2027年3月期第1四半期決算説明
ジーニー、広告プラットフォーム・デジタルPR事業が牽引し1Q売上収益は2桁増 SaaS事業の構造改革で利益改善へ
エグゼクティブサマリー

工藤智昭氏:代表取締役社長の工藤です。お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。株式会社ジーニー2027年3月期第1四半期の決算説明を行います。
スライドは、第1四半期のエグゼクティブサマリーです。広告プラットフォーム事業は、前期の構造改革とテコ入れが奏功し売上収益が9パーセント増加、デジタルPR事業は昨年から高成長を継続して37パーセント増加し、当グループの成長を牽引しています。全体では35億円と堅調に推移しています。
マーケティングSaaS事業では、現在受託開発が進行中のものが2件、完了したものが1件あります。これに伴う販管費の増加やトラブルが立て続けに発生し、今回、監査法人からのご指導もあり、第1四半期には諸々の費用が計上されました。そのこともあり、残念ながら、ジーニーグループは6年ぶりに赤字に転落しました。
他方で、事業本来の収益力を示す調整後営業利益は黒字を確保しています。また、一過性の損益として計上された貸倒引当金については、今後、対象会社からの回収可能性が認められれば、貸倒引当金の戻入が見込まれます。この状況を見越して、通期計画は維持しています。
事業計画には一定のバッファがありましたが、一過性の費用計上が3件重なったことで、バッファがほぼ消失している状況です。
主要3事業の状況についてです。広告プラットフォーム事業は前年同期比で9パーセント成長しました。海外の大型案件が牽引し、国内のSSPも引き続き成長しており、売上高の伸びとともに営業利益も増加しています。
マーケティングSaaS事業では、一時的な大型案件やワンショット案件が減少しています。一方で、ARRは前年同期比21パーセント増と高成長を継続しています。第2四半期以降には構造改革に着手するという決断をしており、この改革によりマーケティングSaaS事業の業績が一時的に下振れても黒字化できる体制を目指していきます。
デジタルPR事業は、オーガニック成長と買収会社の連結効果により、前年同期比37パーセントの高成長を維持しています。
JAPAN AIは現状連結外で、これらの数字には含まれていませんが、第1四半期は堅調に推移しています。シリーズCの資金調達ラウンドではエクイティ調達が完了し、大塚商会からも資金調達を実施しており、現在、成長に向けて加速しています。
FY2026-1Q|決算サマリ

決算サマリーの詳細です。前期比も含めて表示されています。
売上収益は14パーセント増加しましたが、調整後営業利益は53パーセント減少しました。この背景として、一時的なコストとして、不正アクセス対応費用の1億8,100万円や貸倒引当金の1億9,800万円などが発生し、営業利益段階で2億円強の赤字となっています。
また、円安による為替差損の影響もあり、税引前利益はマイナス4億6,900万円と、6年ぶりに赤字となりました。
私もあらためて業績を達成できるように進めていきたいという決意を持っています。
FY2026-1Q|業績に関する補足事項1

それぞれのインシデントについて補足説明します。1つ目は、5月21日に公表した不正アクセスの件です。当社のクラウドサーバに不正アクセスがあり、クラウドの計算資源が不正に利用される事態が発生しました。
クラウドの提供会社と協議を進めた結果、アクセスされた経緯について当社にも責任があると判断され、それが否定されることなく、結果として1億8,100万円の損失が発生しています。
現時点では合理的な見積もりを行っていますが、今後の調査や精査の結果、最終的な損失金額が変動する可能性があり、現時点では未確定です。
2つ目は、取引先向け「その他の資産」に係る貸倒引当金です。6月1日の決算訂正において、未上場スタートアップとの受託開発取引に係る売上収益と出資契約に関連する投資有価証券の会計処理を見直し、見直しによって生じた差額を「その他の資産」として計上していました。
この点について監査法人と議論した結果、現時点の情報では貸倒引当金として処理すべきであるという指摘を受け、当社もこれを受け入れ、貸倒引当金として計上しています。
今後、対象会社との協議が来週以降も行われる予定であり、事業の進捗や回収可能性を踏まえた上で、貸倒引当金の戻入が見込まれます。
FY2026-1Q|業績に関する補足事項2

