2018年5月期第2四半期決算説明会
草開千仁氏(以下、草開):それではまず始めに、この2018年5月期第2四半期の決算に関して、動画でまとめましたので、そちらをご覧いただければと思います。その後に、私から補足説明を加えさせていただきます。
2018年5月期 第2四半期連結業績
動画:株式会社ウェザーニューズ2018年5月期第2四半期の決算をご説明します。21世紀の情報社会においても、気象は私たちの生活に大きな影響をおよぼしています。ウェザーニューズは「75億人の情報交信台になる」を目指し、事業のグローバル化を進めています。
それでは、2018年5月期第2四半期の決算をご報告します。
上半期は、航海気象がヨーロッパ市場を中心にサービス提供数が増加したことに加えて、航空気象ではアジア新興国における新規受注が増加しました。一方で、当初計画どおりに人材強化・システム開発・広告投資を積極的に押し進めました。
その結果、2018年5月期上半期の業績は、売上高が75億5,200万円。営業利益が、11億9,000万円。経常利益が、11億7,400万円。親会社株主に帰属する四半期純利益が、2億1,800万円となりました。
企業向けサービスであるBtoBは、航海気象がヨーロッパ市場を中心として、サービス提供数が増加したことに加え、円安による為替影響を受けたことにより、増収となりました。
さらに、航空気象では、アジア新興国におけるGo or No-Go Decision Supportサービスの新規提供先の増加により、順調に成長しました。また、Weathernews France連結にともなう売上増加の影響もあり、結果としてBtoB全体の売上としては、11.5パーセント増収の45億1,000万円となりました。
個人向けサービスであるBtoSは、モバイル・インターネットにおいて広告キャンペーンなどの引き込み施策の多様化により、累積DAUも増加し、レベニューシェアの中で一部成長があったものの、Feature phoneの減少も影響し、減収となりました。
一方、放送局向けのサービスは、新規顧客を獲得したことに加え、放送局向けのシステム更新のタイミングによる初期型売上SRS(Stage Requirement Settings)の増加により成長し、結果としてBtoS全体の売上としては、6.6パーセント増収の30億4,100万円となりました。
投資面では、次世代の気象データベース・独自衛星・観測インフラなどへのインフラ投資・Weathernews France買収などの事業投資・グローバル展開に向けたセールス、運営スタッフおよびシステム開発力強化に向けたIT人材の獲得・サービス提供ツールの開発など、中期経営計画の重点項目への投資を促進しました。
また、Weathernews Franceにおいて、実績が当初計画より下回って推移していることから、事業計画を再検討した結果、のれんの未償却残高などを減損したことにより、親会社株主に帰属する四半期純利益は、2億1,800万円となりました。
中期経営計画 マーケティング
次に、中期経営計画の進捗をご説明いたします。
2018年5月期は、中期経営計画の2年目として革新性をテーマに、交通気象のグローバル展開を進めています。まずは、マーケティング面の4つの柱に関する進捗を、ご説明いたします。
航海気象においては、6,000隻へのOSR提供を目指します。新たな価値の提供を目指し、船隊計画全体の最適化までを推薦できる、船種ごとのサービス。また、LOOP・T-MAX、二酸化炭素排出量の規制導入に対応したエミッション・ステータス・モニタリングの開発を進め、一部販売を開始しました。
空・陸の交通気象では、グローバルへの展開を目指します。航空気象では、東南アジアのエアラインを中心に、サービス展開が進みました。引き続き、残りのアジア市場を開拓するとともに、ヨーロッパでのセールスとマーケティングを継続します。
鉄道気象では、気象リスクを乗務員にいち早く伝える「通告サービス」が東日本中心に、浸透しました。また、アジア新興国に対しては運行規制基準の策定を競争していく中の取り組みを、継続していきます。
環境気象では、Environment Weather市場の立ち上げを目指します。(2017年)1月に買収したWeathernews Franceのサービス・ノウハウの、グループ全体での活用を目指し、Integrationを進めています。
個人向けサービスでは、日本でのNo.1気象ポータルサイトを目指します。トランスプラットフォーム、ASO・SEO・広告キャンペーンなどの広告投資を通じて、着実にトラフィックが増加しました。UI/UXの継続的な改善・参加型コンテンツの充実を行うとともに、気象会社としての本分である、予報精度No.1を目指します。
さらに、広報的にも戦略を持ってアプローチを続け、アプリランキングでのポジショニングの確立に取り組んでいきます。
中期経営計画 投資
投資面においては、中期経営計画で重点に挙げている項目に対して、積極的に投資し、加えてグローバルに拡大する事業を機能的に展開すべく、サービス・技術開発・管理部門、それぞれの人材のさらなる強化を行います。
