な方法で、簡便なアクセス経路でモバイルペイメントが使えるようになるというのが我々のまず最初の強みでございます。
どこでも使える決済サービスへ
そして2018年度、力をモバイルペイメントに入れるものは導入店舗の拡大でございます。
今申し上げたとおり、簡便に簡単な場所から使えるというのは大変自信を持っているわけですけども、「いつものネットで使ってるヤフーウォレットがオフラインでも使えるようになったんだよね。じゃあ使ってみよう!」ということでお店に行って、そのお店が対応していないという体験になると、ユーザーにとってのガッカリ体験になります。普及するものも普及しなくなってしまいますので、やはり数多くの個店の読み取る型の決済サービスが対応する秋くらいには、この導入店舗をかなり増やしたかたちで決済の対応を行いたいなと考えております。
いずれにいたしましても、オンラインで使われているヤフーウォレット、そしてこれから使われるオフラインのヤフーウォレット、この両方の取り扱い高を合算したかたちで、日本において最大の決済手段、取り扱い高ナンバーワンになるというのが、我々の今考えている計画でございます。
2018年度 新たな挑戦への費用
最後に2018年度の営業利益の見込みについて説明をいたします。
今申し上げた3つの領域のナンバーワンに対して、我々は力強く未来をつくりにいきたいなと考えております。従いまして、それについての費用を新たに計上したいと考えております。
まず広告売上収益の最大化、ナンバーワンに対しては、動画コンテンツ関連への投資などで100億円程度。そしてコマース関連はモバイルペイメントの立ち上げ費用に200億円程度を新たに費用として使いたいなと考えております。
2018年度 営業利益の増減要因
(スライドを指しながら)それらも加味した2018年度の営業利益の見込みをチャートで表示してございます。左から説明させていただきます。
まず2017年度の実績が1,858億円でございました。ただそれには一過性の要因がいくつかございましたので、それらを引くとだいたい1,700億円というのが2017年度で作れた営業利益の実力値かなと考えております。
従いまして、2017年度で行った事業の費用等はこの1,700億円の中に織り込みまして、まず事業を行っていきたいと思います。結果、おそらく2018年度は154億円くらいの増益が事業から生まれると見込んでおります。
そこに対して人材開発への投資で90億円、設備投資等で64億円等の費用の増加が見込まれておりますので、それを引きます。そうしますとだいたい増益した分くらいが、いったん費用増のところで打ち消されまして、2017年度くらいの利益水準が実力値になると考えております。
そこに、先ほど説明した新たな未来へのチャレンジとして300億円程度を使わせていただき、結果として1,300億円から1,400億円くらいの利益で着地させるような、かなりチャレンジングな目標で、2018年度、ぜひやらせていただきたいと考えております。
当然、これだけの投資をして未来をつくっていこうということでございますから、最終的に3つのナンバーワンが実現した暁には、営業利益をとても大きくしていきたいなと考えております。
セグメント別営業利益 構成比イメージ
(スライドを指しながら)そのイメージがこちらにあるものでございます。
まずは、その3つのナンバーワンを達成することによって、営業利益という円を、できる限り大きくしていきたいなと考えております。2020年代に収益化をしたいと考えております。
そして、その売上の構成も収益化する時には変えたいと考えております。今、営業利益という観点で見ますと、メディアの営業利益が2で、コマースの営業利益がだいたい比率でいうと1です。
これを収益化して営業利益自体は大きく膨らんだ際には、メディアとコマースの営業利益の比率は1対1にしたいと考えております。つまり、両方成長させる中でもコマースをより成長させるということです。
さらにここからの挑戦の中で、新たな新規事業も生まれると考えております。その新規事業もただの投資で終わらせなくて、最終的に営業利益としてこのくらいは見えるかたちでやりきりたいなと考えております。大きな比率としてメディアとコマース、さらに新規事業というような3つの営業利益で、2020年代に大きく、収益的にも花開かせたいなと考えております。
途中で申し上げましたとおり、新体制としては「まだまだインターネットは伸びる、伸びしろがある」と考えています。その伸びしろを活用して、ヤフージャパンにしか作れない大きな未来、ヤフージャパンならではのユーザーアクションというものを作っていけると、強く決意を持ってやりたいと考えております。ぜひご理解を賜れればと考えております。
我々としましては、このようなチャレンジングな事業目標を持って事業を作っていくということに関して、株主のみなさんの理解を得ながらやっていきたいと考えております。当然それは一部の大きな株主だけではなくて少数株主のみなさんとも対話をして、よく理解をいただきながらこれを進めていきたいなと考えています。
