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株式会社ベルテクスコーポレーション5290

東証スタンダード

ガラス・土石製品

FY2026 上期決算ハイライト

山本譲氏(以下、山本): 株式会社ベルテクスコーポレーション取締役の山本です。本日はお忙しい中、当社の2026年3月期中間期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

これより2026年3月期中間期決算概要について、私よりご説明します。その後、第3次中期経営計画の進捗状況については、代表取締役社長の土屋よりご説明します。どうぞよろしくお願いします。

まず、2026年3月期上期における当社のハイライトについてお伝えします。スライド上段に示されているとおり、2026年3月期上期の売上高は176億5,300万円で、前期比マイナス2.0パーセント、計画比ではプラス5.1パーセントでした。

営業利益は23億6,100万円で、前期比マイナス3.6パーセント、計画比プラス3.1パーセントとなりました。業績の概要としては、2026年3月期上期では前期の大型案件減少を補いました。前年同期比ではわずかに減収減益となりましたが、計画に対しては売上高および営業利益ともに上回る結果となりました。

公共事業の発注の波による影響がありましたが、当社としては中期的な累計業績を重視しており、特段の課題とは認識していません。なお、株式会社IHI建材工業の株式取得を10月1日に完了し、商号を株式会社IKKに変更しました。PMIを通じた中期経営計画への影響については現在精査中であり、精査完了後に開示予定です。

のれん等に関する数値が確定次第、当期計画の修正を予定しています。当期配当は当初計画どおり、2.5円増額の1株当たり32.5円を計画しています。

中期経営計画サマリー

こちらが、売上高1,000億円および営業利益150億円を目指す「VERTEX Vision 2034」に関する内容と、第3次中期経営計画のサマリーです。

INDEX

本日の説明内容のインデックスです。最初に2026年3月期第2四半期(中間期)決算概要、続いて第3次中期経営計画の進捗について順にご説明します。

2026年3月期第2四半期(中間期)連結損益計算書

それでは、2026年3月期第2四半期(中間期)決算の概要をご説明します。2026年3月期第2四半期(中間期)における連結損益計算書の概要です。赤色の枠で囲まれた部分の実績と前年同期比についてご報告します。総括として、売上高は前年同期比でわずかに下回りましたが、計画比では上回る結果となりました。

冒頭のハイライトでもご説明しましたが、売上高は176億5,300万円で前年同期比2.0パーセントの減収となり、営業利益は23億6,100万円で前年同期比3.6パーセントの減益、経常利益は24億2,800万円で前年同期比4.4パーセントの減益となりました。

当期純利益は14億4,200万円で、純利益率は8.2パーセントでした。

2026年3月期第2四半期(中間期)セグメント別業績まとめ

次に、セグメント別の業績、売上高と利益についてご説明します。赤枠で囲った実績と前年同期比について報告します。当社の事業は、「コンクリート」「パイル」「斜面防災」「その他」の4つのセグメントに分けられています。

スライド上段の表がセグメント別の売上高、下段の表がセグメント別の利益です。上下の表をあわせてご覧ください。

コンクリート事業の売上高は130億5,400万円で、前年比1.8パーセントの増収、利益額は25億1,900万円で前年比7.1パーセントの増益となりました。パイル事業では、売上高が12億2,400万円で前年比37.9パーセントの減収、損失額は2億4,300万円で前年に比べ減益となっています。

斜面防災事業は、売上高が17億8,700万円で前年比16.1パーセントの増収、利益額は5億3,700万円で前年比20.3パーセントの増益となりました。

その他の売上高は15億8,700万円で、前年比5.1パーセント減少しました。利益額は3億8,500万円で、前年比2.5パーセント増加しました。

2026年3月期第2四半期(中間期)セグメント業績|コンクリート事業

続いて、セグメント別の業績についてご説明します。スライドのグラフは、コンクリート事業における2025年3月期第2四半期(中間期)と2026年3月期第2四半期(中間期)の売上高、利益、利益率を示しています。先にお伝えしたとおり、2026年3月期第2四半期(中間期)のコンクリート事業の売上高は前年比1.8パーセント増の130億5,400万円、利益額は前年比7.1パーセント増の25億1,900万円でした。