投資実績としては、(2017年)7月に打ち上げが成功した独自衛星の「WNISAT-1R」による、北極海の海氷のモニタリングを11月から開始し、バリ島のアグン火山の噴煙観測や、台風5号の観測を行っております。
12月には三井物産と共同出資し、マルフレイト社による不定期船を対象とした、船主と荷主のプラットフォーム型マッチングサービス事業を、ヨーロッパ・アメリカ向けに開始する予定です。本事業を通し、1万隻のOSR提供に向けて、従来の契約になりづらい、スポットオーダーの不定期船へのサービス拡大を目指します。
業績見通しの変更
上記の取り組みの結果、2018年5月期の業績見込みにつきましては、売上高を155億円、営業利益を23億円、経常利益を23億円、親会社株主に帰属する当期純利益はWeathernews Franceの減損の影響を鑑み、10億円と見込んでいます。
株主還元
株主サポーターへの還元としては、「高貢献、高収益、高分配」の基本理念のもと、一時的なWeathernews France減損の影響があるものの、トールゲートビジネスが順調に成長していることから、中間配当を計画どおり50円とします。 気象データをベースにビジネスとの相関を解明した上で、再展開を提供するウェザーニューズの取り組みに、各方面から期待が寄せられています。
ウェザーニューズは、サポーターのみなさまとともに、革新的なアプローチによって、新しい価値創造を進めていきます。
これで、2018年5月期の中間決算説明を終了します。
2018年5月期 第2四半期連結業績
草開:それでは私から、少し補足説明をさせていただきます。
まず初めに、この2018年5月期第2四半期の結果です。動画にもあったとおり、売上面においては、当社の主要事業である航海気象・航空気象の2つが牽引して、前期と比べて10パーセント弱ですが、売上を伸ばすことができました。
BtoSに関しては、主力であるモバイル・インターネットの個人向けサービスに関しては、Feature phoneの市場が継続的に下がり続けています。しかしそれに代わり、モバイルにおいて、今期から広告等の投資や、グロースハック体制でASO・SEOを上げる取り組みを、地道にやってまいりました。
第1四半期同士で見ると(売上高が)下がってはいるのですが、第2四半期(同士)は、前期と比べて上がっております。ですので、これからの成長に、かなり期待が持てるかなと思っております。
この第2四半期だけで見ると、BtoSに関しては、放送局の機器の入れ替え等がいくつかあり、初期型の売上が多少上がりました。これにより、前期と比べて6.6パーセントの増収になりました。
それから、営業利益面に関してご説明します。これは今期32期(2018年5月期)の期初に、中期経営計画の中で、「この32期・33期は、その後の成長に対して、人材等も含めた積極的投資をやる計画だ」とお話ししていました。今のところは、だいたい計画どおりの投資をしております。そういう観点で、前期と比べて、営業利益面では減益になっております。
それから、動画にもあった純利益面においては、今年(2017年)1月にWeathernews France(フランスの気象会社Metnext)を子会社化して、これの減損がありました。この部分が、当初計画よりもかなり下がることになったので、ディスクローズを出しています。
2018年5月期 第2四半期 売上高増減分析
(売上高について)少し、詳細を説明させていただきます。(先ほどの動画で)交通気象・航海気象・航空気象が伸びたというお話をさせていただきました。航海気象は、欧州のバルク船に関して、とくに隻数が伸びました。
これはひとえに、私たちの新サービス(の影響)もあるのですが、ストレートに申し上げると、全世界的に海運市場が、前半戦(上期)はわりと良かったようです。そのため、通常の隻数も伸びました。後半戦(下期)に向けては、航海気象に関しては、(上期と)同様にヨーロッパのバルクおよびコンテナ市場で、新たな隻数増加を見込んでおります。後ほど、また詳細を説明します。
航空気象に関しては、今アジアで総取り作戦を展開しております。従来からマーケットシェアの高い日本・韓国・中国に加えて、今回はインドネシア・タイ・香港・マカオで、新規顧客を獲得することができました。このようなことから、この前半戦は、航空気象を伸ばすことができました。
後半戦も、ベトナム・インドの新規顧客が見込まれておりますので、(売上高は)伸び続けるものと見ております。
2018年5月期 第2四半期 営業利益分析
それから、コスト面のご説明です。今は計画的に投資を行っておりますが、一番大きい投資は、なんと言っても人材に関する投資です。主に、IT関連・データマイニング等の技術者の強化を行っています。
WNI France(の増加数)が21名で、それを含めた合計で約100名弱、前期と比べて人員が増加しています。これはやはり、次なるマーケットに向けた新たなサービス開発技術(のための人員強化)です。それから、マーケティング面の人材の強化です。さらには、グローバル的なマネジメントをしっかりとする、総務などの人材もかなり強化しております。一番多いのは、なんと言っても(新たなサービス)開発関連の人材です。