長く説明がかかってしまいましたけども、私からの説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:2020年代の業績目標、2018年度投資300億円の内訳
質問者1:ご説明ありがとうございました。野村證券ナガオでございます。2点お願いいたします。
まず1点目です。スライドの50番目の202X年度のチャート(セグメント別営業利益 構成比イメージ)の話ですけれども、川邊社長からは、とても大きくというお話をいただきましたけれども、もう少し具体的にどれぐらいの大きさを目指していらっしゃるのかというところについて、教えていただけますでしょうか。まず1点目です、お願いいたします。
川邊:繰り返し申し上げますけれども、大きな費用を使って大きくチャレンジさせていただくからには、最終的には利益もできる限り大きくしたいなと考えております。
ただ、そのイメージですけれども、モバイルペイメントなどは、まったくの新規の事業でございますし、世界的にもそのモデルをやっている途中でございます。
あまり「この段階でこれぐらいの利益」というのを申し上げると、ミスリードを起こしかねないと思っておりますので、できる限り多くというのを2020年代にというので、今は説明とさせていただきたいなと考えております。
質問者1:2点目は、49ページのチャート(2018年度 営業利益の増減要因)です。18年度、新たな挑戦に300億円を費用としてお使いになられるご計画ですけれども、もう少し詳しく具体的に、モバイルペイメントの店舗の拡大にどれぐらい使うでありますとか、メディアのコンテンツの投下にどれぐらい使うとか、300億円の内訳を教えていただいてもよろしいでしょうか。お願いいたします。
川邊:ざっくりと申し上げますと、100億円に動画関連。200億円にモバイルペイメントでございます。100億円の動画関連に関しましては、動画のコンテンツ調達費もございますし、あるいはパートナーとともにオリジナルコンテンツを作る費用もあります。
そしてそれらをプロモーションするといった費用も、そこに含まれるかと思います。
モバイルペイメントは正直に申し上げまして、やりながら構成されていくという感じではあります。現時点で少なくとも18年度にやると決めているのは、店舗の拡大でございますから、ここに大きく費用を作りたいと思います。
そのほかのモバイルペイメントの一般的な費用は、開発費とユーザーインセンティブだと思っておりますけども、このあたりは、やっていきながら見ていきます。実際に実行されていく中で、きちんと情報を開示していきたいなと考えております。
質問者1:クイックにフォローアップを1つ、お願いしてもよろしいでしょうか。
川邊:どうぞ。
質問者:ありがとうございます。そうしますと、両方の新規の投下コストの中にプロモーションコストが入っているわけですけれども、今年は560億円お使いになられたわけですが、今年度は販売促進費としては、どれぐらいを見てらっしゃるのか教えてください。以上です。
川邊:そこはCFOの坂上から。
坂上亮介氏(以下、坂上亮介):前年度の引き続きの販促費のベースでは、今、700億円というのを考えております。これは先ほどの300億円のものとは別で、eコマースの最大化等の販促費です。
質問者1:ありがとうございました。
質疑応答:中長期の投資方針、目指す「No.1」の規模感
質問者2:ご説明ありがとうございました。クレディ・スイス証券のエノシマです。私も2つあります。
まず1つ目が、先ほどのご質問と被るんですけど、50ページの「202X年に利益最大化」についてです。
去年と今年の経緯を見ますと、先行投資が多くて、去年は400億円、今年は(新たな挑戦への費用が)300億円、人材開発投資なども先行投資と見れば、(先行投資の合計が)450億円という数字になるんですが、逆に言うと、2020年代に入るまで結構こういう先行投資がどんどん増えていくような恐怖を一瞬覚えました。
去年も使って、今年も使って、来年もまたさらに増えて、利益はどんどん小さくなるんじゃないかというイメージを一瞬持ったんですけれども、それに関してはどういう、中長期の観点でどんなイメージを持てばいいかを教えてください。
川邊:この新体制は、かなり明確な事業戦略を持って、事業を推進していく体制でありたいなと考えております。
宮坂体制との比較において言うと、これは私自身がCEOをやっていたからよくわかっているんですけれども、やはり宮坂体制においてはスマホシフトというか「スマホシフトにしないと死ぬぞ」みたいな、生き残りをかけた事業展開だったと思っています。
それに対して、宮坂が作ってくれたスマホシフトという土台の上で、きちんと明確な事業戦略を持ってやりたいと考えております。
何を言いたいのかというと、かなりきちんと作戦計画を立てた上で、必要な投資はやっていきたいと思っております。場当たり的に、新しいことをズルズル「これも未来だ」と、どんどんやっていく感じではないと責任を持って言えると考えております。きちんとした作戦計画を持ってやっていくということでございます。
