2017年度上期実績①

伊藤正明氏:お手元の資料、または前のスライドをご覧ください。まずページを開けていただきまして、2ページ。

上期の実績ですが、当期の売上高は2,513億円で、前年同期に比べて3パーセントの増。営業利益は375億円で、同8.3パーセントの増。経常利益は363億円と、7.7パーセントの増。純利益は240億円で、7.2パーセントの増となっております。

各セグメントの状況については後ほど説明いたしますが、売上高はほとんどの事業で販売が好調であったことから、前年比で増収となっております。

利益についても同様に、販売が好調であったことから、現燃料価格の上昇。数字については下側に、円、ドル、ユーロ、ドル112円、ユーロ122円、国産ナフサはキロリットルあたり4万円ということですけれども、前年のナフサは3万3,000円から4万円と上がっておりますが、コストアップを吸収して増益となっております。

2017年度上期実績②

次の3ページは、今申し上げた数字を棒グラフでお示ししておるものでございます。

2017年度上期の主要施策実績

17年度上期の主要施策の実績についてということで、ここにお示ししております。

まず、コア事業の深耕では、ポバール樹脂、北米工場の操業が安定しましたので、日米欧アジアの4極、6拠点ございますが、個の生産最適化、アロケーションの検討を進めております。

アメリカについては、新しいプラントは4万トンですね。日本から買収しました工場は6万3,000トン、合計で10万4,000トンあります。

ついでですのでざっと並べますと、日本は2拠点で12万4,000トン、フランクフルトは9万4,000トンですね。シンガポールが4万トン、合計36万1,000トンということになります。

次に、光学用のポバールフィルムは、当第2四半期より西条事業所の2,000万平方メートルの新設備が稼働を開始いたしました。

また、水溶性ポバールフィルムは、昨年の増強に続きまして、次の増設を決定しました。これは2018年度上期の稼働を予定しております。これをもって、旺盛な個包装洗剤用途の需要に対応していきたいと思っております。

この用途は、15年から16年にかけてはごみ問題がありましたので、一時成長鈍化しましたけれども、この16年から17年にかけては、2桁成長率に回帰しております。非常に順調に伸びております。この需要に対応していきたいということで、先ほどの設備投資を決定したということになります。

技術革新においては、ポバールフィルム、PVBなど、フィルム製品の原料樹脂にさかのぼった開発を行って、高機能化を推進してまいります。

次世代の成長モデルとしては、炭素材料事業で、海外高付加価値市場への展開を狙った営業組織の再編や、コーポレートの研究部門との協業など、事業の拡大に向けた取り組みを進めております。

経営資源の最適配置では、グローバルITシステムを強化の一環としまして、グローバルSAPですね。この導入を進めております。

若干問題もありましたけれども、年内の運用開始に向けて、作業を追い込みにかかっているところでございます。グローバルでは人事制度の共通化を目指して、グローバル人事システムの運用を今年から開始いたしました。

2017年度通期業績予想

17年度通期の業績予想ですが、多くの事業が順調に推移していることから、通期の利益予想はここにお示ししたとおり、上方修正いたします。

売上高は変わりませんが、営業利益は750億円と、50億円の増。経常利益は730億円と、これも50億円の増。親会社株主に帰属する当期純利益は460億円と、40億円の増としております。

売上高・営業利益推移

次のページは、これも先ほどの数字を棒グラフでお示ししたものになります。

17年度の株主還元について

7ページに、株主還元についてお示ししております。

GS-STEP期間中の利益還元としましては、私ども、総還元性向35パーセント以上、1株当たり配当金は36円以上をお約束しております。中間配当としては期初予想どおりの20円としております。

期末の配当は、今の足元の数字からしますと当然増配、あるいは自社株買いをするということが必要になってまいりますが、これについてはまだ時間がありますので、少し検討した上で決めたいと思っております。

