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株式会社サイバーセキュリティクラウド4493

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業績の概況

小池敏弘氏:本日はお忙しい中、当社の2025年12月期第3四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。株式会社サイバーセキュリティクラウド代表取締役社長の小池です。2025年12月期第3四半期の決算概要とトピックスについてご説明します。

まず、業績の概況についてです。第3四半期の会計期間における営業利益は3億6,000万円で、会計期間ベースでは過去最高益となりました。また、累計では8億4,000万円で、進捗率84.4パーセントと順調に推移しています。当期12月期の全体の予想に対しても、売上高・利益ともに順調な進捗状況です。

ARRの推移

ARRの推移です。それぞれのプロダクトは順調に成長し、前年同期比でプラス26.4パーセントとなっています。

攻撃遮断くんとWafCharmの解約率

解約率に大きな変化はなく、1パーセント前後で安定的に推移しています。

売上高の推移

四半期の売上高についてです。通常のソフトウェアの成長に加え、昨年新設したジェネレーティブテクノロジー社が受託した開発案件も寄与し、前年比でプラス36.7パーセントと非常に順調です。

営業費用(売上原価・販売費及び一般管理費)の推移

営業費用の推移についてです。一昨年から注力している新製品「CloudFastener(クラウドファスナー)」があります。こちらは2年前の発売以来、順調にお客さまと売上が増加しています。

その活動の中で見えてきた次の打ち手として、新機能の開発を実施しています。この開発にかかる費用の一部を資産に計上したため、前の四半期と比べて営業費用は減少しています。

第4四半期については、当社にとって恒例化しつつある、12月にアメリカ・ラスベガスで開催される非常に大きなカンファレンスに出展を予定しています。そのため、これまでの四半期と比べて費用が一部増加する見込みです。

サイバーセキュリティクラウドの成長を支える従業員

従業員の推移についてです。最近は中途採用が非常に順調で、期末時点で176名まで増員しています。

2025年の進行期全体においても、特に後半は非常にすばらしい人材が多く入社し、人数だけでなく、仲間としての強さも大きく向上していると感じています。

攻撃遮断くんの成長加速に向けたパートナー施策

第3四半期のトピックスに移ります。まず、「攻撃遮断くん」の成長を加速させるためのパートナー施策です。

上場時から現在まで、「攻撃遮断くん」は当社の主力製品として多くの売上がある一方、成長率は年々少しずつ落ち着いています。しかしながら、ここ数年は国内のクラウド型のWAFというジャンルでナンバーワンのシェアを獲得しており、引き続きお客さまから高い支持を得ている製品です。

この製品をまだまだ多くのお客さまに使っていただきたいという思いを強く持っています。それを実現するためにさまざまな施策を講じており、その一部をご紹介します。

1つ目は、さくらインターネットと販売代理契約を締結し、AIをはじめとして、知名度や高い影響力を有するさくらインターネットとともに、「さくらのクラウド」を通じて「攻撃遮断くん」の提供を開始したことです。

最近、当社においては、「Amazon Web Services(AWS)」をはじめとしたクラウドを利用するお客さま向けの製品が非常に伸びている状況ではあるものの、日本国内においては、さくらインターネットをはじめとするオンプレ型・データセンター型のシステムを有するお客さまも依然として多くいらっしゃいます。

そのような状況を踏まえると、「攻撃遮断くん」の開拓余地は非常に大きいと考えており、さくらインターネットと良好な協業関係を築きながら、さらなるユーザー数の拡大を目指すとともに、さくらインターネットの製品を利用されているお客さまが安心してシステムを運用できるよう努めていきたいと考えています。

また、Fastlyとの戦略的な協業も開始しています。細かな技術的な部分は割愛しますが、Fastlyは非常に高い性能を持つCDNというネットワーク技術を提供しています。彼らのCDNと当社の「攻撃遮断くん」を組み合わせることで、セキュリティ精度の高いネットワークを構築することを目指し、今後、一緒に取り組みを進めていきます。

CDNというサービス自体は、基本的に大手、あるいは、非常に多くの通信量を必要とするサービスやアプリケーションに利用されることが多いため、特に大手のお客さまに「攻撃遮断くん」をご案内できる機会が増えると期待しています。

「WafCharm Lite」をリリース:顧客基盤拡大とARPUの向上へ

ここまでご説明したオンプレミス系やデータセンター系の話とは異なり、クラウドに関する話題です。この度、「WafCharm Lite(ワフチャーム ライト)」をリリースしました。

