【QAあり】蝶理、新基幹システムSAP本稼働でDX加速、粗利率改善を継続 半導体向け中間体と高価格帯秋冬物が牽引し業績回復基調
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迫田竜之氏(以下、迫田):みなさま、こんにちは。蝶理株式会社代表取締役社長の迫田です。本日は当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
私どもは、社会の変化に対応しながら、160年を超える歴史を持つ繊維・化学品を中核事業とする商社として、現在、海外現地法人19社を含め、38社でグループを構成しています。
本日は、1つ目に決算概要、2つ目に中期経営計画の進捗についてご説明します。
決算概要のポイント

まず、決算概要のポイントについてです。私どもの中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025(CIP2025)」の最終年度である2026年3月期通期業績予想の達成に向け、売上総利益率の改善を推進しています。これは事業の質を改善し、企業価値の向上につなげる方針として取り組んでいます。
業績概要については次のページでご説明します。
財務基盤としては、自己資本比率が65.6パーセントと高水準を維持しており、ROEは11パーセント、ROICは10.3パーセントとなっています。
トピックスとして、新中期経営計画策定プロジェクトをスタートしました。事業戦略、財務戦略、非財務戦略、人的資本、デジタル変革の各ワーキングチームを設置し、「選ばれる会社」の実現に向けた諸施策を検討しています。
当社の運営方針は「選ばれる会社」を目指す、です。社会から選ばれ、人・社員から選ばれ、その結果としてサプライチェーンのパートナーとして選ばれるという好循環を目指しています。
業績内容(前年同期比)

業績内容についてご報告します。売上高は前年同期比で95億円減少しました。為替が円高に振れた影響もありますが、海外販売、特に中国市場が苦戦したことが要因です。
売上総利益は203億円で、前年同期並みです。こちらは利益率改善により達成しました。販売費及び一般管理費は前年同期比7億円増の137億円です。
この結果、営業利益は前年同期比8億円減の66億円となりました。
経常利益は68億円で、前年同期比17億円の減少となっています。前年同期比は営業利益から9億円悪化しています。その要因としては、前年同期に貸倒引当金戻入額として8億円が発生したことが挙げられます。
税金等調整前中間純利益は69億円で、前年同期から25億円の減益です。これは、前年同期に発生した投資有価証券売却益8億円が、今期は発生しなかったことによるものです。
以上の結果、中間純利益は51億円となり、前年同期比で19億円の減少となりました。
税金等調整前中間純利益の主な増減要因

税金等調整前中間純利益が93億円から69億円へと、25億円の減益が生じた要因についてご報告します。
まず、売上高が前年同期比で95億円の減収となり、13億円のマイナス影響がありました。次に、売上総利益率が前期から0.8パーセント改善したことにより、12億円のプラス要因となりました。
一方で、販管費は前年同期から7億円増加し、減益要因となっています。ただし、販管費には大きく2つの要因があります。
1つ目は、将来の事業につなげる新システム「SAP」への3年間の投資です。今年4月から本格稼働を開始したため、関連コストが新たに発生しました。2つ目は、人的投資により人件費が増加していることです。
これらの増加分は、合わせて10億円を超える水準です。一方で、それ以外の経費については削減を進めています。
次に、前年同期に発生した一過性利益が今期に存在しなかったことで、マイナス16億円の影響がありました。
この結果、前年同期比で25億円の減益となりましたが、そのうち16億円は一過性の要因のため、実質的な減益は9億円となっています。
総括すると、先行的かつ投資的なコスト増をカバーする売上総利益の増加を達成できなかったことが、この上期の反省点です。
繊維事業

各事業についてご説明します。繊維事業では、カーシート資材や繊維製品の市況低迷、さらに前期に好調だった中東・中国向けテキスタイル販売の減速により、売上高・利益ともに減収減益となりました。
セグメント利益は33億円で、前年同期比マイナス11億円となっています。
化学品事業

化学品事業についてご説明します。スライドのポイントに記載したとおり、パフォーマンスケミカル分野は、主に中国の過剰生産による市況低迷の影響を受け、減収となりました。
一方、高収益事業であるファインケミカル分野は、市場の在庫調整の収束に伴い、回復傾向が見られます。
その結果、売上高は前年同期比マイナス39億円の753億円、セグメント利益は前年同期比マイナス6億円の40億円となりました。セグメント利益は、一過性の利益を考慮すれば、実力ベースでは増益を達成しています。
機械事業

