2024年度(2025年3月期)決算説明
諸橋央典氏(以下、諸橋):社長の諸橋です。本日はお忙しい中、当社決算説明会にご参加いただき、またオンラインでご視聴いただきありがとうございます。
本日の説明会は、はじめに管理部長の永江より、2024年度決算と、2025年度の見通しについてご説明し、その後に、私から最終年度となった2023-25年度中期経営計画の進捗状況をご説明します。よろしくお願いします。それではさっそくですが、決算説明を始めます。
(1) 国内セメント需要・当社販売数量
永江謙一氏:最初に2024年度決算と2025年度決算見通しをご説明します。国内セメント需要、当社のセメント販売状況についてです。
2024年度の国内セメント需要は、建設・物流業界の人手不足や時間外労働規制の影響により、官公需・民需ともに減少しました。前期を5.6パーセント下回る3,266万トンとなっています。2025年度は3,200万トンと想定しています。
2024年度の当社の国内販売数量は720万トンで、前期を7.4パーセント下回りました。2025年度は714万トンと想定しています。
輸出数量は、2024年度は127万トンと前期を34.6パーセント上回りました。2025年度は、前期を10.4パーセント上回る140万トンを想定しています。
(2) 2024年度 決算概要
2024年度の決算の概要ですが、売上高はセメント事業や新材料事業での売上減少により2,195億円と、対前期で30億円の減収となりました。営業利益は、セメント事業での値上げ効果や石炭価格の低下があったことなどにより、対前期で21億円好転し93億5,000万円となり、セメント事業は黒字転換しました。
また、営業外損益では為替差損益の悪化、特別損益では前期の政策保有株式売却益の反動もあり、当期純利益は対前期で63億3,000万円悪化の90億1,000万円となりました。
昨年11月12日に公表した予想との比較では、売上高が43億円減少していますが、これはセメント販売数量の減少などによるものです。営業利益は公表に対し9億5,000万円好転していますが、主に新材料事業、セメント事業によるものです。
(2) 2024年度 セグメント別売上/損益(対前年)
2024年度のセグメント別売上/損益です。各事業の概要は次ページ以降でご説明します。
(2) 2024年度 セメント事業営業利益増減内訳(対前年)
2024年度のセメント事業の営業利益は、販売価格で42億円、石炭・石油価格で61億円の好転があったものの、販売・生産数量減少で23億円の悪化、為替の円安影響で12億円の悪化、その他において製造固定費や運搬費の悪化があったことなどから、対前期で23億円改善したものの、9億円の黒字にとどまりました。
(2) 2024年度 セメント事業以外の業績概要
セメント以外の事業では、鉱産品事業は海外向け石灰石の販売数量増加などにより増収となりましたが、採掘コストの増加などにより、前年並みの営業利益となりました。建材事業は地盤改良工事が増加したことに加え、コンクリート二次製品の販売が増加したことなどから、増収増益となりました。
光電子事業は光電子機器の販売増加などにより増収となり、コスト削減で損益が改善したことから赤字幅が縮小しました。新材料事業は半導体製造装置部品である静電チャック(ESC)の販売数量減少などから減収減益となりました。
(3) 2025年度 決算見通し
2025年度の決算見通しについては、売上高はセメント事業での値上げ効果や新材料事業での販売増加により、2,350億円と対前期155億円の増収を見込んでいます。
営業利益はセメント事業での値上げ効果などにより、190億円と対前期96億5,000万円の増益を見込んでいます。営業外損益は受取配当金の減少や支払利息の増加などにより、対前期14億円の悪化を見込んでいます。
特別損益は前期の政策保有株式売却益の反動減により、対前期27億円の減少となり、当期純利益は対前期49億9,000万円好転の140億円を見込んでいます。なお、2025年度決算見通しの前提のうち、為替は145円/ドル、石炭価格(CIF)は135ドル/トン程度としています。
(3) 2025年度 セグメント別売上/損益見通し
2025年度セグメント別売上/損益見通しです。各事業の概況は次ページ以降でご説明します。
(3) 2025年度見通し セメント事業営業利益増減内訳
2025年度のセメント事業の営業利益は、販売価格で81億円、石炭・石油価格で29億円好転することなどから、対前期で91億円好転の100億円を見込んでいます。
(3) 2025年度 セメント事業以外の見通し概要
