ビジネスモデル
大津賀保信氏:会社の概要でございますが、当社は医薬品の原薬から製剤まで、その生産体制をベースにしまして、高品質な製品・商品両方の展開で顧客のニーズに対応するということを目的でやっております。
この2017年5月期、この75期の売上の全体の割合としては、原薬部門で59パーセント。製剤部門で40パーセント。一部、健康食品を売っている関係で、これ(その他部門)が1パーセントです。
この製品と商品の区別につきましては、ここに注意書きがございますが、製品というのは自社グループで製造し、品質を保証しているものと、当社の方で常に品質をチェックしているものを製品と言っております。
一方、商品は他社から仕入れして販売するもの。したがって当社では一切手を加えない、仕入れしたものをもともとのかたちで売るというものを商品。大きくこの2つに分けております。
原薬の59パーセントの割合としては、製品と言われるものはだいたい3分の2で、商品と言われるのはだいたい3分の1と。両方ともいわゆるメーカーさんに販売するということで、我々のユーザーは大半が製薬企業ということになります。
製剤部門につきましては約40パーセント。当社の方で作った製剤等は製薬メーカーに販売委託をする。あるいは販売委託メーカーさんから製造を受託するというようなかたちで、この製剤の製品があると。
商品は先ほどお話したように他社から仕入れしたものを売ってるというようなものが商品ということで、84パーセントが製品。16パーセントが商品ということでございます。
当社ビジネスモデルの特長
当社のビジネスモデルの特徴は、やはり原薬と製剤、この両方をやってるということ。このコラボレーションによって情報を共有化することによって、高い情報収集力と提供する能力を発揮できると。
それから、当社グループではいわゆる原薬から製剤まで一貫することも可能であると。それから市場にあった対応が非常にしやすいということが、原薬と製剤のコラボレーションの大きな特徴でございます。
とくに販売については、すべて製薬会社さんに委託販売をしておりますので、当社自身では一切MRを持っておりません。
結果的に言うと、得意な分野の会社に得意な製品を納品しているため、経営資源を製造に集約しており、結果的に固定費も抑制できると。
それから、ジェネリックをやっておりますので、いわゆる新薬開発は一切やっておりませんので、そういう開発リスクは比較的少ないと思っております。
それから幅広い生産品目ということで、どうしてもジェネリックというのは、当社の成長戦略の中にどうしても中心になりますけども。
当社はジェネリックのみならず、新薬の受託、長期収載品の受託、一般薬の受託もけっこうやっております。
これは受託でございますので、この場で「こんな製品を作っている」とは言えませんが、比較的薬局にある「え、この製品を作ってるの?」という製品も作らしていただいております。
多数の品目のカテゴリーを製造することによって、比較的安定的な生産もできるということになりますし、大手メーカーからの製造受託によって、高いレベルの品質製造ノウハウも保有してると思っております。
もともと当社は昔、大東交易という商社部門が主体の会社でございましたので、当社としては、商社機能は比較的大きい力になっております。
自社で生産していない品目でも、国内外における独自のネットワークで他社から仕入れして販売することができると。もともと商社ということであった関係で、いわゆるネットワークが保持されてると。
それから販売先に必要な情報の提供、ソリューションビジネスを展開できるということも当社の特徴かなと。そういう点は他社にない独自のビジネスを形成してると思っております。
当社グループ
なお、これは当社を取り巻く環境ということで、今ほど言ったようなメーカーさんに販売していると。子会社に大和薬品、それから中国に千輝薬業。これは原薬を作っている会社でございますが、一応中間体。最近は最終原薬も今作りはじめています。
それから中国の方に製剤子会社。アメリカの方では市場調査会社を持っているということでございます。
成長戦略のフレーム
成長戦略と進捗状況です。
これは当社を取り巻く環境ということで、市場の追い風と高品質な製造技術をベースにして、現在このような良好な外部環境、高品質な生産体制、国内の積極投資ということで、ジェネリック市場、高薬理市場、それから海外を中心としたグルーバル市場ということで、当社としてはこういうものを今後の成長戦略ということで位置付けております。
重点施策
研究開発の強化と開発・生産能力の増強と投資を継続してると。もちろん生産の効率化ということで、最近はいわゆるロボット化とか、生産を進めるための効率化を現在推進してるというところでございます。
