2016年度決算説明会
脇阪聰史氏:みなさん、こんにちは。本日は本当にお忙しい中、またお暑い中お集まりいただきましてありがとうございます。
今、司会からもありましたが、当社は来年4月1日付で認定放送持株会社に移行いたします。
(当社は)急激に変化するビジネスマーケットに柔軟に対応するため、アニメや海外ビジネスなどの成長分野に特化した事業会社を設立するなど、積極的に組織の改革を行ってきました。
そういう面では、今回のホールディング化は、この流れをさらに押し進めるための機構改革です。詳しくは後ほど説明させていただきます。
2016年度 業績の概要
2016年度の業績の概要です。2016年度はリオ・オリンピック並びにWBCなどの大型スポーツイベントがあり、当社発の全国ネット番組の時間数が大幅に減り、タイム収入が減少となりました。
収益率の高いスポット収入は前年より103パーセント伸びました。全国ネット番組時間数が減ったことで、番組制作費が減りました。そういう面では、費用も減ったということです。
また、アートアクアリウム展をはじめとする65周年記念事業が大変好評でした。これに加えてグループ会社が増収となり、全体的に増収増益となりました。
視聴率は前年度に続き、全日、ゴールデン、プライムで2位。プライム2は15年連続の首位となっています。
ゴールデンに関しては、最後までNHKとの攻防でした。最近、NHKがゴールデンでも非常に視聴率を上げています。とくに昨年度はリオ五輪もあった関係上、上期での視聴率が高かったという面があります。
2017年度の業績見通しと課題
2017年度の業績の見通しと課題です。2016年度にあった65周年記念事業等の大型イベントがないこと、4月編成改変で、当社が年間13本制作している全国ネット枠の土曜ワイドがなくなったこと、ゴールデン帯の視聴率が伸び悩んでいることが影響し、残念ながら減益減収となる見通しです。
このため、2017年度は第一にゴールデン帯を安定させ、全体の視聴率をアップすることが喫緊の課題であると考えています。
この4月編成でゴールデンプライム30パーセントを超える改変を同系列でやり、4月からは『週末ニュース』『サタデーステーション』『サンデーステーション』が始まりました。この種のものはやはり習慣性のものがありますので、そういう面でこれからという感じがいたします。
当社は、とくに大阪では19時台のバラエティ番組の視聴率が低迷しています。このあたりはしっかりと考えて展開を図りたいと考えています。それと平行して、インターネット配信も強化し、地上波TVとの相乗効果を高めていきたいと考えています。
2017年度は現在のところ減収減益の見通しですが、売上・利益ともに、可能な限りの上積みを目指していきたいと思っています。それぞれの業績の詳細に関しては、各担当役員から説明させていただきます。
連結業績
山本:経理担当の山本です。よろしくお願いいたします。2016年度の業績を説明いたします。
連結の業績は増収増益です。とくに利益が大幅に増えています。先ほど社長からもありましたが、2016年度はオリンピックやWBCなどの大型スポーツイベントにより、当社発の全国ネット番組の時間数が減って費用が抑えられたことに加え、収益率の高いスポット収入が大きく伸び、朝日放送個別の業績が大幅な増益となったことで、営業利益が増えました。
過去5年の売上高(連結)
過去5年の売上の推移です。2016年度は2015年度下期からの好調の流れを継続し、増収となりました。
過去5年の営業利益(連結)
営業利益の推移です。2014年度と2015年度が下がっていますが、これは2013年度までのTV視聴率が、ゴールデン帯が3年連続トップ、プライム帯が7年連続でトップでしたが、2014年度にその座を他局に譲るかたちとなったことや、当社が得意とする自動車、金融、飲料からの広告収入が不調で減益となりました。
2016年度は視聴率の順位は横ばいですが、先ほど申し上げたとおり、全国ネット番組時間数の減少により費用が減ったこと、スポット収入が伸びたことで増益となりました。
セグメント別業績
セグメント別の業績です。主力の放送事業は増収増益。ハウジング事業は増収減益です。放送事業とハウジング事業の詳細は後ほど説明いたします。
ゴルフ事業は来場者数の減少に伴うプレイ収入が減り減収となりましたが、前期にあった周年記念事業が16年度はなかったことなどで費用が減り増益となりました。
朝日放送(個別)業績
次に放送事業の業績です。放送事業のメインである朝日放送の業績は、売上は横ばいですが、利益はいずれも大きく増えています。
前期に比べて売上高が増えていないように見えるのは、2016年7月に分社化したコンテンツ事業の売上が、個別の業績に反映されていないためです。
営業利益が大幅に増えているのは前述のとおり、収益率の高いスポット収入が増えたことなどによるものです。
当期純利益が増えているのは、前期にあった繰延税金資産の取り崩しの影響がなくなったことなどによるものです。
テレビ放送事業収入(地上波)
テレビ放送事業収入の内訳です。スポット収入が大きく伸びて、タイム収入の減収をカバーし、テレビ放送事業全体で増収となりました。
テレビ放送事業 業績の背景
ネットタイム収入が減ったのは、先ほどから申し上げている、当社発の全国ネット番組の時間数が減ったことに加え、日曜8時の新番組の視聴率が振るわず、単価が下がっていることがマイナス要因となっています。