3つ目は、為替差損についてです。円安に振れたことで差損が発生しています。また、前期において為替計算の精緻化が十分に行われなかった部分があり、それを精査した結果、一時的に生じた側面もあります。
一連の問題に関して、セキュリティ、投資、為替差損など、コーポレート部門の管理やリスクレビュー体制を強化すべきということは、前期から継続してお話ししているところです。
これらを引き続き経営の最重要リスクとして位置づけ、リスクマネジメント部門とAX/DX部門の主導のもと、業務プロセスの見直しと、さらなるリスク対策の強化に取り組んでいます。
一つひとつ発覚した事象やすでに発現した事象については、業務プロセスに落とし込み、再発防止のためにマニュアル化などを徹底しています。
会計処理については、監査法人との協議次第で変更が生じる部分もありますが、難しい会計処理に関しては、できるだけ早期に監査法人と協議するプロセス整備を進めています。
また、取締役会では慎重に当社の状況を協議していますが、現状は我々の情報を提供する段階です。取締役会の議論としては、いったん、黒字化と今期予算の達成を経て、マーケティングSaaS事業の方針を一部見直すこと、また構造改革を一部実行することが決定されています。
マーケティングSaaS事業全体が問題ではなく、継続的な赤字やトラブルを起こした一部のプロダクトが課題となっています。これらの課題に対し、トラブルを起こしたプロダクトの方針を抜本的に見直し、早期にテコ入れを行う方針に変更しています。
FY2026-1Q|セグメント別状況

第1四半期のセグメント概況です。広告プラットフォーム事業は、前期の改革が奏功し、第1四半期の成長率が9パーセントと前期を上回る結果となりました。営業利益は、売上収益の成長率をさらに上回る24パーセントの増加を達成しています。効率的に販管費を活用しつつ、市場の中で高い成長を遂げたのが第1四半期の実績です。
第2四半期以降は、Geniee USと協力し、収益最大化機能を日本およびアジアのマーケットに展開していきます。引き続き筋肉質な体制を維持しながら、さらなる利益改善を見込んでいます。
マーケティングSaaS事業は、前期は黒字化していましたが、今期は対応費用の発生もあって2億9,000万円の赤字となっています。また、期待していた大型案件の延期や、他社に敗退するなどの影響で、成長率は前年同期比5パーセントと大きく落ち込んでいます。
安定収益の指標であるARRは21パーセントの成長を達成している一方で、現在は大型案件の一括受注が減少している状況です。
第2四半期以降、先ほど述べたとおり構造改革を進め、マーケティングSaaS事業で赤字が大きく出ている部署に対して徹底的なコスト削減を実施し、昨年の広告プラットフォーム事業で実施したような筋肉質な組織となるよう、利益改善体制を構築していく方針です。
デジタルPR事業は売上収益が前年同期比37パーセント増と大きく成長しており、特に買収した会社の連結効果も寄与して増収しています。第2四半期以降は、本社移転と人員の適正化を行い、利益改善を実行して、第2四半期、第3四半期での利益成長を目指していきます。
FY2026-1Q|セグメント別決算サマリ

こちらのスライドは、セグメント別決算サマリーです。
FY2026-1Q|KPIサマリ

こちらのスライドは、KPIサマリーです。
FY2026-1Q|連結キャッシュフロー計算書

良い点として、今期は営業キャッシュフローの改善を目指して投資規律を強化しており、ジーニー本体は、よりキャッシュフローを創出するフェーズに入っています。
また、主な営業債権の減少などもあり、キャッシュフローが改善し、第1四半期からフリーキャッシュフローが大きくプラスに転じています。
これにより、今後は借入金の返済や財務健全性の向上が期待されます。既存事業を中心に事業効率を高め、フリーキャッシュフローを創出する方針が順調に進んでいます。
JAPAN AI|事業進捗

