2016年度決算説明
岡藤正広氏:みなさん、どうもこんにちは。岡藤です。他商社の決算公表が集中する中で、お集まりいただき、ありがとうございます。
2016年度決算がまとまり、5月2日に公表しました。加えて、Brand-new Deal 2017の最終年度、2017年度の計画を公表しました。
私より3点申し上げたいと思います。
まず、1つ目は当期の決算です。連結純利益は前期比47パーセントアップ。1,118億円増益で、当社市場最高益の3,522億円でした。
売上総利益も1兆935億円と過去最高。一過性を除いた基礎収益も約3,700億円と、4,000億円に迫る過去最高益でした。
とくに事業会社の黒字会社比率は、過去最高の86.4パーセント。連結対象の事業会社268社中、73社が過去最高益を達成しました。黒字会社利益も3,574億円の過去最高益でした。
事業会社の地道な経営改善が、着実に成果をあげていくと思っています。
また、実質営業キャッシュフローも、過去最高の4,200億円となり、堅調なキャッシュフローを伴った史上最高益でした。
収益基盤の拡大が着実に進む手応えを感じています。
一方、BS面では連結株主資本が、過去最高水準の2兆4,019億円でした。株主資本比率も過去最高の29.6パーセントになりました。
さらに中期経営計画。Brand-new Deal 2017で掲げた、財務体質強化の指標の1つ、NET DER1倍への回復も、1年前倒しで達成し、過去最も低水準の0.97倍となりました。
ROEは、他商社に比べ高い水準である15.3パーセントとなりました。
続いて2つ目は、来期の計画並びに配当です。
当社は2011年度からの中期経営計画。Brand-new Deal 2012。その後のBrand-new Deal 2014において、いずれの年も期初計画を達成してきました。
続くBrand-new Deal 2017では、我が社のさらなる飛躍を期し、初年度は将来懸念を一掃。2016年度は期初計画を達成した上で、懸念を早めに払拭し、経営の低重心化を進めました。
最終年度となる2017年度は、盤石な体制のもと、連結純利益計画を4,000億円としました。不透明な経営環境ですが、有言実行で必ず達成していきます。
来期の配当も、下限保証を引き上げ、過去最高額かつ、前年比9円の増配となる64円としました。
利益成長を株主のみなさまとともに、享受していきたいと考えています。
3つ目は、中期経営計画のサブタイトルに込めた思いです。今般、サブタイトルを「進化する無数の使命、成長 その先へ」としました。
持続的な成長を追求していくことはもちろん、時代が要請する三方よしの精神を、企業経営で実践することが、当社の使命であると明確に位置づけ、単なる利益争いではなく、成長の質や働き方。
これからの時代に求められる経営のあり方など、さまざまな面で商社新時代をリードし、総合的な観点から、持続的な企業価値の向上を目指していくとの意味を込めています。
以上、2017年度は現中期経営計画Brand-new Deal 2017の、ゴールの年であると同時に、次期中期経営計画につながる重要な年です。
新たなステージでの、当社のあるべき姿について全社一体となり、検討をはじめました。
さまざまなステークホルダーに耳を傾け、具体的な施策を次期中期経営計画に盛りこんでいきたいと考えています。
私の方からの報告は以上です。続いてCFOの鉢村より2016年度決算についての説明に入りたいと思います。
ありがとうございました。
司会者:続きまして鉢村CFOお願いします。
鉢村剛氏:CFOの鉢村です。
それでは私より、2016年度の決算の詳細について、決算説明資料に沿ってご説明をします。3ページをご覧ください。
2016年度 当社株主帰属当期純利益(連結純利益)
先ほど社長の岡藤より説明がありましたが、当社の好調な業績を示す過去最高の数字が列挙されています。
当社株主帰属純利益の3,522億円。売上総利益の1兆935億円。持分法による投資損益1,852億円。
一過性損益を除いた基礎収益の3,700億円。事業会社損益の3,286億円。それから黒字会社比率の86.4パーセント。
いずれも重要なPLの指標で、業績の堅調さを示す過去最高の数字です。下段に記載している一過性損益は、ネットで130億円の損失でした。
内訳はページの26に記載していますが、3月の末に国会を通過したタックスヘイブン税制の改正の影響。
並びに3月末の減損処理に伴う損失、その他個別案件の引き当てなどをしました。
個別の明細は書いてあるとおり、第4四半期に500億円弱の損失を計上し、年間では約180億円の損失でした。
これを除いた基礎収益は、前年度の3,150億円から3,700億円に550億円増加しました。過去最高です。
