【QAあり】ギークス、累計営業利益は前年比+126.2%と2倍超に伸長 AIエージェント「ギークスAI」の開発とAI共創文化の確立を目指す
目次

曽根原稔人氏(以下、曽根原):ギークス株式会社代表取締役CEOの曽根原です。2026年3月期第2四半期の決算についてご説明します。
本日は、業績のハイライトと戦略的AI活用の取り組みについては私から、セグメント別業績についてはCFOの佐久間からご説明します。よろしくお願いします。
Key Messages

Key Messagesです。こちらが今回のハイライトとなります。
2026年3月期第2四半期の売上は65億1,000万円、営業利益は2億5,000万円で、好調に推移しています。第2四半期累計売上は128億9,000万円、累計営業利益は前年同期比126.2パーセント増の4億3,000万円となり、大幅に成長しています。
足元の取り組みとしては、世の中で現在AIが話題となっていますが、当社では社内の組織全体をAI化することを事業戦略上の重要テーマとし、知識集約型ビジネスへの転換を進めています。人材ビジネスは労働集約型になりがちですが、これを変革し進化させることを目指し、プロジェクトを進行中です。
その一環として、統合型AIエージェント「GEECHS AI」の開発を進めています。AIとの共創文化を組織にしっかりと根づかせることで、さらなる生産性向上を目指す取り組みを行っています。
続いて、2026年3月期の業績予想修正についてです。すべてのセグメントが計画に対して好調に推移したことを受け、決算発表前の10月27日に連結業績予想の上方修正を公表しました。
通期の売上高は据え置きとなりますが、営業利益は8億円に修正され、当初計画から1億円プラスとなっています。
2026年3月期2Q:業績ハイライト

P/Lの各ポイントについてご説明します。EBITDA以下、営業利益、経常利益、当期純利益を含め、第2四半期累計はすべて前年同期比で100パーセント以上の増加となっています。費用コントロールも非常にうまく進み、業績としては良いかたちで着地できたと考えています。
2026年3月期2Q:業績ハイライト(売上高・営業利益率)

売上高の四半期ごとの推移についてです。第2四半期の売上高は65億1,800万円で、前年同期比2.5パーセント増とわずかに増加しました。この要因については後ほどご説明しますが、海外IT人材の売上高が前年から減少したことが影響しています。一方で、この減少がありながらも、しっかりとプラス成長を達成できた点は、1つ良いポイントであると考えています。
また、営業利益率については、AI活用を含めた生産性向上や費用コントロールによるマネジメントの成果で、前年同期の1.8パーセントから3.9パーセントへと上昇しました。この推移は良い結果であると見ています。
2026年3月期2Q:業績ハイライト(EBITDA・営業利益)

EBITDA・営業利益についてご説明します。四半期ごとのグラフをご覧いただくとわかるように、ゲーム事業やx-Tech事業といった、IT人材以外の事業を整理したことで、IT人材領域に特化し、着実に利益体質が向上していると考えています。
また、四半期ごとに営業利益をしっかり伸ばせている点は、良い結果だと思います。
2026年3月期2Q:セグメント別業績ハイライト

セグメントごとの状況についてです。まず、主力である国内IT人材事業は、売上高・セグメント利益ともに10パーセントを超える成長率で、堅調に成長しています。
また、海外IT人材事業については、業績の改善が非常に順調に進んでいます。一方で、第2四半期累計売上では前期に比べて若干減少していますが、セグメント利益は2,100万円と非常に良好で、コストコントロールも含めて進捗しています。よって、通期計画では営業利益がマイナスを見込んでいましたが、3,000万円へ上方修正しました。これは今回の上方修正の大きなポイントの1つとなっています。
Seed Tech事業は非常に好調で、デジタル留学とオフショア開発により、第2四半期累計で2億4,300万円、前年と比べ約1.6倍の成長を遂げています。利益については3,700万円となっています。今回の修正計画では通期利益を2,000万円と見込んでおり、すでに達成しているように見えますが、下期には新たな取り組みや技術への投資を見込んだ上でこの額を設定しています。
このように、すべての事業が業績回復を含めて順調に成長してきていると実感しています。
連結貸借対照表及びキャッシュフロー計算書

B/SとC/Sです。増減額で特に大きかったのは営業キャッシュフローであり、業績が好調であったことや法人税等の支払いの減少が主な要因となり、大きく増加しています。
ここからは各事業のセグメント別について、佐久間がご説明します。
国内IT人材(売上高・セグメント利益・広告宣伝費率)

