免責事項および注意事項
本部英彦氏(以下、本部):Jトラスト株式会社、執行役員財務部広報・IR担当の本部です。
ご説明に先立ち、免責事項はスライドに記載したとおりです。
Jトラスト 会社概要
本部:会社概要についてご説明します。当社は1977年に大阪で創業した会社で、事業者金融からスタートしました。現在は東京の恵比寿に本社があります。グループ全体の従業員数は3,000名を超え、日本、韓国、インドネシア、カンボジアで金融事業を中心に展開するグローバル総合金融グループへと大きく変貌を遂げています。
スライド左下の円グラフは連結営業収益(売上)の構成比を示しており、前期は全体で1,281億円です。韓国や東南アジアなど、海外の営業収益の割合が70パーセントを超えていますが、利益ベースで見ると日本金融事業の割合が非常に高くなっています。
Jトラスト 成長の軌跡
本部:スライドでは、営業収益を青色の棒グラフ、営業損益をオレンジ色の棒グラフで示しています。1977年に大阪で創業したとお伝えしましたが、当社としての実質的な歴史は、現在の代表取締役社長の藤澤が筆頭株主となった2008年からです。そのため、スライドには2008年以降の内容を記載しています。
2008年以降、順調に増収を続けていましたが、コロナ禍に事業内容の見直しを行ったため、2019年に大きく営業収益が減少しました。事業内容の見直しが完了した後の営業収益は右肩上がりに増え、最高値を更新しながら成長し続けています。
日本金融事業 - 保証事業
本部:事業内容についてご説明します。まずは日本金融事業です。日本金融事業には4つの柱があり、1つ目が保証事業です。
保証事業は、子会社の日本保証が展開しています。銀行をはじめとする提携先の金融機関がお客さまに対して貸し出しを行い、その貸し出しやローンが延滞した場合に、保証会社である日本保証が買い取り、保証します。保証料が収入となります。
スライドの右側の棒グラフが、保証するローンの残高である保証残高を示しています。これが積み上がれば保証料収入が増加することになりますが、順調に残高が積み上がっています。
日本金融事業 - 保証事業
本部:保証事業では、貸し出すローンが延滞した場合は日本保証が保証し、買い取ります。そのため、提携先の金融機関はノーリスクに近い状態で貸出残高を伸ばすことができます。
特に、当社は地方銀行との提携が多いです。地方の銀行でも日本保証が保証することで、地元エリア以外の東京・大阪・名古屋の大都市のお客さまにも融資ができます。新たな顧客の開拓につながることから、ニーズが非常に高く伸びています。
今後も保証残高は伸びていく計画で、保証事業は安定成長事業となっています。
日本金融事業 - 債権回収事業
本部:日本金融事業の2つ目の柱は、サービサー事業です。
サービサー事業は、子会社のパルティール債権回収が展開しています。この事業は不良債権の買取回収ビジネスであり、事業を行う上での免許・ライセンスは法務大臣の許認可制です。非常に高いコンプライアンス遵守の体制が求められています。
スライドの右下の棒グラフで示したとおり、新たな認可が取りづらくハードルが高いため、全体の業者数は減少傾向にあります。そのため、パルティール債権回収は残存者メリットを享受できています。
簡単に事業内容をご説明します。金融機関で不良化した延滞債権を、サービサーであるパルティール債権回収が安く買い取ります。その買取額以上に回収すれば収入になるというビジネスモデルで、この事業も安定成長事業です。
日本における債権回収事業
本部:サービサー事業で重要なことは、債権の回収を進めることはもとより、新しい債権を定期的に仕入れてくることです。当然ながら回収が難しい債権が残りますが、残った債権の回収にいつまでも注力するのではなく、回収が可能な債権を新たに購入してくることが重要になります。
当社グループは2008年以降、日本国内であらゆるノンバンク企業をM&A・買収してきたことから、回収のノウハウが蓄積されています。蓄積されたノウハウや回収力を背景に、債権買取時の入札額を競合他社よりも競争力のある価格に設定できるため、新規の債権を定期的に購入できています。
その結果として、スライドの右側の棒グラフのとおり、回収を進めながら債権買取も順調に進んでおり、保有する債券の残高は増加しています。
日本金融事 - 証券事業
本部:成長事業の1つである証券事業についてです。日本金融事業の3つ目の柱であり、Jトラストグローバル証券、略してJTG証券が展開しています。
