会社説明
菅原敬氏:みなさまこんにちは、ご覧いただきありがとうございます。私は、株式会社アイスタイル取締役副会長兼CFOの菅原です。これからアイスタイルの会社紹介を行いたいと思います。
まず、アイスタイルがどのような会社かと言いますと、「@cosme」というメディア、「@cosme SHOPPING」というECサイト、「@cosme STORE」という化粧品のお店を運営する、化粧品に関係する会社となっています。よろしくお願いします。
Vision
会社のビジョンは、「生活者中心の市場の創造」、我々は誰なのか、「Market Design Company」、ミッションは、「Beautyの世界をアップデートしながら、多くの人を幸せにしよう」、このようになっています。
我々が1999年に創業した時、化粧品業界は化粧品が消費財と言われる商材にもかかわらず、消費者の声がまったく届いていない産業でした。これをインターネットを使って、消費者の声が届く産業にしようと考えて、創業したのがきっかけです。
日本最大級の美容系総合サイト「@cosme」
スライドに示したのが、我々が1999年12月3日に立ち上げた「@cosme」というメディアです。
化粧品に関するありとあらゆる情報がこの中に詰め込まれています。一番人気、あるいは有名なコンテンツが、化粧品のレビューサービスとなっています。
消費者が、我々の店で購入したものではなく、どこの店で購入したものであっても、自分はどのように感じたかという化粧品の商品レビューを投稿、閲覧できるサービスです。我々は投稿されるレビューの品質に非常にこだわっており、中立性が高く、誰もが役に立つような投稿をしていただけるように日夜運営しています。
また、この投稿されたクチコミレビューを参考に、ソフトウェアのアルゴリズムを活用してレビューのランキングを生成しています。我々は当然化粧品のクライアントがたくさんいらっしゃいますが、クライアントをランキングあるいはレビューで優遇することがなく中立性を保っていますので、我々のレビューおよびそのランキングは非常に高い信頼性を持っていると自負しています。
また、「@cosme」のレビューは品質だけではなく、量としても非常に大きいものになっており、現在では約2,200万件超のレビューデータが投稿されています。
生活者のデータを軸に、日本No.1の美容プラットフォームを構築
スライドは、創業以来継続して貫いてきた我々のサービスの基本戦略です。
真ん中に置いてあるのは、データベースです。これはユーザーから投稿されたもの、ブランドから提供いただいたもの、そして「@cosme」を使っているユーザーが、どのページをどのように見たのか、どのようなアクション取ったのかといった履歴を残したものの、総合的なデータベースになっています。
「@cosme」というメディア、「@cosme SHOPPING」というECサービス、「@cosme STORE」という店舗の運営にこのデータを最大限活用して、なおかつメディア、EC、店舗をそれぞれ運営するのではなく、この3つのサービスを融合させて、総合的な美容サービスを提供します。これらが我々の基本戦略です。
@cosmeの圧倒的な女性利用率
「@cosme」というメディア、あるいはECサービスがどのような女性に使われているのか、これを分析したいと思います。
「@cosme」の月間ユニークユーザーが約1,700万人です。これらのうち、PCを使っているユーザーを除いたスマホユーザーがどのような年齢分布なのかを、スライド右側に示しています。
各年代のボックスが日本における女性人口の全体を表しており、そのうち緑の部分が、「@cosme」を月に1回以上使ったマンスリーアクティブユーザーと言われる人たちです。
10代未満のマンスリーアクティブユーザーは10代未満の女性全体の0.1パーセントで、以下、10代が4.9パーセント、次の20代から40代までが非常に高く、それぞれ51.0パーセント、75.9パーセント、43.6パーセントです。50代も21.7パーセント、60代以上は2.2パーセントとなっており、20代、30代から圧倒的な利用度、知名度を誇る国民的なサービスという自負を持っています。
連結売上高・営業利益の推移
業績についてご説明します。
