Waymoとテスラ、自動運転アプローチにおける決定的な違い

キャシー・ウッド氏(以下、ウッド):テスラが長期的に優位に立つと私たちが考える理由のひとつは、Waymoのコスト構造の高さです。これは私たちの『Big Ideas』のレポートにも明示していますが、Waymoは、テスラは不要だと考えているLiDAR(ライダー)やその他のセンサーを使い続けているからです。

イーロン・マスク氏は「私たちが運転する時に使うセンサーは2つ、つまり“目”ですよね」と説明しています。テスラの車には、中央に8つのセンサーと8つのカメラが搭載されており、理論上、人間よりもはるかに優れたドライバーになれるはずです。

LiDARは多くのノイズを生み出し、それは信号(意味のある情報)と区別するのが難しいにもかかわらず、WaymoはLiDARの使用にこだわり続けています。

マスク氏はこれを「松葉杖」だと表現しています。つまり、「ご覧ください、LiDARのおかげでこの特定の道路のこの瞬間について、これだけのデータがあります」と規制当局にアピールするための道具だと批判しています。こうした技術的なアプローチの違いは、自動運転における明確な分岐点だと私たちは考えています。

さらに、Waymoは垂直統合(原材料の調達から製造、販売までをすべて自前でやること)されていません。中間業者に依存しているためコスト構造が30〜40パーセント高く、今後もその差は続くと見られます。現在はHyundaiと提携していますが、Hyundai自体も中間業者を介しており、各段階で手数料や利益マージンが発生します。

一方、テスラにはそうした負担がなく、たとえ供給網の一部で他社が非協力的になったとしても、それによる連鎖的なトラブルに巻き込まれることはありません。

仮にテスラとWaymoにそれぞれ50億ドルの設備投資予算を与えてスケール生産に移行した場合、テスラは35万台以上を生産できると考えられますが、Waymoは10万台にも満たないでしょう。これはスケールの勝負です。

誰が最もコストを抑え、最速・最安全かつ最安で人をA地点からB地点へ運べるか。それができる企業が勝つのです。これはUberやLyftと同じ構造です。どちらかが成功すればするほど、車両数が増え、サービスへの信頼が高まり、さらに成功へとつながっていきます。

ロボタクシーの価格戦略とテスラの収益性

岡元兵八郎氏(以下、岡元):あなたの財務モデルにおける価格設定の想定はどうなっていますか? 例えば、6月にオースティンでテスラのロボタクシーに乗りたい人がいた場合、通常のタクシーやUberと比べて料金はどうなりますか?

ウッド:新しいイノベーションでは、通常、価格は置き換えようとしている既存サービスよりやや低い水準に設定されます。たとえコスト構造が大幅に低くてもです。ですから、最初はタクシーやUberの価格帯の“傘”の下で、テスラは莫大な利益を得られるでしょう。

米国では、タクシーの相場は1マイルあたり2〜4ドルです。そのため、例えば2ドルを少し下回る価格に設定しても、非常に高い収益が見込めます。なぜなら、私たちはテスラ方式による自動運転のコストが、少なくとも1マイルあたり25セントにまで下がると見ているからです。つまり、そこには非常に大きな利益余地があります。

ただし、中国のような他地域では事情が異なります。例えば百度(バイドゥ)のApolloは中国の武漢で稼働していますが、そこで人が運転するライドシェアサービスの料金は、すでに1マイルあたり35セントです。北京や上海ではもう少し利益を得られるかもしれませんが、武漢ではそれほど期待できません。

そのため、企業がリソースをどう配分するかを考える時には、まず利益率の高い市場から参入し、そこで得た収益をもとに世界各地へのネットワーク拡大を図る、という戦略になるでしょう。

自動運転の国際展開と「規制」の壁

岡元:国際展開の観点では、米国の次にどこを目指すと考えていますか?