それから、前半戦は計画的に、BtoSの流入量を増やすための広告を出しているため、そのぶんのコストが増えております。このようなことで、営業利益は、前期よりも減益となりました。
WNI France
続きまして、WNI Franceのご説明です。このWNI Franceは、今年(2017年)1月に子会社化しました。このWNI Franceはフランスにおいて、主に電力・ガス・流通の面、私たちの定義でいう「環境気象」に対するサービスを、行っている会社です。
私たちが、この第4成長期の中でグローバル展開する上で、「海だけではなく、空と陸もグローバルに展開しよう」。このような考えの中で、今は(すでにサービスを)アジアの空・陸で開始しており、ヨーロッパも昨年(2016年)前期より、空(でのサービス)を開始しています。
一方、陸に関しては、日本で(勢力の)強い道路・鉄道に関わる交通気象では、ヨーロッパでは、すでに各国の気象庁などが争っていて、レッドオーシャン化しているのです。
ということで、「ヨーロッパで陸の交通気象を展開する上では、今非常にニーズの高い環境気象(分野)が良いのではないか」と考えました。このWNI Franceは、まさにそこをやっている会社です。このWNI Franceのノウハウを活かして、これ(環境気象)をヨーロッパ、そして日本を中心とするアジアに展開していくことを目的に、今年の1月に子会社化しました。
現在このWNI Franceは、フランス国内に関して言うと、そもそもの買収時の販売計画はあったのですが、一部で代理店経由の販売を行っております。私たちが買収した後に、この代理店における販売計画が、なかなかうまく進まないのです。
もともとWeathernewsは、すべて直販でやっている会社です。自分たちで営業体制を設けている会社なので、「代理店経由は、あまり計画どおりにいかないケースも多いし、うまくいかないのではないか」という考えがありました。そこで、代理店経由から直販に切り替え、そのために新たな営業体制をとることで、当初計画していた売上が先延ばしになりました。これが(当初策定した計画を下回って推移した)大きな理由の1つ目です。
2つ目の理由は、当初このWNI Franceが持っていた電力向け・流通向けのプロダクトは、フランス国内向けでした。これをヨーロッパに展開する上では、言語・地図や、場合によっては気象モデルの変更も行わなければなりません。これに関して、我々が想定した以上に、ちょっと時間がかかることがわかりました。そのため、ヨーロッパに対して販売展開をするタイミングが、遅れました。
このような2つの理由から、今後ヨーロッパにおける環境市場ならびに日本やアジアへの展開が、非常に重要なことに変わりはないのですが、今後さらに成長するために、この遅れた部分をしっかり、減損処理していくのがいいだろうと判断しました。
今回、このWNI France取得に伴う約4億円ののれんおよび、WNI Franceが持っているソフトウェア等(の未償却残高全額を)併せて減損損失として認識し、特別損失として計上するのがいいだろうと判断しました。
なお、このWNI Franceに関して、経理上で不合意等は一切ありません。今後も私たちウェザーニューズは、彼らの環境気象におけるサービスを、よりヨーロッパ・日本・アジアに展開できるように、できる限り開発等を進めます。そして、もう営業体制も整ったので、今後後半戦に向けては、できるだけ早く展開していきたいと考えています。
航海気象
続きまして、航海気象のご説明です。主力であるOSRサービス隻数は、期初の3,000隻から現在3,500隻強まで増加しています。後半戦の航海気象は、新たな船隊全体をサポートできる「LOOP」と、OSRとは直接関係ないのですが、欧州の環境規制に対応した「ESM」という、新たなサービスを投下しています。
これらに伴う隻数増加を、期末には4,400隻と見込んでいます。とくに後半は、やはりEUの調子が非常にいいです。今回、EUに関しては新規顧客(獲得)を見込んでおり、実はもう契約も確定しています。そういう点で航海気象は、景気が悪くならない限りは、けっこう計画以上に(推移して)いくのではないかと期待しています。
モバイル新指標 累積DAU
モバイル・インターネットに関して、ご説明します。従来このモバイル・インターネットは、(指標を)有料会員数というかたちで出していました。ただ、ご存じのように、今はレベニューシェアモデルの売上比率が高くなってきました。このレベニューシェアは、会員を特定することがなかなか難しいのです。そのようなことから、今回より累積DAUを、1つの指標にさせていただきたいと思います。
これ(スライド)は、1日にサービスを利用したユーザー数を、累積したものです。ちなみにこの32期(2018年5月期の)6月から11月末の6ヶ月間の累積DAUは、約4.3億アクセスです。ちょっとぴんとこないかもしれませんので、この6ヶ月間を割ると、だいたい1日当たり240万アクセスがあったかたちになります。
