2025年3月期決算説明
長尾收氏(以下、長尾):本日はQDレーザのIRセミナーをご視聴いただき、ありがとうございます。代表取締役社長の長尾です。
大久保潔氏(以下、大久保):執行役員COOの大久保です。よろしくお願いします。
長尾:今週、QDレーザ2025年3月期の決算を発表し、それと同時に社長の交代についても発表しました。現在執行役員COOである大久保が、今年6月の株主総会日をもって社長に就任することが内定しています。これに従い、本日の事業説明や決算説明、事業見通しについては新社長の大久保を中心にご説明します。
まず、この社長交代の背景について私から説明します。昨年2月に、創業者で当時社長の菅原から私に対し、QDレーザを一段高いフェーズに持っていくためのサポートを要請されたことが、私が昨年6月に社長に就任したきっかけでした。実はそのタイミングで、大久保にも一緒にと声がかかっていました。
もともと、19年前の2006年にQDレーザが設立された当時の初代社長が菅原、初代副社長が大久保でした。私も初代取締役でしたので、私の社長就任は、QDレーザ創設に関わった3人が再集結することから始まったといえます。そのような意味では、私と大久保は最初からセットのようなもので、役割を分担し、一緒に事業経営に取り組んでいます。
ただ、大久保が前職の関係でカリフォルニアのシリコンバレーに駐在しており、すぐには動きにくかった事情があって、私が昨年6月にまず社長に就任し、今年1月に大久保は執行役員COOに就任しました。
私のほうが8歳、9歳年上ですので、最初から、やがては大久保に社長を承継することは想定されていたことではありました。今回、そのタイミングが私の社長在任1年での継承となり、選択肢の中で一番早いかたちで現れたと受け止めていただければと思います。
その背景としては、後ほど少しご説明しますが、現在のQDレーザの状況を考えた時に、5年先、10年先を見据えて経営していく必要性が大きいことから、一回り若い世代の大久保に早く引き継いだほうがよいという点があります。もう1つは、今年1月以降、COOとなった大久保に相当程度権限を委譲してやってきましたが、それが上手く回る感触を得たことがありました。
このようなことから、社外取締役とも相談の上、今回の内定に至りました。なお、社長を大久保に引き継いだ後も、チームの一員として私からの必要な関与やサポートは同じように続けていきますので、QDレーザの経営がゆらぐことはないと考えていただければと思います。
次に、QDレーザで今取り組む必要があることは何かについてお話しします。昨年11月に、大久保とも相談しながら中期経営計画を作成し、発表しました。その中で、早期の黒字化と成長可能性の両立をテーマに掲げています。
当社は設立以来、黒字を上げたことがない状況です。投資家のみなさまからお金を集め、それを開発・運営に投じてはまた資金を集めるということを繰り返してきていますが、私は社長就任後、事業運営によってキャッシュが回ることを示すことが大事だと強く感じました。
将来的にさまざまなかたちで前向きな資金が必要になった時も、それまでただ使うだけで、黒字化してキャッシュを増やすことができていない状況では、デットにしろエクイティにしろ調達は難しいと思います。やはり黒字化を早く達成する必要があります。
この黒字化にフォーカスしたものが中期経営計画の中の「ベースライン計画」です。そこでは、QDレーザの将来的におもしろい部分はいったん横に置き、それ以外の部分だけで黒字化を達成しようという計画を立てました。
その1年目である2025年3月期が終わりましたが、売上は前期に比べて上昇し、売上原価は下がっています。したがって、売上総利益は上がり、販管費は落ちていることから、営業利益の状況も改善しています。さらに特別損失もなくなりましたので、純利益の部分も改善しています。すなわち、ベースラインについては初年度としてまずまずの出だしだと思っています。
ベースラインの2年目となる2026年3月期もほぼ中期経営計画の想定どおりです。若干の入り繰りはありますが、これは将来に向けて、レーザデバイス(LD)事業では中期経営計画になかったものでも必要なものにはきちんとお金をかけていく考えをとったためです。また、視覚情報デバイス(VID)事業でも、黒字化するためにどのようなことに取り組んでいくか検討する中で、時間が進むにつれていろいろなアイデアが出てきており、中身は変わりつつありますが、大枠は変わっていません。
つまり2年目についても、まずまずのぺースでの進捗ということですので、大久保に引き渡した以降も、黒字化必達に向けて中期経営計画最終年度の2027年3月期での実現を目指していきます。
