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竹林彰氏(以下、竹林):本日はご多用のところ、2024年度決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。日産東京販売ホールディングス株式会社 代表取締役社長の竹林彰です。どうぞよろしくお願いします。
本日はスライドのような流れでご説明します。まず当社グループの概要、続いて2024年度の連結決算の概要、2025年度の見通しについてお話しした後、中期経営計画の進捗状況、そして最後に、人的資本の充実に向けた取り組みについてご紹介します。
当社の概要
当社のグループ概要についてご説明します。当社は1942年に設立し、本年度で84年目を迎えます。現在の日産東京販売ホールディングスの体制は2011年からになるため、本年度で15年目になります。
従業員はグループ全体で約3,000名です。当社グループはモビリティ事業を軸に、連結5社、非連結3社の合計8社で構成されています。
モビリティ事業を中心としたグループ
日産東京販売を中核に、新車販売・中古車販売や車両整備、タクシー、カーシェア事業、キャンピングカーの企画販売や車両輸送など、幅広くモビリティ事業をカバーする体制となっています。これらをグループ内で連携・補完することで、シナジーを相互に発揮しながら成長を加速させている点が、当社の大きな強みです。
ビジネスモデル
当社グループでは、モビリティのワンストップサービスを目指しています。新車販売はもちろん、購入の際に提案するオプション部品や保険といったお客さまをサポートする商品やサービス、整備をはじめとしたアフターサービス、カーライフをサポートする事業をトータルで展開しています。
例えば、新車の買い替え時に、これまで使っていた車を買い取り、中古車の商品車両として再販するなど、1台の車からさまざまなかたちで価値を提供しています。さらに、モビリティ関連事業の統合運営により、グループ間のシナジー効果を高め、グループ全体で収益の拡大を目指していきます。
2024年度 決算実績
2024年度の連結決算の概要についてご説明します。売上高は前年同期比4.9パーセント減の1,416億円、営業利益は前年同期比14.9パーセント減の74億円、経常利益は前年同期比11.9パーセント減の74億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比41.2パーセント減の43億円となりました。
この要因は後ほどご説明しますが、売上高は2024年度が新型車投入の端境期であったことから減少しています。当期純利益の減少は、連結子会社の売却益という特殊要因が影響しています。
2024年度の収益は、ほぼ年度当初の業績予想どおりの結果を出すことができ、営業利益は過去5年の平均54億円に対して、その水準を大きく上回り、過去2番目の実績となりました。
2024年度 売上高
売上高の内訳では、新車販売が53パーセントと約半分を占めています。
前年度からの増減分析では、新車は新型車投入の端境期であったことに加え、前年度の上期に新車の納入が集中した反動により、64億円のマイナスとなりました。一方で、中古車販売は小売に注力した結果、販売単価が上昇したことで19億円のプラスとなっています。
整備事業は継続入庫の安定によって11億円のプラスと堅調に推移しています。また、前年度の連結子会社1社の売却影響により、情報システムは39億円のマイナスとなりました。
2024年度 営業利益
営業利益においては、スライドの円グラフで示したとおり、新車販売が27パーセント、中古車販売が15パーセント、整備事業が35パーセント、収入手数料が23パーセントと、複数の収益源がバランス良く構成された、安定したポートフォリオとなっています。
前年度からの増減分析では、新車は販売台数の減少を電動車の高い販売比率と提案型営業でカバーした結果、16億円のマイナスにとどまりました。中古車は、小売販売比率の向上による販売単価の上昇が貢献したことで6億円のプラスとなり、過去最高益を記録しています。
ストック収益である整備事業は4億円のプラスとなりました。整備事業の一角である車検館が3期連続で過去最高益を更新し、増益に貢献しています。
営業利益 営業利益率 推移
スライドのグラフは、前中期経営計画以降の営業利益と営業利益率の推移です。営業利益および営業利益率とも、現中期経営計画の開始以降、順調に伸長してきました。2024年度の営業利益は74億円となり、当社グループが発足した2011年度以降で過去2番目の高水準です。
今後も付加価値の高い商品やサービス、もしくはその提案、そして整備事業や中古車販売などの収益事業を伸ばすことで、安定した成長を目指していきます。
2024年度 決算のポイント
決算のポイントをご説明します。新車販売台数は約2万4,000台となりました。このうち、電動車の構成比率は引き続き9割以上を維持しており、新車販売収益の源泉となっています。
個人リース販売は2年連続で、それまでの水準の170パーセント以上となる5,200台以上になりました。個人リースの商品「P.O.P(ポップ)」は、5年契約のお客さまが大半ですが、その商品特性から、契約の3年後に7割を超えるお客さまが新車に乗り換えるという特徴を持っています。
