1.2025年3月期 期末配当予想の修正

岩瀬賢治氏(以下、岩瀬):株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ代表取締役社長の岩瀬です。2025年1月8日15時30分に発表したとおり、配当予想の修正および株主還元方針の変更に関してご説明します。

最初に、結論からお伝えします。株主還元を強化するため、2025年3月期の年間配当金を20円から40円に上方修正することとしました。2024年9月30日を基準日とする中間配当は、すでに1株当たり10円の実績となっているため、期末配当予想を1株当たり30円に上方修正しています。

2.株主還元方針の変更

配当方針として、今後は株主資本配当率(DOE)指標を導入し、DOE3パーセント以上を目標とします。2022年3月期以降は、順調に増収増益を重ねてきています。これまでと同様、確実に利益剰余金を積み上げれば、来期以降も株主資本が増加して継続的に増配できることを鑑み、DOE指標を採用しました。

配当性向よりも利益変動による影響を受けにくく、株主のみなさまに安心して当社の成長を応援していただけると考えました。

この結論に至った背景や、その前提にある今後の成長に対する計画の概要をご説明します。2024年11月に発表した第2四半期決算でもお伝えしたとおり、コロナ禍から業績を回復しながら増益を重ねてきました。そして、しっかりとキャッシュを稼ぎながら有利子負債も計画的に返済し、バランスシートの良化を図ってきています。

しかしながら、株価は低水準にとどまっています。そのことを経営陣一同で課題視し、議論を重ねてきました。私自身も経営陣として、また株主として、当社の成長がなかなか株価に反映されないことを非常に残念に思っていました。

その背景には、婚姻件数の減少という大きなマーケットトレンドへの印象が根強くあるだろうと推察していましたが、もう1つ、株主のみなさまへのメッセージの弱さやアピール力にも課題があったと考えています。

現在、年間約50万組となっている婚姻件数の減少は確かに事実ではありますが、当社はそのうち1万組の結婚式をお手伝いしており、取り扱い件数を伸ばす余地は十分にあります。

コロナ禍から長く問い合わせの減少に苦しんできましたが、前回の決算でもご説明したとおり、ようやく問い合わせ数を増加させる方法論も見えてきました。また、その先にはホテル事業の成長も見えています。成長の道筋が見えてきたこのタイミングで経営陣の議論も深まり、決議したため今回の発表に至りました。

株主のみなさまの中には「今後はホテル投資を控えているのに、キャッシュは大丈夫なのか」「株主還元を強化するということは、逆に投資による成長が見込めなくなったのか」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、投資キャッシュフローや財務キャッシュフローのこともきちんと視野に入れて議論した上で、この決断をしています。

4.キャッシュアロケーション

今後の成長イメージと、それを実現するためのキャッシュフローアロケーションについてご説明します。

ここから2年あるいは3年は、ウェディング事業での成長が重要です。昨今の婚姻件数は確かに減少していますが、当社は広告やリニューアルなどの投資を行ってきたことで、ウェディング取扱件数増加の道筋が見えてきています。

加えて、各地の著名なホテルの婚礼部門の運営を受託するコンサルティング事業の領域で業績を伸ばすことも重要な戦略の1つです。

お手伝いしているホテルにおいて良い業績が出ており、当社に対する運営委託を検討いただけるホテルが増えてきました。昨年1月から運営を受託しているヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルに、当社との提携でどのような効果を感じているかインタビューした動画をご覧ください。

Q:先進的なチャレンジをされている御社が、T&Gとの提携を選択された理由について

進藤博氏(以下、進藤):近年、当ホテルがある横浜みなとみらいエリアには新しいホテルが次々とオープンし、宿泊やレストラン部門を含めたホテル競争が激化しています。

そのような中で、1991年にみなとみらいエリアで最初にオープンして30年以上の歴史を持つ当ホテルが、魅力を維持し売上を高めるには、従来のホテルの枠にとらわれることなくチャレンジし続けることが必要だと考えています。

結婚式を検討されるお客さまにも、ホテルの格式や総合的なサービスを求められる方や、ハウスウェディングが作ってきた会場貸切のフルオーダーメイド型の婚礼を求められる方などがおり、さまざまです。

