1Q連結業績ハイライト
吉田勝彦氏:2018年3月期の第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比で60.6パーセント増、前四半期比では1.6パーセント減の、1,932億400万円でした。営業利益は前年同期比で2.4倍、前四半期比で19.3パーセント増の、170億6,200万円。純利益は前年同期比で4.5倍、前四半期比で12.6パーセント減の、141億8,100万円となりました。
売上高・営業利益・経常利益・純利益のすべてにおいて、第1四半期として過去最高となりました。これはボールベアリングやモーターなどの事業が堅調に推移したことに加えて、スマホ部品等の出荷が想定を上回ったことによる好影響がありました。
為替の影響は、売上高で前四半期比マイナス38億円、前年同期比マイナス1億円。営業利益で前四半期比マイナス14億円、前年同期比プラス1億円の推計です。
売上高
売上高は、第1四半期として過去最高を更新しました。第2四半期も、需要期を迎えるLEDバックライトおよびスマートフォンに使用されるカメラ用アクチュエータの増加を主要因に、増収を見込んでいます。
営業利益
営業利益も、第1四半期として過去最高を更新しました。前年同期比での増益は、3四半期連続です。第2四半期も、需要期を迎えるLEDバックライトおよびカメラ用アクチュエータの増加を中心に、第1四半期に比べ増益を見込んでいます。
機械加工品事業セグメント
機械加工品事業セグメントについて、ご説明いたします。第1四半期の売上高は、前四半期比で2パーセント減の406億円、営業利益は3パーセント増の104億円、営業利益率は1.1ポイント上昇し25.6パーセントとなりました。
ボールベアリング(左の資料の青色のグラフ)において、引き続き高水準の生産および出荷が続いていますが、ドルに対するバーツ高により、マイナスの影響がありました。ボールベアリングの売上高は、前四半期比横ばいの252億円でしたが、(営業)利益は増加しました。
外部販売数量は月平均で1億8,100万個と、19四半期連続で前年同期を上回りました。また、生産数量は5月、6月に過去最高となる2億6,700万個に達し、5月にご案内した生産性改善による生産能力の増強は、着実に進捗しております。
ロッドエンド・ファスナー(灰色のグラフ)の売上高は、円高の影響もあり、前四半期比3パーセント減の75億円となりました。(営業)利益は、前四半期比で減益となりました。
ピボットアッセンブリー(水色のグラフ)の売上高は、前四半期比6パーセント減の79億円となりました。出荷数量は前四半期比7パーセント減少いたしましたが、当社シェアは80パーセント強を維持しており、安定的に収益に貢献しています。
電子機器事業セグメント
電子機器事業セグメントについてご説明いたします。第1四半期の売上高は、前四半期比で9パーセント減の1,044億円、営業利益は22パーセント増の68億円、営業利益率は1.7ポイント上昇し6.6パーセントとなりました。
モーターの売上高(左の資料の青色のグラフ)は、自動車向けを中心に堅調に推移し、前四半期比で5パーセント増の440億円となりました。
エレクトロデバイスの売上高(灰色のグラフ)は、前四半期比13パーセント減の、513億円となりました。昨年度の第1四半期は、スマホ市場の在庫調整という特殊事情がありました。
しかし当第1四半期は、通常の季節性の範囲内で、大手顧客向けのLEDバックライトの生産が順調に立ち上がりました。今後の需要期に向けて、第2四半期は売上・利益とも、さらに伸びる見込みです。
センシングデバイスの売上高(水色のグラフ)は、83億円となりました。前四半期にミネベア・インテック、旧名ザルトリウスメカトロニクスT&H(Sartorius Mechatronics T&H GmbH)を、3ヶ月分多く連結したことによる特殊要因を控除すると、前四半期比でほぼ横ばいでした。
ミツミ事業セグメント
ミツミ事業セグメントについて、ご説明いたします。第1四半期の売上高は481億円、営業利益は38億円、営業利益率は7.9パーセントとなりました。
これは、カメラ用アクチュエータの生産性が大幅に改善したこと、および新型ゲーム機器の出荷が開始されたことのほか、精密部品・電源・車載・半導体などの事業の収益性がさらに改善され、利益が底上げされたことによるものです。第2四半期も、引き続き好調な需要を受け、売上・利益とも伸びる見込みです。
純利益
純利益も、第1四半期として過去最高を更新しました。前四半期比では減益ですが、前四半期には特別損失として計上した負ののれん発生益・社債の償還損による影響を控除すると、実質的には大幅増益でした。
販管費
販管費は前四半期比で5億円増加し、238億円となりました。売上高販管費率は、前四半期比0.4パーセント増加し、12.3パーセントとなりました。
たな卸資産
第1四半期末のたな卸資産は、3ヶ月前と比べると136億円増加し、1,340億円となりました。これはおもに、新型スマホ向け部品およびゲーム機器において出荷前の在庫が増加したものです。第2四半期は出荷量がさらに伸びるため、在庫水準は適正化していくものと見込んでおります。
設備投資額・減価償却費
第1四半期の設備投資額は107億円、減価償却費は72億円でした。今期はミツミ事業のカメラ用アクチュエータを中心に、設備投資額・減価償却費ともに増加する見込みです。
