要旨

三宅孝之氏(以下、三宅):株式会社ドリームインキュベータ代表取締役社長の三宅です。本日はお忙しい中、ご参加いただき誠にありがとうございます。2025年3月期決算についてご説明します。よろしくお願いします。

本日のサマリーをお話しします。2025年3月期の業績全体では、売上高61億8,000万円、営業利益2億5,000万円、純利益1億7,000万円となりました。

メイン事業であるビジネスプロデュースは、売上高54億5,000万円、前年同期比プラス8パーセント、営業利益マイナス3,000万円となりました。上期は大型プロジェクトの終了時期が重なった影響などにより出遅れましたが、下期は受注が積み上がり、下期の営業利益はプラス4億8,000万円を計上しています。

ベンチャー投資については、3件の売却を中心としたキャピタルゲインを計上し、営業利益はプラス2億8,000万円となりました。

この3年間の中期経営計画を踏まえ、今後目指していくことは、まずビジネスプロデュースの規模拡大の推進です。人員は3年前の3倍に増強することができたため、次は5年後を見据え、規模と収益性のバランスを取りながら継続成長を目指します。具体的には、売上高2倍、CAGR15パーセント以上、営業利益率15パーセント以上を目標として掲げています。

ベンチャー投資と事業投資を合わせたインキュベーション事業は、収穫を進めて、3年間で投資簿価は79億円から22億円となりました。今後も引き続き収穫を進めていきます。

株主還元については、中期経営計画期間の3年間で約束した100億円の株主還元を実現しました。特別還元は終了しますが、今後も継続的な還元強化に取り組んでいく考えです。なお、2026年3月期の期末配当予想は10億円を予定しています。

2025年3月期 連結P/L

決算の状況についてお話しします。

こちらは連結P/Lの結果です。売上高は全社で61億8,000万円、営業利益は2億5,000万円、純利益は1億7,000万円となっています。

ビジネスプロデュースの売上

ビジネスプロデュースの売上の状況です。スライド左側のグラフは通期計画との対比を示しています。昨年4月に修正した通期計画73億円に対する達成率は75パーセントとなりました。

右側は四半期ごとの売上推移です。上期は出遅れましたが、下期以降は受注が積み上がり、次の期に良いかたちでつなげることができたと思っています。

月次・四半期での累積売上推移

月次・四半期での累積売上推移の状況です。前のページでご説明した内容と同様の要点を示しているため、ご参考までにご覧ください。

ビジネスプロデューサーの人員数推移

人員数の推移です。2022年3月末時点では58名だったビジネスプロデューサーは、2025年3月末までに160名に拡大しました。もともと期初に想定していた196名という人員数とは乖離がありますが、これは売上拡大のペースに応じて採用ペースをコントロールした結果とご理解ください。

ベンチャー投資:ポートフォリオと時価の状況

ベンチャー投資のポートフォリオです。中期経営計画の方針は、「適切な収穫を行っていく」というものであり、今期は主に3社の売却を実現しました。今後も引き続きこの方針に沿って進めていきます。

インキュベーション事業パフォーマンス

参考として、事業投資・ベンチャー投資のこれまでの累計キャッシュフローのパフォーマンスをまとめましたので、適宜ご覧ください。

2025年3月 連結B/S

連結バランスシートの状況です。2024年3月末は151億円だった純資産は、12億円の前期末配当、10億円の当期中間配当により、2025年3月末は131億円となりました。今後もさらなる資本効率の向上に努めていきます。

中期経営計画(23年3月期〜25年3月期)の位置付け

次に、中期経営計画の振り返りについてお話しします。2023年3月期から2025年3月期の中期経営計画では、構造改革期と位置付け、ビジネスプロデュース事業の拡大とインキュベーション事業の収束を推進してきました。

ドリームインキュベータ最大の差別性は、ビジネスプロデュースにあります。構造改革前はこれをフックとし、インキュベーションで拡大する事業構造でした。しかし、これからの時代ニーズを鑑みると、むしろこの差別性であるビジネスプロデュースそのものを、最大限スケールしていくことが最適だと判断し、改革を決断しました。

後ほど詳しくご説明しますが、この中期経営計画期間で一定の拡大を実現することができました。これを踏まえ、今後は継続成長フェーズとして引き続きビジネスプロデュース事業に注力し、ミッションの実現に邁進していく考えです。

構造改革と成果

構造改革の概要と現時点の成果をまとめています。今回の構造改革では、ボラタイルなインキュベーション事業のアセットを売却することで規模を縮小し、その収穫した資金や培ったケイパビリティを、ビジネスプロデュース事業の人的資本へとシフトしていくことを目指しました。

その結果、中期経営計画開始前の状況と比較して、ビジネスプロデューサーの陣容は58名から約3倍の160名となりました。この中には、サービスラインの拡張に合わせて採用したDX/IT等の領域に豊富な知見を持つシニアメンバーも多数含まれています。

