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株式会社トーカイ9729

東証プライム

サービス業

トーカイグループの事業領域

浅井利明氏:株式会社トーカイ代表取締役社長の浅井です。本日は2026年3月期第2四半期の決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。

決算説明に入る前に、トーカイグループの概要について簡単にご説明します。当社グループは、「清潔と健康」をテーマに、人々の快適な暮らしと安全で健康的な生活を支えるサービスを提供しています。スライドのとおり、「医療と介護の現場」「高齢者の自立した生活」「地域の皆さまの健康」「日々の清潔な暮らし」を支える事業を推進することで、社会に貢献しています。

トーカイグループ 事業の沿革

そもそも当社グループは、1955年に貸布団業として創業しました。それ以来、レンタルのビジネスモデルを強みとして、主要なお客さまである医療機関や介護施設のニーズに応えながら事業領域を広げてきたことで、現在のような事業ポートフォリオを形成しています。

セグメントの構成および事業内容

トーカイグループの現在のセグメントについて簡単にご説明します。当社グループのセグメントは、「健康生活サービス」「調剤サービス」「環境サービス」の3つで構成されています。

各事業の売上比率はスライドのとおりです。病院関連事業、寝具・リネンサプライ事業、シルバー事業、調剤薬局事業で、連結売上高の8割を超える規模となっています。現中期経営計画の期間中は、各事業のポートフォリオの位置づけに合わせて収益性向上を図っています。

連結 損益の状況(P/L)

それではここから、2026年3月期第2四半期の決算概況についてご説明します。

連結売上高は790億2,600万円で、前年同期比8.7パーセントの増収となりました。主力であるレンタル事業が好調に推移したことに加え、高額医薬品の処方増加により調剤薬局事業の売上も伸長しました。

また、昨年実施したM&Aによる連結範囲の拡大もあり、連結売上高は過去最高を更新しました。M&Aによる増収としては、mik japanが13億5,800万円、介護センター花岡が9億9,500万円となり、合計で23億5,300万円となっています。

営業利益は44億3,600万円で、前年同期比21.1パーセントの増益となりました。

一過性の費用として、当社70周年記念事業の関連費用が約1億円発生しましたが、レンタル事業を中心とした増収効果に加え、介護用品のレンタル資材の効率的な運用などにより収益性が向上し、過去最高益を達成しました。

親会社株主に帰属する中間純利益については、前期に投資有価証券売却益として7億7,000万円を計上しているため、前年同期比で横ばいとなりました。

セグメント別損益の状況

セグメント別の損益の状況についてです。売上面ではすべてのセグメントで前期比増収となり、利益面では中核を担う健康生活サービスがグループ全体の利益をけん引しました。一方で、環境サービスはダストコントロール市場の厳しい事業環境により減益となりました。セグメントごとの状況については後ほどご説明します。

連結 財務の状況(B/S)

財務状況についてです。当社の強みであるレンタルビジネスを通じた継続的な利益創出により、純資産が増加しました。今後も健全な財務体質を維持しつつ、中期経営計画に沿った「バランスの取れた成長投資と株主還元の実施」を通じて、資本効率の向上を図っていきます。

設備投資の実績

設備投資の実績についてです。前期には九州メンテナンスセンターの新設やグループ会社の生産拠点拡充などの工場投資を行ったため、設備投資全体は前年同期比0.6パーセント減となりました。

一方で、当期は病院関連事業の基幹システム更改や、DX戦略を推進するためのシステム投資が増加しています。

また、埼玉工場の減価償却負担が減少した結果、減価償却費は前年同期比3.7パーセント減少しました。

26/3期2Q 健康生活サービス 売上高 増減要因

それでは、セグメント別の業績について説明します。健康生活サービスの売上高は前年同期比8.2パーセント増の405億8,700万円となりました。病院関連事業および寝具・リネンサプライ事業は、9億3,200万円の増収となりました。

病院関連事業では、介護施設を中心とした新規顧客の獲得や、入院・入居セットの売上好調が継続しています。また、寝具・リネンサプライ事業では、ホテル向けリネンサプライの新規顧客獲得と、サービス提供価格の適正化が進展しました。

シルバー事業においては、新規利用者数の増加に加え、前期にmik japanおよび介護センター花岡をグループ化したことにより、18億3,700万円の増収となりました。給食事業では、不採算事業所の撤退による減収を価格改定と完全調理品販売の増収で補い、2,800万円の増収となりました。

