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アステリア株式会社3853

東証プライム

情報・通信業

アステリア株式会社

平野洋一郎氏(以下、平野):みなさま、こんにちは。代表取締役社長/CEOの平野洋一郎です。本日はご多忙の中、アステリアの中間期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。今回は、2026年3月期中間期決算についてご説明します。

まず、当社の決算説明を初めてお聞きになる方もいらっしゃるかと思いますので、会社概要を簡単にご説明します。アステリア株式会社は、一言で言えばソフトウェアメーカーです。同業他社が数多く存在する中で、当社は特に「世界を目指す」「企業向け」という点をキーワードとしています。

日本にはソフトウェア開発会社が数多く存在しますが、その中でも「メーカー」と呼んでいるのには特別な意味があります。当社では「受託開発が一切ない」という概念を採用しており、これにより売上総利益率が非常に高いビジネスモデルになっています。この点については、後ほど詳しくご説明しますが、受託開発とは大きく異なるビジネスモデルとなっています。

アステリア株式会社

企業向けソフトウェアメーカーとして、基本的にノーコードでAI・IoT、さらにはロボット開発支援といった分野をつなぐソフトウェアを提供しています。

特に先端領域ではノーコードやブロックチェーン、新しい働き方であるウェルビーイングといった分野をかたちにして、世の中に提案・提供している会社です。

上場(2007年)からの推移

当社は2007年に東証マザーズに上場し、2018年には東証一部、現在は東証プライム市場へ移行しています。その間、一貫してソフトウェア事業を大きく伸ばしてきました。そして、2025年3月期はソフトウェア事業の売上が30億円を突破しました。2026年3月期はさらに伸ばし、売上収益35億円を予想しています。

主力製品:データ連携ツール「ASTERIA Warp」

当社の主力製品は「ASTERIA Warp」です。データ連携ツールであり、データ連携のスタンダードともいえる商品です。2002年から提供を続けており、ノーコードでデータ連携ができることが特徴です。1万社以上で利用されており、市場シェアは59.2パーセント、19年連続で市場シェアNo.1と圧倒的な数字です。

中間期決算概要

本日の本題である当社の中間期決算についてです。なお、当社はIFRS、すなわち国際会計基準を採用しており、これを前提とした会計や数字であることをご承知おきください。

直近の株価推移(7〜11月)

今回の決算発表で最も注目すべきトピックスは、株価の大きな変動です。前回の決算発表は8月に行いましたが、その直後の8月18日から株価が大きく動いています。一番高いところでは2,510円という数字を記録し、現在も4桁の株価を維持しています。

JPYCというステーブルコインへの期待が集まっていることも要因の1つですが、それだけでなく、当社のソフトウェア事業の業績、事業変革の取り組み、そして将来に向けた活動が評価されていることが背景にあります。

例えば、宇宙分野向けのソフトウェアを発表したり、過去のソフトウェアが「日経コンピュータ」の顧客満足度調査ランキングで第1位を獲得するなどの成果があり、これらが株価が一定値を保つ一因となっています。

プライム上場基準を満たし改善期間終了

これまで当社は、プライム市場の上場基準を満たすために適合計画を実施してきました。具体的には、2023年6月の開示以降、スライド右側に記載している複数の項目を実施してきました。そして、唯一満たしていなかった流通時価総額の基準を、今回ついにクリアすることができました。

これにより、プライム上場基準をすべて満たし、東証からの「上場維持基準(分布基準)への適合状況について」も受領したため、先日「上場維持基準への適合に関するお知らせ」を開示しました。

MikoSea株式会社の買収を発表

次のトピックスとしては、MikoSea株式会社の買収を9月に発表しました。当社にグループインし、100パーセント子会社となります。

MikoSea社は「Click」というノーコードアプリ開発ツールを提供しており、7万を超えるアプリを開発しています。「Click」はノーコードの可能性を大きく広げるものです。

業績ハイライト

ここからは、業績についてご説明します。売上収益は16億1,000万円、営業利益は5億2,000万円で増収・増益となりました。前年同期比623パーセント増、つまり7倍強の大きな伸びを記録しています。また、最終的な中間利益は4億2,000万円となりました。前年同期は赤字でしたが、完全に黒字転換しました。

指標についてもご説明します。売上総利益率は88パーセントとなりました。売上総利益率がこれほど高いのは、先ほどお話ししたとおり、製品に特化したメーカーであることが要因です。

当社では長年、ストック売上比率の向上に取り組んでおり、77パーセントと80パーセントあたりを推移しています。内訳はサブスクリプションやサポートなどで、安定的な成長を実現しています。

