2026年3月期決算説明
フェニックスバイオ、営業利益が大幅改善 27年3月期も黒字継続を見込み、「PXB-cells」販売拡大で成長を目指す
2026年3月期決算ハイライト

島田卓氏:代表取締役社長の島田です。本日はどうぞよろしくお願いします。
2026年3月期の業績ハイライトについてご説明します。まず、売上高は15億6,500万円となりました。内訳としては、受託試験サービスが3億5,500万円、「PXBマウス」の販売が10億8,600万円、「PXB-cells」の販売が1億2,200万円です。
前期である2025年3月期と比較すると、トータルの売上はほぼ同水準で、わずかに増加しました。ただし、内訳に若干の変化が見られます。受託試験サービスは4億5,900万円から約20パーセント減少しましたが、一方で「PXBマウス」の販売は約15パーセント増加しています。
営業利益についてです。2025年3月期はマイナス1億4,200万円でしたが、カナダの子会社をクローズしたことにより、2026年3月期は大幅に改善され、8,200万円を計上することができました。
経常利益は、営業外の為替益が大きく寄与し、営業利益に5,000万円上乗せされて1億3,100万円となりました。最終的な当期純利益は1億2,500万円となっています。
2025年3月期は、KMT Hepatech社の閉鎖に伴うさまざまな損失が発生し、当期純利益に大きなマイナス影響がありましたが、2026年3月期にはその点が大きく改善された結果となりました。
昨年11月に発表した予想と比較すると、売上高は約8,000万円減少しましたが、経費の見直しなどを進めた結果、営業利益は若干減少したものの、1億円を少し下回る水準で一定の利益を残すことができました。
2026年3月期 業績(売上高:分野別、サービスライン別)

この売上について、先ほどお伝えした内容をさらに詳しくご説明します。分野別の売上として、薬効薬理分野と安全性等分野の2つに分けています。
薬効薬理分野は、ほぼB型肝炎ウイルスに関連した売上ということになります。2023年3月期にはB型肝炎関連の売上が約10億円ありましたが、その翌期以降大きく減少し、現在では1億円を切る水準となっています。
一方で、安全性等分野では成長を続け、この3年間でほぼ15億円前後を推移する結果となっています。
サービスライン別売上は、受託試験サービスと製品販売に分けています。受託試験サービスは、2023年3月期にB型肝炎関連の受託試験が非常に大きな割合を占めていましたが、その後は大きく減少しています。ただし、B型肝炎以外の受託試験も一定の注文をいただいており、売上は約4億円前後で推移しています。
一方で、製品販売は2024年3月期から大幅に伸びており、後ほどご紹介する「PXBマウス」「PXB-cells」の販売が、現在主流となってきている状況です。
前臨床の市場環境:ヒト予測性を高めた先進的前臨床モデルの市場へ(量から質への転換)

それでは、ここから事業計画について概略をご説明します。まず、我々のマーケットである医薬品開発の前臨床段階について、その様相が大きく変化してきている点についてお話しします。
まず、創薬の分野ではAIを利用することが、現在では主流となりつつあります。また、in silico、いわゆるコンピューターによる探索や最適化が以前から存在しますが、これがさらに進展してきています。
次に、ヒト化モデルの1つであるPDX(Patient-Derived Xenograft)についてです。これは、患者から提供されたがん細胞を動物に移植し、腫瘍モデル、つまり動物のがんモデルを作る手法です。このほかにも、さまざまな手法を活用して疾患モデルを作製する取り組みが現在進んでいます。
加えて、MPS(Microphysiological Systems)はin vitro、すなわち細胞を利用し、新しいデバイスを使用するシステムです。従来のように単に平面で培養するのではなく、新たな知見を得られる種々のデバイスが導入されており、この分野でも進化が進んでいます。
また、これらの技術は従来の動物を用いた実験モデルから進化してきています。我々にとって競合ともなり得る一方で、「PXBマウス」や「PXB-cells」はこれらの技術と補完関係にあります。
まず、創薬AIについては、最適化もできますが、ヒトに投与し、「本当にそうなのか?」といった具体的な成果を得るためには、やはり動物モデルを使用しないと確認が難しいという現状があります。結局、探索や最適化のプロセスは加速することになりますが、最終的な決め手となる部分は、創薬AIやin silicoの技術だけでは実現が難しいと考えます。
次に、ヒト化モデルや疾患モデルについてです。これについても「PXBマウス」という正常なヒト肝細胞を持つマウスを動物モデルとして活用できます。この点についても後ほど詳しくご説明します。
加えて、MPS、次世代のデバイスについてです。さまざまなデバイスが作られるものの、そこに良質な細胞を入れなければ実現できません。そのため、良質な細胞という点で、当社の「PXB-cells」をご利用いただくことで、補完関係があると考えています。
事業計画のアウトライン

