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東亞合成、新中計で2028年 PBR1倍以上 半導体・モビリティ・メディカル・下水道老朽化対策製品の4分野に注力
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守田正樹氏(以下、守田):本日は、東亞合成株式会社の小淵秀範社長にお越しいただきました。小淵社長、どうぞよろしくお願いします。
小淵秀範氏(以下、小淵):代表取締役社長COOの小淵です。よろしくお願いします。
守田:東亞合成に小淵社長が就任されてから1年が経過しました。就任後、どのような感触をお持ちですか?
小淵:化学産業を取り巻く環境は、地政学リスクの高まりなどにより、いっそう厳しさを増しています。このような状況下で企業価値を高めるには、既存事業の的確な守りと、社会課題を解決する高付加価値製品の継続的な立ち上げが不可欠です。
こうした点を意識して策定し、本年スタートした中期経営計画が本日の主題となります。当社をより深く知っていただく機会になればと期待しています。
守田:本日は中期経営計画について、さまざまなお話をうかがいます。東亞合成は、私たちから見ても非常にユニークで、いわゆるサプライチェーンの上流から下流まで、幅広いポートフォリオを持つ会社です。
セグメントが5つあるとうかがっていますが、川上から川下までをスライド2枚に分けてご説明いただけますか?
5つの事業セグメント(川上から川下へ) 主な製品構成

小淵:基幹化学品事業は、塩の電気分解で生産されるカセイソーダや塩酸などの無機化学品と、アクリルモノマーで構成されています。
無機化学品は歴史ある事業で、多くの産業の発展に貢献してきました。近年では、東日本大震災や能登半島地震の際に、水道水の殺菌に欠かせない次亜塩素酸ソーダの安定供給を通じて、地域の飲み水確保に貢献しました。
そして、無機化学品を高純度化した製品は、高純度液化塩化水素などの半導体製造用薬剤として市場が拡大しています。また、高機能材料事業として、次期成長ドライバーとして期待されるメディカル向け新製品の開発も進めています。
アクリルモノマーは、リチウムイオン電池用のバインダーや化粧品などのアクリルポリマー製品、電子材料向けの光硬化型樹脂の原料として使用されており、アクリルチェーン全体の強化に貢献しています。今後も、川上から川下への展開を強化していきます。
守田:現在、サプライチェーンの重要性が一段と高まっていると感じます。これは例えば、地政学的リスクなどの影響もあり、安定供給がより重要になっていることが一因です。また、先端材料のような製品では、川上と川下で安定した供給体制を保つことが難しい場合もあります。
こうした中、東亞合成は一般消費者や生活により近い分野にも事業を展開しています。次のスライドをご説明ください。
5つの事業セグメント(川上から川下へ)主な製品

小淵:接着材料事業は、成長ドライバーとして位置付けている車載電池用接着剤と、BtoC向けの商品「アロンアルフア」で構成されています。「アロンアルフア」については、さまざまなニーズに応えるべく、数年おきに新製品を上市しています。
最近では、光で瞬間接着する「アロンアルフア光」を上市し、非常に好評を得ています。また、新作アニメのCMで紹介している「つくの子」ですが、「YouTube」の再生回数が1,200万回を超えており、高い関心が寄せられていることがわかります。
そして、樹脂加工製品はグループ会社のアロン化成が展開している製品群で、下水道老朽化対策製品や、介護用品でトップシェアを誇る「安寿ブランド」を展開しています。
守田:「つくの子」は大傑作です。視聴者のみなさまも「YouTube」でぜひご覧ください。収益構造や業績動向についてもお聞かせいただけますか?
当社グループの収益構造 (2025年)

小淵:当社グループの収益構造です。基幹化学品事業が売上および利益の約半分を生み出し、高付加価値製品事業が残りの約半分を占めるバランスとなっています。この両輪を有することが、当社の強みです。
2025年の業績については、成長ドライバーである半導体はAI向けの需要が拡大したものの、レガシー向けは需要回復が遅れました。一方で、基幹製品が安定的に利益を創出し、前年並みの営業利益を確保しました。
守田:現在、中東情勢が緊迫化している影響もあると思いますが、足元の状況や事業環境についてはどのようにお考えですか?
小淵:2026年については、高付加価値製品群の拡販により前年比で増収・増益を見込んでいます。ただし、中東情勢の影響で原燃料コストの上昇など、先行きが不透明な状況も見られます。当社としては、引き続き安定供給と価格改定を進めていく予定です。
守田:今年2月に、先ほどもお話がありましたが、2028年を最終年度とする新しい中期経営計画を発表されました。この策定に際する基本的な考え方や業績目標について教えていただけますか?
新中期経営計画の位置付け

