【QAあり】TENTIAL、医療機器「BAKUNE」がリカバリーウェアシェアNo.1 ブランド力と新カテゴリ展開で成長加速
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中西裕太郎氏(以下、中西):みなさま、はじめまして。株式会社TENTIAL代表取締役CEOの中西です。
本日は6つの項目についてご説明します。まず、簡単に会社の概要をご説明し、ビジネスモデル、競争優位性、成長戦略、2025年8月期の通期実績、そして2026年8月期の通期計画についてご説明します。
TENTIALとは

中西:株式会社TENTIALについてです。TENTIALは、科学的根拠と最新の技術に基づくコンディショニング製品で、急成長するリカバリー市場の中でブランドを確立している企業です。
365日24hコンディショニングというブランド哲学を軸に商品展開

中西:当社は24時間365日というコンセプトをもとにブランド展開しています。ビジョンとしては、しっかり日常生活を日々コンディショニングすることがパフォーマンスの発揮につながると考えており、24時間をどう支えていけるかをテーマに商品開発を行っています。
TENTIALが対峙する市場

中西:当社が商品づくりをする背景についてご説明します。健康課題の自覚症状がある方は、日本全体で約4人に1人といわれています。これらの慢性的な疲労感や心身のパフォーマンス低下などの健康課題を解決するために、体のコンディションを整えることをテーマにして、科学的根拠に基づいたコンディショニング製品を世の中にお届けしています。
日本のリカバリー市場を取り巻く環境

中西:社会背景についてご説明します。スライド左側は、平均睡眠時間のグラフです。先進国であるOECDの中で、日本は睡眠時間が最も短いといわれています。
スライド右側は、就業者の健康関連コストのグラフです。なにかしらの不調や不満を抱えながら働いていることで、生産性が上がらない状態となっている方が多くいらっしゃるのが現状だと認識しています。
コンディショニングの重要性

中西:このような中での当社のテーマの1つがアスリートです。トップアスリートは、パフォーマンスを上げるために日々体を整えてコンディショニングしています。このことから、一般の生活者もコンディショニングの重要性を理解することで、一人ひとりの可能性やポテンシャルが発揮されると考えています。
日々の健康課題が多くなる中で、みなさまの健康意識を高めていくことで、社会全体の健康意識が上がり、一人ひとりの挑戦が進む社会になると思っています。このような背景のもと、当社はしっかりとした科学的根拠をもとにした商品を提供しています。
コンディショニングという独自のポジショニング

中西:消費者から見たブランドのポジショニングです。当社は、日常をテーマにして機能性を追求したブランド展開を行っています。したがって、スポーツシーンではなく、日常の「健康」という切り口から、独自のブランドポジショニングを構築しています。
TENTIALが対峙する市場と将来獲得できる市場

中西:TENTIALが対峙している市場についてです。当社はリカバリー市場を参照しており、いわゆる健康にまつわる投資と捉えています。その中でも、スライドの濃い青色の市場に商品を展開しています。
衣服や寝具類だけでもかなりの市場規模があると捉えています。リカバリー市場全体は、2030年に14兆2,000億円にもなる巨大な市場で、健康意欲が高まるにつれて今後さらに拡大すると考えています。
競争環境とポジショニングについて