これは前下期と比べて、大きく伸びています。アクセスがあると、レベニューシェアモデルにおいては、ウェザーニューズの単価が上がっていくのです。また、アクセスが多い=単独有料会員が増えることになります。ですので、累積DAUがどう伸びたかということが、ウェザーニューズのBtoSにおける売上が伸びるかどうかの、一番近い指標になるかなと思っています。
モバイル・インターネット
このモバイル・インターネット(の売上高)に関しては、上期同士で見ると、確かに下がっているものの、第2四半期同士で見ると上がっています。それから、レベニューシェアモデルの場合は、売上が2ヶ月遅れくらいでくるものです。思い出していただきたいのは、(2017年)9月・10月に、台風が非常に多くきました。ですので、これらの反映が12月・(2018年)1月になります。そのため、第3四半期ないしはその後の第4四半期(の売上高)は、わりと期待できるかなと見ています。
投資の状況
投資の状況です。設備投資分が増えています。会員向けサービス「LOOP」に関するソフトウェアと、会員向けサービスを行う上での生産性を向上させるための、内部オペレーションシステムの開発を行っています。これらに関する部分(の投資)と、全世界のお客さまにサービスする上での、サーバールームの増設を行いました。この部分(の投資)です。それから従業員数は、先ほどご説明したとおりです。
株主還元
株主還元に関して、私たちの方針は「高貢献、高収益、高分配」という考え方です。ボトムラインからいくと、WNI Franceの減損があるので下がることにはなりますが、本業のTGビジネスは順調に伸びており、この32期(2018年5月期)末も順調に成長すると計画しています。そのため、期初計画どおりの年間配当金基準100円を据え置き、中間配当を50円とさせていただこうと考えています。
業績見通しの変更
通期の業績見通しに関して、ご説明します。売上高および営業利益・経常利益は据え置いています。ただ当期純利益は、先ほどのWNI France分の減損がございますので、10億円とさせていただこうと思っています。
なお売上高に関しては、期初計画で155億円と見ており、今のところは据え置いています。しかし、航海気象が今、非常にいいかたちで推移しています。後半戦で不景気等がないようであれば、もう少し成長できる可能性は高いかなと見ています。
なおこの32期(2018年5月期)は、中期経営計画の2年目の年です。来期33期(2019年5月期)は、さらに売上が成長していくと考えています。そして、33期も継続した投資を行い、34期(2020年5月期)以降、これらの投資が売上成長につながることで、投資も一周りするので、営業利益を30億円台に戻していきたいと考えています。
それから最後に、動画の中でもちょっと触れていましたが、決算短信の一番最後のページに、maruFreight,Inc.の件について触れています。簡単に説明します。今年平成29年(2017年)の12月4日に、三井物産株式会社さんと、合弁会社のmaruFreight,Inc.という会社を設立しました。これ(の読み方)は「マルフリート」ではなくて、「マルフレイト」なんです。
これは、主にバルクキャリアに対して、舶主と船会社とのマッチングをプラットフォームで行う会社です。このようなプラットフォーム型の事業は、みなさんもご存じのUberなどに代表されるように、いろいろなものが世の中に出てきています。
現在のウェザーニューズのサービスは、アプリケーションを通じてお客さまに気象サービスのコンテンツを提供して、リスクコミュニケーターという人によってコミュニケーションを行うものです。
ただ、将来的にはこのようなプラットフォーム型(の需要)も出てくることを想定して、プラットフォーム型ビジネスの経験・技術的な部分を学んでおきたいということが、1つの狙いです。
もう1つは、私たちのOSRのサービスは、長期契約の船に対しては、非常に有効です。なぜかと言うと、航海を通じて、船のパフォーマンス等がどんどんデータベース化されていきます。それが進めば進むほど、次の航海に対して、もっと正確な航海の提案ができるというものなのです。
一方で、だんだん景気が悪くなってくると、船会社はスポット契約になってきます。そうすると、なかなかOSRのメリットが出づらくなるということです。今回、このmaruFreight,Inc.を通じて、スポット契約の場合でもOSRにきてもらえるような、窓口の1つにすることも狙っています。
これらの理由により、今回、三井物産株式会社さんとともにこのmaruFreight,Inc.を設立しました。今後このプラットフォーム事業が、どこまでいくかの先行きは不透明ですが、ウェザーニューズとしては、これに大きな期待をしているということです。
簡単になりますが、以上をもちまして、私からの決算説明を終わりにさせていただきます。
<続きは近日公開>