ただし、インターネットというのは、新たなものがどんどん生まれてしまう市場でもあります。明確な作戦のスジを持って行いますけれども、新たなものが生まれようとしているときには、きちんと説明をして、対話をした上で新たなことはやりたいと思っております。
何か新たなものがどんどん生まれて、ズルズル投資がどんどん伸びていくというよりかは、先ほどの3つのNo. 1をやるための投資が明確な理由で増えていく、みたいなことはあるかもしれませんけども、どんどん新たなチャレンジが増えてしまうというイメージは持っておりません。
質問者2:わかりました。ありがとうございます。2点目なんですけれども、(3つの領域で)No. 1というところなんですが、どれぐらいのNo. 1になったら利益を出せるのか。
ちょっと抽象的な質問なんですけど、例えば、今の広告なんかは多分No. 1だと思うんですけど、日本の中では。
でもなかなか伸びなくなっていて、他社で小さいけれども伸びているところはいっぱいあって、No. 1でもなかなか簡単には利益出ない体制になっていると僕は理解しています。
eコマースやモバイルペイメントなんかでも、圧倒的No. 1にならないと、なかなか収益化、利益を大きく伸ばすのが難しいと思っています。
そのNo. 1はどんなイメージなのか、ちょっとNo. 1とか、すごいNo. 1、いろいろあると思うんですけど、例えば(御社が考えているのは)他社が全然追随を許さないようなものでしょうか。
例えば、eコマースの取扱高でも、今、1兆8,000億円ですけど、2番目の会社が御社の半分ぐらいしかないとか、それぐらいにならないと、圧倒的な優位なポジションが作れないと思っています。
No. 1というところをあらためて、どういう定義で考えているか教えていただきたいなと思っています。
川邊:それは事業であり経営者であるわけですので、そのNo. 1は出来る限り多いほうがいいと考えております。ただし、現実的な見方ももちろんしておりますし、まず一旦No. 1に立とうというのが、今の目標感でございます。
そして圧倒的なNo. 1にならなければ収益が大きく生まれないというのは、それは誤解かなと思っております。
例えば、eコマースに関しても16年度一時的にポイント費用を抑えまして、そのポイント費用に対する広告のテイクレートの差益は、ポイントを抑えても生まれることが証明されております。どこかで、ここで益出しをしようと止めれば、そのサイズの中できちんと収益が出せるということを、一旦16年度で確認した上でやっているつもりでございますので、まずはNo. 1に立ちたいと思います。
No. 1になったときのサイズが、ダントツでなかったとしても十分収益が出せるという認識を、私は持っています。
質疑応答:投資効果の発現時期、モバイルペイメントの加盟店目標数
質問者3:JPモルガン証券のモリと申します。私も2点お願いいたします。
1点目が、49ページの(2018年度の営業利益の)増減分析です。現状はおそらく事業の成長による増を固定費の増加でほぼ潰して、先行投資を除いても利益成長は難しい状態になっているのかと理解しました。
新たな挑戦への費用の増減は、戦略を持って使うということなのですが、事業の成長による利益増にお釣りが出るようになってくるタイミングを、そもそもどう考えていらっしゃるのかという点について、1点目教えてください。
坂上:来年度に関しましては、まだ広告の伸びがそれほど高くないということがございます。人材開発投資等の費用をペイするほどの増益ということができておりませんけれども、先ほどの2018年度の新たな挑戦への投資の中をやっていく中で、先行してそのへんの収益化が立ってくれば、既存のところでも、利益が出てくると考えています。
質問者3:今期は結構厳しい状況、どちらかというと厳しい状態と見てらっしゃるという理解でよろしいですか。
坂上:そうですね。広告に関しては、それほど高い伸びは、いまは考えていないところでございます。
質問者3:ありがとうございます。
2点目が、モバイルペイメントについてなんですが、加盟店獲得をやりますということで、秋にかなり増やしたいというご発言でした。何か数字的に目標にされているものがあれば教えてください。また、どうやって獲得していくのか、大手は提携などあると思うんですが、とくにSMEなどどうやって獲得していくのかというところを少しヒントいただけますでしょうか。
坂上:はい。
対応する店舗は、大きいところも小さいところも含め、なるべくたくさんあったほうが良いとユーザー体験上考えております。調べましたところ日本の小売店は、全部で37万店舗ぐらいあるそうです。なので、そこから我々としては人数等逆算して、18年度でいけるところはどこぐらいだと、いうのを考えて開拓をしていきたいなと考えております。
開拓のさせかたですけども、それ用の契約社員みたいな営業を増員させることと、代理店契約を行って一気に増やしていきたいなと考えております。
質疑応答:ロッジ・データフォレストについて、データドリブンの効果