kenmo氏(以下、kenmo):「リカバリーウェア」は今年の「新語・流行語大賞」にノミネートされるぐらい一気に世の中に浸透したキーワードだと思います。社長自身、一過性のブームで終わってしまわないか懸念されるところかと思いますが、足元のこの状況について、率直にどのように感じていますか?
中西:当社としては、この数年は特に睡眠への投資が社会全体で大きく成長してきたと捉えています。寝るときになにかを良いものに替えるとなると、ベッドや布団が第一に思い浮かぶと思います。パジャマを替えることは、世の中ではまだ新しい切り口だったと捉えています。また、パジャマは必ず毎日みなさまが着るものですので、社会全体でのニーズが大きく成長したという背景があったと捉えています。
一方、一過性のブームとなるかについては、パジャマは必ず身につけるものだと捉えており、その文化が急速になくなるとは考えにくいと思っています。したがって、一定の市場はしっかりと定着していくと思っています。ただし、これだけ市場が大きくなっていく中において、リカバリーウェアの効果、信頼性、機能性に対する考え方については、整備が必要になってくると捉えています。
kenmo:足元では低価格帯の競合も出てきている状況かと思いますが、そちらについてはどのように見ていますか?
中西:市場全体が大きく成長する観点ではポジティブに捉えており、「リカバリーウェア」という単語や認知が広がっていくことは、非常にポジティブに捉えています。その中でも当社がしっかり信頼されるポジショニング、すなわち高価格帯でも商品を選んでいただけるポジショニングをいかに維持し続けるかが、非常に重要なポイントになってくると考えています。
kenmo:ちょうどポジショニングに関連するご質問をリアルタイムでいただいています。「機能性ウェアというのは差別化が曖昧になりやすく、特殊繊維だけでは持続性の証明にならないと考えます。御社の競争優位性は素材、効果の証明、ブランドのうち、どこにあるのでしょうか? また、他社が模倣すると仮定した場合に、どれぐらい優位性を持つことができるのでしょうか?」というご質問です。
中西:消費者からの視点でいうと、明確にブランドだと捉えています。高価格帯でも価値を感じていただけるようなブランドを創っていくのは、非常に重要なポイントだと思っています。
一方で、競争優位性については明確な技術力、素材だと捉えています。というのも、今の日本の法規制では、技術力や効果について伝えられることと伝えられないことがあり、どれだけ技術力が優れていたとしても、お客さまに伝えられないことが多いです。
ただし、当社商品を購入いただいたお客さまに効果を感じていただいたり、良いものだと体感していただくためには、日々の研究開発が非常に重要だと思っています。先ほど「ブランド」と回答しましたが、その裏側の他社とは違うしっかりした技術開発が引き続き重要になってくると考えています。
kenmo:ご説明ありがとうございます。
中西:スライドのグラフは、リカバリーウェア市場のマッピングです。高価格帯と低価格帯、オフライン販売とオンライン販売の軸で分けています。
昨今はオフラインでの店舗も拡大していますが、当社はもともとオンラインを中心に販売をスタートしており、ポジショニングとしてはオフラインのシェアが大きい状態となっています。
競争環境については、後ほどご説明したいと思います。なお、リカバリーウェアは一般医療機器という名称になっています。その管理体制や医療機器を扱う会社のガバナンスについても、後ほど簡単に補足します。
D2Cビジネスモデル

中西:ビジネスモデルを簡単に補足します。ビジネスフローは、基本的に当社で企画や開発を行い、製造や配送については外部委託しています。その他、マーケティングや販売、特にECサイトや店舗運営は、すべて内製化しています。また、アフターサポートも社内で独自運営しています。お客さまから日々寄せられる声を分析しながら商品開発や改善を行えることが、大きなポイントになっています。
このように、内製を中心にバリューチェーンの仕組みを整えている点が大きな特徴です。
顧客の属性

中西:お客さまの属性です。男女比はほぼ半々に分かれています。若干女性がリードしていますが、これはギフトニーズが非常に高いことが背景にあります。女性が男性に向けてプレゼントすることがあるため、女性ユーザーの比率が少し多くなっています。
年代としては30代から50代のお客さまがメインボリュームになっています。健康に投資するとなると、自己投資ができるお客さまになります。そのため、運動意欲が高い、あるいは所得の高いお客さまにご購入いただいている状況です。
kenmo:「ギフトニーズ」というキーワードがありましたが、ギフトニーズを狙っていったことが御社の成長を押し上げた要因かと思っています。戦略的な意図について、あらためて教えていただけますか?
中西:もともとはアスリートをどう支えるかをテーマにモノづくりを継続して行っていました。最初からギフトニーズに対して戦略的に行っていたわけではなく、事業を進めていく中でギフトニーズを捉えていきました。
kenmo:どこにターゲットを絞っていくかという試行錯誤の中で、ギフトニーズをとらえていったということですね?
中西:おっしゃるとおりです。
競争優位性の全体像

中西:あらためて、TENTIALが他の会社と何が違うのかをスライドの図でご説明します。当社はブランドとしてのフィロソフィーを非常に大切にしています。フィロソフィーでは、なぜ「TENTIAL」というブランドが立ち上がったのか、何を軸にして商品開発やマーケティング活動をしていくのかというコアをしっかり定めています。
このコアによって、すべての活動を回しています。すなわち、ただ売れるものを創るだけではなく、本当に価値があるもの、会社のブランドや信念に沿った良いものを創っていくことにこだわって事業全体を磨いています。
①フィロソフィー 代表中西の原体験

