目次
崎山一弘氏(以下、崎山):株式会社シーボン代表取締役社長執行役員の崎山です。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にお越しいただき誠にありがとうございます。
本日は、管理本部責任者の松本から2025年3月期の決算をご報告します。その後に、私からその補足、および2026年3月期に向けたトピックスをご説明します。よろしくお願いします。
2025年3月期 連結決算のポイント
松本裕右氏:執行役員管理本部責任者の松本です。2025年3月期の決算をご報告します。まず、連結決算のポイントについてです。
売上高においては、キャンペーンや新製品が功を奏し、新規顧客・既存顧客ともに購入単価が上昇したことにより、直営店舗の売上高の増加が大きく牽引しました。連結では前年比4パーセント増の88億3,800万円で着地しています。
利益面においては、ブランディングプロジェクトに伴う制服やリネン類のリニューアルを行ったこともあり、販売管理費が前年に対して増加しました。結果として、営業利益は1億7,100万円、経常利益は1億7,200万円、当期純利益は1億3,600万円と黒字での着地となりました。
2025年3月期 連結PL
連結PLの内訳です。売上高においては、今お話ししたとおり直営店舗が牽引し、前年比4パーセント増で着地しました。販売管理費においては、リブランディングに関する費用や、本社ビル竣工に伴う減価償却費などを計上した結果、前年同期に対して約2億円の増加となっています。
特筆すべき点としては、2025年3月期における業績動向および今後の業績見通しを踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、法人税等調整額に法人税等調整額(益)を7,800万円計上し、法人税等合計は200万円となっています。
繰延税金資産
法人税等調整額の補足です。2020年3月期から2024年3月期のうち4期で純利益が赤字でしたが、当期は黒字化したことで、将来にわたり課税所得が発生すると見込まれます。そのため、監査法人と計上の妥当性を鑑み、貸借対照表の繰延税金資産を計上しました。
繰延税金負債と繰延税金資産を相殺した結果、2024年3月期末の貸借対照表における繰延税金負債約7,800万円に対して、2025年3月期末はゼロとなり、2025年3月期末の繰延税金資産は約298万円の計上となりました。
PLにおいては、繰延税金資産および繰延税金負債の変動に伴い、その他の調整額を加味した上で、法人税等に関する法人税等調整額(益)を約7,800万円計上しています。
収益認識に関する会計基準による影響
収益認識に関する会計基準によるPLへの影響です。前期となる2024年3月期においては、10月に実施した会員規約改正の影響もあり、売上高に対して2億100万円の下押し要因となりました。
一方で、当期においてはポイント利用の促進や店舗の施行促進などの施策の効果もあり、プラス1億4,500万円の上昇要因となりました。
営業利益差異分析(前期比)
営業利益における前期との差異分析です。売上高の増加に伴い、賞与などの人件費の増加や、六本木本社ビル竣工による減価償却費が増加しました。
ブランディング関連では前期同様に投資を実施した反面、イベントによる新規集客において効率性を重視した結果、広告宣伝費などについては前期と同水準となっています。
その他に、ブランディングプロジェクトによる消耗品の増加などにより販管費は増加したものの、売上高の増加が大きく寄与することで、営業利益は前年を大幅に上回る着地となりました。
貸借対照表
貸借対照表です。流動資産においては、主に六本木本社ビル建替えに伴う支払いの影響で、現預金が減少しています。固定資産においては、建物および構築物が増加しました。
流動負債については、主に収益認識に関する会計基準に伴う契約負債が減少しています。要因としては、店舗でのポイントの利用促進や施行促進の効果によるものです。それ以外には大きな変動はなく、自己資本比率は66.9パーセントと微増で推移しています。
販売チャネル別 売上高
販売チャネル別の売上高についてご説明します。主要チャネルである直営店舗の売上高は83億400万円、通信販売は2億7,300万円、国内代理店は1億4,100万円、海外代理店は1,500万円、子会社を含むその他は1億400万円という実績となりました。
主力事業である直営店舗の売上高は、新規顧客・既存顧客ともに購入単価が増加し、増収となりました。
子会社のジャフマックにおいては、前期末の自主回収の影響を受け、今期は事業の再拡大に向けて取り組みました。しかし、製品の開発や調整に時間を要したことにより進捗が遅延し、前期実績を割り込む結果となっています。
一方で、前期実績の水準への回復には至っていないものの、現在、回復基調となっています。引き続き、新製品の投入なども含めて営業力を強化することで、再拡大に努めていきます。
