目次
山口博章氏(以下、山口):大石産業株式会社代表取締役社長の山口博章です。2025年3月期第2四半期決算についてご説明します。よろしくお願いします。
本日ご説明する内容は目次のとおりです。会社概要、中期経営計画の進捗および2025年3月期業績予想、株主還元については私からご説明します。2025年3月期第2四半期(中間期)決算概要については、取締役管理本部長の大谷よりご説明します。
会社概要
はじめに会社概要です。当社の創業は1925年4月、設立は1947年2月です。来年の2025年4月に創業100周年を迎えます。
所在地の福岡県北九州市は工業都市であり、現在の日本製鉄(旧八幡製鐵)で有名な政令指定都市です。資本金は4億6,600万円、連結での総従業員数は約600名となります。
事業内容は包装資材の製造販売です。国内で、パルプモウルド、段ボール、フィルム、重包装袋の主要4製品を持つ包装資材メーカーは当社のみであり、大きな強みです。
連結子会社は、マレーシアに重包装袋事業のCORE PAX、ラミ加工のENCORE LAMI、埼玉に重包装袋事業の柳沢製袋、福岡北九州にシステム会社のアクシスとなります。
今期は新たに、マレーシアに日本農産物等の輸入販売を行うFUSIONS TRADING MALAYSIAを設立しました。後ほど詳しくご説明します。
事業拠点
事業拠点はスライドにお示しのとおりです。国内は、北は北海道苫小牧から、東北、関東、関西、九州は福岡、熊本、大分、長崎までです。海外はマレーシアに展開しています。
事業内容
事業内容です。売上高は2024年3月期実績で219億円です。
円グラフ右側の緩衝機能材事業では、パルプモウルド事業61億円、段ボール事業33億円、成型事業12億円、左側の包装機能材事業では、重包装袋事業64億円、フィルム事業44億円となり、概ね半分ずつの構成となっています。
事業内容
緩衝機能材事業についてご説明します。パルプモウルドは古紙を原料とした成型品です。環境面、保護性、通気性等の特性を活かし、画像左上から鶏卵紙パック容器、トマト・メロン・りんご用等の青果物用トレー、プリンターカートリッジ用の工業品用トレーなどがあります。
また、「ミールキット」と呼ばれる野菜の詰め合わせ用食品容器トレーや、コーヒー等のテイクアウト用ドリンクキャリアトレーなどがあります。ちなみに、ドリンクキャリアトレーは某大手ハンバーガー店の全国の店舗へ、当社1社で供給しています。
特に鶏卵・青果物の物流においては、当社の強みであるパルプモウルドと段ボールのセット販売を行っています。
段ボール単体では、よく見かける工業用、農畜産用ケース等があります。成型は、保護性に優れたいちご容器の「ゆりかーご」、スーパーでよく見かける食品トレーがあります。
事業内容
次に包装機能材事業です。フィルムについては、スーパーでよく見かける食品トレー用フィルム、オムツなどの衛生材料用フィルム、電子材料用フィルムなど、各種用途に応じたフィルムがあります。また、試作機を導入しており、バイオマス樹脂やリサイクル樹脂を使用した環境配慮型フィルムや機能性フィルムの開発にも力を入れています。
重包装袋については、大型産業用紙袋(20キロから30キロ用)の小麦粉用・化学薬品用・合成樹脂用等があります。
沿革
続いて沿革です。1925年に創業し、1949年に重包装袋、1953年に段ボール、1963年にパルプモウルド、1967年にフィルムの製造販売を開始しています。
1980年に福岡証券取引所に株式上場し、1990年にクラフト紙袋業界初の海外進出を果たしました。以降、海外・国内での子会社設立等があり、2022年に東京証券取引所市場第二部(現スタンダード市場)に株式上場となり、2025年4月に創業100周年を迎えます。
長期業績推移
長期業績推移について簡単にご説明します。スライドのグラフは1999年からの推移をお示ししたものです。原材料価格やエネルギー価格高騰等の影響を受けるため、利益の増減はあるものの、1947年の設立以来、赤字はありません。
ハイライト
大谷洋文氏:こんにちは。取締役管理本部長の大谷です。2025年3月期第2四半期の決算概要についてご説明します。