もう1つ順調に進んでいるのはJAPAN AIです。2027年3月期は好調に推移しており、シリーズCのセカンドラウンドがクローズしました。大塚商会という強力なディストリビューターである販売代理店との資金調達において、少しラウンドが長引いた部分がありましたが、無事に完了しました。
これにより、これまで直販を中心に伸びてきたJAPAN AIが、代理販売や協業先とともに成長していく体制が整い、今期以降も高い成長率を目指しています。
AIのニーズは引き続き非常に高く、我々のJAPAN AIは非常に良いポジションを取っています。そのため、業種や職種に特化したエージェントやAIを作り、販売することで、さらに成長の波に乗っていこうと考えています。ジーニーとのクロスセルも引き続き行い、業績面でのシナジー創出に向けた取り組みを継続しています。
JAPAN AI|Vertical(業種‧業界特化型)ソリューションの拡充

トピックスとしては、バーティカルAIがソリューションとしてどんどん拡充を進めています。日本全体でもバーティカルAIを推進する方針が掲げられており、当社もその方針に沿ったいくつかのサービスを提供しています。
また、ジーニーと連携した「JAPAN AI MARKETING」の新機能をリリースし、広告やインターネットマーケティングのPDCAを自動化する機能を実現しました。この分野における利益も非常に好調です。
自治体や省庁関係もAXやAIに力を入れていく方針です。当社は自治体向けのバージョンである「JAPAN AI 行政」をリリースし、自治体専用環境に対応したプラットフォームを提供しています。こちらも現在、商談が次々に始まっています。
JAPAN AI|大手企業への導入が続々と進展

他にも大手企業向けの導入が続々と進んでおり、ジーニーだけでは出会えなかったようなエンタープライズのお客さまにも導入が広がっています。AIは導入後に成果が出るかが重要な焦点となってきていますが、実際の導入事例では非常に高い費用対効果が確認されています。
そのため、業界内でも良い知見と競争力を持っているポジションにあると考えています。
JAPAN AI|大塚商会との協業により中堅‧中小企業へのAI導入を加速

大塚商会と資本業務提携を無事に締結し、中堅・中小企業へのAI活用販売を、同社を経由して行っていきます。それに加え、バーティカルAIのソリューションも併せて提供していく方針で、業種や業界に特化したソリューションを共同開発し、大塚商会の顧客企業に届けることを目指しています。
JAPAN AI|JAPAN AI AGENTが「ITreview The Best Software in Japan 2026」3部門に選出

「JAPAN AI AGENT」は、アイティクラウドが運営するプラットフォームにおいて3部門に選出され、表彰されています。
当社はAIエージェントとして、日本企業の中では初といえるタイミングで「JAPAN AI AGENT」をリリースし、外資系テック企業よりも早期にAIエージェントに参入できています。さらに、プロダクトの継続的な開発も非常に速いペースで進んでいます。お客さまやメディアからも高い評価をいただいており、導入が着実に進んでいます。
セグメント別|業績割合

こちらは、セグメント別の業績割合です。
今期計画|FY2026通期業績予想

通期予想についてご説明します。第1四半期は一時的な費用が3つ重なったことで赤字となりましたが、そのうち、貸倒引当金2.0億円が今期中に戻入されることを前提に、現時点では通期業績予想の変更はありません。
ただし、まだ予断を許さない状況です。そのため、SaaS事業において抜本的な構造改革を開始しています。さらにコスト削減を追加で実施し、この計画を確実に達成できるよう推進していく考えです。
マーケティングSaaS事業|売上収益推移‧ハイライト

事業別のハイライトとして、マーケティングSaaS事業は冒頭で述べたとおり、ARRが順調に成長しており、一時的な初期費用の減少を経て、現在は安定的な成長を遂げています。
広告プラットフォーム事業|売上収益推移‧KPI