新規顧客の状況 -直営店舗-
直営店舗における新規顧客の状況です。店舗人員の不足もあり、顧客単価の高い層に絞ってアプローチを強化したため、新規来店者数は前年比100.3パーセントとほぼ横ばいでの着地となりました。
一方で、新規の集客数を絞ったことが功を奏し、新規顧客の購入単価が大きく増加したことで、新規顧客の売上高は前年比112.7パーセントと2桁成長となりました。
既存顧客の状況 -直営店舗-
直営店舗における既存顧客の状況です。既存顧客の来店顧客数となる継続数に関しては、第3四半期の12月まで前年を割り込む状況が続いていましたが、1月以降は持ち直し、増加傾向に転じたものの、12月までの乖離を埋めるには至らず、前年比97.4パーセントとなりました。
しかし、ロイヤル顧客の増加や高単価製品の投入、リブランディングによる訴求力の強化により、既存顧客の購入単価も前年を大きく上回りました。既存顧客の売上高は、前年比105.3パーセントとなっています。
月次売上高の推移 -直営店舗(役務収益を含む)-
直営店舗の月別の売上高推移です。購入単価の増加により、概ね各月で前年を超える実績となりました。加えて、1月以降においては購入単価の増加を維持しつつ、既存顧客の来店顧客数となる継続数も増加傾向に転じたため、3ヶ月ともに2桁成長となり、想定を超える好調な結果となりました。
2024.3期-2026.3期 中期経営計画
崎山:ただいま松本がご報告した実績の詳細、および2026年3月期に向けた取り組みについてお話しします。
2025年3月期は中期経営計画の2期目として、製品戦略としての「製品価値向上」、顧客戦略としての「サロン価値向上」、販売チャネル戦略としての「新しい価値の創造」という3つの重点課題に向けて、各戦略を実行してきました。2026年3月期に向けても引き続き、3つの重点課題の完遂に向けて取り組んでいきます。
製品価値向上 / サロン価値向上
課題の中の「製品価値向上」「サロン価値向上」について、進捗をご報告します。まず、期中の主な取り組みについてです。「製品価値向上」においては、3件の学会発表、主力製品のリブランディング、製品のパーソナライズ化を推進してきました。
「サロン価値向上」については、直営サロン9店舗の移設改装、CS・ES向上に向けたスタッフ教育を強化しました。また、ロイヤルカスタマーを対象にした工場見学等も行ってきました。
製品価値向上
「製品価値向上」に向けた取り組みの中での主な研究発表です。「効果実感の高い製剤技術」「独自の皮膚科学研究成果」「サービス研究」を深化させていくことで、引き続き優位性、また独自性の高い技術開発を目指していきます。
販売につながるエビデンスの解明、既存サロン事業の販売力アップ、新たな販売チャネルの創出にもつなげていきたいと考えています。引き続き、企業理念に則ったR&D(研究開発)に経営資源を投入していきます。
製品価値向上
期中にスライド左側に掲載のクレンジングライン(全8品)のリニューアルを行いました。幅広い顧客層にリーチするために、デザインを刷新しました。購入された顧客アンケートにおいては、8品目の平均満足度で90.2パーセントとなっています。新たな顧客層との、よりカジュアルな接点作りを目指していきたいと考えています。
スライド右側に記載の「ビヨンド」シリーズは、ロイヤルカスタマー限定製品として、2品を完全受注生産にて販売しました。こちらも、購入された顧客アンケートにおいて、クリームが97.2パーセント、セラム(美容液)が92.3パーセントという満足度となっています。
製品価値向上
スライドは「製品価値向上」に向けたR&Dの計画です。現在、第2フェーズに入ったところです。シーボンメソッド(美容理論)の再構築に向けて取り組んでいます。
アンチストレスに向けた研究をより深化させていくことで、サロン発信のメーカーとしてのアイデンティティをしっかりと確立していきたいと思います。
サロン価値向上
「サロン価値向上」についてです。直営サロンについては、新規売上・継続売上ともに増収となっているものの、スタッフの確保というところが喫緊の課題となっています。給与のベースアップの実施、育児短時間勤務制度の拡充等を行ってきましたが、未だスタッフ不足が否めない状況です。
社内ホームページでは、すでに出産・子育てを終えたスタッフのキャリア形成における体験談を発信しており、ナレッジの共有を図っています。今後も人材戦略、人材マネジメントの策定・整備を進めて、人材確保に向けて注力していきます。
サロン価値向上
スタッフ教育についてです。昨年9月に本社内に研修施設を移転したことにより、スタッフ教育を強化しています。
本社で行われるすべての講習を動画化することで、受講後も個人個人でその振り返りを行い、学びを進めることができるような施策も同時に進めています。また、それぞれの研修・会議においては、経営陣もすべて参加し、その研修の中で、理念の共有、想いの共有、また目的・目標の共有を徹底して行っています。
