アジェンダ
樋口荘祐氏(以下、樋口):株式会社グローバルインフォメーション代表取締役の樋口です。本日はお忙しい中、当社2024年12月期決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。
本日はアジェンダに従い、会社概要をご説明した後、今期2024年12月期の決算概要、続いて進行期2025年12月期の業績見通し、最後に今期新たに策定した3年間の中期経営計画「GII Vision 2027」の内容についてご説明します。
会社概要
はじめに会社概要です。スライドは当社グローバルインフォメーションの基本情報となっています。特段大きな変更はありませんが、昨年、株主優待制度を開始した効果もあり、株主さまの数が以前と比べて大きく増加しています。
連結子会社 株式会社ギブテック 概要
当社の連結子会社である株式会社ギブテックの概要です。引き続き、IoTの中で使われるLPWAネットワーク機器の製造・販売、その他、展示会・イベント向けソフトウェアの販売を主な事業としています。
メッセージ
当社は経営理念と併せ、メッセージとして「お客さまにとって真に価値ある世界中の市場情報を精査し、お届けすることが私たちの使命です。」を外部に向けて発信しています。
我々は世界5ヶ国に拠点を持ち、200社を超える調査会社とパートナーシップを結んでいます。お客さまの情報ニーズに的確にお答えするための調査レポートやカスタム調査等の提案を通じて、お客さまの意思決定を支援し、事業展開に寄与できる市場情報のプロバイダーとして事業を行っています。
当社事業について
当社の事業についてです。「市場・技術動向に関する情報提供事業」と「その他(IoT関連)事業」の2つのセグメントから成り、市場・技術動向に関する情報提供事業においては、市場調査レポートの販売が主な売上高を占めています。売上高の構成比としては約84パーセントとなっています。
市場・技術動向に関する情報提供事業では、委託調査、年間情報サービスなどの商品も取り扱っており、国際会議・展示会の事業もこちらのセグメントに分類されています。
その他(IoT関連)事業は子会社のギブテックで行っている事業です。連結売上高に占める割合は、現在1.7パーセントほどとなっています。
事業系統図
こちらのスライドは、市場・技術動向に関する情報提供事業の事業系統図を簡単に示したものです。左側に我々の仕入先となる海外調査会社、右側にお客さま、我々はその間に立って販売を行う役割を担っています。
我々が取り扱っている市場調査レポートなどの商品の特性から、当社はお客さまから受注後に海外調査会社に発注しています。そのため、基本的に在庫を持つ必要がなく、比較的リスクの低いビジネスモデルと言えるのではないかと思っています。
2024年12月期 連結決算 損益計算書サマリー
今期2024年12月期の決算概要についてご説明します。こちらは連結決算P/Lのサマリーです。残念ながら、売上高は前期比5.8パーセントの減収、営業利益も同様に前期比16.8パーセントの減益という結果となっています。
詳しい数字については、表中央に色で示すとおり、前期売上高29億1,700万円が今期27億4,900万円、減収幅1億6,800万円、減少率5.8パーセントとなっています。
売上総利益については、仕入価格低減等の努力もあり、前期の46.2パーセントから47.5パーセントと若干改善しています。数字としては13億4,800万円が13億400万円と4,300万円の減益にはなったものの、仕入価格低減の努力により、売上高ほどには減少率は大きくなっていない状況です。
販管費は前期比で4,500万円ほど増加し、8億6,700万円となりました。以上を差し引いて、営業利益は前期5億2,600万円から今期4億3,700万円に減少、減益幅は8,800万円、減少率16.8パーセントという結果となっています。経常利益以下はスライドのとおりです。
四半期ごとの売上高推移
四半期ごとの売上高の推移です。グラフからわかるように、当社は第1四半期の1月から3月に売上が偏る傾向にあり、今期も引き続き同様の傾向となっています。
前期と比べ、第1四半期はわずかに減収となりました。第2四半期で少し盛り返してはいたのですが、その後第3四半期、第4四半期と再び前期の売上高を下回る結果となっています。
各事業の状況