つまり、2023年度、2024年度に販売した5,200台の7割、年間約3,600台の新車への乗り換えが、2026年度、2027年度に期待できることになります。そうなれば、これまでの水準よりも1,500台以上増加することになります。
このように個人リースの販売を拡大することで、代替サイクルを短縮し、リピート顧客の獲得と将来の代替需要の創出につなげ、安定収益の拡大を図っていきます。
2024年度 決算のポイント
中古車販売は小売に注力した結果、小売比率が4割まで上昇したことで販売単価も上がり、収益性が向上しました。中古車販売でも、2023年度から個人リースを展開しており、その契約台数は前年比で倍増しています。今後のリピート顧客基盤の拡大につなげていきたいと思っています。
整備事業では、日産東京販売の13万人にも及ぶメンテナンス会員の安定した整備入庫を軸に、マルチブランドで事業を展開している連結子会社の車検館が、3期連続の過去最高益と好調を維持しています。
財務状況
財務面では、安定した収益を背景とした健全な財務体質の下、積極的な投資と安定的な還元の両立を実現しています。成長のための投資を積極的に行った結果、総資産は28億円増加しましたが、資本効率を踏まえて借入を実施した結果、負債は36億円増加しています。
一方で純資産は、自己株式取得などの株主還元の強化により8億円減少しました。この結果、自己資本比率は前期末と比べて2.7パーセント減少し、58.3パーセントになりましたが、引き続き健全な財務基盤を維持しています。
2024年度 株主還元
2024年度は株主還元の一環として、700万株の自己株式の取得を実施しました。この結果、配当と合わせて、総還元性向は103.8パーセントに達しています。年間配当は1株あたり24円とし、5期連続で累進配当を継続しています。
今後も株主還元と成長投資の両立を基本方針とし、中長期の企業価値向上に資する還元を実施していきたいと思っています。
2024年度 TOPICS 店舗ネットワーク刷新を加速
2024年度のトピックスをご紹介します。店舗ネットワーク刷新の取り組みとして、7店舗の新規出店や移転・建替えを実施しました。これらのリニューアルにより、お客さまの利便性を向上することで、集客力が高まり、収益機会の拡大が期待されます。
同時に、EVに対応したインフラや災害時支援機能の整備が進み、お客さま・地域社会のみなさまが安心・安全に過ごせるような状態に貢献していると思っています。これらは中期経営計画に掲げる投資戦略の一環であり、今後も引き続き、お客さまの利便性と環境対応を両立したネットワーク作りを推進していきます。
2024年度 TOPICS 地域社会への貢献
地域社会との共生を重視した活動にも注力しています。具体的には、EVを活用した地域自治体との防災協定の締結や、自社農園である「三郷ファーム」を活用した子ども食堂への支援、店舗・事業所のネットワークを活かした、東京都が主催する「TOKYOこども見守りの輪プロジェクト」への参画などです。地域社会とともに歩む企業として、さまざまな取り組みを実施しています。
また、交通事故による被害者救済を目的として、交通遺児育英会への寄付を11年連続で行いました。今後もモビリティを通じて、地域社会に笑顔を届けられる存在でありたいと考えています。
2025年度 業績予想
2025年度の業績見通しについてご説明します。2025年度の国内における新車の全体需要は、車両供給遅延の解消や新型車の発売により、前年度を上回ると想定しています。中古車販売市場は、需給バランスの改善が進み、前年度まで継続していた高水準の相場は緩やかに落ち着くと想定しています。
業績予想としては、売上高は前年同期比2.4パーセント増の1,450億円、営業利益は前年同期比5.6パーセント減の70億円、経常利益は前年同期比11.8パーセント減の65億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比7.2パーセント減の40億円を見込んでいます。
売上高は、新型車の効果による新車販売台数の増加や、店舗刷新の効果などにより増収を見込む一方で、利益面では、積極的な投資による費用の増加や、物価上昇によるコスト増を織り込んだ計画となっています。今後も、持続的成長を見据えた積極的な投資を継続していきます。
2025年度 業績予想のポイント
業績予想のポイントです。新車販売においては、2025年度に新型「リーフ」など2車種の新型車投入が予定されており、これにより販売台数の押し上げを図るとともに、販売単価の向上を見込んでいます。
さらに、これまで実施した店舗の建替え・リニューアルにより、より快適で魅力的な店舗空間を提供できるようになり、集客力・商談力の両面でプラスの効果を見込んでいます。加えて、営業支援ツールとして、AIを活用した商談力強化のためのシステム導入を進めており、販売活動の効率化と受注率の向上を目指します。
また、個人リースについても、新車・中古車の両面で引き続き販売拡大に取り組み、将来の販売機会の拡大につなげていきます。これらの取り組みにより、新車販売・中古車販売・整備事業のすべての領域で、お客さま満足度のさらなる向上と、中長期的な収益基盤の強化を図っていきます。
営業費におけるコスト増については、試乗車の運用や在庫管理を適正に進めるなどの効率化によって、最大限吸収していきたいと考えています。
2025年度 配当予想
2025年度の配当予想についてご説明します。当社では、成長性を確保するための内部留保にも考慮しながら、安定的に配当することを基本方針としており、企業価値の向上と株主還元の両立を目指しています。