我々の事業計画では、大きくin vivo(動物であるPXBマウス)とin vitro(細胞であるPXB-cells)の2つの領域に分けています。
まず、in vivoでは、動物を対象に受託試験としてサービスを提供する方法と、「PXBマウス」を販売する方法、この2つの手法があります。
市場環境については、次世代医薬品市場の拡大、そして実験動物の最適化および代替に焦点を当てています。これはつまり「実験動物はなるべく減らしましょう」ということです。
スライド下部に詳細が記載されていますが、約1年前にアメリカ食品医薬品局(FDA)からガイダンスが発表されました。
特に抗体医薬の分野において、実験動物を用いて最適化したにもかかわらず、臨床段階に進むと「そのとおりにいっていない。うまく開発が進んでいないではないか」として指摘され、「実験動物に頼るのをやめて、サイエンティフィックにも、あるいは環境にも、良い手法を使いなさい」という新たなガイダンスが示されたことが背景にあります。これにより、実験動物をなるべく減らすことが求められる状況です。
さらに、以前当社の中心事業であったウイルス性肝炎の市場が収束してきている点も認識しています。それに対応する施策として、核酸医薬をはじめとする次世代医薬品で、当社の技術や製品を活用していただくことを目指しています。
また、他の企業や大学とのアライアンスを進めるとともに、当社独自の疾患モデルを開発していきます。これらをin vivo、すなわち動物分野で推進していく考えです。
in vitro、すなわち細胞分野については、主に「PXB-cells」などの細胞の販売が事業の中心となります。市場環境としては、前述した、「実験動物を減らしましょう。その代わりに、MPSのような新しい培養技術を使っていきましょう」という時流のなかで、非常に成長性の高い分野と考えています。
さらに、Primary Hepatocytes、つまりヒト肝細胞についても重要な動向が見られます。この細胞の価格は上昇傾向にあり、供給の不確実性も高まっています。こちらについては後ほど詳しくご説明します。
こうした市場環境の中で、特に海外市場での販売の推進、大学や企業とのアライアンスの強化、さらにはPrimary Hepatocytesに関して、新製品としての凍結細胞の販売を昨年から開始しています。
in vivo 売上推移

では、このin vivoとin vitroについて、それぞれもう少し詳しくご説明します。まず、スライド下部の「in vivo 売上推移」のグラフは、青色はin vivoの受託試験サービスを示し、緑色は「PXBマウス」の販売を示しています。先ほどご説明したように、2023年3月期をピークに、受託試験サービスは大きく減少した一方で、「PXBマウス」の販売が大きく伸びてきています。
2027年3月期の予想が示されていますが、現状について補足します。まず「モダリティ」についてです。モダリティとは医薬品の形態を指します。「どういう薬効か?」といった話ではなく、「どういうかたちの薬なのか?」という話です。核酸医薬品などヒト依存性が高いモダリティで「PXBマウス」の需要が伸びている状況ですが、我々にとっては、まだ開拓すべき分野であると考えています。
次に「ヒト予測精度」についてですが、前臨床の市場はin silicoやAIの分野が進展しており、in vitroも大きく進んでいる現状です。ただし、ヒト予測精度の課題が本当に解決したのかというと、必ずしもそうではありません。
現在は国内市場を中心に「PXBマウス」をご利用いただける状況が定着しつつあると考えています。
また、肝炎市場が収束する中で、我々は新しいサービス、特に、受託試験サービスとして、どのようなものを提供できるかを検討していくべきだと考えています。
in vivo モダリティ(次世代薬品開発とPXBマウス)