JTG証券は2022年3月に買収した会社です。日本に19社しかない新規上場・IPOの引き受けができる総合的な中規模の証券会社で、支店が8つあります。ご覧になった方もいるかもしれませんが、テレビ東京の『WBS(ワールドビジネスサテライト)』の枠で行っている、フリーアナウンサーの高島彩さんや石原良純さんを起用したテレビCMが好評です。
他の証券会社との差別化として、日系の証券会社にはない外資系証券会社品質のプライベートバンキング事業を展開しています。預かり資産が増加し、業績が順調に伸びています。
日本金融事業計画
本部:日系のプライベートバンカーの大半は、不正防止の観点などから3年から4年程度で担当が変更になるそうです。しかし、JTG証券のプライベートバンカーは、原則として担当が変わることはありません。
また、担当する富裕層の顧客ご本人だけでなく、例えばそのお子さまの進学のお世話をするなど、金融サービスの提供にとどまらず、家族ぐるみで信頼関係を築いています。単なる担当者というよりも、言わば執事のような存在です。
プライベートバンキング事業を拡大させる具体策として、外資系大手金融機関であるUBS銀行やクレディ・スイス証券でプライベートバンカーだった松木を、2024年1月にJTG証券の副社長に招聘しました。体制を整備しながら事業を成長させています。
現在は4,000億円強である預かり資産を、5年後の2029年には約2.5倍の1兆円にする計画です。預かり資産1兆円を達成すると、JTG証券単体での営業利益が30億円を超えることになります。この証券事業は、当社グループとしても非常に期待値の高い成長事業です。
日本金融事業‐カード事業
本部:もう1つの成長事業は、日本金融事業の4つ目の柱であるカード事業です。
カード事業は、子会社のNexus Cardが展開しています。カード事業よりも割賦事業が非常に好調で、特に脱毛の割賦売掛金残高が伸びています。脱毛サービスを受ける場合は相応の金額になりますので、割賦契約を利用する方が多いです。
例えば、1年間で30万円のプランの脱毛サービスを受ける場合、Nexus Cardが利用者と割賦契約を締結し、利用者に代わってその30万円を一括で脱毛会社へ支払います。その後、利用者は1年間脱毛サービスを受けながら、利息を含めた分割金額をNexus Cardに毎月支払うこととなります。
スライド右側の棒グラフで示したとおり、割賦売掛金残高は、2023年3月から2024年12月までの間で3倍近くに増加しています。今年の春にも新たに大型加盟店が加わりましたので、割賦売掛金残高は引き続き伸び、カード事業は継続的な高い成長を見込んでいます。
日本における各ビジネスモデルのシナジー
本部:今ご説明した4つの日本金融事業は、相互の事業拡大に寄与する部分を協同することで、グループの収益を増大させています。
具体的な例としては、日本保証が展開する保証事業がNexus Cardの割賦事業の債権を保証することで、加盟店における回収の不安を抑制し、加盟店の増加につなげています。結果として、割賦残高の増大に寄与しています。
仮に、その割賦債権が不良化・延滞した場合も、その債権をサービサーであるパルティール債権回収が買い取って回収することで、債権回収事業での収益化が可能となります。このようなグループシナジーは、当社の大きな強みです。
日本金融事業だけでも4つの事業を行っていますが、韓国、インドネシア、カンボジアでも銀行業やサービサー事業を展開しています。事業内容や事業を展開する国を分散することで、リスク分散ができています。
日本金融事業計画
本部:スライドのグラフは、日本金融事業の営業収益と営業利益の推移及び計画値を表しています。3本のオレンジ色の棒グラフが営業利益の計画です。今期が74億円、来期が67億円、再来期が75億円となっています。
「成長事業なのに来期は減益になるのか?」と思われるかもしれませんが、この計画値には証券事業の特性が関わっています。証券事業はマーケット状況や市場動向等によって業績が変動するため、業績予想を公表しない会社がほとんどです。
同様の理由から、2026年と2027年の計画には、JTG証券の事業計画を意図的に加えていません。つまり、JTG証券は高成長事業でありながら、2026年と2027年の2年分は事業計画にカウントしていないということです。
大きな成長が期待できるJTG証券の事業計画を加えない状態でも、日本金融事業としてのセグメント営業利益は現状維持を見込んでいます。したがって、JTG証券が加わった実績値は、当然ながら右肩上がりになると予測しています。
韓国及びモンゴル金融事業 - 概要