とくに高薬理物質の注力・拡充および海外展開ということで、この6月に高薬理R&Dセンターを竣工いたしました。それで7月の決算発表の時には第八製剤棟を着工しようということを決定して、発表させていただきました。
今年の10月、3ヶ月後に着工する予定で、本格的に動きだすのは来年の末ぐらいだろうと思ってるところでございます。
研究開発の成果 ①ジェネリック原薬
最近の原薬の状況ですが、よく出てくるオランザピン、テルミサルタン、アリプラゾールというものを昨年の6月に収載分。それから今年の6月の収載分ということで、3品目を現在生産して製造販売業者に納品して導入している状況でございます。
今年の12月に新規収載品目としては、現在3品目の原薬の開発をし、すでに準備を整えてるという状況でございます。
研究開発の成果 ②ジェネリック製剤
これは当社の製剤でございますが、冒頭でもお話したように、当社チームは自社販売をしておりませんので、すべて委託販売でございます。
委託販売先はここに書いてあるとおりでございます。ファイザーなり、科研製薬なり、日本ジェネリックという会社に現在は委託販売していると。
こういう製品ですけど、最後には必ず、オランザピンでは最後に「ファイザー」。例えばセルトラリンでは「科研」という名前が当然ついてくるということでございます。
これは先発品名の商品でございます。今年の12月には3成分9規格のものを、新たに薬価収載する予定になっております。
生産体制最適化への取り組み
これは生産体制ということで、ダイトを中心にして子会社の大和薬品、中国の千輝薬業。この三角関係で千輝薬業から中間体の大和薬品で、大和薬品で作ったものを我々が販売するというケースもあれば、千輝薬業から中間体を仕入れて、ダイトで作ったものを販売するというケースもありますし。
最近では最終原薬をダイトに仕入れてそれを売るというケースもありますし、これからとくに力を入れていこうと思っているのは、千輝薬業で作った原薬を中国の方に持って行って、大桐製薬で加工したものをダイトに持ってくるというビジネスを強化していこうということで、現在1品目が、その流れに沿ってスタートしてるところでございます。
原薬はそれですけど、製剤はダイトの分工場で現在、こちらの方を使って、今年の春から生産を開始いたしまして、来年再来年には2、3品目追加していこうということで、設備の増強をしはじめたところでございます。
国内外における生産能力増強投資(1)
これは最近作った設備でございます。2014年の5月に作りました大和薬品工業で約20億円かけた設備でございます。
5,000リッターラインの2系列。実は持っております。現在、生活習慣病を含めた原薬の生産がだいたいほぼフルに動きはじめたところでございます。
こちらの方は、一昨年の10月に竣工しました、ダイトの工場で作った設備でございます。約31億円の投資をいたしまして、こちらの方も乾燥設備と生産設備ということで、こちらの方もほぼ今期はフル生産になるだろうと思っております。
国内外における生産能力増強投資(2)
これは先ほどご案内した大桐製薬でございます。これも2014年の11月に竣工いたしまして、昨年の末にPMDAの認可もいただけたということで、今年に入ってから生産が本格的に開始しはじめたと。
ただ、生産能力は1億錠でございますので、現在この約2、3倍ぐらいのキャパにするための設備投資をスタートしております。
現在は製剤だけでございますが、フィルムコートを含めたかたちで2、3年以内には数品目をこちらの方に製造していこうと。
その原薬についてはできるだけ千輝薬業で作った原薬をこちらに持ってきて、製品化してこっちに持ってこようということを計画しております。
これは高薬理製剤でございます。
第七製剤棟とほぼ同じ時期にできておりますが、約15億円の投資をして、だいたい1ロットあたり15キロから30キロの中規模スケールの高薬理活性製剤の製造ということで、当初はここで研究もやる、それから製剤も作ると。
生産と研究を両方兼ね備えたかたちでは作ったんですが、この2年ぐらいの間に、思った以上にビジネスが増えるということから、研究設備を新たに作って、ここを生産専用の設備にすることにいたしました。
去年の暮れぐらいから少し生産が開始しまして、だいたい来年中には、ほぼこの設備がフル生産になるだろうと予測をいたしております。
高薬理活性製剤への投資
これは今年の6月に竣工いたしました、高薬理R&Dセンターでございます。
これはこの名前通り、とくに高薬理の治験薬、ジェネリックの開発、大手さんからの製造受託を踏まえまして、この6月に竣工いたしました。