この中には、年平均の為替レートが前年度比12円28銭の円高になったとことによる、マイナスで140億円の税後インパクトもあり、基礎収益力の拡大という意味では極めて強い決算でした。
さて、好調な事業会社収益につき、若干補足をすると、社長の方からご説明があったとおり、連結会社の営業対象の208社のうち、73社という27パーセントの会社が過去最高益を達成しています。
これに加え、20億円以下を稼ぐ中規模の事業会社が、この268社中200社あります。実に75パーセントを占めているわけですが、ここからの貢献が870億円です。
当社の特徴の各分野に分散したポートフォリオが、堅調な収益基盤を構成しており、削る、防ぐといった、きめの細かい低重心経営を着実に実行した成果だと考えています。
セグメント別 当社株主帰属当期純利益
続いて4ページ、セグメント別の当社株主帰属当期純利益です。ここについて、ご説明します。
まず食料分野はドールの経営改善が予定通り進み、採算が改善し、食料流通関連事業の日本アクセスも取引先別の採算管理を徹底するなどの行動により、最高益を計上しています。
ユニー・ファミリーマートに関わる取り込み損益の増加等があり、昨年の減損の反動等もあり、前期比で450億円増益の705億円となっています。
下にある、その他および修正消去の中に含まれているCITIC関連の収益ですが、昨年度から1年分、年間の取り込みをはじめたので、224億円の増益となる629億円となりました。
それから3点目は、一昨年度赤字でした金属分野ですが、鉄鉱石、石炭価格の上昇に加え、一昨日年度の減損の反動により、前期比619億円増益の452億円となっています。
繊維、機械、エネルギー、化学品、住生活、情報、金融分野。
これは、それぞれ一過性の損失や反動等による増減が含まれた数字になっていますが、それぞれの分野が基礎収益ベースでは、増収となっており、全社として最高益となる3,522億円の達成に貢献をしています。
なお、下段にあるとおり、非資源利益の比率は91パーセントとなっていますが、資源価格の上昇と、過年度の一過性損益の反動のために、前年対比で資源の利益の比率は9パーセントに上昇しています。
資源分野の総資産の比率も弊社の中では、10パーセントから15パーセントで長い間推移をしており、当社はボラティリティの高い資源利益に依存をせず、生活商品を中心とした景気変動リスクに強い経営基盤に立脚をしています。
キャッシュ・フロー
続いて5ページ目をご参照ください。営業活動によるキャッシュフローは、期末に運転資金が増えた分野が、機械、それから住生活です。
そのために3,900億円となっていますが、これはほぼ4,000億円で、2013年度以降安定的に4,000億円を稼いでいます。
運転資金を調整した実質営業キャッシュフローは、過去最高の4,200億円です。厳選された投資を行うという方針のもとで、投資キャッシュフローは実質ベースで1,200億円でしたので、計画を大きく上回る3,000億円の実質フリーキャッシュフローを創出しています。
中期経営計画では、毎年1,000億円以上の実質キャッシュフローを創出する計画ですが、2016年度は想定以上の実質フリーキャッシュフローが生じました。
よって約束したとおりの配当金を支払い、一定の有利子負債を返済した後の、余剰部分に関しては株主還元をさらに充実させたいと考え、新たに300億円の自己株取得を実施しました。
なお、このページにおいて、株主還元額を990億円として記載していますが、16年度の決算を踏まえて5月8日に実行した自己株取得はここに含まれていません。
これを含めると、16年度決算上は有利子負債をグロスベースで2,500億円返済をした上で、約1,300億円の株主還元を実現したことになります。
財政状態
次に6ページをご覧ください。力強いキャッシュフローの創出を背景にし、さらに手元現金の水準も下げることにより、グロスの有利子負債を約2,500億円減少させ、ネットの有利子負債は2兆3,307億円でした。
一方で、株主資本は積み上がり、過去最高額とほぼ同じ値の2兆4,019億円となり、株主資本比率は過去最高の29.6パーセントになりました。
その結果、ネットのDERも改善し、CITICの投資を実行する直前の水準である1倍の水準を下回ることになりました。過去最も低い水準である0.97倍です。
また、グローバルな指標であって、かつ市場の関心が極めて高いROEは、一過性の損失を計上した15年度の10.4パーセントから大きく回復しました。
中期経営計画で示した13パーセント以上を大きく上回る15.3パーセントとなりました。この数字は他商社が追随できない水準だと考えています。
実質的なフリー・キャッシュ・フローの黒字継続