売上高は前年比5.8パーセント増の114億4,000万円で、6億2,800万円の増加となりました。営業利益は前年比31.8パーセント減の3億8,600万円で、1億8,000万円の減少です。経常利益は前年比34.6パーセント減の4億6,900万円で、2億4,800万円の減少、中間純利益は前年比27パーセント減の4億4,400万円で、1億6,400万円の減少となりました。
売上高は、青果物向け段ボール製品・パルプモウルド製品および国内合成樹脂向け重包装袋製品の数量減の影響はあったものの、各製品における販売価格修正効果に加え、海外重包装袋の販売数量の回復、事務機器用パルプモウルドトレーおよびキャストフィルムの拡販等により、増収となっています。
利益は、販売価格の修正や拡販もありましたが、人件費や減価償却費等の増加および為替差損の発生等により、減益となっています。次ページ以降で詳しくご説明します。
営業利益の変動要因分析
営業利益の変動要因についてご説明します。営業利益については、前期の5億6,600万円から当期は3億8,600万円と、1億8,000万円のマイナスとなっています。
利益の主なプラス要因を、スライドのグラフに青色で示しています。販売数量増と販売単価アップが利益増加の要因となっています。
利益の主なマイナス要因については、スライドのグラフにオレンジ色で示しています。製造原価アップで2億7,600万円、販管費アップで1億2,100万円となり、合計で3億9,700万円のコストアップとなっています。
総括すると、原燃料価格の高騰に対処するために販売価格の修正を行いましたが、人件費や減価償却費、運賃などの増加により、結果として減益となりました。
今後については、人件費や運賃などの事業運営コストの高騰に対応するために、さらなる販売価格の修正を急いでいます。また、人員不足や人件費高騰へ対応するため、省人化設備などの検討を行っています。
業績推移
過去5年間の売上高および利益、利益率の推移です。売上高は、原材料価格高騰に対応するための価格修正活動や、パルプモウルド製品における新製品投入などで順調に伸びています。しかし、利益面については、円安を背景とした原材料費、燃料費のアップや、人件費、経費、運賃などの事業運営コストの高騰を背景に、2023年3月期第2四半期をピークに減少が続いています。
セグメント情報<緩衝機能材事業>
セグメント別の状況をご説明します。
緩衝機能材事業は、先ほど社長の山口からもご説明したとおり、パルプモウルド製品、段ボール製品、「ゆりかーご」などが主な製品となります。
売上高は、前年比4.0パーセント増の53億5,200万円で、約2億円の増収となりました。各製品での販売価格の修正、パルプモウルド部門での事務機器用新トレーの拡販、成型部門では特に「ゆりかーご」における拡販の効果等により、増収となっています。
セグメント利益は、売上高の価格修正効果や新製品の増収効果もありましたが、人件費や減価償却費等のコスト増加の影響もあり、結果的には減益となっています。
期末に向けては、人件費や運賃などの事業運営コスト高騰に対応するために、さらなる販売価格の修正を急いでいます。また、後ほど山口からご説明しますが、スライド24ページに記載の、新製品「パラミル(パルプモウルドラミネーション)」などの拡販活動を積極的に行っていきます。
セグメント情報<包装機能材事業>
包装機能材事業です。包装機能材事業は、フィルム製品、重包装袋製品が主な製品となります。売上高は前期比7.3パーセント増の59億600万円で、約4億円の増収となりました。
フィルム部門に関しては、食品容器用ポリスチレンフィルムの販売数量はほぼ前年並みとなりました。一方で、主に電子材料向けの増販やヘルスケア向けなどの増販により、工業用キャストフィルムが増販となりました。また、原材料価格の値上がりに伴う販売価格の修正により、増収となりました。特に、海外の重包装袋については、新規拡販活動による食品向けの増加、および合成樹脂向けの販売回復により、増収となっています。
営業利益については、海外の重包装袋における販売数量の増加はあったものの、販売価格修正の効果の本格化が下期からとなっており、製造コスト増加もあり、昨年並みとなっています。期末に向けては、販売価格の修正活動や新規拡販活動の継続等を実施していきます。
連結貸借対照表
連結貸借対照表です。総資産は261億9,300万円で、前期末比で1億2,000万円増加しています。