ウッド:かつて中国が、テスラに対して中国国内の道路データを送ることを検討していた時期がありました。しかし、最近ワシントンで起きた騒動により、その動きは止まってしまったようです。

現在テスラは、現地で撮影された走行映像をもとにサービスを構築しようとしていますが、これは非常に難易度の高い取り組みなので、中国市場では地元企業のほうが成功の可能性が高いかもしれません。ただ、テスラがどれだけ創造性を発揮できるか、そして生成AIがそのギャップをどこまで埋められるかには注目しています。

また、テスラは基本的に地図を使わずコンピュータビジョンを活用しており、これは理論上どこでも利用可能です。生成AIを搭載したロボットカーは、走行を重ねることで徐々に道路環境を学習していけるはずなので、今後どう展開するかを注視する必要があります。

ただ、現時点で他の地域では、完全自動運転は規制上まだ認可されていません。多くの国の規制は安全性を最重視しており、自律走行車が人間の10倍くらい安全であると証明されない限り、政府が許可するとは思えません。実際どの程度の安全性が必要なのかという数値はわかりません。でもおそらく、まだ許可される段階には至っていないでしょう。つまりこれは、規制という不確実性の話なのです。

岡元:つまり、世界中がまずはアメリカでの成功を見守り、その後に導入を検討するという流れになるわけですね?

ウッド:そのとおりです。そして各国は、自国の企業がテスラやWaymoに追いつけるよう、一定の時間的猶予や機会を与えようとするはずです。EV分野でもシェアを落としつつある今、自動運転の分野でさらに出遅れることは避けたいと考えているでしょう。それが規制の遅れにもつながっていると思います。

また最近ニュースでは、テスラ車への破壊行為や嫌がらせが取り上げられています。「もうテスラには乗らない」と言う人もいますが、報道ではそうした声ばかりが目立っています。実際には、共和党・民主党を問わず、技術革新と競争力の確保を重視する声が根強く存在します。

自律走行モビリティは、地球上において最大規模のAIプロジェクトであり、アメリカのイノベーション力が試される分野です。だからこそ、「これはおかしい」と感じる人々からの反発も出てくると思います。

低価格の車両が登場し、多くの人が気軽に試せるようになれば、今起きているような犯罪的な妨害行為に対する社会的な反発も強まっていくでしょう。実際、テスラにはカメラが搭載されており、そうした破壊行為を行った人物が映像で記録され、すでに起訴されているケースもあります。それによって、「自分もあのグループに加わろうかな」と考えていた人たちが、「いや、逮捕されるかもしれない」と思い直すようになるかもしれません。

最終的には、イノベーションが勝つと私は信じています。特にアメリカにおいては、それが顕著に表れると考えています。

岡元:では、テスラの長期的な見通しに入る前に、短期的な懸念についてもう一つうかがいたいと思います。テスラの株主であれば、多くのプロジェクトを抱えるイーロン・マスク氏が、テスラに十分な時間を割けていないのではと不安に思うのは自然なことですよね。

ウッド:ええ。

マスク氏はテスラに十分関わっているのか?

岡元:彼はテスラだけでなく、X(旧Twitter)、SpaceX、Neuralink、Boring Companyなど、数多くの事業を手がけています。さらに最近では、政治にも関与し始めています。

マスク氏は、大きな課題を処理しながら複数の企業を連携させ、新しいアイデアを生み出すことで知られていますが、それでもなお、テスラに必要な注意を向け続けられるのかどうか、その点に不安を感じる方もいるはずです。あなたはその点について心配していませんか?

ウッド:はい、私たちは彼が次々に会社を立ち上げていく様子をずっと見てきましたし、彼がどのように働くのかも注視してきました。テスラは“ファースト・プリンシプルズ”(第一原理)に基づいた研究を行っています。つまり過去のやり方には頼らず、物理学に基づいた可能性を重視しているのです。

彼は、大胆な目標に対して積極的なタイムラインを設定します。例えばModel 3の量産化に関して、もし予定どおりにスケジュールが進んでいなければ、工場の床で寝泊まりするほど現場に入り込み、障害の打開に集中します。自動運転についても同様です。

