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山口博章氏(以下、山口):こんにちは。代表取締役社長の山口博章です。本日はお忙しいところ、当社の決算説明会にお越しくださり、ありがとうございます。よろしくお願いします。
本日ご説明する内容は、目次のとおりです。会社概要および第8次中期経営計画については私からご説明します。決算概要については、取締役管理部長の大谷よりご説明します。
会社概要
まずは、大石産業の概要をご理解いただけるよう、動画を準備していますのでご覧ください。
当社は福岡県北九州市に本社を置く包装資材の総合メーカーで、2025年4月1日に創業100周年を迎えました。消費者の生活や物流に欠かせない製品を提供しています。
沿革
スライドは、1947年の設立以降の業績と沿革を表したものです。原材料やエネルギー価格の変動影響を受けるため、利益の増減はあるものの、赤字になったことは一度もありません。
事業拠点
事業拠点です。北は北海道苫小牧から南は九州熊本まで、日本全国に拠点を有し、お客さまのニーズに迅速に応える体制を整えています。海外はマレーシアに展開しています。
事業内容
事業内容です。スライド右側に記載のパルプモウルド・段ボール・成型を含む緩衝機能材事業と、スライド左側に記載のフィルム・重包装袋を含む包装機能材事業を展開しています。
売上構成は約半分ずつとなっています。
製品紹介
製品紹介です。まず、スライド上段に記載の緩衝機能材事業についてです。パルプモウルドは古紙を原料とした成型品で、保護性、通気性に優れています。用途は幅広く、青果物用や鶏卵用、工業品用があります。また、特に鶏卵・青果物の物流では、当社の強みであるパルプモウルドと段ボールのセット販売をしています。
段ボール単体では、よく見かける工業用、農畜産用のケースがあります。成型は、保護性に優れたいちご容器の「ゆりかーご」、スーパーでよく見かける食品トレーがあります。
次に、スライド下段に記載の包装機能材事業についてです。フィルムは、衛生材料用、食品用、電子材料用等があります。また、多層試作機を導入しており、バイオマス樹脂やリサイクル樹脂を使用した環境配慮型フィルムや機能性フィルムの開発に力を入れています。重包装袋は、合成樹脂や業務用小麦粉、化学薬品等に使われる大型の産業用紙袋です。
At a glance
こちらのスライドには当社の強みを記載していますので、ご覧ください。
以上が会社概要になります。
連結決算サマリー
大谷洋文氏:取締役管理部長の大谷です。2025年3月期の決算概要および2026年3月期の業績予想についてご説明します。
まず、連結決算サマリーです。売上高は234億8,000万円、前期比プラス6.9パーセントとなりました。販売価格の見直し効果、海外重包装袋の販売回復、パルプモウルド部門及びフィルム部門の増販により、増収となりました。
一方で、営業利益は9億円で前期比マイナス16.7パーセント、経常利益は11億3,000万円で前期比マイナス16.1パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益は9億4,000万円で前期比マイナス11.3パーセントとなりました。
後ほど詳しくご説明しますが、減益の主な要因は、人件費や減価償却費の増加になります。
通期連結決算概要
通期連結決算概要の業績予想との比較です。売上高はプラス0.2パーセントと、おおよそ予想どおりに推移しました。
一方で、営業利益はマイナス22.7パーセント、経常利益はマイナス19.2パーセントとなっています。新製品上市の遅れや一部価格修正の遅れが生じたこと、さらに、第4四半期以降に海外事業の減速があり、計画未達となりました。
連結業績推移
4ヶ年の連結業績推移です。売上高は価格修正の影響等もあり増加傾向にあるものの、利益については、昨今の事業運営コストの増加により減益傾向となっています。
営業利益の変動要因分析
前期対比での営業利益の変動要因分析です。スライド左側の2024年3月期の営業利益は10億8,600万円です。2025年3月期は9億400万円と、1億8,100万円の減益要因を示しています。
スライドに示したとおり、プラス要因は販売数量の増加や販売単価の増加になります。具体的には、海外重包装袋の販売数量回復、パルプモウルド事業・フィルム事業における増販効果および各事業における販売価格修正による効果がありました。
一方で、マイナス要因としては、積極的な設備投資による減価償却費の増加や人件費の増加により、製造原価や販管費が増加したことがありました。
セグメント別 決算概要
セグメント別決算概要です。こちらに関しては、次ページから詳しくご説明します。
セグメント概況 緩衝機能材事業
まず、緩衝機能材事業です。売上高は特にパルプモウルド製品の増販効果により増収となっています。ただし利益については、先ほどお伝えしたとおり、人件費や減価償却費の増加で減益となっています。
もう1つの要因としては、パルプモウルド部門と段ボール部門に共通していますが、昨年の猛暑などの天候不順による青果物の収穫量減少が、包装資材にも影響しています。
一方で、環境配慮意識の高まりから、紙製パッケージの引き合いも増えていることも事実です。
セグメント概況 包装機能材事業
次に、包装機能材事業です。売上高は全部門において増収となりました。利益は主に海外部門の増収効果により増益となりました。
