SUMINOE株式会社へ社名変更

永田鉄平氏(以下、永田):SUMINOE株式会社代表取締役社長の永田です。よろしくお願いします。

すでに開示していますが、我々は2024年12月より社名を漢字の「住江織物株式会社」から、アルファベットの「SUMINOE株式会社」に変更しました。

織物の技術は伝統技術も含めて大切にしながら、非繊維の部分を拡大していきます。さらに、自動車内装事業を軸にグローバル展開を加速していくという意味を込め、アルファベットで「SUMINOE株式会社」としました。

現在、繊維系の売上が約65パーセント、非繊維が約35パーセントとなっています。今後は、合成皮革などを中心として、非繊維の領域を伸ばしていきたいと思っています。

2025年5月期 中間期 決算のポイント

決算の概況です。2025年5月期中間期の売上高は506億9,800万円で、前年同期比で約7億円減、期初計画比で約5億円減で着地しました。営業利益は7億4,200万円で、前年同期比で47パーセント減の約6億6,000万円減、期初計画比で約2億5,000万円減と、大幅な減益となっています。

経常利益は4億4,600万円で、こちらも前年同期比で12億4,600万円減、期初計画比で約6億5,000万円減となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は6,500万円で、前年同期比で6億8,700万円減、期初計画比で2億3,400万円減となり、非常に良くない結果で終わっています。

連結業績推移(売上高/営業利益)

連結の業績推移です。売上高は、まだ新型コロナウイルスの影響があった2021年から段階的に伸ばしてきました。2024年5月期第2四半期は514億円でしたが、当期は506億円となり、少し落としています。

2024年5月期第2四半期の営業利益は、14億円でした。しかし、当期は約半分の7億4,000万円となりました。

セグメント別内訳

セグメント別の内訳です。売上高について、自動車・車両内装事業は311億5,700万円で、前年同期比で3億7,600万円減、インテリア事業は176億7,900万円で、前年同期比で5,700万円の微増となっています。

機能資材事業については、後ほどご説明しますが、繊維系暖房商材の受注数減少を受けて16億3,600万円となり、前年同期比で4億3,100万円減、その他事業は2億2,500万円となりました。

セグメント利益は、自動車・車両内装事業が17億700万円で、前年同期比で4億2,200万円減、インテリア事業は7,400万円で、前年同期比で1億2,000万円減でした。機能資材事業はマイナス3,100万円で、前年同期比で1億1,600万円減、その他事業は3,600万円となっています。

自動車・車両内装事業

自動車・車両内装事業は減収減益となりました。車両内装事業は、鉄道車両・バス向けともに堅調に推移したものの、主力である自動車内装事業は、自動車の生産台数が減少したことなどから、前年同期の売上高を下回りました。

売上高は311億5,700万円で、セグメント利益は17億700万円です。スライド右側に記載のとおり、国内の自動車生産台数が前年同期比で7.6パーセント減少し、海外の自動車生産台数も減少した影響を受けています。

自動車・車両内装事業

国内の自動車内装事業の売上高は、前年同期比で3パーセント減となりました。これは、日系自動車メーカーの生産台数減少による影響を受けた結果です。

海外の自動車内装事業の売上高は、前年同期比で2パーセント減となっています。北中米においてはカーペット・カーマットが堅調に伸びたことがプラス要素となりましたが、一部の車種での生産調整等により減少した部分もありました。また、アジア、特に中国とタイにおいては、それぞれ日系自動車メーカーが苦戦している部分がマイナス要素として反映されました。

車両内装事業の売上高としては、前年同期比で増加しています。M&Aを行った関織物株式会社との連携で、鉄道・バス向け内装材の生産・販売を一貫体制で対応したことによる相乗効果が出てきています。また、安全に避難を行うための非常脱出はしごが多数採用されました。