中西:フィロソフィーを具体的かつ簡単にご説明するために、私がTENTIALという会社を創業した背景、「TENTIAL」ブランドをスタートさせた背景についてお話しします。もともと私自身はサッカー選手を目指していましたが、たまたま病によって挑戦することができなくなってしまったという背景があります。
その後社会に出たのですが、スポーツをしていたら当たり前である、健康に対する知識や体への気遣いがない光景を目の当たりにしました。そのため、自分がスポーツをしていたからこそわかる知見や、アスリートが持っているノウハウを世の中にどのように広めるかがテーマになりました。それを情報だけではなく、モノづくりを通じて世の中に還元したいと思い、「TENTIAL」ブランドをスタートさせました。
kenmo:中西社長の経歴は稀有だと思います。いろいろなインタビューでおうかがいになられているかもしれませんが、プロアスリートの夢を断念したという経験が現在の経営や事業ビジョンにどう活かされているか、お聞かせいただけますか?
中西:渋沢栄一氏の著書『論語と算盤』ではないですが、上場企業としてこれからも向き合っていくテーマは、社会を良くしていくことと数字を作っていくことだと思っています。ただし、数字を作るだけではなく社会にどう還元するかに、私の原体験が非常に活きています。
健康に関する商品には、お金を払っていただきやすいものがたくさんあると思います。しかし私には、自分が健康を害したからこそ本当に良いものを創りたいという思いがあります。また、私はスポーツ選手になれませんでしたが、たくさんのスポーツ選手と日々お仕事をさせていただいています。その中で、彼らのパフォーマンスをどう支えられるかを考えたモノづくりの姿勢は、原体験からくるものだと思っています。
ただし、ビジネスとして、数字をしっかり作っていくことにも向き合っていかなければなりません。そこは日々葛藤しているところではありますが、原体験は大きいと思っています。
kenmo:起業となるとなかなかハードルが高いイメージがありますが、起業を後押ししたきっかけやエピソードがあれば教えていただけますか?
中西:当時は本当に自暴自棄で、何をしたらいいかわからない状態でした。しかし、負けず嫌いでしたので、同世代のみなさまが活躍されているのを見て、自分もスポーツではないフィールドで活躍したいと思っていました。おそらくそれが最初の原動力で、その後はたまたまスタートアップ企業の創業期に携わることができました。
また、事業会社で新規事業などを多少経験していたので、そのような意味では比較的起業が身近にあったと思います。大企業で事業を回していくところを若くして見られたのが、自分が挑戦してみようと思えたポイントです。
①フィロソフィー ミッション

中西:このような背景から、TENTIALという社名は「ポテンシャル(potential)」を由来としています。また、当社のミッションには、人の可能性を引き出すために、健康に前向きな社会を創っていきたい、一人ひとりが健康に対して前向きになれるように事業を進めていきたいという思いが込められています。
②創る(商品開発) 科学的根拠に基づいた高付加価値商品開発

中西:だからこそ、みなさまのポテンシャルや健康がどのように引き出されるかについて、科学的な根拠や大学との共同研究によるエビデンス取得に向き合っています。具体的には、一般医療機器の届出はもちろんのこと、共同研究にも非常に精力的に向き合っています。
②創る(商品開発) 科学的根拠に基づいた高付加価値商品開発

中西:リカバリーウェアは医療機器に該当するため、医療機器を扱うための体制を整えています。昨今リカバリーウェアを扱っている会社は、医療機器を扱う会社というよりもアパレル会社の参入が多くなっています。しかし、リカバリーウェアは医療機器であり、非常にセンシティブなカテゴリに含まれます。そのため、製造や販売にあたって、薬機法を遵守する体制、医療機器を扱う会社としてのスタンスを整えています。
kenmo:競合であるりらいぶが自主回収をしたニュースもあったと思います。医療機器の管理体制について、御社は基準をクリアできているのでしょうか?
中西:医療機器には明確な自主基準があります。厚生労働省から通知が出ており、それをしっかりと遵守しているかが大きなポイントになります。当社は、医療機器に届出をしている商品はすべて基準を満たしています。
また、ただ遵守するだけでなく、販売にあたって薬機法を遵守していくことや、社内の体制も非常に重要なポイントになってきています。当社は、基準を遵守していくことはもちろん、日々の勉強会などで社内体制を整えています。
kenmo:一般医療機器として届出を出された商品がいくつかあるとのことですが、医療機器の認証を取得するメリットとハードルについてお聞かせください。
中西:メリットは、効果・効能など、より多くのことを伝えられる点です。また、「一般医療機器」という名称によって、お客さまに信頼感をもたらすことができる点も、非常に大きな価値になると思っています。
一方で、デメリットではありませんが、本来であれば製造販売業を取得した会社が販売していくことが重要だと考えています。医療機器は、問題があった際に、製造販売業者が商品を回収する必要があります。
しかし、販売している会社が必ずしも、製造販売業者として販売しているかというと、そうではありません。ライセンスを持っている会社と契約をして、販売を行っている会社が少なからず存在しています。そのようなときに、なにか安全上の問題があった場合、どの会社が主体者として責任を持つのかという問題が発生します。
したがって、販売する会社が販売だけでなく管理体制も担っていくことで、お客さまの信頼をより多く勝ち得ていくと考えています。
③届ける(マーケティング) データドリブンなマーケティングとチャネル戦略

