M&Aにより子会社化した恵那金属製作所の概要
李太煥氏:みなさま、こんにちは。株式会社NITTAN代表取締役社長の李です。本日は大変お忙しい中、2025年3月期第2四半期決算説明会にご参席いただき誠にありがとうございます。また、Web上でご参加のみなさまにも心よりお礼申し上げます。
本題に入る前に、10月2日にM&Aにより子会社化した恵那金属製作所について簡単にご説明します。会社名は株式会社恵那金属製作所で、岐阜県中津川市に本社を構えています。
創業が1946年で、当社よりも2年ほど先輩です。従業員は国内110名、海外75名のトータル185名で、年商は26億円レベルの企業です。
主な事業内容は、機械加工業、表面処理業、不動産賃貸業です。特に機械加工業においては、難易度の高いタービンハウジングの切削加工を行っています。こちらは市場において非常に高い評価を得ています。来年1月1日からは会社名を株式会社NITTAN恵那金属に変更する予定です。
恵那金属製作所のコア技術とM&Aの狙い
このM&Aの狙いは、まずお互いに保有しているコア技術と経営資源を統合することにより、既存事業に付加価値を与えることと、新規事業への参入を容易にすることです。
例えば、恵那金属製作所が保有している切削加工設備は、当社の弁座や現在手がけている設備用部品などの生産に活用できます。また表面処理能力は、当社の舶用エンジンバルブのクロムメッキ工程の生産能力、加工面で大きなシナジー効果が期待できるものです。
また、恵那金属製作所側としてもメリットがあると思っています。それはNITTANを通じて容易に海外展開できることです。
このM&Aは第1弾に過ぎません。現在も第2弾、第3弾の準備を進めています。もちろん、社内での新規開発にも力を注いでいきます。同時に並行してM&Aも進行させることで投資効率を高め、資本コストや株価を意識した経営で企業価値向上に取り組んでいきます。
目次
本題に入ります。本日はスライドのとおり3部構成でご説明します。
第1部:当社概要
第1部の当社概要についてです。スライドのとおり9つの項目について詳細をご説明します。
1. 会社概要
会社概要です。本社は神奈川県秦野市と東京都新宿区の2本社体制をとっています。設立は1948年であり、今年で設立76周年を迎えます。年商は2024年3月期基準で494億円です。ようやくコロナ禍前のレベルに戻すことができたと思っています。
2. 当社グループのパーパスについて
当社グループのパーパスです。「多様な技術を駆使し、脱炭素化社会の実現に貢献する」としています。
このように決めた理由は、内燃機関部品メーカーでありながらも、さまざまな持ち前の技術を駆使して、モビリティ業界のカーボンニュートラルに貢献できると確信しているからです。
3-1. 当社のルーツ
当社のルーツについてご説明します。当社の前身である恩加島鉄工所は1924年に設立され、今年は創業100周年を迎える節目の年になります。この恩加島鉄工所は、「日本の鍛造業を立派なものにしたい」という志を持った柴柳新二により大阪市に設立され、日本で初めてエンジンバルブの量産化に成功したと言われています。
その後、1937年に日本鍛工株式会社が設立され、この恩加島鉄工所は合併されています。1943年に日本鍛工株式会社は秦野工場を設立し、航空機用エンジンバルブの量産に踏み切るようになりました。当時は戦時中であったため、そのような時代的な背景があったものと理解しています。
3-2. 当社の成り立ち
当社の成り立ちについてです。終戦後、企業再建整備法により秦野工場が分離独立され、日鍛バルブ製造株式会社となりました。ここからが当社の歴史の始まりです。
1961年に日鍛バルブ株式会社に商号を変更し、2022年までこの社名で事業を続けてきました。2022年に、世の中の電動化の動きに真摯に向き合う決意を込めて社名を株式会社NITTANに変更し、本日に至っています。
社名変更に込めた思いを形にすべく、エンジンバルブ事業だけではなく、電動化領域や異業種にも果敢に挑戦していきます。
4. NITTANが培ってきたコア技術の紹介
当社のコア技術です。当社は設立の趣旨にもあったように、鍛造技術が1番目のコア技術です。主となる熱間鍛造技術は複雑な形状を精密に鍛造する技術であり、自慢のポイントにもなっています。
2番目は、過酷な使用環境で要求される材料特性を持つ金属を溶かして必要な部位に溶着させる盛金技術です。これは当社が最も得意としている分野とも言えます。
3番目は、コストや機能を満たすために異なる性質の材料を接合し、一体化させる接合技術です。そして4番目は、製品を規格寸法に正確に仕上げる加工技術です。