フィルム部門については、食品向けは節約志向の影響を受けつつも堅調に推移しており、電子材料向けは成長を維持しています。
重包装袋部門については、国内需要は縮小傾向ですが、拡販効果もあり増販となっています。
連結貸借対照表
連結貸借対照表です。積極的な設備投資により固定資産が増加しています。その他に関してはご参照ください。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローです。有形固定資産の取得による支出が増えたことにより、投資キャッシュ・フローは17億7,400万円のマイナスとなっています。
設備投資額・減価償却費
設備投資額と減価償却費の4ヶ年の推移です。前回の中期経営計画に沿って、将来に備えた積極的な設備投資を実施しています。
4期分を掲載していますが、いずれの期も減価償却費を上回る積極的な設備投資を実施していることがおわかりいただけると思います。
連結業績予想
2026年3月期の業績予想です。連結業績予想については、売上高は242億3,200万円、前期比プラス3.2パーセントを想定しています。
売上高については、海外事業における販売減はありますが、各事業において価格修正および成長事業であるパルプモウルド事業・フィルム事業を中心に、新製品の開発を進めることで増収を見込んでいます。
一方で、営業利益は前期比マイナス0.4パーセントの9億100万円、経常利益は前期比プラス0.3パーセントの11億3,400万円で、昨年とほぼ同レベルの利益を見込んでいます。増収効果はあるものの、将来に備えた積極的な設備投資の実施による減価償却費の増加、人員増強や人財育成、処遇改善による人的資本投資の増加により、前年並みとなる見込みです。
株主還元
株主還元です。株式分割を考慮した金額になりますが、2025年3月期の年間配当金は51円となりました。
期末配当については、前回予想から普通配当を4円増配の20円とし、創業100周年記念配当と合わせて35円としています。2026年3月期の年間配当金は、DOE2.0パーセント以上を目安に52円を予定しています。
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山口:第8次中期経営計画についてご説明します。まず前中期経営計画の振り返りを行ったあと、昨年新たに設定したグループビジョン、長期ビジョン、第8次中期経営計画の順にご説明します。
前中期経営計画 基本方針
まずは、前中期経営計画について振り返ります。こちらは、前中期経営計画の4つの基本方針と概要です。
パルプモウルド、フィルムにおける新設備導入等の設備投資、ならびに海外重包装袋事業を強化することにより事業を拡大し、売上高238億円を目指しました。
数値目標の達成状況
数値目標については、2024年5月に修正を行っています。修正目標に対する達成状況としては、売上高は計画どおり推移したものの、新製品の上市遅延および事業運営コストの増加に対し、一部で価格修正が遅れたことから利益は計画を下回っています。
基本方針の達成状況
基本方針の達成状況です。目標数値は未達となったものの、積極的な設備投資やSDGsに資する製品開発、働きがいのある職場環境の整備を進め、将来に向けた成長基盤の構築に取り組みました。
設備投資については、目標の43億円に対し、実績は42億円とほぼ計画どおりに進捗しました。主な投資案件としては、パルプモウルド事業・フィルム事業・段ボール事業における新設備導入、工場への太陽光発電設置、老朽化が進んでいた工場・事務所のリニューアル等が挙げられます。
新設備導入により、生産性ならびに品質の向上、付加価値品の製造・販売が可能となり、増収につながりました。また、太陽光発電を導入することでCO2排出量の削減に貢献し、工場や事務所はリニューアルによって職場環境の改善を図りました。
第8次中期経営計画においては、従来の事業成長に加え、これまで十分に対応できていなかったサステナビリティへの取り組みおよびDXの推進を、持続的な企業価値向上の観点から重要な経営課題と位置づけ、計画を策定しました。
新グループビジョン
グループビジョンです。100周年を迎えるにあたり、昨年、新しいグループビジョンを策定しました。パーパス、ビジョン、バリューを明確にし、常に成長し続ける大石産業グループを目指します。
また、単にモノを「包む」ことにとどまらず、循環型社会において最適なソリューションを提供することにより、持続可能な未来の実現を目指します。
サステナビリティ基本方針
サステナビリティ基本方針です。グループビジョンに基づき、サステナビリティ基本方針およびマテリアリティを設定しました。モノを「包む」だけでなく、社会や未来も含めて大きく包み込むという思いから、次の100年を見据えた持続可能な成長を目指していきます。
サステナビリティ施策
マテリアリティに沿って、具体的な取り組みを開始しています。詳細については、当社ホームページにサステナビリティのページを設けていますので、ぜひご覧ください。
外部環境認識
長期ビジョンです。長期ビジョンならびに中期経営計画を策定するにあたり、まずは当社を取り巻く環境について整理しました。
目まぐるしい世界情勢の変化、度重なる物価上昇等の影響により、先行きが不透明な状況が継続しています。
一方で、デジタル化の急速な発展、サステナビリティ経営の進化など、企業はスピーディかつ柔軟な変化が求められています。
長期ビジョン「New Challenge Vision 2035」