本部:海外金融事業についてご説明します。まずは韓国です。韓国では、貯蓄銀行というエリア制限のある銀行2行と、サービサー1社を運営しています。韓国に全部で79行ある貯蓄銀行の中で、当社グループの貯蓄銀行2行の合計総資産は7番目の規模があります。
銀行ですので、預金で集めた資金を貸し出して利息収入を得るビジネスモデルとなります。
スライド右側のオレンジ色の棒グラフで示したとおり、2023年は調達金利の上昇と不良債権の発生の影響により一時的に営業損失となりましたが、2024年は9億円の黒字にまで回復し、今期も順調に回復しています。
韓国及びモンゴル金融事業の営業損益計画
本部:スライドのグラフは、韓国における今期の営業損益計画を四半期ごとに分解したものです。
韓国貯蓄銀行の会計上の特性により、第1四半期はもともと7億円の損失計画でしたが、4億円圧縮して3億円の損失で着地し、順調に滑り出しています。韓国の第1四半期決算は、計画よりも4億円良い実績となりました。
韓国の貯蓄銀行2行の預貸スプレッド
本部:2023年の韓国事業の業績悪化及び営業損失は、調達コストが上昇したことなどによるものでしたが、調達コストである預金金利は順調に低下しています。貸出金利と預金金利の差である預貸スプレッドも順調に回復しており、不良債権も落ち着いています。
韓国及びモンゴル金融事業計画
本部:スライドには、韓国の前期実績と今期以降の事業計画を示しています。
当初の計画において、韓国は80億円強のセグメント営業利益を計上していましたが、現在は回復途中にあります。スライドの右側の棒グラフに示したとおり、営業利益は今期が17億円、来期が50億円、再来期が55億円の計画で、ご説明したように順調に回復してきています。
モンゴルについては、今年の4月下旬に売却が完了しています。8月8日に開示予定の第2四半期決算から、セグメントの呼称もモンゴルを除くかたちに変更する予定です。
東南アジア金融事業 - 概要
本部:東南アジアの金融事業についてです。インドネシアでは銀行事業、サービサー事業、コンサル事業を、カンボジアでは銀行事業を展開しています。インドネシアとカンボジアの銀行は商業銀行ですので、日本のメガバンクと同様の一般的な銀行となります。
インドネシアは人口が2億8,000万人で世界第4位、GDP成長率も5パーセント前後で高い成長を続けています。カンボジアはインドネシアほどの人口規模はありませんが、GDP成長率は5パーセント超となっています。
成長国で銀行業を展開することで、日本の銀行業界では考えられないほどの高い利ざやと成長の果実を享受することが可能となります。当社が両国で銀行業を展開する理由は、ここにあります。
東南アジアの金融事業はこれから大きく成長し、今後はJトラストグループの成長のドライバーになることを期待しています。
ちなみに、インドネシアでは他国の銀行の進出枠が5行と決められています。日本企業は、メガバンク3行とりそな銀行系、そして当社Jトラスト銀行の5行です。当社の銀行はインドネシアでは略して「BJI」と呼んでおり、BJIの資産規模はりそな銀行系よりも大きいです。
Jトラスト銀行インドネシア トピックス
本部:インドネシアの人口規模や高い経済成長は、当社に限らず日本の地銀や、その地銀のお客さまである地元・地方の中小企業などにとっても非常に魅力的です。当社は地方銀行4行と業務提携し、海外進出の支援や資金管理支援、BJIのお取引先とのビジネスマッチングなどを行っています。
提携先の地方銀行においては、インドネシアという海外の成長市場でビジネスを展開することで、今までにない新たな収益源の確保につながっています。また、人手不足が深刻な地方銀行のお取引先である地元企業に、インドネシアの若手人材を紹介しています。
Jトラストグループと提携先銀行、そのお取引先とがWin-Winになる仕組みであり、地方創生にもつながっています。このようなきめ細やかなサービスが提供できることは他社との差別化になっており、当社グループの強みであると考えています。
この提携については、『日経新聞』や『東洋経済オンライン』等でも大々的に取り上げられました。注目度が非常に高く、数多くの地方銀行からお声を掛けていただいており、今後も提携先は増加していくと考えています。
東南アジア金融事業 - 計画
本部:スライドには、東南アジア金融事業の前期実績と今期以降の計画を示しています。右側のグラフは営業利益を示しており、今期が30億円、来期が38億円、再来期が53億円と右肩上がりの計画です。
ただし、この計画にはBJIの増資による成長を加味していません。BJIは黒字転換してから順調に貸出残高を積み上げてきましたが、今以上に貸出残高を積み上げるためには、BIS規制(バーゼル規制)の兼ね合いで増資が必要な状況です。今期も30億円の増資を計画しています。