そういった意味で、まだ未定という意味で、そこに小さく期末22円、年初通りの42円という数字を書いてますけども、これはやらないという意味ではなくて、当初のお約束どおり、増配にするか自社株にするか、何らかの対応をしたいと思っておりますが、今は未定だということで書いてないとご理解ください。

総括の部分、以上で私の説明を終わります。

セグメント別売上高・営業利益

久川和彦氏:では、引き続きまして、詳細についてご説明いたします。

次のスライドをお願いします。このスライドでは、セグメント別に事業の状況を説明いたします。次のページのスライドに訂正情報も示しておりますので、合わせてご覧いただければなと思います。

まず、売上高でございますけども、ビニルアセテートセグメントで、酢ビモノマーの事象化を今進めておりまして、この影響による売上減がございますけども、それ以外のすべてのセグメントでは増収となっております。

また、営業利益は、原燃料価格の上昇の影響を受けまして微減益しました繊維セグメントを除きまして、すべてのセグメントで増益となっております。

まず、ビニルアセテートセグメントでございますけども、ポバール樹脂は稼働が遅れておりました。先ほども伊藤から説明がありましたけども、米国工場で安定操業を開始しています。また、米国市場を中心に販売量が増加したことで、順調に推移しております。

光学用ポバールフィルムにつきましては、順調に販売量が増加いたしました。また、第2四半期より西条事業所の新設備の稼動を開始しております。水溶性ポバールフィルムは引き続き、需要が旺盛な個包装洗剤用途を中心に、販売が好調でございました。

PVBフィルムは、高付加価値品の拡販が進み、エバールも食品包装用途、自動車ガソリンタンク用途ともに販売量が拡大しました。

イソプレンセグメントにつきましては、ファインケミカル、セプトン、液状ゴムは、原燃料価格変動の影響を受けたものの、堅調に推移いたしました。ジェネスタは、自動車用途、コネクタ用途、LED反射板用途のいずれも数量が伸び、好調でございました。

機能材料セグメントは、メタクリルで樹脂の販売が拡大したことに加え、好市況を背景とした収益の改善を行いまして、好調に推移いたしました。その他、メディカル、クラリーノとも順調に推移し、炭素材料も活性炭事業が堅調に推移いたしました。

繊維セグメントは、ビニロンの販売量が引き続き伸びましたけども、原燃料価格上昇の影響を受けました。また、生活資材は堅調に推移しております。

トレーディングセグメントは、国内医療分野はスポーツ、フォーマル用途で苦戦いたしましたけども、海外事業において、中国で日系スポーツアパレル縫製品を中心に順調であったほか、ベトナムでも昨年行った増強投資の効果がありまして、縫製事業が拡大しております。

また、資材分野は総じて堅調に推移し、樹脂・化成品関連分野は輸出を中心に順調でした。その他につきましても、おおむね好調に推移しております。

2017年度上期主要事業概況

次のスライドに、訂正情報をお示ししております。

2017度上期キャッシュフロー

このスライドでは、17年度上期のキャッシュフローをお示ししております。

まず、営業キャッシュフローにつきましては398億円。投資キャッシュフローはマイナス299億円。結果、フリーキャッシュフローは99億円となっております。17年度上期のM&Aに関わる支出はございませんでした。

設備投資は、米国エバール工場生産設備増強、PVBフィルム韓国工場生産設備増強などにより、前年同期比13億円増の255億円になりました。また、減価償却費は3億円増の203億円、研究開発費は5億円増の102億円となっております。

貸借対照表①(資産の部)

次のスライドをお願いいたします。このスライドでは、貸借対照表の資産の部を、16年度12月末と比較してお示ししております。

まず、流動資産92億円の増加のうち、当第2四半期は有価証券プラス85億円、商品および製品プラス77億円などで、162億円増加しております。残りの約70億円の減少は、主に現金および預金の減少マイナス60億円となっております。