モダリティについて、少しご説明します。モダリティという言葉で分類すると、従来の低分子医薬品、抗体医薬、核酸医薬、遺伝子治療、細胞療法などが挙げられます。これらの薬や治療方法の形態がモダリティと呼ばれるものです。
私たちが特に注目しているのが核酸医薬という分野です。ヒトの体内では、DNAが生命の設計図とされ、そこからRNAが転写され、さらにたんぱく質が合成されます。
しかし、RNAが作られる際に、DNAの異常やその他の理由により、間違ったRNAが生成される、RNAが生成されない、あるいは過剰に産生されてしまうという問題が生じます。その結果、生成されるたんぱく質が本来とは異なるものになったり、過剰に産生されたりすることがあります。
従来の低分子医薬品や抗体医薬品は、たんぱく質に直接結合してコントロールするという作用機序を持っていますが、核酸医薬はそのもととなるRNAを標的としています。そのため、核酸医薬は特異性が高く、安全性や有効性が高いと考えられています。
しかし、これを評価する際には、RNAやDNAがヒトと従来の実験動物(マウスやイヌ、サルなど)では異なる点があることが問題となります。たとえ最終的なたんぱく質として近いものができたとしても、設計図にあたる部分に違いがあるため、正確な評価は難しいのです。
そのような中で、私たちの「PXBマウス」はヒトの肝細胞を持っています。肝臓の約8割から9割がヒトの肝細胞で構成されており、そこではヒトの遺伝子の約9割以上が正常に機能しています。
したがって、「PXBマウス」を用いて評価を行うことで、より正確に有効性や安全性を評価できる点が特徴です。
当社のモダリティ別売上構成

実際にそのように使っていただいているのかについてご説明します。こちらのスライドは当社の売上高を横棒グラフで示したもので、2022年3月期から2026年3月期までの5年間を表しています。注目いただきたいのは、色分けされた部分です。
左から、核酸医薬、遺伝子治療、低分子、抗体医薬、その他、そして「unknown」という項目があります。この「unknown」は、当社として把握しきれない部分を指しており、これらがモダリティとなっています。
2022年3月期の時点では、核酸医薬と遺伝子治療を合わせて全体の約40パーセントにとどまっていましたが、その後、徐々に割合が増加し、直近の3年間では全体の約60パーセント、つまり約3分の2が核酸医薬と遺伝子治療で占められていることがわかります。
この「unknown」の部分も、かなりの割合が核酸医薬に使用されていると考えられます。そのため、全体の約8割が核酸医薬または遺伝子治療に使用されているのではないかと推測しています。この傾向は今後も続くと見込んでいます。
in vivo

我々は「PXBマウス」を使用し、ヒト予測性が高いとされる、代替困難な領域におけるin vivoプラットフォームを目指します。
まずは、「臨床工程の判断材料」についてです。新しい技術がどんどん生み出されていますが、ヒト特異的な代謝や肝毒性を最終的に評価する際には、従来の実験動物を使用するよりも、当社の「PXBマウス」を使用することで、より正確で少ない動物数で実現可能です。この点について、さらにご理解いただく必要があると考えています。
また、「モダリティ」についても、ヒトにより近い、ヒト依存度の高いモダリティの評価には、「PXBマウス」が最適であると考えています。
さらに、「疾患モデル」についてですが、現在当社が保有する「PXBマウス」は正常な肝臓と肝細胞を持つ動物を指します。これを改変することで、疾患モデルを作ることを目指しています。
in vivo アライアンス

疾患モデルについて1つご紹介します。今年2月に開示したアライアンスについてです。SMCラボラトリーズという会社があります。同社は独自の技術を有し、いわゆる非ウイルス性の肝疾患の疾患モデルを作製できます。さらに、肝の線維化からがんが発生する過程を再現し、原発性がんが形成されるモデルとして非常にユニークなものです。ただし、現在広く活用されているモデルは、あくまでマウスのがん細胞ということになります。
そこで、当社が提供する「PXBマウス」は、正常なヒト肝細胞を持っています。この両者の技術を活用することで、正常なヒト肝細胞から原発性の肝がんを作り出せる可能性があり、今後さらに開発を進めていく段階です。その目標に向かって取り組んでいるところです。
しかし、これまで我々自身も、また他の研究者も原発性の肝がんモデルの作製を目指してきましたが、それを実現するのは決して簡単ではありません。そのため、もしこれが実現すれば、非常に大きなインパクトを与えるだろうと期待しています。
in vitro

