決算概要
塚崎敏英氏:野村不動産ホールディングス株式会社グループCFOの塚崎です。2025年3月期第3四半期決算についてご説明します。
まずは連結の決算概要です。当第3四半期の売上高は5,718億円、事業利益は1,013億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は624億円となりました。第3四半期としては、売上高・各利益ともに過去最高を更新しています。
部門別に見ると、前年同期比で6部門すべてが増収増益となっています。また、第3四半期までの好調な業績の進捗を反映し、通期業績ならびに配当金の予想を修正します。
住宅部門:部門別業績
部門別の業績についてご説明します。まずは住宅部門です。分譲住宅における計上戸数の増加や平均価格・粗利益率の上昇などを要因に、増収増益となりました。
収益不動産の売却においては、前年度に第3四半期までの売却が多かった影響もあり、前年同期比では売上高は減少しています。運営では、ホテル事業が好調に推移したことに加え、今期からUDS社がグループ入りしたことにより売上が増加しました。その他については、リノベーション事業における売却件数の増加により、売上高が増加しています。
当部門は、分譲住宅の粗利益率の上昇により、事業利益の通期予想を上方修正しています。
住宅部門:分譲(売上高/粗利益率、関連指標)
スライド左側のグラフに記載したように、第3四半期までの分譲住宅の粗利益率は27パーセントと非常に高水準となっており、通期でも26パーセント台を見込んでいます。
住宅部門:分譲(契約戸数/契約進捗率)
住宅分譲の累計契約戸数は2,486戸となりました。前年同期比では69戸減少していますが、計画どおりの進捗です。住宅ローンの金利は上昇傾向にありますが、お客さまの購入ニーズは依然として強く、好調な売れ行きが維持できています。
通期の計上予定売上高2,900億円に対して契約は97.5パーセントまで進捗しており、ほぼ達成が見込まれています。
住宅部門:分譲(25/3期 用地取得/用地ストック)
第3四半期累計では、約1,400戸、売上高にして1,500億円相当の用地を確保しています。これにより、スライド右側のパイチャートに記載したように、中長期的には約2兆円分の用地ストックがあります。これは、概ね4年から5年分の事業量に相当するものとなります。
住宅部門:収益不動産(賃貸住宅等)の売却と賃貸住宅の開発状況
賃貸住宅を開発し収益不動産として売却する事業については、前年同期比で売却数が減少しました。通期では収益不動産の売却計画を変更し、期初の想定よりも売却粗利益が減少する見込みとなるため、前期を下回る水準を予想しています。
今後のストックとしては、竣工済みが500億円余り、開発中も含めると約1,100億円余りを確保しています。
都市開発部門:部門別業績
都市開発部門は、収益不動産の売却が前年同期比で増加したことにより増収増益となりました。運営の売上高は、フィットネス事業やシェアオフィス事業が好調に推移したことにより、前年同期比で増加しています。
当部門でも、収益不動産の売却計画を一部変更することにより、通期の売上高および事業利益を下方修正しています。
都市開発部門:収益不動産売却と用地取得
収益不動産に関しては、第3四半期時点で売却額が977億円、粗利益が310億円となりました。住宅部門と同様に、通期では収益不動産の売却計画を変更し、売却粗利益は期初予想よりも減少する見込みです。
用地取得では、第3四半期までの累計で6件、580億円相当の取得実績となっています。厳しい用地取得環境の中でも、オフィス・物流施設の用地を順調に積み上げています。収益不動産のストックは、開発中のものも含めて約9,000億円となっています。
都市開発部門:空室率、賃貸可能床面積
スライド左側のグラフは、固定資産として保有する賃貸資産の空室率を示しています。各物件で少しずつ空室の消化が進んだことにより、空室率は全エリア平均で4.7パーセントとなりました。
海外部門:決算概要
海外部門は、ベトナムでの住宅分譲案件の計上により増収増益となりました。当部門では、期初に想定していなかったベトナムにおける新たな住宅分譲案件の計上により、事業利益を上方修正しています。
海外部門:海外事業の拡大(参画案件)
海外での投資については総事業費約7,100億円の投資を決定済みであり、そのうちBS残高は約2,500億円です。
第3四半期は、新たにベトナムの住宅分譲案件で約500億円、アメリカの賃貸住宅開発案件で約100億円の投資を決定しました。また、中国における住宅分譲案件での投資を完了したことにより、中国での投資資金はほぼすべて回収し終えた状態となっています。
海外部門:直近の主なプロジェクト
スライド左上の「ロイヤルアイランド」は、昨年6月に参画したベトナム・ハイフォンにおける住宅分譲案件です。また、スライド右上の「ジェファーソン モーニングスター」は、アメリカ・ダラスにおける賃貸住宅の開発案件です。いずれも、今回新たに参画を決定しました。
アメリカにおいては、これまでのポートランドやアトランタにダラスが加わることで、合計3件を推進する状態となっています。
資産運用部門:決算概要
資産運用部門も増収増益となりました。スライド下部のグラフのとおり、私募REITや私募ファンドを中心に、国内での運用資産残高を着実に積み増すことができています。
一方で、海外の運用資産残高は減少しています。こちらは、これまでにもお伝えしているとおり、イギリスの運用会社ロスベリーのファンドにおいて、物件を売却しながら解約への対応を進めていることによります。
仲介・CRE部門:決算概要
仲介・CRE部門も増収増益です。好調なマーケットを背景に、個人向け不動産仲介のリテール、中小企業・企業オーナーや富裕層向けのミドル、大企業やファンド向けのホールセールのいずれも、売買仲介取扱件数と取扱高が増加しています。
このような好調な進捗をもとに、当部門でも売上・事業利益の予想を上方修正しました。
運営管理部門:決算概要
運営管理部門では、住宅管理戸数やビル管理件数が順調に積み上がっており、運営管理収入が増加しました。また、受注工事の売上高も増加し、増収増益となっています。
このような状況を踏まえ、当部門でも売上・事業利益の予想を上方修正しました。
2025年3月期 通期業績予想の修正
通期業績予想の修正についてご説明します。各部門でご説明したとおり、国内においては住宅の分譲、収益不動産の売却に加え、仲介や運営管理の各事業が好調に推移しています。海外においても、期初に想定していなかった、ベトナムにおける新規案件での収益計上が進む見込みです。
このような状況を踏まえ、住宅部門、海外部門、仲介・CRE部門、運営管理部門において通期の事業利益予想を上方修正しました。
一方で、グループ全体での好調な業績を背景に、住宅部門および都市開発部門において収益不動産の売却計画を変更しています。これを受け、都市開発部門では通期の事業利益見通しを下方修正しました。
結果として、売上高は期初予想比300億円減の7,600億円、事業利益は期初予想比20億円増の1,200億円、経常利益は期初予想比20億円増の1,020億円、当期純利益は期初予想比20億円増の720億円の予想となります。これらの売上および各利益は、当社の過去最高を更新する水準です。
株主還元、株式分割
株主還元についてご説明します。今回の業績予想の上方修正を受け、1株当たりの期末配当金を5円増額し、通期で170円とする想定です。これにより13期連続の増配を達成し、配当性向は40.7パーセント、総還元性向は47.7パーセントとなる見込みです。
引き続き、株主のみなさまにご満足いただけるよう、グループ全体で成長を目指していきます。