【QAあり】三菱化工機、通期予想を上方修正、営業利益は期初計画+50.1% 船舶向け機械や大型プラント工事が寄与、GX事業が着実に拡大
目次

田中利一氏(以下、田中):三菱化工機株式会社、代表取締役・社長執行役員の田中です。本日は、当社の2026年3月期第2四半期の決算説明会にご出席いただき、誠にありがとうございます。この説明会が多くのみなさまにとって、当社ビジネスへの理解が深まる機会となれば幸いです。
目次にありますように、本編にサマリー・事業概況、決算実績、業績予想、中期経営計画に関する取り組みを記載しています。
また、Appendixには、業績推移のほか、ビジネスモデルや、投資家のみなさまからご質問いただくことの多い、受注と売上の計上時期に関する資料を掲載しています。それでは、本編を目次に沿ってご説明します。
サマリー

スライドには、決算実績のサマリーを掲載しています。詳細については、以降のスライドでご説明します。
事業概況・売上構成

当社グループの事業内容について、簡単にご説明します。まず、今期の売上高比率約50パーセントを見込むエンジニアリング事業では、化学品、半導体、LNG、排水処理など、幅広い分野のプラント建設を手がけています。また、当社の水素製造装置「HyGeia(ハイジェイア)」シリーズは、トップシェアを確立しています。
続いて、売上高比率約25パーセントの単体機械事業では、当社の長年のコア技術である分離技術を中心に、遠心分離機やろ過機など、多様な製品をラインナップしています。船舶用油清浄機「三菱セルフジェクター(SJ)」シリーズについても、国内外でトップシェアを確立しています。
最後のGX事業は、当社の長期経営ビジョンである「三菱化工機グループ2050経営ビジョン」の実現に向けて、今年度に新設したセグメントです。本年度の売上高比率は約25パーセントを予定しています。
循環型社会推進事業とクリーンエネルギー事業をQuick-Win分野とし、社会課題の解決と当社グループの持続的な成長の両立を目指していきます。
また、売上を地域別で見ると、国内が85パーセント、海外が15パーセント程度となっています。
連結損益計算書

2026年3月期第2四半期の決算実績についてご説明します。スライドは連結損益計算書の概要です。
売上高は前年同期比35.7パーセント増の361億2,300万円、営業利益は前年同期比65.4パーセント増の36億8,100万円、経常利益は前年同期比78.2パーセント増の38億6,400万円、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期比86.0パーセント増の26億7,900万円となりました。
売上高は、前期までに受注した大型工事案件の順調な進捗や、船舶向け機器・部品の好調な販売により増加しました。営業利益については、販管費が増加したものの、それを上回る売上総利益の増加により増益となりました。
セグメント別の状況① エンジニアリング事業

セグメント別の業績についてご説明します。エンジニアリング事業では、受注高116億8,800万円、売上高196億6,700万円、セグメント利益8億9,800万円、受注残高457億6,600万円となりました。
受注高は大型案件の受注がなく前年同期比で減少しましたが、おおむね計画どおりとなっています。
売上高については、前期までの受注残高が寄与し、前年同期比で増加しました。それに伴い、売上総利益も増加しています。さらに、上期に完工した工事案件のコスト改善が寄与し、セグメント利益が増加しました。
セグメント別の状況② 単体機械事業

単体機械事業では、受注高103億8,000万円、売上高99億8,900万円、セグメント利益27億5,700万円、受注残高105億4,200万円となりました。
受注高および売上高は、好調な造船・海運市況に支えられ、油清浄機の本体および部品、船舶環境規制対応機器が寄与し、前期に引き続き増加しました。
セグメント利益は、売上高の増加に伴う売上総利益の増加に加え、利益率の高いアフターサービス関連の売上高が増加したことにより、前年同期比で増益となりました。
セグメント別の状況③ GX事業