その他の分野では、リネンサプライ工場における省人化需要の高まりを受け、クリーニング設備製造事業が好調に推移し、2億9,000万円の増収となりました。

26/3期2Q 健康生活サービス 営業利益 増減要因

健康生活サービスの営業利益は前年同期比26.3パーセント増の41億9,000万円となりました。病院関連および寝具・リネンサプライ事業では、主にホテル向けリネンのレンタルを中心とした価格適正化を含む増収効果により、外注費などのコスト増を吸収し、2億100万円の増益となりました。

シルバー事業では、メンテナンスセンターの体制強化など通じたレンタル資材の効率的な運用による原価圧縮に加え、介護センター花岡の連結化が貢献し、4億3,200万円の増益となりました。

給食事業では、完全調理品の運用推進や不採算事業所の撤退、価格改定などの構造改革の取り組みにより収益が改善し、5,500万円の増益となりました。その他では、クリーニング設備製造事業の増収効果が主な増益要因となっています。

健康生活サービス 事業の状況 <病関・寝具・クリーニング設備>

病院関連事業における病院・介護施設向けリネンサプライのサービス提供床数は、前年同期比2.2パーセント増となりました。

社会保障費の適正化を目的とした医療機関の床数削減により、当社の取引先医療機関の床数はわずかに減少しています。しかし、介護施設を中心とした新規獲得により、全体としては安定した伸びを示しており、これが病院関連事業の売上基盤となっています。

一方で、成長をけん引しているのは入院・入居セットです。介護施設を中心に新規の獲得が進んでおり、入院・入居セットの売上は前年同期比7.3パーセント増となりました。

また、ホテル向けリネンのレンタルを行う寝具・リネンサプライ事業およびクリーニング設備製造事業は、観光需要の拡大により成長が続くことを見込んでおり、成長けん引事業と位置づけています。これらの事業は、それぞれ前年同期比10.2パーセント増、22.0パーセント増と引き続き大きな伸びを維持しています。

健康生活サービス 事業の状況 <シルバー>

シルバー事業では、介護用品レンタルの直販売上が、市場の成長を上回るペースで順調に推移しており、前年同期比14.0パーセント増となりました。前期に取得した介護センター花岡の連結化が大きく貢献しています。

なお、介護センター花岡の連結加入効果を除いても、前年同期比6.5パーセント増と順調に拡大しています。スライド右側の表は、シルバー事業における近年のM&A実績です。成長をけん引する事業と位置づけるシルバー事業では、新規出店とあわせて、引き続き積極的なM&Aを通じた事業拡大を図っていきます。

26/3期2Q 調剤サービス 売上高 増減要因

調剤サービスの売上高は前年同期比10.6パーセント増の309億2,200万円となりました。

調剤薬局事業では、高額医薬品の処方増加による処方箋単価の上昇に加え、調剤報酬改定2年目となった今期は、かかりつけ機能の強化や医療DX推進体制整備加算の取得が増収に寄与しました。また、ドラッグストア関連事業では、昨年のmik japanの連結化により10億8,600万円の増収となりました。

26/3期2Q 調剤サービス 営業利益 増減要因

調剤サービスの営業利益は前年同期比4.5パーセント増加し、9億6,100万円となりました。調剤薬局事業では、処遇改善などを目的とした継続的な賃上げによる労務費の増加を増収効果で補い、増益を確保しました。

また、mik japanが展開するドラッグストア関連事業については、収益改善の取り組みが道半ばであり、800万円の減益となりました。

調剤サービス 事業の状況 <調剤薬局>

調剤薬局の新規出店については、当期に2店舗を新規出店し、1店舗を閉店しました。その結果、現在の店舗数は159店舗となっています。高額医薬品の処方が増加したことで処方箋単価は上昇しましたが、処方の長期化などの影響により、処方箋枚数は前年同期比でやや減少しています。

調剤サービス 事業の状況 <調剤薬局>

調剤薬局事業では、地域で最も選ばれる薬局を目指し、患者さま一人ひとりに寄り添った服薬指導や、利便性向上に向けた取り組みを推進しています。

マイナ保険証の積極的な利用促進により、たんぽぽ薬局におけるマイナ保険証の利用率は57.0パーセントとなりました。たんぽぽ薬局全159店舗のうち155店舗が医療DX推進体制整備加算の施設基準をクリアしており、加算の算定状況も前年同月比で大幅に増加しています。

また、今期から全店舗にクラウド型電子薬歴システムを導入し、患者さまへの服薬フォローアップの取り組みを強化しています。さらに、専門薬剤師の育成や在宅調剤にも積極的に取り組むことで、地域支援体制加算の取得につなげていきます。

特に在宅調剤においては、施設だけでなく個人宅への対応にも注力しており、利用者数を着実に増やしています。

26/3期2Q 環境サービス 売上高 増減要因

環境サービスの売上高は前年同期比3.3パーセント増の74億3,000万円となりました。リースキン事業では、自動開閉式サニタリーボックス「ルーナス」や尿石付着防止装置「ステラバイス」など、注力しているトイレ周り商品の売上が好調に推移しました。