この4つのコア技術を駆使し、NITTAN特有の製品を世の中に送り出しています。またこの4つのコア技術に、先ほどご説明した恵那金属の切削加工技術と表面処理技術が加わることで、より強みを発揮できるものと確信しています。
5. NITTANグループ生産拠点( 国内 , 海外 )
スライドは、NITTANグループの生産拠点を示したものです。恵那金属製作所が加わったことにより、国内3拠点、海外15拠点となりました。
6. 事業領域
当社の事業領域、すなわち主な生産品目についてご説明します。以前は5つの事業領域で構成されていましたが、PBW事業から撤退したことで、スライドのとおり4つの事業領域に変更されています。
スライド右側にある「その他事業」には、リフター事業、生産設備事業、そして水耕栽培によるアグリ事業が含まれています。
7. 売上高及び事業セグメント別比率
連結売上高および事業セグメント比率です。2024年3月期の連結売上高は494億円でした。その中で、小型エンジンバルブ事業が占める割合は84パーセントと、依然として高い状況が続いています。
しかしながら、当社の中長期経営ビジョンである「NITTAN Challenge 10(NC10)」を着実に進めることで、事業の多角化を図っていきます。
8. 国内・海外 主要お取引先様比率(連結売上高)
スライドは、国内および海外の主な取引先別のシェアを表したものです。国内においては、系列に属さない強みが表れています。
海外においては特定顧客の比率が高い面もありますが、すべてのお客さまの現調化ニーズにお応えしています。
9. エンジンバルブ当社推定シェア(グローバル)
当社のグローバルシェアについてご説明します。各事業領域においてトップシェアをお持ちのお客さまとの取引を行っており、その結果がスライドの円グラフに表れています。
競争が激しい4輪向けバルブにおいては、国内メーカー3社の中でトップシェアを維持しています。
第2部:2025年3月期第2四半期(中間期)決算及び通期業績見通し
第2部は、2025年3月期第2四半期決算および通期業績見通しについてご説明します。
1-1. 2025年3月期第2四半期(中間期)業績総括
2025年3月期第2四半期決算の連結業績総括です。売上高は255億5,200万円となり、前年同期や予測値に比べて増収となっています。しかしこれは為替の円安影響であり、実際は減収となっています。スライド右下に示すとおり、売上高で15億5,200万円、営業利益で6,500万円の円安影響を受けています。
円安影響を受けているにもかかわらず、利益は前年同期および予想値に比べて減益となってしまいました。北米や欧州では売上高は増加したものの、日本での一部自動車メーカーの生産・出荷停止による影響や、舶用部品事業における火災による影響、中国やタイにおける自動車市場の低迷などの影響を受けたことが主な原因です。
1-2. 事業セグメント別業績
事業セグメント別の業績です。小型エンジンバルブ事業は、北米での受注増加と円安の影響を受け増収となりました。一方、中国やタイでの減収と北米でのコスト増加により、減益となりました。
舶用部品事業においては、昨年末の火災から復旧を進め、5月から生産を再開しています。しかしながら安定供給までには至らず、外注費用の増加により減収減益となりました。
歯車事業においては生産性改善効果は得られたものの、予想を上回る受注減と販売価格の改定をお客さまと合意できなかった点などにより、減収減益となりました。
その他事業においては、PBW事業の撤退や「NC10」開発アイテムの本格的量産の遅延により、大幅な減収減益となりました。
1-3. 所在地別業績
所在地別の業績です。日本は、一部自動車メーカーの生産・出荷停止による影響と舶用部品工場の火災の影響により、減収減益となりました。
アジアでは、中国・タイ市場の低迷があるものの、為替影響もあり前年同期と同じレベルとなりました。
北米においては、現地顧客の増産は続いており、大幅増収となったものの、雇用の問題は相変わらず続いています。安定した生産体制にはまだ課題が残っている状況で、他拠点からの生産支援が続いていることや、為替影響も相まって赤字幅が増加しています。
欧州においては、現地のお客さまは非常に好調が続いています。しかしながら私どもとしては、労務費の増加や、中国拠点に生産委託している一部の製品のコストの増加により、増収減益となりました。
1-4. 連結営業利益増減要因
営業利益の増減要因です。営業利益は前年同期に比べ8億6,000万円ほど減少しています。その主な原因について、為替影響を排除した状態で分析してみると、売上が8億4,000万円ほど減少したことが主な要因となっています。
他には、北米での生産対応のために労務費が増加したことと、それに伴う管理費が増加したことも要因となっています。これからも北米の安定生産化を図るとともに生産性改善を続け、利益拡大に努めていきます。
