2025年3月期 第3四半期実績
石田由次氏(以下、石田):代表取締役副社長の石田です。2025年3月期第3四半期の決算ならびに状況についてご説明します。
まず、2025年3月期第3四半期の実績です。売上高1,680億円、営業利益181億円、当期純利益133億円となっています。
11月に公表した予想に対する進捗率は、売上高が76パーセント、営業利益が94パーセント、経常利益が104パーセント、当期純利益が87パーセントです。
売上高においては、ライフサイエンス事業領域がわずかに減収となりましたが、モビリティ&イメージング事業領域とファインケミカルズ事業領域が増収となりました。営業利益はすべての事業領域の部門営業利益が対前年を上回り、増益となっています。
なお、為替レートについて、期中平均レート1USドル152円64銭を使用しています。
営業外・特別損益
営業外・特別損益についてご説明します。営業外損益のうち、為替差損益は累計12億円でした。第2四半期までは8億円の損でしたので、第3四半期で約20億円の為替差益が出ています。こちらが経常利益の段階で見込みと差が出た原因の1つとなっています。
投資有価証券売却益については、第2四半期までは0円でしたが、第3四半期期中において、政策保有株の売却により11億円の売却益が発生しています。
また、特別退職金として2億円の損失を計上しています。こちらはポラテクノ事業再構築のため、株式会社ポラテクノの一部従業員を対象に希望退職の募集を行ったことによるものです。12月末時点での応募者分の割増特別退職金等を引き当てた金額です。
2025年3月期 第3四半期 実績 セグメント別
セグメント別の実績です。モビリティ&イメージング事業領域の売上高が693億円、ファインケミカルズ事業領域が505億円、ライフサイエンス事業領域が481億円となりました。11月公表の業績見込みに対し、それぞれ76パーセントから77パーセントの進捗です。
また、部門営業利益については、モビリティ&イメージング事業領域が108億円、ファインケミカルズ事業領域が80億円、ライフサイエンス事業領域が60億円となりました。それぞれの見込みに対し80パーセント超の進捗となり、特にライフサイエンス事業領域は91パーセントの進捗です。
2025年3月期 第3四半期 実績 サブセグメント別
サブセグメント別の売上高の状況です。モビリティ&イメージング事業領域のセイフティシステムズ事業の日本化薬は国内事業です。こちらは自動車会社の型式認証の問題が回復しつつあるものの、回復が穏やかだったことが影響し減収となりました。
一方で、KSH(中国)は、前期比35.2パーセントの増加と、好調に推移しているところです。
ファインケミカルズ事業領域については、機能性材料事業、色素材料事業がそれぞれ前期比で20パーセント超の増収となっています。触媒事業についても51億円、41.7パーセントの増収となりました。
ライフサイエンス事業領域については、医薬事業合計では6億円の減収ですが、営業本部については317億円、7億円の増収です。原薬・国際・診断薬は受託ビジネスも含まれ、需要の波があるため、前期比14億円の減収となりました。
11月公表のサブセグメント別の業績見込みに対しての進捗は、モビリティ&イメージング事業領域で76パーセントです。ファインケミカルズ事業領域は77パーセントと、触媒事業においては70パーセントをわずかに切りましたが、機能性材料事業は78パーセント、色素材料事業は79パーセントの進捗状況です。ライフサイエンス事業領域の医薬事業も77パーセントという進捗です。
2025年3月期 通期 業績予想
通期の業績予想です。売上高は2,237億円、11月公表の見込みに対し34億円増、1.5パーセント増です。営業利益については211億円、11月公表値から18億円の増です。
経常利益は241億円、11月公表値から40億円増です。当期純利益は179億円、11月公表値から26億円増となっています。為替レートは1USドル153円94銭を使用しています。
2025年3月期 通期 業績予想 セグメント別
セグメント別の業績予想です。モビリティ&イメージング事業領域920億円のうち、セイフティシステムズ事業が715億円、ポラテクノ事業が205億円と、それぞれ前回の見込みに対し5億円ずつの増収となっています。
ファインケミカルズ事業領域については、機能性材料事業が336億円、色素材料事業が258億円、触媒事業が79億円と、それぞれ3億円、11億円、5億円の増収となっています。
ライフサイエンス事業領域については、医薬事業が531億円、アグロ事業が92億円、不動産事業が20億円と、医薬事業において6億円の増収となっています。
モビリティ&イメージング事業領域
モビリティ&イメージング事業領域についてご説明します。今年度の第3四半期までの売上高累計は693億円と、前期比で14パーセントの増収となりました。第4四半期においては売上高228億円を見込んでいます。
部門営業利益は108億円で前期比85パーセントの増益となり、第4四半期は24億円を見込んでいます。
国内事業は型式認証不正問題により、やや台数減となっていました。ASEAN地域についても自動車ローンの審査厳格化等により、やや低迷しています。
一方、中国では補助金やインセンティブ等により好調です。ただし、自動車メーカーにより好不調の2極化が進んでいます。そのような中、当社は中国ローカル向けが好調に推移し、日系向けの減を補ったかたちとなっています。
ポラテクノ事業については、X線用部材は堅調に推移しています。ヘッドアップディスプレイ向けが拡大し、この製品で増収となっています。
部門営業利益については、主としてセイフティシステムズ事業における売上高増加により、利益額が増加しています。
また、ポラテクノ事業については、一部製品の価格改定の効果により増益となっています。第4四半期以降の全体としては、春節の影響で第4四半期は減となりますが、製品全般は堅調で、総じて中国は堅調と判断しています。