自己資本比率は79パーセントとなっています。「3割以上であれば優良企業」と一般的に言われる中、79パーセントという数値は非常に高く、健全な財務状況を示していることがおわかりいただけると思います。

増収・大幅増益

詳細をご説明します。売上収益は初めて16億円を超え、16億800万円となりました。売上総利益も初めて14億円を超えて14億1,200万円となり、営業利益は前年同期比で7.2倍の5億2,300万円という結果でした。

売上収益から営業利益まで

売上収益から営業利益までの道筋についてご説明します。当社の収支は非常にシンプルで、売上収益から売上原価と販管費を差し引き、投資事業益等を加えたものです。これらを合計して5億2,300万円という結果になっています。特筆すべきは、営業利益率が非常に高く、32.6パーセントを達成した点です。

営業利益/税引前利益/中間利益(親会社の所有者に帰属する)

営業利益から最終利益に至る中間利益についてご説明します。営業利益5億2,300万円から、金融損失等(主に第1四半期の為替差損)を差し引いた額が4億7,000万円です。そこから税金等を調整し、最終的に中間利益は4億1,800万円となりました。

業績予想に対する進捗率

売上収益と営業利益の業績予想に対する進捗率です。売上収益の進捗率は、通期予想35億円に対して46パーセントです。当社のストック売上は年度後半に向けて増加していく形態のため、進捗率が5割に達していなくても35億円を達成できる見込みです。

営業利益の進捗率は、通期予想8億5,000万円に対してすでに6割を超えています。この結果を受けて「さらに利益が伸びるのではないか?」との声をいただいていますが、現時点では予想の修正は行っておらず、今後精査していきます。

販売管理費の推移 (前年同期比)

ここからは利益についてご説明します。まず、販管費の内訳です。前年同期比でも大きな変化はなく、安定的な構成を保っています。

当社のビジネスモデルでは、個別開発を行わないため、売上の増減は販管費には大きく影響せず、自然に利益へ反映される仕組みとなっています。

財政状態計算書 (2025年9月末現在)

次に、B/S(財政状態計算書)についてです。現預金等は27億円、自己資本比率は79パーセントとなっています。また、東証が「資本コストや株価を意識した経営」でPBR1倍以上を求める方針を示し、話題となっているPBRは、4.05倍となっています。

ここまでが数字の解説でした。

当社製品が満足度やシェアで高く評価

中間期のトピックスについてお話しします。まず、この中間期において「顧客満足度調査」でNo.1を獲得しました。これは会社全体としての成果であり、特に「ASTERIA Warp」が中心的な役割を果たした結果といえます。

また、先ほどご説明したとおり、市場シェア調査でも19年連続でNo.1を達成しています。つまり、「データ連携といえば『ASTERIA Warp』」という地位を築くことができています。

JPYCが円建ステーブルコインとして承認

2つ目のトピックスは、JPYCというステーブルコインについてです。株価や市場を見ている方であれば、ご存じかと思いますが、これはブロックチェーン上で運用されるコインです。スライド左側に記載しているBitcoinの直近の価格の動きをご覧ください。Bitcoinはいわゆる暗号資産で、非常に激しく価格が変動します。この価格変動によって利益を得たり損失を被ったり、投機対象として利用されることがあります。

一方で、同じブロックチェーン技術を使用しながらも、価格が安定しているコインが存在します。それがステーブルコインです。「ステーブル」というのは英語で「安定している」という意味です。スライド右側のとおり安定しているため、ブロックチェーン上のコイン、いわゆるデジタルコインの利点を享受できます。

このステーブルコインの取り組みがいよいよ始まりました。8月18日に認可され、10月27日からJPYCの発行が始まっています。

100以上の接続アダプターで抜群の接続性

「ASTERIA Warp」には、100以上の接続アダプターがあります。スライドに記載している文字が小さいかもしれませんが、「ASTERIA Warp」は主なデータベースや旧来のホスト、さらにWebシステム、クラウドシステム、アプリケーションなど、さまざまなものとつながります。これに「JPYC」が加わると、どのような展開が起こるのかが注目されています。

JPYCアダプターでJPYCの接続先が激増

「ASTERIA Warp」のJPYCアダプターを提供することも発表しています。スライドの中央に「JPYC」がありますが、JPYCがすべての「ASTERIA Warp」の接続先につながることを表しています。つまり、JPYCアダプターによって、JPYCそのものの接続先が大幅に増加するということです。