コンクリート事業では、大型浸水対策案件の出荷が順調に進んだことに加え、付加価値の高い製品の売上が堅調に推移した結果、昨年度上期の九州地区における大型案件減少を補い、収益性が向上し、増収増益となりました。

2026年3月期第2四半期(中間期)セグメント業績|コンクリート事業 利益変動要因

スライドのグラフは、コンクリート事業におけるセグメント利益の変動要因を示しています。販売価格の改定および販売量の増加による増益効果と、製造原価および商品売上の減少による影響がそれぞれどの程度であったのかを表しており、2025年3月期第2四半期(中間期)と2026年3月期第2四半期(中間期)を比較しています。

スライド右の濃いブルーで示したグラフは、2026年3月期第2四半期(中間期)のコンクリート事業の利益額25億1,900万円です。左のグレーで示したグラフは、2025年3月期第2四半期(中間期)、昨年のセグメント利益額23億5,100万円を表しています。

左から2本目および3本目の水色で示したグラフは、販売単価の見直しおよび販売量の増加による効果13億9,900万円です。これは、主に浸水対策製品の出荷が好調だったことに加え、付加価値の高い製品の販売が堅調だったことによるものです。

原材料や製造労務費、経費、運搬費の影響、すなわち利益に影響を与える額を示しているのが、真ん中の赤色のグラフです。この額は6億4,400万円でした。また、右から3本目の赤色のグラフで示した商品売上の減少4億7,500万円は、主に九州地区の大型案件の減少によるものです。

減益要因として販売費の増加などもありましたが、2026年3月期第2四半期(中間期)においては、増益要因が減益要因を吸収した結果、増益となりました。

2026年3月期第2四半期(中間期)セグメント業績|パイル事業

パイル事業についてです。売上高は12億2,400万円で、前年比37.9パーセントの減収、2億4,300万円の減益となりました。当社のパイル事業は北陸、中部、関西地域に市場を絞って事業活動を行っていますが、この地域ではアメリカの関税の影響を強く受け、民間工事案件の中止や延期が発生したため、減収減益という結果になりました。

2026年3月期第2四半期(中間期)セグメント業績|斜面防災事業

続いて、斜面防災事業です。売上高は17億8,700万円で前年比16.1パーセントの増収、利益額は5億3,700万円で前年比20.3パーセントの増益となりました。

期初に予定していた案件の一部が上期に前倒しとなり、中間期では増収増益となりました。

2026年3月期第2四半期(中間期)セグメント業績|その他

その他の売上高は15億8,700万円で、前年比マイナス5.1パーセント、利益額は3億8,500万円で前年比プラス2.5パーセントでした。油圧ホースメンテナンス事業は期初の想定を下回ったものの、セラミックス事業では半導体製造装置関連の出荷が順調に推移し、減収ながら増益となりました。

以上、グループ全体の業績およびセグメント別収益の概況についてご説明しました。

2026年3月期通期業績見通し

2026年3月期の業績予想については、売上高が410億円、営業利益が63億5,000万円、経常利益が65億円、純利益が42億9,000万円を見込んでいます。通期見通しについては、前期に好調だった九州地区の大型案件の反動減の影響を吸収し、増収増益を予想しています。

また、株式会社IKKの株式取得を10月1日に完了し、現在、PMIを通じた中期経営計画への影響を精査中です。精査完了後に開示する予定です。

また、のれん等に関する数値が確定次第、当期計画の修正を予定しています。「第1次国土強靱化実施中期計画」が閣議決定されており、その中で「防災・減災、国土強靱化の取り組みの切れ目ない推進」が掲げられています。

具体的には、気候変動による水災害への備えやインフラ老朽化対策の推進が挙げられており、これらは当社のコア事業であるコンクリート事業と斜面防災事業が日本社会に貢献できる分野です。当社は、これらを通じて災害に強い社会作りの中心的な役割を担うものと考えていますので、引き続き注力していきます。