質問者4:エース経済研究所のサワダと申します。ご説明ありがとうございました。
私からも2点ありまして、1点は川邊様、2点目は藤門様にお答えいただければと思っております。まず1点目なんですけれども、今日ここ来る前に見た場所、ロッジですとか、データフォレストですとか、いろんなものを合流させることで新しいものを作るという発案ですね。これは川邊様が発案されたということを取材で伺いました。こういった方法論を組み立てられた、成功体験ですとか、なにかエピソードなどありましたら教えてください。
川邊:はい。まだロッジとか出来て、1年程度ですから、それほどここで申し上げられるような、大きな成果があったかと言えば、まだ出ていないと思います。
ただ、私自身も月に1回ぐらいロッジで勤務してたりするんですけども、やはり、こういうインターネット上でフリーランスで自由な発想で、非常にリーンにものづくりしている人たちがいっぱいいたりしますので、そういう人たちの交流によって、あらたな刺激を受けるなんてことは私を含め多くの社員に訪れると思ってます。
最終的な効果測定は考えておりまして、Yahoo!JAPANのサービスにおいて、新たな機能ですとか、非常にヒットしている機能が生まれたときに、プロダクションの人間を呼んで「どうやって作ったの、どういう発想で作ったの」というのをヒアリングして、それが結局フリーアドレスとか、ロッジとか、そういったものから生まれた発想で、そういった新しい機能が追加された、新しい事業を生み出せたということで評価をしようと思っておりまして、そろそろ、そういうプロセスに入ろうかなと思っております。
質問者4:すいません。ちょっと私の聞き方が悪かったです。過去にこれまでのご経験でそういった成功体験がお有りだったかなと思っておりまして、そういったお話ありましたら、ちょっと教えていただけますでしょうか。
川邊:まず一般的にヤフーでもソフトバンクグループでも、タイムマシン経営と言われることをよくやっております。
昔ですと、シリコンバレーによく行ってそのような環境に身を置いてアイデアをもらうということをやっておりました。私自身も、97年の夏にまだ自分がベンチャーをやっていた頃、シリコンバレーに行ってパブとかに入り浸ってたんですね。どうもインターネットと携帯電話の融合がすごいことになるらしいという話で、日本では全くそんな話されてなかったんですけども、それを持ち帰って自分のやっていた会社を完全にモバイル方向にシフトさせたことがありました。
最近で言いますと、4、5年前、孫(正義)さんとアリババに行ったときに、ジャック・マーもそうですけど、現場の若い人たちが今どんなこと考えてるのっていろいろ聞いたら、今のAlipayみたいなことの原始的なことを話していた。モバイルペイメントをここまでの費用を使ってやることを表明しているのも、そういった刺激が当然あってのことでのございますから、そういったことが過去の経験ではございました。
質問者4:どうもありがとうございます。2点目すいません。(CTOの)藤門様にお伺いしたい点なんです。1年経ってみてデータドリブン単体でのご評価と、課題であるとか、自慢したいことなどありましたら、そういったことを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
藤門千明(以下、藤門):CTOの藤門でございます。
データドリブンのところで言いますと、具体的にいくつかのサービスで実際に成果がでております。個々の成果としてはデータを使ってものすごく事業が大きく伸びるかというと、そうではなくて小さな成果がどんどん積み上がっていって、それが事業貢献している形に基本的にはなっております。
データを使ったいくつかのプロダクトの変化で言いますと、最近「Yahoo!乗り換え案内」で、普段の乗り換え検索の予測だったり、我々が提供させてもらっているTwitterのツイートデータなどを利用して、行き先地がどのぐらい混むかという、異常混雑予測という機能を提供させてもらいました。我々が言うのもなんですけども結構良くできていまして、40ぐらいの媒体のみなさんに紹介していただいたりとか、たくさんのパテントを取らせてもらっています。我々、Yahoo!JAPANでしかできないサービスとか、データを使ってできたのかなと思っております。
全体的な課題間で言いますと、個々のサービスでデータを使って事業を伸ばしたりとか、新しいユーザー体型を作るということが出来始めていますけれども、これからの課題は、先ほど川邊から話がありました通り、統合事業戦略のキードライバーはデータであると考えておりまして、複数の自分の足元にあるサービスのデータではなく、他の領域のデータを使って違うサービスを伸ばすとか、データと一元的に管理していろんなデータを使って違うサービスを伸ばすという、データを復号化して推定するとか、という技術を開発しておりますので、それができ次第サービスがまた違った展開になるのではないかと我々の方では思っております。以上です。
質疑応答:楽天の携帯事業参入までの施策
