コカ・コーラ ボトラーズジャパン会社説明会

ヴィカス・ティク氏:みなさま、こんにちは。このエキサイティングな新会社のCFO兼トランスフォーム責任者を務めるヴィカス・ティクです。

私からは新たなオペレーションモデルと合わせて統合スケジュール、シナジー目標、そしていわゆる財務戦略。すなわち当社がどのように事業成長と株主還元の最大化を実現するのかを説明いたします。

CCBJIの目指す方向性

2016年末頃から統合準備を開始するにあたり、新会社をどのように統合し運営していくのかに関する4つの原則を定めました。

まずは成長志向であること。要は、常に社会に目を向け、顧客起点でシンプルな組織体制のもと、迅速・簡潔な意思決定を行うことを意味します。現に、小さい本社が権限移譲された現場を支援する体制を取っています。また、価値を最大化できる施策を優先して実行していきます。

2つ目は、1つの会社として1つの経営を行うこと。確かにまだ多くのグループ会社が存在しますが、発足初日から1つの営業、1つのサプライチェーン、1つの財務、1つの企画というかたちで機能別の組織運営をしています。すべての統合計画は標準化、シンプル化、最適化、合理化を主体としています。

3つ目は、システムとしての全体最適を目指すこと。日本最大のコカ・コーラ企業として、ボトラー社として1つの声を発し、全コカ・コーラシステムを代表する義務を負うと考えます。他ボトラー社、システム機能会社なども含めて、ボトラー社の代表として、強い意見を発信していきます。

最後は業界リーダーとして行動すること。当社はこの日本の飲料業界全般に渡り、業界の長期的な健全性を確保すべく、リーダーとして果たすべき責務を自覚しています。

当社は、営業部門は顧客起点で顧客と接し、その他の部門は営業部門の支援に徹する組織を設計しました。

また TCCCザ・コカ・コーラ・カンパニーとのパートナーとしての関係を強化・進化させていきます。ともに変革を推進できる分野として、RGM施策、レンディング事業の変革と刷新があげられます。

そしてイノベーションです。日本におけるボトラー体制の簡素化と規模拡大により、コカ・コーラシステムとして、より迅速な意思決定が不可欠です。

システムとして金額シェアを高め、収益を伴う数量成長を推進し、互いの果たすべき責任を強化することで合意しています。

最後は言うまでもなく、私たちの規模が増し、日本全国に技術が行き届くに伴い、より強いイノベーションを促進するという極めて重要な分野でも意見を発信していきます。

統合スケジュール・シナジー目標

ここからは統合スケジュールとシナジー目標に関する詳細を説明いたします。私たちは適切なスピードを持って統合を進め、注力すべきターゲットも明確です。

2020年。CCBJI社は東京オリンピックのホストボトラーとして、世界の注目に値するにふさわしい姿を目指します。今年2017年度は発足初年度であり、基盤固めに尽きます。

申し上げたとおり、すでに機能別組織として運営しています。強力かつ経験豊富なリーダーシップチームを世界標準のガバナンスモデルが後押しします。2018年には、システム機能会社を含めた最適な組織体制への統合完了を目指します。

そしてサプライチェーン分野での投資を継続し、2020年まで、そしてそれ以降の成長を目指します。

昨年9月に発表したシナジー見込みは、3年間で200億円でした。統合準備チームによるさらなる作業の結果、シナジー効果による削減額として2020年までに合計250億円達成の道筋が見えてきました。

これは9月に発表したものより50億円高い数字です。これらのシナジー効果はサプライチェーンと調達主体で創出される見込みです。表からもおわかりいただけます。

しかし、2020年にとどまりません。中期計画に織り込んだ累計800億円の戦略投資が、先ほど申し上げたシナジー効果250億円達成に貢献するだけでなく、2020年から2023年までにさらに50億円創出します。