ローカルタイム収入が減っているのは、スポンサーに固定費を抑える傾向が強まり、1社提供のミニ枠が減ったことが主な要因となっています。
テレビスポット収入(地上波)
一方で、テレビスポット収入は前年同期比プラス3パーセントとなり好調でした。2016年度の地区透過は前年同期比プラス3.4パーセントで関西のスポンサーからの出稿も好調だったことから、増収となりました。
とくに伸びの大きい第3四半期には、ここ数年低調だった自動車からの出稿が多く見られました。
テレビスポット収入(地上波:業種別20位まで)
次にテレビスポット収入の主な業種別の増減です。全体の傾向としては、1年を通じてエネルギー関連が活況だったほか、家電や薬品も関西に本社を置く企業からの広告収入を中心に好調でした。当社が得意とする通信キャリアからも多くの出稿がありました。
放送事業収入(地上波以外)
テレビ以外の放送事業収入も、65周年事業の効果もあり増収となりました。催し物収入の増収には上期に開催した65周年記念イベント、アートアクアリウム大阪が貢献いたしました。
朝日放送個別でのコンテンツ関連収入が減収となっていますが、これはアニメ、海外ビジネス、ライツビジネスの3事業を7月にABCフロンティアホールディングスを中間持株会社とする4つの新会社に事業分割したためです。
コンテンツ新会社の業績につきましては、お手元の資料には4社連結でABCフロンティア・ホールディングスと記載させていただいています。
ハウジング事業(ABC開発)
次にハウジング事業についてご説明いたします。事業のメインである住宅展示場事業は、日銀の金利政策や政府の住宅取得支援策などもあって、消費者の関心は堅調な状態が続いており、中堅住宅メーカーの新規出店などもありましたが、メーカーごと、エリアごとに業績の振れ幅が大きく、全体としては撤退する数が新規出店を上回ったため、減収減益となりました。
ハウジングデザインセンター・HDC事業では、HDC大阪のイベント集客が好調だったほか、HDC名古屋の開業効果で増収増益となりました。賃貸マンション事業は増収増益です。
連結・個別費用
連結・個別費用はご覧のとおりです。販管費の増加は事業税の税率の変更などによるものです。
テレビ番組費の減少は、テレビ朝日初の大型のスポーツ番組が多くあり、当社発の全国ネット番組の時間数が前期よりも少なかったという編成上の理由で、結果的に番組制作費が大幅に減りました。
連結業績見通し
2017年度の業績は減収減益を見込んでいます。
セグメント別業績見通し
背景をご説明いたします。セグメント別で見ていきますと、主力の放送事業が減収減益見込みとなっており、こちらが連結の業績に大きく影響しています。その放送事業につきましてはこのあと詳しくご説明いたします。
ハウジング事業につきましては、住宅展示場事業で先月(4月)29日、首都圏の神奈川県川崎市にエリア最大級の住宅展示場をオープンしたことで収入が増える見込みですが、費用も増え、増収減益となる見込みです。
今後はこれまで行っていたマンションの賃貸に加え、販売も事業化し、拡大していきたいと思っています。17年度の見通しにはその収益も含まれています。
朝日放送(個別)業績見通し
朝日放送の個別業績見通しです。2016年度にあった65周年記念事業のような大型イベントがないこと、それからテレビ放送事業の業績見通しが厳しいことを背景に売上高・利益ともに前期を下回る見通しです。
テレビ放送事業収入(地上波)見通し
テレビ放送事業の内訳の見通しです。ネットタイム収入は、土曜ワイド劇場がなくなったことで、全国ネット放送枠が減少したことに加え、1月に改変した日曜夜8時の番組をはじめとする当社発の全国ネット番組の視聴率が振るわず、減収の見通しです。
ローカルタイム収入は、『おはよう朝日です』が年度早々、上期分が完売するなど、好調な番組はあるものの、スポンサーの思考がタイムよりスポットに移っていることを背景に、減収となる見通しです。
一方で、スポット収入は民放連が地区透過を前期比でプラス1.6パーセントと予測するなど、引き続き堅調であると見込み、増収の見通しですが、タイム収入の減収をカバーするには至っていません。
放送事業収入(地上波以外)見通し
地上波以外の放送事業収入はご覧のとおりです。
ABCフロンティアホールディングスは、今期から通年での業績見通しとなります。ABCフロンティアホールディングスとAMCの通販事業は増収の見通しですが、スカイAは2017年1月にJリーグ中継が終了した影響で、減収となる見通しです。
連結・個別費用見込み
費用の見込みはご覧のとおりです。テレビ番組費は全国ネット番組枠が減ること、前期にあった65周年記念ドラマなどがないことで、減少する見込みです。
設備投資額と減価償却費
設備投資額と減価償却費はご覧のとおりです。設備投資額の増加は映像コンテンツをさまざまなデバイスで展開するための映像のファイル化およびライブラリー化のためのシステム構築や中継車の交信などによるものです。
配当について
配当について申し上げます。当社は配当性向が30パーセントを下回らないという基本方針を持っていますので、2016年度は業績に連動するかたちで、期末配当を17円とする予定です。
これにより年間配当は前期より8円増え、26円となる予定です。2017年度の配当予想は中間配当10円、期末配当10円の年間配当20円としています。以上です。