1-5. 連結貸借対照表
連結バランスシートです。円安による増加の影響はあるものの、保有株式の株価下落により、資産の部は2億200万円減少し、627億7,900万円となりました。
負債の部は、借入金の返済を着実に進めた影響もあり4億9,800万円減少し、254億3,800万円となりました。
純資産の部は、保有株式の時価下落によるその他有価証券評価差額金の減少があった一方で、円安の影響による為替換算調整勘定や非支配株主持分の増加により、前期末から2億9,600万円増加し、373億4,100万円となりました。
1-6. 連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュフローです。営業活動による収入は19億100万円となり、前期の43億円から大幅な減収となりました。一方で、投資活動や財務活動による支出は、前期とほぼ同じレベルとなっています。
この結果、現金及び現金同等物期末残高は、前期末の90億6,900万円から約10億円減少し、80億2,600万円の残高となりました。
2-1. 2025年3月期通期業績見通し総括
2025年3月期の通期見通しです。今回の第2四半期の決算結果を踏まえ、10月30日に開示したとおり下方修正を行いました。
下期については概ね予想どおりに推移すると考えていますが、上期に予想値を下回った分をカバーできるほどの回復は見込めないと判断し、非常に保守的な見通しを立てています。
なお、スライドにも記載のとおり、通期見通しで使用した為替レートは2024年9月時点のものを基にしています。現在の円安が続いた場合には、業績に対してプラス要因として働くものと考えています。
2-2. 事業セグメント別業績見通し
事業セグメント別の見通しです。まず小型エンジンバルブ事業は、中国・タイ市場の不透明感はあるものの、日本に加えて、アメリカでも生産回復と生産性改善を行っているため、その成果として増収増益を見込んでいます。
舶用部品事業については受注は好調で、マーケットも非常に良好です。しかし、我々としてはそのチャンスを活かせなかったという課題があります。今後は、復旧後の安定化を図るとともに、協力メーカーとの協業を通じて損失幅の最小化に努めていきます。
歯車事業については、受注回復が見込めない状況が続いているため、前期と同水準の業績を見込んでいます。
その他事業については、PBW事業の撤退に伴う減収減益の影響が顕著に表れています。「NC10」開発アイテムの本格的な量産に向けた準備を着実に進めることで挽回していきます。
2-3. 設備投資・減価償却費
設備投資と減価償却費に関する項目です。今期当初の投資計画は、例年のほぼ2倍に当たる62億円を予定していました。
しかし、M&A後に詳細な調査をしたところ、投資を抑えられる部分が多くありました。資産の有効活用や事業環境の変化などもあったため、精査と調整を行った結果、15億円ほど減少した47億円に修正しました。
この計画には、舶用部品工場の復旧関連投資、「NC10」関連投資、そして基幹システムの更新投資が含まれています。なお、償却費と連結売上高比率は8.1パーセントを予想しています。当社の管理基準である10パーセントを下回る結果となっているため、投資そのものは適正なレベルであると判断しています。
2-4. 配当の状況
中間配当については、当初の計画どおり1株当たり6円としています。現時点では、期末配当も計画どおり6円を予定していますが、今後の状況を踏まえ、増配または減配を検討していきます。今後も、安定した配当性向の維持に努めます。
第3部:中長期戦略及び新たなトピックスについて
第3部では、中期経営戦略および新たなトピックスについてご説明します。スライドの4項目について詳細をご紹介します。
1-1. 中期経営計画
中期経営計画についてです。2026年3月期以降は、恵那金属製作所のM&Aによる効果を踏まえ、目標値を更新しています。
その後も堅調な売上を予想しているものの、2027年3月期の目標値は減少しています。こちらは、主要顧客の見直し計画が反映されていないことによるものです。増加の見込みはありますが、まだお客さまから正式な発表がないため、それを反映していない保守的な計画となっています。
既存事業の収益性や投資効率には改善が見られています。日本国内およびアメリカでの安定生産を進めることで、ROEは8パーセントを目指します。
さらに、既存事業の安定的な営業利益を「NC10」への投資に充てることで、収益性および投資効率を高め、PBRの改善にも努めます。
なお、この中期経営計画における「NC10」アイテムが占める割合は約18パーセントですが、引き続きさらなる新規アイテムの開発とM&Aを進めていきます。