質問者5:質問の機会ありがとうございます。シティグループ証券の鶴尾と申します。では2つ。
1つ目は楽天さんが携帯事業で参入してくるまで1年半ぐらいあります。それまでに御社は何をなさりたいとお考えですか。もちろん競争上の利用であるでしょうから、可能な範囲で結構ですけれども、ソフトバンクユーザーの囲い込み、クレジットカードの拡大などなど、そして、おそらくポイントの打ち方など容易に想像がつくわけですけども、可能な範囲で教えていただけないでしょうか。
川邊:はい。おそらく楽天さんが参入されると、ソフトバンクが参入したときのような会員の獲得合戦みたいなことが起きるんじゃないかなとイメージしております。そのときに「私はソフトバンクのユーザーで満足している」というようなことを、ソフトバンクとしては状況を作りたいんじゃないかなと思っています。
そのときに我々が役に立てるのは、やはりプレミアム会員がソフトバンク会員とイコールになってますから、そこにおいて買い物体験が良いですとか、あるいはTポイントがたくさん付くみたいな形で、ショッピングにおける日常利用がなされていること。そしてもう1つが今日発表させていただいている、モバイルペイメントです。これも、実際私もいろいろな現金を使わない決済手段を使わせて頂いておりますけども、明らかに便利ですので病みつきに段々なってきます。その病みつきの度合いみたいなものを、楽天さんが参入されるまでの間にできる限り、たくさんのユーザー、ヤフーのユーザー、あるいはソフトバンクのユーザーに教授していただいて置くべきかなと考えております。
質問者5:ありがとうございます。2つ目です。CEOになられて初年度ですから、多くのケースであるように最初は大きくコストを掛けて中期の業績、成長力のスピードアップを取り組まれるという常套手段だと思うんですが、大株主のソフトバンクさんは何年待てる、と考えてらっしゃるものなんでしょうか。
個人的な意見ですけども、例えば1年半後に楽天が入ってくることを考えても、来期もそんなに業績が良くならないような、印象はあります。来期から、成果がでてくるとは思われないんですが、そういう考え方でよろしいですか。
川邊:成果というのは、営業利益で、ということですか。
質問者5:はい、そうです。
川邊:先ほどの3つのナンバーワンというのは前からやっていたものと新しくやるもので、難易度は違いますけども、それぞれチャレンジの度合いしては、数年腰を据えて取り掛かるべきものだと考えおります。ソフトバンク等と入念に打ち合わせをして、楽天の参入から逆算して何年という考えをしている訳では当然ございませんで、1個1個の3つのナンバーワンの事業の難易度などを見ながら、じっくりヤフー単体で腰を据えてナンバーワンになりきりたいなというように考えております。
質問者5:ありがとうございました。
質疑応答:アルタバの株式売却について、中期での営業利益の見通しについて
質問者6:はい。SMBC日興証券のマエダです。2点ございますので、お願いいたします。
1点目はアルタバが、この四半期に御社の株を売却するという宣言をされてますけれども、その後、御社から具体的なアクションが見られないなと思ってます。少数株主の方々にもそれなりにインパクトがでてると思うんですけども、そういったものを念頭に置いて御社としてどういう風に捉えられているのか、それから、可能であったら現状どんな感じで株が放出されているのか、御社側から見えている範囲で教えていただけますでしょうか。
川邊:はい。まず、アルタバに関してですけども、アルタバとは継続的協議は行っております。
我々としましては、やはり会社の事業価値と企業価値の中長期での最大化がもっとも重要なミッションだと考えておりますので、あらゆる手段を適切なタイミングで行っていきたいと考えております。何かの選択をした際には、みなさんに速やかにご説明を申し上げたいなと考えております。
アルタバの株の売ってる内容とか売り方みたいなものに関しては、我々から何か特段申し上げられることはございません。
質問者6:2点目なんですが、中期の営業利益のところ、増やすのはある意味当然かと思うんですけれども、これだけでなかなか投資家の理解は得られるのかなという感じもあります。
例えば、新規事業をある程度回してみて、1年後2年後にはもうちょっと明確に、ある一定段階ではもう少し細かい計画を出せないかということです。
例えば、新規事業を除いて既存事業だけであれば、今のタイミングでも利益の規模感とか目指す着地は見えてくるんですけれども、そのあたり今すぐではなくていいと思うんですが、今後1年ぐらいで、もう少しアップデート可能かどうかというところを教えてください。
川邊:最後に申し上げました通り、新しい体制といたしましても、すべての株主さまときちんと対話をして、事業価値を大きくしていきたいと考えております。適切なタイミングで申し上げられることは申し上げていきたいと考えております。
3つのチャレンジも、前からやっていることと新しくやることが混ざっておりますので、前からやっていることのほうが、恐らくは早めに、何かしら示せるものは示せるようになっていくんではないかなと考えております。
