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株式会社コロナ5909

東証スタンダード

金属製品

説明内容

大桃満氏:本日はお忙しい中、会場に足を運んでいただき、またWebでご参加いただき、誠にありがとうございます。株式会社コロナ代表取締役社長の大桃です。どうぞよろしくお願いします。

会社概要

まずは当社の会社概要についてご説明します。当社は1937年、新潟県三条市において石油コンロの製造販売で創業し、今年で創業88年を迎えます。

創業者の内田鐵衛は、石油コンロの研究に没頭中、暗がりで見つめたコンロの青い炎と、コロナ放電の発光色が似ていることに気づき、これに美しく光り輝く、太陽のコロナのイメージを重ね合わせて、創業から2年前の1935年に「CORONA」の商標を登録しました。

従業員はグループ全体でおよそ2,100名です。新潟県三条市と柏崎市に技術開発センターを設け、新潟県内にある8つの工場で生産を行う、いわば「メードイン・新潟」のものづくりを特徴としており、これにこだわっています。

また、今年7月には当社が開発した日本初の加圧式石油ストーブが、日本機械学会が認定する「機械遺産」に登録されました。当時培った燃料の気化技術は、石油ファンヒーターをはじめとした現在の商品開発にも大きく貢献しています。

事業内容

当社の事業内容についてご説明します。創業の暖房機器をはじめとして、エアコンや除湿機などの空調・家電機器、給湯器や冷暖房システムなどの住宅設備機器へと事業を広げてきました。

現在は、快適・健康的な住環境をトータルに提案するメーカーとして、ブランドスローガン「つぎの快適をつくろう。CORONA」のもと、暮らしをもっと豊かにする「次なる快適」の実現・提供を目指し、活動を進めています。

また、暖房や空調などの季節商品を扱っているため、売上構成は通期と第2四半期で変動する構造となっています。

第2四半期(中間期) 連結業績ハイライト

2026年3月期第2四半期の連結業績についてご説明します。売上高は402億2,000万円で、前期比0.2パーセントの増収となりました。ルームエアコンなどの空調・家電機器は苦戦したものの、住宅設備機器では主力の「エコキュート」などが順調に推移したほか、暖房機器についても流通在庫が適正水準となったことで出荷が順調に推移しました。

一方、利益面では仕入価格や販管費の上昇などの影響があり、第2四半期は当初計画から赤字を見込んでいましたが、空調・家電機器の販売価格低下および数量の減少などが影響し、当初計画を下回る結果となりました。

第2四半期(中間期) 連結業績推移

最近5年間の連結業績の推移はスライドのとおりです。売上高は前年並みの400億円台となりました。各利益は大きく減少し、10年ぶりに赤字となっていますが、当社の売上・利益は暖房機器の割合が高い第3四半期に増加する傾向にあり、通期では黒字を見込んでいます。

第2四半期(中間期) 連結P/L分析

損益計算書はスライドのとおりです。空調・家電機器の販売減少に伴う操業度の低下などにより原価率が上昇しました。また、販管費については、人件費や物流費の上昇もあり、前年比で3億円ほど増加しています。

第2四半期(中間期) 連結売上高・製品種類別構成推移

製品種類別の売上高と構成比の推移です。「エコキュート」の販売伸長などにより住宅設備機器が増加しており、中間期の売上構成比も48パーセントに上昇しています。

当社は暖房や空調といった季節商品を販売しているため、業績も季節要因の影響を受けやすい構造となっていますが、給湯器や住宅設備システムの販売を拡大して構成比を高めることで、季節要因による変動を抑え、売上の平準化を図る方針です。

第2四半期(中間期)製品種類別売上高分析 ■住宅設備機器

各製品種類別の売上高の状況をご説明します。はじめに住宅設備機器についてです。売上高は192億3,800万円で、前期比7.5パーセント増となりました。

「エコキュート」は政府の補助金制度を活用した積極的な提案活動に取り組んだことや、業界トップクラスの省エネ性、太陽光発電による余剰電力の活用機能などが高く評価され、競合他社が伸び悩む中で販売が伸長しました。

