「AIは決してバブルではない」 半導体とロボティクスの長期投資戦略
AIと半導体は依然として米国市場の成長を牽引しています。岡元兵八郎氏は、AIはバブルではなく長期的な投資テーマだと強調しました。自動運転やロボットの普及で半導体需要は拡大傾向にあり、ドルコスト平均法による長期積立が有効と語りました。(※2025年10月22日収録のマネックス証券YouTube動画に基づく内容です)
【AI&半導体株】S&P500やNASDAQ100だけでは不十分!? 今すぐ始めるべき成長ファンドを紹介します!!

岡元兵八郎氏:マネックス証券のハッチこと岡元兵八郎です。これまで米国株の上昇を牽引してきた最大のテーマはAI(人工知能)です。AIブームについては、1年以上前から「バブルだ」という声がありました。最近ではそうした不安を煽る声がますます増えているようにも感じます。しかし私は、決してバブルではなく、AIはこれからも続く息の長い投資のテーマだと考えています。
本日はその理由と、AIというテーマについて投資信託を使ってどのように投資をしていけば良いのかをお話ししていきたいと思います。「AIのテーマはまだ終わっていないと思うが、バブルと言われると不安になる」という方は、ぜひ最後までご視聴ください。
AIが生活と市場を変える

「ハッチの米国積立投資クラブ」10月号をお届けします。AIを実現するために欠かせないもの、それは半導体です。
これまで私たちの生活を大きく変えてきたテクノロジー、例えばパソコンやデジタル家電、ゲーム機、携帯電話、スマートフォンなどには、その時々に旬な半導体が使われ、世界の半導体市場を拡大させてきました。そして今、AIが新たな半導体需要を生み出しています。

結果、NVIDIAのGPUチップが爆発的に買われ、ジェンスン・フアンCEO率いるNVIDIAの株価はここ数年で大きく上昇しました。NVIDIAの時価総額は世界初の4.5兆ドルを超え、およそ684兆円に達しています。OpenAIが「ChatGPT」をリリースしたことで、私たちはAIと直接対話できる時代になり、その力を肌で感じ始めました。
AI市場の規模は2021年時点で約956億ドルで、日本円でおよそ14.5兆円です。そして、2030年にはなんと1.8兆ドル、約270兆円規模まで拡大する見通しです。
エージェンティックAIとロボットの進化

「ChatGPT」を使い、みなさまの仕事の生産性はかなり上昇したのではないでしょうか? 私自身、毎日助けられており、もはや「ChatGPT」なしの生活は考えられなくなってきています。
AIの次の展開として注目されているのがエージェンティックAI(Agentic AI)です。これまでのAIは質問をしたり指示を出さないと動きませんでしたが、エージェンティックAIは違います。人間の監督や操作をほとんど必要とせずに、自ら目標を設定し、学び、行動するAIです。
エージェントAIの1つの例として、Microsoftが「Windows11」で発表した「Copilot Actions」は、「ファイルを整理して」「このメールに返信して」と声で指示を出すと、AIが自動で実行してくれます。こうした技術の進歩により、私たちの生活はさらに便利になっていきます。
また、これまでAIとの接点はパソコンやスマホ上での対話が中心でしたが、今ではAIがロボットにも搭載されるようになっています。
AIが解決する社会課題:人口減少と労働力不足

私たちが直面している大きな課題の1つは人口減少です。国連の予想によると、先進国の人口は2010年の8.3億人から2050年には7.4億人まで減少するとされています。消費者が減り、労働者の数も減っていきますが、その労働者減少の問題を解決する手段の1つとしてロボットが挙げられます。すでに工場では、多くの産業用ロボットが人手を介さずに働いています。

ロボットの大量生産が進み、1台あたりの値段は2005年の7万ドルから、2025年には1万ドルまで下がりました。つまり、ロボットが非常に使いやすくなったのです。そして今、そのロボットにAIが搭載され、知能を持ち始めています。

みなさまもご存知のテスラは、「オプティマス(Optimus)」というAI搭載の人型ロボットを開発しています。
イーロン・マスクの究極のビジョンは火星への人類移住で、スペースXで火星へのロボットの研究開発をしています。問題は「火星へ行けたとしても、火星で人間が快適に暮らすための施設を一体誰が作るのか? 」ということですが、人間ではなく、AIを搭載したロボットに作業させようという考えです。
そこまで行くのはまだ先の話ですが、まずは工場での労働を担い、やがて家庭で家事を手伝うようなロボットが登場してくると思います。イーロン・マスクは、5年以内に年間100万台規模の「オプティマス」の製造を行う計画を上げています。値段次第ですが、私も1台ぐらい欲しいと思っています。
こうした展開が進めば、半導体の需要はますます増えていくと思います。
AI技術の応用例 自動運転タクシーの衝撃