当社は12月決算ですので、今年1月・2月の計画立案時にはまだ増資を実施していませんでした。そのため、今回の増資に伴う成長部分をあえて計画に織り込んでいません。
したがって、BJIが計画どおり30億円の増資をして貸出残高を伸ばすことができれば、その分は発表している計画に対してプラスアルファとなります。それが、グラフ内のオレンジ色の部分が意味しているところです。
Jトラスト銀行インドネシアにおけるアップサイド
本部:BJIの増資によるプラスアルファについては、スライド右側の青い棒グラフに具体的な営業利益のイメージを示しています。当初から公表している計画は、グレーの棒グラフで表しています。2025年が7億円、2026年が15億円、2027年が18億円となっており、その倍に増加する見込みです。
なお、こちらはあくまでもJトラスト銀行インドネシア単体の増資であり、証券コード8508のJトラストの増資ではありません。したがって、Jトラストの株式が希薄になる、つまりダイリューションすることはないとご理解ください。
BJIの増資については優先的に取り組んでおり、さまざまな話をいただいています。
不動産事業 - 概要及び計画
本部:その他事業についてご説明します。まずは不動産事業です。主に、Jグランドが1棟ものの木造・RC・中古の投資用不動産の販売を行うほか、子会社のグローベルスが都心・駅近のコンパクト区分マンションの販売を行っています。
Jグランドが販売する投資用不動産については、購入者である投資家に対して日本保証の提携先金融機関がローンを融資し、それを日本保証が保証します。購入者は手出しゼロのフルローンで物件を購入することができるため、非常に好評です。
当該事業は、先ほどご説明した日本金融事業の保証事業の残高増にも寄与しており、ここでもグループシナジーを発揮しています。不動産事業は、前期販売予定の物件が期ずれしたことにより3億円の利益にとどまりましたが、今期以降は安定成長を計画しています。
投資事業 - 概要及び計画
本部:投資事業についてです。こちらは投資有価証券の売買等ではなく、過去に投資した裁判案件の回収を行っています。
この裁判は、過去に当社が投資をした案件の投資判断をする際に投資先企業から提出された財務諸表に虚偽の記載があったため、投資の無効を訴えたものとなります。裁判自体はシンガポールで行っていましたが、昨年1月に当社の勝訴判決で終結しています。
勝訴判決の確定以降は回収を進めており、今期は計画に織り込んでいる回収見込み金額が約7億5,000万円です。これは第1四半期の段階で回収し終わっているため、今後回収される分については、今期計画に対してプラスアルファとなります。
また、回収する対象債権が約160億円残っていますが、あえて2026年と2027年は「回収なし」の0円として計画しています。こちらも回収が進めば、計画に対してプラスアルファとなります。
すでに全額引当金を積んでおり、回収した分は利益になるため新たな損失は発生しません。つまり、回収する際の弁護士費用は費用として計上されますが、回収したものは利益として計上されていくということです。
グループ経営計画(営業利益の推移)
本部:ここまでご説明したとおり、それぞれの事業で安定成長・成長・回復・回収が進んでいるため、今後は右肩上がりの営業利益計画となっています。連結営業利益は、今年が111億円、来年は143億円、再来年は174億円と積み上がる計画です。
繰り返しになりますが、当該計画には、大きな成長が見込める2026年と2027年の2年分におけるJTG証券の業績を意図的にまったく反映していないほか、2025年から3年分のBJIの増資による成長も加味されていません。さらに、2026年と2027年は投資事業の回収を0円としていますが、100数十億円の対象債権の回収を進めていきます。
これら3つの要素はすべて計画に織り込んでいないため、実現した場合は計画の上振れ要因となります。スライドにオレンジ色の棒グラフで示した「プラスアルファ」には、そのような意味合いがあります。
連結営業利益(計画比)
本部:5月に開示した第1四半期決算の連結営業利益は、計画の13億円を8億円上回って21億円で着地しました。通期計画111億円の達成に向け、好調な滑り出しができています。
事業セグメント別営業利益計画比
本部:事業セグメント別の営業利益です。スライドに赤枠で囲ったとおり、特に日本・海外の金融事業が計画を上振れて好調に推移しています。
四半期毎の連結営業利益計画の推移