また、この事業はヘッドアップディスプレイ向けについては堅調に推移するものの、パッシブで苦戦しています。精密部品の中でも、特にX線部品については客先からの発注が上期に偏ったため、下期ではその部分の戻しが若干あるという要素があります。
ファインケミカルズ事業領域
ファインケミカルズ事業領域です。売上高は505億円、前期比で24パーセントの増、第4四半期は168億円を見込んでいます。部門営業利益は80億円、前期比で144パーセントの増、第4四半期は25億円を見込んでいます。
機能性材料事業について、半導体関連部材は基板を中心に回復基調です。また、色素材料事業はコンシューマインクジェット用色素、産業用インクジェットとともに堅調に推移しています。さらに、感熱顕色材もビスフェノールAの規制に伴い堅調です。触媒事業は大口顧客の触媒交換があり、増収となっています。
第4四半期以降の見通しとして、半導体関係の基板向けエポキシ樹脂は横ばいとする一方、テイコクテーピング社の半導体製造装置は受注増加により堅調に推移しています。
また、デジタル印刷市場では、コンシューマインクジェット用色素がやや足踏み、産業用インクジェットがやや堅調と見ています。また、感熱顕色剤も堅調です。
ライフサイエンス事業領域
ライフサイエンス事業領域は、売上高481億円とほぼ昨年と同額でした。第4四半期は162億円を見込んでいます。
部門営業利益は60億円と、前期比でプラス578パーセントです。昨年度は60億円の新薬導入に伴う費用が発生しましたが、その分が回復しています。
第4四半期には6億円の部門営業利益を見込んでいます。研究開発費が上期からずれ込み、第4四半期に発生することが影響しています。
医薬事業における国内製剤は、薬価改定の影響を数量増でカバーし、増収です。ただし、海外、原薬は出荷の後ろ倒しなどで減収となっています。
バイオシミラーの「ベバシズマブBS」「アダリムマブBS」等は、市場への浸透を強く進めています。12月に発売を開始した「スニチニブ錠」も、現在順調に市場に浸透しています。
アグロ事業については、海外がやや後ろ倒しになっていますが、その分を国内でカバーしている状況です。ジェネリック抗がん薬、新薬、バイオシミラー、それぞれ堅調に推移しています。アグロ事業についても、現在回復の途中であると判断しています。
開発パイプラインの状況【2025年2月3日 現在】
医薬事業の開発パイプラインの状況です。「Buparlisib(ブパルリシブ)」についてはフェーズⅢ登録を完了し、2025年上半期にトップラインのデータが公表される見込みです。「Taletrectinib(タレトレクチニブ)」については、すでに肺がん学会等において成績発表が進んでいる状況です。
2025年3月期 第3四半期 財政状態
バランスシートの状況です。総資産が3,780億円ということで、148億円ほど膨らんでいます。
また、売上の拡大により売上債権が増えています。棚卸資産の削減に努めていますが、医薬事業におけるジェネリック医薬品の安定供給の確保や、機能性材料事業におけるエポキシ樹脂新工場の立ち上げ前の製品確保等により、棚卸資産が膨らんでいます。
積極的な設備投資により有形固定資産も増加しています。一方で、投資その他資産については、有価証券の売却等も進めており、減少している状況です。
自己資本比率については71.7パーセントと、約2.5パーセント減少しています。ROEについては第3四半期時点の年換算ベースで6.6パーセントとなっています。
2025年3月期 第3四半期 研究開発費・設備投資・減価償却費
研究開発費・設備投資・減価償却費の見通しです。2025年3月期の研究開発費の見通しは、139億円です。昨年度の研究開発費の198億円のうち、医薬事業の新製品に関わる費用の60億円を除くと138億円となり、ほぼ昨年並みと言えます。
また、設備投資については363億円を見込んでいます。減価償却費は少し増えて146億円を予定しています。
株主の皆様への利益還元の状況
株主のみなさまへの利益還元の状況についてご説明します。今年度の年間配当は、対前期で15円増配して60円とします。今年度は100億円の自己株式取得を実施しているため、配当性向は54パーセント、総還元性向は約110パーセントとなる見込みです。
ROE8パーセントに向けて純資産額の増加を抑えるという方針のもと、今年度は自己株式取得および増配をしています。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応については、大きな変更はありません。
スライドの「資本効率の向上」の項目にあるように、株主還元強化として累進的な利益還元、配当性向は40パーセント以上という方針のもと、今年度の配当を年間60円に増配しています。
サステナビリティ トピックス
サステナビリティ関連のトピックスです。「FTSE4Good Index Series」において、以前から「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に選定されていましたが、今年度は「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄にも選定されました。
サステナビリティについてはいろいろな指標がありますが、FTSEやMSCIをサステナビリティの度合いを測る重要な指標と考え、向上に向けて努力しているところです。
私からのご説明は以上です。
質疑応答:部門営業利益見通し増額の背景について
質問者:通期の上方修正の中身について、部門営業利益において今回公表の通期見通しでは、モビリティ&イメージング事業領域が9億円増、ファインケミカルズ事業領域8億円増ということですが、この要因を簡単におうかがいできますか?
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