機械事業についてご説明します。売上高は4億円と非常に僅少な数字に見えますが、代理人取引の売上控除前で見ると、債権が発生するベースでの売上高は約120億円となります。
事業としては、中南米向けの自動車販売が堅調に推移しており、主に中南米に中国車を販売しています。
形態別売上高

形態別売上高についてです。スライドの棒グラフをご覧ください。上段の2つは国内売上高と輸入売上高で、日本を販売地とする売上を示しています。合わせて約5億円の減収となりましたが、比較的底堅く推移しました。
一方、下段の輸出売上高と海外売上高は苦戦しました。冒頭でもお伝えしたとおり、特に中国市場向けの売上が苦戦しました。
財政状態

財政状態についてです。財務健全性については、守りとして問題ない状態です。金利上昇への耐性も十分にあると認識しています。
収益性・資本効率については、ROEが当社のKPIである12パーセントを下回っています。下期には挽回を目指し、取り組んでいきます。
財政状態 連結B/S

連結B/Sです。1点目に、20億円の配当を実施しましたが、利益の積み増しにより、現金及び預金・預け金は27億円増加の265億円となりました。
2点目に、運転資金については売上高の減少による大きな変動はありません。
キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況です。営業活動については、税金等調整前中間純利益の69億円などにより、プラス59億円のキャッシュインとなっています。財務活動については、配当金の支払いにおける20億円などにより、マイナス23億円のキャッシュアウトとなっています。
2026年3月期業績予想

2026年3月期の業績予想についてです。「CIP2025」の最終年度として、成長戦略の基盤構築を遂行します。新基幹システム「SAP」は第1四半期に稼働しました。売上高は当初計画比で減収を見込んでいますが、引き続き収益性の改善を図り、安定的な利益確保を目指します。
2026年3月期第2四半期(中間期)の業績は、おおむね想定どおりに進捗しています。スライドの表では売上高・利益とも進捗率が遅れていますが、社内予算上の各段階利益において大きな遅れはありません。下期には予算どおりの利益を積み上げることを想定し、予算を据え置いています。
2026年3月期配当金

2026年3月期の配当についてです。中間期の配当については、すでに72円の配当を決議しました。当社の基本方針に従い、年間配当金は144円、期末配当は72円を見込んでいます。
VISION2030 ありたい姿

中期経営計画の進捗についてご説明します。まず、「VISION2030」に掲げている「ありたい姿」についてです。私たちはまず、目指すべき姿を定め、そこからバックキャストの手法を用いて、2023年度から2025年度までの3ヶ年の中期経営計画を立案しました。
骨子としては、「サステナブル」「ウェルビーイング」「イノベーション」をバランスよく成長させていきます。売上高は4,000億円、税引前当期純利益は200億円を目指します。
基本方針と基本戦略

基本方針と基本戦略についてです。当社の基本方針は、「高機能・高専門性を基盤として、グローバルに進化・変化し続ける企業集団」です。この目標を達成するために、「DXによるビジネス変革・経営変革」を基盤とし、3つの基本戦略を推進します。
基本戦略の1つ目は「連結グローバル事業軸運営の推進」、2つ目は「変化に即応したサステナブルなビジネスの創出」、3つ目は「ESG経営の推進」です。これらの基本戦略を推進することで、企業価値の向上を目指していきます。
グローバルな持続的成長の実現

基本戦略の1つ目である「連結グローバル事業軸運営の推進」として、グローバルな持続的成長の実現を目指しています。当社では、海外事業を縦軸でつなぐ拠点として、中国やアジアを中心に海外30拠点を展開しています。
特にこの上期に苦戦した中華圏では、中国国内需要の伸び悩みにより減収減益となりました。差別化商材への注力、有力な取引先との関係強化、サステナブル商材の拡販などを通じて、収益力の向上を図ります。
中東については、繊維事業の駐在員が2名常駐しています。現地の社会変化をチャンスと捉え、将来事業につながる新規商流の拡大に注力しています。
事業別戦略 繊維事業:2026年3月期上期総括

事業別戦略として、繊維事業の2026年3月期上期の総括です。まず、「Global One Stop Chori」の進化として、繊維の循環型スキーム「B-LOOP」のベトナム展開を進めました。
「BLUE CHAIN」商材の深化においては、J1サッカーチームの東京ヴェルディと協業し、繊維の循環型スキーム「B-LOOP」を活用した「Green Relay Project」を開始しました。
そのほか、サーフィン日本代表チームと連携し、サーフィン会場でのゴミ回収など、事業の延長線上での社会貢献活動を行っています。
繊維事業 トピックス