また、中期的な仕込みとして、投資スキームを絡めた収益モデルのプロジェクトの実装・実践も開始しています。

ビジネスプロデュース事業:各施策は概ね狙い通り進展し、中長期成長への手応えは十二分

ビジネスプロデュース事業の拡大においては、サービスライン・陣容・協業・機能の4つの拡張を重点テーマとして進めてきました。この施策は概ね狙いどおり進展し、中長期成長への手応えを十二分に感じているところです。

サービスライン拡張は、戦略の実装フェーズ支援のほか、DX/ITなどの成長領域に対応するラインを構築し、概ね順調に成長させることができました。顧客へのコミットを強化したことで、さまざまな経営ニーズに対応するプロジェクトが増加傾向にあります。

DX/IT領域は立ち上がり、売上の3割を占めるまでに成長しました。今後さらなる成長ポテンシャルを活かしていきたいと考えています。

陣容拡張は、当初3年間でビジネスプロデューサーを倍増させる計画でしたが、中長期的な成長力の確保と採用環境を鑑み、採用を前倒しで加速した結果、約3倍の水準に達しました。また、この組織拡大に伴い、女性や外国人材など、ダイバーシティも一定進捗しました。

協業拡張は、電通グループや山口フィナンシャルグループとの資本業務提携を中心に、着実に強化・進化させています。

機能拡張は、コンサルティングフィーモデル以外の多様な収益モデルの実装・実践に取り組んでいます。その結果を踏まえ、今後も注力していくモデルの進化・拡大を検討していく予定です。

但し、売上は拡大(約2倍)したが、人員の伸び(約3倍)にまで見合っていない

ただし、売上は約2倍にまで拡大したものの、人員の伸びに見合う水準には達しておらず、結果として利益計画に対して未達となった点は厳に受け止めています。今後は人員規模に見合う売上に拡大し、収益性の向上を実現していくことで、早急な改善を図っていきます。

インキュベーション事業:投資の収穫は進む

インキュベーション事業の状況です。中期経営計画で掲げた「適切な収穫を行う」という方針に従い、投資先の売却を進め、185億円分のネットゲインを実現しました。

簿価ベースでは79億円から22億円となっており、将来の減損などによる損失リスクは大きく下がっています。今後も引き続きこの方針で進めていきます。

株主還元:3年間で総額100億円実施

株主還元です。ビジネスプロデュースを中心とした事業経営への移行に伴い、安定的な株主還元の強化も推進してきました。

本中期経営計画期間中は、アイペットなど大型の投資先の売却資金を原資に、総額100億円の株主還元を実行すると約束しました。結果として、特別配当72億円、自己株式取得28億円の還元を完遂し、3期分トータルでの総還元性向は103パーセントとなりました。

今後も株主目線の経営を意識し、さらなる企業価値向上を実現すべく、適切な株主還元を推進していきます。

今後の成長に向けて

最後に、今期、2026年3月期の計画についてお話しします。まず、今後の成長に向けた総括的なお話です。DIがこの数年かけて進めてきた構造改革は、ほぼ一段落しました。

ビジネスプロデュースについて、規模を拡大し、サービスラインを拡充し、協業関係を強化させることで、今後の成長力を確保することができました。また、従来のインキュベーションは適切に収束させ、その価値をビジネスプロデュースに統合させることを進めてきました。

一方で、マクロ環境に目を向けると、DIにとっては大きなチャンスを迎えている状況です。日本企業を取り巻く環境の変化は著しく、新規事業の立ち上げに加えて既存事業の改革による企業価値向上の必要性が増しています。このニーズに対するDIの総合ビジネスプロデュース力のフィット感は極めて高いものです。

また、戦略の重要性の向上もさることながら、その戦略を実現させる価値も増しており、インキュベーションで培った実現力の高いDIへの期待の高さを日々感じています。

このような背景をしっかりと受け止め、DIを継続的な企業価値向上に導いていきます。規模と収益性のバランスを意識した成長路線を描き、採用した人員を早期に育成し、高いDIクオリティを維持・向上させていきます。表層的ではなく、より深く、より長期の支援にコミットできるDIの今後の成長にぜひご期待ください。

ビジネスプロデュース事業:今後5年で目指すこと

今後5年で目指すことをまとめました。前・中期経営計画期間中の実績として、売上高は3年で約2倍になり、CAGRは25パーセントを達成しました。一方で直近の営業利益率はマイナスにとどまっています。

これを受け、今後は規模と収益性のバランスを重視した継続成長を意識し、売上高は5年で2倍、CAGRは15パーセント、営業利益率は5年後に15パーセント以上を目指していきます。この目標達成に向けて取り組む内容を大きく2点、スライド右側に記載しました。

1点目は、時代の潮流を捉えた提供価値の進化です。これまでの主戦場であった新規事業のみでなく、既存事業へもビジネスプロデュースの領域を拡大していきます。具体的には、新規事業で培ったノウハウを既存事業の変革にも活用し、顧客の包括的支援に重点的に取り組みます。

この取り組みでは、戦略立案に加え、インキュベーションスキルやハンズオン支援の実績を活用し、伴走・実行・実現までを推進します。さらに、産業レベルの構想・ビジネスエコサイクル創りを活用し、顧客の成長を加速させる仕組みでレバレッジをかけていきます。

