東京産業、営業利益の上期進捗は相応も通期業績予想値は据え置き 下期は太陽光発電設備売却の特益25億円を織り込む
CONTENTS

蒲原稔氏:東京産業株式会社代表取締役社長の蒲原です。本日は、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。それでは、これより説明を始めます。
本日は、2026年3月期第2四半期決算の実績をご説明した後、2026年3月期計画と中期経営計画の進捗をご紹介します。
決算概要 連結業績

初めに、2026年3月期第2四半期決算の実績についてご説明します。損益の状況についてですが、前年度に太陽光関連の大型建設請負工事の引き渡しを完了し、損失発生や不適切会計処理に係るリスク管理体制の強化にめどを付けました。
当年度からは、成長が期待できる分野への人員増強など体制の強化を行い、業績は順調に推移しています。
第2四半期の業績は、連結売上高が前期比99億円減少の312億円、連結営業利益が前期比6億円増加の16億円、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比7億円増加の13億円となりました。
売上高の減少については、前期に太陽光関連の建設請負工事を引き渡したことや、事業認定権利の売却といった一過性の要因が剥落したことで減収となりました。
一方、損益面では、ベース事業である火力発電所向けの保守業務が順調に推移したことや、バイオマス発電所向け燃料供給ビジネスにおける長期契約案件の納入が開始されたことにより、増益となりました。
決算概要 財政状態

次に、財政状態です。前期末に代理店業務である受託取引で積み上がった債権の回収および負債の決済が完了したことで、流動資産と流動負債はいずれも減少しました。固定資産の増加は、株高に伴う投資有価証券評価額の増加によるものです。
決算概要 キャッシュ・フロー

今期のキャッシュ・フローについて説明します。営業活動によるキャッシュ・フローは11億円のプラスとなりました。前期は事業認定権利の譲渡や長期未収入金の回収といった特殊要因を控除すると実質マイナスでしたが、資金負担のあった太陽光関連の建設請負工事が完工したことにより、今期は大幅に改善しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の売却により8億円のプラスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、太陽光関連の資金回収による借入金返済があった前期からマイナス幅が縮小し、7億円のマイナスとなりました。
第2四半期末の現金同等物の期末残高は119億円となり、前期末比で13億円増加しました。
決算概要 セグメント別業績(連結)

続きまして、セグメント別の業績です。電力事業では、火力発電所向け保守・メンテナンスなどのベース事業が順調に推移しました。また、原子力関連業務や三菱重工などのプラントメーカーへの設備機器納入も堅調に推移し、さらにバイオマス発電所向け燃料供給ビジネスで長期契約が開始されたことが寄与しました。
その結果、売上高は126億円、営業利益は11億9,000万円となり、前期比で増収増益を達成しました。
環境・化学・機械事業では、主業務である生産設備の納入・建設請負工事が順調に推移しました。しかし、前期に計上した太陽光関連ビジネスの大型建設請負工事の引渡しや、特殊要因として事業認定権利の譲渡が剥落したことにより、売上高は156億円となり、減収となりました。
営業利益については、前期に欧州子会社で大型設備納入があった反動もあり、3億1,000万円となり、減益となりました。
生活産業事業については、主力製品である包装資材の取引において既存顧客への販売が拡大したことから、売上高は30億円、営業利益は1億4,000万円と、増収増益となりました。
事業領域別の状況

次に、事業領域別の状況をご説明します。事業領域と会計セグメントの関係は、スライドの8ページのとおりです。
事業領域別実績① 火力

まずは火力事業領域についてです。本事業領域は、火力発電所関連業務の好調により、前期比で増収増益となりました。
ベース事業である火力発電所向け代理店業務では、発電所設備の保守・メンテナンスが順調に推移したことに加え、代理店業務から派生した取引として、発電所の補機・部品などの納入やメンテナンス、国内重電メーカー向けの資機材の輸入販売も寄与しました。その結果、連結売上高は前期比5億円増加の27億円、連結営業利益は前期比3億円増加の5億2,000万円となりました。
本事業領域は強固な収益基盤を築いており、下期以降も堅調な推移を見込んでいます。さらに、代理店業務から派生した取引のさらなる拡大や新規商圏の獲得など、より一層取り組みを進めていきます。
事業領域別実績② 原子力等

続きまして、原子力等の事業領域についてです。本事業領域は、主に原子力関連業務と三菱重工をはじめとするプラントメーカー向けの機器販売で構成されています。
原子力関連業務では、核燃料再処理工場の2026年度内の竣工に向けた大規模な安全対策工事などの代理店業務が好調で、これらの工事に伴う派生取引も堅調に推移しました。
加えて、世界的に旺盛な電力需要を背景に、発電関連設備の受注が引き続き好調な主力取引先である三菱重工向けの機器販売も堅調に推移しました。その結果、高水準だった前年同期とほぼ横ばいの連結売上高26億円、連結営業利益3億5,000万円となりました。
本事業領域は、中長期的な成長が期待される領域であると認識しており、体制強化として人員増強を行っています。
原子力発電所の代理店業務では、再稼働に向けた動きが本格化しており、今後、収益への寄与が見込まれます。また、原子力関連業務以外では、三菱重工のガスタービンの増産計画が発表されていることから、設備納入ビジネスの機会も期待されるため、引き続き積極的に対応していきます。
事業領域別実績③ 再生可能エネルギー