セメント以外の事業では、鉱産品事業は石灰石の値上げなどにより増収も、採掘コストの増加などにより減益を見込んでいます。建材事業はコンクリート二次製品の販売増加で増収も、原材料コストの悪化などにより減益を見込んでいます。
光電子事業は光電子機器の販売増加などにより増収、加えてコスト削減で損益改善し赤字幅の縮小を見込んでいます。新材料事業は半導体製造装置部品である静電チャック(ESC)の販売増加により増収増益を見込んでいます。
(1) 2035年のありたい姿(SOC Vision2035)
諸橋:私から、今年度が最終年度となる中期経営計画の進捗についてご説明します。
(2) 2023-25年度中期経営計画
2035年のありたい姿である「SOC Vision2035」と、この最初の3ヶ年にあたります2023-25年度中期経営計画は、スライド14ページと15ページに記載のとおりです。策定時からの変更はありません。
(3) 数値進捗および最終年度見通し
まず、数値の進捗と最終年度の見通しについてです。2024年度の実績については先ほど詳しくご説明しましたが、セメント事業での値上げの通年寄与等により黒字化したものの、新材料事業の静電チャック(ESC)販売の回復遅れ等により、全社の営業利益は94億円にとどまりました。
2025年度は中期経営計画最終年度となりますが、残念ながら目標には及ばない見通しです。しかしセメント事業での新たな値上げや、新材料事業での静電チャック(ESC)が2025年度後半から販売回復の見込みであること、その先の販売拡大に対応した生産能力増強など、次期中期経営計画へ向けての土台は固まりつつあります。
(4) キャピタルアロケーション
次にキャピタルアロケーションです。計画で掲げた方針に沿って、営業キャッシュフローと資産等売却で得るキャッシュを原資とし、引き続き投資と株主還元をバランスよく行っていきます。
資産等売却は、2024年度も政策保有株式を中心に60億円実施し、2025年度も引き続き売却を進めていきます。これにより、営業キャッシュフローと合わせたキャッシュインは、3ヶ年合計で1,216億円となる見通しです。
投資は、カーボンニュートラル投資の一部見直しや、光電子事業の次世代LN変調器(CDM)の販売開始遅れによる量産体制構築時期の見直しなど、計画より金額は減少する見通しです。しかし新材料事業での新製造棟建設をはじめとした、成長に向けた投資は行っていきます。
(5) 株主還元
株主還元の状況です。本中期経営計画期間の総還元性向については、安定配当の継続と機動的な自己株式取得により、3ヶ年平均で50パーセント以上を目指すとしていました。
昨日、自己株式取得の開示を行いましたが、その結果、3ヶ年の株主還元総額は220億円、平均総還元性向は57パーセントとなり、目標を達成する見通しです。
(6) 政策保有株式の状況
政策保有株式の状況です。方針に沿って政策保有株式の縮減を進めており、2024年度末の政策保有株式の純資産比は16.9パーセントと、2023年度からさらに低下しています。2025年度以降も引き続き縮減に努め、2026年度は10パーセント未満を目指していきます。
(7) 事業別売上高・営業利益推移
事業別売上高と営業利益の推移についてはスライドに記載のとおりです。
(8) 戦略の進捗・成果および課題
最後に、各戦略の進捗・成果および課題です。2023-25年度中期経営計画の戦略骨子のうち、既存事業収益改善と成長基盤構築については、各事業で記載の進捗・成果を見込んでいます。特にセメント事業では適正価格の確保により計画達成の見通しです。
経営基盤強化では、事業を支える人財戦略とDX戦略を推進しています。光電子事業における次世代LN変調器の販売開始と量産体制構築が課題ですが、早期実現に向けて取り組みを進めていきます。
中期経営計画の目標達成は厳しい状況ではありますが、それぞれの事業においての施策ならびに課題に対する取り組みを着実に実施していくことで、次期中期経営計画につなげていきたいと考えています。
質疑応答:セメント価格の値上げと今後の見通しについて
質問者:セメント価格の値上げについて質問します。今期のご計画では価格効果が81億円になっています。日経商品市況などを見ていると、すでに2,000円/トン程度は上昇してきているため、値上げはある程度浸透している気はしますが、御社の販売数量から見た場合には今期の値上げ効果は少なく見えます。
4月の値上げに対して、浸透が期ズレしている可能性もあるかもしれませんが、このあたりの値上げのトーンや今後の見通しについて教えてください。
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