2-1. “ NITTAN Challenge 10 ”
「NITTAN Challenge 10(NC10)」についてご説明します。スライドに示す4つの柱をもって、中長期経営ビジョンを進めています。
それぞれの数値目標については、スライド上部に目標値を掲げています。今回、M&Aにより子会社化した恵那金属製作所は、スライド右下の「VISIONⅡ」領域の成長事業として位置づけています。
2-2. 主要自動車市場の規制動向
「NC10」のご説明を進めるにあたり、まずは自動車業界の規制や販売動向についてお話しします。
スライドは、世界の内燃機関(ICE)の販売規制および排気ガス規制を示したものです。2035年以降にICEの販売を禁止する規制が多くなっています。以前は全地域で販売ができないという規制でしたが、今回から徐々にその規制が緩和されています。
北米では、Tier4排ガス規制が緩和されており、各自動車メーカーはその規制をクリアできるICEの開発に注力しています。この動きの中に、当社のビジネスチャンスがあると感じています。
カリフォルニア州やイギリスを含む欧州、そして中国では、2035年以降の販売規制について、プラグインハイブリッドの販売を認める方向で修正されています。こちらの修正も、当社にとってはポジティブな変化と捉えています。
2-4. 自動車メーカー 電動化の動向
各自動車メーカーの電動化戦略です。直近のBEVの販売鈍化に伴い、ハイブリッドやプラグインハイブリッドを増やす戦略に変更されています。こちらも、当社にとってはプラス要因として働くと考えています。
2-5. 乗用車 パワートレイン予測-2020~2040-
乗用車のパワートレイン予測です。変動が激しく、現時点で正確に予測するのは極めて困難です。
将来的にBEVが主流になっていくのは間違いないだろうと考えています。しかし、当面はICEの割合が維持されると判断しています。
2-6. 商用車 パワートレイン別販売予測-2020~2040-
商用車のパワートレイン予測です。大型商用車はやはり電動化が難しく、ICEが主流であるといえます。そして、小型乗用車においては電動化が進む見込みです。
2-7. 自動2輪 パワートレイン予測-2020~2040-
自動2輪車用のパワートレイン予測です。配達に使用されるような街乗りメインのスクーターは電動化が加速すると予測しています。
しかし、趣味性の高いスポーツ系バイクでは振動や音といった魅力が重要視されるため、ICEが一定量残ると判断しています。
2-8. 船舶 パワートレイン燃料予測-2020~2040-
船舶用のパワートレイン予測です。電動化の動きよりも、GHGフリー対応技術がメインになると予測しています。GHGフリー対応技術にはさまざまな方法があり、水素燃料やアンモニア燃料の利用が挙げられます。
当社では、水素燃料に対応するバルブの開発やアンモニア燃料に合うバルブの開発など、いろいろバルブにおいて吸気弁と排気弁と分けて開発を進めており、これらがビジネスチャンスにつながるのではないかと思っています。
2-9. パワートレイン動向予測 まとめ
スライドは、すべてのパワートレインに関する2040年の予測をまとめたグラフです。業界によっては、依然としてICE領域がメインになる予測もあります。
そこで当社は「NC10」開発を通じて、この両方のニーズに応えていきます。
2-10. NC10開発のターゲットアイテム
スライドは「NC10」開発のターゲットアイテムです。「VISIONⅠ」では、底面鏡面化バルブやハイパー中空バルブを開発しています。こちらはICEの燃費改善に役立つ製品であり、これによりCO2削減にもつながると考えています。
また舶用中空バルブでは、GHGフリー対応のバルブや中空バルブなどを提案しています。舶用はICEが最も長く残る分野のため、そちらの製品開発に注力しています。
「VISIONⅡ」では、電動化向けのヘリカルギアの鍛造化や減速機、燃料電池ローター、そしてまったくの異業種となる設備用精密空圧部品などの開発を進めています。
2-11. VISION I(ICE有効活用領域)の開発状況
「VISIONⅠ」アイテムの開発状況です。ハイパー中空バルブは温度低減効果が認められており、この効果は燃費改善につながります。そのため、北米の燃費規制のTier4対応に向けて、多くのお客さまから引き合いをいただいています。
舶用中空バルブおよびGHGフリー対応バルブは、2025年以降の量産化を目指してお客さまと共同で開発しています。
2-12. VISION II(xEV・異業種領域)の開発状況
「VISIONⅡ」アイテムの開発状況です。設備部品は昨年から量産しており、受注品目が増加し増産傾向にあります。FC用電動過給部品は、新規顧客からも引き合いをいただいています。