加えて、埼玉県八潮市の陥没事故を契機に注目されるようになりましたが、我が国におけるインフラの老朽化は深刻な状況です。当社は、製造だけでなく、老朽化したインフラの診断、提案、メンテナンスを行い、インフラを健全で長く使用できるようにするための材料や技術の提供にも取り組んでいきます。

株主還元

当期の配当は、前年比2.5円増の1株当たり32.5円を計画しています。

配当性向は30パーセント、総還元性向は50パーセント以上と、中期経営計画における目標水準と同程度で着地を予定しています。自己株式取得については、市場環境を注視しながら実施していきます。

以上、2026年3月期第2四半期(中間期)の業績と株主還元方針についてご説明しました。

第3次中期経営計画概要

土屋明秀氏(以下、土屋):代表取締役社長の土屋です。私より第3次中期経営計画の進捗についてご説明します。

第3次中期経営計画では、2027年3月期に売上高500億円、営業利益65億円、ROE14パーセントを目指して活動しています。

第3次中期経営計画基本方針|施策

この第3次中期経営計画の達成に向け、3つの基本方針を策定しています。施策1は「事業ポートフォリオの強化」、施策2は「サステナビリティ経営の推進」、施策3は「人的資本・R&D・DXの推進強化」です。

今回は、施策1である「事業ポートフォリオの強化」の取り組みについて、進捗状況をご報告します。

第3次中期経営計画の進捗|事業ポートフォリオの強化

まず、市場環境の背景についてご説明します。スライドをご覧ください。小さくて恐縮ですが、こちらは内閣官房が今年6月に公表した「第1次国土強靱化実施中期計画」の推進が特に必要な施策として整備された内容です。

2021年度から始まった現行の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」は、今期中が期限となっていましたが、次の展開として2026年から2030年度までの5年間にわたり、20兆円強の国土強靱化に関する事業が計画されています。前回の計画が15兆円規模だったことから、今回はそれを大きく上回る規模の投資となります。

また、激甚化・頻発化する自然災害への防災対策や、顕在化してきた社会インフラの老朽化への対応が、国の重点施策として位置づけられています。

今回の計画では、これらに対して明確な数値目標が設定されました。まず、浸水対策についてですが、浸水対策完了率は令和5年度時点でわずか5パーセントにとどまっています。これを令和40年度までに100パーセントまで引き上げることを目標としています。

次に、下水管路の老朽化対策についてです。口径2メートル以上かつ20年以上経過した大口径下水管路の健全性を確保することが求められています。現状では令和6年度時点で0パーセントですが、これを令和12年度までに100パーセントにする計画です。

特に、今年2月の埼玉県八潮市で発生した道路の陥没事故をきっかけに、下水道管路の老朽化対策が喫緊の課題として一気に注目を集めました。これらの国の方針は、当社にとって大きな追い風であると捉えています。

しかし、市場のニーズが顕在化してから取り組みを始めても、急速に拡大する需要には到底追いつくことはできません。だからこそ、当社は時代の変化を先取りし、製品や工法の開発を進めてきました。

トレンドが表面化する前から研究開発を進めてきたこの姿勢こそが、これからの市場の急拡大に確実に応えていける最大の強みだと考えています。

第3次中期経営計画の進捗|事業ポートフォリオの強化

当社がいち早く取り組んできた雨水対策事業についてご説明します。その前に、ヒューム管の全体需要量の年度別推移グラフをご覧いただきたいと思います。当社の主力製品であるヒューム管は、汚水の下水道管としての用途で急激に需要が増加し、1972年には出荷量として約412万トンを記録しました。

その後、全国的な下水道の普及率の上昇に伴い需要が減少し、現在では10万トンとなっています。このようにヒューム管市場は縮小し、ピーク時の約40分の1となっています。

汚水の下水道整備が一段落したことで、国の施策は雨水処理へと徐々にシフトしていきました。降雨量の増加に伴い、雨水管路の整備の必要性が高まり、雨水処理に関する法律も急ピッチで整備されることとなりました。例えば、2005年に下水道法が一部改正され、雨水の流量調整機能を持つ雨水流域下水道などの新制度が導入されました。

