アステリア株式会社

平野洋一郎氏(以下、平野):みなさま、こんにちは。代表取締役社長/CEOの平野です。

本日はご多用のところ、アステリアの通期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。本日12時に開示した2025年3月期の決算について、私よりご説明します。

まずは当社の会社概要です。本日初めて決算説明会に参加される方もいらっしゃるため、当社の概要を簡単にご説明します。

アステリア株式会社は世界を目指す、企業向けのソフトウェアメーカーです。メーカーとは、「受託開発しない」という意味合いを強く込めています。

日本市場のソフトウェア開発会社には受託開発が多いですが、私たちは受託開発を一切行わず、1つの製品を100社、1,000社、1万社もの企業に使っていただくような仕事をしています。

アステリア株式会社

子会社として、AIの開発専業子会社のほか、シンガポールと中国にはソフトウェア開発会社を、米国には投資関連会社を持っています。

現在上場しているのは東証プライム市場で、創業は1998年です。東証プライム上場の企業ですが、連結での従業員数は最小の部類に入る少数精鋭の会社です。

私たちは、ソフトウェア業界の中でも特に最先端の技術をかたちにして多くの企業に届けています。例えばノーコードやブロックチェーン、そして最先端の働き方であるウェルビーイングにも取り組んでおり、ウェルビーイングをベースに「『日本でいちばん大切にしたい会社』大賞」の「審査委員会特別賞」も受賞することができています。

継続的に変化に迫られる企業でのIT活用

私たちはITの中でもソフトウェアに特化した会社ですが、ITは、今やどの企業も避けることのできないものになっています。

政府の方針にも、デジタルやDXという言葉がどんどん出てきます。実際に新たな法律や動向、トレンドなどがデジタルとは切り離せない状況になっており、この変化に適応していこうにも、人の手では間に合わない状況になってきています。

一方で課題となるIT人材不足

一方で、ITを使える人、いわゆるIT人材が不足していることも喫緊の課題となっています。

経済産業省によると、2030年には最大79万人、最小でも41万人のIT人材が不足すると試算がされています。では、これから5年間でこれほどまでに多くの人数を教育したり、転換したりすることができるのでしょうか? これは、非常に厳しいと言わざるを得ません。

そこで私たちが以前から取り組んでいるのが、ノーコードという革新的な技術です。従来、コンピューターを動かすためにプログラムを組み、コードを書いていたわけですが、コードを書かない、つまりノーコードでコンピューターを動かすことができます。このような技術に取り組んでいるため、当社の製品はすべてノーコードで動きます。

主力製品:データ連携ツール「ASTERIA Warp」

その中でも、主力製品は「ASTERIA Warp」です。世の中もしくは社内にはさまざまなシステム・サービス・クラウドなどが存在しますが、これらをつなぐデータ連携のスタンダードとして、「ASTERIA Warp」はノーコードでデータ連携が可能です。今や1万1,000社以上で導入され、稼働しています。

その状況を反映し、18年間連続で市場シェアNo.1をいただいています。市場シェアも56.9パーセントと圧倒的で、2位以下を大きく引き離しています。もちろん外資系のソフトなどもありますが、それらよりも私たちの「ASTERIA Warp」が使われています。

決算概要

アステリアは、2024年4月から2025年3月までの通期決算を本日12時に発表しました。この決算をまずは一言でいうと、「私たちの事業のギアシフトが完了した」ということです。ギアシフトとは何かというと、この2年間取り組んできている事業構造改革です。

決算概要

この事業構造改革において、もともと3つあった投資事業、デザイン事業、ソフトウェア事業をソフトウェア事業のみに集中するという改革を断行してきました。その結果が今回の増収増益、そして増配につながっています。

スライドのグラフは、そのイメージです。具体的な数字について後ほどお話ししますが、2年連続で赤字だったところ、今後は確実に黒字が続くかたちにもってくることができています。今回の決算では、その結果が数字で示されています。

ソフトウェア事業が過去最高の売上

具体的な数字についてご説明します。まずは売上収益です。ソフトウェア事業の売上収益は前期比9.0パーセント増収、過去最高の31億7,000万円となっています。

ソフトウェア事業としては過去最高で、それを支えているのが「ASTERIA Warp」と「Platio」という製品です。いずれも2桁成長しており、全体の成長を力強く支えています。