中西:当社の販売チャネルは、自社ECと他社ECを合計したオンラインが売上全体の74.1パーセントとなっており、このうち自社ECサイトの売上が大きな割合を占めています。その他、直営店舗の売上が約16パーセント、卸売などが約9パーセントとなっています。
③届ける(マーケティング) データドリブンなマーケティングとチャネル戦略

中西:オフラインは現在18店舗を展開しており、全店舗で営業黒字です。オンラインでマーケティング活動をしていますが、そこで商品を見たお客さまが「実際に触ってみたい」「試着をしてみたい」となり来店されるケースが非常に増えてきています。
④磨く(ブランド) 独自のデータ基盤を起点としてPDCAを高速に回転

中西:データドリブンなマーケティング活動を通じて、いろいろな購買データやマーケティングデータが日々集まります。当社は社内にテクノロジー組織を設けており、データ分析体制を整えています。これにより、日々のデータを分析しながら商品開発やマーケティングに活かしていることも、大きなポイントであると捉えています。
④磨く(ブランド) 独自のデータ基盤を起点としてPDCAを高速に回転

中西:具体例をご説明します。当社ではVoice of Customer(VOC)、すなわちお客さまの声を日々分析しています。「生地が引っかかる」「タグを改善してほしい」「ベルトに耳が当たってしまう」といったお客さまの日々の細かいニーズをいち早く収集して、改善に活かします。
店舗販売だと、店舗スタッフから本部スタッフに上がり、そこから本社に流れるというラグがどうしても起きてしまいます。一方、当社の販売チャネルはオンラインが中心なので、お客さまの声が即時に社内まで上がり商品の磨き込みができることが大きなポイントだと考えています。
⑤共創パートナー 共創パートナーと連携し、ブランド価値を拡大

kenmo:お客さまだけでなく、アスリートからのフィードバックを商品設計に反映する仕組みも教えていただけますか?
中西:お客さまの声だけでなく、商品を創る前のアスリートへのヒアリングも非常に重要視しています。これは、アスリートが日々自分の体に向き合っており、一般の生活者よりも商品の細かいところに敏感に気づくことが背景にあります。
商品が良くなかったり気に入らなかったりすると、ストレートにフィードバックをいただけます。そのため、商品の磨き込みという意味では、ガバナンスが効いている体制になっていると考えています。したがって、アスリートにとって本当に良いものを創っていくことが、当社の企業活動として大きなポイントだと思っています。
スライドに表示しているとおり、ただ商品を創るだけではなく、アスリートが困っていること、たとえば睡眠などを当社のアセットやナレッジで解決できないかと日々向き合っています。
そこから生まれたノウハウやアイデアを商品化していくこともあるため、当社はアスリートへのヒアリングを重視しています。結果として、「TENTIAL」というブランドや会社へのアスリートからの信頼度がより上がっていくと考えています。
kenmo:アスリートの声を反映した商品開発は、現在進行形で動いているのでしょうか?
中西:日々たくさんあります。アスリートが求めるものを創れるか? きちんと消費者に受け入れられるか? 事業としてしっかりグロースしていけるか? という点は、日々試行錯誤しています。
kenmo:アスリートに売れるものと一般消費者に刺さる、すなわち売れるものは、ギャップがあるのでしょうか?
中西:ギャップがあるものもありますし、ギャップがないものもあります。そこに対しては、当社がどう創っていくかだと思っています。
⑤共創パートナー 共創パートナーと連携し、ブランド価値を拡大

中西:アスリートだけでなく、ホテルなど「TENTIAL」を体験いただける場も拡大しています。「シックスセンシズ 京都」というラグジュアリーなビジネスホテルでは、全館に当社のパジャマを導入いただいています。このように、「TENTIAL」のブランドや商品を体験いただける場所の拡大を進めています。
⑤共創パートナー 共創パートナーと連携し、ブランド価値を拡大

中西:ANAグループには、ファーストクラスのアメニティとして、当社商品の一部を導入いただいています。また、免税店でもポップアップを含めて店舗を拡大しています。
⑤共創パートナー 共創パートナーと連携し、ブランド価値を拡大

中西:法人や行政と健康課題の解決に向けた取り組みを行っています。具体的には、セミナーを開いたり企業と共同研究を行っています。商品がお客さまや社会に効果を還元していることを証明するためにも、いろいろな行政や企業との取り組みを進めています。
成長戦略の全体像

中西:成長戦略をご説明します。競争優位性のページでもお話ししましたが、本当に良いものを創って、それをお客さまにお届けしていく、そしてサイクルをしっかり磨いていく、このシンプルな3ステップで考えています。
「本当に良いものを創る」ことは、アスリートが満足するものを創ることはもちろん、世の中でニーズがあるものを創ることも重要です。そこを分析しながら、短期・中長期で既存カテゴリの成長と新しいカテゴリの開拓を進めながらモノづくりを行っています。
一方、健康課題は全世界共通の大きなテーマだと捉えています。このため、現在は国内にフォーカスしていますが、海外市場に販売チャネルを拡大していきたいと考えています。
「磨く」については、先ほど分析体制についてお話ししたとおり、お客さまの声やいろいろなニーズを磨きながら、あらゆる改善を行っていきたいと考えています。
創る 既存カテゴリの継続成長