インテリア事業

インテリア事業は増収減益となりました。売上高は、一般家庭向け商材が引き続き停滞した一方で、コントラクト分野で環境にやさしい水平循環型リサイクルタイルカーペット「ECOS(エコス)」の納入が増加した影響を受けています。

セグメント利益は7,400万円でした。これは、利益の幅がある一般家庭向け商材の減少と、原材料・エネルギー価格の高止まりの影響によるものです。後ほどご説明しますが、原材料の値上げを我々は12月から実行したため、11月末の中間期には反映されていない部分があり、その影響を受けています。

事業環境としては、新設住宅着工戸数が前年同期比マイナス2.9パーセント、民間非住宅分野着工面積が前年同期比マイナス10.7パーセントとなりました。

インテリア事業

業務用カーペットの売上高は、タイルカーペットの好調によって前年同期比4パーセント増となりました。

家庭用カーペットの売上高は、なかなか需要が戻らず、前年同期比12.8パーセント減でした。

カーテンの売上高は、比較的好調な部分もありましたが、前年同期比1.2パーセント減となりました。医療・福祉・教育施設向けの売上が伸びた一方で、一般家庭向けの販売が低調だったことが影響しています。

壁装関連の売上高は、前年同期比0.2パーセント増でした。ホテル向けクロスが増加し、防犯用のフィルム等も伸びましたが、新設住宅着工戸数の減少に伴い、住宅向け販売が低調となった影響を受け、微増となっています。

スペース デザイン ビジネスの売上高は前年同期比7.2パーセント増でした。商業施設向けの内装や、タワーマンション向けのオプション販売などの伸長により、売上高を伸ばすことができました。

機能資材事業

機能資材事業は減収減益となりました。消臭・フィルター関連の販売は伸長し、ポリエステル長繊維「スミトロン」も伸びたものの、繊維系暖房商材については、近年暖冬の傾向が続いているため、想定以上に受注量が減少しています。その結果、売上高、セグメント利益とも前年同期を大きく下回りました。

スライド左側のグラフのとおり、2023年5月期第2四半期に24億5,200万円あった売上高が、当期は16億3,600万円となり、セグメント利益もマイナス3,100万円まで落ち込んでいます。

連結バランスシート

連結バランスシートです。総資産は920億8,500万円で、前期末比で約1億1,300万円減少しています。そのうち、流動資産は530億円で、前期末比で約20億円の増加となりました。現金は約81億円、棚卸資産は162億4,400万円で、前期末比で若干減少しています。

負債・純資産は、流動負債のうち借入金について、今メキシコを中心に投資を続けているため、207億3,500万円となっており、前期末比で26億円ほど増加しています。利益剰余金は、配当を実施した結果、120億2,200万円となり、前期末比で少し減少しています。

設備投資・減価償却費

設備投資・減価償却費です。2025年5月期第2四半期については、スライドのグラフに記載のとおり、設備投資は10億4,000万円です。通期では計画上は35億円を予定していますが、これを若干下回る可能性があります。

通期は、減価償却費が20億円前後、それに対して設備投資が20数億円から30億円ぐらいでしたが、この2年、3年の間は積極的な投資によって設備投資が大きくなっています。

2025年5月期 通期見通しのポイント

2025年5月期の通期見通しについては、従来発表している数値から変更はなく、据え置きとしています。売上高は1,053億円、営業利益は33億円、経常利益は34億円、親会社株主に帰属する当期純利益は15億円を見込んでいます。

前期比では経常利益が減少しているものの、それ以外は同水準を維持する見通しです。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期が悪かったため大きく伸びています。

2025年5月期 事業セグメント別見通し

セグメント別の通期の見通しをご説明します。売上高は、自動車・車両内装事業が641億8,000万円で、前期比13億7,900万円増、インテリア事業が380億4,000万円で、前期比8億9,700万円増、機能資材事業は26億5,000万円で、前期比4億7,700万円減、その他事業は4億3,000万円です。