スライドに示したものが創業以来の連結での売上高の推移、および上場した2012年以降の営業利益の推移です。棒グラフの濃いグレーおよび最後の濃い緑の棒が売上の推移です。
ご覧のとおり、新型コロナウイルスの影響があった2020年から2023年ぐらいまでは非常に厳しい状況でした。2019年から薄いグレーの棒で示した営業利益は下がっていき、コロナ禍のタイミングでは赤字転落というかたちになっています。
しかしながら、なんとかコロナ禍から脱出して、昨年は最高益を出しています。営業利益率も4.2パーセントと回復しています。今期に関しては非常に好調に推移して上期を乗り切っており、今の段階では、2025年の会計年度においては最高益で最高売上を狙う状況になっています。
セグメント別の実績推移
事業セグメントをそれぞれ分解した構成図です。過去5年間の昨年末までの推移を示しています。
マーケティングサービスは、化粧品メーカーへの広告やマーケティングソリューションサービス、およびマーケティングのSaaSプロダクトの提供を行っているサービスです。全体に対する売上構成比は15パーセントで、コロナ禍の2021年から2023年の会計年度まで若干厳しかったのですが、コロナ禍が明けて2024年の会計年度から復活という状況です。折れ線グラフを見ていただくとわかるとおり、営業利益率が非常に高いオンラインサービスとなっています。
ブルーで示したリテールは国内のオンラインのECと実際のリアルの店舗を合わせたものです。今では売上の最大構成比を持っており、75パーセントという一番大きな事業です。こちらはコロナ禍の間もなんとか成長しています。
これはコロナ禍の期間に、ECサービスが非常に伸びたからです。コロナ禍が明けてからもECサービスは下がらないままです。さらに店舗が非常に強い勢いで復活しているため、売上が圧倒的に伸びている状況です。
とはいえ、小売ビジネスですので、あまり利益率は高くないのがこの事業セグメントの特徴です。
グローバル事業に関しては、売上構成比7パーセントと非常に小さいポジションを占めています。これはコロナ禍の手前から急激に状況が厳しくなったために、かなり事業リストラを行ったからです。以前は12ヶ国・地区にサービスを展開していましたが、今ではその約半分の国で事業展開しています。
それに伴って売上を大きく下げながらも、なんとか赤字の事業を黒字に戻そうとしているのがこの事業の今の状況です。
今はアジアを中心に、ECと卸売、そして一部の国で店舗、さらに複数の国でメディア運営を行っています。
その他事業については、子会社が「@cosme Career(アットコスメキャリア)」という人材派遣のサービスを行っているほか、「@cosme」のプレミアム課金や有料会員に対する課金ビジネス、そして、コーポレートベンチャーキャピタルの投資事業を運営しています。3パーセントという、非常に小さいポジションを占めている事業です。
コロナ禍において、いろいろな事業を組み合わせながら、なんとかフラットな事業推移を作ってきています。
マーケティング支援 広告・ソリューションサービス
各事業所におけるイベントなどの各サービスをご説明します。
スライドには、マーケティング支援セグメントの広告・ソリューションサービスを掲載しています。今では約1,000種類の化粧品ブランドにサービスを提供しています。みなさまがご存じの化粧品ブランドのほぼすべてが、我々のクライアントとなっています。
日本の大手化粧品メーカー、中堅化粧品メーカー、グローバルのラグジュアリーブランドのグループ、そして韓国や日本、中国、台湾、その他のアジア各国からの新しいインディーブランドと、幅広いクライアントに支えられています。
我々の広告ソリューションサービスの特徴は、バナー広告を数多く貼っている広告屋ではないということです。我々の提供する広告ソリューションにおけるキャンペーンは、多くがお客さまのブランド価値を提供するような編集タイアップ広告を中心に置いています。さまざまな広告商品を組み合わせたキャンペーンをクライアントに提供することが我々のサービスです。
リテール(オンライン・オフライン) 事業紹介 (サマリー)
リテール事業者セグメントのオンライン、オフラインのサービスをご説明します。