小淵:新たな中期経営計画は、2030年に目指す姿、「No.1・Only1の高機能製品を群として保有し、社会課題の解決に貢献している」、「積極的な成長投資、資本構成の最適化により、企業価値が向上している」に向けて、「共創で未来を拓く」をスローガンに3年間の計画を策定しました。
基本方針として収益力の強化、技術力の向上、海外事業の拡大の3つを掲げ、2028年に180億円、2030年に200億円以上の営業利益を目指します。
守田:各セグメントにおける戦略や取り組みについてもご説明いただけますか?
成長戦略 注力事項(セグメント別)

小淵:2028年の営業利益は180億円とし、2025年比で約40億円の増益を目指しています。
これまで業績を牽引してきた基幹化学品は、ポートフォリオの見直しなどにより減益が見込まれます。そのため、本中期経営計画では高付加価値製品の拡大が鍵となります。
この中でも、増益幅が最も大きい分野はポリマー・オリゴマーです。成長戦略を加速させ、車載電池、半導体、医薬、化粧品用ポリマーなどの開発・拡販、そして海外展開の推進が要となります。
その他のセグメントについても、赤色で示した注力4分野、すなわち半導体、モビリティ、メディカル、そして下水道老朽化対策製品の開発と拡販がポイントとなります。
守田:ご説明の注力事項に関連して、今後の加速に向けた取り組みとして、例えば化粧品用ポリマーなどの関連開発のお話がありました。設備投資や研究開発の方向性、そしてその考え方を教えてください。
成長戦略 設備投資計画および研究開発費

小淵:設備投資は、投資効果などを精査した上で、3年間で590億円としています。これは、過去最高だった前中期経営計画の80パーセントの規模です。内容としては、成長・増強投資が全体の58パーセントを占め、合理化投資が20パーセントとなり、攻めの投資内容になっています。
研究開発費についても手を緩めることなく、売上高 研究開発費 比率は4パーセント以上を維持し、過去最高の72億円を予定しています。今後は、注力分野の開発力強化と新技術の獲得を目指していきます。
成長戦略 注力分野「半導体」

守田:注力分野として4分野というお話がありましたが、そこを少し深掘りして詳しくうかがいたいと思います。まず、半導体分野における関連製品の現況と、今後の成長戦略について教えていただけますか?
小淵:当社の強みは、世界シェアNo.1を誇る高純度液化塩化水素を中心に、半導体製造の各工程に不可欠な製品を幅広く展開している点です。また、ニーズに応じた製品を提供できることも強みです。引き続き半導体分野における新たなテーマの探索および開発にも注力し、2028年には2025年比で1.4倍の拡販を目指します。
守田:現在、半導体が非常に好調ですが、その中でも特に多層化などの高度な先端技術分野の需要が急激に伸びていると理解しています。具体的な取り組みを教えてください。
小淵:生成AIの伸長に伴い、先端半導体の需要は拡大しています。当社では、将来を見据えた品質向上と供給体制の拡充を進めています。
また、スライドに記載の高純度カセイカリやCMP用ポリマーといった研磨用薬剤も、半導体の多層化に伴う工程の増加により、今後の成長が期待されており、設備の増強を順次進めています。
成長戦略 注力分野「モビリティ」

守田:次の注力分野として、モビリティの分野についても教えていただけますか?
小淵:当社の強みは、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車、ガソリン車など、あらゆるタイプの自動車に全方位で展開している点です。そして、独自技術を基盤にコア製品へ採用され、技術向上の要望に常に応えることで競争優位性を確保していることです。
現在伸びているハイブリッド車に加え、今後さらに伸びると期待される燃料電池車(FCV)や電気自動車(EV)の開発に注力し、2028年には、2025年比で1.5倍の拡販を目指します。
守田:全方位戦略についてお話しいただきましたが、今後、どのタイプの自動車が伸びる見込みでしょうか? EVを巡る状況を見ると、いつ、何が起きるかわかりません。そうした中でも、御社は全方位に展開しているため、どのようなニーズにも対応できるということでしょうか?
小淵:おっしゃるとおりです。
守田:小淵さまご自身はポリマー技術の開発者出身で、この分野には特に思い入れもあるかと思います。今後の可能性について、どのようにお考えでしょうか?
小淵:モビリティは、まさにテーマの宝庫であり、常に技術が進化している分野です。今後も注力分野として位置付けていきます。また、新たに環境対応型製品や次世代モビリティ向け高機能材料の開発を推進し、グローバル市場での競争力をさらに高めていくことを目指します。
守田:すでに御社の製品が不可欠といえるものが数多くありますが、今後さらに増えていきそうですね。
小淵:そのように期待しています。
成長戦略 注力分野「メディカル」