また、カーボンニュートラルの実現に向け、高効率給湯器の需要が増加しており、家庭用ハイブリッド給湯・暖房システムのヒートポンプユニットの供給も好調に推移しています。安定的な需要のある石油給湯機についても、価格転嫁や付加価値商品の販売強化により、台数は減少したものの売上高は前年比で増加しています。

第2四半期(中間期)製品種類別売上高分析 ■暖房機器

暖房機器についてです。売上高は71億3,700万円で、前期比3.0パーセント増となりました。第2四半期は需要期に向けた提案活動が中心でした。

寒冷地向け石油暖房機などで一部残暑の影響があったものの、流通在庫が適正水準に戻ったことで、石油暖房機と電気暖房機の初期導入が順調に進みました。中東などへ向けた石油暖房機の輸出も順調に推移したことで、前年を上回る結果となっています。

第2四半期(中間期)製品種類別売上高分析 ■空調・家電機器

空調・家電機器についてです。売上高は110億800万円で、前期比9.1パーセント減となりました。昨年に続き、設置工事が不要なウインドエアコンが順調に推移したものの、競合メーカーとの厳しい価格競争が続くセパレートエアコンの販売が減少しました。

除湿機についても梅雨明けが早かった影響もあり販売が伸び悩んだことで、空調・家電機器全体は前年を下回る結果となっています。

第2四半期(中間期) 連結営業利益増減要因

スライドのグラフは営業利益の増減要因です。住宅設備機器が順調に推移したほか、生産合理化の取り組みなどを進めましたが、空調・家電機器の販売価格の低下および数量の減少、それに伴う操業度の低下によるコスト増加、人件費や物流費など経費の上昇等もあり、前期比で6億3,700万円の減益となりました。

第2四半期(中間期) 連結B/S分析

貸借対照表の主な増減については、スライドに記載のとおりです。

2026ビジョン・第10次中期経営計画の位置付け

第10次中期経営計画の取り組みについてご説明します。前中期経営計画では、2027年に迎える創業90周年を見据えた中長期的な方向性として「2026ビジョン」を設定し、その達成に向けて取り組んできました。2050年のカーボンニュートラルに向けた大きな流れは現在も変わらないため、それを踏まえた中長期的な方向性である「2026ビジョン」の達成を引き続き目指していきます。

また、今期新たに策定した第10次中期経営計画は、「2026ビジョン」を実現するための3年間の実行計画です。「利益ある成長経営」と「新規領域への挑戦」を継続し、全社一丸となって活動を進めています。

2026ビジョン 3つのテーマ

「2026ビジョン」のテーマは「脱炭素社会への貢献、レジリエンスな社会」「快適の進化、暮らしの質向上」「利益体質への転換」の3つです。これらのテーマに沿って、引き続き活動を進めていきます。

第10次中期経営計画 目指す姿 全体像

第10次中期経営計画における当社の目指す姿をご説明します。エネルギー面では、ヒートポンプや電化機器の拡大、エネルギーの多様化を進めることで、灯油頼みの利益構造から脱却し、脱炭素社会への貢献にも取り組んでいきます。

また、家の中やインフラを中心とした現在の提供価値を広げ、「暮らす楽しみ」や「家の外での快適」も提供する企業を目指していきます。

第10次中期経営計画(2025~2027年度)「変わる、そして挑む」

こちらのスライドは第10次中期経営計画の骨子です。「2026ビジョン」と連動する3つの基本戦略として、「脱炭素社会に向けた事業ポートフォリオの再構築」「『楽』から『楽しい』への事業領域拡大」「経営基盤の再構築」を掲げています。さらに、それらの下に8つの事業戦略・機能戦略を設定し、取り組みを進めています。

また、今回の中期経営計画で新たに追加した重点施策として「海外市場の探索」があります。国内市場が成熟し、人口減少に伴う規模縮小が予測される中、輸出事業についても展開の可能性を探るべく、海外市場の調査を進めているところです。

【基本戦略1】脱炭素社会に向けた事業ポートフォリオの再構築

基本戦略の内容についてご説明します。基本戦略1「脱炭素社会に向けた事業ポートフォリオの再構築」です。「エコキュート」をはじめとしたヒートポンプ機器は、サステナビリティへの貢献度や市場成長率が高い一方で、利益率に課題があります。そのため、事業規模を拡大し、利益率を高める取り組みが最重要と考えています。