さらに、2014年には水循環基本法が制定され、水を流すだけでなく循環させる政策が次のステップとして法制化されました。

そして、2015年の水防法の一部改正により、水害対策が具体化されました。当社は、汚水整備に使用されるヒューム管の需要減少や、国の施策が雨水対策にシフトしていくとの市場予測をもとに、雨水関連製品の開発に注力し、市場への迅速な投入を進めてきました。

例えば、組立式箱型マンホール「エスホール」、雨水地下貯留槽「M.V.P.システム」、当社主力製品である耐震性ゴムリング付きボックスカルバート「SJ-BOX」は、それぞれスライドに示した時期に開発されています。

ご覧のとおり、当社は他社に先駆けて新商品を市場に投入し、市場のポジションを確保する戦略を取ってきました。その結果、これらの製品は現在でもシェアNo.1を維持し続け、浸水対策に貢献し続けています。このようにして国の政策は雨水対策へとシフトしてきましたが、2021年には流域治水関連法が制定され、雨水貯留施設の設置がさらに重要になっています。

雨水貯留施設とは、降雨時に発生する過剰な雨水流量を一時的に受け止め、下流河川の氾濫リスクを軽減する機能を有する施設です。

都市部では地下に設置されることが多く、主にコンクリート製と樹脂製があります。樹脂製は主に数百立米の小型雨水貯留槽として使用されており、当社がターゲットとする領域ではありません。

第3次中期経営計画の進捗|事業ポートフォリオの強化

スライドのグラフをご覧ください。樹脂製を含む地下貯留施設の全国実績です。統計開始の1997年では10万立米程度でしたが、直近では95万立米と、27年間で約10倍に増加しています。先ほどご説明しましたが、「M.V.P.システム」を開発したのはこの1996年にあたります。

現在、時代のトレンドを先取りした「M.V.P.システム」は、地下雨水貯留槽としてトップシェアを獲得しています。

第3次中期経営計画の進捗|事業ポートフォリオの強化

現在の降雨量の急増により、ボックスカルバートによる雨水処理や地下雨水貯留槽だけでは対応が困難になっています。そのため、大都市ではセグメント部材を用いた地下トンネル型調節池の構築が新たに計画されています。この分野は当社がこれまで手がけてこなかった領域であり、工事ごとの規模が非常に大きい点や、今後の市場拡大が期待できる点が大きな特徴です。

東京では、すでに神田川・環状七号線地下調整池などの施設があります。環状七号線の道路下には、延長4.5キロメートル、内径12.5メートルのトンネルが建設され、神田川、善福寺川および妙正寺川の洪水約54万立米を貯留する施設となっています。当社が手がけている1,000から数万立米規模の地下貯留槽と比較すると、大規模なものです。

全国の整備計画において、2030年までは事業費約1,360億円、さらに2030年度以降には事業費約3,140億円の整備が見込まれています。

第3次中期経営計画の進捗|事業ポートフォリオの強化

このような背景のもと、当社はセグメント部材製造大手であるIKKをグループ化しました。この地下トンネル調整池市場での活躍が期待されるのが、同社が得意とする合成セグメントです。雨水が流入するトンネルの築造においては、管路内に内水圧が生じるため、構造上、内水圧に強い合成セグメントが採用される傾向があります。

合成セグメントは、内部が鉄筋コンクリート、表面が鋼板でできた特殊なセグメント製品であり、内水圧に耐える性能を持っています。

この事業は競合が少ない領域であり、同社の製品は他社と比較してコスト面で優位性があると試算しています。この合成セグメントを軸に、当社が保有する営業ネットワークを活用してシナジーを発揮し、大きな需要が見込まれる地下トンネル調整池の事業へ展開を図っていきます。

第3次中期経営計画の進捗|事業ポートフォリオの強化

ここまで浸水対策についてお話ししましたが、豪雨被害などに起因する災害として土砂災害があります。「第1次国土強靱化実施中期計画」でも触れられている山地災害危険地区における治山対策の一環として、さらなる製品ラインナップの拡充を目的に、土砂災害用の土砂柵に関する製品実験場を兵庫県西脇市に新設します。