佐久間大輔氏(以下、佐久間):取締役CFOの佐久間です。それでは、国内のIT人材事業についてご説明します。
第2四半期累計売上高は前年同期比10.9パーセント増の82億4,800万円、第2四半期単体でも前年同期比10.2パーセント増の41億2,100万円と、売上は堅調に伸びています。一方で、利益については第2四半期累計で13.3パーセント増の6億7,000万円となりました。
このように2桁成長を実現できた背景には、コストを適切に管理しながら利益を確保したことが挙げられます。また、「GEECHS DIRECT(ギークスダイレクト)」というサービスが好調に推移したことも寄与しており、利益率の向上を図ることができています。
ITフリーランス領域のテイクレートについては安定して推移しており、大きな変動は見られません。
広告宣伝費は1.2パーセントで、当社として適切な広告宣伝比率になっていると考えています。
国内IT人材(稼働人月数・受注単価)

人月数および受注単価についてです。QoQでは人月数にわずかな足踏みが見られましたが、累計の稼働人月数は1万人月を超えました。今期は2万人月を超える水準に到達できると見込んでいます。第3四半期以降の状況については、人月稼働数も順調に足元で伸びています。そのため、第2四半期よりも第3四半期で着実に伸びてくるものと思われます。
また、累計受注単価については前年同期比で0.8パーセント増加しており、適切な受注単価の増加が見られると考えています。
先行指標となる案件倍率については、案件数とフリーランスの登録者数が大幅に増加しており、引き続き7.53倍と高水準を維持しています。このことから、需要は引き続き強い状態が継続していると考えています。
国内IT人材(取引企業数・ITフリーランス新規登録者数)

取引企業数およびITフリーランスの新規登録者数についてご説明します。取引企業数は順調に増加しており、ITフリーランスの新規登録者についても、第1四半期、第2四半期ともに400人を超える登録者がありました。この結果は、例年どおりの水準で広告宣伝費を投資している中でも、着実に新規登録人数を増やせている状況だと考えています。
また、登録された方が新たに案件に参画することにつながりますので、登録者数の増加は、昨年と比較しても非常に順調に推移していると認識しています。
国内IT人材(ITフリーランスの収益性)

ユニットエコノミクスについてです。半期および通期のタイミングで公表していますが、今回は数字面だけでなく、過去の推移もグラフでご確認いただければと思います。
スライド左側の折れ線グラフに記載のとおり、ユニットエコノミクスは5.9ポイントと過去最高となっています。2023年および2024年にかけては、タレントを起用したブランディング広告により、採用面の強化を進めていました。副次効果として、企業やフリーランスへの認知も広がる等、投資効果もあり右肩上がりで成長を続けています。
また、平均稼働期間の延長がLTVの向上にも寄与しているため、引き続き通期でも伸ばせる状況になると考えています。
海外IT人材(売上高・セグメント利益)

海外のIT人材事業についてご説明します。当社では第2四半期を4月から6月の期間として連結していますが、この期間においては、売上だけでなく利益も会社計画を上回る結果となりました。
その要因としては、コストを前年度から見直し、収益構造を改善してより利益を重視した体質に変化できたことが挙げられます。その結果、第2四半期では2,500万円の黒字を達成し、第1四半期の赤字分を吸収したことで、累計セグメント利益は2,100万円となりました。
また、通期の見通しとしても、利益体質が継続し、通期のセグメント利益は3,000万円となる見込みです。期初計画のマイナス3,000万円から6,000万円の増加となり、前年および過年度で課題となっていた部分が、収益にしっかりと貢献する体質へと変化してきたと認識しています。
Seed Tech (売上高・セグメント利益)

Seed Tech事業についてです。こちらは先ほど曽根原からもお話ししましたが、過去最高の水準に到達しています。
主な要因として、オフショア開発でしっかりとした積み上げができていること、そして夏にデジタル留学が好調だったことが挙げられます。当社はフィリピンのセブ島で学校を経営しており、デジタル留学の方々や大学生の団体の受け入れが順調に推移しました。
第2四半期の売上高は1億4,800万円、セグメント利益は4,500万円となり、四半期としては過去最高の業績を記録しています。また、上期でもセグメント利益は過去最高を更新しました。通期のセグメント利益予想については、もともと1,000万円見込んでいましたが今回2,000万円へ上方修正しています。
現状では、第2四半期累計で3,700万円の利益が出ていますが、第3四半期、第4四半期にかけては「DX職 -デジショク-」などの先行投資を織り込みつつ、しっかりと上方修正した2,000万円を超える利益を目指していきたいと考えています。
この点についても海外のIT人材と同様に、全体的な利益貢献にも寄与しており、Seed Tech事業の特に利益面において非常に明るい兆しが見えてきています。
従業員数推移

従業員の推移についてです。前年期末である3月からそれほど人員は増加していません。事業ポートフォリオの見直しを進める中、今後についても大幅な人員増ではなく、AIを活用した生産性を意識した組織作りを行い、必要以上に採用を増やさなくても売上・利益を着実に伸ばせる体制を構築していきたいと考えています。
株主構成