電気機器については、商品バリエーションの拡充による事業規模の拡大を進め、灯油機器については事業規模と利益を維持しながら、省エネ性の追求などによりサステナビリティ貢献度を高めることが重要と考えています。

また、石油については、世界各国で代替燃料の研究が進められている中、将来に向けた次世代燃料の燃焼技術の研究も進めています。

【基本戦略1】トピックス

基本戦略1に関するトピックスです。今年2月、当社の長岡工場において、「エコキュート」などのヒートポンプ機器の外装部品の加工が可能な「大型自動プレスライン」を導入しました。新設備の導入により、省人化や効率化が図られ、作業者の安全や負荷軽減の面でも改善が進んでいます。今後もコスト低減や自動化に取り組み、増産体制を整えていきます。

また、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、住宅設備においてもエネルギー消費性能の向上が求められており、高効率なヒートポンプを熱源とするシステムの開発などにも引き続き取り組んでいきます。

【基本戦略2】「楽」から「楽しい」への事業領域拡大

基本戦略2「『楽』から『楽しい』への事業領域拡大」についてご説明します。熱中症やヒートショックといった家庭内に潜む不安への対応や、家事負担の軽減など、暮らしの質向上に寄与する製品開発を進めています。

また、家の外での快適さや暮らす楽しみの創出に向けた取り組みも行っています。

上期においては、新幹線とコラボレーションした衣類乾燥除湿機や、小部屋用の中能力加湿器、アウトドアでも使用可能な黒を基調としたデザインの暖房機を発売しました。

【基本戦略3】経営基盤の再構築

基本戦略3「経営基盤の再構築」についてご説明します。将来の基幹システム刷新を見据えた業務プロセス改革とDX推進に加え、開発プロセスの見直しによって開発リソースの最適化とスピードアップに取り組んでいきます。

また、企業収益の源泉である「人」の力を高めるため、働きやすい職場環境の整備や、やりがいにつながる仕組み、教育訓練などを進めています。働きやすさにやりがいが加わることで「働きがい」が生まれると捉え、人事評価制度の見直しにも取り組んでいるところです。

第10次中期経営計画 目標

第10次中期経営計画の最終年度となる2028年3月期の経営目標は、連結売上高878億円、連結経常利益20億円、連結経常利益率2.3パーセントとしています。目標必達に向けて、着実に取り組みを進めていきます。

資本政策

当社の資本政策についてご説明します。当社の株主資本コストは4パーセントから5パーセントと認識していますが、ROEは1パーセントから2パーセント程度であり、資本コストを大きく下回る状況にあります。

当社の事業構造や昨今のコスト上昇による利益面の課題に加え、成長投資の実行や株主還元の充実についても課題を抱えています。ROE改善に向けては、中期経営計画の各戦略を着実に実行し、収益性の向上を第一に掲げ、既存事業の強化に加え、新規市場の探索やコスト削減、業務効率化にも注力していきます。

また、会社の将来性を示していくことに加え、株主還元を強化することも重要と考えています。当社はこれまで継続的な安定配当を方針としてきましたが、本中期経営計画からは株主価値向上を図るとともに、株主のみなさまへの還元を強化するため、下限配当を設定しました。業績や財務状況を総合的に勘案した上で、安定した利益還元を実現する方針です。

カーボンニュートラル社会に向けて -熱源構成変化-

こちらのスライドは、国策や業界データを踏まえ、2020年から2050年までの当社商品群における熱源構成の変化を独自に試算したグラフです。

ヒートポンプ・再生可能エネルギーと電気が拡大する一方で、灯油を使用する商品群は減少していくと予想していますが、寒冷地での需要や、レジリエンス性の高いインフラとしての熱需要により、2050年においても2割程度は残ると見込んでいます。

代替燃料への対応も継続して進め、燃料のカーボンニュートラル化を推進していく考えです。

カーボンニュートラル社会に向けて -気候変動への対応-

気候変動への対応についてはスライド左側のグラフのとおり、事業活動における温室効果ガス排出量の削減が着実に進んでいます。今後は、Scope1およびScope2におけるCO2排出量削減ロードマップに沿い、2015年比で、2030年に40パーセント削減、そして2050年にはネットゼロを目指して着実に取り組みを進めていきます。