in vitroの領域に移ります。in vitroの領域は、実験動物の利用が減少する中で、ますますその重要性が高まってきています。その中で、とりわけどれだけ予測性が高いかが重要になると考えられます。
スライドに記載のPrimary Hepatocytes(初代肝細胞)、すなわちヒトの正常な肝細胞についてですが、この約20年間で利用がますます拡大しています。ヒトの正常な肝細胞をシャーレ内で使用し、さまざまな代謝や毒性について予測・評価を行う取り組みが進んでおり、技術も進歩を続けています。
それに対して、当社の「PXB-cells」は、「PXBマウス」から採取したヒトの肝細胞です。これも正常なヒトの肝細胞であり、Primary Hepatocytesと同様にご利用いただけるものと考えています。
細かい話ですが、Primary Hepatocytesと記載しているのは、初代肝細胞、あるいは初代培養肝細胞と呼ばれるものです。
具体的には、ヒトの皮膚細胞や神経細胞は培養すれば増殖します。がん細胞は言わずもがな自律的に増殖しますが、正常な細胞でも一部は培養で増えます。それに対して、肝臓の細胞、いわゆる肝細胞は培養では増えないという特徴があります。
これは長年の課題でしたが、現在も実現には至っていません。一部それに類似した技術が出てきてはいるものの、我々の場合はマウスを用いて正常なヒトの肝細胞を約500倍から1,000倍に増やすことが可能です。これにより、この初代肝細胞の限界を超える存在になれるということであります。
in vitro Primary Hepatocytes(肝細胞)の市場規模

ヒト初代肝細胞の需要予測についてご説明します。2年前のデータではありますが、この約10年間で年率6パーセントの成長が見込まれ、2億5,730万米ドルから4億2,810万米ドルにまで市場が拡大すると予測されています。
また、先ほどご紹介したFDAのガイダンスも踏まえると、in vitro技術がさらに進展することで、より高い成長があるのではないかと考えています。
in vitro ヒト肝細胞の供給とPXB-cells

一方で、供給が需要に伴っているかという点については、課題があると考えています。凍結されたヒトの肝細胞は新薬の研究に利用されています。これらの肝細胞はどのように生成されるのかというと、まずドナー、具体的には事故などで脳死に至った方の健康な肝臓が生体肝移植に使用されます。
しかしながら、タイミングが合わない、あるいはHLA(ヒト白血球抗原)が適合しないといった理由で、必ずしも移植に利用できるわけではありません。そこで、「廃棄するのはもったいない」という考えのもと、その中から肝細胞を生成して取り出し、それらをバイアルに詰めて凍結保存して、世の中に流通させています。これらが最終的に新薬の研究に使用されているのです。ただし、供給はドナーに依存するため、必ずしも安定しているとは言えません。
また、品質についてもばらつきが生じることがあります。このばらつきには2つの要因があります。
1つは、ドナーに由来する肝細胞が1回限りのものであることです。ここから取られたものは、例えば1,000本採取された場合、その1,000本がなくなれば同じものは二度と得られないという点で、ドナーへの依存が非常に大きいという課題があります。
もう1つは、移植に使用されなかった肝細胞から生成するため、製造のタイミング、場所、担当者が必ずしも一定ではなく、そのプロセスが不確定性であることです。
しかしながら、技術の進歩に伴い、良質な細胞が生成されるようになっており、その一方で価格がどんどん高騰しています。我々が事業を開始した当初、この細胞をマウスに移植するために購入していましたが、その時期と比較すると、価格は現在2倍から3倍に高騰している状況です。
さらに、現在の供給の不確実性が高まっている要因としては、臓器移植です。生体肝移植の技術が進むにつれて、破棄される肝臓の数が減少しています。その結果、創薬研究に使用できる肝臓の供給も減少傾向にあり、供給の不確実性は今後さらに高まると見込まれています。
一方で、当社の「PXB-cells」は、ヒトの肝臓を持つ「PXBマウス」から採取して製造されます。私たちは元のドナーの細胞を大量に購入し、それを少しずつ使用しています。通常、同じドナーの肝細胞を3年から4年間にわたって移植し活用しています。
そのため、最終的に得られる製品も、同じドナー由来の細胞が供給され続け、品質に一貫性があります。仮に追加購入が必要になった場合でも、「今日実験をしました。その再現性を見たい」という時に、来月や再来月の購入であっても、同じ品質で、同じドナー由来の製品を入手可能です。
このプロセスは一貫した手順で行っており、常に均一な品質のものを供給することができます。また、価格に関しては、市場動向を考慮しつつも、抑えめに設定しており、ご利用いただきやすいような構造となっています。これが、当社の「PXB-cells」の特徴といえます。
in vitro 当社のin vitro関連製品