続いて、17年度の経営計画から1点だけ申し上げます。11ページをご参照ください。
実質的なフリーキャッシュフローは、引き続き堅調な営業キャッシュフローの創出と、厳選された投資を実行するという方針にのっとり、2017年度の力強い実質フリーキャッシュフローの創出を想定しています。
そのため、表現を1,000億円以上プラスアルファと記載をさせていただいています。
配当等の株主還元を実施した後に、黒字を継続し、DERの水準を計りながら有利子負債をコントロールしていきます。
なお、自己株取得に関しては、昨年と同様に株主還元の選択肢の1つとして位置づけてお、株主資本の充実や有利子負債の返済。DERやROEとのバランス。
株価の水準など、総合的に考えて来期以降の中期経営計画につなげていきたいと考えています。私からは以上です。ありがとうございました。
司会者:続きまして、岡本CSO、CIO。お願いします。
岡本均氏:CSO、CIOの岡本です。私からはCITIC・CPグループ。この両グループの取り込み損益、協業の状況について説明させていただきます。
まず、16年度のCITIC関連損益ですが、629億円の利益を計上しました。
CITICリミテッドの年間決算に加え、PPA処理、金利負担等を追加し、さらに不動産関連事業にかかる売却益の一部を認識した結果となっています。
17年度計画は、29億円減益の6億円を見込んでおります。
CITICリミテッドは17年度計画を開示しておりませんが、当社としては、6,000億から8,000億円の基礎収益力に変わりはないとみる一方、足元の金利水準、人民元安の影響を反映させたものです。
次にCPPについてです。16年度は49億円の利益を計上しました。
第4四半期にベトナム豚相場の下落はあったものの、年度全体ではベトナム養豚事業が好調に推移し、堅調な決算となりました。
17年度計画ですが、CPPが開場していないことから、当社からの言及は差し控えさせていただきます。続いて、協業の状況についてご説明させていただきます。
まずは、CITIC Medicalとの協業です。
CITIC Medicalとは、FSを通じて、医療機材の集中購買。ランドリーなど幅広い分野で病院周辺ビジネスを手がけるとともに、透析などの専門事業を行うことで合意いたしています。
CITIC Medical傘下の病院への経営管理サービスを第一号案件とする予定です。7月初旬には、実施内容を固め、9月にはCITIC Medicalと合弁会社を設立の上で、本格的に事業展開していく予定です。
CITICグループとの連携を強め、一号案件で確立した病院ビジネスを、来年より中国全土、将来的には、アジアへ展開することを計画しています。
次に、中国人富裕層向け越境Eコマース事業の協業についてです。
新たな越境Eコマースビジネスとして、CITICリミテッドと共同で、越境ECサイトを開発し、サイト運営会社として、当社100パーセント出資の会社を設立しました。
当初は加工食品を3,000点以上用意し、正式販売開始後は、化粧品、アパレルへと、商品群を拡充していきます。
当サイトでは日本品の高品質、安心、安全だけでなく、日本各地の強い小売と提携し、地方色豊かで特徴のある商品を展開することで、既存のECサイト等との差別化を図っていきます。
スタート段階では、関西地方として阪急百貨店、九州地方としてJR博多CITYと提携しました。今後は沖縄、北海道、東北、四国等へ提携先を拡大していく予定です。
CPグループ関連では凸版印刷とともに、軟包装の製造、販売において、タイ国内トップクラスのTPNグループと、資本業務提携を締結しました。
TPPフーズパッケージングの株式10.7パーセントを取得し、タイの梱包材市場に参入しましたが、将来的には、事業計画の進捗をみながら、凸版印刷と共同で、経営権を取得する予定です。
すでにCPグループとは、各種食品包材で取引を開始していますが、本投資により高機能性装材の製造能力を、質、量ともに飛躍的に高めることで、CPグループがタイで展開するセブンイレブンや、海外輸出で急増している需要を全面的に取り込むことが可能です。
さらに3社間の業務提携を現場段階まで落とし込み、長期的な関係強化を図るための人材交流もスタートしました。
それぞれで中継社員を選抜し、本年3月から逐次勤務を開始しています。また、5月には北京で2回目の3社合同研修を開始する予定です。
この他、お手元の資料に記載はありませんが、両者グループとのトレードについても着実に増加しています。
CITIC・CPとの戦略的資本業務提携は長期的な取り組みでの視点であり、短期的な成果を焦るあまり、失敗することがないよう、慎重に優良案件の選抜推進をしていきます。
以上で私からの説明を終わります。ありがとうございました。