ネット有利子負債とフリーキャッシュフロー
このグラフは、有利子負債総額から現預金を差し引いた、ネット有利子負債の推移です。第1四半期末におけるネット有利子負債は525億円となり、2017年3月期末から184億円減少しました。
今期は設備投資が増加するものの、利益の拡大によりフリーキャッシュフローは大きく改善し、ネット有利子負債はさらに減少する見込みです。一方で、中期の成長に向けて積極的に、M&Aなども引き続き検討してまいります。
業績予想
これは、2018年3月期の業績予想をまとめたものです。今期は売上高・営業利益・経常利益・純利益のいずれも、過去最高を更新する見込みです。
上半期については、第1四半期に引き続き、主力製品であるボールベアリングの外販数量の増加が見込まれるほか、LEDバックライト・カメラ用アクチュエータ・ゲーム機器が本格的な需要期を迎える見込みです。
このような状況を勘案し、現時点の予測可能な範囲での当社の業績に与える影響について、為替その他の状況を考慮して、業績予想を表のとおり上方修正いたしました。なお下半期については、為替動向および顧客動向の不透明感等を鑑みて、期初計画を据え置くこととしております。
セグメント別業績予想
こちらは、各セグメント別の(業績)予想です。
ミニチュアボールベアリングへの需要は伸びている
次に、当社主力製品であるミニチュアボールベアリングの状況について、ご説明申し上げます。ミニチュアボールベアリングの外販需要は極めて強く、第1四半期の外販数量は19四半期連続で前年同期を上回り、6月の外販数量は過去最高の1億8,700万個を達成しました。
これは自動車・高級家電・サーバー向けで旺盛な需要が続いていることが主要因で、今後も着実に伸びていくと見込んでおります。
一方、おもにピボットアセンブリーやモーターを中心とする内販需要については、足元ではHDD関連の一部減速があるものの、全体としては堅調に推移しております。2016年9月以降、外販と内販をあわせた総販売数量が、生産数量を上回る状況が続いております。
そのため、生産能力を引き上げることが急務となっておりましたが、2016年9月の決算説明会でご説明した、生産性改善による生産能力の増強は着実に進捗しております。5月と6月の生産数量は、過去最高となる2億6,700万個となりました。
なお、本年2月の前第3四半期決算の電話会議でご説明した生産設備の増産投資については、稼働時期を可能な限りうしろ倒しにして、当面は現有設備での生産性改善による生産能力の増強を優先させる方針です。
仮に、この増産投資分を稼働させた場合の生産能力は、2018年5月までに月産3億個の増産が可能と推計しております。
LEDバックライトは期初計画を上回る
次に、LEDバックライトの状況についてご説明します。本年度の第1四半期は、主要顧客向けLEDバックライトが昨年度と異なり、通常の季節性の範囲内で順調に立ち上がりました。
当社のLEDバックライトは、高品質と低コストで堅調な受注を維持しております。また、本年度をもってLEDバックライトの製造設備の加速償却は完了する予定です。仮に、本ビジネスが将来減少することがあったとしても、損益への影響は最小化されております。
今後のスマホ市場におけるディスプレイの動向については、現時点では明言を避けます。当社としましては、高級車向けを中心とした車載用LEDバックライトをさらに拡販する方針です。
それとともに、スマホ市場においては、来年度もLEDバックライトに対する需要は一定程度見込めると考えております。とくに、フルスクリーンタイプのLEDバックライトの開発を継続しております。
ミツミ事業が収益に大きく貢献
次に、ミツミ事業の状況についてご説明いたします。第1四半期の営業利益は期初計画を大きく上回り、前四半期比でも増益となりました。
計画を上回った背景として、5月の本決算で「サブコア事業」と定義した、カメラ用アクチュエータおよび新型ゲーム機器が想定を上回って推移したこと。
これに加えて、コア事業であるミネベアミツミの七本槍の構成製品である、(ゲージ圧・気圧・圧力)センサー、(車載)コネクタ/(タクティール)スイッチ、電源、無線、アナログ半導体のすべてにおいて、収益性が大幅に改善し、ミツミ事業の利益を底上げいたしました。
第2四半期以降、カメラ用アクチュエータおよび新型ゲーム機器は、強い追い風を受けて大幅な出荷増を見込んでいます。また、その他事業についても引き続き生産性の改善を進め、ミツミ事業の収益の安定化に努めてまいります。
このように、サブコア事業で利益を創出しつつコア事業での成長を図る戦略は、順調に進捗しております。
リコー様と共同事業開発契約を締結
次に、(2017年)5月18日に発表いたしました、株式会社リコー様とのベッドセンサーシステムの共同開発契約について、簡単にご説明いたします。
これは、ミネベアミツミのセンサー技術と、リコー様グループのデータ収集技術を組み合わせ、ベッド上にいる人の体重や体の位置、呼吸の状態などの情報をリアルタイムに測定するものです。
まずは、介護施設などを中心に事業を展開していきます。2021年3月期に、国内の介護施設向けで30億円規模の売上を目指します。
今後もミツミ保有技術との融合で、ヘルスケアのほか自動車や社会インフラ向けIoT関連製品の開発を進めており、第3の収益の柱として成長させていきたいと考えております。
わたしからの説明は、以上で終わります。