過去最高の売上総利益とEBITDA

売上総利益です。売上総利益率、つまり粗利率が高いことが、アステリアの特徴の1つです。

今回の売上総利益は28億3,300万円で、粗利率は89パーセントとほぼ9割です。前期比7.5パーセント増と、こちらは連結で過去最高になっています。

また、EBITDAの利益率は33パーセント、前期比22.1パーセント増となっています。EBITDAは10億円を超えており、こちらも過去最高です。

セグメント別の営業利益と連結営業利益

ソフトウェアセグメント以外に、投資セグメントがセグメントとして残っています。ただし、それぞれの営業利益をご覧いただくとおわかりのとおり、すでに整理が完了しました。

投資セグメントは若干のマイナスですが、ほぼゼロとなっています。営業利益は、ソフトウェアセグメントで稼いでいることがおわかりいただけるかと思います。

連結にすると、スライドに記載したとおりです。連結営業利益は7億8,100万円となり、そのほとんどがソフトウェア事業の実力値であることが、数値からも読み取れるかと思います。

連結:売上収益から営業利益まで

ブリッジです。売上から営業利益がどのように導き出されているかというと、アステリアの売上から営業利益は非常にシンプルです。売上のための売上原価、販管費、そして若干の収支の調整があります。

今でこそ若干の調整となっていますが、ここには投資事業が大きく影響していました。スライドは過去2年間の通期業績ですが、今回でその整理が終わったことが、このブリッジからもご理解いただけるかと思います。

結果として、営業利益率は25パーセントです。実は、経営目標では20パーセントとしているため、今回は目標を超えた非常に良い数字であることがおわかりいただけるかと思います。

連結:営業利益/税引前利益/当期利益(親会社の所有者に帰属する)

営業利益から当期利益までですが、こちらもシンプルです。営業利益の隣にある金融収支は為替などの影響によるものですが、今回はこちらを抑えることができています。

次に、税引前利益から税金・非支配持分などを計算した当期利益は、5億8,900万円です。前期は赤字となっているため、前期比では非常に大きな伸びを示しています。

業績予想と通期業績の比較

業績予想と通期業績の比較です。今期の業績予想では、売上収益を32億円としていたため、達成率は99パーセント強とオンライン(ほぼ同一)で終わっています。

営業利益は6億円としていましたが、実績は7億8,100万円、達成率は130パーセントです。当期利益にいたっては、3億円としていたところ5億8,500万円、達成率は2倍近い196パーセントとなりました。

販売管理費の推移(前期比)

利益の構成要素として、どのようにお金を使ったかについてもご紹介します。特に、販売管理費が非常に大きくなっています。

先ほどのグラフでも大きかったのですが、売上が大きく伸びた一方で、実際の販管費は効率化できたことが利益に大きく貢献していることをご理解いただけるかと思います。

主な経営指標の推移

それ以外の経営指標も見ていきます。まずは、売上総利益です。先ほどご紹介したとおり、売上総利益率は約9割と非常に高い粗利率をキープしており、もちろん金額は伸びています。また、調整後EBITDAも大きく上がっています。

最後に、ストック型売上です。こちらは安定成長のベースとなるストック型売上の比率を示していますが、全体の売上の4分の3近くがストック売上となっています。したがって、大きくでこぼこすることがない状態になっていることをご理解いただけるかと思います。

財政状態計算書(2025年3月末現在)

財政状態計算書、日本基準でいう貸借対照表は、スライドのとおりとなっています。

細かな数字は多数ありますが、ポイントをお伝えすると、前期に比べて現預金等が10億円以上プラスになっています。自己資本比率は78パーセントと、きわめて健全です。ROEは9.4パーセントと、さまざまな指標が健全かつ今後の期待が持てる数値となっています。

事業構造改革と新事業構成

これらの数値を叩き出している中身についてもお話しします。2025年3月期のトピックスは、最初にお話ししたとおり、事業構造改革の成果を見ていただければと思います。

事業構造改革について、もともと当社には3つの事業がありました。祖業はソフトウェア事業ですが、それを支えるデザイン事業・投資事業があり、これらが加速していくとしていたものの、投資事業の課題や生成AIの台頭を受け、これらを整理しました。