事業ごとの増減要因を示したスライドです。全体の売上高としては5.8パーセントの減収となっています。中でも、市場調査レポートの国内の売上は、上期は好調だったものの、下期以降に円安が一層進んだ影響から、前年同期を下回る結果となっています。
海外においては、韓国国内の景気低迷に伴い、昨年1年を通じて韓国支店の不調が続いています。結果として、市場調査レポート単体の売上高は、前年同期を7.8パーセント下回る結果となっています。
委託調査については、国内外ともに受注件数が増えています。なおかつ比較的高額なカスタム調査の案件もいくつか受注しており、売上高は前年同期比10.2パーセントの増収となっています。
年間情報サービスについては、国内は受注件数が昨年を下回りましたが、台湾等海外支店で売上高がわずかに増え、売上高は前年同期比ほぼ横ばいの1.8パーセントの減収となっています。
国際会議・展示会については、国内開催の国際会議を中心に参加者が徐々に戻ってきており、売上高も前年同期比54.9パーセントの増収となっています。ただし、全体の売上高に占める割合はそれほど高くなく、増収の影響も限定的だったと思っています。
その他、ギブテックで行っているIoT関連事業については、自治体等のスマートシティ案件に我々のデバイスを導入いただけるようなケースも増えてきています。また、昨年から本格的に取り扱いを始めた展示会用のDXツール「AiMeet」は、特に昨年下期に複数の展示会で導入・採用いただき、売上高は前年同期を上回っています。
拠点別売上高構成
市場・技術動向に関する情報提供事業セグメントの拠点別売上高構成を示しています。日本国内の売上高比率が75パーセント程度である点は大きく変わりません。
拠点ごとに売上高の増減を見てみると、台湾で3.3パーセントの増収という結果となりました。国内で4.8パーセントの減収、韓国においては景気低迷が長く続いている影響を受け、当社の韓国支店の売上も20.1パーセントの減収となっています。
韓国国内の政治情勢や不安定な状況はいまだ続いており、先行きが見通せないことから、しばらくは日本や台湾等その他の支店の売上で、韓国の減収幅をしっかりカバーしていく必要があると考えています。
カテゴリー別売上高構成
カテゴリー別売上高構成です。我々が取り扱っている市場調査レポートの商品は、商品ごとにそれぞれが属する産業分野をラベリングしてお客さまに販売しています。左の円グラフは、ラベルが付けられた産業分野ごとの売上高構成比を示しています。
通信・IT分野、マテリアル化学分野、医療機器分野、医薬品分野という順位になっています。これらは、例年、比較的売上高の構成比が高いカテゴリーとなっており、引き続きこのような分野での需要が根強いと思っています。
右側の表は、それぞれの産業分野に所属・分類される調査のトピック例、テーマについて、一例として示したものです。
営業利益の増減要因
連結営業利益の増減要因です。前期の営業利益が5億2,600万円でしたが、そこから韓国支店等で売上高を少し落とした影響により、売上総利益が前期比4,300万円ほど減少しています。
さらに、今期は将来に向けた採用のため、人件費をはじめとして販管費がかなり増えています。人件費単体で前期比2,800万円増加、その他プロモーション等の経費も前期比1,700万円ほど増加しており、今期の営業利益の減少幅としては合計8,800万円となっています。最終的に、営業利益は4億3,800万円で着地しています。
2024年12月期 連結決算 貸借対照表
連結決算の貸借対照表です。こちらも特段大きな変更はありません。例年どおり、純利益が現預金として積み上がっている分で、流動資産のうち現金及び預金が前期末比2億6,900万円増加しているのが一番大きな変化かと思います。
この結果、自己資本比率は78パーセントと、財務状況としては引き続き健全な状況が続いているのではないかと考えています。
2025年12月期 通期業績見通し
続いて、進行期の2025年12月期通期業績見通しについてご説明します。売上高は前年比10パーセントの増収、営業利益で9.4パーセントの増益を見込んでいます。数字については、連結売上高で30億2,500万円、増収幅2億7,600万円、増加率10パーセントとなっています。
営業利益は4億7,900万円、増益幅4,200万円、増加率9.4パーセント、経常利益は4億8,000万円、当期純利益は3億3,000万円と、それぞれ計画を立てています。