一方で、マットやモップといったダストコントロール商品の売上は厳しい事業環境が続き、2,800万円の減収となりました。清掃事業では、手術室支援業務の新規獲得や価格適正化の取り組みなどにより、2億5,300万円の増収となりました。

26/3期2Q 環境サービス 営業利益 増減要因

環境サービスの営業利益は前年同期比で3.1パーセント減少し、6億9,900万円となりました。

リースキン事業では、ダストコントロール商品の売上減少に伴う粗利減に加え、レンタル資材の補充が増えたことで資材費が増加し、2,600万円の減益となりました。

清掃事業では増収効果があったものの、新規受託に伴う事業所立ち上げに係る労務費の増加や、資機材の仕入れなどの初期費用が発生したことで、100万円の増益にとどまりました。

環境サービス 事業の状況 <リースキン・清掃>

リースキン事業では、引き続きトイレ周り商品の販売拡大に注力し、ブランド力の向上を図っています。

サニタリーボックスと生理用品配布ボックスをセットにした「ルーナスサポートZERO」の取り組みや、尿石付着防止装置「ステラバイス」とトイレのガラスコーティングサービスを組み合わせた営業活動により、リースキン事業におけるトイレ周り商品の売上は、前年同期比8.9パーセント増と好調に推移しました。

特に「ルーナスサポートZERO」では、自動開閉式のサニタリーボックスと無償で利用できる生理用品をセットにして設置することで、女性の安心で快適な日々を支えており、社会貢献の観点からも、大学や企業を中心に導入が進んでいます。

清掃事業では、収益性の高い病院清掃に注力しており、病院清掃の売上は前年同期比15.6パーセント増と好調に推移しています。医療機関の人手不足を背景に需要が高まる手術室支援業務など、院内感染管理に関するノウハウを活かし、質の高いサービスの提供を引き続き図っていきます。

26/3期 連結業績見通し

続いて、今期の見通しについてお伝えします。中間期の業績は通期計画に対する進捗として、売上高はほぼ計画どおり、営業利益は54パーセントの進捗と順調に推移しています。

利益面では、介護用品レンタル事業における資材効率向上の効果が出ています。一方で、病院関連事業や寝具・リネンサプライ事業において、資材購入の時期が後ろ倒しとなっていることなどから、通期計画は期初発表を据え置いています。なお、期初時点での今期計画はスライドに記載のとおりです。

中期経営計画の概要

ここからは、中期経営計画で掲げた成長戦略に基づく取り組みについて説明します。スライドは、今年5月に公表した今期から3年間の中期経営計画の概要です。

本中期経営計画では、「ROE8パーセント」を最重要目標とし、その実現に向けて5つの基本方針に沿った施策を推進しています。今回の中期経営計画は、10年後のありたい姿を描く長期ビジョンの実現に向けた「収益性の向上と新たな価値創出の種まき」の期間として位置づけています。

事業ポートフォリオの認識と各事業の位置づけ

当社グループの事業ポートフォリオについては、スライドのとおり整理しています。収益性向上については、各事業の位置づけに応じた、それぞれのテーマに取り組んでいます。ここからは、それぞれの位置づけごとに取り組み状況を説明します。

収益性向上に向けた各事業の取り組み ①

まずは「成長けん引事業」についてです。グループの成長を最もけん引していくと位置づけているシルバー事業では、福祉用具貸与市場でのシェア拡大を目指し、積極的な出店とM&Aに取り組んでいます。

この1年では、九州エリアにおいて、昨年8月のメンテナンスセンター開設以降、福岡西営業所、大牟田営業所、九州中央営業所と積極的に出店を行い、九州北部エリアでのサービス体制を強化してきました。また、レンタル資材の効率的な運用を通じ、事業拡大だけでなく、収益基盤を強化する取り組みも併せて推進しています。

収益性向上に向けた各事業の取り組み ②

同じく「成長けん引事業」と位置づける寝具・リネンサプライ事業では、M&Aを通じたサービス供給体制の強化を進めています。

非連結子会社である日晴リネンサプライと日晴有斐は、ともにインバウンド需要が高まる岐阜県の飛騨高山エリアで、ホテル向けのリネンサプライ事業を展開しています。今期は洗濯設備を増強し、需要増に対応できるよう、生産体制を拡充しました。

また、昨年グループ化した福島の新常磐寝具も現在は非連結子会社ですが、同じく福島県内に本社を置く連結子会社の同仁社との連携を進めており、東北エリアにおける寝具・リネンサプライ事業の体制強化を図っています。