セグメント利益は、自動車・車両内装事業が46億1,000万円で、前期比1億8,200万円増、インテリア事業が10億円で前期比5,300万円増、機能資材事業はマイナス1億8,000万円で、前期比1億1,300万円減、その他事業が9,000万円で、合計では33億円を見込んでいます。

中長期経営目標 全体像

中長期経営目標は、従来ご説明している内容から変更していません。財務面では、「売上拡大、成長への基盤づくり」として、営業利益率5パーセント以上を目標として各種施策を推進しています。そのために、積極的な設備投資を行いながら、オンリーワン商材の開発、環境対応型の商材の開発と販売促進に取り組んでいます。

「財務体質の改善」としては、DEレシオの改善について、純資産の0.5倍ぐらいを目標に考えていますが、現在は借入が若干膨らんでいる状況です。ただし、それでもDEレシオは0.6倍から0.7倍あたりを維持しています。今後、中期的には0.5倍になるように取り組みたいと思っています。

非財務面では、「社員の幸せにつながる職場づくり」、それから「会社と社員のビジョンの共有」として、企業ブランド価値の向上を目指しています。

中長期経営目標 全体像(財務面)

中長期経営目標の数値については、前回ご説明したとおりです。中長期経営目標の後半3年間において、初年度となる2025年5月期の売上高は1,053億円を見込んでいます。続く2026年5月期は売上高1,060億円、2027年5月期は売上高1,090億円、営業利益率5パーセントの達成を目指しています。具体的な数値として営業利益50億円を目標に設定していますが、これは営業利益率4.6パーセントに相当します。

中長期経営目標 後半3ヵ年STEPIIの重点テーマ

これまでご説明したとおり、目指す収益率として営業利益率5パーセント、ROE8パーセント、PBR1倍を掲げています。現在、PBRは0.5倍程度のため、企業価値の大幅な向上を図っていきます。

STEPII初年度における事業別現状分析

事業別の現状分析です。インテリア事業の優位性は、我々がメーカーかつ商社であること、そして製品製造から卸、施工まで対応できる特殊な体制であることです。業界の中では唯一であり、強みです。

課題としては、いまだアルファベットの「SUMINOE」の認知度が低いことと、一般家庭向けの商材が長らく低迷していることが挙げられます。このあたりは、当期でほぼ底を打つ想定です。重点取組としては、収益性のアップに向け、富裕層向けの中高級ゾーンの商材開発等を現在進めています。

自動車内装事業は、天井材、シート、フロアカーペット、カーマットとすべてを受注・納品できる、世界でも稀有な存在である点が我々の強みです。また、インテリア、車両分野、機能資材と複数の事業があるため、技術融合によって新素材の開発提案ができることも強みです。

課題は、エネルギーコスト高騰による製造原価の上昇です。適宜、価格転嫁していますが、タイムラグが出る場合があります。さらに現在、日系自動車メーカーにおける自動車生産台数の減少により若干苦戦しています。重点取組としては、繰り返しになりますが、北中米事業の拡大と外資系自動車メーカーへの拡販に取り組んでいきます。

車両内装事業では業界トップのシェアを誇っており、特に鉄道用の内装材については約80パーセントのシェアを占めています。この強みを活かして事業を推進しています。課題としては、新型コロナウイルスの影響による乗客の減少等がありましたが、現在は立ち直りつつあります。こちらが解消されてきている中、事業を着実に伸ばしているところです。

機能資材事業は、独自性のある商材、機能をもとにした加工技術等が強みですが、現在は繊維系暖房商材が非常に苦戦しています。そのため、主生産拠点であるベトナム工場では、半分を自動車用のカーペット、カーマットの製造に振り分け、収益の改善に取り組んでいるところです。また、繊維系暖房商材や冬物商材のほか、通年あるいは夏物の開発も行っており、徐々にそちらにシフトしていく過程にあります。