年間の1株当たり配当金額については、前期と同様60円を予定しています。これは特別配当等を含まず、すべて普通配当で実施する予定としています。
2025年12月期 事業区分別見通し
2025年12月期事業区分別売上高の増加要因について簡単に示したものです。まず、市場・技術動向に関する情報提供事業セグメントで主要事業となる市場調査レポート事業は、引き続き当社Webサイト掲載商品ラインナップの拡大により、集客力をさらに高めていきたいと考えています。
さらに、当社の仕入先である調査会社は、それぞれ自社でWebサイトを持っています。そちらから来たお客さまの問い合わせについては、我々と共有しながら、協力して対応する連携の取り組みも昨年から始めています。この取り組みを強化し、市場調査レポートの売上を着実に積み上げていきたいと考えています。
また、お客さまの情報ニーズもかなり多様化しています。現在200社程度の調査会社と提携していますが、さらにニーズに対応できる仕入先の調査会社の開拓に引き続き努めていきたいと考えています。
委託調査事業については、これまで委託調査のお客さま対応は、市場調査レポートの案件に携わる営業スタッフが並行して行うことが多かったのですが、今期より委託調査事業専任の営業担当者を置き、お客さまに対して、より迅速で手厚いサポートを実現する計画です。
こちらについても、引き続き市場調査レポートのカスタマイズ対応をお客さまからリクエストいただくようなケースも増えてきていることから、より単価の高い委託調査案件へのアップセルを狙っていきたいと考えています。
年間情報サービス事業については、昨年より新規のプロジェクトチームというかたちで販売を行う組織を立ち上げています。AIを使った市場情報プラットフォームなど、新しいタイプの商品についてもラインナップの拡大に努め、お客さまへのアプローチや提案の機会も増やしていきたいと考えています。
国際会議・展示会事業は、海外で行われる国際会議の参加者募集で少し苦戦していますが、国内開催ではお客さまの数が戻りつつあるため、こちらにリソースを注力していきます。プロモーションの内容についても、ボリュームと質をどちらも高めながら、当社Webサイトへの集客力を高めていきたいと思っています。
市場・技術動向に関する情報提供事業セグメントの売上高の見通しとしては、前期比9.2パーセント、2億4,900万円の増収を見込んでいます。
その他、子会社で行っているIoT関連事業については、IoTデバイスの販売において地方自治体によるスマートシティ案件の受注・納入をさらに増やし、加えて、当社の大口顧客であるTOPPAN株式会社への製品納入も引き続き行っていく予定です。
展示会向けのDXツール「AiMeet」は、昨年すでに複数のお客様に導入いただいています。お客さまの中には、年間を通じて複数の展示会を同じ主催者で開催しているケースもあります。その中で、導入済みの展示会からその他の展示会への横展開についても、現在お客さまと協議を進めています。
まだ「AiMeet」を利用していない展示会主催者のお客さまに対しても、個別にアプローチを行い、新規顧客、新規案件の獲得にも努めていきたいと考えています。
子会社単体での売上高としては、前期比58.3パーセントプラス、増収幅2,700万円を見込んでいます。
株主還元
株主還元についてです。今期も引き続き、中長期的な持続的成長及び経営環境の変化に耐えうる経営基盤充実のための内部留保とのバランスを考慮しつつ、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針とします。
配当金額については、昨年株主還元方針として開示しているとおり、DOE6パーセント以上、配当性向40パーセント以上を指標とし、これを維持するかたちで実施したいと考えています。
配当金額は当期の1株あたり60円を据え置いています。さらに、当期導入した株主優待制度も引き続き実施する予定です。内容としては、昨年と同様に、保有株式数200株以上の株主さまに対して2,000円分のQUOカードを提供させていただく予定です。
内外環境分析(3C分析)
