目次

山田稔氏:OUGホールディングス株式会社、常務執行役員の山田稔です。

当社は1947年に大阪市中央卸売市場において水産物卸売業者として創業し、2006年に大阪魚市場株式会社からOUGホールディングス株式会社に商号変更し、主事業である水産物荷受事業を会社分割し純粋持株会社体制に移行しました。

1 当社グループについて

当社グループの現在の事業構成は、水産物荷受事業、市場外水産物卸売事業、養殖事業、その他(食品加工事業・物流事業等)であり、当社は純粋持株会社としてグループ経営を推進する役割を担っています。

グループの経営理念は「水産物をコアとし、お客様に価値ある商品とサービスを提供することにより、食文化の発展に貢献する」ことであり、水産物流通グループとして国内連結事業会社14社と海外現地法人1社を展開しています。

OUGグループの事業と事業会社

OUGグループの事業と事業会社については、スライドのとおりです。

2 連結決算実績について

連結決算実績について、第3四半期決算ハイライトをご説明します。

a 外部環境

当第3四半期のわが国経済は、実質賃金の改善に足踏みがみられるものの、緩やかに回復しています。消費者心理は、消費者物価の上昇に賃金の伸びが追いつかず、生活防衛意識を反映した節約志向が継続しています。

水産物流通業界の需要動向は、外食・宿泊・インバウンド関連需要は回復しているものの、内食関連需要は物価高騰も反映し伸びなやみました。

このような環境下、当社グループは「OUGグループ中期経営計画2024」に従い、継続してバリューチェーンの最適化を意識したグループ役職員の個々の行動変容を通じ、後述の5つの事業戦略と7つの基盤整備にグループ一体となって取り組みました。

b 当社連結業績(a-1)連結売上高

当第3四半期の連結売上高は、水産物荷受事業・市場外水産物卸売事業がそれぞれ好調に推移し2,674億円と前年同期比4.5パーセントの増収となりました。

b 当社連結業績(a-2)連結売上高の増減要因

前年同期からの売上高のセグメント別増減はスライドのとおりです。水産物荷受事業で80億円、市場外水産物卸売事業で36億円、養殖事業で6億円の増収となりました。

b 当社連結業績(b-1)各連結利益

当第3四半期の連結営業利益は43億円、同経常利益は48億円を計上し、前年同期比でそれぞれ49.6パーセント、39.4パーセントの増益を記録しました。

b 当社連結業績(b-2)連結営業利益の増減要因

前年同期比の営業利益のセグメント別増減はスライドのとおりです。水産物荷受事業で15億円、市場外水産物卸売事業で4億円の増益となりました。養殖事業は後述のとおり事業環境の厳しさが継続しており、4億円弱の減益となりました。

b 当社連結業績(c-1)連結決算予想

前述を踏まえ、当初の当期連結業績予想を上方修正しました。連結売上高は3,350億円から3,400億円に、同営業利益は37億円から44億円に、同経常利益は37億円から50億円に上方修正しました。

b 当社連結業績(d-1)2025年3月期末日基準の配当予想

配当水準については、中長期的な経営基盤の強化や成長投資に必要な内部留保の確保に十分留意しつつ、連結株主資本配当率(DOE)1.6パーセントを目途に安定的な配当水準を維持することを基本方針とします(2025年3月31日を基準日とする配当から適用するもの)。

前述を踏まえ、2025年3月期末分の配当予想を1株85円から96円に引き上げました。

3 四半期毎の決算状況

続いて、四半期ごとの決算状況についてご説明します。

(1)四半期毎の売上高推移

各四半期の売上高推移はスライドのとおりです。第3四半期が山になることが見て取れます。また、第4四半期は最需要期後となり、売上高も726億円程度と低調になる見込みです。

(2)四半期毎の利益推移

営業利益、経常利益のそれぞれの四半期推移はスライドのとおりです。第3四半期の売上高増加の結果、それぞれの利益面でもピークとなります。但し、第4四半期は売上高が低調になることから、営業利益1億円、経常利益1.6億円程度の横ばいとそれぞれ見込んでいます。