企業でのJPYC活用の幅が広がる

具体的な構成はスライドのとおりです。JPYCアダプターを「ASTERIA Warp」で使用することで、企業はJPYCの口座にアクセスできます。重要な点は、ノーコードでアクセスできるということです。つまり、プログラムを書く必要がありません。

JPYCアダプターの効能は、先ほどご説明した100以上のアプリケーションやデータベース、サービスなどと接続できます。そのため、単に口座に送金するだけではなく、多彩な活用が期待できます。例えば、ECサイトや最新のDeFi、すなわちネット上の分散型金融などへアクセスすることも可能です。

もう1つ重要なのは、企業がJPYCやステーブルコインを使う場合、これらのメリットだけでなく、安全かつ安心して利用できることです。そのため、当社はWeb3領域において国内最大の実績を持つTECHFUND社と提携する取り組みを発表しています。つい先日、セミナーも開催しました。

MikoSea株式会社の買収を発表

3つ目のトピックスは、先ほどもご説明したとおり、MikoSea社の買収を発表しました。MikoSea社の開発数が7万を超えるアプリ「Click」が当社に加わることで、世界がさらに広がります。

「Click」は主に個人や中小企業、自治体などで採用されていましたが、当社が得意とするエンタープライズ分野や大企業においても、「Click」のアプリ開発を活用できると考えています。

ノーコード開発ツール「Click」70,000を越えるアプリ開発を実績

「Click」はすでに複数の企業で採用され、さまざまな賞も受賞しています。このため、MikoSea社をアステリアグループに迎えることで、「Click」はさらに幅広いアプリ開発に活用されていくと考えています。

多種多様な企業・団体・個人をカバー

当社はこの開発を「アプリ作成」と呼んでおり、以前から「Platio」というツールを提供しています。「Platio」は現場のDXを迅速に実現でき、現場の人たちだけで操作可能なノーコードツールです。「3日でアプリ」を売りにしていますが、実際には1日や2日で利用されている事例が多くあります。

「Platio」は現場でのアプリに特化しており、現場では必要とされない機能を削ってフォーカスを絞ったサービスであることが特徴です。現場でアプリを作成できることに重点を置いており、成長を続けています。

ただし、特定の機能にフォーカスしたことで、柔軟性や画面設計、PC用アプリといった要素は削減されています。これらを補完するのが、柔軟性に重点を置いている「Click」です。「Click」と「Platio」ブランドを掛け合わせた「Click」のエンタープライズ版として、「Platio Canvas」を9月に発売しました。当社の持つノウハウやチャネルに「Click」の柔軟性を組み合わせたすばらしい製品です。

ClickがJPYCと連携し普及促進へ

「Click」もJPYCとの連携を普及促進していきます。9月の買収発表の際にも触れましたが、コンシュマーアプリ「Click」では、さまざまなアプリを作成することが可能です。「Click」で開発された7万以上のアプリにJPYC決済ができるボタンをつけることで、JPYCの普及促進に努めていきます。

このデモンストレーションを含めたウェビナーを11月19日に開催する予定です。詳しい情報は後ほどWebサイトなどで公開しますので、ぜひ楽しみにお待ちください。

サブスク伸張し、ストック型への移行が進む

ここからは、ソフトウェア事業の進捗についてお話しします。当社は、サブスクリプションやサポートサービスから構成されるストック型の売上に力を入れています。当中間期におけるストック型売上構成比は77パーセントとなっています。

一方、ライセンスはスライドのオレンジ色で示しています。「ASTERIA Warp」がまだ一定量残っていますが、これは減らさずにストック型をさらに増やしていくことを経営の方向性としています。

製品のトピックス

製品ごとのトピックスをご説明します。まず「ASTERIA Warp」です。「ASTERIA Warp」の当中間期の売上は13億7,000万円となりました。

データ連携需要は拡大しており、高市首相もデータ連携について言及されました。この背景には、AIもデータを収集する必要があることに加え、自治体や中央官庁を含め、さらに多くの拠点・さまざまな場所でデータを連携する必要があることが挙げられます。また、SAPの2027年問題など、レガシーシステムがある程度限界に達していることによる需要の高まりもあります。

トピックスとしては、日本最大のクラウドベンダーであるIIJ社と共同で、8月に満を持して「ASTERIA Warp Cloud」(iPaaS)をリリースしました。サブスクリプション製品においては、「ASTERIA Warp Core」と「ASTERIA Warp」のサブスク版が好調で、前年同期比35パーセントの増収となっています。