デザイン事業は売却し、投資事業はボラティリティ、つまり不安要素が非常に高い上場株を全株売却し、ソフトウェア事業に集中するかたちとしました。

大きな不安要素を排除し、安定的な成長を目指します。この構成の完成が、ギアシフトの完了ということです。

重点施策と事業グループ構成

ソフトウェア事業では、2つの重点施策を挙げています。

1番目は、サブスク課金、従量課金の推進です。1回で大きくご購入いただくよりも、使ったものをしっかりとお支払いいただきます。それがユーザーのみなさまのためにもなる上、当社の安定成長にも寄与するということです。

2番目は、当社の特徴であるノーコード製品ポートフォリオの充実です。ポートフォリオを日本でNo.1、さらには世界へと広げ、質と量を増やしていくことです。

グループも、AOGとELGの2つに分けました。AOGは、新技術・新規市場、そして海外で急成長を狙います。ELGは、強固なエコシステムによってリードされた安定成長を狙うグループです。

サブスク課金の推進で収益が拡大

これらの重点施策がどのような状況かというと、まず、サブスクへの注力については、スライドのグラフで一目瞭然のとおりどんどん伸びています。

もちろん、需要が拡大していることには背景があります。それは、システム自体がどんどんクラウドシフトしていることです。レガシーが刷新され、私たちのデータ連携や新たなサービスの需要が拡大しています。

また、システムを導入する背景には、人手不足・人材不足が恒久的に存在していることもあります。

そこで私たちは製品ラインナップを拡充し、パートナーとの連携も強化し、サブスクのしっかりとした成長を実際に作り出しています。

ノーコード製品ポートフォリオを拡大

もう1つの施策であるノーコードポートフォリオについては、ノーコード製品を拡充し、質も量も増やしていきます。そして、自分たちだけでなく、外部の製品も巻き込んでいきます。これがノーコード製品ポートフォリオです。

当社の「ASTERIA Warp」「Platio」「Handbook X」「Gravio」、新たに発表した「AIoT Suite」や「Artefacts」など、ノーコード製品をどんどん膨らませていきます。そして連携製品として、直近では「Mashu」などの製品とも連携を深めています。

ノーコード新製品を続々と追加

直近のノーコードの新製品について、あらためてご紹介します。昨年11月から提供している「AIoT Suite」は、アジアのAIリーディングカンパニーであるTapway社と共同開発しました。

先日発表した「Artefacts」は、コード名で「Robo Stage」としていたロボット×AIの開発です。ロボットアプリを開発するための非常に精密なシミュレーション環境により、ロボットの開発が加速されます。

そして、つい先日発表したのが「ASTERIA Warp Cloud」です。いよいよ、「ASTERIA Warp」がそのままiPaaSとして動きます。お客さまのサーバー保守・運用管理が不要なバージョンを出しました。

いずれにしても、アステリアはこのように先端技術を自社のプロダクトにして、お客さまに最先端の価値を届けるといった展開をしています。

製品のトピックス

それぞれのグループでの展開について、まずはELGです。ELGの主力は「ASTERIA Warp」です。データ連携の需要が拡大し、売上が27億円と、過去最高を記録しています。

さまざまなノーコード製品やレガシー製品との連携も進めており、売上は前期比10パーセント増と、全体を牽引しています。

2番手は「Platio」です。パートナーを拡大するとともに、製品自体もファミリーを広げています。より単価の高い上位版への移行にも力を入れたことなどにより、売上は前期比36パーセント増加しました。

こちらも過去最高で、結果として1億6,000万円となりました。この勢いをどんどん伸ばすことで、あっという間に大きな数字になっていくと考えています。

さまざまなDXニーズに貢献

ELGは、世の中のさまざまなDXニーズにも適応しています。さまざまな事例として、例えば現在は自治体でのDXが非常に進んでおり、こちらの引き合いが増えています。

新たなニーズとしては、先ほどもご紹介したデータレイクなど、データマネジメントを行うため、ROBON社の「Mashu」などと組み合わせて使うような展開をしています。

最近の「Platio」に関するニュースとして、大阪・関西万博の清掃にあたり、実は「Platio」のファミリー製品「Platio One」で作ったアプリが採用されています。このように大阪・関西万博をはじめ、さまざまなDXニーズに貢献しています。

解約率が低く継続利用が多い

実際に投資家のみなさまが気になるのは、「本当に使われ続けるのでしょうか?」ということかと思います。そこで、こちらのスライドにはチャーンレート、いわゆる解約率を記載しています。

