2025年3月期 第2四半期 決算説明会

中岡洋詞氏:本日はお忙しい中、アイコム株式会社の決算説明会にご出席いただき、誠にありがとうございます。代表取締役社長の中岡洋詞です。どうぞよろしくお願いします。

冒頭でご覧いただいたのは、先月開催した弊社の60周年記念イベントで上映した、当社のイメージ動画です。前回の決算説明会の後も「アイコムはどのような会社なのか?」「無線機とは?」といった投資家の方々からのご要望がありました。

先ほどご覧いただいた動画と、これからご説明するスライドで、投資家のみなさまへのご質問、ご要望にお答えできればと思っています。

アイコム株式会社の概要

2025年3月期第2四半期の決算発表および今後の見通しに関する説明の前に、アイコム株式会社とはどのような会社かを簡単にご説明したいと思います。概要はスライドのとおりです。

創業時から、アマチュア用無線通信機器の開発・製造・販売をスタートし、陸上業務用・海上用・航空用・ネットワーク機器系と業容を広げてきました。近年にはIP無線および、衛星無線まで自社の取り組みとイノベーションによる安定した経営で成長してきました。

2024年3月末時点での社員数は1,034名であり、約半数は技術者、そして約7割がなんらかのかたちで技術に関わっています。

1976年にドイツに最初の海外現地法人を設立以来、海外への展開を試み、国内14拠点に加えて海外完全子会社、孫会社および関連会社を含めて、アイコムグループが構成されています。また、日本国内および海外ディストリビューターによる販売ネットワークは、約180ヶ国や地域にわたり、アイコム製品を販売しています。

今年、60周年を迎え、1つのマイルストーンに達しました。これは通過点と考えており、創立100年を目指して、さらに努力を重ねていきます。

アイコム株式会社の概要

当社のコアビジネスは無線機です。現代社会において、無線は幅広い意味を持つようになっています。無線の中で、トランシーバーという機器を中心に、自社で企画・設計・開発・製造および販売を続けています。

無線機は、携帯電話やIoTなどのような無線機器とは違い、さまざまな用途で利用されています。1対1の通話から1対多、つまり電波の受信できる範囲であれば、話すことができる人数の制限がないという、非常に便利なツールです。

アイコム株式会社の概要

さまざまな用途とご説明しましたが、スライドに記載のような用途や分野で使用される無線機を、同一ブランドで提供できる唯一のメーカーが当社だと自負しています。これはお客さまにとってのメリットでもあり、当社のビジネス上でも大きなメリットがあります。

なお、スライドに「『リンゴ』と『オレンジ』の通信を可能にします」と記載していますが、これは違った無線システム同士をつなげることが、アイコムのユニークなソリューションであるという意味です。

参入している無線カテゴリー・市場:ポテンシャル

現在、300億円台後半の売上実績となっていますが、中期的な目標として500億円の売上を目指しています。

このスライドには、弊社で把握している各参入市場の推定市場規模を記載しています。当社にはまだ成長できる十分な市場があることをご理解いただけるかと思います。

60年で築き上げたブランドと販売ネットワーク

当社は、日本および世界中の販売ネットワークとして、約180を超える国や地域で販売を行っています。創業以来、60年で築き上げたブランド力により、グローバル展開しています。

Made In Japan

かつて「Made in Japan」は日本の経済成長を象徴するものでした。産業の空洞化という現象が広がったこともありますが、当社は創業以来、一貫して「Made in Japan」にこだわり続けています。

和歌山県に2つの工場を保有しており、月産15万台の生産能力を保有しています。ある機種は100台、またある機種は2,000台といった少量多品種の生産が可能な、柔軟性の高い「アイコム・プロダクション・システム(IPS)」を構築しています。

将来の人手不足も考慮した無線機の全自動生産ラインの導入は、当社が業界初ではないかと思っています。また、新たなビジネスとして、スマートファクトリーの外部への展開も目指しています。

アイコム株式会社について

簡単ですが、アイコム株式会社がどのような会社かをご説明しました。ぜひこの資料と合わせて、当社ホームページもご覧いただき、当社についてより深くご理解いただければ幸いです。