収益性向上に向けた各事業の取り組み ③

「安定収益事業」と「収益性強化事業」の取り組みです。医療機関や介護施設といったお客さまとの長年の信頼関係を事業基盤とする病院関連事業と清掃事業は、「安定収益事業」と位置づけています。

しかし、昨今の医療機関や介護施設の経営環境が厳しさを増す中、当社としても事業の効率化を図ることで収益を維持していく取り組みが不可欠です。そのような中、病院関連事業では、今期7月から新たな基幹システムが稼働し、一部伝票発行の業務が削減されるなど、生産性向上の効果が出てきています。

一方、入院セットにおいては、テレビリースを組み込んだ提案を開始するなど、多様化するお客さまのニーズに応えられるよう、サービスの付加価値向上に取り組んでいます。清掃事業では、サービスの品質を維持しながら生産性向上につなげるため、AI清掃ロボットの活用を進めており、現在までに12の受託事業所で導入が進んでいます。

「収益性強化事業」の取り組みテーマは、従来のサービスや売上構成からの転換を進めることです。

給食事業では、これまでの施設内で当社従業員が調理を行うサービス体制から、完全調理食品を活用したサービス提供方法への転換が進んでおり、現在、受託事業所の約4割で導入されています。

調剤薬局事業では、今期からクラウド型電子薬歴システムを全店舗で導入しました。段階的ではありますが、一部店舗で処方箋入力業務のセンター化を開始しています。積極的なDX推進を通じて業務の効率化を図り、収益性の強化につなげるとともに、患者さまと向き合う対人業務の充実を目指していきます。

リースキン事業では、引き続きトイレ周り商品の拡販を進め、その売上構成比率を高めていきます。先ほどご説明した「ルーナスサポートZERO」の取り組みは、社会課題への貢献という観点から多くの関心を寄せていただいており、現在500軒を超えるお客さまに採用されています。

グループシナジーの創出・最大化に向けた取り組み ①

今回の中期経営計画では、「グループシナジー」を大きなテーマに据えています。グループ全体の経営資源を結集し、新たな価値を創出するため、グループ横断的な取り組みを進めています。

その具体策の1つとして、たんぽぽ薬局の既存店舗を活用した介護用品レンタル事業の出店を進めています。8月には愛知県のたんぽぽ薬局一宮店での併設、10月には岐阜大学医学部附属病院の門前に位置するたんぽぽ薬局の隣地に営業所を出店しました。

成長加速を目指すシルバー事業として、低コストでスピード感のある出店を推進し、拠点展開の密度を高めることで、地域シェアの拡大につなげています。たんぽぽ薬局としては、介護相談にも対応可能な体制を整え、地域包括ケアシステムにおける役割の強化を図っていきます。

出店後、たんぽぽ薬局の利用者から介護に関する相談が多く寄せられるようになり、医療・介護分野で幅広いサービスを展開するトーカイグループとしての認知度が高まっています。これにより、地域内の介護ニーズに応えられているという実感を得ています。

引き続き、こうしたシナジーを活用した出店を進めることで、地域におけるトーカイグループのプレゼンス向上を図っていきたいと考えています。

グループシナジーの創出・最大化に向けた取り組み ②

また、介護用品レンタルでは、2024年7月にグループ化したmik japanが展開しているリハビリデイサービス「ミック健康の森」と商圏が重なるエリアで、相互営業を推進しています。

例えば、自宅で使用する介護用品をリハビリに取り入れる取り組みや、「ミック健康の森」の内覧会と介護用品レンタルの展示会を合同で開催するなどの活動を行っています。

在宅高齢者の生活をサポートする2つのサービスの連携により、当社グループ全体での一体的なサポート体制を、利用者やケアマネジャーのみなさまに実感していただくことで、新たな利用者の獲得につなげていきます。

株主還元および資本政策

最後に、株主還元と資本政策についてご説明します。現中期経営計画では、最重要目標に掲げるROEの改善に向けて、「バランスのとれた成長投資と株主還元の実施」を掲げました。

株主還元としては、「3年間累計で総還元性向70パーセント超」という方針を掲げ、2026年3月期には安定配当に加え、中間・期末で5円ずつの創業70周年記念配当を実施します。

また、先日発表したとおり、資本効率向上の観点から、11月12日に発行済株式総数の8.7パーセントに相当する294万株、約63億円分の自己株式を取得しました。今回取得した自己株式は、その全数を消却する予定です。

今後もさらなる資本効率の向上に向けて、機動的かつ積極的な資本政策および株主還元策の検討を進めていきます。

以上、2026年3月期第2四半期の決算についてご説明しました。

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