左側がECのサービスです。「@cosme SHOPPING」は、「日本で売っている化粧品はなんでも買える」を実現しようと、ありとあらゆる化粧品を仕入れ、販売しています。百貨店で販売されている欧米のラグジュアリーブランドから、最近日本に参入したばかりの新しい韓国コスメ、中国コスメのような小さなブランドまで、なるべく多くの品揃えを作ろうとしています。
我々の販売力は日本でもトップクラスです。そのため、我々専用の限定アイテム、限定キットをブランドにご用意いただいたり、ブランドによっては新商品を先行販売していただいたりしています。あるいは他のお店では売り切れの商品であっても手厚く在庫を提供してくださって、我々のお店では買えるというような特徴を持ったECサービスになっています。
リアル店舗はまだ国内に34店舗で、主に大都市部に集中して展開しています。当社の店舗は、「出会いを作る、楽しめるショッピング体験を作る」が目標です。「@cosme」とメディアがオンラインでレビューを読めるように、当社の店舗はほとんどの商品にテスターをつけて商品を自由に試すことができます。
百貨店のカウンターで売られている高級商品も、自由にお試しいただけます。もしお客さまがお困りでしたら、声をかけていただければ、非常に厳しいトレーニングを受けた美容部員たちが、ありとあらゆる相談に乗るようなお店になっています。
化粧品産業は、流通構造に合わせて別のブランドがそれぞれ売られています。例えばドラッグストアではドラッグストア専用の商品が売られていて、百貨店には百貨店専用のブランドが売られています。
このような既存の産業側のルールを壊し、ドラッグストアやバラエティストアの商品から、化粧品専門店や百貨店で売られている高級ブランドまで、なんでも手に取り、購入することができる店舗を目指し、品揃えを拡大しているのがもう1つの特徴です。
年に2回開催、ECのスペシャルイベント
ECのスペシャルイベントについてです。当社のECサイトおよび店舗は、それぞれ定価で商品を販売しています。その代わり、年に2回12月と6月にビッグセールを行っています。セールのタイミングでは、商品の金額は値引きしません。
その代わり、ポイントバックを行い実質割引をしています。通常は10パーセントで、ブランドからの協賛があれば最大30パーセントのディスカウントを実施しています。
ポイントバックされるポイント利用期間は、6ヶ月間の限定です。したがって、6ヶ月以内にほとんどのお客さまが当社のECサイトに帰ってきて、ポイントを活用して次の買い物をしてくださいます。こちらが、当社のECサイトのユーザーおよび売上が伸びている秘訣です。
店舗:日本5⼤都市を中心に店舗網拡⼤
スライドに掲載しているとおり、店舗は大都市部に集中して出店しています。中でも大きいのは、黒いロゴの旗艦店と呼んでいる店舗です。
東京では原宿の駅前にビル丸ごとの「@cosme TOKYO」という、アジアで最大級の化粧品店舗を運営しています。こちらは、オープンして5年が経ちました。コロナ禍に入った直後にオープンしましたが、今年の3月にリニューアルオープンをして、店舗も拡大し、品揃えも大幅拡大しました。
旗艦店の2号店として、「@cosme OSAKA」というJR梅田駅の駅ビルの「ルクア イーレ」にワンフロアで展開する大きなお店があります。
旗艦店の3店舗目として、2025年6月に「@cosme NAGOYA」をオープンする計画です。名古屋駅の「タカシマヤゲートウェイモール」という駅のショッピングモールの中の大型店となります。
その他に旗艦店ではありませんが、札幌駅の「札幌ステラプレイス」という駅ビルの中に「@cosme STORE札幌 ステラプレイス店」、JR博多駅の「VISアミュエスト博多」に「@cosme STOREアミュエスト博多店」と、5大都市に大きい店舗がある状況です。
これからも継続的に店舗数を増やし、かつ既存店はアップデートおよびアップスケールをして、なるべく大きなスペースでお客さまにゆったり楽しんでいただき、たくさんの商品を見ていただくような展開を計画しています。
アイスタイルグループの主要なグローバルアセット
グローバルセグメントです。先ほどもお伝えしましたが、新型コロナウイルス感染症によって、いろいろな国で事業が厳しくなり大幅に事業を縮小しました。今では東アジアを中心に、事業を展開しています。