次に「Platio」です。さまざまなDX、特に現場のDXに貢献しており、当中間の売上は前年同期比32パーセント増加し、1億円に迫っています。また、ARRは2億円に達する見込みです。

背景としては、人手不足対策にデジタルを活用するニーズが継続して増加しており、スマートフォンやタブレットの利用が現場で求められていることが挙げられます。また、昨今非常に問題化している獣害対策にも対応していることもあります。クマやイノシシなどの獣害対策についても、現場でPCを持ち込むことが難しいため、スマートフォンを活用した情報共有の用途で利用されています。

トピックスとしては、先ほどご説明した、リリースしたばかりの「Platio Canvas」があります。

新規Warpアダプター続々と

「新規の『ASTERIA Warp』アダプターは100以上ある」と先ほど述べましたが、さらに増加しています。Box AIアダプターや「カオナビ」とつながるアダプター、「Databricks」に関する新しい領域のデータアダプターなど、続々と提供を開始しています。

展示会やイベントを通じた販路拡大と認知度の向上

秋ということもあり、展示会やイベントを通じた販路の拡大に取り組んでいます。これらはパートナーの方々と共に実施しており、認知度の向上を目指しています。「データ連携といえば『ASTERIA Warp』」というイメージをさらに確立し、浸透させるための活動を続けています。

協業による新市場開拓の推進

新しい領域の製品となる「Gravio」では、協業による新しい市場の開拓を推進しています。スライドは、パナソニックネットソリューションズ社が提供する「ArgosView」という、シェアNo.1の監視カメラおよび監視システムです。「ArgosView」との連携により、需要がどんどん増加しています。

監視業務の対象は、人間だけでなく、先ほど例に挙げた動物を含めて増え続けています。しかし、人がすべてを判断するには限界があります。そのため、AIを活用して自動化と効率化を図る必要があります。この自動化と効率化を「Gravio」と「ArgosView」で実現しています。

新領域での展開:宇宙&ロボティクス

新たな領域での展開として、今年は宇宙領域への進出を発表しました。当社は、宇宙で活躍するロボットのためのソフトウェアを提供しています。このプロジェクトでの製品名は「Artefacts(アーテファクツ)」です。ぜひ名前を覚えていただければと思います。

また、「Artefacts」を活用し、オーストラリアの月面ロボットを開発する企業と当社のAI専業子会社 アステリア Artificial Recognition Technology(アステリアART)の連携も発表しました。この他にも、宇宙開発分野での技術展開を進めており、特に人が直接行ってテストを行えない環境でのシミュレーション技術を得意としています。月面では人がテストを行うことはできませんし、地上でも人が立ち入れない危険な場所はたくさんあります。こうした場所のシミュレーションをAIとともに行います。

新領域での展開:住宅産業でのNFT基盤の開発

スライドは、住宅産業におけるNFT基盤の開発についてです。上場企業であるLib Work社と業務提携しました。

同社の3Dプリンター住宅の設計はすべてデジタルデータ化されていますが、この設計データの真正性を、当社のブロックチェーン技術とノウハウを活用してプラットフォーム化するという取り組みを推進しています。さらに、この仕組みでは支払いをJPYCで行うことまで踏み込んでいます。

このように、まったく新しい2つの領域に踏み込んでいます。

新領域での展開:TECHFUNDとJPYC監査で連携

スライドは、先ほどご説明したJPYCについてです。企業が安心・安全にJPYCを扱えるようにするための監査、特にセキュリティ監査の部分において、TECHFUND社と業務連携を発表しました。

このように、当中間期だけでも多くのトピックスがありました。本日取り上げていないトピックスもまだ多くありますが、主なものをご紹介しました。

IR活動の強化

現在、IR活動を強化しています。北海道や東京、福岡に加え、山形、広島、鳥取、兵庫などの地方でも活動を行っています。スライドの写真は、広島でのIR説明会になります。また、国内だけでなくシンガポールでも私が説明を行い、多くの投資家や株主の方々にご参加いただきました。

IR活動の強化によって、株主数は大きく増加しています。2025年3月末時点の1万人強から、今回はなんと1万7,000人を超えています。

当社は動きが早い企業です。このような活動を積極的に進め、投資家や株主のみなさまに広く理解を深めていただきたいと考えています。今後もIR活動の強化を引き続き進めていきますので、みなさまにもぜひご参加いただければと思います。

新政権の方向性は追い風か?