Topics① 社名変更に伴うPR

社名変更にあたり、新聞各紙に広告を載せました。さらに、各JR・地下鉄等の駅で、住江織物株式会社がSUMINOE株式会社になったことをサイネージ動画で紹介しています。現在も、虎ノ門二丁目交差点の上にある大画面で、サイネージ動画を流しています。

Topics② 企業の枠を越えた持続可能な社会への取り組み

持続可能な社会への取り組みについてです。ペットボトルから作ったポリエステル繊維「スミトロン」でシートを作り、トヨタ自動車の「ランドクルーザー“250”」に納入しています。このポリエステル繊維は、トヨタ自動車のオフィスや工場などから回収したペットボトルで作っており、自動車業界としては世界で初めての取り組みです。

インテリア事業では、タイルカーペットの水平循環リサイクルを構築しました。1つは、サッポロ不動産開発が所有する「恵比寿ガーデンプレイス」での水平循環リサイクルです。ここに敷かれていた我々のタイルカーペットを、鹿島建設経由でリファインバースグループが回収・再生します。そして、我々がそのリサイクルチップを使ってタイルカーペットを製造して納めるという水平循環を実施しています。

また、過日完成した「麻布台ヒルズ 森JPタワー」に関しても、我々が約23万平米分のタイルカーペットを納めました。こちらも同様に、我々が回収して循環していく取り組みを実施しています。

Topics③-1 海外拠点における自動車内装材の拡大強化

海外拠点については、現在メキシコ工場で合成皮革の生産を開始しています。半年ほど遅れましたが、今、我々が受注しているものをメキシコ工場の生産に置き換えるとともに、新たに提案しているものに対する施策等を実施しています。今後、大きく稼働していく予定です。

また、外資系自動車メーカー向けのフロアカーペットを大量に受注しました。1ヵ月あたり50万平米から60万平米という生産体制で納入を開始します。

今後はメキシコを中心とした北中米のビジネスを拡大していきます。その一環として、2025年4月に北米の子会社Bondtexのメキシコ工場を立ち上げる予定です。この工場では、自動車内装材のラミネート加工を行います。

Topics③-2 海外拠点における自動車内装材の拡大強化

先ほどもお伝えしたとおり、自動車メーカー各社に対しては、インテリア事業で培ったデザイン性などを含む、自動車内装材全体のプレゼンテーションを実施しています。

現在、まだ拠点がないヨーロッパに関しては、フランスのTESCA groupと業務提携を締結し、我々が受注しているものを同社を通じてヨーロッパに供給します。一方で、TESCA groupが拠点を持たない地域での生産を我々が担っています。

また、モノマテリアル化したシート表皮材などの環境対応型商材についても、引き続き進めているところです。

配当金・株主還元について

配当金・株主還元についてです。従来は1株当たり70円を基本とし、コロナ禍には配当を下げることもありましたが、2024年5月期は70円、この中間期は40円の配当を予定しています。

なお、先日開示したとおり、2025年2月28日を基準日として株式分割を行う予定です。これにより、1株当たりの期末配当金は40円から20円となりますが、実質的な配当額に変更はありません。

質疑応答:BtoCにおけるブランド認知度向上施策について

質問者:2024年12月に社名を変更されましたが、名門企業で伝統ある「住江織物」がアルファベットの「SUMINOE」に変えたことに驚きました。ただ、これまでも海外では「Suminoe Textile」という社名でずっと活動されているため、国内向けのアピールが大きいという見方をしています。

また、自動車事業が御社の根幹ではありますが、今後は一般家庭向けおよび富裕層向けのBtoCビジネスに注力する必要があるかと思います。そのためには、SUMINOE株式会社への社名変更を、どのようにアピールしていくのかが重要だと考えています。

一般家庭向けの商材について、例えば設計事務所や工務店経由で営業されているのか、それとも御社が直接個人マーケットにアクセスしているのかを教えてください。

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