固定資産の32億円の増加の内訳は、有形・無形固定資産の変動によるものでございます。のれん代等、無形固定資産は減少いたしましたけども、設備関連の増加等があり、トータルでは32億円の増となっております。

貸借対照表②(負債・純資産の部)

このスライドでは、貸借対照表の負債・純資産の部を示しております。

流動負債は、未払法人税が約28億円増加した一方で、その他流動負債の設備買掛金や、外貨建てグループ融資のヘッジ評価差額の減、未払費用の減などにより、56億円減少しております。固定負債の増加の26億円は環境対策引当金の増加、プラス31億円によるものでございます。

純資産は為替換算調整勘定が28億円減少いたしましたけれども、利益剰余金の増加などにより、155億円増加いたしました。

なお、自己資本比率は前年度末から0.9パーセント増加し、71.6パーセントになっております。

2017年度業績予想

このスライドで2017年度通期の業績予想について説明いたします。

売上高・利益につきましては、先ほど伊藤が申し上げた通りです。1株当たりの当期純利益は460億円をベースにいたしますと、130円71銭となります。

伊藤が先ほどご説明しました通り、現時点では業績修正に伴う株主還元方法が未定ということで、配当予想につきましては年初の予想を据え置いております。

設備投資の決定ベースは583億円、受入ベースは573億円となっております。減価償却費は9億円増の425億円となる見込みです。研究開発費は、12億円増の210億円となる見込みでございます。

営業利益増減分析

このスライドと次のスライドで、営業利益の増減要因を説明いたします。

まずこの最初のスライドでは、17年度上期と16年度上期の営業利益の差額、29億円の増減要因をご説明いたします。

数量につきましては、エバールヨーロッパで昨年行いました、能力増強、それから光学用ポバールフィルム西条増設の貢献によりまして、10億円の増益要因となっております。

操業度につきましては、ポバール樹脂・水溶性ポバールフィルム・PVBフィルム・メタクリル・メディカルなどの販売量増で45億円の増益要因となりました。

原油価格の上昇に伴って、原燃料コストが30億円の減益要因となりましたけれども、1部の製品では販売価格の調整を実施することができました。

そこにお示ししております、15億円の増益要因となっております。為替につきましては、大きな変動がなく、利益への影響もございませんでした。

償却費は3億円の減益要因、経費その他は研究開発費、物流費などの増で、8億円増加しております。

営業利益増減分析

このスライドでは17年度通年予想と16年度実績の営業利益の差額、72億円の増減要因を示したものです。

数量につきましては、引き続きエバールヨーロッパ及び光学用ポバールフィルムの増設が寄与いたしまして、25億円の増益を見込んでおります。

操業度はポバール樹脂・水溶性フィルム・ポバールフィルム・PVBフィルム・メタクリル・ジェネスタ・メディカルなどの販売量増によりまして、95億円の増益効果を見込んでおります。

為替につきましては、ドル・ユーロとも円安がやや進行するということで、5億円の増益要因となります。

原油価格の上昇によりまして、原燃料コストが70億円の減益要因になると予想していますけれども、販売価格の調整では45億円の増益ということで、差し引き25億円のマイナスとなります。

償却費は9億円の減益要因、経費については研究開発費・物流費などの増で、19億円増加する見込みでございます。

セグメント別売上高・営業利益

このスライドは、今回修正しました17年度の通期予想をセグメント別に16年度実績との対比でお示ししております。

売上高につきましては、すべてのセグメントで前年度比増収となる見込みです。

営業利益は繊維セグメントを除き、前年度比増益を見込んでおります。

ビニルアセテートセグメントは、ポバール樹脂・PVBフィルム・ポバールフィルムが好調を維持しておりまして、エバールも安定した成長を見込んでおります。

この結果、これについては増収増益となります。

なお、光学用ポバールフィルムにつきましては、販売量については増えておりますけれども、西条の新設機を稼働させた影響で、この償却費が発生いたしまして、減益となる見込みとなっております。