(3)四半期毎の財務状況(1)

資産面の主要残高の四半期推移はスライドのとおりです。第3四半期末は前年同期比で在庫の15.2パーセント増加、同じく売上債権の0.1パーセントの増加としました。

(4)四半期毎の財務状況(2)

負債・資本面での主要残高では、売上高の増加に合わせ、仕入債務は前年同期比3.7パーセント増加しまた。純資産も20.3パーセント増加しました。

4 第3四半期決算のセグメント状況

第3四半期決算のセグメント状況についてご説明します。

(1)主要セグメント事業

当グループは水産物荷受事業、市場外水産物卸売事業、養殖事業、食品加工事業、物流事業などを幅広く展開しています。その中で主要セグメントは、水産物荷受事業、市場外水産物卸売事業、養殖事業の3セグメントです。

(2)四半期毎のセグメント別売上高推移

セグメント別売上高は水産物需要が高まる第3四半期が例年ピークとなりますが、当第3四半期では水産物荷受事業、市場外水産物卸売事業がそれぞれ好調で、増収となりました。

(3)四半期毎のセグメント別利益推移

セグメント別利益(営業利益)でも、前年同期比で水産物荷受事業は大きく増益しました。市場外水産物卸売事業も順調でそれぞれ増益となったため、全体的に大幅な増益となりました。

養殖事業は主要生産コストである餌料価格が高止まりし、厳しい事業環境が継続しています。

(4)セグメント別利益増減要因

前年同期比でのセグメント別利益(営業利益)の増減要因は前述のとおりです。スライドは図表7と同一内容です。

(5)第3四半期のセグメント別利益推移

各年度の第3四半期セグメント別利益はスライドのとおりです。前年同期比で水産物荷受事業が97.3パーセント、市場外水産物卸売事業が30.7パーセントの増益で、好調となりました。養殖事業は引き続き厳しい結果となりました。

なお、第4四半期は最需要期後であるため、現状は横ばい程度の業況を見込んでいます。

5 主要セグメントの状況1(水産物荷受事業)

主要セグメントの状況をご説明します。水産物荷受事業は株式会社うおいちが担っています。

市場営業本部は生鮮魚介類を扱う鮮魚部門と水産加工品などを扱う加工食品部門の2部門で構成されており、商品事業本部は冷凍魚介類等を扱い流通ネットワークにより商社活動を行います。

(1)事業状況について

市場営業本部の鮮魚部門では、年末にかけ集荷は良好で高値になる魚種が多く販売数量も増加しましたが、養殖魚種全般の値上がりが目立ち、利益確保には苦慮しました。加工食品部門では製品原料不足から商品仕入価格高となり、販売には逆風となりました。

商品事業本部では、冷凍魚もマグロ相場の底打ちなど年末に向け単価が上昇傾向となり、需要期を迎えたエビ・カニなどの販売も好調でした。物流費等の増加もありましたが、適切な在庫管理に留意し、増収効果から増益を計上しました。

(2)売上高推移

四半期ごとの売上高推移はスライドのとおりです。売上高にはグループ内売上高を含みます。第3四半期の売上高は前年同期比5.1パーセントの増収となりました。

(3)利益推移

また、四半期ごとの利益推移はスライドのとおりです。第3四半期の経常利益は前年同期比96.9パーセントの増益となりました。

6 主要セグメントの状況2(市場外水産物卸売事業)

市場外水産物卸売事業は株式会社ショクリューが担っています。

商品部は内外の水産物を調達し、外販に加え社内部門にも商品を供給する部門です。営業部は外食・ホテル・専門店などを顧客とする部門です。量販部は大手スーパー業態や百貨店等などを顧客とする部門です。