彼はEVの製造に関してもはや心配をしていません。現在の彼の関心は、2つの領域の自動運転に向けられています。1つは車両そのものの自動運転、もう1つはロボットです。目標が達成できていない場合、彼は毎週詳細なミーティングを行い、問題解決のために全力を注ぎます。彼はこの分野に非常に強い執着を持っているのです。

ただし、会社全体の運営には細かく関与していません。彼が雇った、「世界で最も難しい課題を解決したい」と考える優秀な人材が彼のもとに集まり、彼のビジョンを支えるからです。経営面で、優れたビジネスリーダーたちに囲まれています。

そして今、ロボタクシーにおける自動運転はついに実現目前という段階まで来ています。彼はすでに次のステップ、つまり人型ロボットの開発に目を向けています。現時点ではまだ初期段階で、彼自身が深く関与しているわけではありません。

重要なのは、ヒューマノイドもまた自動運転と同様の3つの中核技術であるAI、センサー、ロボティクスの融合によって成り立つということです。

ロボット、自動運転車、それらはすべてロボットです。エネルギーは蓄電によってまかない、動力は電気、頭脳にはAIが使われます。つまり、ロボティクス、電動化、AIという3つの技術がすべてに共通して融合しているのです。

マスク氏は、ヒューマノイドロボット事業を始める前から、この分野において他の誰よりも深い知識を持っていました。そして、彼自身とチームは非常に迅速に動いています。マスク氏が築き上げたすばらしいチームには、心から賛辞を送りたいと思います。

マスク氏の戦略的連携

ウッド:最近、興味深い動きがありました。XとxAIという2つの会社が統合されたのです。これは私たちにとっても大きな驚きでした。私たちのベンチャーファンドは、両社に投資していました。当初はXの追加ラウンドに参加する予定でしたが、発表されたのは両社が統合された新会社であり、それに対して私たちはプロラタ(持ち分比率)で追加出資を行うことにしました。

この統合は、「グランドプラン」の始まりだと思います。なぜ彼がこれほど多くの会社を立ち上げたのか。それは、非常に困難な問題を解決し、人類の未来を変えるためです。テスラを始めた理由も、環境破壊から人類を救うためでした。

現在では、これらの企業がそれぞれ異なる種類のデータを生み出しています。ロボティクス、エネルギー貯蔵、AI、マルチオミクス(多層的な生体データ解析)などがそれにあたります。例えばNeuralinkは、脳に関するデータを取得しており、これはAIやニューラルネットワークの設計において中核をなす情報です。

SpaceXが保有する宇宙からのデータも同様に、他の誰も持っていない貴重な情報です。Xも、テスラも、Boring Companyもしかりです。Boringは地下移動に関するデータを集めており、これは地球上よりもむしろ火星で活用される可能性があります。

要するに、これらは火星を視野に入れた「壮大な計画」の一環かもしれません。そして私たちは、独自データをAIに投入すればするほど、LLMの性能が向上することを理解しています。さらに、互いに無関係に見えるデータ群も、実は相互に影響を及ぼしている可能性があるのです。

つまり、マスク氏は、世界を「技術の収束」として捉えている最初のビジョナリーCEOだと言えるでしょう。私たちは「5つの主要プラットフォーム」と、それに関連する15の技術群が互いに融合していく構造を定義していますが、彼はその全体像を把握しているのです。

私たちの『Big Ideas』レポートには、そうした技術同士がどのようにつながっているかを示す、美しい球体状のビジュアルがあります。1年ごとの変化を見ると、特にAIとの結びつきが急速に強まっていることがわかります。

例えば、ブロックチェーン技術がその1つです。これから私たち一人ひとりが、AIエージェントを持ち業務を任せる時代が到来すると、AIに対して報酬を支払う必要が生まれます。その支払いは、マイクロペイメントのかたちになる可能性が高く、それはまさにブロックチェーン技術に最適な用途です。

マスク氏は、Twitter(現X)を買収した際に、「スーパーアプリ」の構想を語っていました。そのアプリは、決済にとどまらず、銀行業務全般や商取引、さらにはAIエージェント同士のやり取りまでカバーするものになるでしょう。