本部:スライドの濃い青色の棒グラフは、今期の連結営業利益計画を四半期ごとの累計で示したものです。今期は、下期に向けて利益が積み上がっていく計画になっています。
株主還元
本部:株主還元についてです。順調な事業成長の果実を株主のみなさまにきちんと還元することと、その成長計画の達成にコミットする意味合いも含めて、株主還元を強化しています。
配当については、累進配当を基本方針に原則として減配はしない考えです。また、今後の利益成長とともに配当額を増やしていきたいと考えているため、30パーセント以上の配当性向を1つの目安としています。
1株当たり配当金の推移と予想
本部:今期の1株当たりの配当金は、第50期の記念配当を含めて前期の14円から3円増配しました。大谷翔平選手の背番号にあやかり、17円の予想としています。
自己株式の取得に係る事項について
本部:先月、今期の自社株買いについても開示しました。前期に約20億円の自社株買いを実施しましたが、今期は株価やマーケット環境を見ながら、総額で15億円・400万株を上限に機動的に自社株買いを実施していく考えです。
2025年12月期(6月末)株主優待について
本部:株主優待も実施しており、株主のみなさまからいろいろとご意見を頂戴しながら試行錯誤の手を加えています。
前期に大好評だった東京宝塚劇場の貸切公演について、今期は兵庫県の宝塚大劇場でも実施する予定で進めています。6月末基準の株主さまに対しての付与となり、まだ期日がありますので、ぜひご興味のある方は当社に投資のご検討をお願いします。
2025年12月期 JトラストのIR活動予定
本部:当社は、今期以降の事業計画の達成に向けて順調に推移しており、その達成に自信を持っています。したがって、当社の現状をきちんとお伝えしてご理解いただくことが、株価を含めた企業価値の向上につながると考えています。
そのための取り組みとして、今期も積極的にIR活動を展開する予定です。私からのご説明は以上となります。ご清聴いただきましてありがとうございました。
質疑応答:日本金融事業が好調な理由と今後の見通しについて
kenmo氏(以下、kenmo):足元の状況として、日本金融事業が非常に好調だと見受けられます。現状はどのようなところが良いのでしょうか? また、これからの見通しについても教えてください。
熱田龍一氏(以下、熱田):日本の金融事業は非常に安定した事業です。特に日本保証の保証事業とパルティール債権回収のサービサー事業が、かなり安定した収益を叩き出しています。
日本保証は、すでに保証残高が2,600億円あります。これはストックビジネスのため、今後も安定的に収益は生み出せると考えています。パルティール債権回収も請求債権残高が1兆円以上あり、順調に回収が進んでいます。
加えて、2つの大きな成長セグメントがあります。1つは、プライベートバンキングビジネスを行っているJトラストグローバル証券で、2029年には1兆円の預かり資産を目指しています。
もう1つがNexus Cardです。こちらの割賦が非常に順調に積み上がっており、現在は約200億円となったほか、加盟店には医療脱毛も加わりました。最近加わったため、収益の3ヶ年計画にも入っていません。こちらもプラスアルファになるのではないかと思っています。
質疑応答:証券事業の業績を予想に含めない理由と将来の見通しについて
kenmo:証券事業の業績は、現時点で業績予想に含んでいないというお話がありました。あらためて、なぜ含んでいないのかを教えてください。来期以降の業績予想や、個人投資家としてどの程度を見ておけば良いのかを含めてお聞きできればと思います。
熱田:証券事業はマーケット次第というところがあるため、慣例として収益の見通しを出していません。これは大手証券も含めて同様です。
今期の利益は5億円ほどと計画しています。今後については、2029年に預かり資産1兆円を達成するとJTG証券単体での営業利益が30億円を超えるという計画を出しているため、その間で考えていただければと思っています。
質疑応答:インドネシアやカンボジアで銀行業を展開する理由について
kenmo:海外事業としてインドネシアやカンボジアについてご説明いただきましたが、あらためて、なぜインドネシアやカンボジアなのでしょうか? そこで銀行業を展開する理由や背景について、現地のマーケット環境等も交えて教えてください。
熱田:当社の日本金融事業は、非常に安定して収益を出しています。しかし、そこに甘んじることなく、これからの東南アジアの成長を見込んで、まず2014年にインドネシアに出て行きました。
インドネシアは、人口2億7,000万人ほどの非常に大きなマーケットです。現在、日本では銀行や製造業が非常に注目している国です。当社はインドネシアに48支店を持ち、フルバンキングを展開しています。