2025年度の年間配当は1株あたり24円と、2024年度と同額を予定しています。今後も持続的な利益成長のもとで、人的資本やDX、店舗ネットワークの刷新などの成長投資にも積極的に取り組むとともに、安定的な還元を実施していきます。
中期経営計画〔FY23-FY26〕 進捗状況
菊池毅彦氏:専務執行役員の菊池毅彦です。ここからは、中期経営計画の進捗についてご説明します。
2023年度にスタートした4ヶ年の中期経営計画では、「電動化リーダー」「安全・運転支援技術」「モビリティ事業」という3つの成長戦略を柱とした取り組みを進めています。加えて、企業の持続的な成長のため、これまでにない規模の投資を実行しています。
これらの取り組みは順調に推移しており、掲げている財務目標値は達成軌道に乗っています。中期経営計画の最終年度である2026年度に向けて、引き続きグループ一丸となって取り組んでいきます。
中期経営計画 重点成長戦略 進捗状況
戦略テーマごとに具体的な進捗をお伝えします。まず、電動化リーダーについてです。
当社のEV販売は、2024年度末で累計1万6,000台を突破しました。2024年度の日産ブランドのEV販売シェアは33パーセントと、東京都内でトップシェアを維持しています。
2010年に初代「リーフ」を発売して以来、「アリア」「サクラ」をラインアップに加え、EVの販売を継続しており、その間に培ったパイオニアとしてのノウハウは、当社の大きな強みとなっています。
今後もEV市場は中長期的に大きく成長していくものと見込んでいます。当社の強みを活かし、将来にわたりEV販売のトップランナーであり続けるよう、さまざまな施策を実施していきます。
中期経営計画 重点成長戦略 進捗状況
販売に加えて、インフラの拡充にも力を入れています。3月にオープンした「日産東京 八王子店」では、エネルギーマネジメントに取り組んでいます。太陽光発電により昼間の電気をまかない、余った電力をEVの再生バッテリーに蓄電し、夜間や非常時に利用するシステムを導入しました。
また、EV市場の拡大を見据えて、EVの特性に対応した重整備リフトの導入や、EVユーザーのみなさまがいつでも利用できる急速充電器の更新など、店舗の設備強化を進めました。新車販売店舗には、EVのバッテリーを電源として活用できる「パワー・ムーバー」を配備するなど、災害時にも活用可能な地域インフラとしての機能も担います。
こうした取り組みを通じて、販売・インフラの両面から、電動化リーダーの戦略を推進しています。
中期経営計画 重点成長戦略 進捗状況
安全・運転支援技術の取り組みについてご説明します。当社が販売する車両のうち、「プロパイロット」などの先進運転支援システムの標準装備、オプションなどの設定率は97パーセントであり、安全への高いニーズに対応したラインアップとなっています。
これらの車両の普及により、2024年度の当社取り扱いの自動車保険における事故率は、2年前と比べて10パーセント以上減っており、年々減少傾向にあります。お客さまの安心・安全なカーライフを支える基盤が着実に整ってきています。
整備体制においても、ITを活用した車検システムの導入や、整備士の採用・育成にも注力することで、整備品質と生産性の向上を図っています。今後も最新技術に対応しながら、進化するモビリティ社会を支える整備体制の構築を進めていきます。
中期経営計画 重点成長戦略 進捗状況
モビリティ事業に関する取り組みをご説明します。新たなモビリティの保有形態である個人リースは、当社の強みであり、当社の保有台数は2024年度末時点で1万6,000台となりました。個人リースによる保有台数の増加は、早期買い替えによる一定期間内の新車販売の増加に加え、当社への定着率の向上にも貢献します。
また、レンタカー事業についても順調に事業成長しています。当社は、従来の自動車販売・整備事業にとどまらず、お客さまの多様なモビリティへのニーズに応えるべく、今後も事業領域を拡大していきます。
中期経営計画 投資戦略 進捗状況
中期経営計画における投資戦略の進捗状況についてご説明します。当社グループでは、持続可能な成長を支える基盤として、店舗ネットワークの刷新、DX推進、人財への積極投資を進めてきました。
中期経営計画の期間中に予定している300億円の投資は、その効果の早期実現を目指し、前倒しで実行してきました。すでに決定した223億円の投資は、中期経営計画の後半において効果を発揮するものと期待しています。
成長に必要な投資については、300億円の枠にとらわれず、今後も積極的に進めていきたいと考えています。これらの成長戦略と積極投資を通じて、当社グループの持続的な成長を目指していきます。
人的資本の充実に向けた取り組み
竹林:人的資本の充実に向けた考え方についてお話ししたいと思います。小売業である当社グループにとって、人財は最も重要な財産であり、人的資本の充実は最重要課題と考えています。
社員一人ひとりが安心して、やりがいを持って働ける環境作りのために、スライドの図にあるような実態の把握と分析をベースに、考え方のベクトルを合わせ、多角的・包括的にさまざまな施策を実施しています。今後も、多様な人財が当社グループの中で活躍できるよう、人的資本の充実に最大限注力していきたいと思っています。
本日のご説明は以上です。持続的な成長に向けて着実に歩みを進めていますので、今後の当社にどうぞご期待ください。ご清聴ありがとうございました。