中西:商品開発についてご説明します。現状は、リカバリーウェア「BAKUNE」が売上の多くを占めています。これは、睡眠ニーズの増加に伴い、リカバリーウェアに対する広告・マーケティング投資を戦略的にしているという背景があります。
一方で、寝具は前期比3.8倍と大きく成長しています。また、WORKカテゴリの日常の移動着や、FOOTカテゴリのインソールやリカバリーサンダル群も、広告費をそこまで大きくかけていないにもかかわらず大きく成長しています。これらは、マーケティング投資の分散によって、今後の大きな成長ポテンシャルを秘めているカテゴリになると考えています。
創る 新規カテゴリへの参入

中西:当社は、健康に対して本当に良いものを創っていくという「TENTIAL」ブランドを軸に、睡眠領域だけでなく仕事着や足まわり、さらには運動やヨガといった体と心を整える領域においても商品展開の可能性が秘められていると考えています。
それらの商品開発の体制として、商品開発人材の採用や研究開発費用への投資を積極的に行っています。
創る 市場ポテンシャル

中西:現在はパジャマを販売していますが、まだ非常に大きな既存商品のマーケットがあると思っています。そこにTENTIALが培ってきたノウハウや技術力を適用しながら、今までよりも快適な商品や、コンディショニング・健康に紐づく商品を販売していくことで、大きなシェアを作っていける商品ポートフォリオを保有している企業だと考えています。
届ける マスプロモーションの推進を通じたブランド認知向上と第一想起獲得

中西:マーケティング活動についてです。今まさに、リカバリーウェア「BAKUNE」のマーケティング活動をかなり強化しています。しかしながら「TENTIAL」や「BAKUNE」の認知度は、まだ20パーセントに満たない状況です。
昨今、リカバリーウェアはメディアを含めて認知が広がっているため、認知率はもう少し高まっている可能性がありますが、成長のアップサイドはまだあると捉えています。まずは、「BAKUNE」の市場シェアNo.1をより強固なものにしていきます。
届ける 海外展開による更なる成長

中西:国内だけではなく、海外の市場も大きなテーマだと捉えています。先ほど「アスリートを起点にする」とお話ししましたが、これは全世界共通です。パフォーマンスを高めるために、当社のリカバリーウェアや商品をアスリートに使っていただくことで、全世界のビジネスパーソンやみなさまにとっても、大切な日々のニーズやブランドにしていくことに挑戦しています。
届ける 会員プログラムなどによるロイヤリティの向上

中西:商品改善に関連して、2024年5月より会員プログラムを導入しました。お客さまを分析し、お客さまに対するアクションを分類しながら、よりコアなファンになっていただくために日々活動しています。
具体的には、お客さま向けにヨガ教室を開催したり、コンディショニングのイベントを実施したりしています。お客さまとのコミュニティを強化しながら、コンディショニングや啓蒙を世の中にどう展開していくかに向き合っています。
組織・人員について

中西:組織体制についてご説明します。事業成長に伴って、従業員数は前期比で156パーセント増加しています。基本的には、事業体制と商品開発体制が大きなウエイトを占めています。
決算期の変更について

中西:2025年8月期通期の実績についてご説明します。当社は2025年度より、これまでの1月決算から8月決算に変更しています。
業績推移

中西:8月決算に換算した2025年度の業績をご説明します。売上高は193億8,900万円で、前期比で約2.5倍の売上高成長を実現できました。
通期 業績のサマリー(12ヶ月換算)

中西:業績の内訳についてご説明します。2025年8月期の通期計画に対しては100パーセントを達成しています。実際には何度か上方修正をしているため、最後に上方修正した数字に対して計画達成している状況です。
通期計画サマリー

中西:2026年8月期の通期計画についてご説明します。売上高は280億4,600万円、営業利益は30億2,000万円を目標としています。売上高は前期比で44.6パーセントの成長、営業利益は前期比で32.7パーセントの成長を見込んでいます。
営業利益率は前期比でマイナス0.9ポイントの計画です。こちらについては次のスライドで補足します。
2026年8月期営業利益予想の主な増減内訳