項目別の主な増減要因は、スライドに記載のとおりです。特に負債については、前期末は原材料値上がり前の買いだめ、資産については前期末が金融機関休日のための入金ずれ等が主な要因となっています。
連結キャッシュ・フロー計算書
連結キャッシュ・フロー計算書についてです。現金および現金同等物の残高は前年同期と大きく変わっていません。しかしながら、営業活動のキャッシュ・フローは、前期9月末が金融機関休日の影響もあり、3億5,700万円増加しています。また、積極的な設備投資による支出の増加で、投資活動のキャッシュ・フローの減少幅が大きくなっています。
設備投資額・減価償却費
設備投資額・減価償却費についてご説明します。中期経営計画に則り、ここ数年は減価償却費を上回る、将来に備えた積極的な設備投資を実施しており、すべて自己資金で賄っています。
中期経営計画(2023年3月期〜2025年3月期)の概要
山口:中期経営計画の進捗および2025年3月期業績予想についてご説明します。
まず、中期経営計画の概要です。4つの経営方針、各事業戦略をもとに、最終目標に向け取り組んできました。4つの経営方針は、スライドに記載のとおりです。
1つ目に、パルプモウルド、段ボール、フィルム、重包装袋の主要4製品における事業課題解決のスピードアップを図り、早期に計画を達成します。
2つ目に、イノベーション活動を核に、積極的な設備投資を行い、製品事業の成長を推進します。
3つ目に、脱プラ、脱炭素の潮流に沿ったSDGsに資する活動や製品開発を進めます。
4つ目に、社員にとって働きがいのある職場環境を整備し、社員と共に会社の発展を目指します。
中計最終目標数値として、売上高234億円、経常利益14億円、経常利益率6.0パーセントを掲げています。2023年3月期にスタートした中期経営計画であり、今期が最終年度となっています。
中期経営計画の進捗
中期経営計画の進捗です。売上高は拡販および価格改定の効果等で増加しているものの、経常利益の伸びは2022年3月期をピークに停滞しています。
背景としては、ここ数年間における積極的な設備投資による減価償却費の増加や、原燃料費、物流費の高騰等があります。事業運営コストの上昇分は下期に反映させ、収益改善を図ります。
2025年3月期業績予想(連結)
2025年3月期の業績予想についてご説明します。売上高は前年比プラス6.8パーセントの234億5,000万円で、14億8,500万円の増収を見込んでいます。
営業利益は前年比プラス7.7パーセントの11億7,000万円で、8,300万円の増加です。経常利益は前年比プラス3.9パーセントの14億円で、5,200万円の増加となります。当期純利益は前年比マイナス3.8パーセントの10億2,500万円で、4,000万円の減少と見ており、前年比で増収・増益を見込んでいます。
進捗および見通しについてですが、上期については、前年比で増収・減益となりました。
事業環境は予測しがたい面もありますが、下期については、価格改定の浸透、進行中の拡販活動の効果により、収益回復を見込んでいます。
トピックス①
今期のトピックスをご説明します。まずは、今期新たにマレーシア・クアラルンプールに設立した子会社FUSIONS TRADING MALAYSIA SDN.BHD.(FTM)についてご説明します。
当社はこれまで、包装資材のメーカーとして事業を営んでいますが、FTMは、これまでにない特徴のある会社であり、東南アジアにおける日本産品の輸入販売を行います。当社が有する長年のマレーシアにおける事業経験と当社国内におけるネットワークを通じて、生産者、物流、現地取引をつなぐ循環型ビジネスを構築します。
具体的に何を行うのかと言いますと、スライドの図にお示しのとおり、右上の生産者の方には大石産業の包装資材をご使用いただき、農産物、いちごや桃、ぶどう等を輸出します。それをFTMが仕入れ、東南アジアの顧客に直接販売します。
東南アジアのお客さまからは、売れ行きや評判をフィードバックしていただき、FTMは生産者と大石産業それぞれにフィードバックを行います。大石産業では、その内容をもとに資材の改良を行ったり、開発を行ったりするというのが一連の流れです。
このように、FTMは高品質な国産農産物や他日本産品を包み・運び・届けることをサポートし、日本産品の輸出取引における課題解決や輸出振興の一助になると考えています。今後の大石産業の第5の柱となるべく、育てていきます。