イソプレンセグメントは、エラストマー・ジェネスタの販売増により、増収増益を見込んでおります。

機能材料セグメントは、メタクリル・歯科材料が拡大しておりまして、増収増益を見込んでおります。

繊維セグメントは販売増によりまして増収を見込んでおりますけれども、原燃料価格上昇の影響を受けて、減益となる予想でございます。

トレーディングセグメントは樹脂化製品分野がけん引し、増収増益となる見込みです。

その他につきましても、増収増益を見込んでおります。

【トピックス】 <MonoSol社 - 水溶性ポバールフィルム>

このスライドと次のスライドで、トピックスとして事業拡大を続けておりますMonoSolの水溶性ポバールフィルムの成長モデルについて、説明いたします。

当社は2012年に水溶性ポバールフィルムのビジネスを展開しておりました米国MonoSol社を買収いたしました。

これによりまして、液晶ディスプレイ向けの光学用分野だけではなく、水溶性フィルム産業性分野においてもグローバルリーダーになることができました。

買収後、水溶性ポバールフィルムの需要が旺盛な個包装洗剤用途に支えられ、年率約10パーセント強の数量成長を続けておりまして、需要の伸びに対応した供給体制と整えるべく、2013年・2014年・2016年と立て続けに生産能力の増強を行ってまいりました。

先ほども伊藤から説明がありましたけれども、一昨年に起きました個包装洗剤の幼児誤飲問題、この後成長率が一時的に落ちましたけれども、昨年の上期までに対策を完了し、下期からは再び以前のような成長軌道に戻り、事業の拡大を続けております。

今後もクラレグループの経営資源を投入し、当社の強みであるポバール樹脂にさかのぼった研究・開発を行い、フィルムの品質向上や新規銘柄開発をするとともに、グローバルでタイムリーな生産拠点の拡大を行ってまいります。

この度2018年度上期稼働を目指しまして、米国インディアナ州の工場で設備増強を決定いたしました。

【トピックス】 <MonoSol社 - 水溶性ポバールフィルム>

そこの地図にあるブルーのところがロケーションでございます。

このインディアナ州につきましては、すでにポバールフィルムの主要な生産拠点になっておりまして、フィルム生産のインフラが整っているということで、スムーズな設備立ち上げが期待できます。

なお、今回の設備増強によりまして、生産能力は2012年の買収時に比べまして、約1.5倍になる見込みでございます。

今回は需要の拡大にスピーディーに対応すべく、米国主要工場での増強を行いますが、個包装洗剤用途が米国他すでに欧州、日本でも浸透し、また、アジアでも拡販が見込めることから、今後は欧州・アジアでの新プラント建設も合わせて検討していきたいと考えております。

また、今後も洗剤用途以外の新用途の開発、新需要の獲得を積極的に行ってまいります。

新しい需要例として、いくつかスライドにお示ししておりますけれども、一番左に写真、これはシェービングクリームの袋用途でございます。

今年から米国で販売を開始いたしまして、主にホテルのアメニティやトラベル用に使用されております。

真ん中の写真は、消毒材の袋です。プール・水処理場などの業務用として使用されます。

今後もこのように、洗剤以外のホームケア商品、もしくは産業用・工業用などをターゲットといたしまして、水に溶けるというキーワードで顧客に寄り添った開発を行いながら、新しい需要を獲得、新興国へのマーケティング強化による需要成長をしてまいります。

【ご参考】 2017年度上期実績・下期予想

次のスライドからはご参考ということで、まず2017年度上期実績・下期予想をセグメント別にお示ししております。

セグメント別売上高

次のスライドは17年度のセグメント別売上高の上期実績と下期予想を2016年度実績対比でお示ししております。

セグメント別営業利益

その次のスライドは、17年度のセグメント別営業利益の上期実績と下期予想を2016年度実績対比でお示ししております。

以上でございます。