中西:各計画の構成比についてご説明します。大きなポイントは販管費です。ブランド投資として、広告費を前期比で2.1パーセント強化しています。また、研究開発費は前期比で0.6パーセント強化しています。良い商品を創っていくための研究開発費を強化していることが、営業利益率低下の要因となっています。
広告費について一例を挙げると、先日「侍ジャパン」との契約を発表しました。本日も試合がありますが、そのようなパートナーシップにおいてブランド投資をしていくことも、広告投資になります。プレゼンテーションの冒頭でもご説明したとおり、当社は、ブランドにどのような価値を感じていただけるかに対する投資として、広告投資をしています。
なお、ブランド投資としての広告費のおける売上へのインパクトは一部織り込んでいないこともあるため、投資による広告効率としては、広告がお客さまの購買に跳ね返って効果を感じていただけるようになれば、それが売上に反映され、ポジティブに成長していくと考えています。
質疑応答:マーケティングの予算やコストの考え方について
kenmo:2026年8月期の業績見通しについて、ブランディングが大切である以上、これからもマーケティングで一定程度のコストをかけ続けていくことが必要になるビジネスモデルと理解しています。どの程度予算をかけるのかお聞かせいただくことは難しいと思いますが、マーケティング予算の策定や四半期ごとのコストのかけ方などに関する考え方について教えてください。
中西:広告費の基本的な考え方としては、いわゆる変動費にあたるような広告費、つまり売上に対して必要な広告費と、売上に紐づかない広告費とを分類しています。
具体的には、ブランドにまつわる広告費は売上に即座に跳ね返るものではないため、固定費的な見方をしています。すなわち、そこを削っても短期の売上にはあまり影響がないものの、長期のブランド形成においては非常に重要なものと考えています。
当期の売上を着実に作っていくための広告宣伝費と、未来のための投資を分類しているので、裏を返すと、未来のための投資を抑制できれば、全社の営業利益率が向上していくと捉えています。このため、そこは一部コントロール可能だと考えています。
質疑応答:ブランド戦略による認知度向上について
kenmo:長期的な認知形成という意味では、「BAKUNE」の認知度が非常に上がっている一方で、TENTIALという社名の認知度がまだ上がっていないというお話でした。今後のブランド戦略として、TENTIALと「BAKUNE」のどちらを前に出していくお考えでしょうか?
中西:この数年間は「BAKUNE」に注力してきました。それは、お客さまにとって価値があるものはブランドではなく商品であると考えており、「BAKUNE」という商品を知っていただくことを重視しました。
そして今、「BAKUNE」という商品がいろいろなお客さまの手に届いたタイミングで、「どのような会社が『BAKUNE』という商品を手掛けているのか?」となったときに、TENTIALという会社につなげていくことを重視しています。このように、「『BAKUNE』は、TENTIALという会社の商品である」といったかたちで広めることが、大きなテーマだと考えています。
具体的にユニクロの例でお話しすると、フリースなどの商品を求めて店舗に来店したときに、ユニクロという会社が展開しているその他の商品を手に取っていただくという構造もあると思っています。このように、対消費者のマーケティングにおいては、まずは商品名を打ち出していくことが重要だと考えています。
一方で、企業あるいはブランドとして「どのような思想で商品を創っていくのか?」に、ようやく投資ができるようになってきました。そのため、商品を立たせていくマーケティングと、TENTIALを知ってもらうことの2つをテーマにしています。
質疑応答:直営店舗拡大の戦略について
kenmo:「今後の店舗拡大戦略についてお聞かせください。直営店舗は急拡大しているものの、戦略性の曖昧さを感じます。直営店舗の目的は、利益を出していくことなのでしょうか? それともブランド認知を高めることなのでしょうか?」というご質問です。
中西:基本的には数字を作っていく戦略です。つまり、これまでの活動のテーマは、先行投資でブランドを作っていくための赤字ではなく、着実に売上を作っていくことでした。
ブランドを作っていくための先行投資をしていくと営業利益を出すことが難しくなってくるため、まずは筋肉質な収益基盤を構築することに向き合ってきました。その結果、急成長しながらも成長に対する投資の余力ができたときに、はじめてブランドになると考えています。
ブランディングをするための店舗づくりについては、これから着手していきたいと思っています。そのためにも、十分に収益を作っていく店舗と、ブランドを作っていくことを分けて捉えていきます。
当社の現状としては、ブランドの表現に対する投資ができている状況ではありません。店舗自体は一等地に出店しているので、そこをきちんと磨いて収益性を高めていきたいと思っています。それによってブランドを強化し、さらにインバウンドや大型店舗に投資をしていきたいと考えています。
質疑応答:人材採用計画について