サロン価値向上 | 店舗開発計画
「サロン価値向上」における店舗開発計画です。前期は新規出店が3店舗、閉店が1店舗、移設リニューアルが1店舗、リニューアル改装が8店舗となりました。今期においては、新規出店が1店舗、移設が2店舗、リニューアル改装が9店舗の計画で進めていきます。
新たな価値の創造
中期経営計画における重点課題の中の「新たな価値の創造」についてです。直営サロン事業においては、SNSの強化、イベント実施方法の工夫とブランディングに伴う市場への発信を強化してきました。また、新たな顧客層との接点拡大を目的に、本社ビル1階にコンセプトショップを新規オープンしました。
国内代理店事業については、既存代理店のオーナーの高齢化等、主力代理店の売上がやや減少傾向にあります。一方で、新規代理店の開拓に注力した結果、新たな代理店契約も現在進んでいます。今後も引き続き、新規代理店開拓を積極的に進めていきます。
新たな価値の創造
2025年1月に本社ビル1階にオープンしたコンセプトショップについてです。当社初のジェンダーレスサロンとしての展開など、既存店舗との差別化を図っていきます。
既存サロンのホームケアとサロンケアという、どちらかというとシステム主体のコミュニケーションから、これからは製品からサロンへ、お手入れメニューから製品といった、新たな商流を作ることにもトライアルしていきたいと思っています。
製品認知の拡大とともに、立地やターゲットのサービスニーズに合わせたメニュー開発を今後も行っていきます。
新たな価値の創造
ヘア事業においては、現在3店舗で展開しています、ヘアサロン「neaf(ニーフ)」が順調に売上を拡大しています。直営サロンと併設している蒲田店に関しては、フェイシャリストサロンのお客さまとの相互送客も順調に結果が出始めています。今後は、このような展開も検討の上、進めていきたいと考えています。
新規事業である「イマトリ」については、2025年3月期は新たに2店舗を出店し、現在3店舗の展開となっています。現状、利益計画に対しては未達となっていますが、今後、認知度の拡大をしっかりと進めていき、早期の黒字化を目指していきます。
海外事業については、中国での販売が大幅に落ち込んでいます。現在、マッチングのイベント等の出店に注力し、新たな取引先の開拓を進めています。今後は安定した成長が見込める地域に注力し、開拓を進めていきたいと思っています。
新たな価値の創造
子会社「ジャフマック」についてです。昨年、発酵時におけるアルコール基準等の問題があり、一時、生産・出荷を停止していましたが、現在、生産・出荷ともに再開しています。しかしながら、当初の計画より発売再開時期が遅れたことにより、売上高は減少での着地となりました。
今期に関しては、新たな製品の投入や直営のフェイシャリストサロンでの販売を強化することで、子会社「ジャフマック」の売上高アップにつなげていきたいと考えています。
ブランディングプロジェクト
2023年からスタートしている「ブランディングプロジェクト」の進捗についてです。2025年1月にリブランディング発表会を開催しました。当日、多くのメディア関係者やインフルエンサーにご来場いただき、当社の創業時から守り続けてきた化粧品に対する想い、また、研究開発から製造販売に至るまでの一貫したこだわりを会場で発信しました。
今後もこのようなブランド認知度の拡大に向けて、情報の発信を強化していきたいと考えています。
ブランディングプロジェクト
「ブランディングプロジェクト」は、現在、第2フェーズに入っています。2026年1月に、当社は創業60周年を迎えます。現在、創業60周年のプロモーションに向けて、インナーブランディングを強化しています。
「シーボンらしさとは何だろう。他には真似できない強みって何だろう。どんな価値を提供できるのだろう。何のために存在しているのだろう」といったことに関しても、やはり全スタッフの意識を高めていくことで、単なるブランディングというメッセージの発信だけでなく、全スタッフで具体的な行動をしていきたいと考えています。
お客さまから共感を得て長く支持されるために、シーボンらしさを追求・提案し続けていきたいと考えています。
計数目標 | 業績予想
業績予想です。2026年3月期は、売上高91億2,300万円、営業利益2億100万円、経常利益2億900万円となっており、達成に向けて取り組んでいきます。
計数目標 | 中期計画
営業利益率は、前期1.9パーセントに対して、今期2.2パーセントを想定しています。
株主還元 | 配当
最後に、株主還元についてです。2026年3月期1株あたりの配当金は、中間10円、期末10円を計画しています。今期の業績予想の達成に向けて、中期経営計画に掲げる3つの重点課題の完遂を目標に取り組んでいきます。