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株式会社アビスト6087

東証スタンダード

サービス業

業界の動向

進顕氏:2025年9月期決算について、代表取締役社長の進顕がご説明します。まず、業績の状況についてです。2025年9月期における当社を取り巻く業界の動向についてご説明します。

自動車業界では、米国の関税政策などの影響が現れ始めていますが、脱炭素化に向けた研究開発投資は継続されています。また、人材業界では転職市場が活発化し、人材の流動化が進む中で、人材獲得競争がますます過熱しています。そのため、当社においても人材確保や人材育成の一層の強化が求められています。

業績の概要

業績の概要です。売上高は前年同期比プラス6.2パーセント、営業利益はプラス6.7パーセントと増収増益となりました。単価改善の進捗および請負業務の要員増加が売上高と営業利益に貢献しました。

2025年9月期は増収増益

業績数値です。売上高は106億2,700万円で、対前年プラス6.2パーセント、営業利益は9億6,300万円で、対前年プラス6.7パーセント、経常利益は9億7,700万円で、対前年プラス7.9パーセント、当期純利益は6億4,900万円で、対前年プラス6.3パーセントとなりました。

計画(2024年12月公表値)に対する実績と評価

計画と実績の差異についてです。売上高は計画に対し7,300万円のマイナスとわずかに未達となりました。コンサルティングの活用を含む採用力強化が進み、新卒採用数は計画を上回りましたが、経験者採用数が目標に届かず、計画に対して要員が不足しました。

営業利益については、継続的な賃上げの実施により人件費が増加しましたが、請負業務の単価改善が進捗し、計画を1億6,300万円上回る結果となりました。

現時点での経営戦略上の課題は、大きく分けて収益率向上、人材確保、リーダー層の育成の3点であると認識しています。詳細については、後ほどご説明します。

中期経営計画における新領域の売上実績

中期経営計画における新領域の売上実績についてです。新領域の売上高は第19期以降、計画を下回っているものの、前年比では増加し続けています。

経営戦略上の課題の整理

次に、課題への対策と今後の成長戦略についてお話しします。経営戦略上の課題を整理します。当社では営業利益に焦点を当てた経営を推進しています。設計開発アウトソーシング事業においては、売上高を人員数、稼働率、単価の要素に分解することができます。また、売上原価の大部分を人件費が占めています。

当社の課題は、収益率の向上、人材の確保およびリーダー層の育成です。まず1つ目の収益率については、技術力に見合わない単価設定や、賃上げによる人件費高騰が影響を与えています。単価改善は進捗していますが、今後も粘り強い交渉を続け、収益率のさらなる向上に取り組む必要があります。

次に、稼働人員数が売上に直結することから、2つ目の課題として人材確保が挙げられます。

そして3つ目の課題として、リーダー層の育成があります。現場の受け入れ体制を強化するため、2026年9月期より優先的に取り組む課題と位置付けています。

現時点における経営課題

先にお伝えしたとおり、課題は収益率向上、人材確保、リーダー層の育成です。収益率向上においては、技術力に見合った単価の改善と賃金上昇への対応が引き続き求められます。営業ワーキンググループによる全社的な管理のもと、さらに1段階上の単価改善に取り組んでいきます。

人材確保においては、技術者数の停滞が売上高成長率の課題となっています。採用数は安定的に推移していますが、採用力の強化と入社後の人材育成が引き続き必要です。

新たな課題である、リーダー層の育成についてです。基礎研修を終えた技術者を現場でサポートするための受け入れ体制の拡充が急務となっています。そのためには、リーダー層や管理職の教育・増員といった、長期的な企業成長を見据えた人材投資が必要です。これらの課題については、この後のスライドで詳細をご説明します。

課題① 収益率向上に向けた取り組み

収益率向上を目指した単価改善に向けた取り組みについてご説明します。まず、国内物価上昇率や賃金上昇率を考慮し、随時単価の見直しを行います。

技術力の高い技術者が低単価の案件に従事している例がありますが、営業力を強化し、高難度案件の受注を増加させることで、技術力に見合った単価を獲得できるよう努めます。また、教育の充実を図ることで、高単価案件に従事できる技術者を増やしていきます。

さらに、研究開発技術を活用し、AR・AI技術や設計ソリューションの外販による収益化を目指します。同時に、設計効率化ツールの活用を通じて、請負業務の効率化を推進していきます。

さらに、従来は専門部署で行ってきた開発会議を、より詳細かつタイムリーに開発アイテムを選別し、リソースを最適化するため、部門横断型の「研究開発会議」として運営しています。今後は、さらに開発スピードを加速させていきます。

課題① 一人月売上高の推移

一人月売上高の推移です。中期経営計画策定後の第17期10月以降も、効率的な人員配置などにより右肩上がりに推移しています。第20期通期では、単価改善の取り組みが進み、前年比プラス4万6,000円と、一人月売上高の上昇に寄与しました。

課題① 派遣・請負別売上高、一人月売上高の推移

派遣・請負別の売上高と一人月売上高の推移について説明します。派遣業務では、企業の生産活動が高水準を維持し、開発投資の拡大が続いています。戦略的な人員配置転換や単価改善が寄与し、第20期通期の売上高は前年比2.7パーセントの増加となりました。1人当たり売上高は68万3,000円で、前年比で4万6,000円増加しています。

請負業務では、案件に対する取引先の難度や要求値が年々上昇しています。単価交渉の進展や人員の増加により、売上高は前年比9.5パーセント増加しました。また、高単価のプロジェクトを厳選したことにより、1人あたり売上高は85万4,000円と、前年比で3万8,000円増となりました。売上高比率は全体の59パーセントと、引き続き高水準を維持しています。