kenmo:成長戦略についておうかがいします。今後の人材採用計画について、中長期的にどの程度の組織規模にしていきたいとお考えでしょうか?
中西:筋肉質に売上・利益をコントロールしていくことを考えると、売上高に対して1人いくらという数字感が非常に大きなテーマになってきます。このため、1人当たり売上高約1億円を1つのマークとしています。たとえば、今期は売上高約280億円を計画しているため、最大で100名程度の採用を目指しています。ただし、これはあくまで目安であり、マスト要件ではありません。
本質的には商品開発や優れた商品をきちんと創ることと、創ったものを着実に届けるマーケティング活動の2つが、大きなコアになると思っています。本当に必要なポイントにおいて採用を進めていきます。
質疑応答:将来のビジョンについて
kenmo:数年先を見据えたビジョンとして、たとえば「何年後に売上何億円規模」など、具体的な数字や将来的なビジョンを社長の中でお持ちでしたら、お聞かせください。
中西:具体的な数字の明言は控えますが、まずは日本でNo.1、すなわち日本で圧倒的なブランドを作っていくことにフォーカスしたいと考えています。
海外展開をしていくうえでも、海外でチャレンジできる土台を作ることは間違いなく必要だと考えています。この数年間、まずは日本で圧倒的な存在になることにフォーカスしていきます。その先はグローバル全体で、世界で信頼されるブランドとして着実に成長し続けていけるような企業を目指していきたいと思っています。
まずは国内で着実に成長していくことと、その次のステップとしてグローバル展開、という2つをテーマとして事業を行っています。
質疑応答:在庫水準と回転期間の目安について
kenmo:バランスシートを拝見すると、非常に販売が好調であるため、商品在庫が積み上がっている状況かと思います。適切な在庫水準と回転期間の目安などがあればお聞かせください。
中西:現在は売上高が急成長していますので、適切な在庫を仕入れているということをポイントにしています。在庫については、売上に対して必要な水準と捉えています。現状では3ヶ月から4ヶ月ほどで回転しており、回転率に関してはポジティブであると思っています。
決算期の変更もあったため、数字の切り取り方にもよるかと思いますが、現在一時的に在庫が増えている要因としては、クリスマスから年末にかなりの売上が見込めるため、在庫を充足しているという部分があります。
昨年は在庫切れ等もあり、その点ではみなさまにご不便をおかけしました。このため、在庫をきちんと充足しながら、先ほどご説明した回転率については慎重にモニタリングをして管理していきます。
質疑応答:現在の株価水準について
飯村美樹氏(以下、飯村):「決算では堅実な成長を確認でき、株主優待の新設、さらには自己株式取得など、成長戦略と株主還元の両面で積極的な経営判断をされていると思っています。しかしながら市場では株価が伸び悩み、成長性への懐疑や需給の悪化といった見方もあるようです。社長ご自身は現在の株価水準をどのように受け止め、市場との対話や評価向上をどのように図っていくお考えでしょうか?」というご質問です。
中西:株主のみなさまやお客さまの声には、日々真摯に向き合っていきたいと考えています。
当社が大事にしているテーマとして、長期での企業価値の向上があります。長期的に株価や企業価値を向上させていくために最も重要なことは、足元の事業を着実に成長させていくこと、すなわちお客さまの信頼を獲得し続けていくことと捉えています。そこがあってこそ足元の数字を達成でき、持続的に業績やブランドが成長し続けると考えています。
したがって、まずは目の前のお客さまに向き合っていくことが、なによりも株主のみなさまにとっての企業価値向上につながると思っています。その中で、世の中の市場や現状の株価に対しては、きちんと対策を考えていきたいと思っています。
一例を挙げると、先日発表した自己株式取得があります。これは、当社が考える株価水準やギャップに対しての意思決定でもあり、引き続き向き合っていきたいと思っています。ただし本質は、お客さまに対して価値のある商品を提供し、信頼されるブランドを作っていくことがなによりも大事だと考えています。
飯村:実際に、お客さまからのどのような反応や生の声が寄せられているのでしょうか?
中西:当社も日々、アスリートやいろいろなお客さまにインタビューをしていますが、まさに昨日より今日、ではないですが、日々これから良くできることがたくさんあると思っています。そこに誠実に向き合いながら、進んでいきたいと思っています。
質疑応答:新商品の機能性やアイデアの創出について
飯村:「『BAKUNE』は1人で5枚も6枚も買うような商品ではなく、テンポラリーに売上が頭打ちになる構造があります。そのため、御社の成長は新カテゴリの創出の質ですべてが決まると見ています。
『BAKUNE』がほぼ買い尽くされた後の第2、第3の柱となるシリーズは、どのような領域で、どのような機能性を武器に戦う計画なのでしょうか? またそれは既存のメンバーから出てくる発想なのでしょうか? それとも新規採用や外部アライアンスで補うのでしょうか?」というご質問です。