2点目として、これらを実現するためには、優秀なビジネスプロデューサーの存在が不可欠です。そのため、人材育成の強化や仕組みの充実、売上成長のバランスを意識した継続的な採用活動などを並行して進めていきます。

時代の潮流を捉え、新規事業から既存事業までビジネスプロデュースの領域を拡大

先ほども触れましたが、マクロ環境はビジネスプロデュースの領域に拡大を進めていくDIにとって、大きなチャンスを迎えています。スライド左側のグラフのとおり、東証主導のガバナンス改革・アクティビズムの台頭などを背景に、経営者は新規事業の具体化に加え、株主価値向上等への関心をますます高めています。そのため、既存事業の立て直しを含めた総合的な企業価値向上が強く求められる時代となっています。

これに対してDIでは、従来ビジネスプロデュースという独自のアプローチで、多くの新規事業の実現に向けた支援を行ってきました。

新規事業で培ったビジネスプロデュース力は、表層的でなく、既存事業を抜本的に変革していく際に必要となるスキルセットとの親和性が極めて高いため、実際にこの既存事業の変革領域でのご相談も増えてきています。

多様な提供価値を通じて、挑戦する経営者を包括的に支援

中期経営計画期間においては、このようなニーズに十分に応えられる体制・基盤作りに注力してきました。スライド左側に示したとおり、この3年間での支援メニューの拡張等により、多様な価値を提供できる体制となりました。

これを通じて右側の図のイメージで、新規事業の実現や既存事業の改革に本気で挑戦する経営者が直面する幅広い悩みに対し、各サービスラインで連携しながら、包括的に支援しています。このような顧客企業の数を増やし、その成長にコミットすることで、DI自身の成長も実現していきます。

DIの価値を担うビジネスプロデューサーの育成に注力し、成果を創出する組織へ

この打ち手を実現していくためには、DIの価値を担う優秀なビジネスプロデューサーの存在が不可欠です。そのため、採用した多様なプロフェッショナル人材を、早期に一人前のビジネスプロデューサーへと育成し、成果を創出する組織を目指しています。

入口となる採用においては、DIの「社会を変える 事業を創る。」というミッションに共感し、それを一緒に体現していきたいという志を持つプロフェッショナルを採用しています。サービスラインの拡張に伴い、DXコンサルタント、AIエンジニア、グローバル人材、ターンアラウンド人材など、これまで以上に多種多様なスキルを有する人材が集まっています。

スライド右側には、採用したプロフェッショナルを育成するための仕組みの一例を示しています。DIならではの特色を活かした育成プランにより、早期に一人前の人材になれるよう、入社直後からきめ細やかな支援を行う工夫を凝らしています。今後もビジネスモデルの進化・拡張に合わせ、育成の仕組みを継続的に改善・強化していきます。

今後5年間のビジネスプロデュース事業規模感

今後5年間のビジネスプロデュースの事業規模感をグラフで示しています。今後5年間のCAGRを15パーセント以上とし、売上高は5年後に現状の2倍、110億円以上を目指します。

あわせて、収益性の向上にもよりフォーカスし、5年後に15パーセント以上の営業利益率の達成を目指します。

2026年3月期はその第一歩として、売上高62億円、営業利益率4パーセント程度を達成する計画です。一定の売上成長スピードを保ちつつ、継続的な利益成長を実現していくべく、各施策を推進していきます。

2026年3月期 通期計画まとめ

2026年3月期単年の通期計画のまとめです。ビジネスプロデュースは今お話しした売上・利益水準を計画しています。一方、ベンチャー投資については見通しが立てにくく、例年どおり非開示としています。

ビジネスプロデューサー数に関しては、売上拡大とのバランスを取りながら採用を進め、2026年3月期末では180名程度の規模へ拡充する計画です。

配当に関しては冒頭でお話ししたとおり、1株106円、トータル10億円分の期末配当予想としています。

B/Sマネジメントと2026年3月期の株主還元

B/Sマネジメントと2026年3月期の株主還元の考え方についてです。スライド左側のグラフのとおり、前・中期経営計画の期間中は、資本効率を向上すべく株主還元を強化し、B/Sのスリム化を推進してきました。

結果として、純資産は3年前と比べて20億円強、減少しています。そして今後についても、現方針である、継続的な株主還元によるB/Sのスリム化を踏襲していきます。

ただし、M&Aなど、良い成長投資機会があれば、その検討も積極的に行っていきたいと考えているため、当面は年度ごとの状況に応じて柔軟に還元額を決定する方針です。利益の上振れが発生した際には、追加配当の検討を積極的に行っていきます。

この考え方をもとに、2026年3月期末の配当予想は10億円としました。継続的な利益成長を果たしながら、この施策を推進し、5年後の目標ROE15パーセント以上の実現に向けて邁進していきます。

以上でご説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:中期経営計画の開示を取りやめた理由について

質問者:中期経営計画の開示を取りやめた理由について、ご説明をお願いします。

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