GX事業では、受注高15億7,600万円、売上高64億6,500万円、セグメント利益2,400万円、受注残高349億6,300万円となりました。
受注高はおおむね計画どおり推移しています。売上高は前期までの受注残高が寄与して前年同期比で増加しました。
セグメント利益については、売上増加に伴い売上総利益が増加し、黒字化を達成しました。しかし、研究開発費をはじめとする販管費が増加したため、セグメント利益は前年同期比で減少しました。
主な販売管理費

主な販売管理費は、金額ベースで前年同期比17.4パーセント増加しました。給与・賞与のほか、研究開発費、広告宣伝費および販売手数料の増加が要因です。
一方で、売上高の増加により、売上高販管費率は1.7ポイント低下となりました。
連結貸借対照表

連結貸借対照表の概要です。
売掛債権などの回収が進み減少した一方、現金および預金などが増加した結果、総資産は微増となりました。負債については、買掛債務などが増加した一方で、契約負債などが減少し、微減となりました。
結果として、純資産の増加により自己資本比率は上昇し、59.4パーセントとなりました。
連結キャッシュ・フロー計算書

連結キャッシュ・フロー計算書の概要です。
営業キャッシュフローは、増益に加え売掛債権の回収が進み、前年同期比で改善しました。投資キャッシュフローは、固定資産の取得などのためマイナスとなりました。フリーキャッシュフローは、営業キャッシュフローの改善に伴いプラスとなっています。
以上が、2026年3月期第2四半期の決算報告です。
連結業績予想

2026年3月期通期の業績予想についてご説明します。連結業績予想は期初計画から上方修正しています。
売上高は前期比で49.5パーセント増加して885億円、営業利益は前期比で50.1パーセント増加して85億5,000万円、経常利益は前期比で53.7パーセント増加して86億5,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比で19.9パーセント増加して58億5,000万円を見込んでいます。
通期業績予想の修正

通期の業績予想の修正についてご説明します。受注高については、エンジニアリング事業で減少の見込みがある一方、GX事業での水素利活用やバイオガス案件、単体機械事業での舶用分野などで受注が拡大すると見込んでおり、結果として、受注高予想の総額に修正はありません。
次に、売上高については、エンジニアリング事業およびGX事業における受注残高を順調に売上計上する見込みです。また、単体機械事業の舶用分野が引き続き拡大していることにより、全体として当初計画比で4.7パーセントの増加を見込んでいます。
続いて、営業利益についてです。各事業において売上総利益が増加したことに加え、エンジニアリング事業では上期のコスト改善が進んだこと、単体機械事業ではアフターサービスや船舶環境規制対応機器が好調であることから、14.0パーセントの増加を見込んでいます。
最後に、配当については、中期経営計画で掲げている株主還元方針に従い、配当性向を35パーセントと設定しています。計画比で6円の増配を行い、年間配当を86円とする予定です。
セグメント別業績予想① エンジニアリング事業

セグメント別の業績予想についてです。
エンジニアリング事業では、受注高320億円、売上高465億円、セグメント利益27億円、受注残高392億4,600万円を見込んでいます。
受注高については、顧客の投資判断の遅れや見直しが一部の案件に影響し、計画比で減少する見込みです。一方で、売上高およびセグメント利益に関しては、前期までの受注残高が寄与し、増加を見込んでいます。
セグメント別業績予想② 単体機械事業

単体機械事業については、受注高210億円、売上高205億円、セグメント利益52億円、受注残高106億5,200万円を見込んでいます。
引き続き好調な海運市況に支えられ、油清浄機本体および部品、船舶環境規制対応機器の販売が牽引し、高水準の受注高を維持しています。また、売上高は前期比で増加を予想しています。
セグメント利益は、売上高の増加による売上総利益の増加と、好調なアフターサービスによる原価率の改善により増益の見込みです。
セグメント別業績予想③ GX事業

GX事業については、受注高165億円、売上高215億円、セグメント利益6億5,000万円、受注残高348億5,200万円を見込んでいます。
受注高については、水素利活用やバイオガス案件などで受注の拡大を見込んでいます。売上高については、前期までの受注残高が寄与し、大幅な増加を見込んでおり、それに伴いセグメント利益も増加する見通しです。
現中計の位置づけ