一方で、私にとっても大久保にとっても、あるいは当社に投資をしていただいているみなさまにとっても、黒字化だけが当社の目的ではないことは明らかだと思います。つまり、QDレーザの持っている可能性をきちんと引き出すことが大事です。当社は半導体レーザの分野でも、視覚情報デバイスの分野でも、世界の中でもユニークな、最先端のおもしろい技術を持っています。
しかし当社は小さな会社ですので、それらが大きく跳ねる時にすべてを自分たちだけで進めることは難しくなります。そのため、当社のユーザーやパートナーなどと連携し経営資源を出し合ってビジネスを共同で進め、世の中で大きな影響力を持つ製品やサービスが出来上がった際には、当社でしか供給できないテクノロジー、コアの部分を出し、見返りにしかるべき収益をいただく。このような成長可能性をしっかりと追求することが重要だと思っています。
ベースラインできちんと黒字化し、キャッシュを生み出せる基盤を作った上で、今ご説明したような当社の大きな成長となる種をしっかりと育て花開かせていく必要があります。
ただ、これには時間がどうしてもかかります。長年当社を見ていただいている投資家の方々にとっては、逃げ水のようにずっと「もうすぐ、もうすぐ」といっているように感じられるかもしれません。しかし、明らかに当社にはそのポテンシャルがありますので、それをしっかりと追っていくためには、5年、あるいはもっと先の10年先といったスパンで物事を見据え、腹を据えて取り組んでいくことが大事になります。
大久保は私より若いだけでなく、もともとそのようなことが得意なタイプでもありますので、大久保が前面に出るかたちで一緒に取り組んでいくべきであると考え、今回の社長交代に至りました。以上が経緯です。
ここからは大久保にバトンを渡したいと思います。
大久保:先ほどご紹介をいただいた大久保です。今年6月から社長を引き継ぐとのご指名をいただいています。どうぞよろしくお願いします。
簡単に自己紹介をします。長尾の説明のとおり、当社が設立される際に投資担当だったことが直接の接点の始まりでした。2006年の創業前の2年近くの間、どのような会社を作るかを菅原と話していました。
私にとってQDレーザは、いわゆる投資案件でしたが、この投資は紙が既にまとまっていて「ここにお金を出してください」というようなものではありませんでした。当時の富士通研究所が量子ドットレーザをどのようにしていくか検討していた中、さまざまな選択肢を考えたうちの1つがベンチャー企業としての創業でした。
私どもはその頃からご相談をいただき、ベンチャー企業をどのように立ち上げていけば、富士通や東京大学などの関係者のみなさまも納得できる契約が結べるのか等について、菅原と長尾と議論と交渉を続けていました。3人で志を一つにして立ち上げたのがQDレーザだったという経緯です。
おそらくその経緯もあり、菅原は長尾と私の2人に声をかけたのだろうと思っていますし、なんとかその志を引き継いで会社を成功させたいと真摯に考えています。
社名の「QDレーザ」のとおり、量子ドットレーザの実用化は創業当時から会社の核でした。2006年に会社が始まり、その後しばらくしてから私はQDレーザの業務から離れることになりました。
久々に菅原の話を聞き、実際に入社してみて驚いたことは、半導体レーザの世界が格段に変わっていて多くのアプリケーションがあり、会社が多くのお客さまに支えられているという事実です。現在、レーザデバイス事業部には160社を超えるお客さまがいます。一つひとつの商売が小さいという意味でもありますが、グローバルのトップティアの大企業もお客さまに含まれており、そこから大きな商売を獲得していますので、確実に成長してきたのだと思います。それに加えて、視覚情報デバイスなどの新しいビジネスも始まっており、会社の発展ぶりはすばらしいと感じていますし、社員も本当にやる気に満ちていて、なんとかもっと成長させたい、と考えています。
本日は当社について、資料に沿ってご紹介していきます。ぜひ成功させたいと思っていますので、ご支援いただければと思います。よろしくお願いします。
本日の資料は、決算説明資料と、本日のIRセミナーのために用意した資料の2つが組み合わさったものになっています。
Mission 半導体レーザの力で、人類の「できる」を拡張する。
大久保:スライドには、まさに先ほど長尾からご説明したような思いを記載しています。
会社概要
大久保:会社概要についてご紹介します。当社は富士通研究所からスピンオフしたベンチャー企業として、2006年にスタートした企業です。2021年2月に現在のグロース市場である東証マザーズ市場に上場しました。