(1)事業状況について

商品部では円安の影響などで主力のエビ等各種商材相場の高値が続く中、適正在庫を維持し、おおむね前年同期並みの売上高としました。

営業部ではインバウンド需要が拡大したホテルに注力しました。一部に飲食店倒産の顕在化の影響もあり、前年同期比では減収となりました。

量販部は商品ごとのきめ細かい温度帯管理を実施したほか、コスト高の海外原料から国産原料に転換した製品の取り組みに加え、原料調達から一気通貫で取り組む加工品販売などの商品開発などで売上高を伸ばしました。適切な在庫管理や、適正な販売価格の設定の徹底などで収益も確保しました。

また、西関東地区を網羅する自社物流センターの建設と、老朽化した横浜営業所の移転先として横浜地区に用地を取得する予定です。

(2)売上高推移

四半期ごとの売上高推移はスライドのとおりです。売上高にはグループ内売上高を含みます。第3四半期の売上高は前年同期比3.4パーセントの増収となりました。

(3)利益推移

また、四半期ごとの利益推移はスライドのとおりです。第3四半期の経常利益は前年同期比25.2パーセントの増益となりました。

7 主要セグメントの状況3(養殖事業)

養殖事業は株式会社兵殖および株式会社松浦養殖が担っています。

兵殖は大分・長崎・宮崎・高知においてブリ・マグロの養殖を行っています。松浦養殖は長崎においてブリ・タイ・ヒラマサ等の養殖を行っています。

(1)養殖事業の環境

ブリの生産量は暦年ベースで、2023年が増加したことから、2024年の中盤にかけ価格は下落しました。直近の各市場の取引相場は、世界的な高水温による養殖魚の成育不良のため、全国的に小サイズのものが多数出荷され在庫消化が進み、需要期を迎え反転回復途上にあります。

一方、主要生産コストの餌料価格は近年の円安圏内での相場推移で高止まりとなりました。経営環境は引き続き厳しい状況です。

(2)養殖事業の業績状況

4半期ごとの売上高推移はスライドのとおりです。売上高にはグループ内売上高を含みます。

第3四半期の売上高は前年同期比14.6パーセントの増収となりましたが、前述のとおりコスト高から営業損失となりました。

(3-1)その他(1)

餌料単価と為替の動向はスライドのとおりです。為替は円安圏で推移し餌料単価も高止まりとなりました。

(3-2)その他(2)

養殖ブリの市場単価と年間生産量の動向はスライドのとおりです。ブリの市場単価は反転途上です。なお、2024年の年間生産量の統計数値は未発表です。

8 中期経営計画2024数値目標の達成状況

中村耕氏:常務執行役員の中村耕です。続いて当社の「中期経営計画2024」の進捗状況等についてご説明します。

(1)初年度の現状

当年度が初年度となる「中期経営計画2024」についての当第3四半期までのベースでの進捗状況は、前述のご説明のとおり連結売上高2,674億円、同営業利益43億円、同経常利益48億円と好調な業績を記録し、当初計画を上回るペースで進捗しました。

なお、初年度の目標数値は売上高3,350億円、同営業利益37億円、同経常利益37億円の計画としていました。中期経営計画事業戦略等での実施トピックについては後述します。

(2)業績予想の修正

第3四半期は計画を上回る業績となりましたが、第4四半期の業況は最需要期後であることから横ばい程度と見込んだことを踏まえ、通期の業績予想を上方修正しました。当初の売上高3,350億円、営業利益37億円、経常利益37億円を、冒頭の水準の売上高3,400億円、営業利益44億円、経常利益50億円に上方修正しました。

前述を踏まえ、当期末の予想配当も85円から96円に上方修正しました。

9 「『資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応』にかかる取組みと『OUGグループ中期経営計画2024』における進捗状況(関連図)」について

2024年2月に開示した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」についてのアップデート(更新)をこの2月13日に開示しました。

(1)関連図について

ここでは、その概要について触れたいと思います。「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」で「グループの成長性向上」については「OUGグループ中期経営計画2024」において、提示することとし、同中期経営計画2024で取り組んでいくこととしました。