最後に、政治環境や国の状況が大きく変化している中で、当社の事業や取り組みに関して「どのような影響があるのでしょうか?」「追い風でしょうか? 向かい風でしょうか?」というご質問をいただくことがよくあります。

結論から言うと、いくつかの追い風が吹いていると考えています。スライドに記載している内容は、高市首相の所信表明演説を抜粋したもので、その一節に「『世界で最もAIを開発・活用しやすい国』を目指して、データ連携等を通じ、AIを始めとする新しいデジタル技術の研究開発及び産業化を加速させます」とあります。

当社が取り組んでいることが、この1文だけでもいくつも散りばめられています。一例を挙げると、AI専業子会社のアステリアART社や、当社が進めているデータ連携です。高市首相のAIの一節にデータ連携がどのように関係しているのかについて、業界の方はもちろんご存じかと思いますが、AIはベースとなるデータがないと学習することができません。つまり、AIが賢くなるためにはデータが必要不可欠です。

また、各社に特化したAIやカスタマイズされたAIを作るためには、企業内のさまざまなデータ、現在のデータだけでなく過去のデータも含め、それらがいろいろなシステムから集められ、学習に活用される必要があります。したがって、AIとデータが密接に関わっているということは、非常に明確であるといえるでしょう。

さらに、当社では、子会社を通じて2019年からAIについて取り組み、データ連携に関しては2002年から一貫して行っています。そのため、データ連携のスタンダードと自負しています。

一方、所信表明には「サイバーセキュリティ」や「宇宙」といったワードも出てきます。このうちサイバーセキュリティについては、当社自身はサイバーセキュリティ製品を持っていないものの、各製品におけるセキュリティは非常に重要だと考えています。そのため、当社は6月からサイバーセキュリティの大手であるトレンドマイクロ社の副社長、大三川氏を社外取締役として迎え、サイバーセキュリティ分野をしっかりと強化する取り組みを進めています。

宇宙については、「Artefacts」を中心に、人が行けないような場所でも対応できるロボットのためのソフトウェアに注力しています。

次に、ステーブルコインについてです。新しいデジタル技術、これはまさに最右翼といえるでしょう。ステーブルコインは、社会やお金の新しいかたちを作り出すものです。JPYCだけでなく、大手メガバンクも参入を表明していることから、デジタルコインは世界に広がっていくことは間違いないと見ています。現在はドルが先行し、JPYCが追随していますが、それ以外の通貨でもステーブルコインが普及していくでしょう。

また、高市政権の非常に重要なポイントとして、「経済安全保障」が挙げられます。現在では、国土を守るという観点が実際にはサイバー空間、つまりインターネット上に移行してきています。

ネット上で行われることとして、盗み見られたり攻撃されたりするリスクが挙げられます。そのため、安全保障、特に経済安全保障という文脈では、国産のソフトウェアやハードウェアが非常に重要となります。

もちろん、当社は鎖国を目指しているわけではなく、日本の技術を活かし、攻撃に耐えたり、同盟国や同調する国々と連携を取ることで、この経済安全保障が当社のビジネスにも追い風になると考えています。

最後に、「責任ある積極財政」「大胆な投資促進」という点です。これらは新しい領域に対して、簡単に定期的や定常的にリターンが得られるものではなく、未来に向けた投資という意欲が大きく表れています。

これはまさに、当社が創業以来行ってきたことです。大胆な投資促進を通じて、当社が目指している未来に向けたソフトウェアやその環境が、より明確に、より早く実現することにつながると感じています。

全体として、いくつもの追い風を感じていることをご報告します。

アステリア(3853)中間期 まとめ

最後に、当社の中間期についてまとめます。1つ目は、業績については増収増益を達成しました。特に営業利益は中間期で過去最高となる5億2,000万円を記録し、前年同期比で7倍以上の増益となりました。

2つ目は、プライム市場の維持基準についてです。この2年間、株主のみなさまにはご心配をおかけしましたが、維持基準をクリアし、改善期間が終了しました。

3つ目のM&Aについては、MikoSea社を買収し、ノーコード製品の領域を拡大していきます。

4つ目は、ステーブルコインについてです。社会変革を促すステーブルコイン「JPYC」をはじめ、その他のステーブルコインも続々と登場しており、それらへの対応を進めていきます。また、普及を促進することで市場を創造し、社会に大きなベネフィットとメリットを提供していきたいと考えています。

以上をもちまして、アステリアの2026年3月期中間期決算説明を終了します。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。

質疑応答:メガバンクによるステーブルコイン共同発行のインパクトについて

司会者:「3メガバンクのステーブルコイン共同発行について

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