韓国では、買収したGLOWPICKという美容メディアを運営している会社を100パーセント保有しています。メディア展開をしながら、提携する百貨店系の化粧品販売店でショップインショップおよびECの店舗で化粧品を販売しています。
台湾には「@cosme」のメディアがあります。香港にも「@cosme」のメディアがあるのと同時に、店舗と店舗発のECを運営しています。新型コロナウイルス感染症の影響で店舗数は減りましたが、2025年度末には大型店のオープンを予定しています。
中国ではEC販売および卸販売をしています。日本で高い評価を受けている日本の化粧品を、中国に越境EC、あるいは越境卸をしているのが中国でのビジネスです。また、中国国内で中国人を活用したインフルエンサーマーケティングを行っています。
アメリカでは「MakeupAlley」という、「@cosme」と同じくらいの、26年の歴史を持った化粧品メディアの運営をしています。
中期事業方針の概要
中期事業方針をご説明します。スライドには、サマリーを掲載しています。4年から5年というレンジを持たせた計画です。今ではすでに独自のポジションを築いた化粧品サービスがありますが、さらなる飛躍と事業領域の拡大を狙って邁進していきたいと考えています。
既存事業の方針をご説明します。スライドの上段に記載しているとおり、リテール事業でユーザーとブランドの接点を増やし、そちらをきっかけにマーケティング支援事業で接点やデータをマネタイズ強化していくのが狙いです。
新規事業として、少しずつですが化粧品以外のBEAUTY領域へのチャレンジをしていきたいと考えています。例として、健康食品や美容医療の領域を検討しています。
どのような指標をゴールとして設定するのかについては、スライドの下部に記載した3点になります。会計年度は2028年度から2029年度とレンジがありますが、こちらの期間で売上高1,000億円、営業利益は80億円を目指します。
成長性としては、2028年度から2029年度にかけて、売上高のCAGRを12パーセントから15パーセントを毎年継続していきます。資本収益性としては、資本を超えるROEを継続していくことを目標とします。
中期事業目標(財務目標・成⻑性)
財務の目標についてです。2023年度から、目標となる2028年度から2029年度までの推移です。今期の事業計画は、売上高660億円、営業利益28億円です。こちらは、中間期に上方修正しています。着地としては、上方修正した数値もさらに超える見込みです。
今後3ヶ年、あるいは4ヶ年を毎年CAGR12パーセントから15パーセントの成長を継続し、営業利益率8パーセント、売上高1,000億円、営業利益80億円を達成していきたいと考えています。
中期事業目標(資本収益性)
資本収益性に関する中期事業目標です。スライドの左側には、当社が計算した想定株主資本コストを記載しています。
CAPMで10パーセントから11パーセントとなっており、内訳のパラメーターの各数値は下の括弧の中に記載しています。資本収益性を伸ばし、この数字を超えることが目標になります。昨年末のROEは11パーセントとなっており、こちらをさらに向上させていきます。
株主還元方針
株主還元方針です。コロナ禍前までは、少額ですが安定的に配当を出していました。しかし、業績が厳しくなったため2019年度から配当を止めています。
しかし、今期末から配当を再開する予定です。まだ配当の水準は低い状況ですが、今後少しずつ上げていきながら、配当によるみなさまへの還元を行います。加えて、事業投資をしていきながら事業を成長させ、株価を大きく上げ、みなさまにキャピタルゲインを還元していきます。
少しずつ増やしていく配当によって、インカムゲインも提供していき、キャピタルゲインとインカムゲインをバランスよく合わせながら、みなさまに還元していきたいというのが当社の株主還元方針です。
菅原氏からのご挨拶
当社は1999年に創業し、地道に会社を経営してきました。派手な会社ではありませんが、着実に化粧品業界を消費者中心の産業に変えてきた自負があります。継続してきたことで、消費者およびブランドから非常に高い信頼を勝ち得ていると自信を持っています。
これからも継続する所存です。投資家のみなさま、ぜひとも当社と「@cosme」のご支援をよろしくお願いします。