これまでテイクアンドギヴ・ニーズがハウスウェディング領域で培ってきたPRや商品開発のノウハウと、我々が「VIP」と呼ばれる方々をお迎えすることなどで積み重ねてきたサービス経験を融合することで、より多くのお客さまにとって魅力ある結婚式を提供できるようになると考えました。

Q:T&Gとの提携により得られた効果について

ホテルならではの魅力はもちろんですが、外部からの視点が加わることで、ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル独自の強みをより一層強く認識することができました。

例えば、現在の当ホテルのウェディングコンセプト「THE FIRST MINATOMIRAI」は、みなとみらいで最初に誕生したホテルかつ所在地が横浜市西区みなとみらい1-1-1である点に着目し、新郎新婦の新しい出発点と重ねて、集客のアピール力を高めています。

また、テイクアンドギヴ・ニーズさまのサポートにより、最新の婚礼マーケット情報を多角的に収集できることから、結婚式にまつわる商品や演出などもトレンドにあうものをいち早く導入できるようになりました。その結果、お客さまの満足度が向上して口コミの評価も上がるなど、良い循環が生まれていると感じます。

岩瀬:このように、コンサルティング提携先の拡大や投資による取扱件数の増加により、ウェディング事業を成長させていきます。事業運営のため、もちろん期によっては次年度のための投資を重視し、利益変動があることも織り込んでいます。それを踏まえて、配当性向ではなくDOE指標を採用しました。

3.ホテル出店予定

2027年以降は、いよいよ新しいホテル3店舗が開業します。神戸三宮、渋谷道玄坂、札幌にオープン予定です。100室前後の大型ホテルで、各々40億円規模の売上高を目指しています。

当社が運営するホテルは、チェーン展開をしているラグジュアリーホテルや低価格なビジネスホテルとは一線を画すものです。欧米ではすでに一定のシェアを有し、日本では数少ないラグジュアリーなブティックホテルとなります。

すでに開業している「TRUNK(HOTEL)」の2店舗は、海外でのPRに成功し、ゲストの9割以上が欧米のお客さまとなっています。直近の客室平均単価(ADR)は8万円以上、稼働率は90パーセント以上と、高い評価をいただいています。

出店には一定の投資が伴いますが、スライドに記載のとおり、ウェディング事業およびホテル事業で生み出すEBITDAの範囲内で投資を賄える見込みです。

また、コロナ禍で有利子負債は約300億円まで増加したものの、ここ数年の業績でしっかりと減額してきています。今後も必要な投資を行いながら、有利子負債の返済も継続し、コロナ禍前の2019年3月期の水準である約175億円以下にまで減額していく計画です。

このように、一定のキャッシュフローアロケーションを検討した上で、ご期待いただいている株主のみなさまへの還元も強化したいという方針のもと、今回の株主還元方針を決定した次第です。

最後に、創業者であり、新たな成長の柱となるホテル事業をけん引しているCEOの野尻より、みなさまにメッセージがあります。

野尻佳孝氏:代表取締役の野尻です。ホテル事業をスタートしてから10年が過ぎました。当初の事業計画と比較すると、コロナ禍の影響もあり、出店数は大幅に下回った一方で、成長に向けたクリエイティブ戦略・コミュニケーション戦略・オーガニゼーション戦略をそれぞれ強化した結果、グローバルにおいて権威あるアワードを複数獲得することができました。

2024年9月には、シンガポールで開催されたアワード「AHEAD Asia」において、見事に最優秀賞を受賞しています。このような栄誉ある賞を受賞できたことはとても光栄です。また、受賞により多くの海外メディアに掲載されたことで、海外のPR会社やコンシェルジュ会社からの問い合わせが格段に増加し、集客にも大きく貢献しています。

一番驚いているのは、海外の不動産会社からの出店依頼の問い合わせが増えていることです。現在、アメリカ、オーストラリア、中東、アジアなど、さまざまなエリアからお問い合わせをいただいています。

現時点で発表している出店は、札幌、神戸、道玄坂の3つのみですが、今後は新規出店のスピードが加速すると予測しています。社内で掲げている目標は、2030年までに日本発のグローバルホテルブランドになることです。テイクアンドギヴ・ニーズの今後の成長にぜひご期待ください。

岩瀬:すべてのステークホルダーのみなさまに当社の成長を応援していただけるよう、これからも尽力していきますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。最後までご視聴いただき、ありがとうございました。