新卒・ポテンシャル人材を除く技術者稼働率は高稼働率を維持

技術者数と稼働率の推移です。稼働率は約95パーセントと、引き続き高い水準を維持しています。今年4月には、計画を上回る採用数の新卒社員が入社しました。現在、研修を通じて技術者としての各種スキル向上に取り組んでいます。

課題②人材確保に向けた取組み

次に、人材確保に向けた取り組みについて説明します。採用力強化では、採用コンサルの活用を進めた結果、2025年新卒採用において目標を達成しました。また、国内賃金上昇率に合わせた待遇改善として、今年4月より平均5パーセントの賃上げを実施しました。

さらに、以前から注力している教育カリキュラムでは、一部の新卒技術者の早期配属や稼働率向上に寄与するなどの成果が出ています。カリキュラムを専門分野化したことで、より実践的な未経験者教育が可能になりました。

次のスライドで取り組みについてご説明します。

課題②人材確保に向けた取組み

教育カリキュラムの充実化についてご説明します。まず、新卒技術者の研修では、従来から大幅に内容を拡充しました。機械系・情報系において、専門分野をはじめ、ヒューマンスキルなど各分野で期間・内容の見直しを行い、より手厚く充実させました。

このような人材育成の強化により、配属前から新卒技術者のスキル向上を支援し、配属先で継続的に専門性を発揮し、長期的にお客さまからの信頼を獲得することを目指します。

課題③ リーダー層の育成(2026年9月期〜)

次に、リーダー層の育成についてです。人材獲得競争の過熱や活発な転職市場の影響で、人材確保の難度が高まり、人材の流動化も進んでいます。

そのような状況の中、当社はより多くの技術者を採用し、研修を通じて現場で活躍できるようサポートするため、人材確保とあわせて人材育成を強化しています。採用力の向上により採用数は安定しており、入社後の基礎研修も効率化され、内容が充実しています。

一方で、基礎研修修了後には、現場での受け入れ枠拡大が必要となります。そのためには、若年層技術者を現場で支えるリーダー層や管理職の教育および増員が求められます。2026年9月期は、長期的な企業成長を見据えた人材投資の1年と位置付けています。目指すべき姿や道筋を共有しながら、計画的な育成支援を行うとともに、待遇の改善にも取り組みます。

2026年9月期以降に向けた取り組み

2026年9月期以降の取り組みについてです。2026年9月期は、中長期的な企業成長を目指し、下期となる4月の契約単価改定に先行して、上期である2025年10月から、人材投資として待遇改善やリーダー層の育成に取り組んでいます。

上期に人材投資を行い、下期に収益性の改善を見込むため、増収減益を想定しています。

2027年9月期では、2026年および2027年4月の単価改定による収益性の改善を見込み、計画数値の達成を目指します。

中期経営計画の進捗

あらためて、11月14日に公表した中期経営計画の内容を示します。先にご説明したとおり、2026年9月期は人材投資を優先するため、計画数値を変更しました。売上については、現時点で人員数が計画を下回っているため、当初予定を下回る見込みです。

また、営業利益、経常利益、当期純利益については、継続的な賃上げ、採用力の強化、実効性のある内部統制体制の確立に伴う増員を販管費として織り込んでいるため、当初予定を下回る見込みとなり、下方修正しました。

中期経営計画 2027年9月期目標:売上高125億円・経常利益13億円

2020年以降、利益はほぼ横ばいにとどまっていますが、中期経営計画で掲げた取り組みに加え、今回ご説明した対策を進めることで、計画の最終年である2027年9月期の目標達成を目指します。

設計支援ソリューション開発事例

続いて、デジタルソリューション開発事例をご紹介します。まずは、設計自動チェックツールです。こちらは、文章に記載されたチェックシートの内容を読み取り、図面がその内容に適合しているかを自動で判定するシステムです。現在、自動車部品メーカーと共同で研究開発を進めており、利用開始を目指しています。

DiffAR

次に、「iPad」上で対象物と3D-CADモデルを重ね合わせ、形状の差異をAR技術でリアルタイムに認識できる表示プログラム「DiffAR」についてです。2023年8月に特許を出願しました。現在、より精度を高める改良を行うと同時に、既存顧客に対して売り込みを開始しています。

AR・AIソリューション開発事例

ほかにも、AIを活用したソリューションをご紹介します。スライドに示しているとおり、高精度な3Dスキャン技術を活用した人体の3Dモデル設計や、認可証の自動転記システムなどを開発しています。

設計支援ソリューション開発事例

当社の主力事業の業務効率化ツールとして、設計断面の自動作成ツールや干渉チェックツールを開発しています。これらはすでに社内で利用しており、現在はさらなる精度向上に取り組んでいます。

これらのツールの活用により、当社内の設計業務の品質向上や自動化による原価低減を図ります。

継続的・安定的な配当で株主還元

最後に、株主還元方針についてご説明します。当社は、株主さまへの利益還元を経営の重要課題の1つと位置づけ、継続的かつ安定的な配当を実施することを基本方針としています。

配当政策については、事業拡大と配当の安定性を重視し、財政状態および利益水準を考慮した上で、当期純利益の35パーセント以上を毎期配当することを原則としています。

アビストの株主優待制度

また、日頃からの株主さまのご支援に感謝の意を示すため、スライドに記載のとおり、株主優待制度を導入しています。

ご説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。

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