また同じ機構である電動ターボ過給部品の開発は、ほぼ完了段階に達しているものの、お客さまの都合により量産開始時期が延期されています。
2-13. 電動自転車向け減速機(Nixtroid)について
次は、電動アシスト自転車向け減速機「Nixtroid」についてご説明します。「VISIONⅡ」アイテムの中で、一番の目玉商品ともいえる製品です。
「Nixtroid」は、トロコイドタイプ減速機をNITTAN独自のアイデアで改良して製品化したもので、その由来から「Nixtroid」という名前をつけています。コンパクトで高トルク仕様の開発を目指しています。
現在は、モーターとの組み合わせによるドライブユニット開発まで進んでいます。1日でも早く量産化できるように、開発のスピードを上げていきます。
2-14. AGV向け減速機(Nixtroid)について
減速機「Nixtroid」は、先ほどご説明した電動アシスト自転車以外にも、電動自動2輪や小型モビリティ、AGVなど、多様な市場でのニーズが予想されています。
そこで日本トムソンとタッグを組んで、ユニークな機構を備えたAGVを共同で開発し、機械要素技術展に出展しています。このように新しい発想でイノベーションを起こし、次の製品へとつなげていきます。
2-15. 電動過給部品について
電動過給部品は、燃料電池(FC)やプラグインハイブリッド車、ハイブリッド車においてニーズが高まっているアイテムです。
当社のコア技術と恵那金属製作所の保有技術を融合したシナジー効果で、より高精度な回転ローターとその軸受けをお客さまにお届けできるように開発を進めていきます。
2-16. 恵那金属製作所とのシナジー効果
恵那金属製作所とのシナジーについてご説明します。恵那金属製作所が保有している設備は、そのほとんどが高精度加工に適しています。当社が外注先のキャパ不足で悩んでいる舶用エンジンの弁座の内製化を進める上で、このような設備は非常に役立つものであり、すぐにでも実現できるのではないかと考えています。
また、高精度加工技術に豊富な経験と知識を持つパートナーであるため、当社が現在手がけている設備用の部品の加工のツールや設備選定などにおいても良きアドバイスをいただくことができ、原価低減や開発期間の短縮にもつながると考えています。
そして、慢性的なキャパ不足で今我々が非常に悩んでいる舶用バルブ用のクロムメッキ工程を内製化することにより、一貫生産による生産性改善とコスト削減も期待しています。
このようなシナジーの成果を、確実に刈り取っていきます。
2-17. NC10目標の現在値(24年9月基準)
スライドは「NC10」活動について、目標値に対して現在どこまで達成されているのかを表したグラフです。今のところ、単純積み上げでは目標の1,000億円には届かない状況です。「M&A①」は恵那金属製作所のポーションですが、これを含めたとしても700億円弱レベルです。
そこで、新規製品開発に引き続き力を注ぐとともに、今準備している「M&A②」を着実に進めたいと思っています。
3-1. カーボンニュートラルに向けての活動状況について
NITTANグループのカーボンニュートラルに向けた活動状況です。「NITTANカーボンニュートラル(NCN)」というグローバル方針を制定し、海外子会社も含めて愚直に展開しています。
主な取り組み内容は、「再エネ活用」と「省エネ活動」の展開です。年度ごとのCO2削減目標も定めて、2030年まで着実に進めていきます。
3-2. カーボンニュートラル達成に向けた取り組み
主な取り組み内容である「再エネ活用」においては、太陽光発電を積極的に進めています。天候的にも恵まれているタイの子会社では、主要電力の約3割を太陽光発電でまかなっています。少々遅れ気味の日本でも挽回を図っていきます。
4. NITTANグループのCSR、SDGs活動状況について
当社グループのCSR、SDGs活動の状況です。今年は3つのテーマを重点的に展開しています。カーボンニュートラル活動と同様に、このCSR、SDGs活動もできることからコツコツと行うことが大事であると考えています。
また、地域社会での困りごとを我々のビジネスチャンスとすることで社会に貢献することも考えており、地域行政とも話を進めていく所存です。このような活動を通じて、企業としての社会的使命を果たしていきます。
ご説明は以上です。当社が属している自動車業界は、先が読めない事業環境が続いていますが、その環境変化に柔軟に対応しながら目標達成に向けて邁進していきます。
引き続き株式会社NITTANへの関心と期待を寄せていただけますよう、よろしくお願い申し上げます。ご清聴ありがとうございました。