このような外部環境認識のもとで新中期経営計画を策定するにあたり、まずは10年後のありたい姿を設定し、そこからバックキャストで中期経営計画を策定しました。
長期ビジョンとしては、「循環型社会に最適解(スマートパッケージ)を提供する」「業務改革」「サステナビリティ」の3つの柱を推進することで、当社グループの認知度向上、ならびに最終目標である売上高300億円、経常利益20億円の達成を目指していきます。
2035年にありたい将来像
スライドに、2035年にありたい将来像についてセグメントごとに記載しています。緩衝機能材事業については、業務改革・効率化による安定的な収益基盤構築を目指すとともに、新技術を活用した製品や当社独自の製品の開発を継続推進し、さらなる受注拡大を図っていきます。
包装機能材事業については、キャストフィルムの強化によるフィルム事業の成長、グループ内の国内外拠点の連携による最適な生産・販売体制の構築により、重包装袋事業の強化を図っていきます。
その他事業については、現在4つの事業を柱としていますが、異業種との連携も視野に、新たな循環型事業の創出も目指していきます。
第8次中期経営計画 数値目標
第8次中期経営計画についてご説明します。先ほどお話しした2035年の長期ビジョン達成につながる10年間のうち、成長の仕組み作りを担う重要な最初の3ヶ年として本中期経営計画を策定しました。
最終年度で売上高250億円、経常利益15億円を計画しています。
第8次中期経営計画 経営方針
環境・社会・ガバナンスの観点から経営方針を設定しました。長期ビジョンの達成につながる循環型ビジネスの展開を軸に、企業活動を通じた持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指していきます。
事業戦略 緩衝機能材事業
セグメント別の事業戦略についてご説明します。まずは、緩衝機能材事業です。
パルプモウルド事業は、新設備導入による生産力強化、新製品開発を推進していきます。特に、今後パルプモウルドのさらなる採用の余地が見込まれる工業分野の売上拡大を目指していきます。また、DXを活用した業務改革を推進し、人と環境に優しい工場作りを図っていきます。
段ボール事業は、高付加価値製品の開発、最適生産体制の構築により、収益改善ならびに事業の成長を図ります。
成型事業については、特に「ゆりかーご」に力を入れ、単独事業部門としての独立を目指していきます。具体的には、サステナブルな容器の開発、新機能・新用途の開発、ならびに積極的な広報活動、効率的な受注システムの構築など、多面的に改革を行っていきます。
事業戦略 包装機能材事業/その他事業
包装機能材事業です。フィルム事業はコア事業の成長のみならず、機能性フィルムの開発を推進するとともに、製造現場の効率化と労働負荷の軽減を推進し、持続可能な事業運営の基盤を築いていきます。
重包装袋事業は、環境配慮型製品の開発や生産性向上に取り組むことで、グループ全体で事業拡大を目指していきます。
昨年設立したFUSIONS TRADING MALAYSIAについては、まだ駆け出しですが、生産者と消費者をつなぐサプライチェーン・サーキュレーション企業として、ブランドを確立していきたいと思います。
資本政策 現状分析
資本政策です。当社の現状として、PBRは目安とされる1倍を下回り、ROEも目標値である8パーセントには届かなかったものの、株主資本コストは上回る水準を確保しています。
資本政策 改善に向けた施策
現状を踏まえた改善に向けた施策です。これらの状況を改善するために、事業戦略、財務戦略、IR戦略を実行し、株価・企業価値の向上を目指していきます。
事業戦略は、中期経営計画の達成および、先ほどお話しした成長投資や人的資本投資による収益性の向上です。
財務戦略は、安定した株主還元の継続と、政策保有株式の縮減による資本効率の向上です。
IR戦略は、個人投資家向け・機関投資家向けの説明会の継続実施により、決算や中期経営計画の進捗等を積極的に配信し、投資家との対話を行っていきます。
株主還元方針
株主還元方針です。決算説明の中でもお伝えしましたが、配当方針については、2026年3月期よりDOE2.0パーセント以上を目安に引き上げています。今後も安定的な配当を実施していきます。
当社は株主優待制度も導入しており、保有株式数・保有年数に応じて「QUOカード」を贈呈しています。
投資計画
投資計画とキャッシュアロケーションです。第8次中期経営計画では、3ヶ年で80億円の設備投資を計画しています。持続的な成長と企業価値最大化に向けた成長投資を優先して実施するとともに、今後の未来につなぐための設備更新、グループ全体でIT、DXを加速させるための投資も行っていきます。
成長投資については、パルプモウルド事業における新型量産機の増設や、太陽光発電の導入等を予定しており、生産能力の増強と新製品開発、環境負荷低減に向けた取り組みを推進していきます。
設備更新については、既存設備の機能強化、職場環境の整備等を予定しています。
IT、DX投資については、今期よりIT・DX戦略準備室を新設し、製造現場や社内業務の課題を整理しながら段階的に改革を図っていきます。
キャッシュアロケーションについては、スライドに示しているとおり、本業での稼ぎに加えて、手元資金を活用していきます。未来に向けた成長投資ならびに人的資本投資、安定的な株主還元を継続し、企業価値向上を目指していきます。
以上で、説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。