実際の製品についてご紹介します。スライドの下部にある図をご覧ください。まず、新鮮なヒトの肝細胞についてですが、これは凍結していない状態を指します。一般的に流通しているものは、ドナーから提供された細胞を分離し、バイアルに入れて凍結させたものです。
その凍結細胞は、再び解凍して使用されるわけですが、当社の「PXB-cells」は凍結せず、採取した状態のままプレートに貼り付けてお客さまにご提供しています。このため、凍結による品質低下がありません。
さらに、プレートに播種した状態で提供しているため、すぐにご利用いただけるレディートゥユースの商品です。この点が大きな特徴となっています。また、これを改良し、脂質解析に最適化した「PXB-cells LA」という商品も提供しています。
もう1つ、「PXB-cells RF」という商品があります。これはプレートに播種せず、バイアルに詰めたもので、凍結せず冷蔵でご提供する商品です。この商品は、先ほど説明したMPSなどの新しいデバイス、つまりプレート以外のさまざまな形状のデバイスにそのまま使うことができるものです。
ただし、新鮮な状態で商品をご提供するにはロジスティクスの面で課題があります。凍結ができず、また高温でも劣化してしまうため、一定の温度条件での輸送が必要です。日本国内ではこの課題に対応しやすいものの、国外への輸送時にはロジスティクスの問題があります。これについては、後ほど詳しくご紹介します。
一方、昨年販売開始された凍結ヒト肝細胞「PXB-cells Cryo」ですが、これは「PXB-cells」、言うなれば懸濁液タイプの「PXB-cells RF」と類似した商品で、凍結処理を施したものです。
「それでは、世の中に流れている凍結のヒト肝細胞と同じではないか」と思われるかもしれません。しかしながら、先ほどご紹介したとおり、我々は「PXB-cells」と同じプロセスで同じドナー由来の製品を継続的に生産することが可能です。また、凍結の手法については我々独自で開発した技術があり、これにより新鮮な「PXB-cells」とほぼ同等の品質を実現することが可能となっています。現在、この手法を徐々に展開中です。
in vitro PXB-cellsの売上推移

実際の現状については、こちらのスライドに詳細を記載しています。まず「PXB-cells」の売上推移をご覧ください。グラフの青色が海外市場、緑色が国内市場を表しています。
先ほどのデータとはスケールが異なりますが、2023年3月期に非常に大きかった売上が徐々に減少しています。その要因はB型肝炎に関連しています。B型肝炎の治療関連でご利用いただいた部分が収束に向かっているためです。
海外市場については、先ほど説明したロジスティクスの問題により、輸送費が高騰しています。このため、小口で利用される場合には輸送費が割高になることがあります。
肝炎市場においては非常に大量の細胞をまとめて購入していただき、当社が一括で出荷することが可能であったため、利用が進んでいました。しかし、その需要が収束するにつれ、海外展開が難しくなり、売上が減少している状況です。
一方で、国内市場では肝炎市場以外の用途でも利用が進みつつあり、比較的安定して推移している状況です。
ただし、この海外市場をどのように取り込むかが、次の目標となります。現状としては、肝炎市場の収束および海外生産拠点(カナダの子会社)の閉鎖により、売上が大きく減少しています。
今後の用途拡大としては、肝炎に代わり、安全性等分野の需要をさらに増やすことが必要になると考えています。「PXB-cells Cryo」を販売開始したのも、主に海外市場を狙った戦略によるものです。現在、日本国内でも好評をいただき売上が伸びていますが、これは海外市場攻略を目指した戦略商品として位置づけています。
さらに、現在取り組んでいるのは、アメリカ国内における「PXB-cells」の供給販売です。この「PXB-cells」は新鮮な細胞です。日本の広島で製造している新鮮な肝細胞に関しては、国内では翌日配送が可能で比較的コストも抑えられますが、海外輸送は難しい状況です。
しかし、アメリカ国内での製造により、国内流通を可能にすれば、コストや時間面で非常に合理的です。現在、この体制を整備している段階です。
in vitro 事業の成⻑可能性