目次

ここからは、2025年3月期第2四半期決算発表および今後の見通しに関してご説明します。本日の主な説明内容は、スライドのとおりです。

2025年3月期 第2四半期 決算ハイライト

2025年3月期第2四半期決算の概況です。主要数値はスライドに記載のとおりです。後のスライドで詳細をご説明しますが、売上高、営業利益は前期実績とほぼ同水準の実績となっています。

自動生産の取り組みについては、スライド右下の生産実績にあるロボット生産台数にご注目ください。スマートファクトリー化への取り組みとともに、この数値を当社のKPIの1つにしています。

売上高及び収益増減

新型コロナウイルス感染症対策が解除されて、1年半が過ぎました。経済活動は回復し、一部電子部品を除き、生産材の供給も回復しています。

これにより、競合他社も含め、市場の製品供給は安定してきています。当社のバックオーダーの多くも解消し、前期の他社の供給不足による需要拡大は落ち着きましたが、売上実績は前年と同水準となりました。

加えて、期初の想定に比べ、為替相場が円安に推移したこともあり、現地法人等の人件費や一般管理費が増加した中、営業利益面では前年を若干上回る実績となりました。営業利益率も今期想定した範囲内で推移しています。

なお、当社の主要製品分野となっているIP無線およびそれに伴うストックビジネスは、堅調に推移しています。ストックビジネスも重要なKPIとしていますが、スライドに記載のとおり、現時点での割合は、総売上高の10パーセントとなっており、目標数値を超える実績となっています。

資産及びキャッシュフローの増減

当期の財務状況の概要をご説明します。初めに、資産・負債および純資産の状況です。前中間連結会計年度の数字との比較でご説明します。

総資産は14億1,700万円減少し、717億4,200万円となりました。負債合計は9億6,400万円減少し、64億4,900万円となりました。純資産合計は4億5,200万円減少し、652億9,200万円となりました。

キャッシュフローの概況です。営業活動により減少したキャッシュフローは、6億5,600万円となりました。前年同期から6億5,600万円の減少でした。

投資活動により減少したキャッシュフローは、4億5,600万円となりました。前年同期から11億4,300万円の増加でした。

財務活動により減少したキャッシュフローは、10億3,300万円となりました。前年同期から2億6,800万円の減少でした。

品目別売上高増減

品目別の売上高増減です。製品カテゴリーにより対前年の増減があり、全体では売上はわずかながら下回る実績となりました。

陸上業務用無線通信機器は、地政学リスクの高まりによる需要拡大や、前期に続くストックビジネスの伸長がありました。しかし、他社の供給不足が解消され、また一時的な供給過多が生じたことにより、売上高は減少しました。

アマチュア用無線通信機器は、全般的に安定した生産および需要に支えられ、当社60周年記念の活動を含め販売した新製品効果もあり、売上は増加しました。

海上用無線通信機器は、地域により季節的な需要はあったものの、海外では特にオーストラリアと欧州で物価高騰に伴う高金利が船舶需要に影響し、売上は減少しました。

付属品その他は、海洋航法機器の売上停滞があった反面、航空用無線通信機器およびネットワーク機器が売上全体を支え、前期売上とほぼ同水準となりました。

品目別売上高構成

製品ポートフォリオおよび、2025年3月期の中間連結会計期間における各カテゴリーの販売比率です。

生産材の供給が回復し、競合他社の供給再開や一時的な在庫過多等により、全品目の売上合計はほぼ前年同期並みとなりました。

地域別売上高増減

日本市場は、陸上業務用無線通信機器において、経済活動の回復に伴う需要増により、IP無線の売上やストックビジネスの伸長が引き続き貢献し、前期売上を上回ることができました。

海外市場は、北中南米で陸上業務用無線通信機器において衛星通信機器の需要が伸びたものの、その他製品で一時的な在庫過多および他社供給再開などで低調な売上となりました。

欧州地域は域内の経済低迷が主因となり、売上が伸び悩みました。アジア・オセアニア地域は地域特定モデルの販売が堅調に推移したことに加え、衛星通信機器やIP無線のレンタル需要が増加したことにより、売上を伸ばしました。