まず、「ASTERIA Warp」です。「ASTERIA Warp Core」というサブスク製品がありますが、スライドをご覧のとおり非常に低い数値を継続しており、0.9パーセントと、いよいよ1パーセントを切るところまで来ています。

スライド右側は、「Platio」です。こちらも非常に成長が著しく、その分山谷があるものですが、こちらもどんどん定常的に低くなってきており、継続して使われるケースが増えています。

国内外における新市場の開拓を推進

AOGについてです。こちらは新しい市場にチャレンジしていくところですが、「Gravio」の製品では、「Gravio」とTapway社の技術を組み合わせた「AIoT Suite」の提供を開始しています。こちらはもちろん国内だけでなく、海外でも展開しています。

また、国内外のパートナー展開として「Gravioコネクテッドネットワークパートナー」というものがあり、発足から1年足らずで22社に伸びています。

さらに「Handbook X」の事例がどんどん増えています。直近では、「おためしナガノ」という長野県のプログラムにも採用されました。新技術について挙げると、Apple社が提供するAI「Apple Intelligence」への適応もスタートしています。

中期経営目標(2025/3〜2029/3)

数字を支えるトピックについてお話ししましたが、現在、私たちは中期経営目標を発表しています。こちらの進捗についてもご紹介します。

中期経営目標は2029年3月までの目標で、この初年度が終わった段階です。スライドに記載のとおり、売上収益の伸びのほか、利益に関する指標、そのための営業側・製品側の施策を4つずつ挙げています。

まず、営業展開の施策はパートナー拡大、案件単価アップ、継続売上比率アップ、そして海外市場です。これらはこれまで説明したとおり、1つずつしっかりとした進捗があります。

今までのご説明になかったものは、パートナーの拡大です。こちらは、「ASTERIA Warp」のパートナーを指します。マスターパートナー、テクニカルパートナー、サブスクリプションパートナーなど複数ありますが、これらが100社を超え、非常に強いネットワークが組まれています。

次に、製品展開です。ノーコードNo.1については、すでにご紹介した全製品のAI対応を着々と進めています。「ASTERIA Warp」「Handbook X」「Gravio」での対応が完了しました。

AI×Roboticsでは、いよいよ「Artefacts」の提供を開始しました。最先端の技術・新製品については、さらなる新製品・サービスを研究、開発中です。

数字の伸びについては、CAGR8パーセントから12パーセントとしています。今回の結果は、9パーセントでした。

利益率、いわゆるEBITDA率の目標は25パーセントですが、目標を大きく超える33パーセントという結果になっています。

ソフトウェア事業をとりまく環境

今後、あと4年は本中期経営目標がありますが、やはり一番ベースにあるのはAIです。

ソフトウェア事業ではAI機能からAIがインフラになってくると捉えており、私自身はこれがインターネットのように当たり前になるという考えのもと、製品展開、事業展開を進めていきます。

その上で、私たちが創業時から標榜している自律・分散・協調についてです。AIによって、これがさらに進みます。現在、AIエージェントが大きな話題になっていますが、これは自律です。今後はさらにそれが分散し、つながり、協調して動いていく時代になっていきます。

そのような環境を誰もが使えるために大切なのがノーコード、および私たちが以前から取り組んでいるデータです。データ主権で、自分たちが自分たちのためにデータを使います。

それは会社だけでなく国やソブリンティという話もありますが、データ主権が大事になってくるからこそ、自分たちでデータ連携し、管理することが大事になっていくのです。

データの量と質が的確な出力を生む

現在は誰もがAIを使っているかと思いますが、AIはどのように的確に動くことができるでしょうか? これは、釈迦に説法という方もいらっしゃるかもしれません。

AIは、なにもないところからなにかを作り出すわけではなく、データが必要です。公開されているデータ、非公開データ、社内データなどを食べ、それらを学習し、的確な出力や動作が可能になります。

データや技術が十分でなければ、嘘を言ったり、古すぎたり、圧力がかかって異なる答えを出したりということが起こるため、中にしっかりと的確なデータを入れることが必要です。

データの量と質が的確な出力を生む

特に、これからはパブリックな検索のようなものではなく、自社や自分のグループに適格なもの、自社に活用する際に的確なデータがあるだけではなく、入れ込むことが大切です。