山を削り、土砂崩れを再現する斜面を設置し、実験用のフェンスを設けます。この斜面の最上部から実際に土砂を流し、フェンスの性能を検証します。将来的には、自社製品の実験場としての利用にとどまらず、NEXCOやJRなどとの共同実験や、要望があれば研究機関にも利用していただくことで、社会貢献が可能な日本を代表する土砂実験場にしたいと考えています。

第3次中期経営計画の進捗|事業ポートフォリオの強化

次に、社会インフラの老朽化対策における当社の取り組みをご紹介します。

国土交通省のホームページには、管路施設の年度別管理延長に関するグラフが掲載されています。このグラフを基に説明します。

全国の下水道管路の総延長は約50万キロメートルですが、そのうち下水道管路の標準耐用年数である50年を超えている延長は現時点で約4万キロメートルとなっています。10年後には約10万キロメートル、20年後には約21万キロメートルに達する見込みです。

国は持続的な下水道機能を確保するため、計画的な維持管理や改築事業を重要な施策として位置づけています。

これからは新設よりもメンテナンスが主流となる時代になることがおわかりいただけるかと思います。このような状況の中、埼玉県八潮市で道路陥没事故が発生しました。この事故を受け、国土交通省より下水道管路メンテナンス技術の高度化・実用化に向けた要請がなされています。

第3次中期経営計画の進捗|事業ポートフォリオの強化

先ほどご説明したとおり、当社は時代のトレンドを先取りし、新製品の開発を進めてきましたが、メンテナンス事業においても同様の取り組みを行っています。

新工法や新材料開発の導入を積極的に進めた結果、当社はすでに多くの優れたメンテナンス工法を保有しています。また、コンクリート二次製品メーカーや施工会社など、約60社とともにインフラ保全技術協会を組織し、これらの工法の普及促進や、それに使用される材料の拡販に取り組んでいます。

第3次中期経営計画の進捗|事業ポートフォリオの強化

さらに、このメンテナンス事業では、当社が他のコンクリート二次製品メーカーが保有していない独自の技術を有しています。

コンクリートの調査診断事業です。メンテナンスを実施するには、管路の状況を正確に把握する調査診断が不可欠です。この技術を有していることが、メンテナンス業界における大きな強みとなっています。

当社の保有技術についてご説明する前に、埼玉県八潮市の道路陥没事故を受けて国土交通省が地方公共団体に要請した下水道管路の調査方法についてご説明します。

まず、目視調査です。人が管内に入って確認する直接目視や、自走式カメラ、水中ドローン、可搬式カメラなどによる間接目視があります。また、打音調査では、ハンマーなどで構造物を叩き、音の違いで内部の健全性を推定します。

そして、空洞調査についてですが、路面上から地中レーダーを用いてスキャンを行い、道路下に空洞があるかどうかを調査します。

しかし、これらの技術には多くの課題が浮き彫りになっています。目視調査では、ひび割れ幅の定量化や変形量の測定などに限界があり、さらに濁り、汚泥、ガスなどの影響で視界が悪化します。打音調査は人力で行うため、現場での水抜きが必要となります。また、空洞調査は管背面やその周辺、路面からの調査に限定され、探査可能な深度も2メートルから3メートルが限界です。

このように、今回の検査では、各調査方法にさまざまな課題があることが明らかになりました。

第3次中期経営計画の進捗|事業ポートフォリオの強化

当社は、一般的に用いられる調査診断技術に加え、地中レーダー探査による空洞調査、状況把握の精度を高めるファイバースコープを用いた部分調査、目視調査の高度化としての水中ドローンを活用した映像検査、さらに遠隔操作型無人潜水機や水中ソナーを使った洗掘形状調査など、多様な技術基盤を備えています。

これらを活用し、管路の状態を的確に把握する体制を整えています。

とはいえ、既存の技術では、先ほど申し上げた課題を根本的に解決することはできません。これらの課題は、メンテナンス業界全体が抱える構造的・普遍的なものであり、業界として次のステージへ進むためには技術革新が不可欠です。