また、環境配慮型製品の開発やサプライチェーンにおけるCO2排出量の削減など、Scope3にも取り組んでいきます。

投資計画

投資計画についてご説明します。第10次中期経営計画における3ヵ年累計の投資計画は102億円と、前中期経営計画比で44.4パーセント増となります。計画に沿って「入りをはかり、出づるを制する」ための投資を進めることで、当社の持続的な成長の実現と収益性の改善を図っていきます。

2026年3月期 通期 連結業績見込み

2026年3月期の通期計画についてご説明します。2026年3月期通期の業績予想に変更はありません。

上期については利益が計画を下回りましたが、下期では暖房機器の流通在庫が適正水準に戻ったことにより、前年を上回る出荷を計画しています。また、「エコキュート」を中心とした住宅設備機器の伸長、付加価値商品の拡販など空調・家電機器の取り組みも踏まえ、業績予想は据え置いています。

各利益については、原材料などの仕入価格の上昇が続いていることや、人件費や物流費などといった販管費の上昇等により、前期比で減益となる予想です。

通期 連結売上高・製品種類別構成推移

製品種類別の売上高と構成比の推移については、住宅設備機器の構成比が49パーセント、暖房機器の構成比が29パーセントと、いずれも前期比で上昇する見込みです。

製品種類別売上高分析 ■住宅設備機器

製品種類別の状況をご説明します。まず、住宅設備機器についてです。売上高は422億円で、前期比約5パーセントの増加を見込んでいます。高効率給湯器「エコキュート」は、省エネ住宅の普及や海外需要の拡大、補助金制度の後押しもあり、引き続き伸長する見込みです。

また、今後一層の普及が期待されるヒートポンプ関連商品では、他社との協業も進めており、安定的な需要のある石油給湯機においても、高効率機種の販売促進や環境負荷低減に向けた取り組みを進めていきます。なお、高効率給湯器に関する補助事業については、来期も継続が見込まれています。

参考 エコキュート市場の推移

スライドのグラフは「エコキュート」の出荷台数の推移です。当社が世界で初めて販売した2001年以降、市場は大きく拡大しました。電力の供給不安などから、2011年の東日本大震災前をピークに一時的に減少へ転じましたが、省エネ給湯器の需要増加を追い風に、現在は再び増加基調にあります。

今年3月には累計の業界出荷台数が1,000万台を突破しました。今後もさらなる普及が見込まれる商品ですので、引き続き省エネ性や付加価値を備えた商品の開発を進めるとともに、生産体制の増強や販売強化に取り組んでいきます。

製品種類別売上高分析 ■暖房機器

暖房機器についてです。売上高は252億円で、前期比約6パーセントの増加を見込んでいます。石油暖房機は現在も寒冷地を中心に根強い需要があり、停電時や自然災害時など、電気が使えない状況でも使用できるレジリエンス性を備えています。

また、脱炭素社会の実現に向け、電気など他の熱源を用いた商品開発に取り組んでいるほか、新たな需要開拓に向け、アウトドア向けブランド「OUTFIELD」など、暮らしの楽しみや可能性を広げる商品開発も進めています。

今期は残暑があったものの、流通在庫の減少により初期導入は前年以上に進んでいます。下期に本格化する需要に向けて、販売活動を進めていきます。

製品種類別売上高分析 ■空調・家電機器

空調・家電機器についてです。売上高は135億円で、前期比約10パーセントの減少を見込んでいます。

ルームエアコンの販売競争は一段と激化していますが、特に価格競争の激しい低価格機種だけでなく、省エネ性やIoT技術、清潔性などを追求した付加価値機種の拡充に向けた商品開発を進めています。また、ウインドタイプなど特色あるラインアップの活用や住宅設備ルートの開拓を進め、エアコン事業の拡大に取り組んでいきます。

除湿機や加湿器においても、利便性や清潔性を備えた商品開発を進めています。タレントの起用や企業とのコラボレーションなど、話題性のある取り組みを行い、認知度向上を図っているところです。

通期 連結財務諸表の推移

業績指標の推移については、スライドをご参照ください。

配当金について

配当政策については、先ほどお伝えしたとおり、下限配当である年間28円を計画しています。

以上で本日の説明を終わります。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。

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