これらのシナジー効果創出においても、またサプライチェーン施策主体で、物流や配送ネットワークを全国規模で最適化することによるものです。

これらの施策はCCW(コカ・コーラウエスト)社およびCCEJ(コカ・コーライーストジャパン)社が、すでに過去数年間で実施してきた実績に裏付けられていることから、2020年以降のシナジー効果達成の確信を高めてくれます。

情報システムの統廃合

しかし、実現させるためには、情報と意思決定を後押しする制度の一元化を通じたプロセスの標準化、ビジネスサポート機能の拡張、1つの情報源の確率による経営陣の迅速かつ情報に基づいた意思決定が不可欠です。

この戦略の基盤要素として現在計画しているのが、世界標準のERPシステム「Coke one」のCCBJI全社展開です。

2017-2020年度営業利益成長計画

それでは2017年度から2020年度までの営業利益成長計画を説明します。まずは中期の見通しです。ウエスト社、イーストジャパン社両社が統合していたとみなしたプロフォーマでは、2016年度の営業利益は400億円、営業利益率は4パーセントとなります。

当社が今後3年間の成長戦略として注力する分野は2つ。売上高成長に向けたあらゆる施策とシナジー効果の創出です。

当社の中核事業であるコカ・コーラ事業では、今後3年間で売上高、年平均成長1.5パーセント。2020年には2パーセントの達成を目指します。さらに、すでに申し上げたとおり、250億円のシナジー効果を創出します。同じくヘルスケア・スキンケア事業では、3年間で30億円の営業利益の増加を見込んでいます。

すでに、みなさまのほうで見込み済みかと思いますが、旧CCW社の3月31日の株価に基づくのれん償却額は、1-12月ベースで54億円程度です。これらの数字は現在採用している日本の会計基準に基づくものです。

現在、国際会計基準IFRSに移行した場合の長所・短所を含めた検討をしています。IFRSに移行した場合、当然これらの数字や目標も変わってきます。

2017年度 プロフォーマ営業利益予想

では、2017年度プロフォーマの事業計画を説明します。これらの数字はCCWS社とCCEJ社が2017年1月から投降されていたものと仮定し、また2016年度の実績も同様の基準で見積もって比較したものです。

連結された両社の2016年度の堅調な勢いをもとに、両社を合算した2017年度の営業利益予想は420億円になります。

2017年度にはさらに40億円がシナジー効果やその他統合効果として見込まれるものの、4-12月の9ヵ月間ののれん償却額40億円と相殺されます。

結果、プロフォーマベースの2017年度の当社営業利益予想は420億円です。

2017年度業績予想(財務報告ベース)

昨日発表した財務報告ベースでは、ご存知のとおり2017年度のCCEJ社の第1四半期分の業績を除いたもので、営業利益予想は401億円となります。

財務報告ベースはCCW社単体での前年通期実績との比較である旨、ご留意願います。コカ・コーラ事業とヘルスケア・スキンケア事業の内訳はスライドの下段でご確認いただけます。

CCW社・CCEJ社ともに、それぞれの第1四半期の業績はすでに発表済みであり、本日は詳細の説明は割愛させていただきます。

プロフォーマベースの第1四半期の連結業績は堅調な営業利益の成長が、収益重視の営業活動・コストの最適化と、費用の期ズレによることが確認できます。

残り通期も収益重視の営業活動とコスト意識を維持することで、事業計画達成を目指します。

価値向上を目指す財務戦略の枠組み

最後に、価値向上に向けた財務戦略についてお話します。

枠組みの根底となる重点事項は安定的なフリーキャッシュフロー創出に向けた利益成長、成長およびシナジーを実現する投資の実行、効率的な資本構成の確立とROE改善に注力した株主還元の充実です。PL目線では売上高と利益率を注視します。

売上高は連結ベースで2020年まで年平均1.8パーセント増加、2020年以降は2パーセント以上を目指していきます。

すでに申し上げたとおり、営業利益率は現行の4パーセントから2020年までに6パーセント、そして2020年以降は8パーセントを目指すべく、すべての施策は売上高成長とシナジー効果を中心にすることで、収益性とキャッシュフローの創出の最大化を狙います。