第3四半期までの状況を関連図にすると、スライドのようになります。

(2)「中期経営計画2024」において実施した主要トピックについて

第3四半期までに「中期経営計画2024」において実施した「資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応」にかかる主要トピックはスライドのとおりです。

Ⅰ 事業戦略の1 鮮魚事業(天然魚・養殖魚)の強化

食品加工事業会社のダイワサミット株式会社が、2024年12月にフードロス削減効果や人員削減効果等が見込めるガス置換パック事業の開始を決定しました。

同Ⅰの3 関東マーケットの深耕・拡大(拠点戦略)

水産物卸売事業会社の株式会社ショクリューの営業拠点の見直しを次のとおり行うこととしました。

西関東地域を網羅する自社物流センターの建設と老朽化した横浜営業所の移転先として、横浜地区に用地を取得する予定です。また、拠点戦略として2024年8月には久留米営業所を交通利便性の高い鳥栖市の物流センター内に移転し鳥栖営業所としました。

Ⅱ 経営基盤整備の1 財務戦略

不採算事業からの撤退では、収益改善が見込まれない債務超過会社2社を清算しました。食品加工事業の関空トレーディング株式会社を2024年12月に、水産物仲卸事業の株式会社モトイを2025年1月に清算しました。

政策保有株式の縮減では、経営環境・保有目的等を勘案し、2024年9月に政策保有株式を縮減し2銘柄を完全売却しました。グループ運転資金の圧縮では、2024年9月にキャッシュマネジメントシステムの導入作業を開始し、同システムの構築を進めています。

同Ⅱの2 人事戦略

人材育成や社内環境整備に努め次の対応を行いました。

2024年2月および11月に、後継者計画にリンクしたグループの取締役・執行役員・部長層を対象に研修を実施し、スキル向上を図りました。2024年9月に従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブ制度を実施しました。2025年1月にグループ役職員を対象にした新団体定期保険に新加入しました。

同Ⅱの4 IR戦略(配当方針)

IR戦略として以下の事項を実施しました。

DOE(連結株主資本配当率)を1.6パーセント目途に安定的な配当水準を維持する基本方針とし、2025年3月31日基準日からの配当より適用することとしました。また、株主優待制度の充実を図っていくことや、投資者等へのわかりやすい決算説明を行うべく、2024年5月および11月、2025年2月に決算説明資料の提示を実施し、2024年5月に個人投資家向け決算説明サイトへの掲載を実施しました。

2025年3月期第3四半期連結決算の概要、2025年3月期決算予想の変更予想、グループ中期経営計画2024の第3四半期までの進捗状況と「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」のアップデートなどについての説明は以上です。

10 よくあるご質問について

よくあるご質問に関しては、それぞれ次の資料をご参照ください。

Q:通期業績予想と配当予想の変更について

A:「通期業績予想の修正および配当予想の修正に関するお知らせについて」(2025年2月13日開示)
https://www.oug.co.jp/ja/ir/news/auto_20250212570123/pdfFile.pdf

Q:資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の見直しについて

A:「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」(2025年2月13日開示)
https://www.oug.co.jp/ja/ir/news/auto_20250212569457/pdfFile.pdf

Q:OUGグループ中期経営計画2024について

A:「『OUGグループ中期経営計画2024』の策定について」(2024年5月10日開示)
https://www.oug.co.jp/ja/ir/news/auto_20240509586806/pdfFile.pdf

Q:配当方針について

A:「配当方針の変更に関するお知らせ」(2024年5月10日開示)
https://www.oug.co.jp/ja/ir/news/auto_20240509586977/pdfFile.pdf

なお、DOEとは、株主資本配当利回(Dividend on equity ratio)のことで、株主資本に対し企業がどの程度の配当を行っているかを示す財務指標です。一般には下記のとおりです。
DOE=年間配当総額÷株主資本×100(%)
=配当性向×自己資本利益率(ROE)×100(%)

Q:資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について

A:「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」(2024年2月8日開示)
https://www.oug.co.jp/ja/ir/news/auto_20240206527201/pdfFile.pdf