ただ新体制として、事業戦略をあらたに作り直して、あらたなチャレンジをした最初でございますので、かなりまだ未確定な部分もあります。今そういったものを開示するのはミスリードになりますので、かなり事実がはっきりとしてきた段階から、きちんと説明を申し上げたいと考えております。
質疑応答:2012から現在までの施策の推移
質問者7:三菱UFJモルガンのアラキです。今の方の質問と非常に重なるんですけども、宮坂さんが2012年に、2020年までに営業利益倍増と掛け声をかけられて、今それがどうなっているかというフォローアップもないと思います。
実際に、今川邊さんで2年3年後が描けているんだけれども、確度が低いから出さないのか、例えば、2012年にモバイルペイメントは全然わかってなかったと思います。
そのときにもう川邊さんがいらっしゃったとしたら、単なる号令だったのか、ある程度絵は描いてたけれども、投資家には見せられないから引っ込めているのか。
今の方の質問と重なるのは、今期これですよ、来期これですよと続けていくと、時間軸が非常に先々になります。経営者の方であれば見えているのかなと思いますが、その見え度合いがどんなものなのか、正直まったくわからないのであればわからないと言っていただければいいですし、見えているんだけれども角度が低いんであれば、それはそれで教えてほしいなと。
あらためて2020年までの利益倍増計画の実情と、どういう経緯で倍増と言われたのかとか、例えば、Amazonを超えて1兆円のNo. 1になるという話もあったと思うんですけれども、あのようなアップデートも含めて、今の走っている計画との整合性があるのかないのかも含めてお願いできますか。
川邊:わかりました。大変重要な質問だと思いますので、順を追って説明を申し上げたいと思います。
まず利益倍というものを2012年に掲げまして、2010年代でそのように行っていきたいと表明いたしました。
利益倍というのは、2010年代というのは、ちょっとわかりませんけれども、利益倍というのは、当然経営者である限り、旗を降ろすつもりはございません。
ただ、その実行のさせ方は、6年間やった経験を順を追って説明いたしますと、12年からだいたい14年か15年度までは、既存事業をある種絞るようなかたちで、増益をさせてまいりました。
やれたことはやれたんですけれども、2012年は1,650億円の利益で始まりまして、だいたい1,850億円まではそういうやり方で増益させられたと思うんですけれども、やはり既存事業を絞るようなやり方では倍にはいかないというのが、最初の3年間ぐらいでの内部的な総括でございました。
やはり、あらたなチャレンジを起こして、あらたな市場を作らないと、倍まではいかない。かつ、インターネットの市場というのは、ものすごく拡大していってるので、まさにここの場こそ新たな場を掲げてチャレンジするには、もっとも全事業の中でも最適な場所なんだろうということで、14年度か15年度ぐらいから、利益倍に対するアプローチの仕方を変えたという認識でおります。
その変えにいったチャレンジが諸々ございます中で、今日の発表で言いますと、既存事業をもちろん大きくしていくという、もともとやっていたやり方に加えて、3つの分野に、今3つのNo. 1に収れんしていってるのだと考えております。
したがいまして、Amazonを抜くみたいなことも、もちろん諦めておりません。
その中で、未来が見えているのかということに関しては、当然、前からやっていたものに関しては、かなり見えておりますし、新しいものに関しては、作戦のスジはもちろん立てておりますけれども、その作戦のスジがきちんと功を奏するかというのは、やりながら角度を高めていくことになろうかと思います。
広告事業は祖業でございますし、ある程度潤沢なユーザーの中で何をどうすればどうなっていくかは、どちらかというと見えている分野になります。
コマースは、途中からかなり挑戦の角度を上げたので、まだ競合に比べればいろいろな知見が足りないのかもしれません。けれども、先ほど申し上げたように、例えば、2016年度に一次的にポイント費用を抑えても思ったほどユーザーの利用は落ちないですとか、いろいろな実証実験をして、こうすれば最終的に収益が上がるなというような、まさに見えるように自分たちの中では理解できるようにしていきながら行っているつもりです。
モバイルペイメントに関しましては、正直これからの分野です。ただここは、非常に重要だと考えております。というのは、Yahoo!は検索を起点としてほかのサービスを全部広げていきました。
LINEという会社は、サービスはコミュニケーションを起点に、今いろいろなサービスを広げつつあります。こういった何か1つ、一点突破全面展開できるようなジャンルのサービスは、そう滅多に現れないと思っています。
このモバイルペイメントは、久しぶりに現れる分野かなと考えております。今日説明をさせていただき、その理解がどこまで得られるかは、今の対話の中でもいろいろあるとは思います。