再生可能エネルギー事業領域についてです。太陽光関連の大型建設請負工事を前年度末に引き渡したことで減収となりましたが、請負工事関連損益の改善に加え、バイオマス発電所向けの燃料供給ビジネスで、今期より受注済みのすべての長期契約案件が納入を開始したことにより、営業利益は前期比4億3,000万円増加し、大幅に改善されました。
バイオマス発電所向けの燃料供給ビジネスでは、手持ちの長期契約案件の納入の開始が一段落したため、今後はスポット需要の取り込みを中心に対応していく方針です。
事業領域別実績④ 生産・環境設備

生産・環境設備の事業領域です。売上高は一過性要因の影響がなくなったことで前期比減収となりましたが、設備機器関連では生産設備の建設請負工事案件が順調に進捗しました。また、生活関連では、前期に獲得した大口顧客の売上が今期も寄与したことに加え、既存顧客への販売も拡大しました。
損益面では、欧州子会社で前期に大型機器の納入があった反動もあり、前期比で減益となりました。
本事業領域では、引き続き損益面での改善を図るため、設備機器販売に付随する工事需要を合わせて取り込むなど、付加価値の高い事業展開を推進していきます。また、各事業の見直しによる選択と集中、体制の適正化も進めていきます。
事業領域別の状況 成約高・契約残高(単体)

成約高・契約残高についてです。火力事業領域では、CO2排出量の少ない高効率発電設備への大型リプレイス工事を受注したことが寄与し、成約高・契約残高ともに前期比で増加しました。
原子力等の事業領域では、主力取引先であるプラントメーカーの増産に伴う機器納入案件が堅調に推移したことや、核燃料再処理工場における代理店業務が好調だったことにより、成約高・契約残高ともに前期比で増加となりました。
再生可能エネルギー事業領域では、バイオマス発電所向けの燃料供給ビジネスにおける長期契約全案件の納入が開始したことから成約高が増加しました。一方で、契約残高は、太陽光関連の建設請負工事の引き渡しが完了し、残工事案件がわずかとなっていることから、前期比で減少しました。
生産・環境設備の事業領域については、成約高は前期比で減少しましたが、前期の特殊要因を控除したベースではほぼ横ばいとなりました。契約残高は、主業務であるプラント設備向けの建設請負工事が順調に進捗したことにより、前期比で減少しました。
2026年3月期計画

2026年3月期の計画についてご説明します。2026年3月期は、連結売上高650億円、営業利益24億円、当期純利益37億円を見込んでいます。
営業利益の上期進捗は相応ですが、火力発電所向け代理店業務における案件の前倒しや燃料供給ビジネスにおける為替の影響が要因であるため、通期の予想値は据え置きとしています。
また、下期の当期純利益には、すでに公表済みの自社太陽光発電設備の売却による特別利益約25億円を織り込んでいます。
配当金については、引き続きDOE4パーセント以上、安定配当という基本方針に基づき、期初予想どおり、上期・下期で各1円増配の通期38円を予定しています。
中期経営計画の進捗 重点戦略(コア5)

中期経営計画の重点戦略「コア5」の進捗についてご説明します。
1つ目の「エネルギートランジションへの積極関与」についてです。
伸長が期待される原子力関連ビジネスについては、他の領域からのシフトにより人員を増強し、体制を強化しました。これにより、現場常駐を通じた対応力の向上を図っています。また、再生可能エネルギー関連では、顧客国内工場の自家発電における脱炭素ニーズを捉え、石炭からペレットなどへの燃料転換の需要を取り込むため、営業活動を展開しています。
2つ目の「サステナブル社会構築に資する事業創出」では、ごみ焼却炉など老朽化した社会インフラの更新需要を取り込むために、対応部署を新設しました。
引き続き、既存事業の事業性や採算を見極めながら、成長が期待できる領域に積極的に人員配置を行っていきます。
3つ目の「グループ総合力強化」については、注力分野において業務提携やメーカーとの代理店契約締結を推進しています。今期は、国内メーカーの碍子製造撤退に伴う需要に対応するため、海外メーカーと代理店契約を締結したほか、プラント・建築・土木工事の総合エンジニアリング会社と業務提携を行いました。今後は、機器販売に付随する工場建設や既設改修などの工事需要を捕捉していきます。
4つ目の「強靭な経営基盤の構築」については、再発防止策(改善報告書)で示したリスク管理強化の定着に向けた対応を継続しています。今期は、新たに建築請負工事のリスク管理強化に向けて外部専門家を招聘し、対応策を検討しています。また、システムガバナンス強化に向けた基幹システム再構築プロジェクトでは業務改革の方針を決定し、今後はシステム化に向けて要求仕様書の作成に着手します。
5つ目の「株主還元の拡充」については、当面は財務基盤の強化を進めるとともに、引き続きDOE4パーセント超えを維持していきます。
以上で私からの説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。
新着ログ
「卸売業」のログ