中西:これは、私自身も非常に大きなテーマだと捉えています。「BAKUNE」をご購入いただいたお客さまに、もう一度買っていただくことはもちろんですが、睡眠環境を整えるという観点で注力している市場は寝具類です。そこでのセット買いや年間ご購入点数増加が大きなポイントになると思っています。
まずは寝具類・その他睡眠関連商品を強化しながら、起床・外出・移動のシーンなどにまでカテゴリを広げながら、新規カテゴリの創出につなげていきたいと考えています。
新カテゴリの創出の仕方については、シンプルに捉えており、いわゆるマーケットの中で着実に成長できるものです。まさに「BAKUNE」ではないですが、今後も持続的に成長が見込める市場で勝負していきたいと思っています。
そのためにも、まだ市場に現れていない、これから成長していくようなお客さまのニーズに日々向き合いながら取り組んでいきます。マーケットへのアプローチ方法と、プロダクトアウトのアプローチ方法の両面を見ながら、意思決定をしていきたいと思います。
質疑応答:経営や商品開発における女性の登用について
飯村:「御社は主力顧客が女性であり、高付加価値アイテムは特に女性の感性が売上を左右すると思います。しかしながら、経営陣をはじめ商品企画、売り場づくりの最終決定者がほぼ男性で構成されているように見えます。
『BAKUNE』の成長が一巡した後、新しい柱を作るには感性面の刷新が不可欠だと思います。女性の意思決定者を、実際にいつ、どのポジションに配置する計画でしょうか? 現在それができていない理由もあわせてお考えをうかがえますか?」というご質問です。
中西:こちらのご質問については、まさに当社も経営課題の1つだと捉えています。もともとアスリートと向き合ってきたこと、男性のアスリートが身近に多くいたこともあり、比較的男性のニーズや声を聞くケースが多かったというのが、これまでの歴史です。
一方で、おっしゃるとおり、現在は女性のお客さまがかなり増えています。シルエットや服のデザインなどに対しては、これから強化していきたいと思っています。
「BAKUNE」という商品はかなりシンプルで、柄もありません。色味のバリエーションはありますが、もともと当社はファッションブランドではなく、コンディショニングブランドとして機能を追求しており、シルエットや色味などはシンプルなものを展開してきました。
だからこそ、今後はコラボレーションをはじめ、いろいろな進化を検討していきたいと考えています。ここについては、徐々にご期待に応えられるような展開を進めていきます。
飯村:御社のシンプルさは女性にも好まれるところではあるかと思いますが、先ほどプレゼントで贈られる方も多いとお聞きしましたので、もう1つ、2つとプラスアルファが出てくると、より楽しめそうですね。
中西:ありがとうございます。
質疑応答:ブランド戦略における価格帯の考え方について
kenmo:視聴者からのご質問でも多いのが、今後の第2、第3の成長の種についてです。今後のブランド戦略として、もう少し安価にしてマスを狙っていくという考え方なのでしょうか? それとも、高価格帯で信頼を重視するのでしょうか? どちらを軸に置いていきたいとお考えか、率直におうかがいしたいです。
中西:後者を明確なターゲットに考えており、本当に価値がある商品を、ターゲットを絞って展開していくことが、なによりも重要だと捉えています。したがって安価にして数字を増やしていくよりも、信頼の置けるブランドを作ることにフォーカスしていく方針です。
質疑応答:M&Aや他社との協業について
kenmo:今後はM&Aや業務提携、他社とのアライアンスなどもお考えだと思います。そのあたりの現状の考え方についてお聞かせください。
中西:まさに新規カテゴリの創出や商品開発については、最重要テーマとして向き合っているところです。その中では自社で充足していくカテゴリもありますが、どうしても自社だけでは研究開発や商品化が難航するカテゴリも出てくると思います。そこについては、M&Aも視野に入れていきたいと思っています。基本的には、優れた商品という観点でのM&Aが中心になってくると考えています。
質疑応答:海外展開への手応えについて

飯村:実際に商品を買って着ているファンの方からも、反応をいただいています。その中から、海外展開についてのご質問をいただいています。「上海高島屋でのポップアップストアが紹介されていましたが、手応えや反響はいかがでしたでしょうか?」というご質問です。
中西:当社の商品は海外でも適応でき、十分に成長できるブランドだという手応えを感じています。一方、タイミングやマーケティングの部分が課題だと考えています。
ブランディングやマーケティングについては、過去には日本企業がうまくいかなかったという事例がメディアでもよく取り上げられています。しかしながら、海外展開するからには確実に成長させていくことが重要だと思っています。商品自体の改善はもちろん、マーケティング部分においてもしっかりとプランニングを詰めながら挑戦していきたいと考えています。
中西氏からのご挨拶
中西:みなさま、TENTIALについて興味を持っていただき、誠にありがとうございます。これからもみなさまのご期待に応えるため、掲げた数字の達成はもちろん、持続的な成長を続けていきたいと考えています。引き続き、どうぞよろしくお願いします。
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