つまり、彼の頭の中には非常に大きなビジョンがあり、それが実現するスピードは、彼自身の推進力だけでなく、世界の動向にも左右されます。

こうした革新を語る上で非常に重要なのが、「ライトの法則」です。これは、新しい技術における累積生産量が倍増するたびに、コストが一定の割合で下がるという法則です。例えば1が2に、2が4に、4が8になるという累積倍増に応じて、コストは継続的に低下していきます。私たちは『Big Ideas』の中でも、この関係性を示すグラフを紹介しています。

米国の自動車メーカーがEVからの撤退を示唆し始めた時、私たちは「バッテリーパックやドライブトレインのコストを下げるには、全体の生産量を増やす必要があるのに」と強く懸念しました。

実際、テスラ1社だけでもそれを物理的に実現できるのかというシミュレーションを行い、対応するチャートを作成しました。極めて困難な試みですが、現在では中国のBYDなどからの協力もあり、実現に向けての現実味が増してきています。

岡元:つまり、彼はたくさんのことを考えているように見えて、実はそれらすべてがシナジーを生み出すというわけですね。

ウッド:そのとおりです。彼のチームの優秀さを見ればわかります。SpaceXを見てください。彼は毎日張り付いているわけではありませんが、重要な問題や障害が発生した時には、すぐに介入します。

Falcon 9の着陸や再利用可能なロケットの開発を成し遂げた後、彼の関心は次の段階であるStarshipと火星への移住に移りました。もちろん、それはより長期的なプロジェクトです。

岡元:つまり、彼の事業は彼が関わらなくても順調に進んでいるということですね。

ウッド:「順調に」というより、彼はそこに“いる”のです。たとえトランプ大統領のそばで8時間働かなければならず、さらに別の仕事で4時間、あるいは10時間働くことになったとしても彼はやるのです。そういう人なんです。

彼は常に働いていて、他に何かしたいとは思っていません。それは、彼が使命感を持っているからです。お金のためではなく、本当に世界をより良くするため、そして私たちを宇宙の他の場所へ連れて行くための取り組みなのです。

岡元:先ほど少し「Optimus(オプティマス)」について触れていましたが、今後それはどうなっていくのでしょうか?

ウッド:ここ最近の数週間で私たちが驚かされたのは、マスク氏がテスラを訪れて従業員に向けた激励のスピーチです。

その中で彼は、「僕たちは大丈夫だ」と語りながら、未来がテスラやその他のプロジェクトにとって、いかに明るいかを熱弁しました。そして、オプティマスの生産については「5000体にスケールさせて、その次は1万体だ」と述べました。最初は1万体と言っていたのですが、「いや、まずは5000体かもしれない」と訂正していました。

これは、私たちの予想よりもはるかに早い進展です。ロボタクシーは比較的ゆっくりと進みましたが、FSD(完全自動運転)という橋渡しがあったので、その過程は理解できます。一方で、ヒューマノイドロボットは、ロボタクシー開発を通じて得た知見を活かすことで、想像以上のスピードで進んでいます。

そして、私たちが確認している限り、現在ヒューマノイドロボットを開発している企業は他にも2社あり、私たちのベンチャーファンドはその両方に出資しています。1社はFigure AI、もう1社はApptronikです。

しかし、マスク氏とそのチームが、ロボット・電動化・AIという3つの技術の融合についてすでに深く学んできているため、テスラが明らかに先行しており、今、そのスピードはさらに加速しています。

これは最終的に何を意味するのでしょうか? マスク氏は「ヒューマノイドロボットの市場機会は、ロボタクシーを上回る」と考えています。私たちは、ロボタクシーの市場機会をテスラだけでなく周辺のエコシステム全体を含めて「8〜10兆ドル」と見積もっており、そのうち半分はプラットフォーム側に集まると見ています。

そして、その多くはアメリカ市場に集中するでしょう。つまり、テスラにとって非常に大きなチャンスですが、マスク氏は「ヒューマノイドロボットのほうがもっと大きな市場だ」と言っています。私たちもその見解に同意しています。