先ほどご説明した第七製剤棟で研究もやろうと言っておりましたが、第七製剤棟はやっぱり生産設備に特化しまして、研究の方をこちらにもってこようということで、こちらの方に竣工したと。
ここには研究だけじゃなくて、1キロから10キロの小スケールの製剤もGMP対応できるようなかたちで設備されております。
また、当社の得意な分野であります、原薬の生成とか粉砕とか、そういうところもここでできるような体制を作っていこうということで、原薬の方も一部いじる。
それから、小スケールのものもGMP対応して作ることができるということで、大手さん、ならびに自社のジェネリック開発に、こちらの設備を積極的に使っていこうと思っております。
これは先ほどご説明した、今年の10月に着工予定でございます、約35億円の投資をしまして、来年度末にはだいたい竣工して、生産ができるだろうと思っております。
こちらの方は、能力的には1ロットあたり40キロから70キロの大スケールのものを生産すると。
したがって、1キロから10キロは高薬理R&Dセンター、15キロから30キロぐらいは第七製剤棟、40キロから70キロのいわゆるロットサイズのものはこちらの方でやるということで、大中小の設備を兼ね備えることによって、お客様のニーズに対応していこうと考えまして、この10月に着工しようと考えたわけでございます。
設備投資額・研究開発費の推移
これが当社の設備投資の年間の推移です。もう1つは償却でございます。2011年、20億円のところが現在29億円と、10億円近く償却が増えていると。
設備投資はこの4、5年は、だいたい30億円から40億円ぐらいでしょうか。50億円もありますけども、だいたい3、40億円の投資をして、25億円から30億円近くの償却をしているということでございます。
こちらの線は研究開発費でございます。
この2018年5月期、今期は17億円の研究開発費でございますが、とくに高薬理R&Dセンターは研究開発設備になりますので、こちらの減価償却約3億円がこの中に含まれてきますので、実際の研究開発費は約14億円ぐらいだと思っております。
昨年から見て1億数千万円増えておりますが、どうしても高薬理の製品化の時には、患者さんを使っていかなければならないケースが当然ございますので、通常の製剤の開発費から見ると、けっこう増えるだろうなと予測しております。
グローバル展開
このようなかたちで、アジアの展開、海外のことも踏まえながら、今後進めていこうと思っております。
国内ジェネリック医薬品を取り巻く環境
これは現在の国の方針が、2020年9月までには8割にしようということでほぼ決定しています。
当社の売上推移につきましては、このようなかたちで現在のところは比較的順調に動いていると思っております。
足元における当社の施策
そんなようなことで、ここにお話ししているように、高薬理の生産体制の拡充と、それから早期フル生産の体制と、低コストのプロセス、ジェネリックの製剤開発というものを成長戦略にしていこうというふうに思っております。
決算ハイライト
それでは、決算概要と今期の予想です。この2017年5月期が3億7,984万円でございます。
営業利益、経常利益、当期利益、EPS、配当金はここに書いてある通りでございます。前期比の比較がこちらでございます。
去年の7月に決算発表した数値に対しての差異はここ(右端の列)でございます。若干売上高が足りませんでしたが、利益の方は相対的に増えました。
部門別売上高
これは先ほど言った、製品と商品の区分けでどういう割合になっているかということでございます。
原薬の製品、製剤の製品、これは一応社の製品になるわけですけれども、両方ともだいたい6パーセントと6.2パーセントの増加になっております。
商品は相手の仕入れコストと販売価格とのギャップが出た場合には、どうしても価格的に対応できないというケースがございます。
原薬の商品は残念ながら若干落ちております。ということで、トータルとしてではここに書いてあるように、こういう金額になったということです。
要約損益計算書
これは損益計算書でございますが、売上原価・売上総利益でございます。
売上原価が79.6と、去年が80.1ですから、若干0.5下がっております。
減価償却はちょっと増えたんですが、円高によって原材料が落ちたということで、原価率がやや改善したということでございます。
販管費を含めた営業利益ですが、38億3,200万円。去年が9.8、10.1ということで比較的には増えております。2億7,700万円増加でございます。
営業外の方では、残念ながらマイナスでございますが、とくに為替差損がある程度発生したということから、営業外の損益がマイナスの1億1,100万円ということで、経常利益がここに書いてある通りでございます。