成長およびシナジー実現に向けた投資

当社の規模と安定的なキャッシュフロー創出力で、2020年までに必要な設備投資ニーズをまかないます。

ご存知のとおり、売上高の4パーセントを通常投資として主に自販機・製造・物流関連の投資に当てています。

さらに、売上高の2パーセントを戦略投資として主にサプライチェーンやITシステムの投資に当てています。それでもなお、追加の投資機会に対応する十分な余裕があります。

効率的な資本構成確立とROE改善

とはいえ、投資家のみなさまへのリターンを向上させる、さらなる努力の必要性も認識しています。当社の資本構成のほとんどは自己資本で、純負債が少ないのが現状です。

明らかに債務負担余力を活用し、より効率的な資本構成を確立し、資本コストを最小化できる機会があります。

モデル上は債務をEBITDAの2.5倍まで引き上げても、現状の投資格付けを維持できることが示されています。

ROEが株主還元の指標として日本で重視されていることは認識しています。

この先とくにROE改善に注力し、2020年までに6パーセント、2020年以降は8パーセント以上を目指します。

2017年度 株主還元

2017年度の配当は安定配当を配慮した1株44円、配当性向40パーセント程度を予定しています。年度末の発行株式数にも左右されるかと思います。また、長期保有優遇制度を含む株主優待制度を導入しました。

ここまでの内容を要約しますと、あらゆるアプローチからの価値創造の一環として、まず売上高成長と利益率の改善をもたらすあらゆる取り組みから着手するとお話ししました。

これらを実現するカギとなるサプライチェーン分野での戦略投資や、業界最高水準の実行力とケーパビリティに関しては、吉松から説明がすでにありました。

正味250億円のシナジー効果を2020年までに、さらに2023年までに300億円に向上させることを目指します。

そして、資本構成や債務余力を定期的に見直し、株主還元を最大化しつつ、財務戦略の柔軟性を維持しながら、国内だけでなく海外への進出機会を探る所存です。それではここで吉松に登壇願い、締めをお願いしたいと思います。

あらゆるアプローチで価値創造

吉松民雄氏:本日の説明会のまとめをさせていただきたいと思います。

まず主要指標として、2020年に目指す目標です。

売上高の年平均成長率は1.8パーセント。清涼飲料市場において販売数量シェアを上回る金額シェアの拡大を目指し、トランザクションでは収益性の高い小容量パッケージの成長を実現します。

また、EBITDAマージンは2020年に10パーセント以上、ROEは6パーセント以上を目指します。さらには、この目標を実現した水準で満足するわけではありません。

我々は2020年以降もたゆまぬ成長と改善の努力を進め、名実ともに世界最高水準のコカ・コーラボトラーを目指してまいります。

コカ・コーラウエスト、コカ・コーライーストジャパン、そして世界のコカ・コーラシステムの中で実績を上げてきたリーダーシップチームが成長にコミットし、私たちの経営の原理である顧客起点と地域密着を徹底的に行い、売上高で世界第3位のコカ・コーラボトラーとして、そのレベルにふさわしい収益性と株主還元を実現していきます。

これがコカ・コーラボトラージャパンという会社が設立されたまさに本質、言わば核心であります。

CCBJIの誕生は時期にかなったものであり、私たちは成長の機会を確実に捉え、収益改善を伴った成長を実現する計画を戦略を持って、スピード感とともに実行してまいります。

CCBJIの発足から2ヵ月あまり、さまざまな課題もありますが、本日説明した成長に向けた施策の一部は実行され、すでに成果を出しつつあります。

引き続き、みなさまの当社と清涼飲料業界へのご支援をいただければ幸いであります。私からの説明は以上で終わります。

ご清聴ありがとうございました。