ここからは、今期新たに策定した3年間の中期経営計画「GII Vision 2027」の内容についてご説明します。中期経営計画の策定にあたり、まず内外環境分析について、いわゆる3C分析で、「自社」「顧客・市場」「競合」の3つの観点からそれぞれ分析した内容を記載しています。
はじめに、自社の分析です。当社は業界で40年ほどの実績を持ち、全世界200社以上の調査会社との強固なネットワーク構築は、他社と比べて優位な点であると考えています。
市場調査レポート以外にも、委託調査や、昨年からはAIを活用した市場情報の商品についても取り扱いを始め、このような多様な製品に対応できる営業体制も徐々に整備できつつあります。
ただし、一方で売上高構成比を見てみると、市場調査レポートの販売が売上高全体の85パーセントほどを占めており、単一の事業に依存度が高い状況であると言えるかと思います。
財務的な観点で見ると、先ほどB/Sでも示したとおり、自己資本比率としてはかなり高い水準にありますし、内部留保として一定程度の手元資金もあります。このような手元資金については、確実に有効活用する手段について検討する必要があると考えています。
続いて、顧客・市場の分析です。トランプ大統領の再選、ロシア・ウクライナ問題の長期化など、さまざまな地政学的要因によって、全世界的に市場の不確実性がますます高まっていると言えます。それに伴い、我々のお客さまの調査トピック、調査ニーズも多様化・ニッチ化がさらに進んでいると日々感じています。
さらに、国内企業においては、現在の円安ドル高の為替状況から、海外進出・輸出ビジネスにとって追い風になっている今がチャンスだと思います。このような状況下で、我々が提供できる市場情報サービスがどのようなかたちでお客さまをサポートできるか、しっかり考えていく必要があると考えています。
最後に、競合の分析です。数年前からのトレンドで、一部我々の仕入先になっている海外調査会社が、AI翻訳機能等の技術を使って実際に日本語でWebサイトを作成し、直接日本のお客さまに自社製品を販売するような流れがますます増えてきています。
そのような中で、検索エンジン上でキーワード検索すると、我々のWebページと海外調査会社のWebページが同じようなかたちで検索結果に表示されるなど、検索エンジン上でもかなり競争が激しくなってきていると日々感じています。
当社は日本国内の企業として、地の利を活かし、この比較優位性を保ちながら、海外の競合との競争で着実に勝利していく必要があると考えています。
また、商品については、我々の脅威になる部分もあります。現在、市場調査レポート等の購入に代わり、市場調査業務に生成AIの技術を活用する動きが出てきています。
このような状況に対し、我々もただ指をくわえて見ているわけにはいきません。市場のトレンドを先取りし、これらの新技術をいち早く取り入れた商品などをお客さまに提案できるよう、積極的に取り組んでいく必要があると思っています。
中期経営計画テーマ
このような内外環境の分析に基づき、今中計の1つのテーマとして「総合市場情報プロバイダーへの進化」というキーワードを掲げています。このテーマは、当社の経営理念の一部である「最適な市場情報をタイムリーに提供し、社会の発展に貢献する」という使命に基づくものです。
ますます多様化しているお客さまの情報ニーズに対し、市場調査レポートの提供のみならず、委託調査やAIを使った市場情報や商品を販売し、全方位的に対応できる総合市場情報プロバイダーへ進化していくことを目指していきます。
この中で、主要事業である市場調査レポートの販売事業を着実に強化していきます。それに加えて、ニッチ化・多様化する顧客の情報ニーズに応える商品の取り扱いについても販売を推し進め、事業モデルの転換を同時に図っていきたいと考えています。
GII Vision 2027 重点施策
今中計の重点施策を箇条書きで示しています。「総合市場情報プロバイダーへの進化」を目指し、これらの重点施策に取り組んでいきたいと考えています。
重点施策概要
重点施策の1点目は、「委託調査事業への注力」です。ニッチ化・多様化するお客さまの情報ニーズに対し、市場調査レポートのみでなく、我々にとってより高単価な委託調査案件をしっかりと獲得し、売上の増加につなげていくことが必要だと思っています。
これを実現するために、今年から新たに委託調査を専任で担当する営業スタッフを配置しています。お客さまの情報ニーズや問い合わせに対し、柔軟かつ迅速に手厚いサポートが提供できる体制を整備していきたいと考えています。