カンボジアの銀行は、2019年にオーストラリア・ニュージーランド銀行が持っていた55パーセントの持分を買ったものです。そのため、最初から非常に収益の高い銀行を運営しています。
カンボジアに進出した理由ですが、当時、我々はベトナムなどのいろいろなところを検討しました。ベトナムはすでにレッドオーシャンになっていて、カンボジアにはチャンスがあったのです。
カンボジアは、ドル経済圏で通貨が全部ドル建てのため、非常に投資がしやすくこれから伸びてくると思います。ただし、現在の人口が1,700万人ですので、マーケットとしてはまだインドネシアに比べると大きくありません。
しかし、カンボジアはベトナムとタイの間にあるため、ベトナムプラスワンとして今後伸びてくると確信しています。インドネシアとカンボジア両方で銀行を持っている会社は当社しかありませんので、もし「これからはインドネシアやカンボジアが伸びていく」と考えている方は、当社に投資していただくのも1つの方法かと考えています。
質疑応答:BJI増資の実現可能性と資金調達方法について
kenmo:「BJIの30億円の増資は、実現可能性が高いと見ていますか? また、親会社増資や第三者割当など、その際の資金調達方法についても教えてください」というご質問です。
熱田:インドネシアの増資については、可能性の高低よりもどうにかして実現しようと考えています。ただし、実現できるかどうかはわからないため、収益計画には入れていません。
今期は、すでに日本の銀行やノンバンク企業から5億円ほど増資をいただいています。今期を含め、今後も毎年30億円を目標に行っていきます。
昨年までは親会社からの増資に応えてきたのですが、今期からは自分たちで調達するように伝えて、現地で増資に取り組んでいます。現地と言っても、日本の企業が引き受けてくれることも多いため、本社の財務部と連携をしながら行っています。
質疑応答:2027年の利益目標達成の温度感について
kenmo:グループ経営計画において、証券事業やインドネシア事業、投資事業などの上振れ余地がある領域を除いた営業利益目標として2027年に174億円を目指しているとのことでした。この数値は着地見通しなのか、ある程度の挑戦が必要となるチャレンジブルな目標なのかという温度感について教えてください。
熱田:今期の111億円、来期の143億円、再来期の174億円は、着地見込みです。そこからのプラスアルファがチャレンジブルなところです。
そこには、先ほどお伝えしたBJIの増資や投資回収を織り込んでいません。来期以降は、投資回収とJTG証券の収益が計画に織り込まれていないため、そのプラスアルファをどれだけ伸ばしていけるかが当社のチャレンジだと考えています。
質疑応答:今期の業績見通しについて
kenmo:今期は第1四半期時点ですでに計画を上振れています。今期の業績見通しについて教えてください。
熱田:今期の連結営業利益は第1四半期で13億円の計画でしたが、実績は21億円となりました。日本金融事業はストックビジネスのため、計画値よりも良かったところは素直に喜んでよいと考えています。
ただし他のところでは、本来第1四半期に出てくる費用が出ずに、第2四半期以降に出てくる可能性があります。当社としては、通期の営業利益目標111億円をどうにか達成したいと考えており、第2四半期は目標の37億円を上回るべく注力しています。
この計画について「四半期で13億円では、4億円をかけても111億円にならない」と思う方がたくさんいると思います。これは、韓国において「第1四半期に過去3ヶ年のアベレージで引き当てを行う」というルールがあるためです。
したがって、韓国事業の計画は最初から第1四半期をマイナスとしています。その引き当てが戻ってくるかたちで当社計画は常にテールヘビーになっているため、こちらは心配ありません。
質疑応答:トランプ関税の影響について
kenmo:東南アジアのマーケットを含めて、トランプ関税はどのように影響する見込みですか? マーケット環境が不透明なところも若干あると思いますが、御社の業績への目論見をお聞かせください。
熱田:トランプ関税は、さまざまなマーケットにおいて非常に大きな影響があると思います。特に株式マーケットに関しては、Jトラストグローバル証券に影響が出てくると思います。
ただし、日本金融事業においては、不動産の信用保証をしている事業やサービサー事業にはあまり大きな影響がありません。海外の銀行も今のところ影響はほぼない状態です。ただこちらはマーケット全体に関わってくる問題ですので、クロースリーにウォッチしているところです。