そこで当社は、これまで培ってきた技術的蓄積を基盤として、このような課題を解消できる次世代の調査診断技術の研究開発に取り組んでいます。研究段階につき詳細は申し上げられませんが、例えば水中下でも実施可能なコンクリート強度の非破壊確認技術など、これまで誰も成し遂げていない領域に挑戦しており、学術機関とも連携しながら開発を加速化させています。

当社は、調査診断から多様なメンテナンス技術を保有している強みを活かし、今後需要拡大が見込まれる下水道メンテナンス分野において、高い優位性の確立を目指します。

第3次中期経営計画の進捗|事業ポートフォリオの強化

現在、埼玉県八潮市道路陥没事故を受け、国は「リダンダンシー」という考え方を強く提唱しています。リダンダンシーとは、主要なインフラが機能不全に陥った際でも、代替ルートや余裕度を確保することで社会機能を維持し続ける仕組みを指します。

その観点から、既存下水道管の複線化や連絡管の敷設といった施策が提唱されており、今後、大規模事故が発生した場合でも、下水道システムを継続して供用できる体制作りが進められています。

これに伴い、本管であるヒューム管や、それに付随し当社が圧倒的シェアを誇る「エスホール」や「ユニホール」の需要増が見込まれます。このような最新の動向を的確に捉え、拡販につなげていくことが重要です。

ただし、このような需要に依存するだけでは、当社の持続的成長を描くことはできません。

これまでご説明したとおり、時代の潮流は新設からメンテナンスへと確実にシフトしています。このメンテナンス需要を確実に捉え、優位性を築くことが、今後の成長の最大の鍵であると考えています。

資本コストを意識した経営の取り組み|プライム市場

それでは、次に資本コストを意識した経営の取り組みについてご説明します。11月13日に「東京証券取引所のプライム市場への市場区分変更申請に向けた本格的な対応の開始」について開示しました。

当社は2020年頃から、将来的なプライム市場上場の必要性を意識し、持続的な企業価値向上に向けてさまざまな準備や改革を進めてきました。

株価は上昇してきましたが、同業他社と比較して株価水準や出来高には依然として改善の余地があり、これは重要な課題と捉えています。

そこで、株主のみなさまや社内に当社の明確な方針を確実に示すため、本件の開示を決定しました。今後も企業価値のさらなる向上、ガバナンスの強化、誠実かつタイムリーな情報開示、そしてサステナビリティへの取り組みを一層加速させ、プライム市場にふさわしい体制と企業姿勢の構築に全力で取り組んでいきます。

引き続き、株主・投資家のみなさまをはじめ、すべてのステークホルダーのみなさまのご期待に応えられるよう取り組んでいきますので、今後ともご支援とご指導をよろしくお願いします。

資本コストを意識した経営の取り組み|IR活動

その他の取り組みとして、当社では6年前からIRチームを組織し、ホームページの充実、動画サイトの設置、SNSによる情報発信、機関投資家との個別ミーティング、中間期および通期での決算説明会などを進めてきました。

資本コストを意識した経営の取り組み|株主懇談会

さらに、先月の本社移転に伴い、12月19日に新本社に株主さまをお招きし、株主懇談会を開催する予定です。

株主懇談会は、株主と企業経営陣との建設的な対話を促進し、企業の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図る重要な機会です。企業ガバナンスの健全化を目指し、相互理解と信頼関係の深化、並びに株主意見の経営への反映を目的として開催します。

資本コストを意識した経営の取り組み|統合報告書発行

また、10月1日には統合報告書を発行しました。今後、IR部門をさらに強化し、情報開示の高度化や株主との対話プロセスの見直しを進めていく予定です。

株主や投資家のみなさまとの対話を通じ、資本コストを意識した経営を実践することで、企業価値の向上を目指していきます。

以上が、2026年3月期第2四半期(中間期)の決算説明および第3次中期経営計画の進捗状況のご説明です。お聞きいただき、ありがとうございました。

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