私たちの『Big Ideas』レポートでは、製造業と家庭用途の2分野に分けて市場規模を試算しており、それぞれが単体で13兆ドル規模になると見ています。

この試算は、アナリストのサム・コーラス氏による分析です。一方、ロボタクシー分野の分析はタシャ・キーニー氏が担当しており、今では互いのモデルを補完し合う関係になっています。これは私たちのアナリスト同士の協業の好例です。

ヒューマノイドロボットこそ次の巨大市場

岡元:仮に今が2030年で、ロボタクシーの市場価値がすでに株価に完全に織り込まれているとしましょう。その次にテスラが目指すのは何でしょうか?

ウッド:私は、ヒューマノイドロボットが次の大きな柱になると思っています。多くの人はまだ本気で受け止めていません。なぜなら、今の段階では動きがぎこちなく、完成度も不十分に見えるからです。でも、改良は確実に進んでいます。

実際、従業員向けの激励スピーチの中で、マスク氏は「手の指が11自由度から22自由度まで動作可能になった」と述べていました。そして最終的には、“380”や“3360”といったレベルの動きができるようになるかもしれないと、冗談を交えながらもその進化の可能性を示唆していました(※これらの数値は比喩的な表現であり、機能の劇的な向上を象徴しています)。

つまり、将来的には人間の手のように非常に繊細かつ多様な動作が可能になり、今は想像もつかないような作業にも対応できるようになるでしょう。

家庭内での活用も、現実的なビジョンとして描かれています。「ロボタクシーによって雇用が失われるのでは?」という懸念もありますが、それはかつて農業からの離脱が進んだ時と似ています。

かつてトラクターが登場したことで、多くの家族が農場労働から解放されました。当時は「部屋と食事」しか与えられず、報酬のない労働が一般的でした。それが機械に置き換わることで、個人が自立して外で働く機会を得たのです。つまり「雇用が奪われた」のではなく、「無償労働が正当な選択肢へと進化した」と言えるのです。

家庭で最初に導入されたロボットの代表例は食器洗い機です。これにより、何時間もかかっていた作業が短縮され、私たちの生活は大きく変わりました。

しかし、料理に関しては今も人間の手が欠かせません。買い出し、下ごしらえ、調理、配膳、後片付け、これらすべては依然として私たち自身が担っています。 この領域にこそ、ロボットの大きな役割があると私たちは考えています。アナリストのサム・コーラス氏が分析したところによると、家庭向けヒューマノイドロボットの市場規模は、年間2,500億ドルになると見込まれています。

比較として、米国における食器洗い機市場は年間約80億ドルです。つまり、家庭内ロボット市場には、それをはるかに上回る成長の余地があるということです。

一方、製造業におけるヒューマノイドロボットの市場規模も、私たちは13兆ドルと試算しています。そして、この技術革新は、トランプ元大統領が掲げる「アメリカ国内の製造業復活」とも合致しています。

米国製造業と完全自動化の可能性

ウッド:2001年以降、米国は製造業の半分以上を海外、主に中国へと移しました。しかし、フルオートメーション(完全自動化)という武器を持つことで、米国が製造業を取り戻すチャンスが出てきます。かつて中国が通信や金融の分野で一足飛びの進化を遂げたように、今度はアメリカがその進化を遂げる番です。

例えば通信分野では、中国は固定電話を飛ばしていきなりモバイル通信に進みました。金融分野では、銀行の店舗網を整備する前に、WeChat PayやAlipayといったデジタル決済へ一気に移行しました。

今回は、米国が中国を飛び越えるチャンスです。ロボティクス全般、ヒューマノイドロボット、そして製造現場における知識労働を担うAIを組み合わせることで、米国は「世界でもっとも自動化された、低コストで高生産性な製造業国家」へと生まれ変わる可能性があります。

もちろん、これが本当に実現するかどうかはまだ分かりません。ですが、少なくともその「機会」が目の前にあることは、間違いありません。