最後に、株主構成についてです。こちらは2025年3月期末から、個人株主の比率が増加しています。機関投資家だけでなく個人向けIRセミナーなどに積極的に参加することで、個人投資家の持分比率が増加しました。
「ギークスAIステートメント」を策定

曽根原:最後に、私からAIについてコメントします。今回あえて、ギークスAIステートメント策定を決算説明資料に盛り込みました。これは、コンセプトである「AIとはたらく、AIでつなぐ」を「ギークスAIステートメント」というかたちでまとめたものです。
ポイントとして、現在、多くの企業がさまざまなAI活用を進めていますが、我々はこうした具現化を通じて従業員と共通意識を持ち、組織体制を変え、AIと共創する組織マインドに変革していくことを明確にするために取り組んでいます。
そして、働く従業員やメンバーとの議論を通じて、策定の背景や、どのようなコンセプトとするのか、ギークスの新たな姿をどのように目指していくのかを話し合いました。その中で、人材ビジネス領域においてこれまでのスタンダードをどんどんアップデートし、業界に変革をもたらすような組織を目指すことをポイントとして掲げています。
中長期構想に向けた基盤作り

今までも社内教育として生成AIの活用や社員のデジタル人材化を進めてきましたが、それら取り組みを中長期の構想としてイメージ的に整理したものをお伝えします。
それをさらに浸透させるために、今後は人事制度との連動、いわゆる社内でのAI活用の度合いや方法を人事評価に組み込むことに本格的に取り組んでいます。
これにより、組織の文化を完全に変革し、従業員をデジタル人材へと育成する、そして「ギークスAI」という我々が開発しているAIエージェントと共創する組織を構築していくという取り組みを進めています。
また、労働集約型ビジネスと言われている人材ビジネスから、知識集約型の要素を高めたビジネスモデルへ変革していくことが、我々の目標です。
「GEECHS AI」について

先ほど少し触れた「ギークスAI」についてです。統合型AIエージェントである「ギークスAI」の開発に取り組んでいます。我々はこれまで長年にわたり、ITフリーランスと企業のマッチングを進め、多くのデータを保有しています。
フリーランスのみなさま及び企業側の情報を含め、これまでどのようなマッチングが行われたか、どのようなプロセスで決定に至ったかといった情報を、しっかりとビッグデータとして活用しています。そしてAIマッチングというかたちで、社内システムとして実現することを目指しています。これまでも簡易マッチングのシステムはありましたが、その精度をさらに向上させていく計画です。
また、社員の教育については、特定の個人に依存する(AさんがBさんへ、CさんがDさんへ教育する)のではなく、ギークスのこれまでのデータ、例えばパフォーマンスの高い人材の特徴などをAI化することで、AIが人材教育することができるようになります。これにより、全社員が同じレベルの教育を受けられる環境を整え、人によるばらつきをなくすことを目指しています。
また、細かなマッチングやエンジニアのレジュメシートの作成、提案までのプロセスに関するアドバイスなどを、すべてAIを活用して効率化します。これにより、当社のコンサルタントが最後のワンマイル(エンジニアや企業との直接的なコミュニケーション)に集中し、次の一手を察知して行動できるようになります。その結果、より多くの案件を獲得できる体制を整えることを目指しています。
このように、AIマッチングツールを完全に組織の中核ツールとして活用することで、当社の生産性向上につながると考えています。
国内 IT 人材における中長期構想

スライドは中長期構想のイメージ図です。我々のビジネスは売上高の増加に伴い、原価や給与などの販管費用が比例して増加していくように見られがちです。
しかし、AI活用により費用を抑えつつ売上高を伸ばしていける組織を目指し、生産性の向上や利益率の向上を狙いとしています。そして、それらを中長期的に実現することを目指しており、今回は足元の組織や内部的な取り組みについても、あえて開示しました。
今後については、外部、例えばITフリーランスの領域において、IT人材に必要とされるAI技術の重要度や、ITフリーランスのアップデートの度合いとビジネスの機会拡大の関連性などを検討しながら取り組んでいます。これらについても少しずつ開示していければと考えています。以上が第2四半期の決算発表の内容です。
最後にまとめると、この上期において営業利益が前年同期比約2.3倍となり、各事業セグメントが全体的に良いかたちで成長し、利益を出せる体質へと変わってきています。また、赤字やボラティリティが高い事業を、コーポレートアクションの一環として適切に整理した結果、事業体がしっかりと利益体質へと変化していることを実感しています。
そのため、以前から「来期以降は営業利益で2桁億、具体的には10億円以上を目指す」とお伝えしていますが、この上期を終えた現時点で、十分にその手応えを感じています。今後の成長にぜひご期待いただければと思います。よろしくお願いします。
質疑応答:「DX職 -デジショク-」事業への投資目的と効果について
佐久間
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