また、お客さまからの調査の問い合わせの中には、例えば最新・最先端の研究成果に関するものや、大学・研究機関で行われている研究・技術のトレンドに関する調査など、調査を行う側にもある程度の知見やスキルが求められる、難易度の高い調査案件のリクエストも増えています。そのため、このような案件にも確実に対応できる体制を整えるべく、仕入先の開拓にも取り組んでいく方針です。
委託調査案件については、市場調査レポートの案件を入口として、レポートに興味を持ったお客さまとのコミュニケーションを通じ、委託調査の提案につなげていく機会も多くあります。営業スタッフ一人ひとりの対応力を十分に底上げし、委託調査案件のアップセル機会の増加にも注力していきます。
重点施策の2点目は「AIを活用した市場調査商品の拡販」です。市場調査業界で浸透しつつある生成AIの技術を活用した商品については、一部すでに取り扱いを開始していますが、今後は製品ラインナップの拡販にも取り組んでいきます。同時に、収益基盤の強化と新たな事業モデルへの転換も図っていきたいと考えています。
AIを活用した市場調査商品については、特に、昨年から取り扱いを開始したAIソフトウェア「Rover」を活用し、お客さまのデータベースや業務プロセスに合わせてカスタムした、テーラーメイドのシステムを作っていく案件において、お客さまから複数の問い合わせをいただいています。
我々にとっては、難易度のかなり高い案件になるかと思いますが、そのような案件にも確実に対応できる体制を整えていきたいと考えています。
重点施策概要
重点施策の3点目は「集客・顧客開拓力強化」です。当社の主な集客エンジンはWebサイトであり、多くのお客さまが検索エンジンを通じて当社のWebサイトに流入しています。そのため、検索エンジン上でのプレゼンスを十分に高め、お客さまの情報ニーズにタイムリーに応えられるよう、多くの商品情報ページを用意しています。
このWebページの作成速度を上げることで、お客さまの情報ニーズによりスピーディかつタイムリーに対応できる製品ラインナップの拡充に努めていきます。
お客さまの流入経路の大半がWebサイトのため、各ページで十分な安心感・信頼感を与えられるよう、洗練されたデザインとユーザーインターフェイス等の実現も必要です。このため、今期からWebサイトも大幅なリニューアルを計画しています。
さらに、当社は長年の業界経験により、お客さまのデータベースがかなり蓄積されています。そのようなお客さまの情報を会社の資産として有効活用し、よりプロアクティブに、こちらから仕掛けていく営業・プロモーション活動を引き続き展開していく方針です。
また、以前より仕入先の調査会社との共催で、セミナー・ウェビナー等を開催しており、これらはお客さまと直接対話できる良い機会となっています。今後はこのような機会をさらに増やし、当社のブランド力と社名の認知度を高めるとともに、Web広告等で集客力の底上げを図っていきます。
重点施策の4点目は「AIによる社内データの活用促進」です。こちらは我々がAIを活用した商品をお客さまに提供するものではありません。我々も自社の業務の中で生成AIの技術を活用し、業務の効率化、お客さま対応の高度化を図っていきたいと考え、今中計で取り組みたい内容として掲げています。
また、スライド右側の1点目に「Webサイトの未掲載商品を含む商品情報」とあるように、当社にはWebサイトに掲載している商品以外にも、自社のデータベースのみに商品情報を持っている商品が大量にあります。
これら未掲載商品を、AI技術を活用して検索結果に表示し、お客さまへ最適な商品を提案するなど、機会損失を防ぐために必要なシステムの開発を進めていきたいと考えています。これに伴い、商品選定を支援し、営業のアシスタントとなるようなAIの開発も検討を進めていく方針です。
集客力の強化でも触れたように、お客さまの情報ニーズによりスピーディに対応できる商品情報ページの作成、商品ラインナップの拡充などにもAIの技術を活用し、取り組んでいきたいと考えています。
重点施策概要
重点施策の5点目は「新規事業への投資」です。ある程度蓄積されている内部留保を有効活用するための投資についても、今中計において具体的な検討を進めていきたいと考えています。