守田:御社はメディカル分野を新たな成長領域に位置付けられていると思います。具体的に、どのような戦略や取り組みをお考えでしょうか?
小淵:ご指摘のとおり、メディカル分野は当社にとって新たな成長ドライバーとして期待している分野です。
創薬デザイン技術を駆使し、難治性疾患に有効な核酸医薬(siRNA)やDDS(核酸医薬送達材料)の開発に取り組んでいます。現在、国内外の複数のアカデミアやベンチャー企業と共同開発を推進しており、ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)との共同開発では、難治性がんの治療薬を開発中です。
さらに、その他の複数の疾患についても、多くのアカデミアやベンチャー企業と共同開発を進めています。本中期経営計画期間中に非臨床試験や臨床試験の段階まで到達することを想定しており、これらを実現することで、当社初となる医薬分野への本格参入を目指します。
守田:研究開発はすでにかなり進んでおり、自信をお持ちということですか?
小淵:おっしゃるとおりです。非常に期待している分野です。
成長戦略 注力分野 環境インフラシステム 「下水道老朽化対策製品」

守田:最後に、社会的課題として重要なテーマであるインフラの老朽化問題への取り組みについて教えてください。
小淵:日本では、道路の陥没事故が年間2,600件発生しており、下水道管の老朽化対策製品の需要が急増しています。グループ会社のアロン化成では、下水道老朽化対策製品を豊富に取りそろえています。
守田:トップシェアなのですね。
小淵:おっしゃるとおりです。また、破損箇所や必要な製品を非掘削で特定できるカメラとAIを活用したマッピングシステムの検証を進めています。これが実現すれば、補修の大幅な効率化が期待されます。なお、2028年には2025年比で1.2倍以上の拡販を目指します。
グローバル戦略

守田:先ほど成長戦略の中で海外展開に言及されていましたが、今後の具体的な取り組みや目標について教えていただけますか?
小淵:2025年の海外売上高比率は18パーセントにとどまりました。中国製品のアジア市場への流入などの影響はあったものの、前中計の最終年度である2025年までに8ヶ国13拠点を整備することができました。今後はこれらの拠点を活用し、現地のニーズに適合した新製品開発を推進しながら、グローバル展開を進めていくことを目標としています。
また、2028年には海外売上高比率を23パーセントに引き上げ、2025年比で100億円の増販を目指します。
財務戦略

守田:財務戦略についてです。基本的な考え方に加え、株主還元についてもうかがいます。
東亞合成は株主還元に非常に積極的だと定評がありますが、最近新設された株主優待も含め、全体像をご説明いただけますか?
小淵:財務戦略として、新中期経営計画では2028年にPBR1倍以上を目標に掲げています。資本効率の早期改善を図りつつ、積極的な株主還元と株主優待制度を通じて、株式市場での評価を高めていく方針です。
株主還元方針については、スライドのグラフでご説明します。緑色が配当性向、青色が自己株取得割合です。さらに、上段に総還元性向、中段に赤色で1株当たり配当金を示しています。
前中計期間は総還元性向が100パーセント以上でしたが、現預金を適切に縮減し、成長投資や人的資本投資などを踏まえた結果、新中計では総還元性向を90パーセント程度に設定しました。また、配当の割合を増やし、配当性向は期間平均で70パーセント程度としました。この方針に基づき、2026年の配当金は70円とする予定です。
なお、昨年10月に導入した株主優待制度は、化学セクターの中でも魅力的な内容となっています。当社への理解を深めていただくことで、新たな東亞合成ファンの創出を期待しています。
実際に個人株主数は導入後、ほぼ倍増しました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
守田:株価の状況について確認します。株価はこの1年で25パーセント上昇しています。一方で、先ほども触れたようにPBR(株主純資産倍率)は現在0.9倍程度と、1倍を少し下回る状況です。上場来高値である1989年の2,080円も、今後の展開次第では視野に入ってくるかと思います。そのため、投資家のみなさまからの注目も非常に高い状況です。
最後に、今後の成長に関するお考えも含め、視聴者のみなさまへメッセージをお願いします。
小淵氏からのご挨拶
小淵:現在、世界では不確実性が高まり、産業の変革もかつてない速さで進展しています。しかし、技術革新には必ず化学が貢献しており、新たなビジネスチャンスの創出が期待されます。当社は半導体やモビリティ分野などにおいて、唯一無二の技術に裏付けられた複数の高付加価値製品を保有しています。長年培ってきた技術力と研究開発力が、競争力を支える強みです。
変化を恐れず、リスクをチャンスと捉え、社会課題を解決する製品を全社一丸となって継続的に生み出すことで、企業価値の向上を目指していきます。これからの東亞合成に、ぜひご期待ください。
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