我々はコミュニケーションの分野においては、それを正直に言って(チャンスを)逃してしまったという認識のもと、このモバイルペイメントの分野に関しては、こういう一点突破全面展開系のサービスに関しては、二度と逃してはならないと取り組んでいきたいと考えております。
それが最後、どのようなかたちで収益に集結していくかというのは、やっていきながらではありますけども、まずそれを普及させるためのキードライバーはある程度抑えてるつもりであります。
そういうことを収益化しつつある大きな会社が、グループの中にもございますので、そういう知見も取り入れながら、必ず結実していきたいと考えております。
したがいまして、見えているのはすべて見た上でやっているつもりではありますけども、見えている角度はそれぞれ異なります。
質疑応答:モバイルペイメントのインセンティブ、ヤフーショッピングの伸び率
質問者8:2巡目で申し訳ございません。野村證券のナガオでございます。また2問お願いいたします。まずモバイルペイメントをリアル店舗に拡大していく過程において、世の中にはオンラインで使えないポイントはたくさんあります。
大手流通さんが出しているポイントとかあるんですが、例えば、そういったお店にYahoo!のモバイルペイメントが導入されることによって、Tポイントと大手流通さんが出しているポイントのシステムを統合することによって、オンラインとオフラインのポイントをつないで、そうしたポイントを利活用していくことで、データカンパニーとて成長していくとか、今後のTポイントのあり方とモバイル決済と紐付いてたりするのかどうかというところについても合わせて教えていただけますでしょうか。
川邊健太郎 氏(以下、川邊):今のところ、ユーザー体験については、店舗さえ広がればかなり便利に使っていただける、支払いをスマートにできるという自信がございます。今のところ、とくに具体的なユーザーインセンティブは考えてございません。ただ、これが大きく日本の中で普及していく上で、なにかしら既存のインセンティブとの連携っていうのは整理して考えなければいけないかなと考えておりますけども、今なにか、そこのところに明確な、なにか計画はあるわけでは、まずございません。
このジャンル、実は責任者はコマース事業の小澤でございますので、今の回答でも、モバイルペイメント全体に関しても結構ですので、何か一言あればお願いします。
小澤隆生 氏(以下、小澤):はい。改めまして4月からコーマス全般を担当させていただくことになりました、小澤でございます。着座にて失礼いたします。
川邊からございました通り、ポイントというのはあくまでユーザーインセンティブでございます。決済というのは、ものの商品の支払いという、代金の話とそれ対していただくユーザー側からもらえるインセンティブと2つ分けて考えてございまして、インセンティブ部分の設計というものは既存の私どもではお付き合いがあるTポイント中心に当然考えていくことになるでしょう。
ただユーザーからすると、日本はインセンティブプランだったりポイントが相当バラバラになっております。私どもとしては、リアルでお支払いしている現金をいかに少なくして、モバイルというデバイスを中心にインターネットに情報を集め、インターネット上のお財布をヤフーウォレットというものを最大化させていこうといったときに、インセンティブであるポイントプログラムも収斂する方向にいくのか、はたまたポイント以外のインセンティブというものがでてくるのかというのは、中国やインドの事例を研究しながら、どういう形がいいのかなぁと考えております。
ヤフーに置きましては決済とか金融事業が、最後発で実施しておりますので、先行事例、競合を1番後ろで追いかけていると意味がありません。やはり、グローバルの先行事例を見極めながら一足飛びに次の未来を作りにいく方向はなんだろうと。その中でヤフーウォレットという4,000万人使っていただいているところに最適なインセンティブとはなんだろうと、いうのは研究してまいりたいと思いますので、必ずやユーザーにもっとも良い方向でまとめていこうと、こう考えております。以上になります。
川邊:もう1回補足いたしますと、日本でモバイルペイメントが普及するに際して、ポイントのインセンティブをつければ普及するとは、現時点で全く思っていないです。
やはり、それが現金よりも使うことが便利であると、いうユーザー体験を作らない限り、なかなかそこまでは普及しないんじゃないかなと思っています。そして、この現金よりも便利に支払う、スマートに支払うということに関して、ユーザー体験上のイノベーションはまだまだできるというように考えております。
たとえばこう、って言いたいところなんですけども、言うとあっという間に競合に真似されてしまうこともあるので、なかなか申し上げられないんです。支払い体型のスマート化という、誰にも効いてくるユーザー体験をつくることによって、初めてみんなが現金ではなくモバイルペイメントを使おうとなりますし、そこのイノベーションの余地があるので、まずはそちらを頑張ってイノベーションを起こしたいなというように考えております。