本年5月に公表した新たな中期経営計画に関する取り組みについてご説明します。
前中期経営計画期間では「三菱化工機グループ2050経営ビジョン」実現に向けた「足固め期」として、新規事業の創出に向けた活動や組織改革に取り組んできました。
現中期経営計画期間は、その取り組みをベースとした「成長期」にあたり、GX事業の製品やサービスを拡大することで、顧客の脱炭素化のパートナーを担う企業となるべく、邁進します。
また、現中期経営計画期間を「飛躍の3年間」と位置づけ、外部環境の潮流を確実に捉えながら、過去最大規模の売上高目標である900億円、営業利益率9パーセント以上、ROE12パーセント以上の達成を目指していきます。
現中計の数値計画

スライドには、現中期経営計画の数値計画を記載しています。詳細については、こちらをご参照ください。
現中計の骨子・主要施策

「三菱化工機グループ2050経営ビジョン」の実現に向けた「飛躍の3年間」として掲げている4つの骨子と具体的な施策についてです。以降のスライドで、それぞれの骨子について、具体的な事例とともに、その進捗状況をお伝えします。
世界最大規模の微細藻類生産施設向けに抽出設備一式を受注

1つ目の骨子である「事業ポートフォリオの進化」におけるGX事業の確立に関連し、ちとせグループさまより受注した微細藻類生産施設向けの抽出設備についてご紹介します。
ちとせグループさまは、微細藻類など生物由来の資源を活用した事業開発を手がけています。今回、同社がマレーシアに世界最大規模の微細藻類生産施設を建設するにあたり、抽出・分離試験用設備一式の建設を当社に発注いただきました。
今回の案件獲得は、当社創業以来のコア技術であるろ過分離技術や海外プラント建設のノウハウ、そして、長年研究や実証実験に取り組んできた藻類に関する知見を総合的に評価いただけた結果と考えています。これは、戦略的事業領域の1つであるクリーンエネルギー事業の強化に資する案件です。
SJシリーズの活躍分野

続いて、当社の主力製品の1つである油清浄機「三菱セルフジェクター」シリーズのGX分野における活用についてご紹介します。
スライド右側の2つが従来の用途です。当社の「三菱セルフジェクター」シリーズは船舶向けの油清浄機として、国内外ともにトップシェアを確立しています。また、陸上用途においては、化学、医薬工業の分野で微粒子分級の技術として利用されています。
スライド左上に記載しているのは、近年注目が高まっているSAF製造における「三菱セルフジェクター」シリーズの使用例です。原料の廃食油から不純物を取り除く工程で、当社の「三菱セルフジェクター」シリーズを利用することが可能です。
事例としては、国内初のSAF大規模生産の実証事業向けにご発注いただき、2025年からSAFの供給が開始されています。
また、スライド左下に記載しているのは、微細藻類の濃縮における使用例です。微細藻類をバイオ資源として利活用するため、培養や成分抽出の技術についても開発、実証を進めています。
このように、創業以来培ってきた分離技術を現代の市場やニーズに適応させ、新たな用途を開拓し深化することにより、GX事業の確立を推進し、事業ポートフォリオの進化を図っていきます。
事業トピックス

トップシェアを確立している水素製造装置と油清浄機の販売状況についてご説明します。
水素製造装置では、オンサイト水素製造装置「HyGeia」シリーズの出荷実績が堅調に推移しています。油清浄機についても、中国向けを中心とした旺盛な新造船需要により、受注は好調です。また、本年7月には累計出荷台数が12万台に到達しました。
MKK PROJECT by 三菱化工機の発足

新たな事業創出の取り組みとして開始した「MKK PROJECT」についてご説明します。
本プロジェクトは、川崎市を拠点に、自社が有する環境対応・創エネルギー技術と、共創パートナーが有するアセットやノウハウを活用し、融合させ、社会課題解決ソリューションおよびビジネスモデルの創出を目指すものです。
水素やバイオマスなどによる地域循環型エネルギーシステムの開発供給と、それらの需要開発を両輪で推し進め、循環型社会における新たなビジネスモデルの構築と社会課題の解決を目指します。
株主還元、株式分割