AIの象徴的な応用例がもう1つあります。それが自動運転タクシーです。私が今年サンフランシスコで乗った、Googleの親会社であるAlphabet傘下のWaymoの自動運転タクシーには、人間のドライバーはおらず、すべてAIが制御しています。
(サンフランシスコでの実際の動画が流れる)

今、僕はサンフランシスコの街の中にいます。今から「Waymo One」に乗れるかどうか試してみたいと思います。こちらは、僕が今年サンフランシスコで乗ったWaymoの自動運転タクシーです。

車内には誰もいません。音楽がかかっています。タッチパネルに表示されている「Start ride」というボタンを押してみます。行く先は、サンフランシスコのチャイナタウンです。
サンフランシスコの坂を登っている途中です。自動運転で坂を登るのは怖いですが、運転手が乗っていないのに車が動いていることに、とても感動しています。
今、前を走っている車を避けました。そして、到着しました。
(動画終わる)
当然ですが、自動運転タクシーの中にドライバーはいません。すべてAIが制御しています。このような車両には、これまでとは比較にならない数の半導体が搭載されています。AIの進化が、自動車産業そのものを変えつつあります。
このような大きな流れは一時的なブームではなく、私たちの世界を変える息の長い投資のテーマだと思います。
(※「AI関連株の投資信託」のパートについては割愛します)
投資の心構え:ボラティリティとどう向き合うか
半導体関連銘柄は、長期的な株価上昇が期待できる一方で、価格変動(ボラティリティ)が高いという特徴もあります。そのため、短期的な値動きに一喜一憂せず、あくまでも長期的な視点で投資を行うことがとても大切です。
そのための有効な手段が、ドルコスト平均法を活用した積立投資です。時間を味方につけてこつこつと投資を続けることで、AI時代の成長の果実を取り込みながら、着実に資産形成を進めていけると考えています。
ハッチのつみたて投資成績公開!

続いては「ハッチの米国つみたて投資」成績公開です。私は、これまで12の投資信託の積立投資を行っています。
まずは簡単なところからeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、iFree NASDAQ100、そして中小型株指数であるTracers S&P1000インデックス、iFree NEXT FANG+、グローバル・ロボティクスのテーマ、グローバル・メタバース、グローバル・フィンテック、グローバル・スペース、そして、eMAXIS Slim 新興株やiFree NEXT ベトナム株、iFree NEXT インド株、中国A株ファンドの12種類に投資を行ってきました。
これまで350万7,714円の積立投資を行ってきましたが、現時点で636万6,146円に増えており、リターンとしては81.5パーセントとなっています。
なぜこのポートフォリオにしているのか?

「このようなポートフォリオになっている理由を教えていただきたいです。グローバル・ロボティクス、メタバース等のテクノロジー銘柄をなぜ入れることになったのですか?」というご質問です。投資信託における私の考え方についてお話しします。
私は、S&P500とNASDAQ100には長い間投資を行っています。そしてこれからも継続するつもりです。
その理由は、S&P500については、米国を代表するグローバル企業に投資をすることで世界経済の成長の恩恵を受けることができるためです。
NASDAQ100については、米国はイノベーションが起きやすい国だと思っており、そのイノベーションの成功の果実を得るために、NASDAQ100にフォーカスするという考え方です。
加えて、最近ではいろいろな投資のテーマが生まれています。ロボティクスも、宇宙も、フィンテックもその1つです。そういった企業には米国を中心としたテクノロジーがあり、いろいろな投資のテーマがありますが、個人的におもしろいと思ったテーマの投資信託を選んで、追加で投資をしています。
これからの世界を考えた時に、フィンテックやロボティクス、宇宙など、自分の中で生まれてきた新しい投資テーマを一つひとつ確認し、個人的におもしろいと思った投資テーマのファンドも追加して、最終的にこのようなポートフォリオが出来上がりました。
それからもう1つ、過去にもお話ししましたが、私は新興国の長期的な成長に非常に期待しており、新興国のファンドも併せて持っています。その結果として出来上がったのが現在のポートフォリオです。
(※「ご意見・ご感想」のパートについては割愛します)
資産形成 成功の秘訣

毎月お話ししている大切なメッセージです。資産形成をする場合、できるだけ長期的な目線で投資を行うことが重要です。また、定時定額で投資を行う、いわゆるドルコスト平均法を活用しましょう。そして、マーケットが上がっても下がっても止めないことが大切です。
今年のマーケットを見て気づいたかと思いますが、今年の4月にトランプ関税でマーケットが大きく下がった時に売ってしまった人もいます。最終的に、あの時止めないで積立投資を継続した人が報われました。この傾向は今年が初めてではなく、ずっと続いています。それが米国株の歴史です。
マーケットが上がっても下がっても止めない、「継続は力なり」を意識し、長期的な目線で投資を継続してください。
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