質問者8:ありがとうございます。2点目ですけれども、ヤフーショッピングは単体で3年間30パーセントという目標を掲げていらっしゃったかと思います。まずこの目標は継続なのかということと、第4四半期だけを見ますと20数パーセント超の伸びにとどまっておりますので、ここからどのように、その30パーセントの軌道に戻されていこうと考えていらっしゃるのか、方針と言いますか方策も合わせて教えていただけますでしょうか。以上です。
川邊:はい。
今、我々は3位という認識でおりますけども、1位と2位よりも成長率が高くなければ当然1位にはなりませんので、30パーセント内外の成長をしていくという目標で数年というか、1位になるまで続けていきたいと考えております。
その達成の仕方は、今日の説明でもさせていただいた内容ですけれども、正直この数年もかなりやりながら、知恵を絞ってどんどん新しい技を考えてやってってるといます。
確かな筋としては今日説明しました、プレミアム会員がソフトバンク会員とイコールとなってこの方々がまだまだ使える余白があるので、これをオーソドックスにはがんばります。結局、毎期ごと毎期ごとに一生懸命知恵を絞っていろんな手段をどんどん、追加してやっていくということになろうかと思いますけども、これもなんか小澤さん補足ありますか。
小澤:はい。まず30パーセントずっと積み重ねていくと、それなりの数字ですけど、当然アマゾンさんだったり楽天さんだったりもそれなりの角度で上がっていきますから、場合によっては40パーセント、50パーセント伸ばさなければならないかもしれないと思います。
今見えてる施策だけでいくかと問われましたら、私もそうは思っておりません。また、第4四半期は20パーセントに留まったというご指摘ございましたが、恐らくこれはかなり凸凹しながら平均値で30パーセントぐらいを目指していき、ひょっとしたら四半期によっては10パーセントぐらいまで落ちるかもしれないといったようなことです。新しい施策を積み上げて、40パーセント50パーセント伸ばしましょうというような形です。当然ながら事業っていうのは一直線に30パーセントで伸びるわけがございませんので、四半期で凸凹します。
また、昨期の第4四半期は、まさにソフトバンク10倍というのを始めた月ですから、それに対してまた、上振れさせるというのが困難だったりしますので、ズレてくると思います。
話を戻しまして、どうやって伸ばすかと言うと、先ほどのスライドにございました。マーケットプレイスの質がとても重要だと思っております。ポイントに頼ったマーケティングというのは、我々は正直、やりたい訳ではございません。マーケットプレイスの質がまだ他社様についていっていないので、仕方なくポイントに頼るマーケティングというのをやっております。幸いこれをやることによってソフトバンクさんとのシナジーだったり、いろんなメリットもございますので、これが合ううちは続けていく訳ですけども、お客様は究極、ポイントなんか無くたって使うよと。
例えばモバイルペイメントにしてもSuicaは便利だから使う。川邊も先ほど申し上げてた通り便利だから使うという世界にくればポイントの費用はグッと下がります。もちろんそのかわり、物流の費用が上がるのかとか、じゃあ我々どうするんだといった本質的なサービスの質のところでしっかり上げてなければならないんですけども、ヤフーショッピング自体のUI、UXも含めて未だ直さなければならないところがたくさんあります。
また、品揃えに関してどうするんだ、物流は取り込まないのかといったような、当たり前のサービス、マーケットプライスの本質的な質をいかに上げていくかというところが今後の30パーセント(成長を)続けていけるかのキードライバーだと考えております。
質問者8:はい。ありがとうございました。
質疑応答:メディア事業における指標について
質問者9:2順目で申し訳ありません。エース経済研究所のサワダでございます。1問だけ、DAUが重要指標に掲げられているんですけれども、スマホも6,000万まできたということで、結構上限が日本の人口に近づいてきているので、指標性がこれから薄れてくるのかなということを懸念しております。今後この表をまた別のものに置き換えるのかどうか、そういったお考えがあるかどうかについてコメントお願いいたします。
川邊:メディア事業における指標の話だと理解いたしました。
確かにDUBであるとか、DAUに関してはYahoo!JAPANの場合は、ブラウザ版も入れればリーチが100パーセントに近づいてきていると考えております。従いまして段々議論は長さから横に加わって面積の議論に確かになっていくと考えております。ユーザー数に加えて訪問回数、とくに1日当たりの訪問回数、そして、滞在時間。これらの面積が結局は広告の在庫数になってまいりますので、これはまだ、我々も議論中ではございますけれども、そういった面積的な指標に開示するKPIも変えられないかというのは引き続き検討し、適切なタイミングが訪れればそのように変えていくことはやぶさかではないなと思っております。
質問者9:どうもありがとうございました。