質疑応答:日本金融事業における今後の収入源について
荒井沙織氏:「2025年12月期第1四半期の日本金融事業の営業利益は、前期第1四半期と比較し、18.0パーセント増と好調ですが、割賦業務の一過性収益や保証債務の伸びが今後も続くのか不透明です。今後の収益源として、債権業務やプライベートバンキングはどの程度の収益を想定していますか?」というご質問です。
熱田:保証事業はストックビジネスのため、保証残高が増えれば増えるほど収益が増えていきます。現在は非常に順調に増えて2,600億円を超えており、年末には2,700億円になる計画ですので、ここは安定的に収益が出てくると考えています。
債権回収も同様で順調に債権を購入できており、1兆円以上の請求債権残高があります。こちらも安定しています。昨今は脱毛会社の倒産などが多く、心配する方が多いと思います。しかし当社は、内容をよくわかっている限られた脱毛会社としか一緒に行っていないため、昨今の大手の倒産等には巻き込まれずに済んでいます。
逆に、倒産された企業にいたお客さまや従業員が当社の加盟店に来てくださることもあるため、これからも収益は増えてくると考えています。
ずっと美容脱毛を行っていましたが、最近では医療脱毛の大手企業とも加盟店契約をしたため、割賦残高は大きく増えるのではないかと思っています。こちらは3ヶ年計画を作った時には加盟店ではなかったため、計画には入っていません。したがって、割賦事業も心配ありません。
Jトラストグローバル証券は、『プライベートバンカー』というドラマもありましたが、プライベートバンキング事業が脚光を浴びています。プライベートバンカーは基本的には担当が変わらずに、本当に親身になって、そのお客さまとずっと子どもの代、孫の代まで一緒にできる事業を行っています。
こちらの預かり資産も順調に増えており、2029年の1兆円に向けて注力していますので、今後も収益は伸びてくると思います。
質疑応答:ロボアドサービスの現状と今後の見込みについて
kenmo:「ロボアドサービスの現状と今後の見込みについて詳しく教えてください」というご質問です。
熱田:Jトラストグローバル証券のロボアドサービスに関しては、いろいろ新しいことをやっていこうと思って始めたばかりですので、まだ収益的には大きなものとなっていません。しかし、今後は他社との差別化を考えながら進めていきますので、もうしばらくお待ちいただければと思います。
質疑応答:株主優待の評判や反響について
kenmo:「宝塚歌劇や医療系の株主優待の評判や反響はいかがでしょうか? また、株主構成への影響はどの程度ありましたか?」というご質問です。
熱田:宝塚歌劇の優待は我々が想像していた以上に良い評判をいただき、掲示板等でも非常に好評でした。そのため、今回は東京の宝塚公演に加えて、神戸の宝塚大劇場でも実施することを決めました。できるだけ多くの方に観ていただきたいと考えています。
私も初めて拝見しましたが、非常に感動しました。実は今週、宝塚大劇場へ打ち合わせに行ってきたのですが、東京とはまた違った非常に趣のあるところです。500株以上買っていただけると抽選応募券が発送されますので、ぜひみなさまにご参加いただきたいと思います。
kenmo:実は、私も昨年申し込んだのですが外れました。
熱田:すみません。そのあたりは我々も考えており、できるだけ多くの方に観ていただけるようにしたいと思っています。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:地方でのIR説明会の実施効果について、個人投資家比率や株主構成へのインパクトをどのように捉えていますか?
回答:昨年度より地方での個人投資家向けIR説明会を再開し、多くの方々にご参加いただいています。開催地在住の株主さまも増加傾向にあります。
<質問2>
質問:IR活動の強化策として具体的に取り組んでいる内容を教えてください。
回答:機関投資家とのミーティングについては、日本国内にとどまらず、ニューヨーク、シンガポール、香港、インドネシアなど海外でのロードショーも実施しています。
また、日本の地方都市でも個人投資家向けにIR説明会を開催しています。
さらに、地場の証券会社やIFA事業者とのリレーションシップ強化にも努め、IR活動のさらなる充実を図っています。
<質問3>
質問:自己株式取得(2025年上限1,500百万円)について、今後も継続的に実施する方針ですか? 株価対策としての効果はどのように見ていますか?
回答:自己株式の取得については、マーケット環境を踏まえたうえで、機動的に実施していく方針です。