広告プラットフォーム事業は、順調に取引社数が増加し、1社あたりの単価も若干上昇したことで、売上収益は前年同期比8.9パーセント伸長しました。
質疑応答:AIが広告市場に与える影響と市場の成長可能性について
「『ネット広告の分野は最近特に変化が激しくてついていけない』と広告関連の上場企業が言っていました。御社から見ても、今のネット広告の市場はそのようなイメージですか? もしそうなら、どんな変化が起こっているのかを教えてください。それに対する御社の対応力も教えてください」というご質問です。
変化は広告市場でも、特にAIを中心に最も激しく起こっていると言えるかと思います。大きなトレンドとして、広告市場ではSNS広告などのソーシャルネットワークがますます強くなってきています。それ以外でも、AIが広告市場に最も大きな影響を及ぼしているといえます。
その結果、AIを活用して広告のクリエイティブ制作やネット広告の運用が可能となり、楽天が主催する大規模なイベントでも注目されています。また、これに伴い、広告運用を内製化しようとする企業が増加しています。
これまでは、バナーやクリエイティブの作成、データ分析などの業務を外部企業に依頼するケースが多かったのですが、AIが分析やクリエイティブの作成、その後の広告配信までもほとんど自動化する時代に突入しつつあります。このような変化が起きています。
市場の裾野が広がる可能性は十分にあると考えています。これまで広告費用を適切に活用していなかった企業が活用するようになったり、中間マージンがプラットフォームを通じて増加したりする可能性も大いにあると感じています。
ジーニー本体について言えば、広告プラットフォーム事業は引き続き成長していくと見ています。特に海外市場の開拓が進行中であり、今後も成長の余地があると考えています。また、JAPAN AIとの連携を図ることで市場を拡大し、そうした流れに対応していけると考えています。
さらに、「ソーシャルワイヤー」がSNSのトレンドに対応していることから、広告業界の主要なトレンドにすべて対応できていると考えています。
質疑応答:SaaS事業の利益改善の進捗について
「7月から8月中旬までの広告プラットフォーム事業とマーケティングSaaS事業における業績と利益改善はいかがですか?」というご質問です。
こちらは詳細をお伝えしづらいため、概要のみお話しします。第2四半期からSaaS事業の利益改善に着手しており、第2四半期段階では大きな効果は出ないと考えていますが、第3四半期以降にはSaaS事業の利益改善が見込めるよう、現在取り組んでいる状況です。
質疑応答:SFA/CRM部署のチャーン減少とアップセルによるNRR改善について

「チャーンの高止まりを第2四半期で解決できますか?」というご質問です。
チャーンが発生しているのは、主にトラブルが起きているSFA/CRMの部署です。しかし、現在このトラブルは一巡しており、さらにJAPAN AIとの連携によるアップセルも急速に進んでいるため、チャーンは減少し、追加のアップセルによってNRRも改善すると考えています。
質疑応答:現状の通期の達成確度について
「今期の通期の達成確度はどれぐらいでしょうか?」というご質問です。
現時点では、8割程度と考えています。どのようなインシデントがあるか予測できない状況で、まったくなにも起きないことも十分考えられます。また、ここからさらに成長させる必要がありますので、そのくらいかと考えています。
質疑応答:提携効果の今期・来期の影響について
「ディップとの提携効果が大きく現れてくるのは今期中でしょうか? 来期になりますか?」というご質問です。
すでに第1四半期の決算から一部入り始めており、今期、来期と引き続き提携効果が見込まれています。
質疑応答:JAPAN AIの時価総額について
「JAPAN AIの時価総額はどれぐらいですか?」というご質問です。
優先株を使用しており、上場企業の株式とは異なる評価を受けていますが、時価総額は200億円まで達している状況です。
質疑応答:大塚商会とのアライアンスについて

「JAPAN AIの大きなニュースが聞きたいです」というご質問です。
現在、大きなニュースを発信できるよう進めています。大塚商会とのアライアンスについても、業界的には非常に重要な話です。年間40億円ほどを大塚商会に販売していただいている大規模なSaaS企業もあるため、この販売チャネルを活用して販売が加速すれば、大きなポテンシャルを持つ事業提携となると思われます。
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