アステリア製品とAI

そこで、アステリアのつなぐ製品が非常に大事になってきます。まず、主力の「ASTERIA Warp」は、システムやクラウドにあるデータをしっかりとつないでいきます。「Gravio」と「AIoT Suite」は、センサーやカメラなど、刻々と出るデータをつないでいきます。「Platio」では、モバイルで現場のデータをつなぎます。

このように、AIのベースとなり、AIがしっかりと稼働する出力、そして動作するためのデータに寄与していきます。

実際にAIが動くと、今度はそのアウトプットも活かす必要があります。そこではさまざまな人と情報を共有したり、アクションに結びつけたりするほか、さらには機械のアクションにも結びつけます。

このようなかたちで、AIをしっかりと動かすためのつなぎも、私たちがカバーしていきます。

2026年3月期の業績予想と配当予想

製品展開とAIに対する考え方についてご説明しましたが、このようなことをベースに、2026年3月期の業績予想と配当予想も開示しています。

まずは、売上収益です。2025年3月期は31億7,100万円という結果でしたが、新年度は35億円と、前期比10パーセントの伸びを発表しています。

営業利益は7億8,100万円でしたが、新年度は8億5,000万円の予想となっています。

期末配当に関しても予想を発表しました。今期は1株あたり8円で確定していますが、当社の方針に基づき、そこからさらに上げて8.5円を予定しています。

配当方針の変更による株主還元の強化

1月に発表したとおり、配当方針を変更しました。スライド左側のグラフを見ると一目瞭然ですが、昨年12月まで、私たちの配当方針は安定配当でした。それを変更して、現在は連結配当性向30パーセントを目標とし、累進配当を掲げています。

この配当性向には注釈があり、開示にもあるとおり、例えば投資のリターンや為替といった一時的な数字は除いた目標です。累進配当ですので、今年は1株あたり8円、新年度は8.5円と、この方針に基づいて発表しています。

プライム上場維持

予想外に多くの投資家からご質問を受けていることについても、私からご説明します。それは何かと言うと、プライム市場の上場維持の件です。

プライム上場の維持のためにはいくつかの条件があります。スライドに記載のとおり、株主数、流通株式数、流通時価総額、流通株式比率、平均売買高、純資産の額の6項目です。

表の中央の列がプライムの基準ですが、左側のアステリアの列と比べると、現時点では流通時価総額100億円以上という項目だけ基準に達していません。ここをしっかりとがんばれば、残りのところは優にクリアしています。来年1月から3月が判定期間の最終期限ですので、ここに向けて手を打っていきます。

もし、この判定基準に満たない場合はどうなるかについてもお伝えします。昔、東証が上場維持基準を発表した頃は上場廃止という話もあったのですが、きちんと審査していただいた上でスタンダード基準に合致しているということであれば、スタンダード市場に移ることになります。

私たちは最後まで諦めずに、野球でいう9回裏までトライしていきます。現状の流通時価総額は約73億円ですから、そこまで不可能とは思っていませんし、投資家のみなさまとの対話や信頼関係によっても変わり得ると考えています。

一方で、プライム上場を維持できなかった時のために、私たちはしっかりと手続きを踏んでいます。マスコミなどで「上場廃止か」という煽りもありますが、そのようなことはないとご安心いただければと思います。

アステリア(3853)通期 まとめ

本日のまとめです。まず、ソフトウェア事業の売上高は前期比9パーセント増の31億円となり、ソフトウェア事業としては過去最高を記録し、大きく伸びました。

営業利益は7億8,000万円で、こちらもソフトウェア事業として過去最高益となっています。

また、今回の好決算を反映し、期末配当は予想から0.5円上げて、1株あたり8円とすることを発表しました。

そして、新年度の業績予想も出しています。売上高、営業利益、配当すべて増額となる計画です。これは不安定要素であった投資事業とデザイン事業をきれいに整理でき、ギアシフトが完了しているからこそ、自信を持って、このように発表しました。

以上が、2025年3月期の通期決算のご説明です。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。

質疑応答:自社株買い、ライツ・オファリング、新株予約権について

司会者:「株価対策として、自社株買いやライツ・オファリング、新株予約権を発行することで、資金調達と減少した株数を回復させる手段は取れないのでしょうか?」というご質問です。

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