事業内容としては、半導体レーザデバイス事業、視覚情報デバイス事業の2つがあります。半導体レーザデバイス事業は、最先端半導体レーザの製品化と量子ドットレーザの開発・製品化の2つに分けています。量子ドットレーザが2つ目に記載しているのは、現在レーザデバイス事業の9割近くを、量子ドットレーザ以外のものが占めているためです。中期経営計画で謳っている「ベースライン計画」でも、量子ドットレーザ以外の事業を土台としています。
ただし、量子ドットレーザはこれからの事業の土台になっていくものだと考えています。すでにトップティアの会社からの注文もいただいており、成長の起爆剤となることは間違いないと信じていますので、引き続き取り組んでいきたいと思っています。
視覚情報デバイス事業では、レーザ網膜投影技術を活用した新しいコンセプトの視覚情報デバイスを製品化しています。また、それを使ったロービジョン向けの機器なども開発しています。このように、レーザを使う事業にもしっかり取り組んでいます。
製品拡大の道のり
大久保:製品拡大の道のりです。製品をいくつかの大きなグループに分け、経緯などについてご説明します。スライドの上段はレーザデバイス事業、下段は視覚情報デバイス事業となっています。
レーザデバイス事業は開発した順番に並べており、上から順に、量子ドットレーザ、現在当社の主力製品になっているDFBレーザ、高出力レーザ、次の主力製品である小型可視レーザがあります。視覚情報デバイス事業は、網膜投影技術を独自の技術として開発しており、そこでロービジョン・エイド、スマートグラスなどの製品開発や製造などを行っています。
これらの事業内容については、後ほどもう少し詳しくご説明します。
人類の「できる」を拡張する2つの事業
大久保:スライドには、当社の社会に対するインパクトについて記載しています。「いま既に『できる』こと」「これから『できる』こと」に分けていますが、最先端の技術を開発して世に出すミッションを負った会社だと思っていますので、「これから『できる』こと」をしっかりと具現化していくことに、今後も注力していきたいと考えています。
QDレーザの強み:コアテクノロジー
大久保:QDレーザの強みについてご説明します。スライド左上のレーザ設計としていますが、半導体レーザを作ることが当社の主業であることを示しています。そもそも半導体レーザとは何かといいますと、例えばLEDはみなさまの身の回りにもあり、照明に使うことが一般化していると思いますが、このLEDは半導体です。
非常に簡単にいってしまうと、LEDの光を強くし、特徴あるスペックの光を用意して、産業用途に使います。このような半導体レーザを作っているのが当社です。他にもそのような会社はありますが、その中でもユニークな製品を作っているのがQDレーザです。
なぜそのようなことができるかといいますと、スライドの上段中央に記載している半導体結晶成長が関係しています。レーザデバイス事業では基本的に企業が取引先となります。半導体レーザは小さな電子部品ですので、当社のお客さまがそれを購入し、さらに次のお客さまのお客さまに製品の提案をしていくことになります。
この中でお客さまからさまざまな製品性能の要求があります。お客さまが求めるスペックのものを用意するために、まず設計力が必要になります。自分たちでお客さまのスペックに合うものを設計し、その半導体のコアの部分を自分たちで製造できる点が当社の特徴です。
次のスライドでご紹介しますが、当社はかなりの部分を外注しているセミファブレス企業です。しかしこの半導体結晶成長、最もコアな部分については、自分たちで装置を用意し、自分たちの手で作っています。
続いて、スライド右上の量子ドットです。社名にもあるように、当社のコア中のコアの技術です。量子ドットレーザは新しい種類のレーザです。現在一般的に使われているものとしては量子井戸レーザが多いのですが、その次世代になり得るもので、スペックが非常に特殊です。
その特殊なスペックゆえに、新しいマーケットに対し、新しい性能を活かしながら世に出していくことが求められています。当社がお客さまと一緒に開発していくべきものが、この量子ドットレーザです。
世の中では徐々に「量子ドットレーザをやります」という会社は増えてきているのですが、実用レベルの量産品を作れる会社は、現在でもおそらく世界で2社ぐらいしかないと考えています。そのうちの1社が当社です。
おもしろいのは、量子ドットレーザは世の中にあまりない新しい製品なので、量子ドットレーザを設計できる人もあまりおらず、この半導体結晶成長ができる人もあまりいないということです。ここがやはりコア中のコアであるゆえんで、この製品をどのようにお客さまと一緒に世に出していくか、チャレンジし続けていることが当社の非常に大きな強みです。
スライド下段についても簡単にご説明します。右側の回折格子は、主力製品であるDFBレーザに使う技術ですが、当社はユニークな技術を持っています。中央の「VISIRIUM TECHNOLOGY」は、視覚情報デバイス事業が開発している網膜投影技術のことで、当社が自社で開発しています。