特別損益は逆に、2億9,500万円プラスでございます。
去年はちょっと事故の影響で、火災における損失がありましたが、今期はそれがなかったということでございます。
最終的な法人税を含めた当期利益がごちらです。
去年は優遇税制の関係で法人税が少なかったんですが、今期は通常の金額に戻っておりますので、このような金額になっております。
経常利益の増減分析
これが経常利益の増減分析です。
去年の金額に対して、売上増加によって6億4,500万円の売上高が増えたと。
為替による影響で3億2,500万円、製品のミックスで1億3,200万円。
一方、人件費の増加が5億6,900万円、これは退職給費用が約3億円ぐらい発生しておりましたので、これは一時的なものでございますが、それによって人件費が増加していると。
研究開発費の増加、減価償却費の増加、その他ということで、これが経常利益の増減分析でございます。
要約貸借対照表
これは貸借対照表でございます。
とくに棚卸資産が約15億円程度増えております。品目が増えている関係もございまして、どうしても集中生産、それから品目が増える関係で在庫が増えていくというのが多少気になるところでございますが、一応棚卸資産が増えたと。
一方では、負債の方はですね、短期借入金が15億円、これはあとで出てくる営業キャッシュフローで、稼いだものを借入金の返済に回していると。
それから、純利益につきましては22億円、当期利益から評価等の差額が1億7,000万円、あるいは配当金と差引して22億円増えたということでございます。
来年にはより健全な方向に向かっていると思っております。
要約キャッシュフロー計算書
これは要約のキャッシュフローでございます。
営業キャッシュフローとしては今期は約50億円の営業キャッシュフロー、税引前と減価償却費、その他在庫は多少増えておりますので、差し引きまして、トータルして50億円のキャッシュフロー。
それに対して投資が約30億円、その差額の金額については先ほど言った借入金の返済等で処理したということから、このようなかたちになっております。
2018年5月期 業績予想
この76期でございますが、一応この前期、2017年5月期に比べますと、約25億円、6.6パーセントの増収を見込んでおります。
売上では405億円でございます。営業利益が41億円と約7パーセントの増益ということを見込んでおります。経常利益もほぼ同じようなかたちでございます。当期利益もまったく一緒です。
とくに配当金につきましては、前期は記念配当と75周年の記念配当ということでございますが、今期は従来通り30円に戻させていただいております。
研究開発費は先ほどお話したように、高薬理R&Dセンターの償却に約3億円程度かかるということで、約17億円を見込んでおります。
減価償却は約1億円程度増えるだろうということで、29億2,000万円。
設備投資は先ほどお話しした第八製剤棟の建設をスタートすると。
建設仮勘定で約21億円ぐらいになるだろうということも踏まえまして、設備投資にやっぱり約40億円ぐらいを見込んでおるということでございます。
2018/5期 部門別売上予想
その内容でございますけども、製品、原薬の製品、製剤の製品。原薬は約8億3,000万円の増加で5.7パーセント、製剤の製品は約17億円ということで13.2パーセントと。
残念ながら商品、こちらの方は、仕入れ先との価格の折り合いがなかなかつかない関係で、販売がやや、若干下りるんじゃないかということを推定しております。
トータルとしては405億円でございます。
部門別売上高の推移と予想
これは2013年5月期から約5年間、6年間の製品・商品、製剤の製品、製剤の商品、健康食品と、これを色分けしたものでございます。
扱い費はどうしても相手さんの仕入れコストということと、販売単価との兼ね合いで、ある程度、我々の方でコントロールできない部分が多少ありますけども、製品等につきましては、我々の方である程度主体性を持てますので。
製品は、原薬については105億円がだいたい150億円。約50億円程度、それから、製剤の製品もだいたい91億円から146億円の約50億円程度増えているということでございます。
その他、ここに書かれた通りの内容でございます。
配当予想
ということで、当社は事業価値の持続的増大と、それによる株主のみなさまへの利益還元を経営上の重要な課題としておりますが、今後の成長投資や財務体質の強化を考慮して安定的な配当を重視しているということで、一応1株当たり30円を配当を予定しております。
あとは参考資料ということで、弊社の沿革とか、その他いろいろ書いてありますので、これはまたご覧いただければと思っております。