当社はこのin vitro、細胞の分野を、今後の成長ドライバーとして位置づけています。そのポイントは3つあります。
1つ目は、用途拡大です。従来はウイルス性肝炎の領域に限定していたところを他へも広げていこうとしており、現在では日本国内でウイルス性肝炎以外の肝毒性、代謝、薬物相互作用といった分野で使用されています。したがって、これらは海外においても同様にマーケットが存在するはずで、海外に展開することで用途拡大が期待できると考えています。
2つ目は、顧客・地域の拡大です。先ほどお伝えしたように、アメリカ国内で新鮮な「PXB-cells」の供給体制を構築していこうとしています。現在、技術力の高いアメリカ国内の企業との協業準備を進めており、今期の下期からアメリカ国内で供給が可能になるのではないかと期待しています。
もう1つは凍結細胞の「PXB-cells Cryo」についてです。凍結細胞はロジスティクスの課題が非常に小さいため、アメリカだけでなく、ヨーロッパやアジアなど、日本国外にも積極的に販売できるということで、新鮮な細胞と凍結した細胞の2つの柱で顧客と地域を拡大していく戦略です。
3つ目は、製品・サービス拡張です。これにはMPSや新しい培養方法を挙げましたが、さらに積極的に働きかけ、システムや培養方法を開発している企業のみなさまや、大学の先生方とアライアンスを組むことで活用を促進していきたいと考えています。
in vitro アライアンス

その1つの例として、昨年2月にIRを出したTOPPANホールディングスが開発した「invivoid」という技術があります。これはさまざまな細胞を培養する技術であり、そこに当社のヒト肝細胞を使用することで、人工三次元肝細胞組織を作ることができました。この技術により、かなり肝臓の組織に近いものを作ることが可能になったのです。
TOPPANホールディングスは製品化についてはまだ言及していませんが、現在これは試作品として、さまざまな研究者に使用していただき、評価をいただく段階にあります。
しかし、そこで得られたデータは非常に特徴的で優れたものであるとの評価を受けています。そして、昨年10月に京都で開催された日本薬物動態学会において、TOPPANホールディングスが発表された研究がベストポスター賞を受賞しました。この内容は、細胞の長期培養が可能であるという技術に関するものです。
通常、細胞を培養する際には「培地交換」と呼ばれる工程が必要であり、3日から4日ごとに培地を交換しなければなりません。しかし、この技術では培地を交換せずに10日以上培養を続けることが可能です。これにより、従来では蓄積が難しかった代謝物を観察することができるようになり、学会としても新しい技術として評価される研究成果となりました。
2027年3月期 業績予想

2027年3月期の業績予想についてご説明します。売上高は16億1,000万円の見込みで、2026年3月期から約5,000万円の増加となります。
内訳として、受託試験サービスが若干増加しています。
「PXBマウス」の販売はやや減少すると見込んでいますが、新規のお客さまが「PXBマウス」を購入するか、それを受託試験として指定するかは、最終的に確定するまでわからない部分があります。そのため、全体の売上として、「PXBマウス」ではこの程度の増加が見込まれると考えています。
「PXB-cells」については、さまざまな施策を講じることで、もともと規模は小さいものの、前年比で約2倍になると予想しています。ただし、アメリカでの「PXB-cells」供給準備などに関連する投資が必要になるため、それに伴う経費が営業利益に若干影響を与える見込みです。
その結果、最終的な営業利益は2026年3月期とほぼ同水準の8,500万円と見込んでいます。なお、最終利益については7,600万円と予想しています。
2027年3月期 業績予想(営業利益)

この5年間の推移をご覧いただくと、2023年3月期は、先ほどご説明したように肝炎の需要が非常に大きかった時期に大幅な利益が出ました。ただし、それを除くと、利益はプラス・マイナスを行き来する状況が続いています。
しかし、カナダの子会社をクローズしたことで経費を大幅に圧縮できたため、1億円弱の営業利益を徐々に改善し、黒字体質を維持できるのではないかと考えています。
2027年3月期 業績予想(経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益)

経常利益および当期純利益について、我々としてはさらに安定させる必要があると考えています。現在の利益規模はまだ大きくありませんが、安定化を目指しています。
特に、利益率がなかなか10パーセントに到達しない中、2023年3月期では24パーセントまで上昇しました。ただし、我々としては、利益率を20パーセント程度まで引き上げることを1つの目標としています。
以上のとおり、我々はヒトの肝細胞を増殖させる非常に独自性のある技術を有しており、これにより創薬工程におけるヒトでの予測性向上や開発のスピードアップが可能になると考えています。
こうした取り組みによって、新たな良い医薬品を患者さまに届けることに貢献できると信じています。引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。本日はご清聴ありがとうございました。
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