より具体的には、既存事業の周辺領域、市場調査会社やマーケティングリサーチ企業の買収検討を進めていきたいと思っています。その他、周辺領域以外の新たな事業領域への進出についても、M&A等を通じた機会の有無を検討していきます。
重点施策の6点目は「次世代を担う人材獲得・育成」です。当社はなにか大きな装置や資産を使って事業を行っているわけではありません。そのため、人材こそが当社の持つ一番重要で大きな資産だと思っています。次の10年を担う人材の確保と育成をしっかりと行い、教育制度の改善等も進めていきたいと考えています。
重点施策概要 - 株式会社ギブテック -
重点施策の7点目は「子会社の利益貢献」です。子会社の株式会社ギブテックは、引き続き当社グループの成長ドライバーの1つです。同社の売上高を着実に伸ばし、早急にグループ全体の利益貢献につなげていきたいと考えています。
ギブテックの業務内容をご説明します。当社子会社のギブテックは、主に2つの事業を行っています。1つは、IoTネットワークの中で使われるLPWA(低消費電力広域無線通信)の通信規格であるZETA通信を利用した通信機器の製造販売です。
もう1つは、展示会で使っていただくDXツール「AiMeet」の販売です。こちらはシステム開発会社から仕入れ、展示会の主催会社に販売しています。
LPWA通信機器の販売
LPWA通信機器の販売事業についてです。LPWAは、スマートビルディング、スマートファクトリー、スマートシティ、スマート防災などさまざまなIoTネットワークの場面で、主に物と物をつなぐ通信方式として使われています。低消費電力でありながら、かなりの長距離でも通信できると重宝されている通信技術です。
当社はLPWAの中でも「ZETA」と呼ばれる通信規格を採用しており、ZETA通信に用いる各種センサー類の機器製造販売を事業として行っています。
展示会DXツール「AiMeet」の販売
次に、展示会DXツール「AiMeet」の販売事業についてです。展示会では、入退場時にQRコードをかざすシステムが採用されていますが、このシステムと「AiMeet」を組み合わせることで、出展者が配布するパンフレット、カタログ、名刺などすべての紙媒体を、主にスマートフォン上でデジタルにやり取りできる便利なツールとなっています。
「AiMeet」の活用で、ペーパーレス化によるコストダウンや、DXによる出展者の業務効率化を実現できるため、非常に魅力的なツールといえます。我々は、「AiMeet」を開発しているシステム開発会社から仕入れ、主に展示会の主催会社へ提案し、採用いただくかたちで事業を行っています。
株式会社ギブテック単体 経営数値目標
子会社単体での中期経営計画期間での経営数値目標を示しています。IoTデバイスの販売事業については、大口顧客であるTOPPAN株式会社を中心に、しっかりと拡販していきたいと考えています。
また、展示会DXツールの導入についても、すでに導入いただいているお客さまからの横展開に加え、新規顧客の開拓等にも努めることで、売上高を着実に伸ばしていきたいと思っています。計画としては、今期は営業利益600万円で黒字化となる見通しを立てています。
中期経営計画の最終年度となる2027年12月期においては、売上高1億7,600万円、営業利益4,000万円を見込んでいます。それぞれの事業で着実に拡大できるよう、努力を続けていきます。
経営数値目標(連結)
中期経営計画期間の連結の経営数値目標です。進行期の見通しは前のスライドで説明しているため、ここでは2026年12月期と、最終年度の2027年12月期の売上高・営業利益等の数字についてご説明します。
この4年間を通じ、売上高の年平均成長率は8.6パーセントを見込んでおり、最終年度の売上高は35億2,400万円に到達する見通しを立てています。同様に、最終年度の営業利益は5億8,000万円、営業利益率は16.4パーセントを計画しています。
配当金額については、株主還元のスライドでもご説明したとおり、継続的な株主還元を着実に行っていくために、中期経営計画期間中は60円を維持していきたいと考えています。
質疑応答:ギブテックの「AiMeet」販売事業について
司会者:「ギブテックの事業のうち、『AiMeet』の取り組み状況について教えてください」というご質問で す。
既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。