トピックス②
2つ目のトピックスです。中期経営計画の経営方針でも掲げていますが、当社は脱プラ、脱炭素の潮流に沿った製品開発を行ってきました。
その1つであるパルプモウルドの新製品「パラミル(パルプモウルドラミネーション)」が、2024年度日本パッケージングコンテストにて、ジャパンスター賞(消費者団体推薦賞)を受賞しました。
パルプモウルドは、古紙を原料とした環境に優しいエコな包装資材ということで注目を集めていますが、「水や油に弱い」「紙粉が発生する」といった弱点がありました。「パラミル」はその弱点を克服し、さらに新機能を付加した製品です。これまで手がけていなかった消費材の分野、新市場へのアプローチをしているところです。
トピックス③
3つ目のトピックスです。新グループビジョンの策定についてご説明します。
当社は来年2025年に創業100周年を迎えますが、次の100年も継続して、お客さま、社会、地域に必要な存在となるために、新たなグループビジョンを策定しました。
従来のグループビジョン体系では、最上位に企業理念を置いていましたが、お客さま、取引先、投資家、従業員をはじめとしたステークホルダーのみなさまに対して、より共感を得るために、新グループビジョンでは、「パーパス」「ビジョン」「バリュー」の3つの視点を置くこととしました。
まずは、ピラミッド図の一番上のパーパス「未来を包む-Inclusion for Future-」です。私たちは、お客さまの製品にとどまらず、社会の未来を「包む」ことで、人々や地球環境を包摂し、社会に有用な存在であり続けます。社会の多様性や多くの意見を尊重し、社員一人ひとりの幸せと、持続可能な発展を目指します。
次にビジョンとして、「循環型社会に最適解を提供する」を掲げています。私たちは、循環型社会に包装の最適解(スマートパッケージ)を提供し、社会のニーズに応える製品を開発・製造し、持続可能な社会の実現に貢献します。
次に、バリューです。「誠実」は、誠実な行動と透明なコミュニケーションで信頼を築きます。「挑戦」は、困難に立ち向かい、未来を切り拓きます。「協創」は、多様なパートナーと協力し、成果を分かち合います。
新グループビジョンで、当社の「パーパス」「ビジョン」「バリュー」を明確にすることにより、常に成長し続ける大石産業グループを目指します。
今期が中期経営計画の最終年度ですが、現在、この新グループビジョンに基づき、新中期経営計画を策定しているところです。期末の決算報告では、新中期経営計画についてお話ができると思います。
株式分割、配当方針について
株主還元についてです。まずは、株式分割、配当方針についてご説明します。
10月1日を効力発生日として、1株につき2株の割合で株式分割を行いました。これは、投資単位当たりの金額を引き下げることにより、投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大ならびに株式の流動性向上を図るものです。
配当方針については、当社グループは生産性の向上等による利益体質の強化を図りながら、将来の事業展開に備えた内部留保を確保しつつ、連結純資産配当率(DOE)1.5パーセント以上を目安に、安定的な配当を実施する方針としています。
今期第2四半期についても、予想どおり1株当たり32円の配当を実施します。期末についても、株式分割後の金額になりますが、予想どおり16円の配当を行う予定です。1980年の上場以来、44年間、1度も減配・無配がなく、安定した配当を継続しています。
株主優待制度の変更(拡充)
株主優待制度の変更(拡充)についてです。当社は以前より株主優待制度を導入していますが、この度、当社株式への投資の魅力をさらに高めるために、株主優待制度の拡充および長期保有優遇制度を導入しました。
優待の基準については、分割後も最低保有株式数は変えず、さらに保有株式数に「500株以上1,000株未満」を新設することで拡充を図っています。また、長期保有優遇制度の導入については、より多くのみなさまに、より長い期間にわたりご支援いただくことを目的としています。
決算補足説明資料には、参考資料として当社のサステナビリティへの取り組みもご紹介していますので、ぜひご覧ください。以上で説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。