左側の小型モジュールについてです。当社は半導体レーザを作るだけではなく、半導体レーザという小さな部品を、さらに使いやすいかたちでお客さまに提供する取り組みを始めています。温度調整やドライバーと呼ばれるレーザを動かす部品との組み合わせを自社で行い製品としています。この設計も自社で行っており、半導体レーザに関わる幅広い技術を提供できることが当社の特徴でもあり、強みでもあります。
QDレーザの強み:競合優位性
大久保:競合優位性についてです。スライドにはさまざまな色が並んでいますが、途中からグレーになっています。レーザは光を出すものですが、色で表現すると人間に見えるところと見えないところがあり、スライドはそれを示しています。
その下には製品の写真を掲載しています。幅広い周波数帯の製品を展開していることが当社のもう1つの特徴です。この製造をセミファブレスで行っている点も強みです。当社が保有している設備は、基本的に半導体結晶成長に関わるものです。お客さまに納品する最終的な製品は、かなりの部分を外注しています。
レーザデバイス(LD)事業部:主要レーザデバイス製品 一覧
大久保:スライドは主要レーザデバイス製品の一覧で、半導体レーザがどのようなところに使われているのかを簡単に示したものです。当社の製品のカテゴリを小型可視レーザ、高出力FPレーザ、DFBレーザ、量子ドットレーザと大雑把に分けています。
それぞれの製品ごとにぴったり合う用途があり、スライド下部に記載しているような計測、医療、加工、通信、シリコンフォトニクスなどに使われています。
小型可視レーザは、スライドでは医療としていますが、基本的にはバイオ産業が大きなお客さまです。高出力FPレーザは用途が比較的広く、センサなどが中心になっています。DFBレーザは、加工用途に使われています。後ほどご説明します。
量子ドットレーザは、もちろん計測用途などもありますが、特徴的なのはシリコンフォトニクス向けに開発していることです。シリコンフォトニクスは、電気配線に代わる光の配線の一つで、実用化されようとしています。
レーザデバイス(LD)事業部:QDレーザ製品の採用事例
大久保:レーザデバイス事業の採用事例について簡単にご説明します。バイオメディカル分野では、検査・分析装置の光源として創薬などの研究に使われています。医薬品開発のある領域では細胞の研究をしており、インクのようなもので細胞に色をつけて、その細胞に光を当てて観察することを行いますが、その光に半導体レーザが使われています。当社の製品は世界的な大手も含めてこの分野の製品を作っているさまざまなお客さまに使われています。
精密加工では、精密電子機器などの基板の加工等に⽤いられています。例えば、薄い金属板に小さな穴を開けようとする際に、レーザの光で穴を開けることができます。そこではファイバーレーザというものを使いますが、種光と呼ばれる最初の光を出す部分で半導体レーザが使用されており、当社の製品が多くのお客さまに採用されています。
半導体製造プロセスでは、センサやウエハの検査などの製品に当社の半導体レーザが使われています。
視覚情報デバイス(VID)事業部:事業概要
大久保:視覚情報デバイス事業の事業概要です。当社は、スライド左側にある「VISIRIUM TECHNOLOGY」を開発しました。この「VISIRIUM TECHNOLOGY」は、超小型のプロジェクタとして、低出力のレーザによって眼に画像情報を表示する技術です。現在、その技術をスライド右側に記載したようなアプリケーションに広げています。
非常に駆け足となりましたが、当社は以上のような事業に取り組んでいます。
業績ハイライト
大久保:ここからは2025年3月期の業績ハイライトについてご説明します。開示済みの内容となりますが、2025年3月期はレーザデバイス事業の売上高が前期比20パーセント増と大きく伸びました。視覚情報デバイス事業の売上高は前期比で減少していますが、全体の売上高は前期比5パーセント増となり、初めて13億円を超える水準に入りました。
業績ハイライト
大久保:利益についてです。スライド上段に記載のとおり、レーザデバイス事業は前期比242パーセント増と、大幅に収益が改善しています。視覚情報デバイス事業についても損失が縮小し、全社で1億5,800万円営業損失改善できたことが前期の実績です。それに伴い、経常損失、当期純損失も改善しています。
業績ハイライト
大久保:売上構成のブレークダウンです。詳細なご説明は割愛しますが、DFBレーザがレーザデバイス事業の47パーセントを占めており、前期比34パーセント増と非常に好調です。加えて、小型可視レーザも前期比28パーセント増と、収益を大きく牽引しています。
貸借対照表