特に、「AWS」をご利用いただいているユーザーの方がWAFを活用して外部からの攻撃を防ごうとする場合、当社ではスライド左の「AWS WAF Managed Rules(マネージドルール)」という廉価なプラン、または右の「WafCharm」という月に約1,000ドル、現在の為替で約15万円の価格帯で非常に高いサポートを受けられるプランのいずれかを選択いただいていました。

「AWS WAF Managed Rules」という製品は、グローバルでも多くの顧客に支持されています。月額25ドルから利用可能な製品ではありますが、利用料や、1社あたりの「AWS WAF Managed Rules」を適用するアプリケーションやサービスの数に応じて、非常に多くの金額をチャージしている顧客もいらっしゃいます。

一方、「AWS WAF Managed Rules」は、個別のサポートが利用しにくく、利用状況を見ながら適切なチューニングができないため、基本的にはお客さま自身で対応していただくというのが特徴です。

そのような「AWS WAF Managed Rules」を利用されている方々が適切なチューニングやカスタマイズを体験し、さらに強固なセキュリティを実現するための手段として「WafCharm」をご活用いただくプランとして、今回、価格帯や機能面で中間帯に位置する「WafCharm Lite」を提供することとなりました。

以前から当社にご注目いただいている投資家のみなさまの中には、過去に「WafCharm」が現在の価格帯よりも安い価格帯で提供されていたことを覚えている方もいらっしゃるかと思います。今回の「WafCharm Lite」とは価格が少し異なりますが、中央の価格帯に位置するのが「WafCharm」であったと記憶されている方もおられると思います。

今回の新製品は、もともとあったものに値上げや機能拡充を行って復活させたものではありません。現行の新「WafCharm」が非常に支持を受けている一方で、「AWS WAF Managed Rules」から「WafCharm」の価値をしっかりと体験していただきたいという思いから、「WafCharm Lite」という中間に位置する製品を開発しました。

機能や価格設定の詳細は割愛しますが、新製品を活用することで、通常の「WafCharm」と同等の価値を享受できる仕組みになっています。まさにスライドの図のとおり、アップセルを進められ、価値も感じていただける設計です。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の案件を獲得

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)から案件を受託した件についてです。まず、サイバーセキュリティクラウドとして、中長期的な方向性やさまざまな可能性を模索する研究の一環として、今回この案件の獲得に至ったと考えています。

非常に専門的な話になりますが、できるだけわかりやすくご説明します。当社はサイバーセキュリティというジャンルでサービスを提供しており、その目的は機密情報や個人情報を守ることです。そのためには、「情報を誰が保有しているのか」という点が重要な論点となります。

当社がメインで提供しているWebサービスは、そのWebサービスを提供する企業がさまざまな個人情報を保有しています。すなわちユーザーの個人情報は企業側が持っているということです。当社はそのような個人情報を保持する企業にサービスを提供し、対価として収益を得るという構図になっています。

ただし、将来的に企業が個人情報を大量に保有し続けるかどうかは不確実です。特にEUでは、すでに個人情報は企業が自由に収集できるものではなく、あくまで個人の所有物であるとの考え方や法律が先行しています。

他にも一部、南米などいろいろな国で「個人情報の主権は誰が持っているんだ」といった議論が行われています。

今回、「教育クレデンシャルの実証に関連」と記載しましたが、学生が留学したり、単純に入学したりする際にも、さまざまな個人情報を願書に記載して提出するなど、多くの作業が発生します。この情報の主権者、情報の持ち主は、もちろん最初は学生です。

ただ、提供の方法や情報の使われ方が、これまで世の中では学校側に属していたものを、個人が持つべきとして、実際に世界中で自由に留学が可能かどうかを検証する実証実験を行うというのが今回のIPAの案件です。

技術的な課題だけでなく、日本の留学生がEUの大学に留学する場合、同じフォーマットで対応できるか、あるいは項目ごとの違いが日本とヨーロッパで生じるのではないかといった、さまざまな技術的・制度的課題があります。

そのような課題を研究しながら、学生自身が個人情報を保持し、さまざまな国や地域に留学できるかということを、研究してみようという話です。

これまでとは系統の違う話ですのでわかりにくいかと思いますが、冒頭にも述べたとおり、サイバーセキュリティの観点から、今後中長期的に「誰のどのような情報を守っていくべきか」という問題について、幅広く研究開発を進めています。今回、このプロジェクトを受託できたことは、非常に大きな一歩であると考えています。

さらに、官公庁から認められたという点においても、当社が進めているさまざまな研究が正しい方向にあることを示す証拠になるのではないかと認識しています。

2025年12月期第3四半期の概要とトピックスについてのご説明は以上です。

質疑応答:来期の成長ドライバーとなるプロダクト・施策について

「2026年12月期に向けた成長ドライバーはどのプロダクト・施策と考え

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