2つ目の骨子である「資本コスト・株価を意識した経営の確立」についてご説明します。現中期経営計画で公表した株主還元方針に従い、年間配当を86円に増配しました。
また、当社は本年4月1日を効力発生日とする株式分割を実施しました。当社株式の購入に必要な最低金額を引き下げることで、より多くの方に当社株式を購入いただきやすい環境を整え、株式流動性の向上を図っています。
成長期待を高める情報発信

成長期待を高めるための情報発信事例をご紹介します。本年9月末には個人投資家へのアプローチ強化を目的として、「日経・東証IRフェア2025」に初めて出展しました。
大会場での会社説明会や個人投資家の方々との対話機会を通じて、2日間で約300名の投資家の方々と接点を持つことができ、貴重な相互理解の場となりました。
また、テレビ東京系列の『知られざるガリバー~エクセレントカンパニーファイル~』にて当社を特集していただき、油清浄機「三菱セルフジェクター」シリーズや水素製造装置「HyGeia」シリーズなどをご紹介いただきました。
この特集は、当社の事業内容や技術力をより多くのみなさまにご紹介し、理解を深めていただける機会となりました。実際に「日経・東証IRフェア2025」などでも、番組内容に対する好意的なご意見を多くいただいています。
人的資本戦略、モノづくり戦略の推進

3つ目の骨子である「人的資本・技術資本の強化」についてご紹介します。まず、人的資本戦略については、現中期経営計画の最終年度に従業員数を1,200名に増員する計画です。2025年9月末時点で1,046名まで増員が進んでいます。
また、従業員エンゲージメントの強化を目的として、私と従業員全員の直接対話の場として、タウンホールミーティングを、9月から順次開催しています。
人材獲得と従業員エンゲージメントの向上を2つの軸として、人的資本戦略を推進しています。
次に、技術資本の強化策として取り組む、本社および川崎製作所の再編についてご説明します。本件は、製造、開発、サプライチェーンマネジメントの高度化および最適化を進めるものです。
再編後の川崎製作所を当社グループのモノづくりの拠点として、GX事業の拡大を後押しする役割を期待しています。計画の進捗状況については、旧工場の撤去工事が順調に進んでいます。
サステナビリティに関する取り組み

最後に、4つ目の骨子である「経営ガバナンスの透明性向上」についてご説明します。サプライチェーン排出量の削減を目的として、現在Scope3排出量の算定を進めており、本年度発行の統合報告書で算定済みの数字を一部開示しました。
当社の事業活動における排出量をカテゴリ別に算定することで、排出量の多い領域を特定し、効果的な削減検討を進めていきます。
また、スライド下段に記載しているサステナブル調達の推進については、2024年4月に制定したガイドラインに沿って取り組みを進めています。
具体的には、取引先向けに開催した説明会において当社のガイドラインの理解浸透を図るとともに、CSR調達のアンケートを実施するなど、資材調達におけるESGリスクの低減に取り組んでいます。
本年5月に公表した中期経営計画「進化と変革へ」2.0は、当社が経営ビジョンを実現するためのロードマップの第2ステージです。
2050年の社会課題に対応する企業グループを目指し、経営ビジョンで掲げたビジョン・ステートメント「持続可能な発展に挑戦し、快適な社会を実現」の達成に向け、全社を挙げて邁進していきます。
今後とも当社グループにご期待ください。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:単体機械事業が好調な要因について
質問者:単体機械事業について、上期の実績および通期の見通しは、売上高、受注、利益ともに非常に好調だったと思います。好調の中身についてもう少し具体的に教えてください。
例えば、売上や受注については、油清浄機の機器販売が伸びたのか、あるいはアフターサービス関連が伸びたのか、また、地域別では日本、韓国、中
新着ログ
「機械」のログ