大久保:スライドは貸借対照表です。
キャッシュフロー
大久保:スライドはキャッシュフローです。すでに発表しているとおり、新拠点への移転を進めており、その関連のキャッシュの支出がありました。計画どおりの内容で、引き続き計画を進めていきます。
受注状況
大久保:受注状況です。2025年3月期末時点で3億3,500万円の受注残高があり、これは過去最高水準となっています。依然として、レーザデバイス事業が好調といえるかと思います。
DFBレーザ:売上高
大久保:製品別の状況ついても簡単にご説明します。DFBレーザは非常に好調で、このトレンドが現在も続いています。
小型可視レーザ:売上高
大久保:小型可視レーザも売上高が大幅に伸びています。スライドの左下右側の写真は「Lantana(ランタナ)」という新製品です。小型のモジュールで、お客さまがすぐに使えるような製品です。6月から量産品をリリースする予定です。
高出力レーザ:売上高
大久保:高出力レーザはおおむね横ばいでしたが、順調な水準にあります。
量子ドットレーザ:売上高
大久保:スライド右下の棒グラフにあるとおり、量子ドットレーザの売上高は横ばいが続いています。当社のお客さまには世界的な大手をはじめ、一流の企業が含まれているため、お客さまが当社のことを、きちんとマーケットに認知されるような半導体を作れるかどうか、開発相手に足ると思っていただけるかどうかが重要です。
これが量子ドットレーザの将来に関わります。現在もそうですがお客さまをサポートすることで、お客さまの製品を世に出せるように、お客さまと一緒になって製品を開発しマーケットを作っていくことをこれからも続けていきたいと思っています。
視覚情報デバイス(VID):売上高その他中期経営計画進捗
大久保:視覚情報デバイス事業の売上高は減少しています。中期経営計画において開発受託(NRE)を行わないとお話ししていましたが、結果的に開発受託がかなり入ってきています。共同開発している相手先からの委託を受けているためで、それが売上を支えています。
2026年3月期予想
大久保:もう始まっていますが、今期の業績予想と目標についてご説明します。レーザデバイス事業は引き続き成長トレンドにあり、足元を固める土台を作ることで着実に事業を伸ばしていこうと考えています。
視覚情報デバイス事業は、大きな特徴として、光学ユニット・部品ビジネスの立上げを掲げています。視覚情報デバイスを作りたいというお客さまがいますので、当社がユニットや部品を提供するB2B型の事業の取り組みを始めています。すでにいくつかの引き合いをいただいています。
2026年3月期業績予想
大久保:計画については公表済みですが、売上高はレーザデバイス事業の成長が継続する見込みです。視覚情報デバイス事業は現実的に数字を積み上げた計画となっていますが、中期経営計画値より上振れすると想定しています。
営業利益については、特にレーザデバイス事業において前期比で大きく下がると想定しています。これはスライド右側に記載のとおり、今期は積極的な開発予算を織り込んでいるためです。この先の2027年3月期、2028年3月期以降の製品競争力や収益強化を目指し、今期は開発をしっかり行うこととして、経営の意思としてこのような予算を組んでいます。
中期経営方針(2025年3月期~2027年3月期)
大久保:中期経営計画の進捗状況です。先ほど長尾からお伝えしたとおり、2027年3月期の全社黒字化の必達に向けて、ぶれずに取り組んでいきたいと思っています。このスライドの記載は2026年3月期と大きく変わりませんが、2027年3月期もレーザデバイス事業、視覚情報デバイス事業の各々で、収益拡大を目指して一歩一歩着実に進めていきたいと考えています。
なお、詳細な数字については割愛します。
成長可能性の追求:成長を支える取組み方針
大久保:最後に、次期社長就任に向けて実現したいことをまとめました。まずは、土台としてB2B型でしっかり事業を作ります。また、世界トップの技術をより強化し、B2Cについては独自製品で強みのあるものに集中していきたいと思います。
これらを通じて堅固な収益基盤を構築し、最先端製品をトップティアのお客さまに提供することも目指します。チャンスがあればInorganicな成長についても果敢に取り組んでいきたいと思っていますが、こちらは無理してやることではありませんので、株主のみなさまにきちんと納得いただけるかたちでいろいろな施策を打っていきたいと考えています。
質疑応答:新社長としての方針について
1UP投資部屋Ken氏(以下、Ken):大久保さんが変化させていきたい部分や、長尾さんの方針を踏襲していきたい部分についてお聞かせください。
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