繊維事業のトピックスについてお伝えします。まず1つ目は、PIN仮撚り機の無償貸与です。引き合いが増加しているPIN仮撚り糸の生産キャパシティおよび効率を上げるため、機械の貸与を行いました。これにより、国内外での原料事業の拡大を目指しています。
2つ目は、サステナブル商材の取扱拡大です。中国の漁網再生メーカーである浙江英瑞特再生材料有限公司(InResST)は、漁網などの海洋由来のナイロン廃材を回収・洗浄・加工し、ナイロン繊維として再生する事業を展開しています。環境に配慮したナイロン繊維を提供しています。
3つ目は、国内外の展示会への出展です。特に、海外販売力の再強化に向けた取り組みを行っています。
事業別戦略 化学品事業:2026年3月期上期総括

化学品事業の2026年3月期上期の総括です。1つ目は、海外拠点を含む蝶理グループ全体で体制のブラッシュアップを進めています。蝶理ヨーロッパ、蝶理マレーシアに常勤社長を再配置しました。また、国内ではM&Aした会社が3社あります。これらの企業においてシナジーの最大化を図っています。
2つ目は、重要分野への注力です。香粧品分野の拡充が進行しています。昨年度、インドネシア企業への出資を通じてアジア市場の拡大に取り組みました。
3つ目は、次世代型ビジネスモデルの構築です。こちらについては次のスライドでご説明します。
化学品事業 トピックス

化学品事業のトピックスです。1つ目は、江蘇華峰瑞訊生物材料有限公司(CovationBio)との戦略提携契約の締結です。当社のビジネスパートナーである中国の華峰集団有限公司が、DuPont de Nemoursからバイオ材料事業を買収しました。今回、「価値共創型アライアンス」として、高機能なバイオベース素材の普及と革新を両社協力で推進します。
2つ目は、中維化繊股份有限公司との「パートナーシップ宣言書」などの契約締結です。こちらは、中国政府が「小巨人」と認定している企業の成長を、私どもがグローバル展開に向けて支援することを目指しています。
以上の2つが将来の事業展開への布石となる中で、3つ目は機能性中間体ビジネスについてです。こちらは当社の高収益事業です。上期では半導体や電子材料向けの機能性中間体ビジネスが好調に推移しました。これらのサプライヤーは、中国、韓国、インドからであり、引き続き強化を図っていきます。
ESG経営の推進

基本戦略の3つ目である「ESG経営の推進」についてご説明します。スライド下段をご覧ください。リスクマネジメントについては、リスクと課題を見える化することで、社員がチャレンジしやすい体制の整備を進めています。
マテリアリティ及びサステナビリティ関連方針の社内浸透については、サステナビリティ施策の社内理解を深めるために、全社員向けの動画コンテンツを制作し、配信しました。自分の仕事が会社の価値創造とどのようにつながっているかを理解することが、エンゲージメント向上において重要です。
DXによるビジネス変革・経営変革

DXによるビジネス変革・経営変革についてです。当社では、2022年度から3年間の準備期間を経て、計画どおり本年2025年4月にSAPシステムを本格稼働させました。今期はシステムに慣れることから始め、効率化を目指してデータ活用の基盤を構築することを目標としています。
将来的には、「ポストCIP2025」に記載しているとおり、営業競争力の強化につなげていきます。
営業競争力の強化とは、次世代や将来へ事業をつなぐことが最も重要な課題であると認識し、営業ノウハウを個人から会社へ、さらに組織的にデジタルで事業活動を行うことを目標とした取り組みを推進していきます。
当社株価推移

参考資料を掲載しています。こちらは、当社株価推移です。
市場動向

市場動向として、為替レートと石油価格について記載しています。
連結の範囲(2026年3月期 第2四半期)

連結の範囲についてです。現在、当社グループは38社で構成されています。
親会社からの独立性の確保について

親会社からの独立性の確保についてです。こちらに記載している事項は、コーポレート・ガバナンス報告書や支配株主に関する事項などの内容をまとめて記載したものです。
あなたの夢に挑戦します。

当社のコーポレートスローガンは、「あなたの夢に挑戦します。」です。
説明は以上となります。
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