地域別売上高構成

このスライドに記載している2025年3月期中間連結会計期間の増減比率は、前のスライドでご説明した売上の地域別カテゴリー別の実績です。

各地域の主な増減要因は、前のスライドでご説明したとおりです。北中南米以外の地域の品目別割合は、前年同期のレベルを維持しています。

しかしながら、北中南米の陸上業務用無線通信機器の比率が約8ポイント減少したことが、全体の売上に影響を与えています。

セグメント別売上高 - 所在地別 -

セグメント別のまとめは、スライドのとおりです。

2025年3月期 業績予想

ここからは、2025年3月期の見通しについてご説明します。2025年3月期は、2024年5月14日の発表のとおり、連結売上高380億円、営業利益35億円、営業利益率9.2パーセントを計画しています。当中間連結会計期間の時点で、営業利益率は想定している水準となっています。

設備投資としては、すでに取り組みを開始している各製品カテゴリーの新製品、および新技術の開発と関連する投資を継続する予定です。試験研究費は、引き続き売上の10パーセント以上の水準を維持しています。

2025年3月期 業績予想

当社を取り巻く事業環境は、ウクライナ情勢や中東地域における地政学リスクに加え、円安による物価上昇や物流コスト増など、不透明な状況が続くと見ています。また、依然として一部キーパーツの長納期化が続いている状況です。

一方、当企業集団がターゲットとする無線通信機器市場は、経済状況の影響を受け、分野ごとに異なる需要変動をしていますが、売上高の2025年3月期の通期見込みは達成可能と見ています。

為替変動は続くと考えていますが、為替に関係なく、今後も利益創出体制強化を目指していきます。

2025年3月期 配当予想

株主還元方針は、現在の「1株当たり年間配当額50円」あるいは「連結配当性向40パーセント」のいずれか高いほうを下限とすることを、最低ラインとして維持します。

2025年3月期の配当金予想は、通期で79円です。ただし、予想以上の利益が実現する場合は、その水準にふさわしい配当額にしたいと思います。

トピック

第2四半期までのトピックについてです。当社は、2023年5月に策定した「中期経営計画2026」の中で、「100年企業」を目指すサステナビリティ経営の推進を掲げています。

2024年8月上旬に、サステナビリティの専用サイトを公開しました。ESGへの取り組みをはじめ、TCFDの実績や企業の社会的責任の活動など、アイコムのサステナビリティ推進に関する情報を掲載していますので、ぜひご覧いただければと思います。

なお、英語版のサイトも年内には完成する予定です。

トピック

2024年8月に、コムフォースを当社の100パーセント子会社化しました。20年以上も当社の関連会社として、日本政府の政府開発援助、ODA案件を中心に対応してきたシステムインテグレーターです。

コムフォースの子会社化は、前年度の株式会社マクロテクノスの買収に続いて2件目となります。今後もコムフォースは、ODA案件の対応とともに、国内のBCP案件も注力していく予定です。

本件は、「中期経営計画2026」の投資計画にある、新規ビジネスおよび戦略的M&Aや外部パートナーとの業務提携への取り組みの実例の1つです。

トピック

2025年3月期、第61期は、当社の創立70年、設立60周年の年となっています。この記念すべきマイルストーンを祝うため、社内でプロジェクトチームを結成し、記念カレンダーや社史動画を含む9つのイベントを実施しました。

各種イベントの総まとめとして、2024年10月中旬にTeam Icom総会を開催し、アイコムグループ全社員および国内外の優良販社を招待し、約1,250人で祝典を開催しました。

60周年は「100年企業」への通過点に過ぎません。今回のイベントで販社とともに社員一同、Team Icomとしてさらなる結束力が生まれると考えています。投資家のみなさまおいても、引き続きのご指導・ご支援をお願いします。

トピック

その他のトピックは、スライドに記載のとおりです。特記事項ですが、当社の祖業製品分野であるアマチュア無線の世界トップメーカーとして、「ハムフェア2024」で行った「IC-7760」の新製品発表は、全世界で高い注目を集めました。

また、会場用無線業界のベンチマークとなっている当社の無線機は、北米のマリン業界を代表するNMEA賞を11年連続で受賞しました。

社会活動・CSRについては、当社が国内外で評価されている事例をご紹介しています。

今回の決算説明会は以上です。ご清聴、誠にありがとうございました。